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凍てつく殺意@読者参加型推理サスペンス

23二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/26(木) 17:09:02
5人がいる場所から、ほんの数百mほどのところに、うすぼんやりと小さな明かりが見える。よく目を凝らして見ないと見落としてしまいそうなか細い光だが、それは確かに煌々と輝いていた。
「あ、あれってきっと救助隊ですよね?ね?」
影山は興奮気味に周りに問いかける。そう言われても、ミラクルズの見ている視界は他の人間には確認しようがないから何とも言えなかったが、影山のテンションに押されて皆頷いた。
「ちょっとミラクルズに確認させますから!」
話し終わるよりも早く、ミラクルズを一直線に光の元へと飛ばす。

「やったじゃん!これで帰れるぜ!」
毒島は早くも期待に胸を膨らませていたが、その横で蟻原が顎先を掻きながら訝しげにその方向を見て呟いた。
「おかしいな。あっちは山の上の方向だろう?仮に救助隊なら、麓から来るはずじゃあないのか?」
蟻原の指摘に、伊佐治も頷く。

「ヘリとかで、山の上から探索したんじゃねーの?」
「この猛吹雪の中で、ヘリコプターなんて飛べやしない。それに、救助隊が来るということは誰かが我々が遭難した事を伝えてからだろう。しかし君達がツアーや、私が同僚とはぐれてから1〜2時間程度しか経っていない。この吹雪の中、そんな短時間で下山して、更には救助隊まで駆けつけるなんて事があるだろうか?」

蟻原の答えに、毒島は言い返せずに黙ってしまう。確かに、救助隊が来るにしては早すぎるし、位置もおかしい。
「それじゃあ一体、あの光はなんなんだよ」

「民家かもしれない」
毒島の問いに、今まで黙っていた守久が答えた。暗示で体温が戻ったおかげで、意識を取り戻したようだ。
「守久!お前、大丈夫なのか!?」
すぐさま毒島は、伊佐治に抱きかかえられた守久の顔を覗き込んだ。数十分前まで血色を失っていた肌も、今は温かみを取り戻していた。まだ万全とは言えそうにないが、少なくとも会話できる程度には回復したようだ。
「ごめんなさい」
守久は、伊佐治と毒島の目を見ながら「荷物になってしまいました」と呟いた。
「馬鹿、謝るなよ!それは俺の台詞じゃんか!」
毒島は守久の冷たい手を握って暖める。自分よりも体も小さな女の子に、自分を守らせてしまった事を悔いていたのだ。
「そうよ、あなたが守ってくれたおかげで、ここまで命を繋ぐ事ができたんだから」
伊佐治も片手を握りながら、守久にお礼を言った。ここまでの肉体的負担を、彼女が一身に背負ってくれたおかげで助かったと言ってもいい。そんな2人の気持ちを察してか、守久も小さく微笑んだ。伊佐治が抱えていた守久を下して立たせる。
「だいぶ血色も良くなったわ、もう大丈夫そうね」
「そういえば、君達はどういう関係なんだい?友達なのか?」
蟻原が3人に問いかけた。
「いや、俺達は一緒の登山ツアーに参加してたんだ。たまたま3人揃ってツアーからはぐれちまったんだよ」
「なるほど。ところで、さっきの民家かも知れないというのは?」
「ツアーが出発する前、集合場所のロッジでそんな話を聞いたんです。この山に、一件だけ奇妙な御屋敷が建っているって」
守久が、ふらつきながら問いに答えた。寒さは和らいだものの、体力の消耗はやはり激しそうだ。もっとも、この中で体力を消耗していない者はいなかった。

「・・・あれ?人じゃない」
その時、影山がぽつりと呟く。
すでにミラクルズは光の元に辿り着いていたが、そこにいたのは救助隊ではなかった。暗闇と吹雪の中、森と山の闇にまぎれるようにして、それは佇んでいた。まるで西洋の城のような重厚な作りのそれは、雪山の中で一際異彩を放っている。
「これ、建物・・・洋館?」
影山が上空から発見した光は、その洋館から漏れる室内光だった。


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