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【安価】やる夫は誰かのために戦うようです【R-18】

1 ◆x0SRSoJXe.:2018/11/18(日) 22:14:42 ID:NOfdPGR20

   ∧ `i¨ヽ   i   i  γ⌒ヽ`i¨ヽ `i ̄'`| ̄`ヽ.  .i\ i\
  _/,,∧ ├く    ∧ .∧ {{   }}|-く. ├一.|    }  .| | ヽ| .:iヽ
. _/_   ヘ_jL \__/ ∨ ∨ヽ、__ノ jL \」__.,イ!____ノ   | | .:| | ヽ
                    γ⌒ゝγ⌒ヽ `i¨ヽ `i ̄'\‐┘ー, .| └─:\
                   {{   {{   }}├く ├一. ¬┌ .:| ┌─'′\
                    ヾ、__.イ ヾ、__ノ .jL \」_イ   j_.L._j__L      )\

●この作品は株式会社フロム・ソフトウェアによって平成18年12月21日に発売された、『アーマード・コア4』の二次創作作品です

●原作との相違点も多く、作者の知識の至らない点は自己解釈によって補われています。あらかじめご了承ください

●この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません

3155 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 20:49:16 ID:Y2CjS0Pk0

              - - 、
                 ● ●) ヽ
                (人__) ノ
                  l       |
            (⌒)Jし(⌒ノ
                 ̄    ̄

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多分、あれから二年が経った。自分は今、十歳のはずだ。恐らく。
最初こそ泣いて喚いて何もできずにいたが、今では立派に、と言うのも変だが、
何とか生きていられてはいる。

泣くこともなくなった。泣いたって無駄だからだ。
泣いたところで何があるわけでもない。嗚咽する音で他人に居場所を知らせ、
体力も気力も失われる。良いことなんて一つもない。

朝に配給を受け取り、昼はどこか安全なところを見繕うために居住区をうろつき、
夜には仕事帰りの一般市民ID所持者たちの財布を抜き取るべく、
往来に飛び込んでは大人たちの足を掻い潜っていた。

金持ちたちは実体の貨幣など持ち歩かないが、我々は別だ。
金持ちたちの端金、つまり札や硬貨こそが、我々一般市民の糧なのだ。
だからこそ、こうして物理的に頂戴することができる。
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3156安価のやる夫だお:2020/10/05(月) 20:51:26 ID:5.M3AXTA0
はした金ゆえに駆除もされないってか

3157 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 21:09:33 ID:Y2CjS0Pk0

                  、 ノ、
             rヤ● ●) ヽ    お……。
                 ヽ.(人__) ノ
                 |      ヽ
.              |     し'
                   .し   J





                   >:::::::::::::::::::::::::::`\ ∧
                -==´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V:::::'.
               _,ノ::::::::::::>-一- 、::::::::::::::::::::::::ヘノ
               /::::::::::::::て __  \:::::::::::::::::::::ムイ
               /7::::::::::::::::/ , - 、 \, ゝ一 、:::::::::::/
                  / ィ⌒Y::/   ´ fj } `   _  Y:::::イ
                   〈 ( (1/ / ̄ ̄ <     _ `}ノ::::く
                /`Y j' L____/    {  ̄`/:::人(      よお、戻ったぜ!
              7:::/⌒l   /> 、   ´ ' ;. /Y´
           __, -く  ノ   \`ヽ ≧ァ  ノ           「クニヒコ。何持ってるんだお?」
           , ´      ∨_' 、    `ー‐ ' /
 ´ ̄ ̄ ̄ ̄`ーf    <ゝ、   } '.     ィ ´              憲兵に賄賂渡してよ……それを仕舞った財布を抜き取ってやった。
         「      ̄ ̄ Y  `ー‐ '/
         /    ー──ァ '    /|                 まるっとぼろ儲けってな!
       イ  {          )- 、  /`Y' .
     / /      ー─ イ l   \ ` }  ト、
  .   ´ {´    {   _,. ノ∧   `ーヘ  ', \
/    ∧      /-‐ ´  ∧       l  '.   `ー- 、
      ∧     ノ`丶、   }    |  '.       \

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ぼけっとしていると、足音が聞こえた。
ボロ布でブーツをぐるぐる巻きにして足音を抑えたものでも、擦れる音はする。
この二年で、こういった聴覚は鋭くなった気がする。
逆に嗅覚はどんどん麻痺していった。今では死体や糞を前にしても
鼻を抓んだりはしない。

ここに来る人間など一人くらいしかいないが、念のために入り口から
隠れる形で壁際に身を寄せ、ベルトに差していた食事用ナイフに手を伸ばす。

「俺の好きなものは?」

「……ドライソーセージ」

壁越しに問答が行われる。二人で決めた、秘密の合図だ。
相手がそこにいるか、そこにいる者が見知らぬ者ではないか、見極めるための。
自分が自分が聞くときは「あんたの好きなものは?」と聞く決まりだった。
飄々としていて、陽気で若い声の持ち主が壁から飛び出してくる。

シャツとズボン、麻のジャケットにブーツと上等な恰好をした青年は
眉が細く、三白眼に高い鼻と尖った顔つきをしている。
ボサボサの髪を掻き上げて富士額を晒している彼は、クニヒコ、という名前だった。
自分と同じ、日本人とは名ばかりの、アジア系の血が滅茶苦茶に混じった青年だ。
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3158 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 21:12:41 ID:Y2CjS0Pk0

:、 __ノ::::::::i::::|l::|!:::::l:l::::::::::ハ    __
 ヽ:::::::ヽ:::::::|::::i!::l!:::::l:l:::::::/:::::{_,イ r-O/7
  〉ヽ、::\:!:::li;;:l!:::::l:l::::////::/::7/{:::::::::/
: /ヽ\\ f´``゛゛` 、j彡::://::/::://::::::::::/
 三三三/´ ̄\   "´ }/////::::::::::/
 三f⌒レ   ___、ヽ ∠二 レ'/ゝ/:::::::/
 ハ∧ l  ` ̄` ∨叮` /レ /:/::::::::/
  三>        `¨ ///:/{:}r-{ハ
ハ、/  ∧  ト  _ ´ /  /:/::::::::::7 !
  ト、_ヽ ヽ└―┘ ∠   }::レ ̄ ̄  |
  }:::::::::`ー\_/` 、  r//_ ̄ ̄ }         ほら、見てみろよ……拳銃だ! マガジンも五本貰った!
  {::::::::::{{三}}三ハ   〉__/〈! 、二二_/
  {::::::::::::::{i}:::::く: :  {:::::::ヽし':::::::::::}           おまえにスリを仕込んだ甲斐があったってもんだろ。
  ト;::::::::::::{i}::::::::}: :  {!::::,,"゛´{::::::::::}
  〈:::::::::::{{三}}::::{: :  f': : {{ ぐ"~゛"            「バレたら殺されるお?」
  `ゝ::::::::{i}::::::::}: : . ヽ: :ゝ  `"゛~}
   }::::::::::{i}::::::::ヽ; : : }: :Y^ 、_,、<             大丈夫だよ、財布なんて誰にいつギられてもおかしくねえんだ。
   〉:::::::::{i}:::::::::::::}: : 〈: : |: : : Y : :〉
    {:::::::{{三}}:::::::/: :  〉: :!: : : | : :i             仮にバレたとして、お上が怖くて言い出せねえさ! お仕置き受けんのは
   〉:::::::::{i}::::::::{: :  / : : | : : : : : l
   >:::::::::{i}::::::::i: : .〈 : : : :!: : : : : :l             賄賂欲しさに拳銃渡したあっちだからな! それよりも――
   >::::::{i}::::::::ヽ; : ヽ; : j : : : : : ヽ
   {:::::::{{三}}::::::::}: : /: / : : : : : : :}

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クニヒコが手にしている黒い鉄塊には見覚えがあった。
拳銃だ。憲兵の腰のベルトにある、小口径の銃だった。
呆気にとられる自分とは対照的に、クニヒコは浮かれ倒していた。

そんな彼を見ていると、自分もへらっと笑みが零れた。

最低の暮らしに、最悪の街。
明日なんて先のことは分からない。今と目の前の光景だけがこの世の全て。
希望なんて言葉は忘れてしまった。

けれど、あの時は、それでよかった。

そうだ。

友達がいたのだ。
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3159 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 21:13:13 ID:Y2CjS0Pk0
                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                               ・

3160 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 21:22:27 ID:Y2CjS0Pk0

       ____
     /ノ  ー_\
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  /   (__人__)   \      ん……
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             ': : : ,': : : :!: :i: i!:! .!:!: !: : :i!: !:i: i;.!: : ',> /、:',
          ': : :i: !: : : i: : !:ii:!__i:!,: !: : :!:,'!:i: :!:i: : :.!/:.ヽ!,',
            ' : : !:.!: : : i : ,'/リ,,,,リ_',i',: : !,' リi',i',i: : !:!: : : :!.i!
         '.: : :.',:i: : : :!: /ィノ心リ`. ',:./ ,.イ気: :,':i: : :i!:i i
         ,':/: : : i;i: : :,:'/ 弋z汐  ヾ i心//:イ:/ : /!:i
          /イ: : : : :!',: : iヾ、         , `" .,': :イ : /. リ       おはようさん。
          /: : : : : , -.',: :.',丶、   、_ ,   /イ/イ
       /: /, イヽ,:::::::ヽ: ',.ヽ.丶、    , イ/: :/: :i           良かったわ、少しは眠れたみたいやな?
      ,': :/ ーヽ、ヽ,:::::::ヾ、;;;;i ! > <i:::',:i!: / 、: !
        ,: :/    ヽ ',::::::::\;i i   / ,':::::i:!/!  ヽヽ、
        !: i        i, !::::::, --〈    !,イ i'i !   i: : :',
       !: ',      ',::::::/::::>、>、 /::〉::::ヾ、  ! : : ,!
       i :.:',      ',イ::::::::::::::::::::::ヾ、/::::::::::::::',  , : : ,:.!
      i: : :',     ,':::::::::::::::::::::::::ヾニ/:::::::::::::::', .,: : /:/
      i:/ : ',    i::::::::::::::::::::::::::::::::ヾヽ:::::::::::::::!i: :!:iイ
      i'.!:i : ',    __',:::::::::::::::::::::::::::::::::ソ/::::::::::::/.!: i:,′
      i!.',:!: :.',.  `ー,'、::::::::::::::::::::::-=//-,::::::, ' .!/リ
        ヾ, :.',  / / .ヽ、::_:_:_::>''"` ー " 、  !'
          ,',.  ゝ、/ / ィ 、__ /       ヽ.!、、
          ヽ.',     ̄    .i         i! ',イ!

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
瞼がひとりでに開くと、木枠の天井と、差し込む朝日が視界に飛び込んできた。
未だに朦朧とする意識の中、隣から気さくな声が聞こえてくる。
首だけを動かしてそちらを見ると、ノースリーブのシャツとジーンズ姿という
ラフな格好で傍らに座るはやての姿があった。

鳥のさえずりが聞こえてくる。映像データの中でしか聞いたことのない
自然の声が、実際に聞こえてくることには未だに慣れない。
現実味がない、と言えばいいだろうか。
夢を見ているみたいだ。それとも、今までが悪い夢だったのか。

そういえば、懐かしい夢を見ていた気がする。
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3161 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 21:42:49 ID:Y2CjS0Pk0

          ____
        /      \
       /─    ─  \
     / (●)  (●)   \      ナットゥ……ナットゥは勘弁してくださいお。
  ( (  |   (__人__)⌒      |
  _ n \  `⌒ (     /       「あー、うん。納豆は……しゃーないなぁ」
  -(ミ>二==  ー‐      \
   ヽミ/∨    __とー、    ヽ
   {  ヽ    ヽ___/)  \ /  |
   ゝ  i      ゝ_,,へ  \ ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「おはよう、ございます」

「とりあえず、顔洗ってき? 朝ごはん……ちうても簡単なもんやけど、できとるよ」

布団越しに胸板をぽんぽんと触れると、はやては部屋から出ていった。
ぼんやりとした状態から、一気に現実へと意識が引き戻される。

そうだ、自分は昨日から、はやてと暮らしているのだ。
よく分からない状況だが、そういう話になっていた。

言われた通りに洗面所で顔を洗い、土気色の顔を拝んで唇を歪め、
リビングへと顔を出すと、クロスの敷かれたテーブルの上に食事が並べられていた。
お椀一杯のご飯に何かの貝の味噌汁、濡れた野菜の盛られた小鉢、
目玉焼きや謎のパックといった面々だった。
小鉢の中身はほうれん草のおひたし、味噌汁の貝はしじみ、
謎のパックは納豆という名前だと教えてもらった。

他は美味しくいただけたが、納豆だけは勘弁してもらった。
開けた途端に嗅いだことのない強烈な異臭が鼻を突き、放り出しそうになってしまった。
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3162安価のやる夫だお:2020/10/05(月) 21:44:59 ID:5.M3AXTA0
匂いはなぁ・・・

3163 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 21:54:52 ID:Y2CjS0Pk0

                 ,  -――‐- ...
           , ---く: : :,: -ー‐-:、: : : : : ≧. .、
          ,.イ:, -: : : :`/: : : : : : : : `: : : : : : : : 、ヽ
         /:/ ,.イ: :,、/: : : : : 、: : : : : : : : ',: : : : ',:ヽ
       /イ : , ': : :,:/ー!:! i : : : ',: ',: : : : : i : ',: : : : !: :',
      ./イ/: : :/: : ://  !:i: ! : : : i!: !: : : : : !: : ',: : : :!: !:',
    /' /: : :/: /: :!:!__  i: : i : : : i!: !: : :/: :,' : : i: : : :!、!: !
    / i: : :/i: ,': : i、!__ヽ/!: :!: : : :!i: !: :/: :/,: : :/ : : //i :.!
   ,′ ': :/: :',:i!: : !"i.ヾ/ i:/: : : /=、、/:.//: : /ニニ/,'イi: :!
      ',:ハ: : i!i: : i i:ソi リ: : / /Jヾ,イ/: : :/ニニ/: : ,' : i
      i! ', : : ヽリ 弋リ /:/  ん::ソ::i!イ: : / : : /: : /: : :i        今日はお出かけするでー。
      i. ', : : : i"" , '"    弋武ソ彡イ : : /、: :/: : : :i
        '、: : ∧  、     '''''  , イ: : ,.イ i: /: : : :i!:!        「お出かけ?」
          ヽ、: :ヽ、 ー‐    /: : /, イ:/: : : :i: !i:!
           ヽ:'、 ヽ __ イ: : :イ/: : :, イ: : : i: :!: !ヾ、       そ。軽く街も案内したる。あと、診療所や。
           //,ヾ、:_:_: >'": イ":::::/: : ,イ: : : : : i: :!-'--,
          /'  ! !:::::::::: ̄:::::::,>:/: : /: : : : : : : !: !:::! !        町医者ちうてもちゃんとしたドクターやさかい、
           __ヽゝ-<ニヽヽ::::::/:/:/:i: : : : : : : i: :!:::! !
          i i-.、 \:::::::::::ヽヽ' ,!:i: :!:::! i: : : : : i:!: i:::i. ∧        君のメディカルチェックも担当してもらえることになっとる。
          i.!::/ `ヽ、`ヽ::::::::ヽヽi: :!:::i: i: : : : : !: /::{ ,′ヽ
              Y      \ ヽ:::::::\'リ::::レ'',: : : :/!/i::::! i   ∨      
           i       ヽ ',:::::::::ゝ'::::::::ヾi、/::::`:::::i !    ∨
              !       ',. ',:::::::::::::::::::::::::ヾ::::::::::::i !      ∨
            !        ,i!. !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,'ソ     ∨
                !       i_i i::::::::::::::::::::::/:::::::::::::i' ',      ∨
           /i        iE!./:::::::::::::::::::/イ:::::::::::::!、∧       ',
              i:::i         !、/::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::', ∧       ',
              !:::!      !::::::::::::::::::::::ノイー::::::::::::r-ヽ, i      !





