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Cry for you
112
:
ちんぱる
:2013/07/12(金) 01:54:33
「それでさぁ、晴人に言ったんだよ!まゆゆに会わせてくれって、そしたらさ、“無理”の一言だよ!どう思う!?」
先程から、大貴は晴人に対する文句を遥香にこぼしていた。
当の本人は、「は、はぁ…」と完璧に困ってしまっている。
「当たり前だろうが、つーか遥香が困ってんだからいい加減にしろ」
「は、“遥香”だって!もうそんな間柄なんだ、ぱるちゃん」
気が付くと、島田晴香も同席している。
「何で晴香がいるの?」
「え?何か楽しそうなことやってたから」
「え〜、やだぁ〜」
「やだぁ〜って何でよ!」とツッコミながらも、楽しそうな晴香。
どうやらこの2人は相当仲が良いようだ。
「あれ?君は誰?」
ようやく駿太郎が晴香の存在に気付いた。
「あ、島田晴香です!女子テニス部に所属しています!ぱるちゃんとはクラスメートなんです、ね〜」
「うん」
「そっか、あ、俺は時田駿太郎。んで、このうるさいのが…」
「うるさいって何だよ!」
すかさずツッコミを入れる大貴。しかしそれはあえなく、駿太郎に鮮やかなまでにスルーされた。
「松井大貴です!よろしくぅ!」
「よろしくお願いします!」
体育会系の二人は、がっちりと固い握手を交わしていた。
そんな中、遥香はようやく席に、彼氏がいないことに気付いた。
「あれ?晴人くんは?」
「ああ、なんかさっき電話しに外に行ったけど」と駿太郎が教えてくれた。
入口の方に目をやると、確かに電話で誰かと話している晴人の姿があった。
遥香は席を立ち、彼の元へと寄った。
「晴人くん」
声をかけた時、ちょうど向こうも電話を終えた所のようだった。
「おお、どうした?」
「だって、急にいなくなっちゃうから」
「ゴメンゴメン、姉さんから電話でさ」
「お姉さん?」
「今日、帰り遅くなるって。またカレーかよ…」
ここんところ、優子も忙しいらしく、残業が長引くことがしょっちゅうだった。
そのため、作り置きしているカレーを温めて食べるのだが、さすがに4日連続は飽きてしまう。
そんな中、晴人の耳に思わぬ言葉が飛び込んできた。
「よ、よかったら…作ろっか?晩ごはん…」
「えっ…?」
ハトが豆鉄砲を食らった。
思いっきり直撃だった。
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