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精霊を性的に愛でるスレ Part.3
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「月が綺麗ですね」
「え?」
ここは魔界の一城。
複雑で怪奇に絡んだ回廊から少し外れた大図書館の片隅。
文武で言えば紛れもなく文である僕は、立場も低く軽視され、気付けばこの図書館の整理係に落ち着いていた。
魔族ではあるが争いごとは好きではないし、この閑職は本が好きな自分には天職ではないかと考える。
そこで出会ったのが彼女、レメモ・ビブリ。
間違いなく天使である彼女がなぜ魔界にいるのかといえば…魔族の研究、らしい。
そんな彼女がある日ふと、前述の言葉を僕にかけてきたのだ。
「つ、つき? ……?」
勿論魔界の城の奥から月が見えるべくもない。
唐突な言葉にクエスチョンマークを浮かべる僕に、レメモは顔を赤くして開いていた本でそれを隠す。
天使云々を置いておいても変わった娘だと思う。
イザーク様からも捨て置けと言われているので、誰も彼女に手出ししようとはしなかったが。
はじめは会話すらお互いにたどたどしかったけれど、半年も立つ頃には大分打ち解けた、つもりでいる。
でも時々理解が及ばないのはもう、仕方ない事だろう。
……それでも最近はより知りたいと思ってしまうのだが。
「う…ううん、なんでもないの」
「…そう? でも月なんて暫く見てないな、今度見に行こうか?」
インドア派とインドア派の会話にしては、頑張ったほうだろう。
彼女は本の向こうで暫く考えてから、小さく頷いてくれた。
小さくもしっかりとした反応に胸をなでおろす僕。
すると徐ろにレメモが椅子から立ち上がり、こちらへ近づいてきた。
ほっそりとした体。身長は僕よりも大分小さい。
何事かと目を瞬かせていると…唐突に、彼女が読んでいた本が僕の胸元にぽすっと押し付けられた。
「これ、読んでおいて」
「?? …ソーセキ・ナツメ…? 伝記…自伝かな? でもなんで」
「いいから、出かけるまでに読んでね」
まだ顔が赤いままのレメモ。
普段はどことなく悪戯っぽい彼女の、少しだけ真剣な様子に首肯して本を受け取った。
……………。
そしてその日の自宅。
月、が見える場所は魔界でも限られているが故に、窓からそれは見えなかったけれど。
預けられた本をあっという間に読み終えた僕は…。
「死んでもいいな」
レメモの顔を思い出して、そう呟くのだった。
(僕はレメモちゃんとこんな恋愛がしたいにゃ!)
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