               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \      メディカルチェック……
            |  u.   (__人__)     | 
          \     `⌒´    ,/      「当たり前やろー。ちょっと前までネクスト乗っ取ったんや。汚染度数、神経接続負荷、
         / ゝ         ィ'ヽ
        /                 \       色々あんねや。しばらくは検査続けなあかんよ」
       /   ィ             r  ヘ
       |   `|| ____ ._ |   |  ゴチソウサマデシタ
       /⌒ヾ_\__/ |〜|r- ノ
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

3164 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/05(月) 22:07:41 ID:Y2CjS0Pk0
ごめんよ、なんかね、心臓の辺りが痛い。動悸もしている。

今回はここまでとさせていただきたい。

次回は来週月曜日、10/12午後八時から再開とする。

3165安価のやる夫だお:2020/10/05(月) 22:12:27 ID:X0mNKfjk0
乙ー、お大事に

3166安価のやる夫だお:2020/10/05(月) 23:00:52 ID:5.M3AXTA0

お大事に
イッチもメディカルチェック受けて、どうぞ

3167安価のやる夫だお:2020/10/06(火) 19:07:25 ID:pLQy31kA0
乙でした

3168 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:03:09 ID:2U4JVEDM0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l      ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿       
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

3169 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:10:35 ID:2U4JVEDM0

                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i        真・女神転生3という作品がPS4とスイッチでリメイクされるね。
                      { -===- 、: : :. :.|
                    〉: : : : : : : : : :ノ         この作品にはモコイさんも出るからみんなも一見の価値ありだぞ。
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,
                 __/ : : : : : : : : : : : : i        みんなもトウキョウ受胎、しよう!
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」
                     弋:::::: /
                       `¨´

3170 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:10:51 ID:2U4JVEDM0

                _____
.                /´ ̄r亠┐ ̄ ̄ヾ、 r‐ 、
            //    ̄    // ////ヽ,       /
        _   - ≦`≧=‐-=ニ二 __//_(  ̄)__圦 、_, /
   . ´         _           l   `"  ━・ヽ `ー-/
 ィ´__ο     f´   Y    _ _     |           l    __ ヽ
 リ ∨/////7   _`…"   , ',,;;;;;,, ' ,  |              /;;;;;;;;`, i
 l ) ∨///// ( ノ     //;;;;VY;;il;;;' |          ‐―  ,';;≧Y;;;}.!
 i_  ̄ | ̄ ̄|       {;;;゙≧以≦;;;}┴‐ … ''  ¨   _i;'';;;;,,,,;'リ」
  ..ゝ、 ̄¨ノ ̄=..‐...-..-┘;;;;〃iゞ゙彡'--―== ¨:.. ̄ ̄..  人;ゝ;;;ノ
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久々の帰郷、と言っていいのかは分からないが、若干浮かれ気味の
はやてに連れられガレージへと向かった。

彼女がシャッターを上げるとき、ぼうっと立ってるだけだったことに罪悪感を覚える。
気の使いすぎだろうか。そうだったとしても、肩身は狭い。
はやてはきっとなんとも思っていないだろう。それでも、狭かった。

はやてが運転席に乗り込み、自分が助手席へと座る。
小さめのシートはネクストのパイロットシートを彷彿とさせた。
閉所恐怖症なるものもあるらしいが、自分は収まりのいい場所にすっぽり
身体を滑り込ませたりすると安心する性質だった。

時々説明を受けながらシートベルトを着け、背をもたれさせ一息つく。
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3171 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:11:04 ID:2U4JVEDM0

    |      |
    |      |
    |      |     r'⌒ヽ
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    |      |⌒ヽ         '⌒ヽ
    |      |  .:ノ⌒ヽ     .. .: ..::::::::)     ||` 、
    ,.|      |   . .. .::ノ.:....        ⌒ヽ     ||   ` ‐-ゞ';
   (...:|      |       .. .:::'⌒   .. .....::::ノ'⌒ヽ ||    ゞゞ';ゞ';ゞ';
  , '´:|      |    .: :   . '⌒ヽ   .....::::::__||__  ゞ';'爻ゞ';ゞ'ゞ';
 (  ..:|      |             .. .::ノ'⌒ヽ  /二二||二/ヽゞ';ゞ爻';ゞ';ゞ';ゞ';
⌒`ヽ. |      |                 |     ||  | | ゞ';ゞ';l|ゞ';爻ゞ'iゞ';
    |      |__.. -‐=…. .  .: .: ̄:: .. ` …=‐亠x.」 |   |li:l!ゞ';il!ゞ';ゞ';
_ .. -‐x|      |;" ' " ;" ' " ;" ' " ;" ' " ;" ' " ;" ' "ノ川"_..ィf
; " '。 : |      |;"  ' " ;"  ' " ;"  ' " ;"  ' " ;" , ' "  _.'ィ'i"i :l:'′
; ", :,|      |; " ' " ;" ' " ;" ' " ;" ' " ;" ' " " ..ィi"´」  .:レ'l/′
; " '。 : |      |;" ' ";" ' ";" ' ";" ' ";" ' ";" ' ".. ィ "´!´..:|'爻r'」´!.,:′. :
;" ':;";゜|      |;" ' ";" ' ";" ' ";" ' ";" ' _..,ti  :l| ゞ';"´!:.爻:. , '′
;" ':;";゜|      |;" ' ";" ' ";" ' ";" _.. -'"i! :| :| .t!'"| .:|..:」::...爻ゞ';    l
‐- :....._|      |;"';..    .";" _ .イ" l|  :l| 」.t''"「.:l| i,i´:l!.:ゞ';′    │
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L........ .:|│.:}...:}...:|: . . ゞ.:!  . :|....::, '′ゞ'; .l..:"ゞ';ゞ'         //     .l!
=- ...:_|└┴┴┤........:.j」 . .:|/l!   li "ゞ';爻         //  ―   l.!
{::....  |.: ̄ ̄ ̄|=‐- .」!_./ .:{!   /爻爻            /  ___  :l |
L........ .:|      |{::......... |「  ....:|l:/ゞ';爻ゞ';        //         ! !
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::. /l/.|      |r‐- .._l|:.v/ゞ';ゞ';ゞ
::..|!::ll .:|      |{ ル';人Yゞ;'ゞ;'ゞ';
` |!::ll./|      |ル';ノ;ハ;'゚乂ゞ';
    |      |

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貧弱なエンジンの律動を聞きながら、流れていく風景を窓越しに眺める。
気持ちのいい青空には千切れ千切れの雲が浮かんでおり、
雨の気配は一切なく、長閑なものだった。

たまに人と通りすがった。誰もがラフな格好でのんびりと歩いており、
急いでいる様子など微塵もなく、車内のはやてを見つけると手を振ってきた。
桜花のリンクスであるから当然なのだが、やはりはやては有名人だ。

実は自分も少しだけ、はやてに関する情報を閲覧したことがある。
ネクスト戦役の生き残り、桜花唯一のリンクス。
その上この容姿だ。メディアも扱いには困らなかったらしい。

そして、その有名人の助手席に座っている自分には、
当たり前だが不思議がっているような視線を投げかけられた。
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3172 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:17:33 ID:2U4JVEDM0

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       .,': /: : : ',: : : ! \, 斗:.'"、: :ヽ:ヾ、: / /: :'、/ :ヽ、: : : : : : ヽ:ヽ
      i: :i : : : : ',: : :',才´ ヽ、: : ヽ: : : ヽ:ヾ /: : : :', : : : \: : : : : : :',: ヽ
      i: :!: : : : : :',: : :', イ示=、: : ',ヽ: : ',: :ヽ: : : : :',: : : : : \: : : : : ヽ: :`ヽ
      ',: i: : :、: : : ヽ : '、 i刈 ノ.ヽ: ', ヾ: i、: : :ヽ: : : :!: : : : : : :\ : : : : ヽ: : :`ヽ
      ',:!'、: :ヽ : : : ヾ、ヽizリ    ヾ  ヾ ヽ: :! ヽ: : !: : : : : : : : :ヽ、: :: : :ヽ: : : :ヽ
       ヽ ヽ: ',ヽ r'  ヾ'、         ',: ! イ.',: i : : : : : : : : : : !ヽ: : : : ',: : : : ',
        `     ∧              !:! : : ',:i: : : : : : : : : : : !: :ヽ: : : ヾ.: : :.',
              廴___         ,イ:!: : : :i!: : : : :',: : : : : : !: : i ',: !: ! ',: : !
                 ヽ、               リ: : : : !: : : : : ',: : : : : :!: : :! .!:i: :!  ',: i
                 /.ヽ、__ ,      イi!: : : :i:、 : : : : !'、: : : ハ: :i i:!i: !  i:i
                 / i : : : : : ∧   , イ;;;;>'" /:! ヽ : : i ',: :,'  i: i リ リ   i:!
                 i: ハ: :i、: : : /二彡イ.   /::i   ヽ: i  i:/   i: !      i!
              _r―ヾ',‐/ .!, イ.    /::::::::!     ヽ .i'    !:i       !
             イ .i   〃r―‐,ヽ,  /::::::::::::i   ,ィヽ ',     リ
            i__.! // i:::_/  ',/:::::::::::::::::i   /_  \ ̄≧  、
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       ヽ,  /:::::',:::::iー---/:::::::::,:::イ::::::::::::::::レ、          / /   、 !
        ∧ ,.':::::::::::::∨!:::::::::/:::,::イ::::::::::::::::::::::::::::::::::i> 、.     i i!   ヽ、!
        ./. /::::::::::::::::::',:!:::::,イイ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::!:::::ヾ、、  `ー-ニニミ ヽ、
      , '  i::::::::::::::::::::::',!/イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::i:::::::::::ヽ `ヽ、     `ー-ゝ、

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「あそこが商店街。大抵のもんはあそこで揃うねんな」

「……ホームセンターとか、スーパーとか、そういうので……というより、
ネットショッピングで済む気がするけど……これも、ブライドル地下の店と
似たようなものなんですかお?」

「せやで、文化の再現や。娯楽も兼ねとるけど。
便利で手早くなった分、娯楽やコミュニケーションの手段といった
性質を持ち合わせていたものも、それを失ったさかい。
せやから、わざわざ非効率的なことをしとるんよ」

おかしな話には違いないわな、とはやては自嘲するように唇を歪めた。

「散々自分たちで町だの海だのぶち壊してきて、非効率的だちうて色々と捨ててきて、
行くとこまで行ったら『やっぱ味気ないから』ちうて捨ててきたものを再現しはじめた。
生活が娯楽へとまるまる移ったと言えば、技術的に豊かになったとも言えるけど……」

「でも、ここはすごく豊かに見えますお。皆、見たことない目をしていますお」

道行く人の目を見れば、そこには自分にもはやてにもないものがあった。
活気の一言では片づけられない、心の豊かさとでも言おうか、
そんなものが瞳の奥から漏れ出ているように見えた。

憂いも鬱憤もなく、こちらを見ても敵意や害意を出したりしない。
穏やかで満ち足りた目だった。
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3173 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:26:15 ID:2U4JVEDM0

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              //⌒ヽ(.: .: .:.:\.: .: .: .: .:.\.: .:\.:\
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             /.: .:.|.:.: .: .:| :|   |.:.:.|.:.:./ ̄ ̄\ :| .: 〈∨〉 : :.
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           /.:|.: :| :|.:.:.: .:.:|八  | .:j||.: .:| _|__|_.:/ ///:|.:.|: .: .: |
           .:. .:|.: :| :|.:.:.: .:.:| xfて㍉.:リ|.: .:|'⌒て(~"Y/.:.:|.:.|: .: .: |
        /.: .: :|.: :|八 : .: 八  _):刈 |.:.八   _):狄リ| .: 八| .: .: :|
        /⌒7.: : |.: :|.: .:\.: .:.:ヽ乂少 j/   ∨'少'.: .:/,ノ.: .: .: :|        幸せな人たちや。大半は桜花の社員で、
          |: .:八.: .: .:\:\.:〈⌒, ,  、    , , 厶イ.: .: .: .: .: :|
          | /  \(\: \:::込     _       イ.:.:.: .: .: .: /.: |        子供は桜花直属の養成学校の生徒やけどな。
          |:    \⌒\ .: 个        //.: .:/.: .: .: /.: : |
            /.: .:./r<\.: .: .\:>-<  / ̄/ .: /.:./、.: .:.|         それでも、ここにいる限りは、あないな眼しとられる。
            /:r<__||"^\\.: .: .\___/∧///.:.//\:|
            / : /⌒\八   \\.: .:| \_/〈∧\.:.:// / ̄ ̄|       どこの企業も、本社に直接攻撃はご法度やさかい。
        ⌒7 :〈      ∨ ̄ ̄ ̄ ̄|.: |〉 /⌒\ |:::::V/./     ∧
          {.: 八    / /    .八∧∧:i:i:i:i:|\:::::: 〈     /⌒\     企業のお膝元ちうんは危険に見えて、
         /    r<      /:::::::::〈 \:i:i|  |\::::〉      \\ |
        /     /____/::::::::::/ :\ |⌒ヽ |::::::\~"''〜、、 \\     世界中のどこよりも安全なんやで。
.       /  _.、-''":::::::::::::\::::/____/::::::::::::|:|:i:i:i:i|:::::::::::: ̄|:::::\:\ \\
      _.、-''" /:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::/::::\::::::\:i:i:i:|:::::::::::::::::厂〕:::::Y: \__|. \
     /    ./:::::::::::::::::::::::::::::}:/: /:::::::::::::::::::::::::::〈⌒〕:::::::::::/ ̄:::::::::}::::::| \  \
    /      ノ:::::::::::::::::::::::::::::::/::::::``〜、、 :::::::::::::::\|:::::::::/::::::::::::::::八::: \ \  \
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はやての言わんとすることは分かる。
たとえ四大企業、その傘下の企業であっても、会社や組織そのものを
叩くことは経済戦争における禁じ手とされている。

そんなことをしたら最後、ネクスト同士の大戦争が勃発する。
ネクスト戦役の惨憺たる結果を忘れた企業連ではない。

人類は力を持ちすぎた。自らが住まう星を破壊しつくし、死の星へと変え、
自らにとどまらず全ての命を絶えさせることが十二分に可能なほどに。
だからこそ、経済戦争はいつだって小競り合いだ。
全面戦争など起こり様がない。起こった時は世界の終わりと同義だからだ。

養成所でもなのはではない教官が口酸っぱくして言っていた記憶がある。
流れ弾一発でも粛清もの、壊滅でもさせたなら大戦争だ、と。

現代社会は火薬でできている。火種さえあればいつでも爆発する。
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3174安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 20:30:09 ID:nB9sAYXQ0
作られた平和だなぁ

3175 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:31:53 ID:2U4JVEDM0

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圭I\
.≦≦;\
土土土|
土口土|__
土土土|ア
土口土|__
土土土|ア                         , -─- 、
土口土|__                        /:.:.:.:.:(℃):.人__
土土土|ア                          i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:(    `ヽ
土口土|__                  _ .  -─┴====‐<´ ̄ ̄`
土土土|ア                 x≦三て三て三て三てミ、:::::::::ヽ
...... ̄\]}.::..:..:..ー::::..:..::.:... x≦仁三て三て三て三て三ミ、ト、:::::::::!....................
______||__ii__....,.  -=ぐ三て三て三て三て三て三てシソ::::::::iー::::..:. . :..::
.     ||..   ≦二二二≧て三て三て三て三て三てヲ':::::::::::, .: ::..:..:-. .:::
.     ||..... ,.ィ≧二二二{て三て三て三て三テ二≠´::::::::::::::/:...:..::.:..:.〜 ::
 :..:..ー:::z=≠二二二二二二二二二二三≧≠´ ̄::;:::::::::::::::/ ー:..::. .:..:-. ::
z=ニ二三r‐=≠ニ二..___ ̄ ̄ ̄ ̄ ..::::::::::::::::::::イ:::::.  '´:::..:..:.:...:..::.:..:.〜 :
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最後に案内されたのは、人気のない岬にぽつんと建つ一軒家だった。
よく見ると看板がかけられており、「おさむし診療所」と味気ない文字で書かれている。

波の音だけが響く、寂しい場所だった。
アスファルトの隙間からはこれでもかというくらいに雑草が生い茂っており、
管理の不行き届きを伺わせる。

廃墟と言っても過言ではない診療所の隣に車を停めると、
はやては躊躇なく外へ出て診療所の扉を鼻歌交じりに叩いた。
不安を抑えつつついていくと、「入っていいぞ」とつっけんどんな声が聞こえてくる。

低い、けれど老いてはいない。男の声だった。
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3176 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:36:55 ID:2U4JVEDM0

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        |: : |/|_\ : |.: :.|/斗‐=ミメ、 : : : |:::::::i::::.: : : : : |
        |: : l斗‐=ミ_{\|  辷ぅzン|: : : : : |:::::::|:::::. : : : : |
        |: : | 辷zソ         |: : : : : |ヘ:: |::::.: : : : : |       こんにちは……ああ、はやてさん。
        |: : |::.  〈             |: : : : : |ノ}:::|::i:.: : :|: : |
        |: : |:ハ           |: : : : : |.ノ::/人: : :|: : |        待ってましたよ。
        |: : |:八   r 、        |: : : : /|::://:::::}: : |: : |
        |: : l::::人             |: : : /: |//::::::::|: : |: : |         先生? ほら、先生! はやてさん見えましたよ!
        |: : |::::|:::::ヽ        イノ|: : ::::: 〃l : : : |: : |: : |
        |: : l : | :::::::` -‐ヤ    |: :l: /:::::/: ;': : : : |: : |: : |
        |: : | : !:::::::::::|::::rく二二八 |/::/:.:/: : : : : : :人: :!
        |: : | : |:::::::::::|::::{Oハ    /イ.: :./: : : : :/: /: : : :{
        |: : | : |::::::::://} ∧   / : : : /: : : : :/: /:::::::::八
        |: : | : |:;ィf/}.// .人/: : : :/: : : : :/: / ̄`ヽ:::::\
        |: : |// 厂 ̄}'" /|: : : :/: : : : : :/    /⌒丶、
        |: :/.イ   {__ノ   / :|: : :/: : : : :/    /     \
        |/::::|   / / .   /  |: :/: : : : /     /          \
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   ~ ̄ ー-          厂
        `,つ   ー=一
        (     r―一          、__
          ̄) |             ,> 二ニメトヘ、
          {._ l    _       ーイ   `Z:::::::::::::ヽ
           }l._」」ノ}        〃ィrヘハ気メ;:::::::::::::::
.            ~ ̄77/_        l _  キ 〉::::::::::::!
               f′ ,='       〈_ ` キ レ‐;::::::ノ           ん? あー……まあ待て。
  .           / ノ          /     Σ::::く_,
            / f       _ -r一/ rヘ. ̄〉-―-<            まだ吸い始めだ。
.           /   !__     _// ,ムノ´/´  |/     \, v‐y―z'⌒ヽ
          /   |  メ^' ̄l  /  {/         〆    >'´ ̄`<  「た、タバコ? 火点けてるお?」
          |    ト  〉      i′              /     /
          L__ノムノ一ー-f  /o         , -一>'    -=ニ    おお、紙タバコは初めて見るか、坊主。
                   ;  /         イ´  /  -=ニ
.                  /  {         /  /  ノ´           一本やろうか? 電子式にゃ戻れなくなるぞ。
                  /  ノo        /   lf /
                  〈   /____   , ィ′  |巛
 ____________ノィ7///////>、   |
.//////////////////////./////////////∧ノ
l//////////////////////|/////////レ'///ハ
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3177 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 20:43:16 ID:2U4JVEDM0

                     ''"゚~~゚~"''〜、、
                . :''"゚/ :/⌒\.: .: .: .:.\
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          /.: .: .:|_:/\ : : .: /\:斗tーミk.: .: |.: .:\.: .: .: .: :\
.        / :/.: : |〈"⌒ヽ.: .:.:|.:/ ノLハ 小:.:|⌒Y. :',.: .: : .:',~"''〜、、
        .: /.: : 八.:.:./ )ハ:.| : } 乂少'  :|.: :|ノ 人/∧.: .: .: : ',.: .: .: .: `丶、        未成年に堂々と喫煙勧めるの、
      |:/|.: .: .: .:\:. ィうぅk|:V    ' '   |.: :|イ___//∧.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
      | |.: .: |.: .: .: : 、乂ツ r        / |.:八厂| \∧ .: .: .: |.: .: : .: .: .: \.: \      堪忍して欲しいですねえ。
         |八.:|.: .: \.: .:>      フ   /_彡 / / \. .: .: .:|.: \.: .: .: .: : \.: \
         \(⌒¨¨「 込  '     ////   ∧ .: .: |.: .: .:\.: .: .: |: .:\.: \    ほら、この子です。
               |.:| .:个 .     /..:/,,/    / ̄.: .:.:八.:/⌒\.: 八.: .: ).: .: \
                .: |.: .:|.: | >‐く: \「 ̄\    /   j/  \     ̄三二ニ=---   電話で話した、リンクス辞めたてほやほやの。
             /.: 八 .: .: | .: r< / |i⌒\\_,/         \
            ⌒7{.: .: .: .:|\|/⌒几〕!/⌒\〔``〜、、      \ ''"゚~ ̄~゚"''
              :人 : : .: |__/___/:i:i:八      |     ``〜、、
                  \//>'":i:iイ  |:、    |   _.、-''" ̄ ̄ ̄| | ̄~"''〜、、
                  // r――ミノ   | \_.|/⌒ /\ \___リニニ|
               // .|   /   人.   \  /ニニ \__/ニニ |
              /.._  |__/ _ -=~:::::::\    ∧ニ=---=ニニニニニニノ
             /::::::::::\〈-=~:::::::::::::::::::::::::::\/:::::\::::::::::::::\ニニニ/\
              {:::::::::::::::: \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ::::::::::::: ̄ ̄ ::::::::::: \

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戸を開けて中に入ると、随分と荒れた内装が目に飛び込んできた。
荒れている、というよりも、かなり使い込まれていると言った方が良い。

大量の本棚に囲まれ、中央には木の卓と椅子がちょこんと置かれている。
隅の方には申し訳程度に二対のソファと、それに挟まれる形で長机があった。
一応、あそこで患者の問診をするのだろうか?

