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作品投下スレ

1 ◆rgg2/UGNQg:2016/03/03(木) 22:17:29 ID:Y2q7WhB.
本スレ転載用スレが1000ちかく、ロワの進行がしたらば進行になったので必要かと思って立てておきました。
2chスレで進行になった場合、または議論等でこのスレが不必要になった場合は削除してください。

146始動 その4 ◆yxYaCUyrzc:2020/08/16(日) 19:15:54 ID:gEpKHij6
結果として消去法でもあったのだが――ムーロロはジョナサン・ジョースターとの接触を当面の目的に据えた。
だがムーロロ自身、この選択は最良だと思っているし、俺もこの判断力は流石だと思う。だからやっぱり『強い暗殺者』なんだなと。
さて、ジョナサン・ジョースターといえば根本的に甘ちゃん連中が多いジョースター一族の中でも、随一の大甘ちゃんだといって差し支えないだろう。
しかも、同じ『敵だろうと怪我してたら治療する』でも、そこに利用価値の有無を勘定に入れるジョルノとは訳が違う。上手くすればノーリスクで傷の治療をしてもらえるだろう。

何より彼がスタンド使いではないというのが大きな要因だ。
スタンドを視認しているような言動があったのはバトルロワイアル運営側のハンデか何かだろう。だがたとえスタンドとの戦いを経験していたとしても波紋法のような“技術”とスタンドは根本的に異なる。
このロワイヤル終盤に来て自分のスタンドについてシラを切るつもりはもはやないが、そのリスクを冒してでもなおジョナサンのそばに立つことには利があると踏んだ。


荷物をまとめ――るほど持ってないんだよな。
腹に入れておいた石……元ボヨヨン岬の岩の欠片をポイ捨てしつつ、同時に懐の銃をサッと確認だけして重い身体を引きずり歩き出す。
カードの情報で自分の現在位置がダービーズカフェ付近である事、そしてジョナサンもそこからエリア二つ程度と比較的近い場所にとどまっていることはムーロロにとって幸運だった。
決して早くないが、明確な目的を持ったその足取りに迷いはない。


が。ここでひとつ、ムーロロは“知らなかった”。いや、恥知らずだとかそういう意味でなく……

彼が目指したジョナサン・ジョースターが今まさに『絶対的な強者として現れた敵とともに歩んでいる』ことを。
そして、その『強敵』が能力に制限こそあれど、間違っても目に見えるような弱体化なんてしないであろうことを。

流石にこれを責めるのは酷だろう。
なにより、この決断で彼らにどんな運命が訪れるのかは、俺たちだってまだ知らないんだから。

147始動 状態表 ◆yxYaCUyrzc:2020/08/16(日) 19:16:47 ID:gEpKHij6
【B-2南部中央、ダービーズカフェ付近 / 1日目 真夜中】


【カンノーロ・ムーロロ】
[スタンド]:『オール・アロング・ウォッチタワー』(手元には半分のみ)
[時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』開始以前、第5部終了以降
[状態]:腹部ダメージ・大(患部確認、応急手当済)
[装備]:トランプセット、フロリダ州警察の拳銃(ベレッタ92D 弾数:15/15)、予備弾薬15発×2セット
[道具]:遺体の脊椎
[思考・状況]
基本行動方針:他のことなんて知ったこっちゃない、ジョルノたちに「復讐」する
1.復讐のために自分ができることを。まずはジョナサン・ジョースターと接触する

※腹部のダメージは肋骨が折れて腹筋を傷付けている程度で、それに伴い声が出せません。
 移動ができる程度には手当しましたが、長く放置しすぎると死ぬかも。
※現在、手元に残っているカードはスペード、クラブのみの計26枚です。
 会場内の探索はハートとダイヤのみで行っています。 それゆえに探索能力はこれまでの半分程に落ちています。


【備考】
ムーロロが「第四放送までに(会場中央に)来い」と連絡したのはディエゴ(とセッコ)でした。
他にも同時中継で誰かに連絡していた、かも?

148始動 ◆yxYaCUyrzc:2020/08/16(日) 19:17:47 ID:gEpKHij6
以上で投下終了です。
久しぶりの投下ということで実質的な現状確認回をムーロロにお願いしてしまいましたw
備考欄に書くかどうか迷いましたが、意外と監視が行き届いてなかったりするところ(フーゴとか)もあるのでムーロロ自身もどうなることやら。

聖人の遺体とか主催サイドの話題が出てきてハードル高い気もしますが、グループ同士の出会いだけとか、めいっぱいバトルだけとかでもいいので、
これを機にジョジョロワ書こうかなと思ってくれる人が少しでもいればありがたいなと思います。

投下後1週間程度でしょうか、時間をおいて誤字脱字や話の矛盾点等のご指摘や問題がないようでしたらwikiに掲載したいと思います。
それではまた次回にノシ

149名無しさんは砕けない:2020/08/16(日) 19:29:16 ID:orj6ixxI
投下乙です!
タイトルに願いが込められてて好き

150名無しさんは砕けない:2020/08/16(日) 20:54:31 ID:QhVurjFk
投下乙です
ムーロロ、あれだけやられてまだ冷静なのはさすがだけど味方いないな…
ババ抜きのごとく不要なものを捨てていってそれで最後に選んじゃったのがジョーカーなのが笑える
彼にはDIOが見えていないのかたまたま見てないだけなのか…どちらにしてもニヤニヤが止まらない

誤字脱字、矛盾などは特に見られませんでした
ジョジョロワの再始動は私も願っております
あらためて乙でした!

