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【カフェは】まほけん本スレ【核の炎に包まれた】

1クオン ◆YJMWmO4ZS6:2016/04/23(土) 19:04:36 ID:T0YCDSjI0
・荒らしはスルー
・他キャラの向こう側には自キャラと同じようにプレイヤーが居ます、思いやりの心を忘れずに
・自分の不快感は分身である自キャラの不快感、嫌だと思ったらキャラクターの行動として出してみよう
・一人じゃ出来ないと思ったら他のプレイヤーに助力を求めてみよう
・長いイベント、遅いレスは他PCを長期間拘束している事を知っておきましょう、イベントを幾つかに区切るのがお勧めです
・上記のイベント、レスは長期化すればするほどグダグダになりやすいので覚えておきましょう
・カップル成立等キャラ同士の恋愛は禁止していませんが、利用規約の範囲内で、節度を持って行動しましょう
・キャラ、組織は成長します。発生しないことが一番ですが、もし矛盾が生じた場合、後付けの設定を優先します
・疑問に思ったらその時に空気を気にせず聞きましょう。聞かずに禍根を残したり他スレへ行って争う方が空気を悪くしています

まとめwiki:ttp://www40.atwiki.jp/mahoken/
うpろだ:ttp://www6.uploader.jp/home/mahoken/

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15943/1440852946/

899小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/23(土) 23:50:53 ID:T0YCDSjI0
>>878
 ふと発掘作業中に自分の中の金行の適性がささやく。
鋼の武器、その一部はどうやら魔導鋼というべき金属であるらしい。
有名どころの魔導金属には及ばないがそこそこの量を確保できた。

「なんだよ、山を変えてから結構順調だな」

147ならまだ探し続けて少し成果を上げる
258なら第三ごみ山に行ってみる
369ならカオスな第五ごみ山
0なら唐突に爆発

900小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/24(日) 00:20:09 ID:T0YCDSjI0
>>899
 そこにごみ山などなかった。ごみが集まり、巨人の如く足を踏み鳴らす。
それはまさに魔導ごみゴーレムだった。倒せば良質な魔導資源が回収できるだろう。

「お疲れ様〜っす」

 小松菜は帰った。こんなのと単身で戦うのは嫌なのだろう。普通に帰った。

「そろそろ終了時刻だしな」

901小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/24(日) 00:40:34 ID:T0YCDSjI0
>>900
【カフェ】

「えっ? 本当に今回俺一人だったの?」

 回収した資源の内魔導鋼の半分を貰い、ついでに白金神角をポンと渡され困惑。
しかし平和でいい物が手に入ったのだからこれはこれでいいかと珍しく笑顔になる。

「これこのままで武器になりそうだし、魔導鋼は、錆の魔力に耐えられないなら売ればいいか」

 新たな武器が手に入ってご機嫌な小松菜。決戦の日の為の力をまた一つ身に着けた。

902 ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/24(日) 00:51:27 ID:T0YCDSjI0
【???】

「なぁ、最近死亡事故が多くないか?」
「……」
「? どうした?」
「おい、そいつの親父もなんだよ」
「あっ、すまん」
「しっかし鉱山が崩落するなんて、現場の奴ら何やってたんだよ」
「そいつらも重症なんだよ」
「……あいつらが死ねばよかったのに……」

【???】

「工作部隊第二班より報告がありました」
「ご苦労、では目を通したら第二隊長に渡しておく」
「了解です。では自分はこれで失礼します」
「……さすがにこれは上にあげるしかないな」
「失礼します。第二副隊長、例の火山での資源調査ですが、今のところ予想以上の結果を上げています」
「そうか。まるで神が我々に味方しているみたいだな」
「……では、報告は終わりましたので失礼させていただきます」
「あぁ、ご苦労……」

903ベルン:2016/07/26(火) 16:37:39 ID:J07AMhVg0
>>889

「キルシュヴァッサーか……覚えておくよ、俺はベルン=ベルク、頭の隅にでも名前を置いといてくれればありがたい」
「しかし、いったい何者……いや、今はいいか」

聞きたいことや言いたいことは山ほど有るが、今は脱出が最優先だろう、そんな雑談は無事に元の世界に戻れてからでも遅くない。

「餞別、か、ありがたい話だが……わざわざ用意させてたって事は、死霊王の肩書きを贈る気満々だったんじゃないか」
「自分で言うのも嫌だが、俺は間違えてても気付かずに爆走して酷い結果を生むのも珍しくないタイプの馬鹿野郎だぞ?なのに、よくもまあ……」

スーツが自分に似合うかは兎も角、贈り物をして貰える事そのものが素直にありがたい、結果を出せると期待されていたのなら尚更だ。
だが、もう一つのものは。

「……力を振るうことの良し悪しはおいといて、俺は俺の道を進むために結局それは必要になると思ってる、だから、貰えるなら喜んで貰うが……」
「いいのか?それはアンタが今までの人生を磨り減らしてまで作り上げた、アンタの力の筈だ、欲しくないとは言えないが……もしも義務感で託そうとしているなら、遠慮させてくれ」

904バブイル ◆Cs/SCyFmEg:2016/07/26(火) 20:13:12 ID:os3cIhvQ0
>>903
男は地面に片膝をつくと、眠ったままの少女を抱きかかえる。

「義務感で託せるほど軽いものではない」

男はベルンと、その隣のキルシュヴァッサーに視線を寄越す。

「しかし、お前がこれから背負わねばならぬものと比べるべくもないものだ」
「ヒト一人の一生ぐらい背負えんでどうする」

もう覚悟は決めた筈だ。
だったら迷うな。そう男は言った。

「それに、もう私には必要のないものだ――遠慮は要らん」
「さて、私は此処に残る。案内はキルシェにさせよう」

押し付けるだけ押し付けて、男はあっさりとその言葉を口にした。
僧衣の少女が僅かに顔を顰める。
恐らく、少女は此処に呼ばれた時に覚悟はしていたのだろう。
だがそれを上回る覚悟を、男は既に決めていた。

「説明してやれ、キルシェ」

何の説明もなしでは、きっと青年は無茶を通そうとするだろう。
だが、今回ばかりは大人しく言うことを聞いて貰わなければならない。

「・・・私が繋げた空間は、不安定な状態です。通り抜けるには、二人が精一杯」
「それに、バベル様が抱えている娘・・・“真なる概炎(マグナ・イグニス)”は、そのものが因果――」
「共に潜れば破綻が起きます。そもそも、此処へ飛ばされた元凶の一つだということをお忘れなく」

俯いたまま、少女は簡潔に説明した。

「理解したかベルン――お前は帰れ、お前を待つものの時の流れへ」

905ベルン:2016/07/26(火) 23:12:24 ID:L8qDtvOo0
>>904

「……そう、だな、この重さに耐えられないなら先は無いか、有り難く貰っておくよ」
「だが、最後の言葉は聞き逃せない、どういう意味なんだ、引き継がせたから満足して隠居生活をする、なんて訳じゃないだろう」

案の定、と言うべきだろうか、青年はバブイルの言葉に反応し問い掛ける――当然と言えば当然だろう、今まで何度も大切な人が手の届かない所に行ってしまい、その度に後悔と絶望を味わってきたのだ、これ以上なんて許容出来る訳がない。
けれど、突き付けられた現実は、否定の出来ないような簡潔にして残酷なもので。

「理解は出来たが納得なんて出来る訳が無い……アンタは今まで俺より貧乏クジを引いてきた筈だ、なのに、なんで更に追い討ちをするような真似を、俺の手でしないといけないんだ!」
「殺し殺される覚悟はしてきた、だからこそその結果を覆す為に、自殺紛いの業まで使って此処まで進んできた――やっと、やっと少しは何かを変えられたと思ったのに!」

怒りは誰かに向けたものではなく自分に向けたもの、今までもこうしてずっと自分を呪い続けてきていたのだろう。

「……キルシュヴァッサー、だったよな、教えてほしい、此処の座標を覚えておく事は、手段を手に入れた時に、この二人を助けに来る事は、出来るのか?」

906バブイル ◆Cs/SCyFmEg:2016/07/27(水) 22:24:27 ID:M8Vfcr5Y0
>>905
「結論から申しますと“不可能”です」

淡々と、それでもどこか感情を抑えこんでいる風にも取れる声音。

「まだ相互が不安定な今ならまだしも、完全に隔たれてしまっては――」
「可能性が無いとは言い切れませんが、一体どれ程の“奇跡”を上書きすれば可能なのか」

あれほどの打ち合いをして、互いに無事であるという奇跡。
存在を摩滅させずに、世界を跳んだという奇跡。
この期に於いて還る手段が残されているという奇跡。

既に充分な奇跡を重ねている。
一拍置いて、絞りだすように告げる少女。

「私には・・・出来ません」

俯いて、拳を握りしめる。
バベル様の選んだ新たな王――この方は、どうして諦めないのだろう。
王とはそういうものなのだろうか。
お前がもっと役に立っていたなら――そう告げられた気がして、少女は自らを情けなく思った。

「ベルン、お前が王であることを選んだように・・・これも、私が選んだ道だ」
「お前は確かに変えたよ。私に希望を――可能性を見せてくれた」

それは確かな変化だった。青年が望むものと望まずと、彼の投石は波紋となり大きな海練となる。
男の腕の中の少女。少女こそが男が見出した希望。

「因果を歪める力も、考えを変えれば因果を繋ぐ力だ」
「この場所を強く願った意思が“少女(これ)”にはある」
「だからこそ、賭けてみたいのだ・・・これが“何者かに成ろうと心から願ったならば”」

男は会話を切る。

「因果は必ず結ばれる」
「私は、それを見届けようと思うのだ。そして、それが叶った暁には――再び見えよう」

口元に微笑みを浮かべ、男は青年に語りかける。

「互いに不死だ、今生の別れというものでもあるまい」
「少しは父親に華を持たせろよ」

907ベルン:2016/07/27(水) 23:23:13 ID:qjUm55060
>>906

「いや、それが解っただけでも十分だ、どんなに僅かでも可能性が有るなら、出来ない事は無いだろう――暫く待たせる事にはなりそうなのが悔しくて堪らないけどな」
「それに、色々背負ってこそいたが、たった二人でこれだけの奇跡を起こせたんだ、色々な人、色々な道具、色々な手段、揃えれば揃えるだけ可能性は幾らでも拡がる、諦めるにはまだ早すぎる筈だ……」
「……だから、キルシュヴァッサー、主を奪った俺を怨んでくれて構わない、けれど、その時が来たなら、お前も俺に力を貸してくれないか?」

