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凍てつく殺意@読者参加型推理サスペンス

1二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/19(木) 15:11:21
その日、白豪山は地獄と化していた。
木々に覆われ激しい吹雪に見舞われた雪山は、月の明かりも届かずに1m先もよく見えない。木々は轟音を立ててざわめき、まるで獣の咆哮のようにも聞こえる。
雪山の登山ブームにつられて軽い気持ちで参加したツアー客達は、己の浅はかな認識を悔いていた。すでに何人かの参加者がはぐれてしまっている。この猛吹雪の中でガイドもなければ、生存は絶望的だろう。
いや、ツアーガイドの顔色を見れば、我々も生きて帰れるかどうか怪しいものだ。どんどん歩いているものの、当てもなく彷徨っている事を言い出せないだけではないだろうか。
麓まであとどれぐらい歩けばいいのか、予想すらできなかった。

寒さと雪の重さに体力を奪われながら、ふと出発する前にロッジで奇妙な話を耳にした事を思い出した。
この人里離れた山の奥深くに、不釣り合いな立派な洋館があるという話だ。
なんでも、そこは幽霊屋敷だとか、化け物が住んでいるだとか、奇妙な研究をしている施設だとか、皆口々に噂話に興じていたが、この猛吹雪から身を守れるなら、いっその事その洋館にでも辿り着きたい気分だった。

2二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/19(木) 15:17:33
※これは読者参加型の推理サスペンスです。
 犯人はオリジナルのスタンド使いで、単独犯とは限りません。
 犯人を見つけ出して倒せば参加者の勝ちになります。

◎用意するもの
キャラクターの名前、一人称、口癖、語尾、趣味、クセ、2〜3行程度の略歴、キャラクターの対戦コード

(例)
名前@赤塚正一(普通の少年)
一人称@俺
口癖@ヤレヤレ
語尾@だぜ
趣味@機械いじり
クセ@話す時やたらと顔を近付ける
略歴@赤塚家の長男。親はサラリーマンで中流家庭の高校二年生。
   見た目のせいで学校では不良と見られているが、割と真面目で成績も優秀。人付き合いが苦手。
   登山ツアーで雪山に来たものの、ガイドとはぐれて遭難してしまう。
コード@1127-332246-123456

・参加できるのは総合戦力4000以下のコードでお願いします
・同じスタンド使いは同時に参加できません(ミラクルズ2人等)
・1人1キャラで、4キャラまで同時に参加可能撃です
尚、学生である必要はなく「別次元の10年後の7人目」という形で社会人での参加もOKです。
ただし、ゲームの設定には準拠します。(赤塚ならルポライター)
性格設定もゲームの性格を元に動かします。

3粉薬 ◆vY4o6ICjXk:2013/09/19(木) 18:41:21
試しに参加させてください

名前@毒島貫太郎(個性的な少年)
一人称@俺
口癖@とんでもねー
語尾@じゃん
趣味@サッカー
クセ@貧乏ゆすり
略歴@高校二年生、サッカー部所属。家庭は少し貧乏で、そのため捨てられない症候群の気がある。
家計を助ける為に、アルバイトに励んでいる。成績は真ん中あたり。痩せの大食い。
商店街の福引きでツアーを当てた事で登山に参加したが、登山経験はない。
コード@1230-332345-242627

4ワラ ◆tgL8NozhMg:2013/09/22(日) 23:27:07
それじゃあ、俺も

名前@蟻原蛍(普通な少年)
一人称@僕
口癖@もちろん
語尾@だね
趣味@読書・料理
略歴@サラリーマンの28歳。仕事は香水や化粧品を作る会社で、総務部に所属。探し物をスタンドで探したりしている。
潜水艦ルートを通り、「平和は誰かの犠牲により成り立つものだ」という考えを持っている。また、その「犠牲になる誰か」は悪人であっても敬意を払うべきだと考えている。
新商品の材料のサンプルを取るため山に来たが、他の社員とはぐれ、迷っていたところ洋館(または、上のツアー)に出会う。

こんなところでしょうか?