「ほんと、ごめんなさいね。先生ったらいつもこの調子なの。ああ、私は牧瀬。
この人の世話役って言えばいいかしら」

受付だと思った女性は世話役らしい。
牧瀬と名乗ったが、確かにアジア系の顔つきをしている。
というよりも、珍しいくらいに他の国の血を感じなかった。
瞳の色も典型的なダークブラウンであるし、髪色も艶のある黒だ。

凛々しい顔立ちをしているが、美人ははやてやなのは、アルトリアやC.Cと
散々見慣れているので、取り乱したりせずに済んだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3178 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:04:23 ID:2U4JVEDM0

::Vi /| /     _          / /  ハ          ヽ \ヽ\
::∧ハ./| //i/ィ/  V    /  / { /  { |  |          \ ',ヘ ハ
::::::::::V::::/:::::/ / ̄ヽ /   / /   |  | ハ  | ヽ {  l        ∧ ヽ
::::::::::::::::::::::::|  {   /  ∧||  |  | |弋 ミミ、| |  |         }ハ
:::::::::::::::::::::::::i   { |   | |ハ  ハ ト .| ィt、-、 V/ /  |         |
:::::::::::::::::::::::::ヽ   |   | ヽハ | .レ \  ヾソヘ ノ .// ノ   ィ   ハ |
:::::::::::::::::::::::::::::廴  |   |   \ハ ゝ    ゞノ/ /フ /  /    | | |
:::::::::::::::::::::::::::::/ハイ|   |      \     / イ/  /  i  .| | .ノ
::::::::::::::::::::::ノ/.// | `ー'´               レ /  /  ハ/       分かっているさ。
::::::::::::::::://   | +              -=イ:::/ / /   / ./
:::::::::::<  ´     | キ             _    V / /   /           検査ねぇ、ここでなくとも、インナーに行けばいいものの。
≦=、__     ∧キ              `    Y / /
::::::::::::::::::::: ̄≧=、 >`メ、         ̄` - _/`ー ' ´/ ./             「通うの大変やん?」
:::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:>、、        - 、ノ  / /
:::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.::.\       /                       ふん。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>、    /
:::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.≧ー<
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄`ー - 、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄ ` ー ─ - 、 _
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         ー=≦ミ:i:i:i:i:i:i:i:寸=─-
        / ≧>:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i\
       /才∠:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
      /  艾:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ム
     /  イ/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i  Y
    ./ ///:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|ノ}/} }
    {イ   ハ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/  ̄寸:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/乂./}
    , / '/:i:i:i:i:i:i{ハ/>ハ:ム 圦} .l:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/:ノ          データは一通り見たが、そいつはそんなにヤワじゃないぞ。
    |/| .ハ:i:i:i:i:i从//苡 .}:iム ::ノノ-=ニ二二二二二二二ニ=-
    | .| ! V:i:八〈.ムイ._ム=ニ二二二二二二二二二二二二/        AMS適性もそれなりにあるし、コジマ汚染耐性に至っては
     八 |   Vム乂 寸ニ二二二二二二二二二二二二二/
      \  寸\  寸ニニ二二二二二二二二二二二/          常人よりも高い数値を示している。
            ̄`く  寸二二二二二二二二二二二/
             人   |二二二二二二二二二二二二ニ=-        超人じみた戦果は出せんが、長くネクストに乗れるタイプの人間だ。
               `´人二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-
           -=ニ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ=ー
        -=ニ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ
         V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|
            V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二j_
          V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二|
          V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|
           }二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|
          八二二.二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二|
          ./二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニ|
         /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニニ
        ./二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニニニ

3179安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 21:05:47 ID:nB9sAYXQ0
肉体は兵士として最適だったが、心がね・・・

3180 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:07:27 ID:2U4JVEDM0

::::::::ィ           .-ゝ
:::::i´            `ヽ、
::::::レr-、         `ヽ、ヽ
:::::/ i |     ,      、ヽノ
:::::! i」/  i   i   i  ヽ i!.|    古臭い譬えだが……高町なのはがスーパーカーなら、おまえは頑丈で低燃費な名車だ。
:::::>ィ'  / / i .| i |i !| |ヽ!
i!  ヽ-'ヽ'v-'/ / / l' | i! i      ある程度の速度も出る。ハンドリングも効く。長く乗れる。
;`ヽ、キ  //7 /'1  i /|/
;;;;;;;;;;;;゙;;;7 '´/ノ"i./ ノ! / i!       だがスーパーカーと競り合うには無理がある。そんなところだ。
;;;;;;;;;;;;;;/ ヽ、  ィ'/ レ'
;;;;;;;;;;;;{   ,r‐ ´
;;;;;;;;;;;;|`ヽ,;;'-、
;;;;;;;;;;;;`;;;;;rュ;;;;L_
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}





     ____
   /      \      ……褒められてるのかお?
.. / ─    ─ \
/ -=・=-   -=・=- \   「半分はな」
|      (__人__)  U  |
\     ` ⌒´     /

3181安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 21:13:56 ID:nB9sAYXQ0
プリウスミサイルするには最適とな?

3182 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:14:51 ID:2U4JVEDM0

                _、
           _、-、_)\
        ≦ ̄     ヽ  >-、
      < ̄     __≦ヽ<`\
     -≦       /:::::::::::::::::::::::::::::::\
     /       ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
    / /      、'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
  '´ フ      /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ノ/i /l
   / /     /:::::::::::::::::::ハ:::/|::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::://:/ /      それじゃあお望み通り検査するとしますかね。
  Ⅶ /    ノ:::::::::::::::::i:/ .|/ .i < レ´|:::::r-、::::::::::::::::///
   / イ    /イ::::::::::::::::レ ニ三' 、 ̄ノ:::/ j i:::::::::::::::::::::://      あっちに機器がある、ついてこい。
   V | /  ,  |:::::::::::::::|`、´、ヱソ ./::::.i i} /::::::::::::::::::/ノ
    |∧  i  |:::::::::::Ⅳ  X    {::::/ ノ:::::::::::::::::::彡        患者衣に着替えてもらうから、そのつもりで。
    V∧ .ハ i:::::::ハ:i/   X    V ノ /r―- --<
.      Vハ ハ;:::|、Vヽ__ , X  ///::::::::::::::::::::::::::\
        Xハ/レ:::::::ヽ、     </ゝ/::::::::::::::::::::::::::::::::::
      /:::::::::::::::::::::::::::::ト- イ//ハ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
牧瀬の方はしっかりした印象を受けるが、医者の方は正反対だ。
黒コートに白髪まみれの頭髪、大きな縫合痕が顔の上を斜めに横断し、
上部がネグロイド系じみた肌色となっている。

若干老けて見えるが、かなり端正な方ではないか。
言葉遣いは擦れた若者のようにも、意地の悪い老人のようにも聞こえる。

名乗りすらしない変な男の背中を追いつつ、一抹の不安を覚えた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3183 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:16:58 ID:2U4JVEDM0

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                             ┌─┐
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                               └┘


                                   □

                               ・

3184 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:19:33 ID:2U4JVEDM0
〜Tips〜
                  {  ね こ な マ
                   ) エ と ぜ .ト
               {   ん が .あ モ
         ,. -==ニア} だ で た な
       /      (  い き り 医
        ,イ          ヽ ! !.    ま 者
     /:,′            \_   え な
  ハ ハj:::}    レ'へ.    /\  ) の ら
  !::V::::::::::レ-、 /二>l i /∠二ヽ \  __
ト、j:::::::::::::/ァ、 レ' 、_少 | |レ' rァ、 ,.| | 厶 '´
\:::::::::::::{ し' u     レハ キ `´/ | |
<:::::::::/ー!キ r'二二ヽ、._〉キ / レ'
─一く   丶 ヽ    \}  キ/
    \   \`ー一'  /
'´ ̄`\ \   `>一' ´
.     ヽ  \_<
ー- 、   i    }
.   \ |    {

【Name】
間・T・クロード
【Note】
31才アジア系男性。
コロニー・アマツ、つまりは桜花重工本社にて勤務するドクター。
天才的な外科医として知られているが、招集時以外はアウターにある岬の「おさむし診療所」にて町医者の真似事をさせられている。

叩き上げで企業本社のドクターまで昇りつめた男。技術的には最高峰だが言うことを聞かない問題児であるため、重要人物のオペなども担当するが、役職はもらえていない。
父はオルデンブルク本社勤務だが絶縁状態。

表面的には酷薄で厭世的な皮肉屋。冷静沈着だが根は古風なタイプの男。





                ,. : : ': : ̄: :`: :': : .、
              / : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
              , ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
           /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',
            ,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',
          i : : : !: : : : : : : : : : : : : : : : : : i: : : : :i
            i: :|: : :'; : : : : : : : : : ハ ___.: : :|: : : : :i
            !: :! : :i、:i:、: : 、: : : :.≠気-iァ: : |r 、: : |
           !: :':.-|-ャ‐\:.ヽ、;/ イ込シ" : : !7|: : : |
          |: : i; iィT弐iヾヾ       |: : : i|'ソ: : : i|
              '; : :!:ヽ ''''"   ,     i: : : i:.|: : : : !.i
.             ';: :!:.:.:ヽ   `       ! : : i: ': : : : !:.i
           '; :';.:.:.:.:.:.. 、 ''ニ"   ,イ: : ;' : : : : : |: :',
            i,: :';.:.:.:.:.:i.|`i:. 、_ .ィー!: :,': : : : : : |: : ',
             |'; : : : : : ! |:.:.|!0 i| ,'|: :i: : : : : : i:.: : :ヽ
             |!ヽ: : : : / |:./厂 ヾ、|: :!: : : : : :;':.: : : : ヽ
            ,': : ヽ;.:ノ-‐イ;;{  ハ',|: :!: : : : : :!、:.:. : : : : ヽ
          /"7‐'' ´  '"´i;;;;;}ノ;;;;;;/`',: : : : : : :| ̄`"''''7 ュァ‐,
          i   !   ,    rヾ";;rイ  '; : : : : : :|    /  / ,' i
.          ハ  ',  /    !;;;;;;/      ':,: : : : : |   ./ /   ',

【Name】
牧瀬紅莉栖
【Note】
18歳、現代においては珍しい純日本人女性。
桜花重工本社勤務のAMS技術研究スタッフである他、「おさむし診療所」で間の助手を務める。
すっきりとした顔立ちの美女だが愛想はあまり良くない。父も同じくAMS技術研究者。
企業内でも若くして才覚を発揮しており、自身をリーダーに据えた研究チームを持つ。

気丈で頑固、根気強く研究熱心な努力家という典型的な技術者気質。
意外と付き合いが良く、間の私生活での面倒を見ている。

3185安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 21:22:02 ID:MZEEypVg0
31歳か…近いな…

3186 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:24:07 ID:2U4JVEDM0

.         {ハ/ /   j/i//ノ-‐=彡' ノ,1           i
           | !   /{i/-‐‐===≧彡' ノ         i
          !ハ! i /X `赱テ'⌒´ ̄`7´             | i  i i
             VV{  X       / /⌒Y        レLノ!ノノ}
           /ヽ   X      / / ん│         __彡'彡イノ
            (      X   (  / ん' ム=≠´ ̄ ̄      `7    ……。
       r‐--‐=ニ`ヽ._,   X 「 ̄ ̄ ̄´               /
      ヽ.       ハ ‐     `!                   /
         \       }      〉                    (
          _`つ    `ァ‐┬=f升                  ` ー--
 f⌒T´ ̄ ̄´       /ニ、立7´_j





          ,/ ̄ ̄\/ ̄`ヽ、
      _,/ ̄ ̄ ̄`   \    \
     /´              、    ヘ    ……。
 _/、   ,イ         i     .}
(     )_//              リ ピピッ…ピピッ
( ̄ ̄ )_/ゞ、_______,ノ__,ノ
  ̄ ̄

3187 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:24:18 ID:2U4JVEDM0

          ,/ ̄ ̄\/ ̄`ヽ、
      _,/ ̄ ̄ ̄`   \    \
     /´              、    ヘ      ……ここの人達は、優しそうですお。
 _/、   ,イ         i     .}
(     )_//              リ      「そうだな。平和と豊かさと娯楽が揃えば優しくもなるさ」
( ̄ ̄ )_/ゞ、_______,ノ__,ノ
  ̄ ̄





::::::::ィ           .-ゝ
:::::i´            `ヽ、
::::::レr-、         `ヽ、ヽ
:::::/ i |     ,      、ヽノ
:::::! i」/  i   i   i  ヽ i!.|
:::::>ィ'  / / i .| i |i !| |ヽ!
i!  ヽ-'ヽ'v-'/ / / l' | i! i       で、おまえはなんだ。人殺しに嫌気が差して逃げてきたんだってな?
;`ヽ、キ  //7 /'1  i /|/
;;;;;;;;;;;;゙;;;7 '´/ノ"i./ ノ! / i!        虫が良いったらありゃしないな……自覚もなく散々殺して、認識した途端に
;;;;;;;;;;;;;;/ ヽ、  ィ'/ レ'
;;;;;;;;;;;;{   ,r‐ ´              安全地帯に高跳びか。いいご身分じゃないか。
;;;;;;;;;;;;|`ヽ,;;'-、
;;;;;;;;;;;;`;;;;;rュ;;;;L_
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}

3188 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:27:39 ID:2U4JVEDM0

     / //::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
       /./ イ::::::::::::::::::::::::::::::ハ:::::::::/::::::ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.       /./ //:::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::/::::::/ i::::::::::::::::::::::::: _ _ :::::::::::::::
      |/ //::::::/:::::::::::::::::ハ:::| ./:::/三≧///::::::::::::::/ _ ヾ:::::::::::
      | / .i:::::/i::::::::::::::::::| 升彡イニ ̄   //i::::::::::| /  ) i:::::::::::      「やる夫のこと、嫌いなのかお?」
.       i .l::/ ィ::::::::::::::::::| ヾテr j /     ./::::::::::| ) / .|::,:::::-
.       | .| ハ i:::::::::::::::::::ミ、 )‐'´      /::::::::::::| / - ' ´三三      勘違いしてくれるな、おまえが嫌いなんじゃない。
.       |  | |.レi::::::::::::::,、:ヽ\        ./:::_::::-:::'::´三三三三
.        ヽ  | | |:::::::::::/ `ミ、_ \   _ - ' ´三三三三三三三       リンクスが嫌いだ。ノーマル乗りが嫌いだ。
         Ⅶ Ⅵ::::::::/_  -    Y´三三三三三三三三三三
         ヽ  V:::ハ:::::::>、  _ .\三三三三三三三三三三       もっと言えば、この時代、風潮、全部嫌いだ。
          /ヾハ:::/三 >' ̄    ヽ三三三三三三三三三
          /三三三/三三ニ} ̄    V三三三三三三三三三
         /三三三三三三三::i、   _ ィ ト三三三三三三三三
       <三三三三三三三三三三三三ニ.| ヽ三三三三三三三
        ` - 、三三三三三三三三三≧/:::\三三三三三三
           ` - 、三三三三三 ///):::::::::人三三三三三三
              \三三ニ.///.//::::::::/ | |三三三三三三






        /               Vミ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
         {                ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヘ
        |             i    V:::::::i::::::ヾ::::::::::::::::::::::::::::ハ:::∧i
    _,ィニニ|          /  ハ   }:::::::::ハ:::::::}}:::::::::::::::::::::::、::i |::|
  _,ィ壬ニニニ.Vi      /  |   / .|   }::::::/ i:::/ノ:::/i:::イ:::::::::::::ヾ|レ-、
<ニニニニニ|:v:i   |  |  . |  |  }  |::/_///∠/ノ::/::::::ハ:::::/二二二
二二二二二ニ|::::r 、| |  |  . |  |  |  /イ彡'ニ='´ ̄Уイ:::::::|/:::ハ二二二
二二二ヾ\ハ/::/  |ヽ|  |   ||  .| / / /<弋ン>  /:::::::::/ i/二二二ニ
二二二\:::::::::::i  | ヽゝ |   ||  | /./ ∧   ̄ ̄  /:ハ::::/ハ|二二二二    おまえらリンクスにかかれば一億人だって数分で殺せる。
二二 ヾ\:::::::::∧  | |ヽ∨ヽ .||  | レ |    \    イ/::::/二二二二二二
二二ニ≦ヾ:::::::::::::\_ヾ  V  ||  |  .|     \   /ハ::/二二二二二二ニ    けどな、一人救うのに俺は丸一日、下手すりゃ
二二二≦=、_:::::::::::≧、 ヽハ ヽ .|  |      ヾ ハ二二二二二二二二
二二二二ニフ/ ̄|´  \    \ハ.|  ー'      レ' |二二二二二二二二     何か月もかかるんだ。帳尻もクソもない。
二二二二二ニ|  |   ∧     ̄` ´ ̄     /  |二二二二二二二二
二二二二二ニ|  |    \\   ` ̄     <     |二二二二二二二二     おまえらが億殺して歓声浴びてる裏で、
>、二二二二.|  |       >      //     |二二二二二二二二
二ニ>、二二ニ|  |        >──イ/     ∧二二二二二二<      俺みたいなのが必死コイて一人治してるんだ。
二二二 >、ニゝ  |         >=-=<     / /二二二二 <二二

