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【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ13 (避難所2)
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(三)
濃紺に濃紺をただ只管に重ねて作られたような、蒼黒の世界。
重い水圧が、鉄の総身を軋ませる。
気が付くと、赤城は仄暗い水底にいた。
加賀さんもきっと、私の事を嫌いになったに違いない。
いいえ――提督だって、戦えない空母に用は無い。といって愛人の立場でいるなど、自分にも彼にも似合わない
だろう。
でも。鎮守府を去ったとしても、何処へ行けば佳いというのか。ならばもっと頑張って――しかし一体、何を、
どうやって?
虚ろな心で仮初めの秘書艦として一日を過ごしたのち、提督不在の一人寝の夜。そんな堂々巡りの迷妄に鬱々と
嬲られながら、自室の暗闇の中、膝を抱えて寝台の上にいた――はず、なのに。
魚影以外に訪れる者もなく、多くの死を抱えたままの永遠の静寂――海底。何十年も見慣れたその世界に自分は
再び還っていた。
ここがやはり、愚かにも挑み、敗けて沈んだ、私の正しい居場所なのか。
冷たい海水と安らかな暗闇に身を任せた消失寸前の意識が、そう悟った途端――
――轟、と。
かつて沈降し着底して以来の、はるか遠くまで響く鐘のような一瞬の鈍く低い音が、暗い海中の静寂を破った。
聴き違えではない――その証に、やがて物言わぬ重たい鉄の塊であるそれ自身が静かに震え、軋み、水圧の牢獄
に泥を舞わせながら数十年ぶりに、海底に蠢いていた。
そして何か力強い意志に引かれるように、それは冷たい海の底から離れ――灯火の無い隧道のような暗黒の世界
の中、静かにその巨大な残骸は浮上を始めた。
見えぬほどに、ゆっくりと。しかし、確かに。
暗い海中を彷徨っていた、小さな小さな海蛍のような灯光が、其に次々と寄り添い、身に溶け込むように消えて
ゆく。そのたび、微かに暖かい何かが錆びた精神を照らした。
無限にも感じた時の果て、鏡のような水面が見えてきた。
両手。両脚。――黒髪。乳房。
近づくにつれ、そこへ映る自身はいつしか錆び尽くした醜い鉄塊から、瑞々しい斯良多麻の肌と射干玉の髪とを
持った娘の裸形の像を結んでゆく。
やがて世界の際、極限まで近づいたその鏡像とひとつになり――そして深海と同じく暗闇の支配する夜の海上へ
艦娘の姿をもって坐々と静かに浮かび上がる。
そう思った、次の瞬間。
赤城は、満開の夜桜の下にいた。
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