151名無しさんは砕けない:2020/08/23(日) 17:27:50 ID:qzAAvwRw
投下乙です!!
久しぶりの投下なのであ〜そうだったと一緒に確認してしまいました笑
ここまできて尚コウモリを続けるのかよ⁉と思いましたがそこがムーロロの強さなんですよね…
でもジョナサンに会えなければある意味詰んでしまいかねない状況、今後がワクワクです

152始動 ◆yxYaCUyrzc:2020/08/23(日) 22:39:35 ID:Q1V5MYYE
皆様ご感想ありがとうございます!
ジョジョロワ読んでる人が未だに残っていてくれて本当にうれしい。
感想が一番のモチベーションになるので、読者の皆様にはいつも本当に感謝しています。
さて、誤字脱字や矛盾のご指摘がなかったので、『始動』をwikiに収録いたしました。
wiki編集も久しぶりだったので過不足ありましたらご指摘ください。

これを機に書き手さんも増えていただけるとありがたい、そのうち冗談抜きで「全員自己リレーになるから私もう投下できません」になりかねませんからw
私自身もジョジョロワの再始動を目指して動いていこうと思います!ではまたノシ

153 ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:03:35 ID:1vtLf/uI
あけましておめでとうございます。
2021年は投下ありませんでしたね……寂しいので投下させてください。

154どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:05:43 ID:1vtLf/uI


「氷を使った時限装置、か」
「こういうのはシンプルでいいんだ……それよりさっさとここを離れよう」

空条邸の近く、吉良吉影と宮本輝之助は再びバイクに乗って出発しようとしていた。
その背後には氷と紙、そして拡声器がなにやら組み合わされて設置されている。
人を集めたいが、同時に目立ちたくはない……
そんなジレンマを抱える彼らは拡声器を安全に使うべく細工を行っていたのだ。

(うまく動作する……よな? まあ、失敗しても致命的な問題にはならないからいいか……)

作った仕掛けは単純……まず近くの壁に二つ折りにした『紙』の一方の端に糸を付け吊るす。
その下に、理由は不明だが近くにあった巨大な氷塊から採取した氷の破片を設置し紙を置く。
後は紙の前にスイッチを入れっぱなしで固定した拡声器を設置する――これだけだった。
こうしておけば時間と共に氷が解け、二つ折りの紙は重力に引かれ自然と開く。
すると紙の中に閉じこんだ宮本の『声』が拡声器に向かって喋り、勝手に放送を行ってくれるという寸法。
この方法なら声を聞きつけた危険人物がやってきても、その頃には安全圏まで離脱済みというわけである。

「それで、どちらの方角に向かえばいいのかね?」
「当てがないのなら、とりあえず真北――シンガポールホテルに向かってほしい。
 そこから地図で見てここから一ブロック離れた地域を一回り……」

所要時間を計算でもしているのか、真剣な表情を崩すことなく続けていく。
吉良からすれば、必要以上に考えすぎていて内心呆れるほどだったが。

「基本は地図にある主だった建造物だけ軽く捜索していき、時間が近づいたら戻ろう。
 不測の事態があるかもしれないし、遠くへ行きすぎて肝心な時に間に合わないなんてのは御免だ」
「……了解した」

かくして、二人はカーズとの待ち合わせ場所である会場の中央から一旦離れることとなる。
彼らの道中はひとまず、他の参加者に出会うことはなく……
事件らしいことといえば禁止エリアとなっていたE-5で一瞬泡を食ったぐらい。
束の間の平穏……だがそれは同時に、嵐の前の静けさであった。

155どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:06:58 ID:1vtLf/uI
#

D-3にある民家のひとつ。
先程出会った二つのチーム、計六名はここで情報交換を行っていた。

主に話しているのはここまで両チームを引っ張ってきたトリッシュ・ウナとシーザー・アントニオ・ツェペリ。
同郷の人間であること以外特に共通点などないはずの二人だったが、不思議とスムーズに話は進んでいく。
もちろん、話す内容は真剣そのものだったが。

外部への警戒を任されているのはナランチャ・ギルガ。
民家の屋根付近にエアロスミスを待機させ、レーダーで索敵を行いつつ会話に参加している。

小林玉美もとりあえず真剣な面持ち――内心気に食わないナンパ野郎を睨みつつ話を聞いていた。
彼はこれまでほとんどトリッシュと行動していたため、付け足すこともなくただ聞いていただけだったが。
なお、トリッシュ本人からは黙ってくれていて助かると思われていることを彼は知らない。

イギーは……平常運転である。
会話の中に自分の知っている名前が出てこないため、近くで寝そべり休憩を決め込んでいた。
当然、ちょっかいをかけられようものなら迎撃するつもりであるが。

シルバー・バレットはさすがに家の中に上げるわけにはいかず外につないであるため、これで全員。
互いにこれまでの経緯を話しつつ、危険人物などの情報を交換していく。
彼らの話し合いに一石が投じられたのは唯一共通となる知り合い――フーゴの話になった時だった。

「……いなくなった、ですって?」
「本当にすまない……応急処置はしたが、彼をそのまま置いて行ったおれの責任だ」
「てめえ、責任なんて軽々しく言うんじゃねえぞ……
 フーゴに何かあったら、具体的にどう責任取るってんだ!?」

自分たちの元からいなくなったフーゴがシーザーと会っていたことに安堵したのも束の間。
最後まで聞いてみればフーゴは重症を負っていたうえにまたもや消え、現在行方不明という始末。
食ってかかるナランチャに対しシーザーは申し訳なさそうにうつむき返す。

「目を離した隙に消えちまった……としか言えない。
 自力で動けるような状態じゃなかったから、誰かが来て何かしたとは思うんだが……
 連れ去られたのか、死体すら残らず殺されちまったのか、それすらわからない……」

ゲーム開始からこれまで、出会った者のほぼ全員が命を落としている……
そんな境遇にあるシーザーの頭から最悪の可能性が離れないのは無理のないことであろう。
だが同時に、それでもへこたれないのがシーザー・アントニオ・ツェペリという男である。

「ただ、これだけは約束する。フーゴを見つけるために、おれにできることはすべてやる。
 もう遅すぎたというのなら……必ずや犯人に報いを受けさせてやる。必ずだ……!」
「犯人、か……その、残されていたメモにあるカーズってのは?」