5ワラ ◆tgL8NozhMg:2013/09/22(日) 23:33:24
>>4
おっと、いくつか忘れていたので追加で

癖@顔の一部(鼻の頭や耳たぶ、顎など)を掻く
略歴@能力を十分に使うために虫や植物の知識はかなり多い
若干引くレベル

6ワラ ◆tgL8NozhMg:2013/09/22(日) 23:36:34
すみません。コードも忘れてました・・・orz

コード@1144−221145−867399

7二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/23(月) 14:39:20
>>3-6
参加ありがとうございます。

明日の休み明けから開始する予定ですので、もしまだ参加の方がおられたら宜しくお願いします。

8ヨリ ◆ywmVdUwUgY:2013/09/23(月) 22:04:16
間に合うかな・・・

名前@守久百合(小柄な少女)
一人称@私
口癖@素晴らしいね
語尾@です
趣味@音楽鑑賞・散歩
クセ@よく後ろ手を組む
略歴@高校2年生、平凡な家庭出身。
口下手なためあまり人としゃべらなく、友達は少ない。成績は中の下。
毎日日記を書いていて、旅行先にも持っていく。
SP達においしいものを食べさせてあげたいと思っているが、スタンドはものを食べることができるのか少し悩んでいる。
テレビで流れていた雪山の風景をSP達が興味深そうに見ていたのと、自分も少し登山に興味があったのでツアーに申し込んだ。
コード@2342-221256-417239

9つき ◆O8ZJ72Luss:2013/09/23(月) 22:06:32
では私も……。


伊佐治織絵(普通の少女)
一人称@わたし
口癖@ありゃまあ
語尾@だわ
趣味@読書と手芸
クセ@考え事をする時に髪の毛をいじる

略歴@伊佐治家の次女。医師志望の高二。
   繊細で思いやりのある性格だが、表に出さないので冷たく見られがち。インドア派なので体力はあまり高くない。
   ツアーには、アウトドア派の姉の付き添いとして強制参加させられた。が、姉は当日体調を崩し欠席。一人参加することに。

コード@2139-332146-175896

こんな感じでいいでしょうか?

10名無人目のスタンド使い:2013/09/23(月) 22:59:16
名前@影山鈴音(普通の少女)
一人称@私
口癖@うう・・・
語尾@ね? ね?
趣味@絵を描くこととメモの整理
クセ@なにかをなくしてないか、すぐ点検する

略歴@25歳。連載を持ってる漫画家。作品人気はそこそこ上の方。
   作品がひと段落し、二週間分の休暇をもらえたのでツアーに参加。
   ネガティブ思考なので面と向かって作品をけなされても「そうですよね」としか思わないが、褒められるとどう反応すればいいのか分からなくなって混乱する。
   戦いの中でも後方支援が多かったせいか、危ない場面になると自分が頑張らなければならない、と言う思考が働く。