3189 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:31:23 ID:2U4JVEDM0

                   、-、_____
               ≦  ,;≠"':':':':::::\
                <  ,;''":::::::::::::::::::::::::::ヽ
              _〃 ,'::::::::/∧ル::::::::::::::::}
               7  ハ´ ̄¥ ´ ̄|:::::ト、:::::!      で、それが普通になってる。
                レ! イ  ̄ キ ̄` |:::::| }::::}
                Vハl   / キ  .l:::├<:::/       戦争なんていつの時代もあるもんだし、なくなりゃしない。
              ∨ヘ    `  キ 仏イ:::::::〈
                 ル ハ  ―  キ   |:::::::::彡       それは知ってるし、分かってるつもりさ。
                    \_ イ   ハ;;;;;彡
                   〈 ̄ ̄l_ < ̄ ̄7
                     >:::::::/水ヘ }::::::::::::\
                   イ::::::::l ハ  /::::::::::::::::::ヽ
              /:::::::::::::lノ ヽ/:::::::::::::::::::::::ヘ
                 /:::::::::::::::::::l   /::::::::::::::::::::::::::::::',
             l::::::::::::::::::::::| ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::l
                l:::::::::::::::::::::::| /::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
             l:::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l





         ー=≦ミ:i:i:i:i:i:i:i:寸=─-
        / ≧>:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i\
       /才∠:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
      /  艾:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ム
     /  イ/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i  Y
    ./ ///:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|ノ}/} }
    {イ   ハ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/  ̄寸:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/乂./}
    , / '/:i:i:i:i:i:i{ハ/>ハ:ム 圦} .l:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/:ノ
    |/| .ハ:i:i:i:i:i从//苡 .}:iム ::ノノ-=ニ二二二二二二二ニ=-         けどな、今の奴らはそれがベストだと思ってる。
    | .| ! V:i:八〈.ムイ._ム=ニ二二二二二二二二二二二二/
     八 |   Vム乂 寸ニ二二二二二二二二二二二二二/          戦争することがベストだと思ってる。
      \  寸\  寸ニニ二二二二二二二二二二二/
            ̄`く  寸二二二二二二二二二二二/            戦争に参加することがクールだと思ってる。
             人   |二二二二二二二二二二二二ニ=-
               `´人二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-     悪いとか罪だとかそういう問題ではなく……
           -=ニ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ=ー
        -=ニ二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ  それがポピュラーになってることが気に食わないね。
         V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|
            V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二j_
          V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二|
          V二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|
           }二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ|
          八二二.二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二|
          ./二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニ|
         /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニニ
        ./二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニニニ

3190 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:34:03 ID:2U4JVEDM0

               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \    じゃあ、先生は何が正しいと思うんですかお?
            |      (__人__)     |
          \     `⌒´    ,/
          /     ー‐    \





       / イ           //:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        /ハ/  /  ,      //:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
      レV  /  ィ      / 彡:::::::::::::::::::::::ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
      | {  ./ /  /     /:::::/:::::::::://:::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
       | ハ .イ   /    / /::/:::::::/ ノ:::://:::::/::::::/:::::::::::::::::::::::::::|
       | i .| /  /i    / /:/i::::::∠-=彡-=ニニK::::イ≦::::::::::::::::::::::::::/
       レ |ハ  i∧    /i/:/::::ハ/ \ ≧ィtjヽ、_ ̄>イ::::::::::::::::::::::::/  i
         | |ハ ./ l    | |:::|::/     \ ヾン_> ≦彡::::r -、::::::レ彡/       世の中何が正しくて何が悪いのかなんて、
        >ハ ;;ヾ:::|  |  ハレ:://      ヾ  ̄     /::::/ r 、}:::::::::イ/ /
      /..:::::::::\:::::ヾ ハ |  /       \      /::::∧  /::::::::::://ノ      本当に判断できるのは神様くらいさ……
       /.:::::::::::::::::::::::::レ:::ヽ|  ヽ_、        }    ./::::/ y./::::::::::::::::::://
     ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧  _        {    廴:/  ノ:::::::::::::::::イ=≦、      信じたいように信じて、憎みたいように憎む。
   /::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::∧   ` ̄ ー-     }    /ー'´::::::::::::::::://::::::::::\
  /::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::{i:::/ ヽ   ̄        {  / |:::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::     俺もおまえも。気に入らないね。
 ./::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::{i}/  ∧            レ'´   |≧三ニ=:::::::::::::::::::::::::::::
../::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::|     L__   - <´   /:: ∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::
∧::::::::::::::::∧::::::::::::::::::::::::::::ヽ      <´      ...::: |} ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::
./::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::}        > - 、  ..::.:.: ノ_ X≧=-::::::::::::::::::/:::::::::

3191 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:36:06 ID:2U4JVEDM0

     /         /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
.    /        /::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::|::::::::::::::::::::::..
    / /      /::::::::::::::/:::::::::::::::::::::/i:::::::ハ:::::::::::i::::::::::::...
.  / /      /::/::::::::::::/::::::::::::/::::::/ ノ:ハ i V:::::::l::::::i:::::::::::..
  / イ /  /  /イ::::/::::::/::::::::::::/::::::/ /:/ i.l_V:::::|::::::|::::::::::::::::...
 i .ハ./  /   i /::::ィ::::::/::::::::::::::i::::::::レ=ニ='' ̄V:::|:::::::|:::::::::::::::::
 l ハ i   /    {::::/:::::::i:::::::::::::::::l::::::::彡´=t=ョ=≧i::/:::::::l::::/ヾ::::
 l レ  /.    i;/i:::::::::|::::::::::::::::ハ:::::{  ´ 廴-ン ノノ::/::::レ /j }::
 l | ./ i    .| .|::::i::::|::::::::::::::ハ::::::ゝ、,,     /ィ::::::i/ ノ /::::
   V |  |  i  l l:::|::::|:::::::::::::|  ト:::ミヾ\-    ノ:::/:::レ /::::::
   V   | ハ   i::ハ::::ト::::::i::::|  } \ _ ,ヽ´  -イ/:::ヒ /:::::::::::....   ノ      ま、一番気に入らないのは……
    V  i./i  i  ヾ V:::::::::ハ:::|  i  `  .,ヾ  ノ イ レ::::::::::::::::::::::::::::/./
    ヾ .レ l ヽヽ  V入:::::| ヾ  l       ', ´  ノイ:::::::ヾ::::::::::::::彡/      そんなイカれた風潮の中でしか生きられなくて、
  ___.>、ヽハ  ヽノ  ヾ::ゞ    ヽ   _ノ  ヽ ./人:::::\:::\::::::::イ:::ノ
/:::::::::::::::::: ̄ ̄`' 、\\.∧:ヾ、 ー - '' ´_     V i:::::::::\::::>::__ノ        結局企業勤めしてる自分だがね。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、ヾ \ゝ≧  ー''´     / 斗:::i::::::::ミ≧ニ=-
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾハレミ        / イ::::::ハ:::廴:::::ニ=-\         今の時代、フリーランスの医者なんてやってられん。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ミ、>、      /  /:::::人 \ ̄:::::::::::::::::::\
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ミゞ、ー─ ‐'´    / /.i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\       企業の斡旋以外は全部弾かれるし、
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄ ̄/   i / l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/>::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/    /  |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/'´ ̄       バレたら塀の中だ。そら、終わったぞ。
::::::::::::`ー─-:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/    /   |::::::::::::::::::::::::::::::/
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<     /       }::::::::::::::::::::::::::/
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  >-<       |:::::::::::::::::::::::::廴___ノ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::i:::::i::::\       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://::::イ:::l:::::lヾ:::::\     |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

3192安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 21:38:16 ID:nB9sAYXQ0
医療品が使えない医者とか厳しすぎるもんなぁ・・・

3193 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:41:09 ID:2U4JVEDM0

       __ ミ>、   `ヽ 丶 \
   ∠ニ二__        -==─‐ - 、
   , - ニ二        -=二 ̄:::::::::::::::::::::::::` - 、
  /- '         -=二´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/  , -─ '´       , - ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
, - '/       /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
 /  , - '   /:/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/ /     //::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
/     //:::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
  /     /:://:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ノ| /
 /|     /:/ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::/|:::::::/l:::::::::::::::::::::::::::::::::レ'::レ'::
/ l     レ' /::,イ::::::::::::::::::::::/l /l/∠///レ::::::::::::::::::::::::::::::::/
  |      /::/l::::::::::::::::::::::/_, -‐ 二ニ>、  ソ了::, - 、:::::::::::::::::::      「お疲れさん。どないやった?」
  |  | l  l::::l |::::::::::::::::::::::|`‐< ̄て可、     |::/    l:::::::::::::::::
  l  ll |  レ' |:::::l、:::::::::::::|X  ` -─ '       l:::|   l:::::::::::::,イ      心配めさるな、お嬢さん。
  l  |、 |    |:::::l ヽ:::::ト、:l X         /:::/   /:::, - '::::::|
- ヘ  |::Ⅵ    l:::| ∧:::::ヾ l  `X         /:::::l  _//::::::::::::::l       神経系にも異常は見られなかったし、
::::::::ヽ |::::::ヽ  | l::l/  \::l \   `X    r'::::::::レ'´::::::::::::::::::::::::|
::::::::::ヽl:::::::::ヽ Ⅳ::ト 、   `        `X _>-'´::::::::::::::::::::::::::::::/_        汚染度数はあれだけ乗り回してステージ1だ。
:::::::::::::::::::::::::::ヽ ヽヽヽ --──--、 , - '´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::
::::::::::::::::::::::::::::::ヽ l:::::ヽ    _  <:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::        
:::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::ヽ      ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::
::::::::::::::::::::::, -──- 、:::::ヽ、__ , -─ ' \::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::
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   , - ':::::::::::::, -‐ 7:::::::/, >-‐ '´:::::::::::::::::::::, -‐ '´::::::::::::::::::::::::::::::::
‐ '´::::::::::, -‐ '  /, -‐ '´:::::::::::::::::::::, -─ '´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::





   ~ ̄ ー-          厂
        `,つ   ー=一
        (     r―一          、__
          ̄) |             ,> 二ニメトヘ、
          {._ l    _       ーイ   `Z:::::::::::::ヽ
           }l._」」ノ}        〃ィrヘハ気メ;:::::::::::::::
.            ~ ̄77/_        l _  キ 〉::::::::::::!
               f′ ,='       〈_ ` キ レ‐;::::::ノ
  .           / ノ          /     Σ::::く_,            しかし……おまえさん、随分劣悪な状況下で育ったな?
            / f       _ -r一/ rヘ. ̄〉-―-<
.           /   !__     _// ,ムノ´/´  |/     \, v‐y―z'⌒ヽ    今からでも遅くない、しっかり食って動いて寝ろ。
          /   |  メ^' ̄l  /  {/         〆    >'´ ̄`<
          |    ト  〉      i′              /     /     「先生っ! 仕事終わってないのに吸わないでください!」
          L__ノムノ一ー-f  /o         , -一>'    -=ニ
                   ;  /         イ´  /  -=ニ         へいへい。
.                  /  {         /  /  ノ´
                  /  ノo        /   lf /
                  〈   /____   , ィ′  |巛
 ____________ノィ7///////>、   |
.//////////////////////./////////////∧ノ
l//////////////////////|/////////レ'///ハ
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|///////////ム/////////|/////////|////ム'
|////////√`^  ̄ ̄ ̄ ̄` !/////////「 ̄
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|////////|            |/////////|

3194 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:43:07 ID:2U4JVEDM0

              __z=‐-Zニ=、__
           __≧  >ニニニニニ`ヽ
           _>  <ニニニニニニニニ',
            7/ /ニニニニニニニニニ!
           7  7ニニニニニニニニニニ}___ノノ-‐ァ
           И/ Nニニ!ニ=‐∨}/ニニニニニニニ<__,
              // {ニ{ニ芍ア. . . .ム=/ ヽニニニニ≦
            И∧{ ∧{ へ,,. . .〈ニ/ __/ニニニニヽ⌒          よかったなぁ坊主。
                i!__  ノ \,. .  ‐=ニニニニニ{、__
                 ヽ_  ‐=ニニニニニニニニニニ=‐        おまえさん、自分が思っているより長生きできるぜ。
                  /ニニニニニニニニニニニニニヽ
                 /ニニニニニニニニニニニニニニニニ`ヽ
                 7ニニニニニニニニニニニニニニニニニム
               /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニム
              ///ニニニニニニニニニニニニニニニニニニム
             ヽ \'ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ\
               \二ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ\
              // |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ≧=、
              // |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ}!
              //  i!ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ、\ニニ、
              //  |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ} ヽニニ\
                !ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニム  マニニニ\
                |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニム  マニニニ\






       /    \
.    /          \
.  /    ―   ー  \     ……喜んでいいのか、わかりませんお。
  |    (●)  (●)  |
.  \    (__人__)  /
.   ノ    ` ⌒´   \

3195 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:47:40 ID:2U4JVEDM0

                   、-、_____
               ≦  ,;≠"':':':':::::\
                <  ,;''":::::::::::::::::::::::::::ヽ
              _〃 ,'::::::::/∧ル::::::::::::::::}
               7  ハ´ ̄¥ ´ ̄|:::::ト、:::::!
                レ! イ  ̄ キ ̄` |:::::| }::::}       心配しなさんな。おまえがやらないなら、他の誰かがやるだけさ。
                Vハl   / キ  .l:::├<:::/
              ∨ヘ    `  キ 仏イ:::::::〈        社会ってのはそういう風にできてんだ。人助けも汚れ仕事もな。
                 ル ハ  ―  キ   |:::::::::彡
                    \_ イ   ハ;;;;;彡        おまえの場合、リンクスだから代わりが少ないってだけで、
                   〈 ̄ ̄l_ < ̄ ̄7
                     >:::::::/水ヘ }::::::::::::\        いるにはいるさ。誰かがやるんだ。
                   イ::::::::l ハ  /::::::::::::::::::ヽ
              /:::::::::::::lノ ヽ/:::::::::::::::::::::::ヘ
                 /:::::::::::::::::::l   /::::::::::::::::::::::::::::::',
             l::::::::::::::::::::::| ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::l
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           /: : : :/: : :i: : : : : : : : : l!: : : : : : ヽ
          /: : : : / : : l: : : : : : : : : i! : : : : : : : :',
          /: : : : i: : : :l : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
           /.: : : : :l : : ∧ : : : : : : i: : : : y: : : : : : :i
          ,': : : l: : !: /─ト、: i: : : :l: : : _ハl : : : : : l
          | : : : i: : : 手=ミ'ヽ: : : i´≧=zヽl: : : : : :l
          |: : : : ',: :l 人うソ ハ::/ 灯なゝl_ i : : : :l
         |: : : : ヽ {   ̄   '´  ゞ-' lィ`} : : : l      あーもう……ほんと、ごめんなさい。
         |: : : : : 乂  u.   '      /イ:l: : : :l
         |: : : l!: : ヽ`     ._ __    /l: : :l: : : :ハ      えっと、やる夫君だっけ、気にしないでね?
         |: : : l!: : : : \        イ: :l: : :l: : : iハ
        ,': : : :l! : : : : : :>   __ < : : : l: : :l: : : iハ      これ、診断書です。その、こんな形で申し訳ないんだけど……
        ,': : : : :l!: : : : :ハ:| ̄「i_「i ̄| : : l: : :l: : : i ハ
         /: : : : : l!: : l: l l/  l l.0.l l  ヽ: :l: : :l : : i : ハ     ようこそ、コロニー・アマツへ。御覧の通りのんびりした場所だから、
      /: : : : : : :l! : l: l/  // l l l i   \: : :l: : :i: : :ハ
       /: : : : : : : :l : l/===// ヘ ∧丶===''─l: : i─  ハ     しっかり休んでね。
     l::./二='´ ̄l: :i    ` \ ∨ /       l : :l   ヽ{
     l/ ヽ    l: i      { ̄ ̄}        i: : !    |}==y
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3196 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:54:45 ID:2U4JVEDM0

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  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:|斗ぅ=ミ :|:.:.:.:.:|ァう=ミ: |:.:.:.:|:.:.:.:.: |       ほい、おおきに。
  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:{ )いハ 从:.:.:.:.| )いハ Y:.:.: ノ:.:.:.:.: |
  |:.:|:.:.:|:.:|ヘ:.人:.:.: 乂;;ツ   \:.| 乂;;ツ 从:.Λ:.:. /:.|       やる夫君、額面通りに受け取ったらあかんで。
  |八:.:.|:人:|:.\\ト''        '''  /:.:.:/ }:.:.:.:.:.|
     \   |:.:.:.:.:.八     '    _,   /彡/_,ノ:.:.:.:.:.:|       先生、こう見えてお人好しで義理人情の人やさかい。
       八:.:.:.:.:.个   `       イ:.:.:.:| :.:.:.:. |:.|
       /:/:.\/ ̄         < |\__:.:|:. /:.:八|        君のこと心配してくれとんよ。
     /:/⌒∨ :. :. :. {\>r≦.  ノ| : :. :. :. :.\:.:.:|
    /:.:./ :.:.:.: ∨:. :. Λニ=‐‐=ニニニニ|:. :. :. :. :. :./:.八
   ⌒ア/:.:.:.:.:.:.:.:∨ /  ∨二二二./|:. :. :. :. :/:.:.:∨\
 / ̄ ̄/::::::::::::::::::::∨   Vニ>''´  |:: :: :: :: /::::::::::∨__
:: :: :: :: 厂 ̄ ̄\:: /{__/{⌒`}\  Λ::: :: ::/::::::::::::::::⌒\
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{   / _ -- _ u  ぃ  〉 _〈/    
.乂 //     ∨/  ヽ  |/ /           余計な事くっちゃべってないで、用が済んだら帰れぇっ!
  フK_,     ∨/  ヾ  / / / 
/ /////∧_ノ  ∨/     ∨/          「おっほほ、おっかないなぁ。ほな、お世話さまでしたぁ」
:∧∨////zz人 /∧   彡ノ _ノノ  
j  ∨///// ̄ ̄L∧        |   
|\  :}////      ヘ       |    .
|  レ┐| |       \_ __.ノ  ....
ハ     ̄\                
  ‐------ニユ             .
─- _      _j          
    \__/            


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思っていたよりも長生きできると言われて、確かに安堵した自分がいた。

