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Cry for you
22
:
ちんぱる
:2013/05/31(金) 00:13:48
「はい」
「よし、これで全員揃ったね。改めて自己紹介を、僕は…」
黒板に名前を書いていく。
「櫻井翔です。担当は主に公民を担当しています。1年生の担任は初めてですが、皆の夢のために少しでも何か、力になってあげられたらと思っています。よろしく」
クラス中から拍手が起きた。
先生の顔立ちはスラっとしていて、世に言うイケメンとは彼の事を言うのだろうと晴人は思った。
「それでは、まず皆の事を教えて欲しい。これから親睦を深めるためにも、自己紹介をお願いします」
晴人にとって、自己紹介なんてするのは小学校以来だった。
「じゃあ、出席番号1番の"板野"さん、お願いします」
板野と呼ばれた女子は、気だるそうにしながらも黒板の前に立った。
「板野友美です、高1です。よろしく」
まるでメールのテンプレートのような自己紹介だった。
だが、そこに水を差すやつが。
「はいはい!板野さんの好きな男性のタイプは?」
元気良く手をあげる男子がいた。
しかし、「あんた以外だったら」と彼女に軽くあしらわれてしまった。
まさか彼が晴人の親友になるとは、本人たちも思っていなかっただろう。
第一、晴人が彼に最初に抱いた印象は「ウザい」と、最悪のスタートだった。
「次は、出席番号2番の"時多"」
「ども、時多 駿太郎(ときた しゅんたろう)です。中学の頃は陸上部に入ってました、よろしく」
周りの女子たちがざわめきだす。その原因は彼がイケメンだったからだ。
「クールキャラかよ…」
晴人はそのとき彼と仲良くはなれなさそうだな、と思っていた。
彼も、後の親友の1人になるとも知らず。
「次は、神山」
ついに晴人の番が回ってきた。
「え〜と、神山晴人です。部活は特には決めてないんですけど、まあ高校生になったからには、何か始めたいと思っています!よろしく!」
あれ?全然面白くないな…。
後悔が重くのしかかった晴人であった。
「じゃあ最後に、"松井"」
「やったぁ〜!やっと俺の番が来た!」
「さっきのうるさい奴かよ…」
「初めまして、松井大貴です!部活はサッカー部に入ろうと思っています!1年間よろしく!」
大貴はとにかく声がデカかった。
そして時はあっという間に過ぎ、授業終了のチャイムが鳴る。
「それでは、最初のホームルームは以上です。明日から本格的に高校生活が始まるけど、みんな楽しんでください!では!」
櫻井先生が教室から出ると、一段と騒がしくなった。
改めて自己紹介する者、メアドを交換する者。
色々いたが晴人はどれにも当てはまらなかった。
今朝出会った、遥香のことがずっと気になっていたのだ。
「そういや2組って言ってたな…」
彼女に会いに行こうと思った直後、
「ねー!ねー!」
残念なことに一番関わりたくないと思っていた奴に、声をかけられてしまった。
「今日、何で遅刻したの?」
大貴は初対面の晴人に対して、ズケズケと聞いてくる。
彼にとってはそれがあたり前なのだろう。
「まぁ…、ちょっと寝坊して」
すると、晴人に近づく人物がもう一人いた。
「聞いたぞ、お前初日早々、小嶋に捕まったらしいじゃん」
話しかけてきたのは、あの駿太郎だった。
まさか彼から話しかけてくるとは思ってなかったため、晴人はビックリしている。
「お、おう…。ってか小嶋って誰?」
「お前を説教していた先生だよ」
「もう知ってんだ…」
「まあな、人の顔と名前はすぐに覚えるタイプなんで」
駿太郎が軽いドヤ顔で話していると、
「じゃあ歴史とか得意でしょ?」
いきなり大貴がとんでもないものをぶっ込んできた。
「あ、ああ…」
さすがの駿太郎も、対処できず困っている。
結局3人はお互いのアドレスを交換し、友達となった。
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