コード@2135−322166−864597

11二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/24(火) 18:27:30
「おーい、誰かいないのか!?」
真っ暗な森の中、毒島貫太郎は力いっぱい声をあげた。
しかし、何も返事は返って来ない。吹き荒ぶ猛吹雪が、声すらも掻き消してしまうようだった。すでにツアーの一行からはぐれて、一時間近くが経過していた。
「完全にはぐれてしまったようね」
伊佐治織絵が、守久百合の様子を看ながら言った。豪雪の雪山で猛吹雪に見舞われながら彷徨い歩いた事で、3人の体力も相当消耗していたのだが、特に守久の具合は悪くなっていた。
「このままじゃヤバイじゃんか。その子の具合はどうだい?」
顔の周りの雪を払いながら、毒島が守久の顔を覗き込む。
「良くないわね、無理をしすぎだわ。吹雪から身を守る為とはいえ、わたし達ごとスタンドで覆って保護してたのだから」
伊佐治が吹雪から守久をかばうように抱えながら答える。
「頼むぜ、あんたのスタンドが頼りだからよ」
「出来る限りの事はしてみるわ。それよりも、あなたも無理をしすぎないようにね」
3人の体を、毒島が自分のスタンド・・・『ザ・ジョイキラー』で吹雪からかばっていた。
「平気さ。それに俺のスタンドじゃ、これぐらいしかできねーからよ」
そう言うと、再び大きな声で呼びかけを続けた。しかし強がりな言葉とは裏腹に、体の震えが止まらないのは目に見えて分かる。よく見れば、まつ毛は凍り、唇も色を失って紫色になっていた。
本来スタンドは物理的な干渉を受けないが、そのままでは吹雪を防ぐ事ができない為、あえて干渉させて防いでいるのだ。だが逆に干渉させるが故に、冷気も本体に影響を及ぼす。いくらスタンドが人間より丈夫とはいえ、極寒の中を何時間も立ち尽くすというのは自殺行為に他ならない。腕の中の少女は、そのせいで衰弱してしまったのだ。
遭難した場合、その場を動かない方が救助の可能性はあがるという話を聞いた事があるが、このまま留まり続けても、待っているのは凍死である事は明白だった。しかし闇雲に森を歩いても、残り少ない体力を消耗するだけだ。
「わたし達のスタンドが、遠くまで飛ばせるものだったら・・・」
有り得ないような偶然だが、この場に居合わせた全員がスタンド使いなのだ。しかし、3人ともそろって近距離型であった。もしも誰かが遠距離まで届くスタンドを持っていたら、この雪の中でも行先を探る事ができるのに。守久の体温が徐々に失われていくのを感じ、伊佐治は焦りと歯がゆさから奥歯を噛みしめる。
その時だった。
「お、おい、あれなんだ?」
毒島が森の奥の方を見ながら指をさした。猛吹雪のせいでほとんど視界が見えないが、確かに何かが漂っているのが見える。ただ、そのシルエットは明らかに『人影』ではない。大きな卵のような物から、小さな手足と、ヘビのような、尻尾のような細長い何かが見える。それが宙に浮かんでいるように見えた。この吹き荒ぶ猛吹雪の中、風の影響を受けることなくふわふわと。
「スタンドか!」
「そうでなければ、幽霊の類ぐらいでしょうね」

12二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/24(火) 19:20:28
伊佐治は、守久への応急処置をしながら警戒態勢を取り、その『何者か』の様子を探る。
周りをキョロキョロ見回して、何かを探しているようだった。
「おい、もしかして、俺達を探しているんじゃあないか?」
毒島が伊佐治に問いかける。さっきまで大声で助けを呼んでいたのだから、確かにその可能性は高い。しかし、こんな雪山の中に更にスタンド使いが現れるなんて偶然があるだろうか?どこから現れたというのだろう。
こんな時に伊佐治は、普段なら遠くから観察して接触は避けたいところだったが、今はその余裕がない。
「この子の状態も良くないし、あれが救助に来てくれたスタンドである事を願うわ」
「そうだな、俺もこれ以上耐えられるかわかんねーしよ」
そう話す毒島の歯がガチガチと音を鳴らしている。

「おーい!ここだー!」
毒島が大声で、『何者か』に呼びかけた。呼びかけられた『何者か』は、まさか声を掛けられるとは思っていなかったらしく、ビクッと跳ね上がって驚きながら、恐る恐る3人の元へと近づいてきた。
「ずいぶんと小型のスタンドだな」
「恐らく、遠距離型ね。本体は遠くなのかしら。」
伊佐治は、じろじろと観察している。敵意がないかどうか、一体何者なのかどうかを知りたげだった。
「救助に来てくれたんだと助かるんだけどな」
毒島が、『何者か』の卵状の頭部を撫でながら言う。
『・・・あ、あの、だ、大丈夫ですか?』
「うおっ!?」
言葉をしゃべるとは思っていなかったのか、毒島は大きく驚いて尻もちをついた。伊佐治はそれには意も介さずに答える。
「あまり大丈夫とは言えないわ。見ての通り、一人は衰弱しているし、わたし達も寒さで体力の消耗が激しいの。助けてもらえるかしら?」
伊佐治は冷静に状況を説明したが、『何者か』は申し訳なさそうに答えた。
『うう・・・じ、実は私も・・・遭難してしまって。声がしたから救助の人かと思って・・・』
「う、嘘だろ!?」
毒島が目に見えて落胆して、がっくりと肩を落とした。期待していた分、ショックが大きかったようだ。
伊佐治も正直、少なからず助けを期待していた為、意気消沈してしまったが、それは表には出さないでいた。
今は気をしっかり持たなければ、すぐにでも倒れてしまいそうだからだ。
「・・・そう、それじゃあ、あなた自身はどこにいるの?」
『わ、私は、ここから300mぐらいの場所にいます』
「それなら、これから合流しない?遠くまで見えるスタンドがいれば心強いし、遭難者同士協力しましょう」
『わ、わかりました!』
声の主は、慌てたような感じで答えた。受け答えの感じからすると、同年代か年下ぐらいだろうか。びくびくとした印象を受ける女性だった。どんなスタンド能力なのかは分からないが、今は生き残る為に少しでも協力者が欲しい。