そう言い切った彼の表情は、初対面時の軽そうなそれからは想像できないほど決意に満ちたもの。
それを見たナランチャも一応の納得はしたのか追及を止め、先程彼が見せてきたメモについて尋ねる。
カーズなる人物が『第四放送時、会場の中央に来たものは首輪を外してやる』という内容の怪しげなメモ。
シーザーは答えながらも同時に悩むようなそぶりを見せはじめた。

156どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:07:37 ID:1vtLf/uI

「……おれの宿敵の中に同じ名前のやつがいる。
 名簿にはカーズの仲間三人の名前もあったから別人とは考えにくいんだが……
 いろんな意味であいつがこんな書置きを残していくはずがないんだよな……
 罠か、何かのきまぐれか、それとも別の誰かが勝手に名前を使ったのか……?」

ひとりで考え込んでしまうシーザー。
聞いた側はむしろ首輪の解除について気になったのだが、シーザーはそこはまったく信じていないようだった。
トリッシュは『宿敵』という言葉からむやみに触れるべきではないと判断し質問を変える。

「もうひとついいかしら……フーゴと一緒にいたのは本当にそこのイギーって犬だけだったの?
 他に誰かいなかった? 例えば黒髪で背の高い――」
「……待った、誰か来たぞッ!」

フーゴと共に消え、放送が確かならいまだ健在なはずの青年、ジョナサン・ジョースター。
さすがにフーゴに重傷を負わせた犯人だとは思えないが、行方が分からないのはやはり気にかかる。
だがその質問は、レーダーの反応に気づいたナランチャの報告で中断されることとなった――


「数は二つ……外に出て向こうの角の先だッ!」


#

「…………」
「あの――」
「少し黙ってろ、どうしてもって時は大声を出せ」

集団が潜む民家の外、そこから少し離れた位置に件の二人――双葉千帆とプロシュートはいた。
始まりはプロシュートが民家の窓にチラッと灯った明かりを見つけたこと。
持っていた双眼鏡で注意深く観察してみると、外からは見えにくい位置に馬がつながれているのを発見。
ここまで揃えばもう疑いようがない――あの家の中に誰かがいるのだと。

『男の人が三人と女の人が一人……後、犬も一匹いますね』
『見せてみろ――――!?』

はたして双眼鏡で民家の中を覗き込んでみると、中にいたのは男女動物が入り混じった集団。
だがそれを交代で確認していくうちに、プロシュートが眉をひそめながら黙りこくってしまったのだ。
双眼鏡に目を当て、中の様子を窺いながら考え込み続ける……即断即決の彼にしては珍しい光景。
千帆も思うところはあるものの、こういう判断はプロシュートに任せたほうがいいと考え、従っていた。

(……何か、あるんでしょうか?)

千帆には、プロシュートが悩んでいることについて全く思い当たる理由がなかった。
……彼女は、知らないのだから。

157どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:08:29 ID:1vtLf/uI

(チッ、ここにきてこれか……!)

集団はその数の多さと纏う雰囲気から危険な連中である可能性は低そうだった。
だが、プロシュートにとって重要なのはそこではなく……その中にいた一人の少女。
ほかならぬ自分たち暗殺チームが狙っていたボスの娘――トリッシュ・ウナ。
加えてその近くにはブチャラティの部下であるナランチャ・ギルガの姿もあった。
少し前ならば絶好の機会と言える遭遇だったが、今はあまりにも状況が違いすぎる。

(あいつらがオレを知っているかどうか……知っている前提で動くべきだな)

直接の面識はないが、暗殺チームが組織を離反した話はさすがに伝わっているだろう。
自分の顔か、最悪名前だけでも知られていれば十分にありうる――『敵』と認識されている可能性が。
プロシュート自身はこの場でトリッシュを捕まえてボスのことを探ろうなどとは思っていない。
自分たちの誇りと無念が千帆の存在に劣るわけでは決してないが、今すぐその件に手を付けるのは愚策なのだから。
とはいえそんな事情を洗いざらい話したとしても、信用してもらえる確率は低いだろう。

(そうなると、オレは迂闊に顔を出すべきじゃあねえんだが……)

かといって千帆を一人で行かせるというのもまた不安が残る。
千帆も自分の素性は知っているものの、それを上手いことぼかして説明してもらうのは難しいだろう。
流れによっては名前が出るだけでも誤解で攻撃を受ける可能性すらある。

(適当に理由をつけて離れる、ってのも骨が折れそうだな……)

さらに自分と彼女らの関係を千帆に話していないのも地味に響いてくる。
すなわち、千帆には彼女らと接触を避けて離れる理由が全く無いのだ。
実際今もプロシュートの判断を待ってはいるが、その目は『彼らのところに行かないんですか?』と物語っていた。

(最適解はねえ……こうなったら――)

プロシュートが腹を決めようとしたその時――民家から集団が全員揃って出てきていた。
出発する気か、と思ったのもつかの間。

「おい、さっきからそこの角に隠れてるやつ! いるのはわかってんだぞ!
 二人ともいい加減出てきやがれッ!!」

ナランチャが声を張り上げ……他の者も全員角の先へと視線を向けてくる。
プロシュートは瞬時に自分たちの存在が露見していたことと、その原因を悟った。

(マズった……あいつらのうち誰かのスタンドかッ!?)