肉体面での懸念は、考えないようにしてきたものの、確かにあった。
それが大したことないことに、感謝するべきなのか。

また、それはなのはやルルーシュ夫妻、アーキテクトであるラケル博士の
配慮が有効であったことを意味していた。

マーシフルは大幅にデチューンされ、出力に制限が掛かっている。
それでも重量バランスや各種性能は優れているが、かつてなのはが
搭乗していた頃のマーシフルとは程遠い。

それは、自分が操縦できるレベルまでリミッターを掛けたからだ。
なのはたちが自分をマーシフルのコックピット内で死なせないよう、慮ってくれたのだ。

こんなことなら、リミッターなんて掛けてくれなければよかったのに。
そう考えてしまうのは、薄情だろうか。
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3197 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 21:55:36 ID:2U4JVEDM0

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                             │ :: │
                             └─┘


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3198 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 22:06:40 ID:2U4JVEDM0

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             |\.: ..:{ )\ ィ芋芋ミ :|.: .: .: / ィ芋芋ミ:/.: .:.人.: : |.: |
           八..:\:{ } ^)\      |/):/      /.: / : .: .: |.: |
             /.: .: .: .: {,/ //⌒:/:/:/:.   〈i    :/:/:/: イ ノ.: .:/.: :| 八      二人だとご飯も作り甲斐あんねんなー。
         /.: .: /.: / .:.∧        ___       八.: .: / : : |.: |.:\
           /イ. .:/.:./  〈 : : : \__   |    |     . : .: / .: .: .|.: |.: |⌒
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      {     \   |/     \   / \ \     //      |  \ ./ ,:    ',
     〈 ̄ ̄\. \ <       \ハ.   \_ _/        |    ∨./    ',
     }      \_/|\        ~}    /Y⌒\      |   \ 〈 / \. ',
     }___/ / |  \     //|   /:i\  /:i:i\    |    \∨       ',
     〈    ./ |   |   \/ /∧ / \/⌒:i「 ̄ \__|     ',      ',
       〕    |  |      /V ∨_  {:i:i:i:i:i:ノ /二=-―…    ', |/     ',
      〕   / .|    \     / ̄ ̄     ∨:i:i〈./             } /       }
      〕  ./  |  \    /           ノ:i:i:i:i:\              ; /  /  }

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家に帰る前に商店街へ寄り、精肉屋や八百屋を巡って、それから帰路に着いた。

「今夜くらいは豪勢にいこかぁ。折角やしなぁ」

陽気に肩を揺らしながら、はやては帰ってくるや否や、
さっさと手洗いうがいを澄ますと台所へ直行した。
買い物袋はさすがに持たせてもらった。これまで持たせたら格好がつかない。

複雑な気持ちばかり抱えて捏ねまわしていたが、はやての姿や笑顔を見ていると、
少しだけ鬱屈とした思いが掻き消される気がした。
多分に気遣いが含まれた接し方ではあったが、これだけ長時間一緒に居ると、
その笑顔が作り笑いではないことは察せた。

顔をくしゃりとさせ、目を細めて思い切り口角を上げるその様に、
心地よささえ覚えた。なのはがはやてを紹介してきた理由も分かる気がする。
彼女と共に過ごしていると、気持ちが解けていく。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3199 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 22:16:01 ID:2U4JVEDM0

          ____
        /      \
       /─    ─  \
     / (●)  (●)   \
  ( (  |   (__人__)⌒      |    ――うっま。
  _ n \  `⌒ (     / 
  -(ミ>二==  ー‐      \     「これね、ぶり大根言うんよー。これはほうれん草の胡麻和え、冷ややっこ……
   ヽミ/∨    __とー、    ヽ
   {  ヽ    ヽ___/)  \ /  |    それは手羽元のポン酢煮やなぁ」
   ゝ  i      ゝ_,,へ  \ ノ





                      、. : …―- . .、、
                     /: : : : : : : : : : : : :>‐:、__
                    /: :/ : : : /∨: : : : : : : : : :.\`、
               , : : : /: : : :./ / : : : : : : : : : : : : : :`、
                /: : : :斗- 、 /: : : : :./ |:..:. :.|: : |: : :.`、
                 /: : : : |: |/|/丶 : : : :./ : |: :| :.|/}^∨ 〉
            / : |: : :.|: ァ=ミ、 |: : : |/ ⌒ト: | :.{/| 〉 〈ハ
             //八: 人 .... ``|Λ: | ァ≠ミ、\|/} Λ 〉:|
               /:\{ :::::::      ん心刈{/Ⅳ : : : |
                 //.:.Λ   _`   ::::ヾrシ' /:j : /: : :. :./|          「あ、はやてさん、お酒……」
             /イ:.:/ : : 、 ヽ~^ v,  :::  /ィ:../ : /: :/ :|
              |:/ : j: : |丶      -=⌒ノ:/ : /: : 。 ゚゜ ̄"'v―‐、    かまへんやろ、一杯だけやさかい。
.            、… 从_:/: :八   ̄_、ィ  ):.:// : /:.。'゜      ∨^ヽ\
.         /   / / : /二う=セ二ノ/ : : : : : :/∨ 。,     ∨ ̄ `、  潰れたりはせーへんよ。
         /   ヽ/、 /イ/ニニニニニニ//: :/イ//: : : :∨r ゚:゚:。:。。_,_、∨ ̄ 」
.        /  ∨/  }ノニニニニニニ/ {// ,/): : /: :.∨: : : : : : : : :∨ ̄ ノ
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    /   V///, |ニニニ -=ニニニニ「 /             | 〉  ∨ニ=- '''/

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夕飯はやはり二人でいただくことになった。
洗い物といった多少の手伝いはしたが、ほとんどはやてが用意してくれた。
向かい合うようにして座り、並べられた食事を頬張っていると、
はやてが後ろの冷蔵庫から徐に缶ビールと、ご丁寧に冷やされたジョッキを
取り出して不敵に笑っていた。

止めようかと逡巡したが、本人がこう言うので信じる他なかった。
が、彼女の一杯だけは見事に取り消され、結局三本くらい開けていた。
一応、潰れてはいなかったが。
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3200 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 22:24:05 ID:2U4JVEDM0

               _____
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  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:|斗ぅ=ミ :|:.:.:.:.:|ァう=ミ: |:.:.:.:|:.:.:.:.: |
  |:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:{ )いハ 从:.:.:.:.| )いハ Y:.:.: ノ:.:.:.:.: |       ……今日は一緒の部屋で寝よか。
  |:.:|:.:.:|:.:|ヘ:.人:.:.: 乂;;ツ   \:.| 乂;;ツ 从:.Λ:.:. /:.|
  |八:.:.|:人:|:.\\ト''        '''  /:.:.:/ }:.:.:.:.:.|       そこの和室にお布団敷けばええ。
     \   |:.:.:.:.:.八     '    _,   /彡/_,ノ:.:.:.:.:.:|
       八:.:.:.:.:.个   `       イ:.:.:.:| :.:.:.:. |:.|        「えっ」
       /:/:.\/ ̄         < |\__:.:|:. /:.:八|
     /:/⌒∨ :. :. :. {\>r≦.  ノ| : :. :. :. :.\:.:.:|        目の下にそないなクマ作っといて、眠れてます言わせへんで。
    /:.:./ :.:.:.: ∨:. :. Λニ=‐‐=ニニニニ|:. :. :. :. :. :./:.八
   ⌒ア/:.:.:.:.:.:.:.:∨ /  ∨二二二./|:. :. :. :. :/:.:.:∨\      一緒にテレビでも見ながら眠くなるまでゴロゴロしとればええんや。
 / ̄ ̄/::::::::::::::::::::∨   Vニ>''´  |:: :: :: :: /::::::::::∨__
:: :: :: :: 厂 ̄ ̄\:: /{__/{⌒`}\  Λ::: :: ::/::::::::::::::::⌒\
:: :: :: :/:: :: :: :: :: ::.:}::::{/  {:::: /  \j:::::\::/:::::::::::::::::::::::::::::

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はやての後に風呂に入った後、火照った身体を冷やすために
水でも飲もうかと居間へと戻ると、寝間着姿のはやてから予想だにしない
提案を受け、変な声が出た。

顔が赤らんでいるが、酔っぱらって変なことを言っているわけではないらしい。
目の焦点も合っているし、指摘も的確だ。変なことは起きないだろう、多分。
いや、嫌だというわけではないし、自分とて男だ。しかも十代の男子だ。
意識するに決まっているし、今でも意識している。
ふとした瞬間に見える仕草や、後ろを向いた時の身体の線に
心臓を掴まれっぱなしだ。これは自分でなくてもそうなるはずだ。多分。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3201 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 22:32:23 ID:2U4JVEDM0

                _......-―- ‐::::::::::::::::::::ー-、
               --、:::::::::::::::::::::::ィi〔⌒\::::::::\
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           |/:::::::: |斗― 、 ::::::::::::::ィ:::⌒ヽl//::「::::::';:|     
              /::::::l:::::|八  八:::::::::::::| |:::::::| {/::::::::|l::::::::'|      
          /:/:::::l:::::|  _  \:::::: | ⊥;;:::|::::|:::::::::::|l::::::::::',          あっはは、この回やっぱ可笑しいなぁ!
            /:/l::::: l::八 7⌒ヾ   \::{ア⌒狄|::|:::::::::::|l:: \:::',    
        〈::( 乂::::\:::\w  ,      yvw |八:::::: ノ }:::::::i:::i         私な、この円楽さんいう人めっちゃすっきゃねん。
.           ノ个ー<⌒              /::::/_ノ ::::::|:::|    
      _,,.、....::::::::::::::|::::|::::|   V  ̄⌒ヽ   厶イ:::::::::::|i:::::|:::|          紫の着物の、ほれ、司会の人な!
     / /::::::::: /|:: |::::|::::|:}ih、 乂  ノ   イ:i:|:::/::::::::::|i::::ノ :|    
.       /:/:::::::斗| ┴=ミ::乂i:i:}ih、   イi{八i:iノ/::::::::::: |i :::|:ノ          この後はドリフかぁ、こら腹筋いたなるなぁ。
      {/::::::::/   ァ''゛ ̄~"寸i:i:|    /   ∨ハ::: |:::::::八::|     
      ∨/    {        Vi:|「\ ノ    }  }:: |::::/  }:|     _
           八      ノノ\/⌒\  八.八:|:/ _斗r< ̄  \――-- <
        !    >―‐=''゛    \「::::」 ∨__⊥ニ广 ̄    \    |       \''゛
.         从            / ̄ ̄ ̄                 \/⌒つこ\\\}

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掛け軸や古風なテレビ台などが置かれた和室に布団を二つ敷き、
その上に寝転がりながらモニターに映る過去の映像を二人で眺めた。

今日はお笑いの番組のアーカイブが沢山流れる日だったらしく、
はやては終始笑い声を上げながら肩を揺らしていた。

美味しい手料理で腹一杯になり、ふかふかの布団にくるまり、
ちょっと慣れてきたい草の匂いに包まれ、隣には明るくて優しい素敵な人。

あんなに罪悪感と焦燥と疲労感に埋め尽くされていた頭の中は、
すっかり眠気に支配されつつあった。

不覚にも、安心していた。
自分にはそんな資格はない、と幾ら頭で思っても、抗えなかった。

二人で笑って、笑いつかれて、少し休憩と枕に顔をうずめた次の瞬間には、
睡魔に負けて意識を手放していた。

本当に、いいご身分だ。逃げた立場なのに。

ここに居られる内は、明日に怯えずにいられる気がしてしまった。
夢にまで見た、そんな日々。それをどう表現すればいいか、今なら分かる。

平和だ。
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3202 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 22:32:48 ID:2U4JVEDM0
                         ┌──────┐
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                               ・

3203安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 22:34:09 ID:nB9sAYXQ0
健康になってきましたねw

3204 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/12(月) 22:36:55 ID:2U4JVEDM0

                           _ ______
                      ´.: : : : : : : : : : :`
                       l: : : : : : : : : : : : :i
                    i: : :○ : : : ○: :.|
                        |: : : : : : : : : : : |        さて、今回はここまでだ。
                     j: : : -===- : :.i
               r―--┐     i: : : : : : : : : : : :l         やる夫君もちょっとずつ元気が出てきたみたいだね。
              i: : : : : ',      ゝ : : : : : : : : :t´
                ',: : : : : i  , f: : : : : : : : : : : : : :ヽ        ちなみにはやてちゃんのおうちの間取りのモデルは
                \: : : :y: : : :Υ: : : : : : : : : : :y: : '..,
                ',_: :: :/  i: : : : : : : : : : : :l丶 : : :ヽ     私の祖父母の家だ。おかげで私もすっかり畳派だよ。
                     ̄   l: : : : : : : : : : : .i  \ : : :丶





       , -‐   ‐- 、
     /: : : : : : : : : : ::',
    , ': : : : : : : : : : : : : : :',
  /: : : : : : : : : : : : : : :○:',
  ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',          次回は来週の月曜日、10/19の午後八時からとしよう。
 .  `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _
    i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ      ちょっとした安価も挟もうと思うから、そこんとこよろしこ。
    | : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶
    | : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ    それじゃ、シーユーアゲイン。祖父母と一緒に笑点見てた頃が懐かしいよ……。
    丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
          `ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
             ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ

3205安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 22:43:42 ID:nB9sAYXQ0

笑点かぁ…もうずっと見てないなぁ…
昔は良かったとか言いたくないけど、少なくともテレビ放送は昔のほうが好きだったな

3206安価のやる夫だお:2020/10/12(月) 22:58:52 ID:YmuiRJdg0
ちゃんとしたご飯を食べるのは健康への近道だと思う
よかったね

3207安価のやる夫だお:2020/10/13(火) 01:02:25 ID:aNLPfKnU0


3208安価のやる夫だお:2020/10/13(火) 22:14:17 ID:wYtO4kwU0
乙でした

3209 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:01:40 ID:NjlOvYzI0

    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
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 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l      ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿       
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

3210安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 20:02:45 ID:CYScYWVE0
ハロー

3211 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:08:16 ID:NjlOvYzI0

         _ _ _
       /: : : : : : `i
.       i: : : : : : : : : :!
       、: :○: : ○: :!
        i: : : : : : : : : i          クーガーやブラックジャックに限らず、好きなキャラっていうか、尊敬するキャラか。
        l: : :,, --_ッ: :',
        丶 `‐'´: : : :ノ          それを自作品に出すのは、中々緊張するものがあるね。
         / ´: : : : : : : : `ヽ
  .     /: : : : : : : : : : : : : ヽ        使っているAAに恥じない人物背景を用意できているか、
    , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ
  /: : : ,-イ: : : : : : : : /`丶: : : :、       振る舞いや言動をさせられているか……あまり自信はない。
  r⌒ ,/ /: : : : : : : : i   i: : : : i
  ` ‐ '  /: : : : : : : : : |   ! : : : |       ではやっていこう。平和なラブコメスレとして再始動だ。
       i: : : : , _ -‐ ´,)   ` ヽ _|
        (_ _i ̄(_ -‐'´i
      | :|`‐´i : : : : |
       |: :ノ_ _ ノ: : : : :|
       |: : : : : |: : : : : !

3212 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:08:30 ID:NjlOvYzI0

            ____
          /      \
         /─   ─   \
       / (●) (●)     \
       |   (__人__)      |       はやてさん、寝てるお……
       \   ` ⌒´    _/
        / l        ヽ          
.       / /l       丶 .l
       / / l        } l
     /ユ¨‐‐- 、_     l !
  _ /   ` ヽ__  `-   {し|
 /          `ヽ }/
            / //
  ,,, __ ___ _/ /_/

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朝日を瞼越しに感じて目を覚ますと、
隣で暢気な寝息を立てているはやてが横になっていた。
他人には絶対に見せないであろう、寝間着にすっぴん、髪もぼさぼさ、
というあられもない姿で、口をぽかんと開けて涎を垂らしている。

あれからというもの、夜にははやてと一緒の和室でテレビを身ながら眠った。
いつの間にか、それが二人の間での自然な流れになっていた。
女盛りの美女と一緒の部屋で眠って、我ながら辛抱堪るまいと思っていたのだが、
あまりの自然さに、それが当たり前となっていき、抵抗も緊張も消えていった。

無防備な姿を見せられていることで、自分とはやての関係を錯覚しそうになる。
恋人でも家族でも、友人でもなんでもない自分たちは、なんと呼べばいいのだろう。
寝返りを打つ彼女を見つめつつ、体を起こす。

たまには自分が朝食を用意しよう。冷蔵庫の中身や、
調理器具の配置はある程度把握できていた。
トーストとコーヒーくらいは用意できるはずだ。
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3213 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:14:18 ID:NjlOvYzI0

               ____
             /      \
           /   _ノ   ⌒\
          /   ( ●) ( ー)ヽ      「おはよ〜」
            l        (__人__)   |
          \     ` ⌒´   /       おはよう、はやてさん。
          /      __    ヽ
           |  、    |〜|      ヽ     
         ゝ_ ̄つ=====と )
                ̄ ̄





            .. -‐‥…‥‐- ..
            /: :⌒: :⌒: : : : : : : : : : : : ,
.        /: :/: : : : : ,ヘr 、: : : : : : : : : ′
        /: :/   /   / '^i^i }       . :
.       /: :/ ; i i {_,. {   l |: :}: :: : : : : : : : :.;
      /: : i i: :|: :|癶「乂  | l ノ: :/、/}: :i: : : i
      { {: :|: :|: :{ィ芹芋ミ  jノイ//: :/7/> : :!
      { {: :ト、乂个゚辷ノリ   芹芋ミゝ</>: : :j
         '.: :八 i:i  ¨´      辷ノリハ>/∨〉/
       j/: :: :从 """   '    ¨´  ノ: : 〉〈       あー……先起きてたんか。ありゃりゃ、パンにコーヒーと。
    °  }: :: :iハ \   - 、  ""゙厶イ: : 〈∧〉
.  ι     j|: : ∧ \ \      _,イ : :./: :,小、       おおきに。
       _」!」L.._〉、 ',_} `ー‐ 'i/./ /_/川 :
     /\  `ー\ ヽ    人_/ /  ⌒ヽ} :        「はやてさん……胸元、ボタン外れてますお」
     i   ヽ  \ } }  /. // /      `ヽ
     |     '.   / /` ´〉/¦   /    '.       んん……あー……。
.     〉       // 、,〈 { 乂 ,f      /  
    /}       i   {   i 〉   ,f       /、
   /∧: .、__    |  \¦/    「   、_  {: :}
    { {: :\    │   .Υ    i      / ノ}
    {人 }      '    |    /       /: :}
      )ノ.      '.、_,ノヽ、 __.;      ハ丿
       |      ∨, :.  -‐/   '.    /
       |      i  .l  /    , /
       '.       |  |. /     V
        ヽ     l  | i       〉
           ノ       〉、 |      /,
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あれから二日が過ぎた。
あまりにも穏やかな日々に、戦場で聞き続けた轟音が大昔のことのように、
もしくは映画の中の出来事のように思えてきた。

