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【妄想爆発】チラシの裏【大上等】

851某とある名無しの誰かさん:2015/01/28(水) 23:29:16 ID:hBazNR9s
 俺は寒さと雪を覚悟し、扉を開ける。がちゃり。
 びゅうと風が吹き荒れ、家に多少の雪が入る。そしてまず目に入ったのが、その翡翠の躰。……緑?

「いやーザン、酷い暴風雪ッスね!この寒さでオレのカラダもカッチカチ〜」

「宗教の勧誘やセールスはお断りします」

「ちょ、ちょちょ、久しぶりの再開なのにそれはないッスよー!」

 おかしいな、つい悪戯心が。特性は違うのにな。
 旧友との再開についふざけたくなってしまってつい扉を閉めてしまった。反省はしていないし後悔もしていない。
 このままやつが扉をどんどんしてよそ様に迷惑がかかるのは良くない、扉をあけてやった。

「酷いッスよザン、そこは感動の涙とかしてくれたりとか……」

「あのなカッチ、カラダもカッチカチの下りは面白かったがとりあえず落ち着け。説明も欲しいし上がってくれよ」

 このままでは俺もマラカッチも寒いだけだ。やつには上がって、何故ここにいるのか説明してもらおう。
 そう思って上着から雪を落としていると、待ちかねたのかグレイシアが玄関へやってくる。

「ザングース、どうかし……あれ、カッちゃん!?」
「ぬおっ、グレ!?何故グレがザンの家にいるっ!?」

 俺はやつに聞こえるようになるべく大きな溜息を吐いた。はあ……
 ただでさえグレイシアの相手は疲れるのに、よりによってカッチか。これはひどい。
 俺はすっかり冷えてぬるくなってしまったホットココアを飲み干した。

852某とある名無しの誰かさん:2015/01/29(木) 21:19:54 ID:gyn5832c
「……で、カッチ。なんでお前がいんだよ」

 カッチを炬燵へ招き入れて、一息つく。やつは温もりに浸り幸せそうな顔を浮かべる。畜生、お前のせいでこっちは幸せを邪魔されたんだぞい。
 グレイシアは旧友との再会の嬉しさと突然の来訪の驚きが合わさった表情だ。これがもし何処の馬の骨とも知れないやつならだいぶむすっとしてたのだろう。
 不本意だがやつにホットココアを淹れ、状況説明の聞き出しを試みる。

「いやー、久しぶりにこの辺りに寄ってみたら突然大雪が降り始めて。それで慌ててザンのとこ探してやっとこさ辿り着いたってところッス」

「本当にびっくりだよ、まさかカッちゃんが戻ってきてるなんてね〜」

「そ、そうだけどもさあ……まずなんでこの辺りに寄ってみたんだ?」

 なるほど、雪宿りというわけですかそうですか。だがしかしいきなりは驚く。
 「ちょっと旅立ってみるッス!暫く会えないけど元気でやりい!」あの日、カッチが突然告げたこと。その後いきなりどこかへ消えてしまった。 俺達からすれば唐突すぎて言葉もでないままやつを止めなかった。否、止められなかった。
 そんで月日は流れて今。やつはまたしても唐突だった。
 ふらりといなくなってはふらりとやってくる。いつもの光景ではあるが、まだ慣れない。カッチはそういうやつだ。

「なんでって、旅はもう終わりッス」

「待て、待て……待て。一旦待て」

 カッチ唐突語録その3の誕生である。
 まさかの旅終了宣言。既に終わってたんならもっと早く言え。

「ごめ、忘れてたッスー」

「はぁ……まったく、お前もいつまでも変わらないな」

 ふと横を見るとグレイシアが笑顔のままフリーズしている。恐らくカッチの唐突語録に頭がついていかないのであろう、目が死んでやがる。
 このままだと危ない絵面になりかねないので、揺さぶって脳を起こしてやる。

「あれ、ザングース?私は1体何を……」

「キミハワレワレノジッケンタイデアル。タッタイママデワレワレニキオクヲシハイサレテイタノダ」

「やめんかぁ!」

 カッチの頭に軽くブレイククロー。脳天という急所に当たった!

853パルギア〜(^-^):2015/04/08(水) 21:46:45 ID:W.2gy1wo
 微かな細波が空間を渡っていく。
 それは音のようでもあり風のようでもあった。音であるならば、それは眠りを妨げないほどの静かで穏やかな、低い響きを伴った「何かの声」。

 それに気付いたパルキアは、応じるように一声かけて、この空間のはざまに通じる道を開いてやる。
 そうして現れたのは、鋼のきらめきを纏った「時の守護神」だった。

「しばらくぶりだな、ディアルガ」
 気易く声をかけてくるパルキアに、ディアルガは蔑むような視線を投げる。
「随分お楽しみのようだったからな。遠慮してやっていた」
 いきなり痛いところを突かれて、パルキアが返答に詰まる。
 そんな相方の様子を鼻で笑って、ディアルガはパルキアの腕に抱かれたそれを無遠慮に覗き見た。

「ほう、どれだけ欲深く穢れた面をしているかと思ったが、随分可憐で美しいではないか。これがどのような姿になってお前を誘っているのやら」
「……な、なんのことだ」
「私の居るところまで鳴き声が聞こえていたぞ。さぞかし激しく責めたのであろうな」
「いや、それは……」
 もごもごと口ごもるパルキアの様子は、ディアルガには端から想定内だったようで、それ以上無益な言葉虐めをすることもなく、眠っている白い生き物に顔を寄せた。
「魂の呼吸が滞っている。お前が眠らせたのか?」