双眼鏡で見ていて目が合った、なんてヘマなど当然していない。
第一、この距離で何も使わずに正確な人数まで把握するなどほぼ不可能。
そうなると何らかの能力あるいは道具で探知されたと考えるのが自然だ。
迂闊だったというのは酷な話だが、これで自分たちが取れる選択肢は確実に狭まったといえる。
今はまだ推定無罪だが退いたり不動を貫こうものなら即座に有罪認定、容赦なく攻撃されるだろう。

「……行くぞ」
「……はい」

158どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:09:29 ID:1vtLf/uI
タイムアップ、もはや相談する時間もなし。
千帆もそれを察したのか、余計なことは一切聞かず歩き出す。

(しかし本当に、こう聞き分けがいいと苦労しねえ……『あいつ』とは大違い――)

そこまで考えてふと、脳裏にとある男の顔が浮かんだ。
聞き分けのない『あいつ』…………ではなく、彼と同行していた時に遭遇した男。
知っている相手に素性を隠して近づき、結局退けず相容れず、最後は自分が始末したあのギャングの顔が。

(……今度は、オレがその立場ってわけだ)

願わくば、彼と同じ末路を迎えることだけはないように――などとは考えもしなかった。
頼りにすべきは神などではなく己のみ……プロシュートにとって未来とは、自分の手で掴み取るものなのだ。

#

「そこで止まれッ! 妙な動きするんじゃあねえぞッ!」

およそ10mほど――だいたいの近距離スタンドならば射程外となる距離で制止される。
殺し合いをここまで生き残っている者からすればこの程度の警戒は当然、誰も異は唱えない。
お互い、緊張の面持ちで相手の出方を見ている様子だったが……最初に口を開いたのは千帆。

「皆さん、私は双葉千帆といいます。私も、この人も殺し合いには乗っていません」
「……それが本当ならよぉ〜、あんたのスタンドを見せられるか?」

集団の先頭にいる少年をまっすぐ見据え、全員に対して呼びかける。
脅すような声色で放たれた彼の返答にも、決して揺らいだりはしない。
その姿はもう、死の恐怖に怯えるだけの無力な少女ではなかった。

「……私は、スタンドという力は持っていません。ただの人間です」
「…………」

少年は疑わしい目のままである……千帆が正直に答えたとはさすがに思っていないようだった。
千帆も黙って相手の反応を待っている……こちらも最初から信じてもらえるとは思っていない。
二人の後ろでは、それぞれの同行者があちこちに視線を動かし異常がないか探っていたが……
とりあえず会話は可能ということで警戒を緩めたのか、少しだけ空気が和らぐ。
そんな中、彼らの後ろに控えていた男のひとりが……ポケットに手を突っ込んだまま前へと歩み出てきた。

「ちょっと――」
「いえ、ここはひとつあっしにおまかせを……」
(この人、日本人だ……それに)

女性が窘める風に口にするも男は止まらない。
千帆が思考する間に男はそれなりに距離を詰めると彼女の顔をまじまじと見つめ……神妙な顔つきで言った。

「……ふむ、この嬢ちゃんは…………ええ、間違いありやせん」

ぞく、と妙な寒気が千帆の背中に走った。
間違いないとは何のことか、ひょっとして自分は何か失敗したのだろうか。
それとも相手のスタンドで何かを探られたのか。
どうにせよ目をそらすわけにもいかず、次なる言葉を待つ。
すると……

159どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:11:01 ID:1vtLf/uI



「間違いなく――


            ――トリッシュ様のほうが美人でございます」



                   ド  ゴ  オ  ッ  !



鈍い音とともに少年、そしてトリッシュと呼ばれた女性の拳が男へと叩き込まれる。
千帆はもちろん、プロシュートですら一瞬唖然としてしまうほど鮮やかな流れの動きだった。

「イ、イデデ……ジョーダンですって! 彼女、たしか俺と同じく杜王町に住んでた子です!
 少なくとも、俺が知る限り妙な事件に関わってたなんてことはありません!」
「……本当に?」
「ええまあ、町でチラッと見た程度で名前までは知りませんが結構カワイイ子で……いや、なんでもないです」

先程までの空気はどこへやら、突如始まった寸劇にどう反応すればよいのかわからなかったが……
呆れつつも目配せしてきたプロシュートに千帆は小声で返す。

(確かに、見かけたことがあるような気がします。怖そうな人だなって……イメージとずいぶん違いましたけど)

こういう時『彼』ならば正確に記憶していられるのだろうが、千帆はそんな能力は持ち合わせていない。
ともあれ、彼らの雰囲気から危険人物の集団ではなさそうだとようやく一息つけていた……千帆だけは。

「……それで、貴方は?」

そこへトリッシュの一言……聞かれたのは当然、プロシュート……!
警戒はしているが明確な敵意まではなし――声色だけで判別できたのはそこまで。
流れとしては至極当たり前、だが聞かれる側にとっては来てほしくなかった質問が遂に投げかけられる……!
返答は一拍だけおいたものの、迷いや淀みは一切なしで放たれた――!

「……プロシュートだ」

偽名を使おうなどとは考えもしなかった。
既に覚悟は完了……どのような結果になろうが最善を尽くすのみ。
何かあるならば真っ先に反応するだろうトリッシュとナランチャへ視線を向けながら一息で名乗り、出方を待つ。
ナランチャはほぼ無反応、トリッシュは……再び口を開いた。

「プロシュート……? ねえ、貴方って「ワンッワンッワンッ!!!」――?」

だがその言葉は、おそらくは肝心であろう部分にたどり着く前に遮られる。
彼らの近くにいた犬が突如吠え始め、その顔を向ける先に――――

160どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:12:37 ID:1vtLf/uI



            「――どこの虫けらも、群れを成したがるのは変わらんか」


                 「「「「「「――――!!?」」」」」」




――鍛え上げられた巨躯、珍妙な恰好……新たなる闖入者、柱の男カーズの姿がそこにあったのだから。


#


「――ッ!! みんな下がれッ! 絶対にヤツに近づくなッ!!!」

いち早く動いたのは唯一彼を知るシーザー。
危険を促すと同時に、最前列へと躍り出て構えをとる。
他の者も状況は理解しきれずとも、その鬼気迫る表情から反射的に従っていた。

