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作品投下スレ

80際会 その4 ◆yxYaCUyrzc:2017/08/25(金) 11:58:30 ID:K9OR.IT.
「なんだって、か」

カーズにとって、この提案は悪い話ではなかった。

「ククク……今の演説を、まさか大統領だとかいうの“だけ”に聞かせていたわけではあるまい?」

そのバケモノじみた……いや、実際に人間から見れば十分にバケモノなんだが、目と耳が道の真ん中で呟き続ける琢馬をとらえていた。
独り言を終えて元来た道を戻ろうとする琢馬の背後。つまり先ほどまで琢馬が見つめていた方向に姿を現す。

「そうだろう?だからこそ、このカーズを前にしてそんな顔でいられるのだろう?
 私ほど『とんでもない目標』を持ったものもそうは居ないだろうからな」

振り返った琢馬の目がカーズと合ったとき。
琢馬がギョッとしたのはほんの一瞬で、むしろ、その口角が少しだけ上がったようにさえ見えた。
夜の闇で誰にも分らないほどごくわずか。少なくとも俺にはわからなかったが――カーズは分かったのかもしれない。

「そして――フフ。人間はこういう時、だいたいこう言うそうじゃあないか」

笑いをこらえきれないカーズと、こちらもまた表情が緩む――安堵したような顔をした琢馬。

そう。カーズの言った通りだった。
琢馬は自分の体に吸い込まれた『遺体』のパワーが一体何なのか。
耳に入ってくるその遺体の情報。生前が“何者”であったか。なぜこんなゲームバランス崩壊のようなものが点在しているか。
なぜそれを知っているものがいるのか。なぜスティーブン・スティールが殺されたのか。なぜ遺体と遺体が引かれあるのか。
それらを踏まえての先の独り言――演説、大立ち回り。そういっても過言ではないだろう。
ある意味では、むしろ大統領には本当に“聞かせるだけ”でカーズのような“ドでかい目標を持つもの”に接触してもらうところまでが琢馬の作戦だったのかもしれない。
むろん、大統領が接触してくれたのなら、それはそれで琢馬にも動きようがあったのだとは容易に推測できるけど――

「MMM???今『なんでもする』って、言ったよヌァアァァ〜〜?」

言いながらついに高笑いを始めるカーズ。
それを静かに見守る琢馬。ほんの少しだけ洩れた溜息は安堵のものか、あるいはカーズの言い回しに引っかかるところでもあったのか。
それは本人にしか分からないだろう。敢えて言及するのは避けさせてもらうよ。


――と。
ここで最初のテーマに戻る。
『考えるのをやめる』ということについて。

何がどうあっても考えるのをやめることが出来ないであろう蓮見琢馬は、考えに考え抜いて、カーズに接触した。
だがしかし、双葉千帆のことを『考えるのをやめた』とも表現できなくもない。

一方でカーズは一族の中でも――つまり全ての生物の中でもダントツに頭がいい大天才。考えることに関して右に出るものはそういないだろう。
だが、そんなカーズが『考えるのをやめた』という話を我々は知っている。

さてさて、カーズ討伐同盟やら聖人の遺体の争奪戦やらで周囲がざわつく中。
ある意味では誰よりも早くカーズに接触したといえる……いえなくもない琢馬。
この出会いがどう転がっていくのか。皆も少し“考えて”みておくれよ。


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