 本来はディアルガに属している、時を操る力。そのささやかな真似事で、小さな対象物の時を止めるぐらいの力なら、パルキアにも使うことが出来た。そうして無理やり「眠らされた」者は、体だけでなく魂の呼吸までも不自然な形で動きを止めてしまう。

「……ああ、まぁ、な」
 ディアルガには何でもお見通しと悟って、パルキアは諦めたように頷いた。
「己の身が保たぬと怖れたか」
「ちげーよ! ……いや、ちょっとはそれもあるが」
「ふん」

 ディアルガの面白くなさそうな声に、パルキアは居心地悪くため息をついた。
「思ったより、手強くてな」


 誰も立ち入ることが出来ない筈のパルキアの領域で、漂っていたそれを見つけたのが始まりだった。
 「ルギア」と名乗ったその白い生き物を捕らえ、何かに駆られるかのように手篭めにした。
 拒絶も抵抗も何も無かった。
 ただ、熱く爛れて蕩けそうな性の快楽だけがあった。
 辱められ、犯されながら泣くルギアは、それでもパルキアに縋り付いて「もっと」と乞うた。けれどルギアの望みのとおりに責めれば責めるほど、ルギアはさらに餓えていくようだった。
 終わりが見えないほどひたすら溺れながら、互いの魂だけははっきりと醒めたままで。
 体を重ねるごとにその違和感は大きくなって、やっとパルキアは、捕らえられたのが自分の方だったのだと悟った。

 誰かの身代わりとして、ただ、ルギアの体の乾きを慰めるためだけに。

 ───このままでは、壊れる

 そんな焦燥の末、パルキアはルギアの「時」を止めたのだった。


「今更だろう。軽々しく手を出すからだ。自業自得と思え」
「……ごもっともです」
 らしくもなく殊勝に返すパルキアに、ディアルガはふと嫌な胸騒ぎを覚えた。
 形のない、暗く乾いた何かの気配。

「深みに……はまるなよ」
 その気配を消したくて、ディアルガはやや強く言いつけたが、パルキアは惑うように言葉を返せないでいた。
「パルキア」
「わ、かってる……」
 その声はまさに、判っていても過ちを犯してしまう者の悪あがき。
 もう既に、パルキアは深みにはまってしまっている。

「私が……始末してやろうか?」
 静かに言い放ったディアルガの言葉に、パルキアがはっと顔を上げる。
 鋼の刃のような鋭さと冷たさを帯びた視線が、そこにある。
「ディアルガ……」


泥沼の予感(´∀`*) ………つづきません

854名無しさん:2015/05/21(木) 18:27:30 ID:VatZMV/o
「痛い〜……ザン、流石に酷くねい?」

「お前が変なこと言うからだろうが」

 グレイシアを正気に戻したところで、俺達は炬燵に入ってのんびりと。
 カッチは俺が淹れたココアを飲む……って、こいつ猫舌か!

「あひゃ、あふいっ!?」

「だ、大丈夫!?待っててカッちゃん!それー!」

 やつを心配して近付くグレイシア。そしてカッチの舌に凍える風を放ち冷やそうと……こうかはばつぐんだ!

「ぎゃあああーっ!?」

 舌を押さえながら悶絶するカッチ。いやあ、なんというか愉快だな。俺達を邪魔した罪の贖罪と思え。
 そして何がなんだかわからずにおろおろするグレイシア。まるで皿を割ってしまった子供だ。
 俺は静かに、新たに淹れたホットココアを口にした。この苦味、たまらん!

「たく、お前はどうしてこうかな」

「い、今のは仕方ないじゃないッスかー」

「カッちゃん、ごめんなさい……」

 騒がしく声が響き渡る我が家。こんなに賑やかな冬も、まあ悪くないな。

855名無しさん:2015/05/24(日) 14:37:38 ID:pAq8R9mQ
「それで、なんで旅なんてしてたんだよ」

「えー?もちっと広い世界を見たかっただけッスよ」

 男のロマン、というやつか?まあ、俺には理解できないが。
 炬燵で充分暖まり、幸せな気分になる。

「明日から冬休みかあ……」

「あれ、そうなのん?」

「うん。今日までだったよ」

856名無しさん:2015/12/20(日) 22:05:55 ID:6dxwPNSM
「ザン、冬休みどうする〜?」

 カッチは炬燵の中での温もりを感じ、表情がとても柔らかくなっている。
 サボテンだし、寒いのは苦手なんだろうな……って俺だって苦手だわ!
 この中でグレイシアだけが炬燵の外で平気でニコニコしてやがる。ぐっ、羨ましくなんかない!

「そうさなあ……特に決めなくていいんじゃないか?」

「遊び倒そうよー!」

 目を爛々と輝かせ、グレイシアが突然猛スピードで俺達に寄ってきた。
 ……ふむ。近くにいるだけなら冷気は感じないんだな。ポケモンは奥深いものだぜ。

「おー、いい提案ッスねえ。わかってるじゃないか小娘ー」

「えへへ、それほどでも〜」

 おどけたカッチの発言に、グレイシアは照れる。おいそこのサボテン、そんなこと言うから調子に乗るんじゃないのか?
 溜め息の代わりに、俺はホットココアを飲み一息付いた。

「あ、折角だしトランプやらないッスか?今持ってる」

「なんで今持ってるんだよ!」

「ナイスツッコミッス、ザン!」

 怒りに任せて俺はカッチにブレイククローを繰り出した。


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