心底悔しい、今にも泣き叫びたい――だが、今は未来を見据えなければ、先の段階でかなりの無様を晒しているのだ、これ以上は晒せない。
託された身であることを思い出し、慟哭を捩じ伏せて、今はどうにか前を向く、別れの間際に情けない姿を見せては、此処で不安を抱えたまま永い時を過ごさせてしまうから。

「……そうか、なら良いんだ……こんな形で悪いが、それでも恩返しが出来たなら何よりだ」
「因果を繋ぐ力、か、それに託した祈りが成就するのなんて何時になるか解らないが……まあ、信じておくさ、希望が増えても損はないだろう」

「――そうだな、俺達なら一時の別れだ、丁度良い機会だからな、親不孝でトラブルメイカーな息子の事を考えずに済む、心労と無縁な時間を満喫してくれ」
「そっちの別れが済んだなら、行こう、キルシュヴァッサー、この胡散臭いおっさんは、それでも嘘は今まで吐かなかった、そいつが再会が叶うと言うなら、ここに留まる意味は無い」

自分にとって第二の父のような存在だった、暗にそれを認めながら、目線は虚空を――未来を見据える。
真に救われたのも、希望を与えられたのも自分の方だ、なら、それを持って前に進まないなんて選択肢は無い。
今の自分は無力だが、その道程にきっと何か状況を打開する手掛かりもあるだろう、だから。

908バブイル ◆Cs/SCyFmEg:2016/07/28(木) 15:51:47 ID:ZHEi0H3U0
>>907
僧衣の少女は、青年を瞳に映す。

「その必要は無いかと」
「バベル様は待てとおっしゃいました、私はその言葉に従うまで」

少女の心に疑念は無い。
それに、と付け加える。

「時が来るとすれば、ベルン様お一人の力で充分でしょう」
「刻限です。ベルン様、こちらへ」

少女はアタッシュケースを手にしたまま、空間へ開いた裂け目へと青年を促す。

「全く、人のことは言えんが――もう少し素直に送り出せんものか」
「口に減らぬ奴め――ではな」

手を振るわけでもなく、別れを惜しむでもなく。
ではな、とたった一言だけ。
青年はもう自分の力で考え、行動出来る筈だ。
花はどうしてあんなに美しいのか。
何故、人は儚くとも愛しいのか。
青年がそれに気がつくのはまだ早いだろう。
だが、自分のように老いた時にそれがきっと分かる日が来る。

これは一人の青年が王となった話。
王であった男が希望を手にした話。

そして――

一人の少女が誕生した話。
少女は後に協会で保護され、イグニスと名乗る。
彼女がカフェに訪れ、大切な人たちと出会うのは――もう少し先の話。

男は青年のじっと見つめている。
彼が、自分の意思で背を向けるのを。
彼が、自分の力で前に歩き出すのを。

909ベルン:2016/07/29(金) 00:08:33 ID:khwFGVh.0
>>908

「俺一人で十分、本当にそうなら良いんだが……今から言い訳しても仕方無いか」
「解った、直ぐに向かう、情けない話だがもう色々と限界だ、道中はそっちに任せる」

これで終わり、暫しの別れの時だ。
折角死霊王の――バブイルの本音も解ったのだ、もう少し色々と語りたい気持ちは未だに有るが。

「悪いがこれが限界だ、これ以上素直に話してたら、また無様を晒してしまいそうなんだよ」
「ありがとう――それじゃあ、またな」

これ以上は語れない、語ったらいつまでも振り向きたくなるし、足を止めたくなってしまう。
それは誰も望まない事だと解っている、だから、再会の誓いを胸に、男に背を向け歩き出す。
既に体力の尽きた身体は思うように動いてくれない、踏み出す一歩は極度の消耗からか覚束無いもの、まるで生まれたての小鹿のように震える情けない一歩だったが、それでも確かに前に向かっていた。



「ああ、そうだ、どうでもいい話なんだが――」
「――あんたの奥さんと娘さん、凄く良い顔で微笑む人達だったんだな」

去り際に一つ思い出す、大切な事があった、この男に伝えなければならない事が。
戦いの最中見た幻影、彼女達が浮かべていた笑顔、それは亡霊にも満たない、世界に焼き付いただけの虚像だったのかもしれない。
けれど、あの刹那に、その顔も表情も知らない筈の自分にそれが見えたのは、きっと今も変わらない愛情が其処に有るからだと思いたい。

そして、もしそうならば、本人には届かない喪われた者のメッセージを代わりに届けるのは、死せる霊魂の王の仕事だと思ったから。
此処で、初仕事を済ませてやろうと思った、ちゃんと受け継いだ証として――そして何より、どんな虚ろな形でも、求め続けたものを見せてやりたくて。

910 ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 19:28:58 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘ミミック祭り’
〔ジャンル〕
討伐
〔推薦適性値〕
観察A
鑑定C
奇襲警戒C
物欲センサーF
〔開催地〕
板張りダンジョン

〔概要〕
宝箱は多いものの中身はほぼ全て空箱かミミックという意味不明なダンジョン。
その性質故にとても不人気のダンジョンでしたが、その不人気が祟りミミックが大量発生しました。
だからといって特に困るかというとそんなに酷くは困らないのですが一応間引きしてください。
変種が大量発生しているようなのでくれぐれも注意してください。

もしもダンジョン内部で宝を得たら自由に持ち帰っていただいて構いません。

〔ヒント、その他〕
先行部隊により確認されたミミックの中には遠距離攻撃に優れたミミックが多かったそうです。
中から砲塔が飛び出してくるキャノンミミック。広範囲自爆魔法を使うボムミミック。
普段は鍵が掛かっているけど隣の空箱を開けた時に襲い掛かってくるフェイントミミック。
無限軌道により高速で移動し体当たりしてすぐに逃げるメタルミミック。
竜の頭部が出てきて炎のブレスを吐き蓋を翼に変形させて飛ぶドラゴンミミック。
通常のミミックと見せかけてアンデット化するゾンビミミック等多数が確認されています。

〔失格行為〕
・ダンジョンでの大規模破壊行為、ダンジョン自体はそこそこ珍しい物なので壊さないでください。
・ダンジョン管理者への障害行為や他の参加者の殺害、獲物の奪い合い程度は黙認します。
・ミミックの大量捕獲とダンジョン外部への持ち出し、多少のテイムは認めますがやりすぎ注意。
・その他極端な犯罪行為、常識の範疇で行動しましょう。

〔BOSS〕
・コンテナミミック
このダンジョンの最奥には巨大なコンテナをベースにした大型ミミックが発生します。
本体は方向転換以外の動きはできませんが機銃とミサイル装備のヘリミミックを大量に出します。

《PRESENT》
☆スカラベミミック☆
分類:家具? 使い魔?
何故か糞尿を栄養源とするためトイレっぽい形に進化したこのダンジョンの目玉産出ミミック。
捕獲し温水洗浄用の魔法を覚えさせ、長旅をする女性などをターゲットに細々と売り出されている。
より強いミミックを倒したりより多くのミミックを倒した方に差し上げます。

☆ミミックランチャー☆
分類:武器
コンテナミミックの素材から作られた片手持ちサイズの小型単発ミサイルランチャー。
一発撃つと二十四時間使用不能となります。威力も範囲も射程も弾速も全てがそこそこ程度です。
コンテナミミックを素材の残る形で討伐された場合に一丁だけ与えられます。所有権は要相談。

《検定開始時刻》
>>20:00
《終了予定時刻》
>>0:00

911リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 20:15:48 ID:T0YCDSjI0
>>910
 四肢がなく、異様に細い首の後ろからはもう一つの頭部が垂れ下がる異形の少女。
骨と真珠のカチューシャに清楚なワンピース、やわらかい表情に暗い表情。
まさにチグハグで、異形。丈夫な蔦で使い魔である犬に自分を巻き付け移動手段としている。

「ちょっと興味あるかも」

 か細い声。それに反応するようにカチューシャからドラゴンの不機嫌な唸り声が響く。

「ちゃんと大事にするから、本当だよ?」

 合金トランクから上半身だけ出している犬の使い魔を操りズリズリと転送装置に入っていく。

912リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 20:51:04 ID:T0YCDSjI0
>>911

【板張りダンジョン】

 そのダンジョンの入り口は、引き戸だった。元は倉庫だったのだろうか。
それにしては場所は洞窟のような場所にあるが。

「頑張ろう」

 不機嫌そうな鼻息の音がカチューシャから漏れる。
ダンジョンをズリズリと進むアンデット犬。板張りなのでとてもスムーズに進めている。
ミミックのダンジョンというだけあり中は宝箱だらけだ。

奇数でエンカウント
偶数で空箱

913リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 21:01:55 ID:T0YCDSjI0
>>912
 入り口付近はまだ空箱が多いのかミミックが見当たらない。
見当たらないといってもどれがミミックかもわからないのだが。

「折角だから奥に行きたいよね」

 普段あまり動けないのでこの機会に色々試したいのだろう。
リゼッタはさらに奥へと向かっていく。

素数なら空箱
それ以外でエンカウント
0で強めの敵

914リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 21:15:12 ID:T0YCDSjI0
>>913
 結構進んだものだが、いまだにミミックに襲われることがない。
どうも活きがよくないと思われているのかもしれない。大量発生しているはずなのに。
それとも、奥の方に集中してミミックがいるのだろうか。

奇数なら遠距離型とエンカウント
偶数なら近接型の群とエンカウント

915リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 21:32:27 ID:T0YCDSjI0
>>914
 ダンジョン傾向としては射撃型も多いはずのダンジョン。
それでも近接型が少ないとは言っていない、ということなのだろう。

 ハウンドミミックが現れた。
箱型の頭部に開閉部の牙、木材で作られた犬の胴体。
明らかに擬態を捨てている姿。積極的に狩りを行う進化を遂げたのだろう

 リゼッタはトランクから大きな鎖分銅を取り出す。
木に金属のフレーム、金属の鎖、木の魔物の死体を利用したフレッシュゴーレム武装だ。
死人葛を鎖に絡ませると鎖分銅は大きく振り回される。単純な回転でしかないが、攻撃範囲は大きい。
うかつにミミックたちは近づけない。

「今できる攻撃は、」

 こちらも攻めあぐねている。膠着状態だ。

916リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 21:58:10 ID:T0YCDSjI0
>>915
 そのままリゼッタは徐々に距離を詰めていき、鎖分銅が一体のハウンドミミックに命中したわむ。
大きな質量の攻撃はハウンドミミックに強いダメージを与える。が、それにより牽制が途切れた。