『そ、そうだ。凍えているんですよね?それなら何とかできるかもしれません!』
そう言うと、『何者か』の頭部の目のような模様が光った。一瞬何が起きたのか分からなかったが、すぐにその効果に気が付いた。体の中から「ポカポカ」と暖かく感じるのだ。まるで暖かいスープを飲んだような、心地良い温もりだった。
「こ、これは・・・?」
『私の「ミラクルズ」の能力で、暖かくなる暗示をかけました。少しはマシになると思います。』
そう言うと、『ミラクルズ』は飛んできた森の奥へと飛び去っていった。

13二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/24(火) 19:30:16
こんな感じで続いていきます。
まだ冒頭部分ですので、自由行動ができる状態までは引き続きこちらで書き上げていきます。

1410の影山 ◆cR08PK3l1o:2013/09/24(火) 23:08:52
すげえええ!
とってもわくわくしてきました
続きお待ちしてます!

154の蟻原:2013/09/25(水) 08:08:56
おお!続きが気になります!
更新楽しみにしてますよ!

しかし、学生組は近距離で
大人組は遠距離なのか(笑)

163の毒島:2013/09/25(水) 14:06:56
いいですね!
これは毎日チェックしに来ねば・・・!
しかし、しっかり者なタイプが伊佐治だけなので、これは苦戦の予感・・・?

17つき ◆O8ZJ72Luss:2013/09/25(水) 14:48:58
続き! 気にならずにはいられないッ!

本当だ、学生と大人とで綺麗にわかれてますね(笑)
続き楽しみにしてます!

18二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/25(水) 15:10:33
これがあの『ミラクルズ』のスタンド能力。どうやら暗示をかけるスタンドのようだ。
おかげで3人の顔色は少し良くなったが、それでも猛吹雪の寒さは凄まじく、本当に一握りの元気が戻った程度だ。
ミラクルズの暗示はそこまで強力なものではないらしい。このまま立ち往生していれば、凍死するのが少し先になるだけだった。

「指先の感覚が戻ってきただけでも、俺は大助かりだけどな。つま先が凍傷で壊死したりしたら、サッカーができなくなっちまうからよ」
命の瀬戸際でそれどころではないと思うものの、毒島の軽口が少なからず周りの沈んだ空気を緩和してくれた。
この絶望的な状況で希望を捨てずにいられるのも、彼の醸し出すムードに助けられたところが大きい。

「さっきの子と合流して、ここの周囲を探索できればまだ希望はあるはずよ」

暗示のおかげで体温が戻りつつある守久を看ながら、森の奥へと視線を送る。凍りかけた前髪を指でときながら、視線を落として伊佐治は考えていた。本音ではあまり楽観視はしていなかったのだ。
そもそも、一緒にいたツアーの面々も無事かどうか定かではない。ガイドは明らかに不測の事態に陥ったと言わんばかりに、焦りに満ちた表情で麓へと誘導していた。すでに雪で視界もままならなかったあの時、道を間違えていた可能性も少なくない。
もっとも、今はツアーの面々よりも自分達の心配をした方がいい。今回のツアーでは、この山は都会の喧騒とはかけ離れ、自然のまま人の手もほとんど入っていない事が売りだった。そうなると、民家はおろか救助隊が通る道すらない可能性が高い。救助が来るにしても時間がかかるという事だ。

19二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/25(水) 15:11:34
「伊佐治、聞いてるのか?」
毒島のかけた声に、考え込んでいた伊佐治がハッとして驚き顔をあげた。

「あ、ごめんなさい、何だった?」
「ほれ、どうやらさっきの声の主が到着したみたいだぜ」
指を刺した森の方を見ると、先ほど出会ったミラクルズが人影を従えてやってくるところだった。スタンドの後方にいる人影は二つ。