「オイナランチャ!なんで気づかなかったんだよッ!!」
「う、ウソだろ!? レーダーは確かに見て――――えっ……?」

後ろのほうでは玉美が未知なる相手の接近に気づかなかったナランチャの失態を責める。
だがこの件に関してはナランチャにとっても想定外の出来事があった。

「あいつ、反応が……ねえ……?」
「「「「…………!!」」」」

『エアロスミス』のレーダーにカーズの呼吸が映らないという異常。
その呟きを受け、何らかのスタンド能力を行使されたかと勘繰る者もいたが……事実はもっと単純。

少し前、ナランチャが索敵のためエアロスミスを上空に飛ばし……カーズはそれを目撃していたのだ。
周囲が闇に包まれた中、しかも遠方からはっきりと視認できたのは闇の種族と呼ばれた所以だろう。
プロペラ機の実物すら見たことのないカーズだが、彼はスタンド大辞典にてその外見と能力を把握しており……
瞬時に自らの行動を決定すると、そこから一呼吸もせず一気に距離を詰めた――ただそれだけ。
スタンド能力を把握しており、尚且つ人間離れした身体能力を有する彼だからこそ成しえた方法であった。

「……」

もちろん、それをカーズが懇切丁寧に説明してくれるなどということはなく……動揺する皆の反応を楽しむのみ。
ひとり前へと出て対峙するシーザーはそんな彼を静かに見据え、口を開いた。

「戦う前にひとつだけ聞いておくぜ……フーゴをどうした」
「……何を言っているのかわからんが?」
「とぼけるなよ……! ここから少し西へ行ったところにいた重症の男のことだッ……!
 おれたちが目を離した隙にあいつは消え、お前が首輪を解除するとか書かれたメモが残されていた!」
「知らんな……そちらへ行った覚えもないうえ、人間の存在などいちいち記憶に留める必要はなかろう?
 しかし、戦うとはな……どうやらきさま、このカーズが何者かまったくわかっておらぬようだな?」

161どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:14:24 ID:1vtLf/uI

質問……いや、問答自体に全く興味がないと言わんばかりの尊大な態度だった。
シーザーもフーゴの消失がカーズ本人の仕業かは半信半疑だったものの、それで対応が変わるわけではない。
加えてカーズの視線が憐れむようなものになったことがシーザーの怒りを加速させる……!

「……きさまこそおれを覚えていないとは、留められるほどの記憶力すらないようだな……
 それともJOJOばかりでおれのことはまるで眼中にないと、そういいたいのか……!!
 なめるなよ……一族の誇りにかけ、このおれの波紋がきさまを倒すぜッ」
「JOJO? ふむ……なにかわからんがきさま、波紋の一族か。まさか生き残りがおったとはな。
 ……ならば、この後どうなるかなどわかりきったこと」

未だ時間軸の違いについて聞き及んでいない両者のすれ違いはあれど、さらに空気が張り詰める。
シーザーが何者か理解したカーズが凄まじい殺気を放ち……戦闘態勢に入ったのだ。
ひっ、と誰かの短い悲鳴が後ろから聞こえたシーザーも気を引き締めなおす。

(やれるか……? 正直、守らなきゃならねえ人数が多すぎるぜ……
 カーズが素直におれひとりとやりあってくれるんならいいんだが……!)

一触即発、もはや誰の目にも戦いは避けられぬものであり、ついにその火蓋が切って落とされる――




              ――誰もがそう思っていた……一人を除いて。



「だが見逃してやらんでもない」
「――――!!?」

次の瞬間、カーズが何故か戦闘態勢を解いた……!?
相対していたシーザーのみならず、全員が驚愕する中……カーズはさらに驚くべきことを口にした。

「運のいい奴らよ……このカーズ、元よりこんな下らん殺し合いとやらに乗ってやるつもりなどない……
 主催者とやらもなにやら妙な状況になった以上、優勝することに意味があるとも思えんしなァ〜〜?
 加えて首輪解除の『伝言』を知っているのなら争う必要がないことなど明白であろう?
 たとえ波紋戦士であってもな……無論、どうしても皆殺しにされたいというなら別だが」
「……っ、きさまッ――!?」

そちらに戦う気がなくとも、と続けようとしたシーザーの口が手でふさがれる。
横目で確認すると相手はプロシュート、さらに彼は耳元に顔を寄せ小声で囁いてきた。

「お前、なにやらあいつに思うところがあるようだが……今だけは黙ってろ……
 それとも、確実に勝てるといえるスタンド能力でも持ってるってのか?」
「またスタンドか……悪いが、おれはそのスタンド使いってやつじゃあねえぜ」

162どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:15:14 ID:1vtLf/uI

怖気づいている風ではなかったが、彼の真意までは計りかね……意見を求めようと周囲を見渡す。
だがシーザーの目に飛び込んできたのはカーズの凄まじい殺気に呑まれたのか、皆の自信なさげな目であり……
話し合いで済むなら、そうしたい――全員の顔にそう書かれていた。

「……おれはやつを知ってる。やつは話し合いでどうにかなる相手じゃない!
 なによりこれはおれの血統の問題でもある! 一族の因縁に決着をつけるためにおれはやつをブッ殺すッ!」

同じく小声で言い返すも……『それ』は彼にとって禁句であった。
奇しくも似たようなことを言ったシーザーが、直後ジョセフに最も触れられたくない部分を触れられてしまったように。

「そうかい、じゃあてめーは『負け犬』だな……!」
「なっ、なんだと――ッ!!?」

聞き捨てならない一言に激高しかけるも、シーザーにとって信じられない事態が起こる。
体格上は負けていないどころか、鍛え上げられた彼の体がプロシュートによってたやすく地面へと倒されたのだ。
さらに押さえつけてくる相手を振りほどこうとするがうまくいかない。
妙に手足が重いのに加え……常時行っているはずの波紋の呼吸に乱れが生じていたのだから……!
わけがわからず戸惑うシーザーにプロシュートが語り掛けてくる。