 当然残りのハウンドミミックが飛びかかるが、リゼッタはアンデット犬の合金トランクの影に隠れる。
その程度で多数襲い掛かる相手に防御などできないが、トランクの影から火の魔法が飛び出る。
初級の火の設置魔法。それに飛び込んでしまった木製のハウンドミミックは慌てて距離を取ってしまう。
そしてそこを再び鎖分銅で攻撃していく。そうしてハウンドミミックを半数にまで減らした。

奇数で相手は逃げ出した
偶数で戦闘続行

917リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 22:34:20 ID:T0YCDSjI0
>>916
 だがそれでもミミックたちの戦意は衰えない。
意を決して一斉にリゼッタへと飛びかかってくる。

「地霊の槍衾」

 地属性魔法。それも飛ばすタイプではなく周囲に無数の槍を短時間だけ設置する初級魔法。
石の槍に一斉に突撃してしまいダメージを受けるミミックたち。

「墓の火」

 そこに更に先ほどの火の設置魔法。死霊術師だというのに普通に魔法で戦っている。
魔力はそこそこ消費してしまったようだがなんとかミミックたちを全滅させた。

「……順調に奥に向かっている気がする」

奇数で今度は射撃型の群
偶数なら強敵
0ならボスへの近道

918リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 22:51:02 ID:T0YCDSjI0
>>917

【板張りダンジョン最奥】

「……」

 あっさりついてしまった。これにはさすがのカチューシャ竜も沈黙。
引き戸を開けてみるとコンテナがスタンバイしている。大部屋に入れば戦闘が始まるだろう。

「ねぇ、もしも危なくなったら一緒に戦ってくれないかな?」

 カチューシャは嫌そうに声を上げるだけだ。

「……」

 いざとなればリタイア機能もある。折角なのだから挑むのも悪くないはずだ。
切り札は使えない。それでも頑張ってみよう。家族の愛でできているこの体で。

 リゼッタは足を踏み入れる。コンテナが開いた。

919リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 23:01:53 ID:T0YCDSjI0
>>918
 コンテナからヘリのようにプロペラとテイルローターのついたミミックが大量に出てくる。
大きさはカピバラ程度だが、小さくても機銃は機銃、ミサイルはミサイル。数も多く油断はできない。

 ヘリミミックたちが一斉にリゼッタへと一斉攻撃を開始する。

「地霊の槍衾ッ」

 合金トランクの裏に隠れながら迎撃用の魔法を使用。ミサイルの直撃を警戒してのことだろう。
だが数の暴力はどうにもしがたく、ミサイルの爆風にリゼッタは吹き飛ばされる。
そして肉体にハンデのあるリゼッタにはそれだけでも深刻なダメージとなる。

「火沫の矢っ」

 威力を削り攻撃範囲だけを広げた初級牽制魔法。
当然ヘリミミックには軽傷程度しか負わせられない。
だが装備しているミサイルは別だ。ミサイルに誘爆しヘリミミックの半分が墜落する。
コンテナミミックから増援も出てくるが多少は減らすことができた。

 だが、コンテナミミックに対してダメージを与えられない。ヘリミミックの相手で手一杯だ。

920リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 23:21:13 ID:T0YCDSjI0
>>919
 ダメージ、魔力消費、消耗がリゼッタを追い詰める。
少しずつヘリミミックは数を減らしているが、コンテナミミックは無傷だ。
丈夫なコンテナにダメージを与えるなら、やはり鎖分銅でも足りない。
初級魔法でもナイフでも歯が立ちそうにない。無力化するならば、扉を閉じての粘着グレネードだろう。

「なんだかこれが切り札って感じになること多いかも……っ」

 もう残る魔力も少ない。一か八か突撃するしかない。
発煙瓶を叩き割り煙幕を張る。その中で何とかコンテナミミックに近づく。
そして扉に鎖分銅を叩き込み、粘着グレネードで扉を閉じる。分の悪い賭けだ。

「でも、頑張ってみたいから」

素数なら成功
それ以外で失敗
0でカチューシャ竜が……?

921リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 23:41:25 ID:T0YCDSjI0
>>920
 リゼッタは戦える存在としては生命活動がより緩やかなタイプだ。
だからこそなのだろうか、煙幕によりミミックたちは完全にリゼッタを見失った。
ヘリのプロペラ音が犬の這う音をかき消し、リゼッタはコンテナの前に到達した。

「ッ!」

 声を出さないままに、扉に鎖分銅を叩き込む。時間を稼ぐためナイフをドアストッパー代わりに床に差し込む。
そしてもう一度、もう片方の扉に鎖分銅を叩き込む。ヘリミミックが異変に気付きリゼッタに銃口を向けるが、遅い。
リゼッタは犬を這わせコンテナの横に移動しながら、粘着グレネードを投げた。

 煙幕が晴れるまで待つ必要はない。残った僅かな魔力を振り絞り、ヘリミミックを全滅させるだけ――

 ――ヘリミミックが、残るミサイルを全て発射した。
火沫の矢により全て誘爆したが、爆発に巻き込まれなかったヘリスライムたちは健在だった。
機銃がリゼッタに向けられる。

「……もうちょっとだったのに」

 小さな体が撃ち抜かれ、リタイア機能によりカフェへと転送された。

922リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/30(土) 23:56:32 ID:T0YCDSjI0
>>921
【カフェ】

 魔力消費と戦闘終了により気が抜けている様子のリゼッタ。
コンテナミミックの無力化はできたが、倒せてはいない。
戦闘に関してもあまり戦闘せずにボス部屋までたどり着いてしまった。
ヘリミミックは多数倒すことができたが、途中でリタイア機能により強制送還されてしまった。

「……これじゃ報酬は期待できないね」

 一応依頼では間引きと素材の入手だから役には立っていた。
もしかしたら後々精査されて報酬がもらえるかもしれないが、今は敗北感だけが彼女への報酬だった。

923 ◆YJMWmO4ZS6:2016/07/31(日) 00:16:58 ID:T0YCDSjI0
【???】

「最近泳ぎの調子が悪いんだよな」
「運動不足か?」
「事故に巻き込まれたとき逃げられなくなっても知らねぇぞ」
「そうじゃなくて水魔法が使いづらいっていうか」
「お前どれだけサボってたんだよありえねぇだろ」
「ちげぇって、最近ボーラ投げに凝ってたんだぞ?」
「じゃあ疲れすぎじゃね?」
「うまい物食って休めばなんとかなるさ」
「……でも最近食欲ないんだよな」

【???】

「痒い、痒い」
「我慢しろ。あと少しの辛抱だ」
「表面を白銅で覆えば少し楽になるぞ」
「……ありがとう」
「これ、なんなんだろうな」
「なんでもいいさ、役に立つなら」
「きっとご先祖様達がもたらしてくれたんだ」
「……あぁ、そうだな」

【???】

「ねっ、あの火山見に行った?」
「えっ!? 危ないから近づくなって言われたじゃん!」
「馬鹿、ちょっとなら平気だって」
「平気じゃないよぅ」
「それよりさ、あの火山黒い石が沢山あったぜ? 小遣い稼ぎしようぜ」
「嫌だよ! 怖いもん」
「何だよ弱虫だな」
「だって弱いもん。もっと強い大人の人が大怪我してるんだよ?」
「ふん、だったら一人で稼いでやる。お前にはすり身しか奢ってやんねぇからな」

924バブイル ◆Cs/SCyFmEg:2016/08/01(月) 23:10:05 ID:8JXBWqJk0
>>909
男は弾かれたように顔を上げる。
その瞳に、青年の後ろ姿がぼやけた。
男の口元は驚愕に震え、言葉を発そうにも上手くいかない。

「・・・・そうか、お前には視えたのか」

別離から幾星霜。
許しは永遠に来ないものと思っていた。
紛い物で無理やり納得させ、いっそのこと罪として咎めを受けることを決めた。
そう、だと――そうすることでしか過去との繋がりを見出すことが出来なかった。
それが、それがどうだ。青年はなんと言った?

「笑って・・・そうか・・・笑っていたか・・・はは・・・笑っていたか!」

関を切ったように涙が溢れた。

「私にも・・・まだ・・・残っていた・・・残っていたよ・・・シスピナ・・・我が愛しき妻」
「人としての心が・・・残っていた・・・そうだろう・・・我が愛しき娘・・・グラルダ」

涙は、頬を伝い。
眠った少女の頬を打つ。

「ありがとう・・・私を愛してくれて」
「ありがとう・・・愛を受け入れてくれて」

男は――

「私は――ようやくここまで来れた」
「此処に立つことが出来た」

幸せだった。

男も背を向ける。
腕に抱いた“少女(きぼう)”
次へ繋げるために。
始まりを始めるために。

「イグニス――いつか・・・いつか逢いに行け」
「“お前の兄に”」

男の一言で――


因果が繋がった。

925ベルン:2016/08/04(木) 00:08:40 ID:O1X7rQto0
>>924

男に自分が見た光景を伝えたのは正解だったようだ、それが解った時、意図せず安堵の息を吐いてしまった。
青年は男と似ていたから、喪ったものがどうしても諦めきれず駆けてきたから、その時間は違えど、その苦痛の断片くらいは知っていたから。

「……やっと、足を止められたんだな」

其処に辿り着けた事が、自分の事のように嬉しくて、思わず心が緩み息を漏らしてしまったのだ。
けれど、それも此処まで、自分は下を向きすぎていた、見当違いの方向に行きすぎてしまっていた。
だから、今度は自分が駆ける番だ、挫け、迷い、時には倒れたくなる事もあるだろう。
けれど、今感じている希望と、そこに至りたいという思いと、示した覚悟だけは忘れずに、進み続けねばならない。
この路の果てで自分にとっての希望を見付ける時まで、男が自分にしたように、誰かを救い、誰かに救われるその時まで。

希望は託された、その希望が大成するか次代に託されるかは解らない、けれど、どちらに進んでもその光が潰えることはないだろう。

「紡いだ因果が重なる時を楽しみに待っている、けれど急がず――今を楽しく生きてくれ」

どうせ何時か巡り合う、なら焦る意味はない。
まだ声も知らぬ彼女に願うのは、生を謳歌してほしい――それだけだった。

926 ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 19:42:46 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘十二支の牢獄・寅’
〔ジャンル〕
ダンジョンアタック
〔推薦適性値〕
踏破B+
戦闘B
解呪A
〔開催地〕
十二支の牢獄

〔概要〕
とある聖域で育った15の動物達、彼らの中で一番最初に聖獣となったのは鹿であった。
一番初めに聖獣となった鹿を皆が祝福したが鹿は他の獣達を心の奥底で憎んでいた。
理由はわからないもののその憎悪に任せ鹿は聖獣となるコツを教えるため他の獣達を呼んだ。