忘れられたわけでもないし、この先忘れることもないだろう。
目を閉じる度、暗闇がスクリーンとなってその光景を映し出す。
日常の中に埋もれていっても、決して消えはしない。

けれど、目の前には、それを悪い夢だったのだと、
そっと言い聞かせてくるような優しい日々がある。

平和な世界で生きていいのだと、言ってくれる人がいる。
それに罪悪感を抱きつつも、甘えずにはいられない自分がいた。

寝間着のまま台所に立ち、トーストを二枚棚の上の白いオーブンに突っ込み、
インスタントコーヒーを入れたマグカップへ沸かした薬缶の中身を注ぐ。
彼女も自分も、たっぷりのミルクに角砂糖が二つ。
軽快で長閑な音ばかりが静かな台所に微かに響く。
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3214 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:15:07 ID:NjlOvYzI0

          ____
        /      \
       / ─   ─   \        「今日はちょっと本社の方に顔出してくるさかい」
      /( ●)  ( ●)    \
      |  (__人__)       |       分かりました。掃除とか色々済ませておきますお。
       \ ` ⌒´       /
       /   ー‐ /⌒  ヽ        「ほな頼むわ。合鍵、なくしとらんよね?」
____/_____/ /_______
   (⌒ィXXXX(⌒ /             うん。出かけたとしても、散歩くらいだと思うけど……。
    /XXXXXX/´   フキフキ
     ̄ ̄ ̄ ̄

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やはりはやては、自分のことを欠片ほども異性として意識してはいないようだった。
それは油断というよりも、信頼の表れと思った方が良さそうだ。
優しく微笑む目に、「この子なら大丈夫」という思いが滲み出ているように
見えてならなかった。何を根拠にしているのかは分からなかったが、
それを言えば、自分だって根拠もなくはやてを信頼しきっている。
お互い様な事は、言ったところでしょうがない。

時折冗談めかして、風呂場に向かう際に「覗いちゃあかんでー」と言われたりするが、
当の本人はあっけらかんとしたものだ。こっちの気も知らないで。

とはいえ、欲情しようものならどうなるか分かったものではない。
自分の妙に強い理性に今は感謝していた。
自慰も最近はしていない。もしかしたら枯れ始めているかもしれない。
むしろそれが今の状況における最善かもしれないので、嘆くこともないが。
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3215 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:22:32 ID:NjlOvYzI0

                   , - ― -   .
                , '": : : : : : : : : : : : : : : : >、
           _ ,. '" : ,ィ: : : : : : : : : : : : : : : 、: : :、 ヽ
            /: ヾ、: : :/: : : : : ヽ: : : : ヽ '、 : : ', : : ヽ :ヽ
         /: : :/: , : i!' : : : : : : : ヽ: : : : :ヽ: ',: : :',.、: : ,'、: ',
         /: : :,': :_!iヽi!/ヽ:_:_:_:_:_イ三三三三ヽ_:_',ヾ/:/:',: '
        ,': : , イ ノ三三三三 ̄',:三三三三リヾ,、:!'/ ヾ,.!: i
        !/ , イ、三三三三:!: : :ヾ三三三イiニヾ,、 : : : !: i
      /---、' ,ィゞ三三三ソ ',: : : :/イ iっ::心!: : : !`ヽ:.!:.!: ',
     r ー-、 !' / ', 〃示ヾi! ',: : ,'   い;;;;;::i: : : i 、!.ii!!: !: :',       ほな、行ってきます!
     /  イ !ゝ'/ヾ ヽ',  ∨:∧. ',:.,'   ゞ斗'.':.i: :i'"/ヾ: :!: : ',
     !  し/ /: !: :ヽ:ヽ. 弋:ツ ヾ     ...,':/: /イ:.!: i!: ! : 、ヽ      「いってらっしゃい。待ってますお」
   _r/  イ.,- "',: ',: : : :`ヾ    `   ,  ./:/: ,': i!: !: i!: !: ! :ヾ、
 . /ヾ、\ /、   ヽ:!',: : i、: :'、   `ー‐   /:/: :,'、:i!: !: :!: :!: !: :'、      ……うん。お留守番、よろしうな。
 /.:.:.:.:.>、` /     ヽ: :i ヽ: >        , イイ: :/ /:!: !: :!: :i: :!: : :',
./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!      ',:.! ヽi: :!イ `r " , イ: /:i ./!>、: :!: :i: :!: : : ,
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:.:.:.:.:.:.:.:.:,'   i/;;;;;;;;;;;;/:i:.:/:.:./:.:.,'. ヽ/::::7-‐ ./:.:.:.:.:.!:.:.:.:.`ヽ;;;;;;;;;/;;;;;;;'、
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:.:.:.:.:.:.:.!:.!.',:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:i:.:.:.:',:./  /:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.i!!:./:.:.:.:.:.:.:.:\;;;ゞ
:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.',:.:.:i:.:.:./.,′ /:.:.:/:.:.:.:.:.:..:.:.i!/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\;;

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スーツ姿に着替えたはやてを門扉の外、車で出発するところまで見送る。
今日は大分日差しが強く、軽く掛けておくには可愛らしいものの、
実際に目を隠すと似合わないサングラスをはやては手にしていた。

元気に手を振ってくるはやてに、手を振り返す。
こういう行為は家庭において一般的なことらしいが、
自分にはどうにも不慣れで、胸の奥から何かが溢れ出るような感覚に襲われた。

昔、こうして親に手を振ったことがあっただろうか。
軽くさかのぼり、あると確信する。父と母は油の匂いをさせながら帰ってきた。
それはやがて油の匂いではなく、仕事帰りの親の匂いと成り代わっていき、
その匂いを嗅ぐ度、「ああ、かえってきた」と実感させられていた。はずだ。

今では、油の匂いを嗅いだところで何も思わないが。
遠ざかっていく車体を見送りながら、しみじみと考えていた。
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3216 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:31:51 ID:NjlOvYzI0

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       |   `ー──〜ソ"
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    /    / (ノ/)) ̄ヽ    \   \彡\ミ}  , ‐、 i
   __| .   | / / ̄   ヘ    )   |ゝ三ノ   i   iノー----‐
  (___/ /        `ー‐'′   ゝ======ゝ= '
     [二二二二]

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それからはもう、自分でもどうかと思うくらいに長閑なものだった。
庭の落ち葉や得体のしれない虫の死骸を竹箒で片づけ、、
屋内の掃除機がけや廊下の雑巾がけ、拭き掃除、
大体終わる頃にはお昼時といった具合である。

適当に炊飯器で炊いた米を濡れた手で掴み取り、三角形に握り、
味噌を塗ってフライパンで焼いたものを四つ程。
皿に盛って縁側まで持っていき、日差しと蝉の声を供に齧っていた。
じんわりと湿気と暑気が立ち込めてはいたが、シャツとズボンを目一杯捲って
過ごせば、耐えられなくもない。最初はやられたものだが、少し慣れた。
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3217 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:46:31 ID:NjlOvYzI0

       ___
     /ノ  ヽ_\
    / (ー) (ー )\
  / ⌒ (__人__) ⌒ \
  |   /ζ⌒|     |
   \  ゝ .(⌒)     / ズズー
   / /  | ̄     \
   |  /   |        |

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掃除している時、不思議なものを見た。

「かまへんかまへん、見られたらあかんもんは前もって隠しとるよ」と
本人から許可されているとはいえ、掃除に入る時は緊張した。
いざ入ると、特に変わったものもない、普通の部屋だったが。
畳の上に箪笥や衣装棚、本棚に化粧台といったものが壁沿いに並べられ、
押し入れの向かい側にテレビがぽつんとあり、窓が一つあるだけだった。

彼女の個性が表れていたものとしては、本棚だろうか。
紙の本という珍しいものがぎっしりと詰められており、中身は色々だった。
旧時代の小説、詩集、コミック、とにかく色々だ。

なんとなく、その中でも大部分を占めていた『ドラゴンボール』というコミックには
興味をそそられたが、掃除を優先した。

はやての私室を掃除した後に玄関に向かうと、おかしな棚を見つけた。
今の今まで大して意識していなかったが、一人で落ち着いた時間の中、
意識の端っこに引っかかったのだ。

それは他の棚よりも意匠が凝っているような気がした。
中から不思議な匂いも漂ってくるし、ただならぬ雰囲気を感じ取り、
とりあえずは触らないでおいた。後ではやてに訊いてみるとしよう。
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3218 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 20:55:56 ID:NjlOvYzI0

     _____     ━┓
   / ―   \    ┏┛
 /ノ  ( ●)   \  ・     なぜか洗濯物は『私がやっておくから気にせんでええ』と言われたお。
.| ( ●)   ⌒)   |
.|   (__ノ ̄    /       まあ、考えがあるんだろうし、任せるかお。
.|             /
 \_    ⊂ヽ∩\       となると、この後暇だお……
   /´     (,_ \.\
.   |  /     \_ノ

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僅かな洗い物を片付け、やることを終えると、途端にどうすればいいか
分からなくなった。テレビを見たり、昼寝したりするのもいいかもしれない。
胃袋も満たされているし、布団を敷いて横になればすぐに睡魔がやってくるだろう。

ただ、それだけだと少し勿体ない気がした。
折角だし、引きこもってばかりいないで散歩してもいいかもしれない。
何よりも、ただだらけていると、暗い記憶が襲ってきそうで、怖かった。

はやてと二人でいる時は、意識が彼女に向けられているからまだいい。
一人でじっとしている時が、一番怖かった。

下↓1 暇だ……どこかに散歩しに行こう
1.近くに川があるとはやてが言っていた。見に行こう
2.少し歩いたところに商店街がある。見に行こう
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3219安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 20:59:37 ID:8aM1YZ460
1

3220 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:02:52 ID:NjlOvYzI0

     ___
   /ノ  ヽ、_ \
  /(●) (●.) \      そういや、近くに川があるって言ってたお……
/  (__人_,)    \
|  l^l^ln ⌒ ´        |    本物の川なんてそうそう見られるもんでもないお。
\ヽ   L         ,/
   ゝ  ノ             見に行ってみるかお。
 /   /

3221安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 21:02:55 ID:0pnRGi3g0
水かさを確認しないとな(フラグ)

3222 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:03:08 ID:NjlOvYzI0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘


                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘


                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘


                               ┌┐
                               └┘


                                   □

                               ・

3223 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:13:29 ID:NjlOvYzI0

                           |
                      \           /
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                          /   \
                      /     |

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`"゙  :::: :: :::' ,:: ::::  : ::: :                  /,:.;,:.;,:.ナwy

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さすがにこの日差しの中、そのまま出かけるのは日焼けが怖かった。
日焼けというものがどういうものかは知らないが、はやてから散々脅かされた。
曰く、日焼けしたら最後、それは時間の経過でしか治らない。
日焼けしている間は皮がべりべり剥がれ、お湯を被れば地獄の痛苦を味わう。
つまり、入浴やシャワーが拷問の時間と化すのだそうな。
更に言えば、後々の皺やしみの原因になるとかどうとか。

というわけで、ちゃっかり貰った日焼け止めを肌の露出している部分に塗りつけ、
しっかりと戸締りしてから出かけた。

話に聞いていた川は、少し歩けばそこにあった。
水の流れる音が聞こえてきたと思い、歩みを早めると、それは見えた。
草原を縦に引き裂くように流れる水流が、そこにあった。
底には涼やかな色の石が転がっており、陽の光を煌々と反射している。

溜め息を吐きながら川へと近づいていく。
軽く感動さえしていた。こんなに澄み渡った水がとめどなく大量に流れている。
飲み水に困ることなどなくなっていたが、こうも見える形で目の前に現れると、
感慨深いものがあった。
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3224安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 21:16:07 ID:0pnRGi3g0
ドブ川とせせらぎの差を実感したかw

3225 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:20:58 ID:NjlOvYzI0

      ____
     /     \
   / \   / \
  /  (●)  (●)  \     な、なんか跳ねたお……
  |     (__人__) u   |
  \  . |┬-r|    /     あれは……魚かお!? こんなところで、生きて泳いでるお……
   /   `ー´9mー )
          `ーー‐'゙

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見つめていると、水面で飛沫が上がった。
よくよく見ると、それは魚のようだった。暗い色の魚が水面を跳び、
そしてまた飛沫を上げながら川へと戻っていった。

「オイオイなんだってんだ、タイムスリップしてきた人みたいなこと言ってよ」

驚嘆しながら腕を組んで観察していると、横から渋い声をかけられた。
初めて見る川に意識を取られ、全然気づいていなかった。
咄嗟に振り向くと、そこには変わった着物の中年男が立っていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3226 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:24:55 ID:NjlOvYzI0

              、_刈从WWWW从从≦二ィ_,_
              、_x≧W从从从WWi{从从从i从ア
                ィW洲从从}i州从ハ从从}Wkく :.
             、_j从WWW{i从{     , 、_  `}从 :.
             洲W从从リ{ィ=≦壬r示≧=代 :
             刈洲W{iレ'´ 込Z弐シ {Z弐近{ :.
              イ洲r=i{|        _ 冫    } :.
                 }从{ V|i 、_       ′   .' :.          よぉ兄ちゃん。独り言激しいなオイ。
                 从 {_  `     .ィこ>   ,'  :.
                }ト、_         `二   /   ::.          「すみません」
                    从汽     ,ィi斥仆v   :.:
                 洲 ` ー‐- {i」从」シ{   .:.           別に謝んなくてもいいよ……しっかし、そんなに珍しいか?
                ノ]}           |   .:
               /.::i」   、         j\_ : .           「まあ」
           _  -‐ {::::::::{、   、     / {ヽ::ヾヽ、
         _/    |::::::::| \   、   {  ハ::.:.:.. `丶、        ふうん。
    _  -‐ ´        |::::::::|  `ヽ、__     /  ',:.:.:.. i   ``丶、
  /            |::::::::|      `ヽ.  {_    ',:.:.:. i      ヽ、
 /                 |::::::::|       l |  ||!   }:.:.:.::!        \
./      \       |::::::::|       l |  |{    l::.:.:::l            ヽ
          ヽ      |::::::::|     /,ア ̄ ̄`ヽ l:.:::::::l       i   `、
           \   |::::::::|   //  />≦二;;}:::::::l        |    `、

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咥えタバコの男は、ぼさぼさの黒髪と眉、蓄えられた顎髭、
そして厳めしいサングラスと怪しげな風貌だった。
旧時代に出てくるジャパニーズマフィアを意識したファッションなのだろうか。
靴にいたっては下駄だ。

その右手を見やると、長い棒が握られていた。何かの道具だろう。
グリップがあり、その上には筒状の機構が取り付けられている。
そこから細いワイヤーが棒の先まで伸びていた。

「これか? これ、竿」

「さお」

「釣り竿だよ、釣り竿。これはリールで、先っちょのがルアー」

「つり」

「おまえなあ……」
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3227 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:32:51 ID:NjlOvYzI0

         ヽ 、________ ヽヽ. 、
       _,, ..≧::::::::::::::::::::::::::ヽV::ヽl
       ,.イ::;ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`=イ/
       //::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
      〃::::::::::::;イ//リ|:/|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     ∠::::::::从(     l/ !::::::::::::::::::::::::::::::: ヾヽ
      /イ∧` 、,,ィ≦=rヽl/ル::::::::::::::::::::::::ヾ、
        〈_≧r=!:::::::ノ    リ:::/ヽ:::::::::::::lヽ       ていうか、なんかおまえ、その辺の兄ちゃんと毛色が違うな……
        !:::::/   ̄       lん) !::::::::::ル
        `l〈 _       ,..  ( ,.イ:::::::::::(         養成学校の生徒って感じでもねえしよ……
         ヽr__      /  l´ !::::::::从ヽ
    ___ ,....,..._ ト-`¨      ノ  ルリ人ヾヽ         まいっか。おまえも釣るか?
  r‐"_l_辷〕_}illi、   ,, -   ,,..::::"::::.. | __
  f,! └‐r‐‐/ / ^vllllllr''"  ,,...::''::::::::::::::::::::/´  /`!      「やってみたいですお」
  H__ノ__ノ__ノ /   r=`-''::::::::::::::::::::::::::::/  /   ヽ
 {   ∨   l    ヽ:::::::::::::::::::::::::::::/  / ,. "   \    おう、ここだとニジマスが釣れるからよ、釣って食おうぜ。
 l、   l   /    / l::::::::::::::::::::::/  / /
 /`'ー― /     / /:::::::::::::::::/  / /            釣りながら色々話せんだろ。
/     / / ̄/  /:::::::::::::/     /

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なんだろう。気のいい人なのだとは思うが、そこはかとなく感じられる、
このだらしなさというか、砕けた感じというか。
お高く留まっている連中からは嫌悪されそうな手合いだろう。
自分はそんなに嫌いではないが。こちらとてスラム上がりの落ちこぼれだ。

お言葉に甘えて釣り竿を握らせてもらう。
これを正しい姿勢で、そこそこの勢いをつけて川へと投げ、
ルアーを水面へと投入する。そして、リールを巻いて糸を戻す。
これをひたすら繰り返せば、たまに魚がかかる、そうだ。

半信半疑で言われた通りに竿を振りながら、魚もそんなに馬鹿なのだろうか、
と水中の魚たちに思いを馳せた。ルアーという釣り餌の模型も、
言ってしまえば色のついた鉄の板だ。

けど、糸が射出される時の軽快な音は、中々小気味よくて気に入った。
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3228 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:38:13 ID:NjlOvYzI0

