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【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ18

934930:2016/06/06(月) 01:01:33 ID:921OSk/2
それから暫くして、私と綾波は広い居間に卓袱台を挟んで座っていた。
二人に泊まっていけと連れてこられた古い日本家屋は、先程の校舎からほど近い所に建っている。
「ゆっくり寛いでいてくださいね。夕食の準備してきますから」
「あ、ああ……、悪いな」
伊勢がそう言って台所に行ってしまい、私は綾波にいくつか尋ねてみた。

「ここはどこなんだ?」
「ここは、私達のような艦娘が暮らす村。司令官と引き離されてから、ここでずっと待っていましたよ」
艦娘が暮らす村。これが私の脳が見せている幻覚でなければ、友人の言っていた噂話は本当だったのだろう。

「そうか、私も逢いたかったよ」
「えへへ」
恥ずかしそうに頬を赤らめ照れ笑いを浮かべる綾波。
彼女達と同じ空気を吸い、同じ時間を生きている。当たり前だったことがこんなにも素晴らしい。彼女達と引き離されてからそのことを痛感していた。
そうだ。逢いたかった。逢いたかったのだ。
どんなに慣れたふりをしたところで孤独は孤独。一度でも彼女達の、艦娘の温もりを知ってしまった以上は、それの無い人生は苦痛でしかなくなっていた。

「他の皆もここに?」
「はい。今日はもうすぐ日が暮れますから、明日以降に伊勢さんが他の人たちに紹介するって」
そう言われて、猛烈な郷愁に襲われた。懐かしい皆の顔。彼女達にまた逢える。
成程、彼と連絡がつかなくなった理由もよく分かる。
ここに居れば、もう外界なんて、艦娘のいない世界なんてどうでもよくなってしまう。

「そうか、皆いるのか」
「はい。この家も私と伊勢さんと、今日は当番で加賀さんの所にいっている敷波と三人で暮らしているんです。鎮守府みたいで楽しいですよ」
そう言えば、この家は誰の家なのだろう。
田舎の農家と言って頭に浮かぶ、これまたステレオタイプな木造一戸建て。
広い敷地と相応に広い建物。今では珍しくなった縁側が、これまた珍しくなりつつある畳敷きの広い居間の前に設けられ、
その先に広がる庭の隅、垣根の足元に朝顔が――綾波と敷波のものにそれぞれ名札付きで植えられている。
その垣根の向こうには、夕日に照らされた田畑が絵画のように広がっている。

この家といい、あの田んぼや畑といい、乗ってきた電車といい、この村には不明な点が多すぎる。
そもそも、この村の正確な所在も何もわからない。

「あっ、それ」
私の目線が朝顔に注がれていると思ったのか、綾波が立ち上がり、縁側に移動しながら語り始めた。
「私と敷波で毎日お世話しているんですよ。きれいでしょ〜」
追いかけて縁側に腰掛けた私の横に綾波もちょこんと腰かけ、朝顔を眺める。
紫色に変わりつつある空の下、垣根の向こうから虫の音が聞こえ始めた。

初夏の夕暮れ。静かで平和でのどかな時間。
二人並んで縁側に座っていると、その中に溶け込んだような、目の前の景色の一部になったような気分になる。
ここがどこか?そんな事はもうどうでもいい。
結局そのまま、「ご飯ですよ」と伊勢に後ろから呼ばれるまで並んでいた。




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