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精霊を性的に愛でるスレ Part.3

456名無しの魔法使いさん:2015/05/17(日) 01:29:14 ID:pY7j8J5Q
(どうしてこんなことに……!)
 薄暗く狭い部屋の一隅でとある少女が額に汗を浮かべていた。彼女の名前はシャロン・イェルグ。一見するとただのうら若き乙女だが実は皇界の女帝である。そんな威光眩い彼女がなぜ両手を縛られたあられもない格好で、部屋の隅に繋がれているかというと少し話は長くなる。
 発端は数日前のこと。
「ねえトート、レメモちゃん……やっぱりテオは私のことなんとも思ってないのかな……」
「なんやまた失敗やったんかいな」
 友人たちを前に、シャロンは沈んだ表情でため息を吐いた。
「うん……トートに教えてもらった肩車作戦、失敗だった」
「なかなかしぶとい兄ちゃんやなあ」
 シャロンの淡い恋心を応援する会(トート命名)の会長(自称)はうーむと唸る。分厚い本を読んでいたレメモが顔を上げシャロンに訊ねる。
「そもそもテオドール様はそういったアプローチには鈍感なのでは?」
「そうなのかな……ただ単に私に興味がないだけなんじゃないかな……」
「そんなことあるかいな! シャロンちゃんの肩車に興味がない男なんておるわけない! 両肩にずしりと掛かる、重くもなく、かといって軽すぎもしない適度な体重。モチモチの感覚が首筋をくすぐり、ふと目を横に向けると剥き出しのスベスベの太ももが後光を放ちながらそこにある奇跡! 男なら誰だって夢見る光景や! 男はみんなロリコンなんや!」
 力説するトートをレメモがポイと放り投げる。
「まあ淫獣様のご高説はさておき、やはり正攻法ではあのテオドール様の本心を引き出すのは難しいようですね」
「うう……」
「あまり直接的すぎず、かといって地味すぎず、それとなくテオドール様の本心が現れるような作戦……ん、難しいですね」
「そや! ならこういうのはどうや? 名付けて『きゃ〜!助けてテオドール!シャロン様誘拐大事件作戦』や!」
「また頭悪そうな企画が出てきましたね」
「ゆ、誘拐……?」
「俗に言う狂言誘拐ってやっちゃな。ワイらででっち上げるんや。シャロン様が誘拐されたとなればあの鉄面皮も少しは剥がれるっちゅうもんや。どや? シャロンちゃんを探して血相変えて走り回るあの優男の姿、見たないか?」
「テオが血相変えて私を探しまわって……み、見たいです!」
「なにか主旨が変わってるような」
「よーしそうとなれば早速誘拐犯を募集や!」
「トート、あなたが引き受けてくれるのではないのですか?」
「いや、ワイはあれや、まだ死にたない」
「要するに怖いんですね。でもいいんですかシャロン様? ばれたらテオドール様もそれなりにお怒りになるのでは?」
「それは……」
 たしかに冗談でしたで笑って済む話ではないのかもしれない。きっとテオドールは怒るだろう。――いや、果たして彼は怒ってくれるのだろうか。ふと、シャロンはそんな疑問を抱く。嘘だと知ったら、それで終わりなんじゃないだろうか。自分を叱ることも、呆れることもなく、ただ無表情で宮廷に連れて帰られて、それで……おしまい。
「……っ」
 それが一番怖い。とシャロンは思う。結局テオにとって、自分は守るべき主人でしかないとわかったら?
「やりましょう」
 胸に手を当て、シャロンはきっぱりと宣言する。知りたい。想い人の、自分に対する気持ちを知りたい。
 恋する乙女は時に猪のように前しか見られなくなるものである。それが彼女を本当の危機へと突き進ませる盲目という名の罠だとも知らずに……。




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