しかしそれは聖獣を呪いに縛り付ける儀式であった。
その企みに気付いたのは鼠だけであった。鼠はそのことを猫に伝え猫を聖域の外へ逃がした。
猫を逃がしたことがばれないように鼠は牛と共に真っ先に鹿の元に行き呪いに縛られた。
最終的に鼠に逃がされた猫とギリギリで鹿の企みに気がついた鼬のみが呪いから逃れた。
呪いに囚われた獣の数は丁度十二、十二支と同じ動物達であった。

猫は鼠に受けた恩を返すため鼬と共に十二支を呪いから解き放つための手段を探した。
結果、封じられた十二支はどこかに移されたことを知る。
今回猫と鼬が見つけた封印は虎の封じられた迷宮。
猫と鼬の加護を得て迷宮の最奥の封印を解き放っていただきたい。

〔ヒント、その他〕
猫と鼬のどちらかから加護を受けることで迷宮に進入可能となります。
それぞれの加護には迷宮内で一度だけ使用することができる特殊能力も秘めています。
猫の場合は障害物を一つ透過できる加護、鼬の場合は動かせる自分のダミーを一つ作れる加護です。

〔失格行為〕
・救出対象や依頼人へ危害を加える行為、これは基本失格です。
・他の参加者への殺害行為、今回はなるべく同士討ち禁止です。
・その他常識の範疇での行動をお願いします。

〔BOSS〕
・不明
迷宮の最奥では元となった十二支にまつわる怪物が封印を守護しているそうです。

《PRESENT》
☆十二支の祝福☆
分類:?
自分の生まれた年の十二支の開放に関わった者は十二支の祝福を得られます。
それが能力として現れるか道具として現れるか、どんな形で現れるかは千差万別です。

☆荒神残滓☆
分類:呪物
十二支にかけられた呪いの残滓が形となって残る場合があります。
強力な呪物となるので呪物取り扱い免許を持つ方がいるならばそのまま差し上げます。

《検定開始時刻》
>>20:00
《終了予定時刻》
>>0:00

927 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 20:16:32 ID:jc6xTraw0
【カフェ】

「ねーちゃん…本当に受けるん?いきなり戦闘Bだぜ?」

「だっ、大丈夫、昨日の定期考査でBクラス魔法は習得したから!心配しなくてもこの位楽勝です!」

「対戦実技でボコボコにされてたくせに・・・」

「なんか言った!?」

転送装置の前で手をこまねいている男女二人組。見たところ姉弟のようだ。

姉は大人しめなショートボブ、弟は少し身長が小さいものの、やはり大人しめな髪型。
初々しい魔道書を抱えており、見たところアカデミーの学生のように見える。

よく見ると二人とも尻尾のようなものが見え隠れしている。どこかで見たような姿である。
ニュモと比べると人外度はいささか低めだが、肉垂や尻尾先端の特徴的な排出孔など造形に何かしらの系譜を感じる。

928クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 20:22:24 ID:T0YCDSjI0
>>927
「クオンさんが丑年、つまり私がズレているなら寅年か子年」

 まだ十二支の加護を狙っていたらしい。気合十分だ。
言い合いをしている二人に目もくれずに転送装置をくぐりぬけていった少女。
……もしかして二人に気づいていなかったのだろうか。


【鳥居門】

 鳥居に西洋門の扉がはめ込まれたような物が立ちはだかるそこ。
どうやら山の上であるのか気圧の変化で耳に違和感を覚える。
そこには相変わらずの猫と鼬がいた。

「猫の癖に落ちるとは、情けない」

「面目ない……」

 猫が怪我をしていた。どうやらここを見つけるために少々無茶をしたらしい。

「む? 以前参加した者だな」

「あぁ、いつもありがとうございます」

929 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 20:55:36 ID:jc6xTraw0
クーの後に釣られるように入ってきた二人組。
姉は見慣れない環境と明らかに緊張で浮き足立っており、弟も落ち着いてはいるが不安そうである。
この厳格な雰囲気の霊峰は、緊張を悪化させるには十分すぎるのだが。

「・・・よろしくおなしゃす」

「よよよよろしくお願いします水属性専攻のモモモュニカですっ!!!属性魔法はクラスBでッ」

「姉ちゃん、これ面接じゃない」

「えっ・・・あ、あははは・・・」

姉モニュカが猫を、弟が鼬の加護をそれぞれ受け取り、鳥居へ向かっていく。

930クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 21:00:28 ID:T0YCDSjI0
>>928
「あっ、そういえばクオンさんに習って魔法薬を作ったので、よかったらどうぞー」

「いいんですか? ありがとうございます」

「後にまた鳥居門を探さねばならぬからな。礼を言う」

 薬を手渡し、猫の加護を選択し鳥居門をくぐった。


>>929

【寅の迷宮】

 気圧がさらに下がるのを感じる。だが何故か息苦しくはない。
空には暗い雷雲が続き、眼下にも雷雲の海が広がる。
木が生えている。草が生えている。だが、その地は砂利交じりの岩肌だった。
歩きづらい場所と、木の生えた場所、それらが危機意識を利用した壁となり迷宮を形作っている。

 そこは歪な岩山。そして空の雷雲へ伸びる山肌に前足がかかる。
雷雲からゆっくりと姿を現す、巨大な獣。
足は球体関節、そして顔面は無個性な人の顔。
その体は縞模様を無造作に重ねた、できそこないのチェック柄。
太い尻尾には毛の代わりに牙と爪が無数に生え、嫌な音を立てて揺れる。

 ――怨虎血侵――

「……? こんにちはー、あなたたちも参加者ですか?」

 あからさまに戦闘が目の前に迫ったこの状況でも挨拶を欠かさない。
そんな少女が抜刀する。どことなくその表情は真剣身を帯びている。

「ちょっと、今回は大変そうですね」

931リーナ:2016/08/06(土) 21:08:26 ID:ZZGEamFs0
>>930
「魔法検定・・・か、あたしの魔力試すには丁度いいかもね」

いかにもな魔女ルックの少女が転送される

手には箒を持ち、魔女らしい帽子と可愛くデザインされたローブ
そして特徴的な長い金髪である

「さーって、リーナちゃん頑張るよー」

少女は気合い十分に検定会場へと進む

932 ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 21:15:34 ID:T0YCDSjI0
>>931
「む? 新顔か」

「この薬凄いですね、もう治りました」

 鳥居門の前で猫と鼬が話しかけてくる。
このどちらかから加護を貰い、鳥居門へと進むのだろう。
透過能力を発揮できる猫の加護、分身を生み出す鼬の加護、どちらを選ぶべきか。

933 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 21:25:33 ID:jc6xTraw0
「ひっ」

足元の砂利に足を取られ、滑り落ちそうになる。
これが初見殺しでなくて何だろうかというほどの過酷なフィールドに、思わず怯む姉。

「こっこんにちは、よろしくお願いします・・・」

同行者が随分と戦闘慣れしている様子なのは、肌身で分かるようだ。

「足は引っ張らないようにしますんで、おねしゃす」

そして、この岩山の上に現れた世にもおぞましい姿の荒神が、正に虎視眈々と挑戦者達を狙っている。

「姉ちゃん、来るよ」

「わっわかってるってばぁ・・・!」

弟は即座に魔導書を開き、姉も遅れて、おそらく姉弟とも同じ水属性であろう術式を展開していく。

「前方被術式体補足、続、書庫第七術法、続、湧水を灼熱とし浴びせん・・・・」

934リーナ:2016/08/06(土) 21:32:55 ID:ZZGEamFs0
>>932
早速差し出された選択に少女は迷う

「これってあのモニターにあったやつよね・・・うーん・・・」

その二択、どちらがより自分と相性が良いか考える
やはり魔法と言う、詠唱も必要な能力、ここは透明になれた方が良さそうだと思い

「猫の能力にします」

そう告げた

935クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 21:34:48 ID:T0YCDSjI0
>>933
 詠唱が耳に届くと、虎はまるで男性が溺れているかのような、聞き苦しい水音の混じった声で吠える。
そして四肢を異様な方向に曲げると、一気に飛びかかってきた。
迎撃されることなど、まるで考慮していない。この虎は、見た通り近接戦闘に特化しているのだろう。

「、!」

 一瞬遅れてクーが飛び上がり、虎の左前足に逆銅を叩き込む。
球体関節の前足が揺れ、虎の顔面にぶつかるが、虎はその人面を歪ませることすらしない。
多少落下地点がズレた。が、そのまま虎は突っ込んでくる。


>>934
 猫の加護を貰うと、鳥居門が開いていくのが見えた。
中の様子は黒で塗りつぶされていてわからない。だが、戦闘の強い気配を感じた。

936リーナ:2016/08/06(土) 21:47:53 ID:ZZGEamFs0
>>935
「・・・へー、なんか奥に魔力を感じるね」

そんな事を呟くと少女は早速猫の能力により透明になる

「あわよくばこれで不意打ちしちゃおっかな」

そう言って、箒に乗ると、箒の魔力に自らの風の魔力を加えて飛行する
そして奥へと進む

937 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 21:52:12 ID:jc6xTraw0
「掛呪、了っ・・・!」

「馬鹿!避けなさいよっ!!!」

直後、クーの迎撃も間に合わず飛び込んできた虎の迫撃を寸前で避けようと姉弟ともども横へ身を投げる。
が、そこは山肌。掴むものも乏しい中、転げ落ちながら何とか突き出た岩に手を引っ掛ける。弟の足に掴まって姉も事無きを得る。
直撃こそ免れたものの、状況はかなり厳しい。

眼下は奈落、この足場の悪さで接近戦を仕掛けられるのは、経験の浅い二人にとってあまりにも未知数すぎる戦いであった。

「ひぃぃぃっ」

「姉ちゃん、絶対離すなよ!」

「誰が離すかー!早く上がって早く!」

938クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 22:01:02 ID:T0YCDSjI0
>>936
 鳥居門の向こう側は、少し薄暗い山。木や草が生えているものの、足場は砂利交じりの岩。
不安定な足場、木と草、斜面が飛べない者の脚を苛む。
空と眼下には雷雲がどこまでも続いている。その雷からは呪いすら感じられた。