「効きが悪い……てめー、『アレ』を持ってやがるのか? まあいい……
 いいか、よく聞け。てめー、ある程度場数は踏んでるようだが……
 人を殺したことはないだろう?」
「……確かにないが、人の命を奪わないことが負け犬だってんなら――」
「そうじゃあねえ」

この時、プロシュートは『グレイトフル・デッド』を発動していた……気づかれないように。
血気盛んすぎるシーザーを押さえつけるためある程度老化させるつもりだったが、想定より老化の速度が遅い。
体を冷やす氷か何かをシーザーが持っていたのかと考えていたが、事実は異なる。
シーザーが行っている波紋の呼吸、それがある程度老化を抑えていたからであった。
とはいえ身体能力が落ちたのは事実、現状が理解できないのもありシーザーは会話を続けざるを得なかった。

「『ブッ殺す』なんてやる前から大口を叩くだけなら誰にだってできる……
 だがてめーはスタンドも使えず、殺しの経験もないのにエラソーにほざいてるだけ……
 そういう、そこら辺にいるチンピラみたいな口だけ野郎だから負け犬ってことだ……」
「……!!」

(こいつ……いや、他のみんなも誰一人『わかってない』のか……!!)

確かにシーザーには殺人の経験はない――昔の荒れていた時期でも、それだけはやっていない。
だが今の彼の使命は『人間を殺す』のではなく『怪物を倒す』こと。
そして目の前にいるカーズこそがその怪物であり……当然、倒すのにためらいなど一切ない。
むしろそのためだけに修業し、強くなったといっても過言ではないのだから。

つまるところプロシュートの説教は、波紋戦士であるシーザーの能力を完全に度外視したもの。
すなわちシーザーからすれば的外れもいいところである。
だが、そんな彼の事情を知る者がいないのもあり……周囲の者から助け舟が出されることはなかった。

「一族の因縁だったか? 仇討ちは別に否定しねえが……今てめーの後ろには誰がいる?
 吠えるだけな負け犬の勝手な都合に、あいつらまで付き合わせるわけにはいかねえんだよ……!」
「……プロシュートさん!」
「……チッ」

163どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:16:10 ID:1vtLf/uI

やりすぎと判断したのか千帆が窘めるような声を出し……プロシュートは一旦拘束、そしてスタンド能力を解く。
彼からしてみればまだまだ言い足りなかったが、じっくり説教していられる状況でもない。

一方、シーザーもあくまで侮辱されたのは血統でなく己のみ、しかも勘違いなのが幸いとなったか。
納得こそできなかったものの、むやみにカーズへと突撃することもなかった。

(敵とはいえ戦意のない相手に対し、他の者を巻き込んでまで戦闘開始するのは得策ではない……
 その言い分自体はわかるが、相手は柱の男カーズ……和解という道など無いも同然ッ!)

詳しく説明できる時間はなし、現時点での議論は不毛な争いとなるのが確実……
これに関しては情報交換が不十分、しかもどちらも退く気なしというのが厄介な点だった。
とはいえ味方がいないことで一時黙らざるを得なくなったシーザーに代わり、トリッシュが問いかける。

「それで、ただ見逃してくれるってわけじゃないでしょう……? そちらの条件は?」
「なに、単純なことよ……第四放送までの間このカーズにきさまらのうち二人ほど同行してもらおうか」
「――!?」

先程とは違う意味で空気が変わる。
同行……すなわち、共に行動してほしいと言っている?
この、どう見ても誰かの助けなど必要としなさそうな相手が?
カーズの要求の意味、そしてその不可解さによる二重の混乱が全員に襲い掛かったが……
当の本人はざわつき始めた彼らをつまらなさそうに眺めつつ、無情にも宣告を下す。

「このカーズも暇ではない。『三分』やろう……それで決まらぬのなら皆殺しを望んだと判断させてもらう。
 さあ、どうした? 相談でもなんでもしたらどうだぁー?」

その言葉で我に返った各々が円陣を組み顔を突き合わせる。
当然、カーズ本人への警戒は続けながら。
最初に口を開いたのは……千帆。

「私は、提案を呑むべきだと思います。
 第四放送まではもう一時間もありません。それくらいなら……」
「すまないがそういう話じゃあないんだよ、シニョリーナ」

提案に賛成の意を示すも、当然のごとくシーザーが反対してくる。
彼としては提案を呑む選択肢などないが、これ以上邪魔が入らぬよう説明しておくべきだと判断していた。

「きみも聞いていただろう? あいつは最初、おれたちのことを虫けらと言った……
 あいつにとって人間とは本当にその通り……たいして力を込めずとも簡単に潰せちまう存在なんだ。
 普通の人間なら一時間どころか一秒でね……そんな、命を捨てるような真似はさせられない……!」
「…………」

その真剣な眼差し、そして先程受けた殺気から彼の言葉が冗談ではないことが分かったのだろう。
ひとまず千帆は押し黙り……続いてトリッシュが周囲を見渡し、言った。

「確認しとくわよ。あいつの提案、絶対呑めるわけがないって人は?」

トリッシュの質問に挙げられた手は二本――シーザーと、プロシュート。
迷いなく挙手した彼らを、千帆が困惑するような目で見つめる。
シーザーはともかく、彼を制止したプロシュートまで反対なのは彼女にとって予想外だった。

164どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:17:30 ID:1vtLf/uI

「千帆、おれはお前の選択には付いていく……
 だが意見はキッチリ言わせてもらうぜ。どう考えてもこいつは『罠』だ」
「おれも同意見だ。今のカーズは単独! こっちは非戦闘員も含むとはいえ六人!
 だが向こうの提案を呑んだりしようものなら確実に人数は減る……
 なにより、あいつは人間じゃあないんだ。素直に約束を守る理由がどこにもない」
「……」