「1人はさっきの子だろうけど、もう一人は誰だ?」
「さあ・・・わからないけど、背格好からして男の人みたいね」
ザクザクと雪をかき分ける物音を立てて、二つの人影が森の奥から姿を現した。1人は先程の声の主であろう、金髪を束ねた若い女性だ。伊佐治が思っていたのとは違い、どうやら3人よりも年上のようだった。不安げな表情を浮かべ、もう1人の男性の背後に少し隠れるようにこちらを伺っている。

「あ、あの・・・私・・・ミラクルズの、影山鈴音と申します。ツアーに参加していたんですけれど・・・」
どうやら彼女も、3人と同様にあの登山ツアーの中からはぐれてしまったようだ。

「あなたもですか・・・では、そちらの男性も?」
伊佐治の言葉に、影山と一緒にやってきた男性は首を横に振る。

「いえ、僕は仕事でこの山に来たんですが、急に天候が悪くなってしまって。1人で立ち往生している時に、彼女と出会ったんです」
男はそう言いながら、防寒着の裏ポケットに手を突っ込むと、名刺を取り出して差し出した。

「蟻原蛍、と申します」
まるで営業に来たサラリーマンのように、蟻原は丁寧におじぎしてみせる。猛吹雪の中でてきぱきとスムーズに名刺交換をしている姿は、かなりシュールに見えた。

「はあ、御丁寧にどうも。ところであなたもスタンド使いなんですか?」
毒島が調子が狂ったといった感じに、頭を掻きつつ名刺を受け取りながら問いかけた。

「ええ、一応は・・・」
そう言いながら、蟻原は手の平を差し出すと、数十匹の様々な虫がうじゃうじゃと湧き出てきた。

「うわああああああっ!?」
手の平を覗き込んでいた毒島が、それを見てまた驚き尻もちをつく。「痛ぇ、同じとこ打った!」と、腰を抑えて雪の上を転がった。

「す、すみません。見ての通り、スタンド像の虫を呼び出す能力でして。この能力を利用して、特定の植物を探して採取していたんです」
驚かせてしまった毒島に、蟻原が両手を合わせて心底申し訳なさそうに謝る。

「ちくしょう、どいつもこいつも!っつーかよ、遠距離型とか探索型の能力者が揃って遭難とか、どんだけ間が抜けてんだよ!」
毒島は痛む腰をさすりながら、訝しげに蟻原と影山を交互に見た。その視線に、2人揃ってばつが悪そうに視線を落とす。

「ご、ごめんなさい・・・つい、うっかり・・・」
「物や特定の動植物を探すのは得意なんですが・・・」
2人は声も次第に小さくなり、申し訳なさそうに答えた。その様子を見ていた伊佐治も、思わずため息を漏らす。

「御二人とも、しっかりして下さい。今はあなた達だけが頼りなんですから」

その言葉にハッとして、影山が自分の両頬をパンと叩く。
「そ、そうですよね!ともかく、この近くにツアーの団体か登山道がないか探してみます!」

そう言うと影山は、頭上に真っ直ぐミラクルズを飛ばしてみせた。周囲の様子を上空から探るつもりなのだろう。しかし、この吹雪の中では視界はほとんど効かない。何か光源でもあれば別だが、闇夜と雪で何も見えないんじゃないだろうか。
もっと他にいい方法はないだろうかと、伊佐治が再び考えを巡らそうとした瞬間、影山が小さく叫んだ。

「・・・あっ・・・ひ、光!」
その場にいた全員が、一斉に影山の方を振り返った。

208の守久 ◆HMzaQY2Xb6:2013/09/25(水) 15:52:56
み、見てないうちにこんなに更新が・・・
続きが凄く気になります!
更新楽しみにしてます!