 先行していた参加者たちが、異形の人面虎と戦っている。
障害物の透過により光を透過し、透明になっているこちらには気づいていない。


>>937
 眼下の雷雲が活発に音を散らす。呪いを宿した雷雲に落ちれば、どうなることか。

「『嫉み嫉んで呪った全てが私の光を奪い去る、堕ちた心を置き去りに、重い足音響かせて』」

 詠唱が聞こえる。

「『流れる世界を追いきれず、後日談を彷徨い歩き、鏡の自分に手を伸ばす。その手を掴め! アクセス!』」

 その声が聞こえると二人の腕が捕まれ、空へと引き上げられる。

「大丈夫でしたか?」

 先ほどの少女だ。夜のような薄い翅を生やしている。飛んでいる。
だが両手は二人をつかんでいるため、刀は鞘に納めてしまっている。
そして、雷雲のせいでそうは高く飛ぶことができない。ここはまだ虎の射程範囲だ。

 虎が、後ろ足を回転させながら高く飛び上がり、尻尾をふるってくる。
なんとか高度を下げ避ける物の、その風切り音は危機感をあおった。

939リーナ:2016/08/06(土) 22:07:57 ID:ZZGEamFs0
>>938
空を飛びつつ、猫の加護により透明になっている少女
その様子を見つめ、ぺろりと舌を動かす

「あれをとりあえず攻撃したらいいのかな?」

あれ、とは虎の事、虎の方を見つめると、魔力を集中させる

「んじゃいっちょ消えてる間におっきいのやっちゃいますか」

そして、魔法の詠唱を開始する

「古に伝わりし竜族の王よ、その力の片鱗我が前に姿を現したまえ
灼熱の息)

940リーナ:2016/08/06(土) 22:10:15 ID:ZZGEamFs0
>>938
空を飛びつつ、猫の加護により透明になっている少女
その様子を見つめ、ぺろりと舌を動かす

「あれをとりあえず攻撃したらいいのかな?」

あれ、とは虎の事、虎の方を見つめると、魔力を集中させる

「んじゃいっちょ消えてる間におっきいのやっちゃいますか」

そして、魔法の詠唱を開始する

「古に伝わりし竜族の王よ、その力の片鱗我が前に姿を現したまえ
灼熱の息吹(フレアバーストストリーム)」

すると、少女の眼前には炎で作られし巨大な竜の顔が現れ、その口に集中するのは炎のエネルギー
其のエネルギーより繰り出されるのは炎属性の、高温のレーザービーム
虎を目掛けて襲いかかる

941クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 22:18:35 ID:T0YCDSjI0
>>940
 強いエネルギーを持つ熱線は、虎の右前脚を容易に焼き飛ばした。
人の溺れる声にも似た咆哮が響くと、虎の体が輝きを増す。
そして強い雷がその体から放たれた。雷は、伝導力のある炎のレーザービームを伝い襲い掛かってくる。

 この虎は、強いダメージを受けた時に放電を行うのだろう。
本来は接触相手に対しての反撃手段。だが、雷の伝う遠隔攻撃がその雷の攻撃範囲を伸ばした。

 虎自体は右前足を消し飛ばされた衝撃で岩山に叩き付けられる。
だが球体関節の脚を無茶苦茶に曲げ、木に爪をひっかけ落ちるのを防ぐ。

942 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 22:23:39 ID:jc6xTraw0
「たっ・・・助かったぁ・・・」

上空へ復帰した事で間一髪危機を抜け出したものの、おかげでフィールドの予想以上の厳しさを思い知る事となる。

「さーせんっ、ありしゃす!」

「ちょっともう、足引っ張りまくりじゃないっ・・・・きゃぁっ!」

針山のような尻尾が急旋回して襲ってくる。二人は飛行する術を持たないため、クーにぶら下がる事しか出来ない。
が、二人とも魔導書を鉄の鎖でしっかりと腕に括りつけており、その状態でも詠唱は可能であった。

「姉ちゃん!酸褥!早く!」

「言われなくてもっ!」

「指示点変更変性、続湧水続溶肉が如き業と也て之を玉とす・・・!」

「くっ・・・「曲率誘導!」間に合えっ!」

姉弟の連携は見事であり、高温の酸の液球を独特の起動を描いて、誘導弾のように虎へ叩き込もうとする。

943リーナ:2016/08/06(土) 22:29:40 ID:ZZGEamFs0
>>941
「む、電撃カウンター・・直接触れるのはダメっぽいね、ま、あたしには関係ないけど」

少女の魔法により繰り出された竜の頭部はそのまま電撃に飲み込まれ消えていく

少女は風の魔力を使い箒を急上昇させやり過ごすと、また一定の高度で停止して
猫の加護をとき、姿を現わす

「そこの猫ちゃん、こっちよこっち」

挑発するように言うと、両手に風の魔力を集中させて

「ウインドカッター」

風の刃を二枚、虎に向けて飛ばす

944クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 22:33:30 ID:T0YCDSjI0
>>942
「どうやら援軍がきたようですよ」

 飛んでいるだけで手いっぱい、というわけでもないのだろう。
二人の攻撃に合わせ熱をエンチャントした闇を矢のように数本放つ。

 虎は既に体勢を整えていたらしく、闇の矢を簡単に避ける。
だが、誘導性のある酸までは避けられず、その頭部に直撃した。
顔面が焼け爛れ、ブクブクと液体の中から途切れ途切れの叫び声と共に雷が誰もいない周囲にまき散らされる。
だが、まだ虎は健在だ。顔を焼かれながらも未だにその身の呪いの波動は衰えていない。


>>943

 風の刃が虎の背中をえぐる。虎は首までも球体関節になったかのように振り向き、その上空まで飛び上がった。
残った左前脚、ボロボロの牙、そしていまだ健在である凶器の尻尾を同時にふるう。
なりふり構わず、とにかく愚直に接近戦を仕掛けてくる。そんな存在なのだろう。

945リーナ:2016/08/06(土) 22:43:14 ID:ZZGEamFs0
>>944
「やっば・・・ここじゃ咄嗟に動きなんか・・・とでも言うと思った?」

こったは箒に乗って、飛行しているのだ
飛びかかって来た所で、その到達点の位置から移動すればいいだけ
この場合は、現在の位置よりも後ろに後退する

そして、左手を虎に向けて

「エクスプロージョン」

炎の魔法を放つ、虎の周囲に炎のエネルギーが現れて、其れは爆発を起こす!

946クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 22:48:38 ID:T0YCDSjI0
>>945
 虎が爆発に飲まれ、また悲鳴を上げる。が、それにより爆炎を伝い広範囲に放電現象が起きる。
自爆覚悟で、雷を放ちに突っ込んできたのだろうか。
爆発により折れた牙が眼下に生える木の一本に突き刺さるのが見えた。
虎は既に満身創痍、右前脚の爪も剥がれている。それでも虎は暴れ続ける。

947 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 22:56:46 ID:jc6xTraw0
「やばいっ・・・!グレン!」

「悪ぃ!助かった、刀の人!」

巨大な放電に思わず、岩肌へ飛び移る二人。

酸こそ直撃したが、あの雷は厄介極まりない。水属性の二人は雷には弱い。
あのまま接近戦に持ち込まれると避けるので手一杯だ。それ所か、この戦場では避けられるのかすら怪しい。
何とかクーの力を借り、比較的足場の良好な岩肌に着地する。

「はぁっ、す、少し慣れてきた・・・援軍が居るからまだいいけど、あのまま来られたらまた・・・」

「・・・少しでも時間が稼げればいい。――書庫第七術法例外詠唱、析出せん」

岩石から抽出した、多量の鉄分を含む黒い液体。虎に近づきながらも、足場からじわじわとその量を増やしていく。

「凝!」

暴れまわる虎の足元が、粘る鉄の塊に絡め取られた。

948クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/06(土) 23:09:47 ID:T0YCDSjI0
>>947
 爆発により叩き落された虎の左の前足後ろ足が、鉄に拘束される。
虎は球体関節を生かし、そのまま体を起き上がらせる。が、すでに健在なのは右後ろ脚と尻尾のみ。
尻尾を振り回し、周囲に木と岩の破片を飛び散らせながら、拘束されながらも足掻き続ける。
その執念は、呪いの深さを感じさせた。

「……」

 クーが再び刀を抜き、その刀身を夜色に染める。
そして飛べるというのに、わざわざ着地した。刀を上段に、刃を虎に向け構える。

949トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/06(土) 23:30:30 ID:J5ZUlMko0
【カフェ】
               ___(^ω^ )<敢えて検定時間にカフェに待機するという贅沢タイム
           .__/___     _____, )__
         〃  .//    /    /     / /    〃⌒i
         |  ./ /     /    ./     / /    .i::::::::::i
   ____|  .しU /⌒\./    /     / | ____|;;;;;;;;;;;i
  [__]___|    / /-、 .\_.  /     Uし'[_]     .|
   | ||     |    / /i  i    /         | ||      |
   | ||____|____/ / .| .|\_ノ______..| ||      |
   |(_____ノ /_| |_________..| ||      |
   | LLLLLL./ __)L_| |LLLLLLLLLLLLLLLL. | ||_____」
   | ||    (_/   / i                .| ||    | ||
   |_||        / .ノ               |_||    |_||
            (_/

950ドロシー:2016/08/06(土) 23:31:56 ID:zYfjiuHY0
                          ,.、、.,_         座  ベ  ふ
      _,,.、、、、、.,,_             ,ハ爪、,::゙ヽ.          っ  ン  と
    /.:::::::::::::::::::..`ヽ、            `l 'i 'i'`ln:}           て  チ 見
   / .:::::::::::::::::::::::::::::::. '、            l ゙ァ 人{        い に  る
   | :::::::::::::::::::::::::::::::::,ヘ{ツ          `コfェエlユュ         た 一  と
    | ::::::::::::::::::::::::,ィゥ ノ j           /;.;.ヽ   ヽ,        人
   |::::::::::::::::::::::( |.!  ;{           l;.;.;.;.;.|    i'、      の
   .|::::::::::::::::::rリ`l,〉   j}゙          '!;.;.;.;.;|     !;'!_       若
    }:::::::::::::::ノ゙  l  /            '!;.;.;.;.|    「 |||       い
   ,xァ''ー'゙'`    '、 /            ノ;.;.;.;..j     |,,|||      男
  / ー`¨`''''ー-- 、」゙'′_ ..,;:';;'. ;:;:;:;..  /;.;.;.;/ __三」 |||      が
 ''^ーァ 、_____  ̄ /       __/;.;.;/lニl-'┴┴厂
  `>'、,     '''"´ ̄ ̄_二ヽ、 ,';';'; /  >'′ | | l`'Y'))i
  /           /    ヽ   `ー' :;:;: ,|-' 'ー'ニノノ,.,:,:,:
 ,'        ,   /      ゙、""''''''-= :,,_ /| l: : :"''|'′,.,.,.,.
          l /  __      !       / :| l: : : :.|
          l, l  く,_  、   |        /_:::| l: : : :|
 ''''ー--_  、、,,,_リ    `ヽ、ヽ, ,!     /   ̄`''ー'、
       ̄`¨`'''|!    _,,..、二,,_,〉'_ー_/    , ,、   `ヽ,
          |!   'ー''"´  '! /     /ニ''''ー ---'-

951トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/06(土) 23:34:13 ID:J5ZUlMko0
 、        ヽ
 |ヽ ト、  ト、 ト、 、.`、
/|l. l. | |l l | | l |l.| |l. l
/' j/ ノ|ル'/レ〃j/l |
-‐7" ヾー---┐|_.j
 ̄   ./゙ニ,ニF、'' l _ヽ
::   ,.,. |ヽ 」9L.` K }.|
    l'  """  l ) /あれ…いつもと同じ流れじゃね…?
  h、,.ヘ.      レ'/
          レ′
 r.二二.)     /
  ≡≡    ,イ
.       / !
\   /  ├、
::::::` ̄´   /  !ハ.