千帆は何も言い返せない。
おそらくこういう状況において自分よりもよほど慣れているであろう二人相手では分が悪すぎた。
他の者の意見を求めるべく表情を確認していくが……
トリッシュはまだ悩みのある顔、残る二人は青ざめていたり震えていたりで援護は期待できそうにない。
先程挙手こそしなかったものの、賛成といっても消極的……カーズの条件もふまえればなおさらだった。
だがそれでも――



          「他に意見がないのなら、ここはやつを知るおれに任せて――」
              「……でしたら、同行者には私がなります」


                  ――千帆は、譲らなかった。


「銃はプロシュートさんに返します――これなら、戦力的に痛手にはならないでしょう?」
「……おまえ」
「待ちな」

思わず絶句したプロシュートに代わり、反対派の筆頭たるシーザーが割り込んでくる。
チラリと時計を確認すると、既に一分が経過しようとしていた。

「忘れちゃいないよな? カーズの指定は『二人』だ……
 きみが行きたいとしても、もうひとりはどうする?」
「……っ」

正面から説き伏せるのは困難と判断したのか、シーザーは別方向からの攻めに変えてきた。
事実、痛いところを突かれた千帆の目が泳ぎかける。
そう、いくら彼女が意地を張ったとしても一人では要求を満たせない。

シーザーとプロシュートは元々反対。
トリッシュ、ナランチャ、玉美もさすがに今回ばかりは千帆と目を合わせてくれない。
犬や馬は……賛成とかそれ以前の問題があるだろう。

戦いは避けたい、だが自分が同行者になりたくない――当然の理屈ゆえそこを責めるわけにもいかない。
彼らの意見を変えるためには、生半可な説得では不可能……
そう悟った千帆は表情を引き締めなおすと、はっきり喋り始めた。

「私、双葉千帆には夢があります……それは『小説を書く』こと……
 そのために、主催者をなんとかしてこの殺し合いから脱出するのに全力を尽くします……
 皆さんのように特別な力なんて持っていなくとも、一人の人間としてやれることはすべてやるつもりです」
「…………」

165どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:18:14 ID:1vtLf/uI

無言――こいつは何を言っているんだという視線が刺さりながらも、千帆の言葉は続いた。
リアリティにおいてはどんな想像や推測にも勝る『体験談』を用いて。

「……これは、チャンスなんです。
 少し前、私は怪物と言うべき存在と数時間一緒にいましたがその人と対話し、無事に生きています。
 シーザーさんが言うとおり、あの人が人間ではないのだとしても、会話も意思疎通もできるんです。
 一時的に、協力とはいかなくても休戦できるならするべきです……一番の目標は、主催者なんですから」
「……」

(千帆、そいつは机上の空論、なにより自信過剰だ……)

口にこそ出さなかったものの、それがプロシュートの評価だった。
言っていることは正しいが、あくまで理想……いつかジョニィに言われた『夢見る少女』そのものだ。
同じ柱の男であるワムウとの対話がうまくいった、それだけでカーズにも同じ理屈が通用すると勘違いしている。
人間同士ですら、考えの違いなどいくらでもあるというのに。

(だが……)

無謀だ、と切り捨てることは簡単だった。
しかしそれは……それだけは、プロシュートにはできない。
大いなる目的のために命の危険も顧みず、勝算などほとんどない戦いに身を投じる――
その行いを否定するとはすなわち、プロシュート自身を含む暗殺チーム全ての否定を意味する。
だからこそ、常に物事をはっきり言う彼ですらすぐには反論できなかった。

(こいつは甘い判断だろう……だが、オレはもう『賭けた』)

「……カードゲームで、そこそこいい手が来た時、さらに上を狙ってチェンジするかどうかに正解はねえ。
 人生で似たような選択なんざ腐るほど遭遇するってのに、どうすりゃいいかなんてわかりゃあしねえんだ。
 そいつらがどんな道を選び、どんな結末を迎えたかなんざいちいち知ったこっちゃあねえが――」

この一件に明確な正解はない……あるとしても予測は不可能。
ならば、彼が選んだのは――

「――お前があえてチェンジを望むなら、それもまた一つの道だ。乗っかってやる」
「……プロシュートさん」

選択に後悔はない……現時点ではだが。
自分は意志を汲んでくれたプロシュートを、間違っても後悔させないようにしなければならない。
決意した千帆は『彼』の方へと向き直る……先に口を開いたのは相手からだった。

「……正直に言ってくれないか。きみは、おれが信用できないかい?
 やつと戦ったとしてもおれが負けてしまうと、そう思っているのかい?」

残るは彼――シーザーただ一人。
彼は自身とその血統に誇りを持つ男――先程の発言からそれが窺い知れた。
そんな彼に戦わずして退いてくれというのは、考えようによっては彼への侮辱ともとれるだろう。
だからこそ、千帆は本音でぶつかるしかなかった。

「私はあなたとあのカーズという人、どちらの戦う姿も見たことはありません。
 ですからどちらが勝つのかなんて、私にはまったくわかりません……
 でも決着がついたときに二人のどちらか、あるいは両方が命を落とすことになるとは思っています」
「ああ……それは確実だろうな」

166どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:19:18 ID:1vtLf/uI

シーザーの目には『刺し違えてでもあいつを倒す』と言わんばかりの意志が宿っていた。
やるといったらやる――そんな目を、千帆は知っている。
……そして、その目をしていた者がどうなったかも。

「一度だけでいいです……その前に、私にチャンスをください」
「……さっきも言っただろう。奴には、言葉は通じても話は通じない。
 ききわけのないなんて話じゃない、価値観そのものが違うんだからな……
 はっきり言うが……なにをどうしようと、奴の説得は『不可能』……だ!」

元からカーズを知るシーザー、その彼を何も知らぬ千帆が説き伏せるなどできるわけがない。
まともに考えたならば、だが。

「それが真実なら……同じく人間である主催者たちとも、カーズが和解する可能性はないことになりますよね?」
「……なん、だって…………まさか!?」

シーザーには千帆が何を言いたいかわかってしまった。
利害の一致、逆に考える――人間と敵対しているならば、無理に味方に引き込む必要はない。
敵対したまま、同じく人間であろう主催者たちと争ってもらえばいいのだということ……!