 ノ_,、_ノノ,,孑 / ノ
彡从毛乂乍リソミヾ壬ミ
从彳川少匕从彳ミ川少<
毛仆卅从ミ从毛仆卅从彡
W从匕ミ弋幵W从匕弋乂
从乂lヽlミ\卅从乂lヽl\Wミ
从W毛彡厂''V'\ '    .∨
W从匕乂         ',        「おじ……あなたは? 普段何されてるんですかお?」
从卞弋V'      ',    , -',
災什人.        ', ii/少ミ}       おう、それ聞くかね。この俺に。
升入    `゙ー-=_ノ_,t壬昨ノ
ミミ______ _, -壬少ノ rx゙".rxl        「あっ……」
W    .`弋匕ミ少' { .', { .∨
/'     ` ̄´  _.', .',.', ',       昔は戦場に立ってたよ。コジマ技術導入試験型ノーマル部隊、サフィラスフォースってやつ。
∧        rx  .`', .',.', ',
. ∧.      r゙x X--‐'', .',l  ',      俺はそれだった。おかげで体中ボロボロでな、永遠の療養中ってわけ。
  `ー- ,_.   \\ \/', .',  lヽ
      `ー- .._ヽ ヽ `ー'   l ハ
          Y´ ヽ ヽ     l \





     ____
   /      \
  /  ─    ─\       奇遇ですお。
/    (●)  (●) \
|       (__人__)    |      「おまえもそのクチかぁ」
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |         でも、今は戦ってもいないし、守られる側にいますお。
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

3229 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:44:15 ID:NjlOvYzI0

                   、_,、_ ,、_,__,_
              _洲WW从W斥k
                刈州州从从込iト
              仆W^__、_ ,__V[,
                洲「{弐]刊卉」i{`
              {」i` ̄〈|` ̄ り      ..
                }l、  ‐_,‐' /{     ...:..
                 ∧\iWi{レ'{リ`   ....:..       だよなぁ、いいトコだよなぁ、ここ。
                 _/.::::',_r三く斗ヘ、...:...
           , -<:::::::::::::`r一^㍉,.:、.``丶、       俺も気に入ってるよ。子供をここで暮らさせてやれてるってだけで、
          /  ヽ:::::::::::::`マヽ、  ヽ、  `ヽ.
.          /      `、::::::::::::::∨.\_  `、   ',     すげー嬉しいしよ。他じゃあんな育て方できねえもん。
          /  \     `、::::::::::/.:::::::::}   ',    }
       /    ヽ    `、::::/.:::::::::/l    ト、  |     「……でしょうね」
        〈   、   、    ∨.:::::::::/ {    | V^廴
       }    、  }    /.:::::::::/ ∧  |  }  }     ああ。
      /    __\」    /.:::::::::/  { ∧  }  |   |
.     /  _/     ̄`¨¨¨¨¨`ヽ_|  ヽ/    }
     {                 {   l   /     ′
      ',                 L、 」_ {      ,′

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
川の流れる音を聞きながら、変わった風貌の中年男と一緒に釣りに興じるという
不思議な状況になっていたが、大して警戒心は抱いていなかった。

ここの人達が自分に危害を加えるようには思えない。理由がない。
鬱憤を晴らしたり、金や食料を奪ったりする必要もないだろう。
完全に無防備な状態を晒すつもりはないが、ある程度は安心していた。

本当に、おかしな場所だ。トウキョウでこんなことをしようものなら、
ごろつき共に素っ裸にされているところだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3230 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 21:47:27 ID:NjlOvYzI0

          ____
        /   ― \
.     /   (● )  ヘ\
     |   (⌒   (● ) |     ……散々戦争してきて、今更ですけど。
      ヘ     ̄`、__)  |
        ヽ           |     人を殺すのも怖いけど、殺した後も、凄く怖いですお。
      , へ、      _/
.      |          ^ヽ
.      |      1   |





                  、_,ヽ\汁|ヽヾ_,_,
                `久匕卅从W勹災七
                    乂从W仆幵卞从Wミ
                    YヾlVlN从マ大W从ダミ
                      ノ   ∨r 、卞卅从从       まぁなぁ。企業は美化してくれるし、幾ら殺しても責められやしねえ。
                r}-―==ヽ)}从オミ仆匕
                `l    |i/ 'W从卅冫       けど、実際戦場に立ってる身からすると、
                 ',       W从彡'
                  ',     ,  ,r'´ ̄         そこにいるのはただの人だし、終わった後はただの人殺しだしなぁ。
                   """"ヾ//´///
                          l/´//////        言葉で幾ら飾っても、やってることは、な。
                     /////////
                       //////////        ……お、かかってるぞ。巻け巻け。
                    {/////,r'´
                    ヘ//,r'´ ,r'´
                      )'´ ,r'´

3231 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:02:12 ID:NjlOvYzI0


         ヽ 、________ ヽヽ. 、
       _,, ..≧::::::::::::::::::::::::::ヽV::ヽl
       ,.イ::;ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`=イ/
       //::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
      〃::::::::::::;イ//リ|:/|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     ∠::::::::从(     l/ !::::::::::::::::::::::::::::::: ヾヽ
      /イ∧` 、,,ィ≦=rヽl/ル::::::::::::::::::::::::ヾ、
        〈_≧r=!:::::::ノ    リ:::/ヽ:::::::::::::lヽ
        !:::::/   ̄       lん) !::::::::::ル       おー、四匹も釣れたのか。おまえセンスあるなぁ。
        `l〈 _       ,..  ( ,.イ:::::::::::(
         ヽr__      /  l´ !::::::::从ヽ       俺、昼まだでよ。あっちに洗い場あんだ、処理して塩焼きにしようぜ。
    ___ ,....,..._ ト-`¨      ノ  ルリ人ヾヽ
  r‐"_l_辷〕_}illi、   ,, -   ,,..::::"::::.. | __
  f,! └‐r‐‐/ / ^vllllllr''"  ,,...::''::::::::::::::::::::/´  /`!
  H__ノ__ノ__ノ /   r=`-''::::::::::::::::::::::::::::/  /   ヽ
 {   ∨   l    ヽ:::::::::::::::::::::::::::::/  / ,. "   \
 l、   l   /    / l::::::::::::::::::::::/  / /
 /`'ー― /     / /:::::::::::::::::/  / /
/     / / ̄/  /:::::::::::::/     /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
途中、男が「トイレトイレ」と席を外している間に、三匹立て続けにかかり、
釣り上げた。竿を引く力は予想以上に強く、暴れる魚を釣り上げた時は
不思議な達成感を感じた。

足元に置かれていた、水の溜められたバケツに放してやる。
素手で掴むとぬめりがあり、やや苦戦しながら口から針を抜く。
見るからに痛そうだが、魚は針を抜かれ水に入れられた途端、大人しくなった。

戻ってきた男はバケツの中を覗くと上機嫌そうに後ろを親指で指した。
近場にキャンプ場があるらしく、そこの洗い場を借りようという算段らしい。
七輪なるものもそこにあるそうだ。好奇心に任せるまま頷き、背中を追う。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3232 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:02:22 ID:NjlOvYzI0

        ____
       /    \       「じゃ、これでケツから刃を入れてな、洗いながら内臓引っこ抜くんだ」
.    /          \ 
.  /    ―   ー  \    あ、そうか……
  |    (●)  (●)  |
.  \    (__人__)  /     「そりゃそうだ。ハラワタごとは食えねえからな。ああ、その前におでこをぶっ刺して絞めるんだ」
.   ノ    ` ⌒´   \
 /´             ヽ





   o
    ゝ;:ヽ-‐―r;;,               。
,,_____冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:\      ,,,,,,,, o  /
"`ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从    (;:;:;:;:ヾ-r
   〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:) 0  ソ;:;:;:;:;:;:;:}
  ,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ     ゞイ"ヾ,:;:,ソ
  (;:;:ノr-´^~;;r-ー⌒`    ,.、
  "  ,,,,      _;:;:⌒ゝソ;:/
    (;:;:丿    (;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
            ヾ;;;;;;;;;;;;/; \
            ´  /;:ノ 。  。
                ()

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
人気のない石造りの洗い場で蛇口をひねり、バケツを載せる。
男から小さな折り畳みナイフを受け取り、小指程度の大きさの刀身を
魚の細く、けれどしっかりと肉の詰まった頭へと当てた。

白くなっている部分がお腹で、ここを裂けば内臓が出てくる。
それを取り除き、水で血を洗い流して、それから焼いて食べるのだそうだ。

淡々と説明する男を他所に、考えるべきではないことをふと考えた。
人間と同じだな。それもそうだ。魚も人間も動物だ。
瞼の裏で、マーシフルの掌の上で絶命した兵士の姿が蘇り、
目の前のぐったりと脱力した魚と重なった。

視界が揺れる。足から力が抜け、そのままへたり込んでしまった。
男が隣で心配そうな声を上げるが、上手く聞き取れない。

結局、なんとか持ち直すまでに、男がさっさと下処理を済ませてしまっていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3233 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:09:55 ID:NjlOvYzI0

            }i|ハi从}i{{l|W从川{ {从i|{  i !        {_
            V   }ハハ{V   Vハ{{i{ハ :{i|!       {{`′
               }            |W从小j!i !i|  ,  、_≧ァ
             ム              |/}イ小j}}_} }!}W¦ 「广
            」__\、    _  -‐    |/}/从从从i{ハ {
           { f≧メ}、_,)≦二 __         |/ムi7'⌒V小!|W
           ‘斥沙′`} ]三三ミF¬==≠f/   }仆{ハ!
            { /  ‘弐三三ヲ      }小/  从}Ⅵド
             ∨     ` ̄´       l/ノ__//从Wバ     普段は魚の切り身ばっか食ってる奴らが大半だがな、
             }〉--、              _ イ/}|V/
         :       く_、__            /  厂´}i||V|ト|{        一から釣って食うには殺さなきゃならねえ。
         :      /∠}厶_       /   /  |ハ|」{i  
        :   // }>r‐ `        _/    |从{了        ハラワタ抜いて、血を抜いて。誰かがそうしてる。
         :. //    }i|l}ト、_    _  -‐          / {_
        `゙´       ゙ー≠≧=≠             /   {ヘ._       手ぇ汚さずにいられるのは、誰かが手ぇ汚してくれてるからだ。
              _/    l           /      ,′ \_
             ´ ハ      |        /       /     }\    ……そうだろ? じゃねえと、報われねえだろ。俺たち
             /   { ‘.    」     /       /    ,′
.         /       !  }i  /     ハ      , '      /
        /      |/∧/      {  ヽ.     /     /   パチパチ
          /      / / {\    _」    \/       / /





   / ̄ ̄ ̄\
 /        \    
/    ─   ─ ヽ
|    (●)  (●) |    ……。
\  ∩(__人/777/
/  (丶_//// \

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
借りてきた七輪を草むらのなるべく平らなところに置き、
下処理を済ませたニジマスたちに塩を塗りつけ、鉄串を口から差し込む。

七輪の中の炭に着火すると、男は網を被せ、そこに魚を並べた。
やがて魚から滲み出た脂が火へと零れて弾ける音が聞こえてくる。
さっきまで生臭いばかりだった魚から香ばしい匂いがしてきた。

男の話には、否定も肯定もできなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3234 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:16:24 ID:NjlOvYzI0

              、_刈从WWWW从从≦二ィ_,_
              、_x≧W从从从WWi{从从从i从ア
                ィW洲从从}i州从ハ从从}Wkく :.
             、_j从WWW{i从{     , 、_  `}从 :.
             洲W从从リ{ィ=≦壬r示≧=代 :
             刈洲W{iレ'´ 込Z弐シ {Z弐近{ :.       え、おまえはやてちゃんと暮らしてるの?
              イ洲r=i{|        _ 冫    } :.
                 }从{ V|i 、_       ′   .' :.       いやー知ってるも何も、桜花の看板娘だからなあ。
                 从 {_  `     .ィこ>   ,'  :.
                }ト、_         `二   /   ::.       となると、大変だろ。あの娘、ほら、魔性の女ってやつだから。
                    从汽     ,ィi斥仆v   :.:
                 洲 ` ー‐- {i」从」シ{   .:.        今まで何人勘違いして玉砕したことか。罪作りだねーほんと。
                ノ]}           |   .:
               /.::i」   、         j\_ : .         あれ、天然だから。
           _  -‐ {::::::::{、   、     / {ヽ::ヾヽ、
         _/    |::::::::| \   、   {  ハ::.:.:.. `丶、      なんだよ、気になんのかよ?
    _  -‐ ´        |::::::::|  `ヽ、__     /  ',:.:.:.. i   ``丶、
  /            |::::::::|      `ヽ.  {_    ',:.:.:. i      ヽ、
 /                 |::::::::|       l |  ||!   }:.:.:.::!        \
./      \       |::::::::|       l |  |{    l::.:.:::l            ヽ
          ヽ      |::::::::|     /,ア ̄ ̄`ヽ l:.:::::::l       i   `、
           \   |::::::::|   //  />≦二;;}:::::::l        |    `、





     ____
   /      \
  /  ─    ─\
/ u.  (●)  (●) \     え? あー、その……
|   /// (__人__)    | 
./     ∩ノ ⊃  /      「おうおうおうご馳走さん、青春だねえまったく」
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
話題を変えようとはやての話をすると、男はすぐに食いついてきた。
やはり桜花重工の旗頭たるはやてのことは知っているらしく、
色んなエピソードを語ってくれた。

というのも、既に近隣の子供たちから青年に至るまで、
彼女に恋心を抱いては玉砕した人々が結構いるらしいのだ。
明日は我が身である。

彼女は実際は身持ちが硬いが、表面上の無防備さや揺るさに引き寄せられ、
突撃を仕掛ける男たちが一時期絶えなかったそうだ。

当人は不思議がるばかりだったそうだが、同じ男としては同情を禁じえない。
あれは、勘違いする。彼女が思っている以上に男心とは単純なのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3235安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 22:20:44 ID:0pnRGi3g0
天然かよ・・・

3236 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:33:10 ID:NjlOvYzI0

                   、_,、_ ,、_,__,_
              _洲WW从W斥k
                刈州州从从込iト
              仆W^__、_ ,__V[,
                洲「{弐]刊卉」i{`
              {」i` ̄〈|` ̄ り      ..
                }l、  ‐_,‐' /{     ...:..
                 ∧\iWi{レ'{リ`   ....:..     ようし、嫌なこと思い出させちまった詫びだ。
                 _/.::::',_r三く斗ヘ、...:...
           , -<:::::::::::::`r一^㍉,.:、.``丶、      良いこと教えてやるよ。明日の午後五時からな、近くの神社で夏祭りがあんだ。
          /  ヽ:::::::::::::`マヽ、  ヽ、  `ヽ.
.          /      `、::::::::::::::∨.\_  `、   ',    「なつまつり?」
          /  \     `、::::::::::/.:::::::::}   ',    }   
       /    ヽ    `、::::/.:::::::::/l    ト、  |     おう、昔のイベントだよ。後で調べとけ。そこにはやてちゃんを誘ってみろ。
        〈   、   、    ∨.:::::::::/ {    | V^廴
       }    、  }    /.:::::::::/ ∧  |  }  }     俺の経験から言わせれば……あの娘は、押しに弱いタイプだ。
      /    __\」    /.:::::::::/  { ∧  }  |   |
.     /  _/     ̄`¨¨¨¨¨`ヽ_|  ヽ/    }
     {                 {   l   /     ′






       /  ̄ ̄ \
      /ノ  ヽ__   \
    /(―)  (― )   \     そんな無責任な……
    |.  (_人_)   u |
   \   `⌒ ´     ,/      「男にはな、守るべき時と攻めるべき時があんだよ。大丈夫だって。
     /         ヽ
.    / l   ,/  /   i       あの娘なら振った後言いふらしたりもしねえって」
    (_)   (__ ノ     l
    /  /   ___ ,ノ        えー……やる夫、一緒に暮らしてるんですお? 気まずくなりますって。
    !、___!、_____つ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
後で調べたのだが、夏祭りとは旧時代の日本において田舎町で行われた、
飾り付けた神社の境内や商店街などで行われるお祭りだそうだ。
出店がたくさん並び、浴衣という着物を着こんだ人々が闊歩し、
とにかく楽しいイベント、らしい。

男の言っていることはともかく、その夏祭りというものには行ってみたい。
帰ったらはやてに話してみるとしよう。告白とかどうとかは別として。

それはおいておくとして、ぱりっと焼けた魚はとても美味しかった。
塩と魚の脂が良い味を出していた。身も新鮮なだけあって弾けるようだ。
さっきまで生きていたものに対し、謝罪の言葉を抱くのは違和感を感じた。
なのはの言葉が蘇る。後悔するくらいなら最初から殺すな、と。

串を両手で摘まんで魚に齧りつき、考えることを中断する。
とりあえず、残さず食べよう。肉の一片まで、食べられる部分は、全部。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3237 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:33:35 ID:NjlOvYzI0

                         ┌──────┐
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                               └┘


                                   □

                               ・

3238 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/19(月) 22:37:23 ID:NjlOvYzI0

       , -‐   ‐- 、
     /: : : : : : : : : : ::',
    , ': : : : : : : : : : : : : : :',
  /: : : : : : : : : : : : : : :○:',
  ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',         今回はここまでだ。皆も攻め時とそうでない時を見極めなければ痛い目を見るぞ。
 .  `ト : : : : : : : : : : : _,-‐'`iヽ _
    i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : `ヽ      基本的に、二度と会うことがないような人、今後大して関わらない人には攻めていい。
    | : : :ト: : : : `-‐´ : : : : : : 、: : : 丶
    | : : :'、j`-‐ : : : : : : : : : : : \: : : ヽ   逆に身内だったり、学校や職場内では守りの一手だ。女は言いふらすからねえ……
    丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
          `ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'    他校や職場外でするといい。職場恋愛はお勧めしないね。怖くない?
             ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ





                           _ ______
                      ´.: : : : : : : : : : :`
                       l: : : : : : : : : : : : :i
                    i: : :○ : : : ○: :.|
                        |: : : : : : : : : : : |      次回は来週の月曜日、10/26の午後八時からとしよう。
                     j: : : -===- : :.i
               r―--┐     i: : : : : : : : : : : :l       それじゃ、シーユーアゲイン。
              i: : : : : ',      ゝ : : : : : : : : :t´
                ',: : : : : i  , f: : : : : : : : : : : : : :ヽ       夏祭り回……エロゲらしくなってきたじゃあないか。オラワクワクすっぞ。
                \: : : :y: : : :Υ: : : : : : : : : : :y: : '..,
                ',_: :: :/  i: : : : : : : : : : : :l丶 : : :ヽ
                     ̄   l: : : : : : : : : : : .i  \ : : :丶

3239安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 22:40:20 ID:CYScYWVE0
乙でした

3240安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 22:41:18 ID:JnQ6iwZ60
乙ー

3241安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 22:51:57 ID:0pnRGi3g0

死霊の盆踊りをオマージュ…してたら嫌だなぁw

3242安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 23:03:55 ID:qEveFhzc0
魚を殺すのとヒトを殺すのとはどれくらい違うのかとか考えてしまった
おつー