952ドロシー:2016/08/06(土) 23:41:10 ID:zYfjiuHY0
>>951
「諛舌°縺励>豌励′縺吶k縺代←蜷帙・隱ー縺縺」縺溘°縺ェ・溘∴繝シ縺ィ縲√◎縺・□繝医・繝縺縺」縺溘°縺ェ」
いつもと違い普通の服を着たドロシーが久しぶりの知人に挨拶をする

「菴募香蟷エ縺カ繧翫°縺ェ縺√%縺薙↓譚・繧九・縺ッ」

953 ◆fJNTk09.gI:2016/08/06(土) 23:44:46 ID:jc6xTraw0
「くそう、往生際の悪い!」

木や岩の破片に混じって牙や爪の欠片すら飛んでくる。
粉塵を水で固め、なるべく呪いを受けないように、あくまで防戦主体だった。

「ああもう、あちこち生傷だらけ・・・生傷なだけまだマシだけど・・・」

「まーな・・・(てゆーかこれで戦闘Bなのか、恐ろしいな)」

「―――もう一押し、グレン」

「―――もちろん」

魔導書を開き、長い呪文を詠唱し始める二人。Bクラス魔法と言えども、組み合わせ次第ではどうにでもなる。
雷雲からどんどん水分が抜き取られ、生き物のような形を作ってゆく。

それは、何かしらの影響を受けてか、虎の形を模していた。

「「喰らえ!!!」」

命令と共に、水虎が落雷と共に虎へと襲い掛かる。

954トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/06(土) 23:47:47 ID:J5ZUlMko0
>>952
「あdsdfghjけりゅいう」(^ω^ )
無理矢理言語らしいものを引き出して対応してみせたところは立派ではあった。が、まったく意味をなしていない。
そもそも相手が何を言っているかすら理解してない時点で駄目です。

ちなみに、トーム的には「なんでお前服着てるの?」と言っているつもりらしい。

955ドロシー(バグ):2016/08/06(土) 23:55:57 ID:zYfjiuHY0
>>954
「$S、テH沫aレ・AuSマセ蹊\f樰nwsサ咩=1ムvサロ晙ン~ラw=ロ玳ソ|!!!」
そう言って取り出されたフリップには
        / ̄ ̄ ̄\
        /        \
     /  ─   ─   ヽ
      |  (●)  (●)   |
     \  (__人__)   __,/
     /  ` ⌒´    \
   _/((┃))______i | キュッキュッ
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
/  /_________ヽ..  \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              ____
          /⌒   ー \
.         /(●)  (●) \  +
         /:::⌒(__人__)⌒::::: ヽ
        |    |r┬-|     |  +
         \_  `ー'´    _,/
.          /          \     +
.        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |  トン
      _(,,)バグった       (,,)_
      /  |  たすけて       |  \
    /    |________.|   \
と、書いてあった
どうやら記憶(データ)が飛んでいるらしい

956トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/06(土) 23:59:23 ID:J5ZUlMko0
>>955
「分かった!」
その返答は頼もしいの一言に尽きた。そして、彼が実行に移したことは言えば

                       
                     /⌒ヽ ←ドロシー
                  m⊂( ^ω^)⊃
                ⊂c  ノ__,,,....,,ノ
             /⌒ヽ  | .|  | .|
            ( ^ω^) i i二 .ノ
          (´  二二二 ノ
         /    /:
        i===ロ==/
       ノ:::::::::::::::::ヽ
      /:::::::::::へ:::::::::ヽ
     /::::::_/   \:::::::)
   /::_ '´      |::::|
   レ          しつ


               /⌒ヽ
             _( ^ω^) il|<トーム式バグ治療術
           (´ \   \|il |il il|  タタケバナオルッッッッ!!!!!
         /  \. \ノ\. \il| |il|
        i===ロ== ヘ. \. i|!l !l\il|
       ノ:::::::::::::::::ヽ \ ヽη /')/')
      /:::::::::::へ:::::::::ヽ  ヽ_,,..)  /
     /::::::_/   \:::::::)   )  ( / /
   /::_ '´      |::::| ⊂(v   )⊃
   レ          しつ`) \ 〆 (´ ̄
               /⌒Y⌒ヽ⌒\

荒療治にも程がある

957クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/07(日) 00:02:44 ID:T0YCDSjI0
>>953
 雷雲を構成する水、強い呪いを含んだそれは軌道上にある木や草を灰にしながら突き進む。
そして、直撃。激しい放電の音と電気分解された水に火花が引火し短い爆発音が爆竹のように連続して聞こえる。
今度は雷雲の呪いの雷が虎に流れるということもあり、とても喧しい音が続き虎が痙攣を始める。

 焼けただれた顔面が、弾け肉を散らす。無理やりに首がもがれ、左前脚と胴体を繋ぐ球体関節が引きちぎれる。
その余波で背中の裂傷は大きく開き、醜悪な尻尾がもげる。

 すでに肉体はほぼ滅びたというのに、空間はまだ狂ったまま。この虎は尻尾のみになってもまだ戦意が消えていない。

「お見事です。私の出番あまりなくなっちゃいましたねー」

 闇を纏った刀を地面ごと尻尾に突き刺す。放電は全て刀を通し地面へと逃げていった。

 瞬間、岩山の世界は砕け、藪と茂みの多い緑の山の麓の光景となっていく。
その中央には虎の亡骸。亡骸からは神聖な気配が抜け出し藪の中へと消えていった。

 針のない時計の寅の位置に火が灯る光景を幻視する。
亡骸は消え去り、後には肉食動物の下顎の骨だけが残されていた。これが呪物なのだろう。
封印はされているが、恐ろしく強い呪いを感じる。

958ドロシー(バグ):2016/08/07(日) 00:05:53 ID:zYfjiuHY0
>>956
「ぐウY撈nホO7ァぴrウo1渭fえ、8ィ゚Oユー!」

ザザッ ビーーーーー
ドロシーの悲鳴とともに不快な異音が20秒間に渡りカフェ内に響く

「Fも淏栫う・|ンす廠ソtこoSンし犂ケやさ=(8しキい@ピほンtうサセほ・レうJはなiュい・}のメか!」
怒ってはいるが多少聞き取れるようになった

959トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 00:15:49 ID:J5ZUlMko0
>>958
「うわぁ…」(^ω^ )
さしものトームもその不快音声には若干引いていた。

「いやぁ悪い悪い。でも有効じゃないか、これ?」(^ω^ )
すっ、ともう一度ホールドする構えを取ろうとしてはいた。いや、流石に運が良かっただけだろう。
ドロシーがなんか怒ってるような気がするので別の方法を取るべきかと思い直す。
「しゃあねえ…だったら…!」



「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」
 三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ  三三三
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ←ドロシー
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll「叩けば治るかな!!」


―――専門外の事はプロにお任せ!!

960病院:2016/08/07(日) 00:22:08 ID:zYfjiuHY0
>>959
  /\___/\
/ /    ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 |
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |
|   ,;‐=‐ヽ   .:::::|
\  `ニニ´  .:::/      お断りします  
/`ー‐--‐‐―´´\
       .n:n    nn
      nf|||    | | |^!n
      f|.| | ∩  ∩|..| |.|
      |: ::  ! }  {! ::: :|
      ヽ  ,イ   ヽ  :イ

961モニュカとグレンチュア ◆fJNTk09.gI:2016/08/07(日) 00:24:17 ID:jc6xTraw0
「終わった・・・」

先ほどまでの断崖絶壁は消え失せ、草の広がる地面の上に立っていた。

「おおお見事なんてとんでもないです、命の恩人ですよ!」

「うん・・・あそこで爪を叩き込まれたら死んでたよ、ありがとう」

事実、まだまだアカデミーのひよっ子であり、詰めの甘さは随所に散見された。
とはいえ、水属性の扱いは確かに見事である。元々自由度の高い属性ではあるが・・・先天性のものだろうか。

二人は呪物までは扱えない。もちろん寅年でもなく単に検定のために純粋に検定に参加した生徒である。
代わりに荒神の爪の破片を一つ、保護瓶に入れて証拠として持ち帰る。

「後は報告を出すだけ!よし!帰るよグレン!」

「・・・うん」

尻尾をくゆらせて、弟は何か言いたげにしながらも、黙って姉の後を付いていった。

962トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 00:24:33 ID:J5ZUlMko0
>>960
. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄

――トーム、万策尽きる

963クー ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/07(日) 00:28:02 ID:T0YCDSjI0
>>961
「……」

 期待して待機する。しかし何も起こらなかった。クーも寅年ではなかったようだ。
そして呪物取り扱い免許は持っていない。

「これじゃまたお金に変えるしかないですかね」

 こちらもしょんぼりと帰路につく。

964ドロシー:2016/08/07(日) 00:30:02 ID:zYfjiuHY0
>>962
「遽oョ゚シケ鏆畭ズnカュ鋓趣空[!D 浸+"ヤハア瀝骰JC苑ホVカ!」
(諦めんなよ!どうして諦めるんだよそこで!)

