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精霊を性的に愛でるスレ Part.3

457名無しの魔法使いさん:2015/05/17(日) 01:29:46 ID:pY7j8J5Q
「ふふふ、おはようございますシャロン様。ご気分はいかがですか?」
 頭の両脇から生えた角、背中から膝ほどまでの広がりを見せる蝙蝠のような大きな翼、すらりとした長身に冷徹な笑み。薄暗い部屋の中に入ってきた男の姿にシャロンは見覚えさえなけれどもその正体は知っていた。明らかに天界と敵対する魔界の住人であることは瞭然だった。
 狂言誘拐の待ち合わせ場所で後ろから声をかけられたところまでは覚えている。気づいたときにはこの部屋でこの格好になっていた。そのことと目の前の男が無関係であるはずがなかった。
「申し遅れました、わたくしは魔界のしがない悪魔、ヴァーミリオンと申します」
「ヴァーミリオンさん、これは一体どういうつもりですか?」
 青い悪魔はわざとらしくきょとんとした表情を作る。
「とある天界のお姫様が誘拐されたがっていると風の噂で聞いたものですから、わたくし以上の適任はいないと思いまして一肌脱いだ次第です」
「あなたにそんなことを頼んだ覚えはありません」
 精一杯の威光を持って睨みつけるが、ヴァーミリオンはまるで涼しい顔をして受け流す。天界の住人にとっては畏怖と尊敬を合わせてもなお恐れ多いシャロンの地位も、魔界の住人にとっては無価値の称号に過ぎない。
「皇界の王としての命令です。今すぐ私を解放しなさい」
 シャロンが厳しい口調で彼に命令してさえも、彼は冷徹な笑みをより深く刻んだだけで。
「シャロン様、残念ながらここはもうあなたのいた皇界ではありません。わたくしに命令をしてもあの木偶の天使のようにはおいそれとは参りません」
「――ッ! 今の言葉、取り消してください!」
「ふぅ……先代が早死にし、ただの傀儡として玉座に座っている人形が、身の程をわきまえてくださいよ?」
 ヴァーミリオンは退屈気に表情を崩すと、コツリコツリとシャロンへと向かって優雅に歩いてくる。
「それ以上近づいたら許しません……!」
 臨戦態勢に入ろうとシャロンの身体に魔力が宿る――はずだった。
「え……?」
 内側から溢れてくる魔力が、身体の外へと呆気なく流れていく感覚にシャロンは目を見開く。
「ククク……言ったでしょう。ここはもうあなたの世界ではないと。魔界の空気は始めてですか? シャロン、ここに拐かされた時点であなたはもう逃げられないんですよ。なに、わたくしの言うことを少し聞いてくれさえすれば命まで奪うようなことはしません」
 悪魔がシャロンの目の前に屈み込む。本来なら触れることさえ能わないはずの天使の頬を、悪魔の細く滑らかな指がゆっくりと撫でる。ぞわりと背筋に悪寒が走り、不安に目の前が暗くなりかける。それでも弱みを見せまいとシャロンは気丈に悪魔を睨みつける。




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