21二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/25(水) 15:58:27
>>14-17
ありがとう御座います。
尚、彼らはジョースター一行と接触のないパラレルな存在とさせて頂いております。(関係性がおかしくなる為)
登場人物が出揃うまで、もうしばらくプロローグに御付き合い下さい。

2210の影山 ◇cR08PK3l1o:2013/09/25(水) 20:18:06
>>21
おっとそうでしたか。
旅の途中とか書いちゃったw 無視してくださいな
引き続き続きお待ちしております

23二十五 ◆olN4KPV2jU:2013/09/26(木) 17:09:02
5人がいる場所から、ほんの数百mほどのところに、うすぼんやりと小さな明かりが見える。よく目を凝らして見ないと見落としてしまいそうなか細い光だが、それは確かに煌々と輝いていた。
「あ、あれってきっと救助隊ですよね?ね?」
影山は興奮気味に周りに問いかける。そう言われても、ミラクルズの見ている視界は他の人間には確認しようがないから何とも言えなかったが、影山のテンションに押されて皆頷いた。
「ちょっとミラクルズに確認させますから!」
話し終わるよりも早く、ミラクルズを一直線に光の元へと飛ばす。

「やったじゃん!これで帰れるぜ!」
毒島は早くも期待に胸を膨らませていたが、その横で蟻原が顎先を掻きながら訝しげにその方向を見て呟いた。
「おかしいな。あっちは山の上の方向だろう?仮に救助隊なら、麓から来るはずじゃあないのか?」
蟻原の指摘に、伊佐治も頷く。

「ヘリとかで、山の上から探索したんじゃねーの?」
「この猛吹雪の中で、ヘリコプターなんて飛べやしない。それに、救助隊が来るということは誰かが我々が遭難した事を伝えてからだろう。しかし君達がツアーや、私が同僚とはぐれてから1〜2時間程度しか経っていない。この吹雪の中、そんな短時間で下山して、更には救助隊まで駆けつけるなんて事があるだろうか?」

蟻原の答えに、毒島は言い返せずに黙ってしまう。確かに、救助隊が来るにしては早すぎるし、位置もおかしい。
「それじゃあ一体、あの光はなんなんだよ」

「民家かもしれない」
毒島の問いに、今まで黙っていた守久が答えた。暗示で体温が戻ったおかげで、意識を取り戻したようだ。
「守久!お前、大丈夫なのか!?」
すぐさま毒島は、伊佐治に抱きかかえられた守久の顔を覗き込んだ。数十分前まで血色を失っていた肌も、今は温かみを取り戻していた。まだ万全とは言えそうにないが、少なくとも会話できる程度には回復したようだ。
「ごめんなさい」
守久は、伊佐治と毒島の目を見ながら「荷物になってしまいました」と呟いた。
「馬鹿、謝るなよ!それは俺の台詞じゃんか!」
毒島は守久の冷たい手を握って暖める。自分よりも体も小さな女の子に、自分を守らせてしまった事を悔いていたのだ。
「そうよ、あなたが守ってくれたおかげで、ここまで命を繋ぐ事ができたんだから」
伊佐治も片手を握りながら、守久にお礼を言った。ここまでの肉体的負担を、彼女が一身に背負ってくれたおかげで助かったと言ってもいい。そんな2人の気持ちを察してか、守久も小さく微笑んだ。伊佐治が抱えていた守久を下して立たせる。
「だいぶ血色も良くなったわ、もう大丈夫そうね」
「そういえば、君達はどういう関係なんだい?友達なのか?」
蟻原が3人に問いかけた。
「いや、俺達は一緒の登山ツアーに参加してたんだ。たまたま3人揃ってツアーからはぐれちまったんだよ」
「なるほど。ところで、さっきの民家かも知れないというのは?」
「ツアーが出発する前、集合場所のロッジでそんな話を聞いたんです。この山に、一件だけ奇妙な御屋敷が建っているって」
守久が、ふらつきながら問いに答えた。寒さは和らいだものの、体力の消耗はやはり激しそうだ。もっとも、この中で体力を消耗していない者はいなかった。

「・・・あれ?人じゃない」
その時、影山がぽつりと呟く。
すでにミラクルズは光の元に辿り着いていたが、そこにいたのは救助隊ではなかった。暗闇と吹雪の中、森と山の闇にまぎれるようにして、それは佇んでいた。まるで西洋の城のような重厚な作りのそれは、雪山の中で一際異彩を放っている。
「これ、建物・・・洋館?」
影山が上空から発見した光は、その洋館から漏れる室内光だった。


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