拳を握り応援をしている 自分の問題のくせに

965トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 00:33:57 ID:J5ZUlMko0
>>964
       (^ω^ )<そうだな…諦めるにはまだ早い!
       /:彡ミ゛ヽ; ー、 . . .希望はまだある筈だ…!!
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄

――トーム、再起


「という訳で初心に戻ってもう一発ッッッ!!」

                       .   , .  
                   '   .∴ '     (     )
                   ` .  ・,‘  r⌒>  _/ /
                    , .   ’ | y'⌒  ⌒i
                 ,,- ''フ   '   |  /  ノ |
              ,,/ ,/       , ー'  /´ヾ_ノ
   (^ω /⌒)   ,,/  ,/       / ,  ノ
  (⌒__/  ノ_,/  ,/        / / /
   `(__/   ,/        / / ,'
    ('' )'  ,/´つ        /  /|  |
      |  ノ /        !、_//   〉
      {  } /             |_/
      \_/

――原点回帰

966ドロシー:2016/08/07(日) 00:36:08 ID:zYfjiuHY0
>>965
「おれはしょうきにもどった!」

信用度0%だがやっと聞き取れる言語になった
鼻血が止まらない

967トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 00:41:26 ID:J5ZUlMko0
>>966
「よし、バグが治った今なら!外傷のみの今なら、きっと受け入れてくれる筈!!」

――再要請


「また呼ばれた」
 三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ  三三三
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三「いつものことだろ」
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ←鼻血の止まらないドロシー
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll

968医者:2016/08/07(日) 00:42:40 ID:zYfjiuHY0
>>967
  /\___/\
/ /    ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 |
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |
|   ,;‐=‐ヽ   .:::::|
\  `ニニ´  .:::/      生理的に無理  
/`ー‐--‐‐―´´\
       .n:n    nn
      nf|||    | | |^!n
      f|.| | ∩  ∩|..| |.|
      |: ::  ! }  {! ::: :|
      ヽ  ,イ   ヽ  :イ

969 ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/07(日) 00:43:11 ID:T0YCDSjI0
【???】

「お前、ッ! こんなことしてただで済むとっ」
「――」
「糞っ、なんだよその剣は! なんでそんな物が!」
「――」
「が、……ちくし、」
「……」

【???】

「姫様」
「なぁに?」
「……どうかお逃げ下さい。この国は既に人魚の国ではありませぬ」
「なら何の国なの?」
「恐れながら、愚か者の国にございます」
「私だって愚かよ? だって王族なのに、恋をしちゃったんですもの」
「それは愛故の事。しかしこの国には既に自己愛以外の愛などありませぬ」
「誰だって自分のことは大切よ?」
「他人への愛と共になければ、それは他人への憎悪と何が異なりましょうか」
「……それでも逃げられないわ」
「国はお兄様が継ぐでしょう。ですが歴代一の才を持つお兄様をもってしてもこの国は、」
「また、会いに来てくれるかもしれないから」
「――失礼、いたします」

970トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 00:45:10 ID:J5ZUlMko0
>>968
. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄

    ワ ン ハ ゚ タ ー ン
――歴史は繰り返される


「……」(^ω^ )

「ティッシュでも詰めとけ、な?」(^ω^ )←精一杯の優しさ、のつもり

971医者:2016/08/07(日) 00:46:54 ID:zYfjiuHY0
>>970
  /\___/\
/ ⌒   ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < めんどくさかったんで安楽死させておきました
|   ト‐=‐ァ'   .::::|    \_____
\  `ニニ´  .:::/
/`ー ‐--‐‐―´´\

972トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 00:49:26 ID:J5ZUlMko0
>>971
  .: + ...:.    ..:...:.. :. +
  . ..: .. .   + .. : .. .
  ..  +   ..:.  ..  ..
 +     :.     .  +..
  .    : ..    +  .. .
  .. :..      __  ..
  .    +   |: |
          |: | 
      .(二二X二二O
          |: |    ..:+ .. 
         |: |        
         ,_|; |,_,,
_,_,,_,     ;;;;:;:;;;;:::ヽ,、
"   "" """""""",, ""/;
 "" ,,,  """  ""/:;;
 ""   ,,""""" /;;;::;;

「またこんなオチか…」(^ω^ )

ED No.4 ばいばいドロシー

973ドロシー:2016/08/07(日) 00:58:17 ID:zYfjiuHY0
Data Load
セーブデータ1 ドロシー LV-16777216 横綱工場跡地

「.Hヨ$ン癡・O・釆ニL&V腸HカヌX」
(なんかよくわからんうちに死んだぞ!?ここからカフェに戻るの大変なのに!)

974トーム ◆Ryq0405Abw:2016/08/07(日) 01:05:23 ID:J5ZUlMko0
>>973
「あ、墓の中にいねぇ。またどこかで生き返ったのかねえ」
最後にご尊顔でも拝もうなんて思い棺を開けてみれば空っぽであった。

「……ま、ほっときゃそのうち、またカフェに来るだろ!うん!」(^ω^ )
無理矢理、楽観的に考えて、一区切りついただろうとその足を家へと向けて進めていく。

975 ◆fJNTk09.gI:2016/08/08(月) 00:23:51 ID:J2iiZ4tw0
魔法協会中央大学院第三種研究科…通称「秘匿領域」───

その施設の半分以上が地下に存在し、厳重な警備が敷かれる。
正に知の要塞とも言うべき空間。
決して明るみに出ることはない、禁忌、禁断と呼ばれる領域。
それが全て、此処に集約されている。

「ミナガハラくん、彼の解析、どうだね」

薄暗い計算機室で、珈琲を片手に一服する壮齢の男性と、計算機を睨んで動かないミナガハラと呼ばれた助手。

「…気の遠くなるような術式です。この数千枚の「ルーン(術式文字)」、全部条件分岐ですよ。正気の沙汰じゃないですね…」

そう言った彼の横には、最早コピー用紙では机に乗り切らないほどの膨大な術式が現代語へ訳されている。

「先生の言っていた項、ちょっと時間がかかりましたけど、
恐らくは生産する生命体の性決定因子を一度リセットして、再構成と最適化をする術式みたいです」

「やはりそう簡単には尻尾を出してくれぬか…ところで、中段に存在する例の「未確認ルーン」だが」

「まだ…手がかりも掴めていません。術式言語学のベルシュタイン先生、昨日から頭を抱えて唸ってるそうです…」

助手が暗い顔を見せる。そう、まだ解読できる領域はマシな部類。
問題なのは各ページ数百行にも渡って独特の記述が成された膨大な謎の文字───
便宜的に「未確認ルーン」と読んでいるモノ。

「極端に少ない子音、異常に不規則な文法…仮にも当時の連邦で使われていた言語だとは思いたくないがな…」

「仮に発音がこの通りだとしても…現代的な魔術定式が成り立つ言語には見えませんね、それに、分岐の記述も独特というか…」

「正直、これで術式が成り立っているのが不思議なくらい滅茶苦茶…だな」

そう言って開いた膨大なルーンの一ページ。
明らかにその文字は、他の文字列とは大きく異なる形状をしている。
見たところ象形文字のように見える…それもかなり不気味な絵柄の。

「…これ、単眼症の子供に見えますね」

「こっちは飛び出た臓器のようだな…何とも気味の悪いモチーフばかりで気が滅入りそうだ」

「あの人には悪いことしちゃいましたね」

「彼も何かと影響を受けやすいからな、何かに感化されなければいいんだが…」

とは言え、このルーンが解読されないと「彼」の能力の根幹が分からないのだ。
膨大な条件分岐に各個存在する謎の術式は、一見それぞれの術式に対応した何かしらの完了式、つまりループ脱出式等の類に見える。
然し、肝心のループ処理はその手前で既に完了しているのだ。
他項の術式指定だとすると、条件式の最初に位置している未確認ルーンに尚更矛盾が生じる。

この謎の術式は一般的な錬金術式の文法──
つまり「対象指定→分解→分岐→再構成」を「完全に無視して存在している」のだ。
その上、独立して記述されているせいでその存在意義すら分からない。
何より、言語が解析できない以上は完全に手詰まりである。

「仕方がない、今日は条件式の解読に専念してくれ…追加申請も考えないとな」

「出ますかね、予算」

「これ以上貴重な実験体を酷使するわけにも行かないだろう…彼も今日はそろそろ解放してやれ」

「分かりました」

助手は了承すると、部屋を出ていった。
味気ない色の蛍光灯で照らされた廊下を歩き、金属製の巨大な扉の前に立って、解除術式を展開する。

重々しい音が開き、解析魔法の展開された無機質な部屋に、白い尻尾の少年が座り込んでいた。

「お疲れ様」

「………」

いつにも増して不機嫌な顔のニュモ。
まあ、こんな得体の知れない場所で半裸で拘束されて気分のいい者など居るはずもないが。

「今日は終わりだ、また呼んだときはよろしく頼むよ」

「──術式を唱えてないだろうな」

「え?ああ、君の錬金術式かい?今日も解析中さ。難しすぎて詠唱なんてとてもとても」

「違う、そうじゃない…「何かを唱えた」のを感じた……再三言ってるけど、俺は責任とれないぜ」

「……唱え…?」

その不可思議な問答は、学院生の切羽詰まった声によってかき消された。

「ミナガハラさん!!!ベルシュタイン先生が!!!」

「……なっ…まさかッ!?」

───────

976 ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/09(火) 22:09:33 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】

雨に泣く
 子の為飾る
  旧七夕

 そう書かれた俳句の短冊が店の片隅に突き刺さっている。
これは何なのだろうか。白紙の短冊も複数放置されている。
そして雑談帳と書かれたノートも置いてある。

「織姫と彦星が健全かつ幸せな夫婦生活を送れますように」
「家庭と仕事の両立。できている夫婦から学ぼう」
「永遠に七夕の日を繰り返す呪いを生みかねない。何故年に一度としたのか」
「長き時を存在する者にとって一年は短いのかもしれない」
「けど、もしも呪いが存在していたら?」

 ノートを抑えている重石は、まるで天の川のような模様の黒い石だった。
生まれたての呪いを感じる。何故こんなものがあるのだろうか。
呪いを消すならば祝福で相殺する必要がある。完成したところで大した呪いにはなりそうにないが。

 この俳句は、慈愛により呪いを相殺しようとしたのだろうか。

977 ◆Cs/SCyFmEg:2016/08/10(水) 00:45:53 ID:rpEuMNFk0
>>976
いつの間にか、そのページの隅に真新しい一言が書き加えられた。

“くだらない”

力強くも繊細な筆跡はどんな想いで綴られたものだろうか。
カフェを出て行く少女の拳は固く握られていた。

978ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/11(木) 22:02:36 ID:NPSP4wok0
【夜中の通り】

グルルルルルル

バウッバウッバウッ

彼の行く手を阻む犬は怯えているのか威嚇しているのか、そのどちらとも付かない唸りを上げている。
明らかに手入れのされていない毛並み、白い涎がだらしなく垂れ、明らかに何か良からぬ病気を持っていそうに見える。
恐らくは野良犬であろう、その一匹が唐突に、彼へと突進してくる。