3243安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 23:04:13 ID:Q09M3rrw0
乙でした

3244安価のやる夫だお:2020/10/19(月) 23:16:58 ID:8aM1YZ460
おつです

3245安価のやる夫だお:2020/10/20(火) 23:05:24 ID:dNxtI7Cw0
乙でした

3246 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:01:11 ID:eewyaVm60
    /||ミ
   / ::::||
 /:::::::::::||____
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||      ||
 |:::::::::::::::||  、 - ‐‐ -,
 |:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
 |:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
 |:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l      ハロー。
 |:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
 |:::::::::::::::||___ : : :丿       
 |::::::::::::::(_____ノ´||
 |::::::::::::::(_ノ / . . . ||
 |:::::::::::::::||/    ||
 |:::::::::::::::||      ||
 \:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
   \ ::::||
    \||

3247 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:05:50 ID:eewyaVm60

                  . . .-─‐-. ミ
                     |: : : : : : : : : : `: ..
                     |: : : : : : : : : : : : /
                    }Ο : : : ◯: : : :,′
                   : : : : : : : : : : : :i
                      { -===- 、: : :. :.|
                    〉: : : : : : : : : :ノ       やる夫君のAAでさ、携帯使ってる場面のがあるんだけどね。
                  i: :`ニニニ´: : : : ‘,
                 __/ : : : : : : : : : : : : i       スマホ持ってるAAがないのよね。ガラケーしかない。
      ___        /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|
     / :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |        いや、仕方がないし、文句もないんだが、時代を感じるね。
     .′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘,
.    ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘        やっていこっか。私たちはピチピチヤング、いつだってエブリデイ最の高。
.       ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
                 \: :′:::::::::::/______」        
                     弋:::::: /
                       `¨´

3248 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:06:04 ID:eewyaVm60

    . . <: : : : : : : : : : ≧: : .
.  , : : :_:_: : : : : : : : : : : : : : : : : : > 、
 ,: : : : : : Y´: : : : : : : : : : : : :丶: : : : :\
./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ: : : ヾ:.、
: : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : ; : :ハ
: : : : /: : : : : :/;_:_:;: : :/: : : : : : :∨: : ∨: :!
: : : ::{: : : : : : {´`´`∨: : : : : : : : ∨≪∨:{
: : : ::|: : : : : : | _,.--}:-:、 : : : :; -:∨≪Ⅵ
: l : {:!: : : : : : !´  __l! ∨:|ヘ : }从: }: : : |リ
: |:l:从: {:-: : ::トz====㍉,   }/__,ム:| }: : |            たっだいまー。
: |:|: : {`ヽ ∨:!ゞ辷:ノ    ( ´¨´八.!::从
: |:|: : `ヾ_- .,         ,   .: : : ト 、            「お帰りなさい、はやてさん」
: |:|: : ∨: 〉く: 、     __ .,  .ィヘ:_:_、`ヽ
::介∧ ∨{  Y: >、    ̄ <: :{ ゝ_ィ^ヽ.            お、ええ子にしとった?
:{ .l: :∧ ∨:\): }ヾ:、/ ̄_Y二ニrf´` `  、
:| .|:∧ \{~ ‐}:l:!  >‐ミ {_|_ {ノ^ヽ     、__         「……多分」
ゝ/ ∧     |ハ./三三∨ ̄ `ヽ. ハ    〉:::::Y
_/ / ∧    / }!ゞ三三≧--=ニニニ{ト-::イ:::::::::!        そか、ならええわ。
.   /  \. /  .!::::::>:..寸二〉::::>:::::`ヽ:::::::::::::::|
,-=ミ    .У_.」::::::::::::::::><::::::\:::Y::::::::;::::::;ノ{         「あ、お風呂沸かしておいたお」
   `ヽ  {   .|:::::::-<::::::::}::::>::Ⅵ:::::::::::Y:::::::l、
       l!    !::::::{:::::::::::::└::―:-Y::o::::::::}::::::::|::\       おお、それは嬉しいなぁ。おおきに。
       l!   ム::∧::::::::::::::::::::::::::::`::、::::::|:::_:::_::_:::::
       l! イ::::::::::::::\::_:_::::::::::::::,::-::‐'::´:::::::::::::::ト、

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
河川敷で元ノーマル乗りだったという男と魚釣りに興じ、
日が暮れてきたからと家に帰ってテレビを見ていると、端末が震えた。
もう少しで帰れるという、はやてからの連絡だった。

彼女の名前が画面に出た時、安堵を覚えるのはなぜだろう。
ただ、少しずつ、自分の中の当たり前が書き換わりつつあるように感じていた。
おかしな状況には変わりないが、それが普通になってきている。
この短い時間の中で、このジオラマのような世界で、はやてと暮らしている。
それが普通であり、自分にとってその象徴たるものがはやてなのかもしれない。

車の音が聞こえる度に、はやてだろうか、とそわそわしていると、
ついに鍵が回される音がした。椅子からすっくと立ちあがり、玄関まで出迎えに行く。

仕事帰りの彼女は特別くたびれた様子もなく、けれど目つきや語気の端々から
若干の疲労を滲ませていた。出迎えに来た自分を見ると目を細め、
声を弾ませる。

夕飯の用意は荷が勝ちすぎるので、せめて風呂だけでも、と用意しておいたのだが、
はやてはそれを聞くと極々小さくではあるが歓声を上げてくれた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3249 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:11:30 ID:eewyaVm60

     ____
   /      \
  /  ─    ─\
/    (●)  (●) \      夏祭り……ううむ、やる夫が誘ったところで、はやてさん困らないかな。
|   u.   (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /       いや、はやてさんだったら、本当に困るならちゃんと断ってくれそうだお。
(  \ / _ノ |  | 
.\ “  /__|  |         言うだけ言ってみるかお。
  \ /___ /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
はやてが先に風呂へ入っている間に、どう誘ったものか、
そもそも誘っていいものかとリビングの椅子の上で悶々と考えていた。

夏祭りというものに興味がある、というのも本音だ。
ただ、自分一人で行こう、という気持ちがなぜか湧かなかった。
はやてを誘って、はやてと一緒に行く、断られたら行かない、という大前提が、
いつの間にか自分の中で作られており、それに違和感も感じなかった。

テレビの古めかしい四角の画面に歌劇の舞台が映っている。
といっても、ミュージカルはミュージカルでもコメディらしいが。
観客たちの沸く声が聞こえてくるが、考えに夢中で内容が入ってこなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3250 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:18:39 ID:eewyaVm60

                      . . ''"゚~.:/⌒\ ‐-ミ
                    /⌒\//.: .: .:.:⌒\.: .: .:.\.: : \
                /.: .: .: .: r∧.: .: .: .: .: .: \: .: .: \.: .: :.
                 /.: .: .: .: .:|/:∧.: .: .: .:.:.:.|.: :/〉:_/∧: : ハ
                  /.: .: .: .: .:.:i'"⌒ : |.: .: .:.:.L〈/_/〉// ̄V .: i
            /.: .: .:|.: .: .: .:.|_  |:|.:.| :/|:∧〈/|./ .: .: |.:/ |
             '⌒.: |.: .:|.: .:./八_   |:|:.:|.:.:.斗tミx :|', : .: |: .: |
             | :|.: .:|.: :|.: : ィう㍉ 八.:| :/ ノ(_,,狄 ',: : |: .: |
             | :|.: .:|.:八.:八 Vリ   j/  ヒ'少゚ | :ハ.: : | .:八
______          |八 : |.(.: :\.:\, ,r'     , , ,  /|./)|.: .:|:/.: :|
      \       /:\ .\.: 八⌒ 、   , _彡ク/|.: .:|.: .: :|
        ',     /.: / : : /  \__       イ.:.:.:|.: :八 : :|
_          |    /⌒7.: / ̄ ̄( ̄  ∧__. :    :| : : |.:/ .: ) .:|
 ̄ ̄ ̄\   |       /.:/ /⌒\  ̄\  |\_  _,/|__|/ .: .: .: |
 |     )/    /人:(/ニニニニ\.  \_〉 / 八 ∧___/\. .: 八
 |   /     /  / |ニ/⌒ヽニニ| \_//\/\/⌒\\: :..)
 \__(____,/  /  |八   八ニ.|\:::::\  〉-〈(        \/``〜、、
.        /  /     〔ニ|_|ニニ|ニ.\:::::\---〉、____/\    ``〜、、
.       /  /       |\ニニニ∧ニニ/::::::::\ :::厂|ニニニニ.|  \      ``〜、、
.   〈   /         |:::::|ニニニ/:::::\/ ̄ ̄ ̄∨\\ニニニ.|.     \         ``〜、
        /          :|::::::\ニ./::::::::::::|::::::::::\:::::::::}::::: \\ニ|.      \           \
. ̄ ̄ ̄ /           |::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::: \ ::::::::::::::::',∨         \           \
     |     |     |:::', :::::::::::::::::::: |::-――-:::\ : -‐-::〉::|  __      \
     |     |    _|::::::',:::::::::\::::::|:::::::::::::::(__)::::}:::::::::::/ :::|  {,/⌒ヽ     \
     |        八::::::::|:::::::::::::::::\\\::::::::::::::/:::::::/:::::::| (__, イ }      \
       \     .、-''":<\:::〈:::::::::::::::::::::::::::〉:::\___/::::/:::::::::::::|_/_/ ̄ ̄)    |   \
       \::/::::::::::::|::\\| :::::::::::::::::::::: |::::(,,,)::厂ノ∨::/⌒Y (__/ ̄ ̄)     |      |\
        / ::::::::::::::::|::::::::\|:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::/  |::(::::: /::|八(_,/ ̄_,)    |      |  |
        /:| :::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::|::::::::/|   〈::\{:::::\:::(__//      |      |  |
     /::::ノ ::::::::::::::::::::|::::::::::::::|:::::::::::\::::::: |:::::::::::〉    \:\::::::::::/´         |      |  |
.    /::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::: :|::::::::::::::::\ ::| ̄ ̄〉      ̄ ̄|~          |      |  |

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
色々と悩んだり考えたり、落ち込んだりもした。
けれど、はやてと一緒に居ると、不思議と張り詰めた表情が綻ぶのが
自分でもわかった。

彼女が笑っていたり喜んでいたりすると、胸の内で堅く結ばれたものが解かれ
暖かい気持ちになれた。自分がどんな人間か、ここに来るまでに何をしてきたのか、
忘れてしまったわけではない。そうではないのに、暖かいものがこみ上げてくる。

罪悪感や後悔なんてものではない。怖かった。
自分の行いが、自分の行く末が怖くて仕方なかった。果てのない恐怖だった。
元に戻すこともできず、償いなんてできるはずもないことを抱えて、
不安と恐怖でどうにかなりそうだったのに。

ここではやてとこうしていると、それらは優しい平穏という仕切りの向こうへと
追いやられ、目の前に広がるのは、彼女との日々だけとなる。
そしてそれを享受し、何も知らない子供のように眠る。
素敵な夢でも見ているかのように。

そして、こうも思うのだ。これが夢なら覚めてほしくない、と。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3251 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:23:17 ID:eewyaVm60

               ____
             /      \
           / ─    ─ \
          /   (●)  (●)  \
            |      (__人__)     |
      ( ( \    )⌒´  。 ,/
           _ n  ー‐      \
        /-(ミ>二==____とー、ヽ
        i /ヽミ/   .∨////// i |
        i/  |     ヽ、__ノ   ヽ|
        .〈   |      ゝ_,,へ ノ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
風呂上がりのはやてと一緒に夕飯の用意をし、テレビを見ながらいただいた。
今日は中華風で、あまり辛くない麻婆豆腐と餃子、ワカメのスープだった。
二人とも辛いものや苦いものは不得手だということで、
当然の如く辛みがかなり抑えられた麻婆豆腐と相成った。

主な行程ははやてが担当しているが、食器を出したりといった簡単なことは
自分も手伝うというのが、二人の食事の用意となっていた。
最初こそいたく感激されたが、段々と喜ばれ方も穏やかになっていき、
今日にいたっては「ん」と優しく目を細めるだけに留まるようになったが、
それはそれで感慨深いものがある。

自分が誰かにとっての日常の一部になっているのだ、というのは、
存外に嬉しいものだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3252 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:26:17 ID:eewyaVm60

     ___
   /   ヽ、_ \
  /(● ) (● ) \        あの、はやてさん。
/:::⌒(__人__)⌒::::: \
|  l^l^lnー'´       |       「んー?」
\ヽ   L        /
   ゝ  ノ               えっと、その……
 /   /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
洗い物を済ませて食器を片し、冷蔵庫の中を物色するはやてへと向き直る。
「たまには別のにしよかなぁ」とぼやきながら、いつもと変わらぬ銘柄の
缶ビールを鷲掴みにしていた。確か、あれはオルデンブルクグループの
ドイツ系飲料メーカーが手がけているビールだったはずだ。

食糧分野においては、IGIOグループがトップシェアを誇り、
次点でオルデンブルクグループ、その次にアヴィアコルグループ、
最後にSIグループとなっている。オルデンブルクグループのそのメーカーは
結構人気らしいが、飲めない自分からすればよく分からなかった。

小気味いい開封音を鳴らしながら鼻歌を歌うはやてに呼びかけ、
夏祭りについて聞いてみた。最初から誘ったりできなかったのは、
ひとえに勇気の不足だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

3253 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:26:40 ID:eewyaVm60

                        -‐…‐-
                  _.、-''" .: .: .: .: .: .: .: .: .`丶、
                    /⌒: .:/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .:\.:\
              //⌒ヽ(.: .: .:.:\.: .: .: .: .:.\.: .:\.:\
                 /.:/.: .: : /∨\.: .: .:.:\ .: .: :\.:\.: .:\:.ヽ
.               / : .: .: : : | :i⌒ヽ : .:| : : |\ .: .: :\.:\.: .: .: : .
             /.: .:.|.:.: .: .:| :|   |.:.:.|.:.:./ ̄ ̄\ :| .: 〈∨〉 : :.
.            / .: | :|: : .: :/|⌒ |.:.:.| : : |  |.:.: .: .:/|/〉〈∧〉.:.:.:|
           /.:|.: :| :|.:.:.: .:.:|八  | .:j||.: .:| _|__|_.:/ ///:|.:.|: .: .: |
           .:. .:|.: :| :|.:.:.: .:.:| xfて㍉.:リ|.: .:|'⌒て(~"Y/.:.:|.:.|: .: .: |
        /.: .: :|.: :|八 : .: 八  _):刈 |.:.八   _):狄リ| .: 八| .: .: :|
        /⌒7.: : |.: :|.: .:\.: .:.:ヽ乂少 j/   ∨'少'.: .:/,ノ.: .: .: :|
          |: .:八.: .: .:\:\.:〈⌒, ,  、    , , 厶イ.: .: .: .: .: :|       私もここに住み始めたんが十七から……
          | /  \(\: \:::込     _       イ.:.:.: .: .: .: /.: |
          |:    \⌒\ .: 个        //.: .:/.: .: .: /.: : |        ちうても、たまにしか帰らへんかったから、
            /.: .:./r<\.: .: .\:>-<  / ̄/ .: /.:./、.: .:.|
            /:r<__||"^\\.: .: .\___/∧///.:.//\:|         行く機会もたまにしかあらへんかったんやけどな。
            / : /⌒\八   \\.: .:| \_/〈∧\.:.:// / ̄ ̄|
        ⌒7 :〈      ∨ ̄ ̄ ̄ ̄|.: |〉 /⌒\ |:::::V/./     ∧       せやけど、何度か行ったことあるで。
          {.: 八    / /    .八∧∧:i:i:i:i:|\:::::: 〈     /⌒\
         /    r<      /:::::::::〈 \:i:i|  |\::::〉      \\ |      楽しいで? 出店のご飯も美味しいし、
        /     /____/::::::::::/ :\ |⌒ヽ |::::::\~"''〜、、 \\
.       /  _.、-''":::::::::::::\::::/____/::::::::::::|:|:i:i:i:i|:::::::::::: ̄|:::::\:\ \\     色々遊べるし。
      _.、-''" /:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::/::::\::::::\:i:i:i:|:::::::::::::::::厂〕:::::Y: \__|. \
     /    ./:::::::::::::::::::::::::::::}:/: /:::::::::::::::::::::::::::〈⌒〕:::::::::::/ ̄:::::::::}::::::| \  \
    /      ノ:::::::::::::::::::::::::::::::/::::::``〜、、 :::::::::::::::\|:::::::::/::::::::::::::::八::: \ \  \
  /      〉''"゚~~"''〜、、:::〈::::::::::::::::::::::::``〜、、:::::::::ヽ/::::::::::::::: /::::::---:L   ̄\ \
. /      /''"゚~ ̄~゚"''::::::\|:\:::::::::::::::::::::::::::::::::``〜、_|__/:::::::::/:::::_::::::::∧      \ \
          /::::::::::::::::::::::::::::::::::∧:::::\::::::::::::::_::::::::::-‐=:::::|::::/ :: /〉/:::::::::::/::∧       \ \

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「行きたいん?」

はやては何かを察したかのように、穏やかな声音で聞いてきた。
頷いて返し、明日の夕方から始まるらしいと伝えると、
彼女は端末の画面に指を滑らせはじめた。予定を確認しているのだろうか。

ここで「ええやん、行っておいで」と言われたらどうしようかと思ったが、
その心配は杞憂に終わった。彼女も行きたかったのだろうか?
それとも、単に面倒見の良さの発露なのだろうか。少し、気になる。
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3254 ◆x0SRSoJXe.:2020/10/26(月) 20:44:52 ID:eewyaVm60

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ただ、こういうのはちゃんと、言葉にして誘ったほうがいいと思い、
気の利いたセリフを考えていると、テレビがニュース番組へと切り替わった。
アーカイブからの過去の番組の配信ではなく、リアルタイムでのニュースだ。

といっても、何か凄い情報が流れるということはあまりない。
世界情勢の解説、ブライドルの様子、自社の主張、それくらいだ。
要は、気にしてもどうしようもないことばかりということである。
それに不満を覚えるような層は、そもそもテレビなど見られていないだろう。

その映像の中に、速報としてコーカソイド系の男性アナウンサーと、
下にテロップが流れていた。コロニー・アマツ周辺でネクスト機による
戦闘が発生した、とのことだった。コジマ汚染の影響や被害の有無などを
淡々と説明している。
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