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Cry for you

49ちんぱる:2013/06/01(土) 21:27:01

おつかいを済まし、スーパーから自宅に帰る道中、晴人は昔のことを思い出していた。

彼が中学のとき、起こしてしまったある“事故”。
そのことが語られるのは、まだ先の話である。

「俺のせいなんだよ…」と小さく呟く。
その声が誰かに届くことはなかった。


少し落ち込んで家に帰り玄関に入ると、早速見慣れない靴を発見した。
スーパーに買い物に行く前は、こんなの無かったはずだ。

「ま、まさか…」
嫌な予感とは、まさにこのことである。
おそるおそるリビングに向かうと、晴人の予感は寸分の狂いも無く的中した。

「何でいんだよ…」
そこには、仲良くトランプをする女子2人がいた。
一人は晴人の姉、優子。
もう一人は、ついさっき街中で見かけた顔だった。

「あ!おかえりぃ〜」
「“おかえりぃ〜”じゃねえよ、何でさらっといんだよ!“麻友”!」

神山家に来ていた来客とは、まぎれもなくあの“渡辺麻友”だった。
何を隠そう、麻友は晴人姉弟とにとって“いとこ”にあたる人物なのである。

「何でって、そりゃあオフだからに決まってるでしょ」
「オフだからって、何も俺んちに来ることねえだろ?」
「だってぇ〜最近、優子お姉ちゃんに会えなかったからぁ〜」
「カワイイこと言ってくれるねぇ〜」
この2人は、いつもこうやってイチャイチャするのが恒例となっている。
突然2人は両手をωの形にし、「おしりω!」と声をそろえた。

「だからなんだよ、それ」
別に興味はないが、とりあえず聞いてみる。

「おしりとおしりの誓いよ!」
「意味分かんねえ…」
聞いて後悔する、これも恒例の事だ。

こうして3週間、国民的アイドルの渡辺麻友が、神山家に泊まることになった。
「勝手に、話進めてんじゃねえよ!!!」


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