そして、なだれ込むように野良犬の集団が彼を襲った。

「・・・・」

噛み付かれた足から、腕から、血が流れるが、彼は意にも解さない。微動だにしない。

「何の差し金だろうね」

直後、その牙が、顎が、ずぶずぶと彼の体内へ飲み込まれるかのように沈んでいく。
犬たちの威嚇の声が悲鳴に変わり、しばらく四肢を振り乱して暴れた後、大人しくなり、後は尻尾まで完全に飲み込まれる。
やがて、彼以外に動くものは居なくなった。

尻尾をくゆらせ、先端の穴で起用に箱を取り出すと、煙草に火をつける。

「フー・・・」

979ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/11(木) 22:08:28 ID:T0YCDSjI0
>>978
「野犬定食って料理があるんだけどお前も食ったことあるタイプ? あれ臭いよなー」

 唐突に何か話しかけてきた。赤い髪の青年。走っている最中だったのだろうか、すこし息を切らしている。

980ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/11(木) 22:17:38 ID:NPSP4wok0
>>979

「は、はぁ」

唐突に後ろから話しかけられてちょっと驚いている。
さすがに多少の後ろめたさはあるのか、咥えかけた煙草はさっと隠しながら答える。

「へへ、こんな時間にジョギングですか、精が出ますねぇ」

あくまで先ほどの光景に関してはシラを切るつもりらしい・・・

981ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/11(木) 22:21:08 ID:NPSP4wok0
「(あれ、このヒトどこかで会ったような・・・)」

982ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/11(木) 22:25:55 ID:T0YCDSjI0
>>980>>981
「そりゃな! 金だけにこだわって体を鈍らせたら世界一周フルマラソンなんて感想できん。
俺が野犬定食を食べたのもそう、西の方の赤道脇の浮島の村だった。ハーブで煮込んでたが臭いのなんのって」

 すごくマイペースに語り始める。マイペースがマッハだが。
回転寿司のステージと雰囲気が違うようで同じ。服装が違いより暑苦しい印象ではあるが。

983ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/11(木) 22:40:22 ID:NPSP4wok0
「(なんだろうこの既視感・・・そう・・・例えるならスーパーでババアの世間話に捕まって長話に付き合わされる奴・・・)」
「(・・・いや、むしろちょっとボケ入ったご隠居の昔話というべきか・・・)」

なんか面倒くさいのに絡まれたなーという印象を持ったニュモ。
とはいえ内心、さっきの丸飲みに何かしら突っ込まれそうでヒヤヒヤしているのだが。

「はは・・・まぁ・・・ジビエ料理はピンキリですよね・・・熊肉とか夏は不味いって言いますし」

とにかくマイペースに話すので、ニュモも相槌を打つ機械になってしまっている。哀れ。

984ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/11(木) 22:47:39 ID:T0YCDSjI0
>>983
「まっ、普段肉食わないから余計にその酷さが目立ったって感じだな」

 そしてマイペースにスパッと話を切り上げた。何だろうかこの感覚は。

「てかさっき丸呑みっぽい感じだったけどあれって味感じるの?」

 変な形で突っ込まれた。

985ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/11(木) 23:09:05 ID:NPSP4wok0
>てかさっき丸呑みっぽい感じだったけど

反射的に体が動いてしまい、煙草を持っていた左手から鋭い尖爪を生やしかけ、持っていた煙草を足元に落っことす。

「(あつっ、あっつ!)」

少し挙動不審な動きをしながら悶える。こん畜生とついでに煙草も踏み潰した。
まあこの際隠すわけにもいかないだろう。

「はぁー・・・まぁ、味もそうですけど・・・なんですかね」
「こう、苦しみとか恐怖とか諦観とか、そういうのはよく感じますよ。」

魔術において「感情」はとても重要な資源だ。あらゆる感情物はマナを生み出す。天使の涙とか、竜の怒髪とか。

「まぁ、畜生の脳味噌で作れる感情なんてたかが知れてます・・・人間は一番美味いんですよ」

汗が垂れてるとはいえ、少しばかり獣の眼光をぎらつかせ、ちょっとおどかしてみた。

986ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/11(木) 23:15:07 ID:T0YCDSjI0
>>985
「え? 人間食うの? 人食いスライム?」

 こいつ丸呑みを見てスライムか何かだと思っていたようだ。

「じゃあやっぱりカフェでも人肉料理とか頼むのか? 再生能力者からパーツ買ったり。
人間は同族食いすると奇病にかかったりするらしいし、俺は食ったことないけどうまいのか?
普通に食べる為育てられた家畜のがうまいと思うけどな〜」

 旅先で食人文化の部族にでも出会ったのだろうか。
いや、協会の活動圏外では食人部族は人とそう深く友好的に関わることはできそうにないが。

987ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/11(木) 23:33:30 ID:NPSP4wok0
「いや、調理の必要はないんっす。まぁ・・・おれの場合は、ですけど」
「マナになった感情ってかなり死体が風化しても残りますからね。自縛というか怨念というか」

先ほどの犬の一匹を、再生させた。・・・体の半分だけ。 走れもせず、もがきながらニュモから逃げようとする。
その哀れな生き物を、尻尾で半分飲み込み、その穴から消化液を漏らしながらゆっくりと絞め殺していく。
断末魔と、悲鳴が響く。そう、これこそニュモが闇属性を纏う原因の一つだ。

「おれにとっての「味」ってのはこういうのなんです、わかります?」

どうせ面倒そうな人間だし、何もかも曝け出していいだろう、というつもりらしい。

「・・・普通の人とは共有できない事が多すぎるんですよ、「人外」ってのは」

爪を弄りながらそう言ったニュモ。もう尖爪を隠そうともしていなかった。

988ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/11(木) 23:39:34 ID:T0YCDSjI0
>>987
「なるほど、アストラルサイド、だったか? そっちの影響が強いタイプの種族なんだな。
それも依存度が高いタイプの。そりゃ可哀想に」

 失礼なことに、欠片も隠さず堂々と同情して見せた。
同情すべきところで同情して何が悪い。同情するのは個人の権利だとでも言わんばかりの堂々とした同情だ。
だが、何故か同情はしているが下に見るような含みは一切感じられない。

「生きるだけで大変、か。まっ、そんな奴もいるよな。今まであんま会ったことないけど」

989ニュモ ◆fJNTk09.gI:2016/08/12(金) 00:03:32 ID:NPSP4wok0
「はぁ、まあ幸いこのご時世そこそこ、この類の「エサ」は手に入りますから」

「(必須って程必須でもないし、まぁ煙草みたいなもんだよな)」

同情される事も、されない事も正直慣れているが、こうも思いきり同情する人間はあまり見たことはなかった。

「オレはまだこの街で仕事できてるんでアレですけど、
 そもそも同類で人間に友好的な奴にはあんまり会った事は無いっすね、幸運ですよ、アナタ」

「まぁ、マラソン頑張ってください」

そう言い残すと、いつの間にか夜闇に姿を消したニュモ。
後には、骨の首輪と皮のリードを付けられた一匹の犬が残った。

ウェイデンを見つめている。一緒に走りたがっているようだ。

990ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/12(金) 00:11:36 ID:T0YCDSjI0
>>989
「……」

 見つめあう。幸運。確かに強い者の多いこの町で、多くの場合人の敵となるだろう存在に出会い、友好的に話せた。
それは間違いなく幸運だろう。だが、数多くの出会いをしてきた。幸運も、数が多ければその奇運の一つ。

「……よし、走るかっ!」

 だが、頑張れと言われた。共に走る存在もいる。これだけ応援されて走らないような足を持った覚えなど、ない。

「いくぞ!」

 真夜中、人の少ない道を走り抜けていく。風を切る、ではない。風を貫いて走り続ける。
次は、無理やりにでも誘って走らせるか、と恐ろしく身勝手なことを考えながら、その考えすら汗に洗い流された。

991イグニス ◆Cs/SCyFmEg:2016/08/12(金) 22:32:12 ID:8tCPAGnU0
【カフェ】

悩んでウジウジしてみようと思ったが、やっぱり無理だった。
何かしていないと落ち着かない。

もう決めた事だ。
後は“そう振る舞う”だけ。

それが出来るだろうか?
いや、やらなくちゃいけないんだ。

992 ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/12(金) 22:36:47 ID:T0YCDSjI0
>>991
 転送装置から暗い火花が散る。いつもとは違う、不安定で暗い光をもって転送装置が稼働した。
いつ強制リタイアでカフェに戻されるかわからない。だが、どこかに繋がっている。

993イグニス ◆Cs/SCyFmEg:2016/08/12(金) 22:40:47 ID:8tCPAGnU0
>>992
「うし・・・覚悟決まった」

両手で頬を叩く。

「行ってきます」

誰に向かっての台詞か分からなかったが、一歩踏み出すにはうってつけの言葉だと思った。
誰かに、背中を押された気がした。

そうして少女は歩き出す。

994ドロシー:2016/08/12(金) 22:41:36 ID:NBvX69Cc0
>>993
「はい!行ってらっしゃい!」

物理的に背中を突き飛ばす

995イグニス ◆Cs/SCyFmEg:2016/08/12(金) 22:45:54 ID:8tCPAGnU0
>>994
「いや、今結構感動的な流れだったでしぉぉぉぉぉぉ・・・・・」

転送際に何か聞こえた気がしたが、気のせいだろう。

996クオン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/12(金) 22:50:10 ID:T0YCDSjI0
>>993>>994>>995
 背中を押された(物理)勢いで転送装置に突入すると、何かにぶつかった。
何故か呼吸のできる海中で、ぐるぐると回転し水の抵抗ですぐに止まる。

「――」

 あの日見たきりの少女を下敷きにしていた。完全に気絶している。
再開はなった。あるいは奇妙なお節介から戦闘になることすら想定していた。だが、気絶していた。
人魚の国、どこか殺気立った住民たちをよそに、気絶していた。

997ドロシー:2016/08/12(金) 22:51:42 ID:NBvX69Cc0
>>995
(ああ シリアスな空気のやつの背中を突き飛ばすのって快感)

でしぉぉぉぉぉぉ・・・・・」「・・・おっと・・・うおぁ!?」

転送のタイミングと自分が踏みとどまるタイミングを誤って自分まで転送装置にぶつかって一緒に転送されたようだ

「オイオイ 俺はこんな面倒事に参加するつもりはねーぞ?」

998クオン ◆YJMWmO4ZS6:2016/08/12(金) 22:57:23 ID:T0YCDSjI0
>>997
 そこでは、事故が起こっていた。
丁度転送先にいたせいで衝突したのだろう。下敷きになっている方は気絶すらしている。




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