「無茶だ……! 第一結果的にそうなるとしても、その過程で参加者の誰かが犠牲になるかもしれない!
 きみがカーズに同行したとして、やつの凶行を防げるとでもいうのかッ!?」
「…………言いましたね」
「えっ?」

正面から見た千帆の目に、シーザーは一瞬気圧されてしまった。
一般人の少女が持つはずのない、深き漆黒を湛えた目に。
――目的のためなら、殺人も厭わないほどの『覚悟』を秘めた漆黒の意思に。

「今あなたは言いました。『無理』ではなく『無茶』、それに『結果的にそうなる』と……
 つまり『不可能ではない』と、あなた自身が認めたということです。
 限りなく低いけど、ゼロではない……その可能性を実現するチャンスをくださいと言っています」
「……おれの質問に答えてもらっていないが?」

揚げ足をとる形ではあったが、一応の論破とはなった。
正直なところシーザーとしても、カーズを味方に引き込むよりは……と一瞬思ってしまったことは事実。
だが冷静に考えれば結局は理想論、おおよそまともな案ではない。
それがわかるからこそ、残された手段――カーズを野放しにするリスクで反撃する。
彼も理解している……本来これは、間違っても彼が女性にするものではない意地の悪い質問だと。
カーズが実力行使に出た場合、千帆に打つ手などない……それが彼女の『限界』だと。

「力づくで止めるのは不可能でしょう。ですが、それ以外でできることはすべてやってみせます……!」
「…………無責任な答えだな」

目を逸らしこそしなかったものの、返答は予想通りでしかない。
シーザーはそんな彼女の瞳をじっと見つめ続け……考えた。

――なぜ、彼女はここまで意地を張るのか。
――彼女を死なさないために、自分はどうすべきか。

167どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:20:16 ID:1vtLf/uI

少なすぎる時間の中で可能な限り思考し、やがて……

                  フッ、と笑みを浮かべた。

「まったく、頑固なお嬢さんだ……だが、そんなきみに朗報があるぜ。
 いざってとき、カーズをなんとかできるいい方法がな……!」
「……えっ?」

その発言に二重の意味で驚く。
協力してくれるのか、そして何か秘策でも授けてくれるのかと。
密かな期待を抱いた千帆に、シーザーは言った……柔らかだが、同時にしっかりとした口調で。

「おれがもう一人の同行者になる……これで解決だ」
「……!!」

あれほど提案を呑むのを拒否していた彼が、同行者になることを肯定した……
それは、千帆がシーザーの説得に成功したことを意味していた。
もはや険しい表情すら消えた彼は、驚きの表情を浮かべる周囲を順に見渡していく。

「悪いがこれは決定事項だぜ……あいつの体は普通の人間じゃあ、触れただけで抉られるように食われちまう……
 対処するには『波紋』を使うしかないが……誰か、できるやつはいるかい?」

聞いておきながら答えはわかっていたのだろう。
全員の返事がないのを確認するとそのまま言葉を続けていく。

「一緒に行き、カーズが変な気を起こすようならその時こそおれが奴を倒す……それだけの話だ。
 そうなったら悪いが全力で逃げてくれ。きみを守りながら戦えるほど余裕のある相手じゃない」
「……ありがとうございます」
「お礼ならまだ早いぜ、始まってすらいないんだからな……」

シーザーの提案は、彼からすれば妥協したと言えるものだろう。
だがそれでも、認められたのは千帆にとってこの上なく嬉しいこと。
あらためて、周りの者の顔を見渡すもこれ以上の反論は無く……議論に一応の決着はついた。

「待たせたな、お前の提案、呑むぜ。同行するのはおれと――」

あくまで相手は危険な存在、ということでシーザーが代表して前へと進み意向を伝える。
その背中を見ながら、千帆は再び決意をしていた。
彼の言ったとおりまだ何も始まっていない、大事なのはこれからなのだと。

168どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:21:59 ID:1vtLf/uI

だが……


「何を勘違いしている?」


そんな彼女の決意は……


「まさか、誰が同行するかきさまらに選ぶ権利などあると思っていたのか?」


いともたやすく、そしてえげつなく踏みつぶされた……!


「きさまらが選べるのは『同行する』か『しない』かのみ……
 そして同行してもらうのはきさまと、きさまよ」



カーズに指名された二人、それは――



                     「……私と」


                    トリッシュと――



                  「オレ、だと……!?」


                   プロシュート……!!



カーズが何故この二人を指名したのか、その理由が分かった者は誰一人としていなかった。
一瞬の静寂の後、当然うろたえる……ドイツ軍人でもないのでうろたえる。
額に汗を浮かべる者、カーズや指名された二人を交互に見る者、震えている者……
程度の差はあれ、全員が目に見えて動揺する中……黙っていられなかった男が叫ぶ。

「て、て、て、てめえェェェ―――!よ、よりによってトリッシュ様を連れてこうなんて
 そ、そ、そんな狼藉が「行くわ」――って、トリッシュさまァァァーーー!!?」

どもりながらも精一杯の玉美の絶叫……
だが言葉途中でトリッシュ本人によるまさかの発言に再びうろたえる。
そしてアワレにも叫んだ彼自身は気にも留められず、トリッシュは千帆へと言った。

169どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:23:09 ID:1vtLf/uI

「さっきあなたが言ったこと……夢がある、だったかしら? よく似た口癖の知り合いがいるの。
 おかげで思い出した……道を切り開くには、危険なことだろうと挑む『覚悟』が必要だって……
 あなたの覚悟は見せてもらった。私もやるだけやってみる……貴方は、どうなのかしら?」

話を振られたもう一人の指名者、プロシュート。
千帆もさすがに不安そうな目でそちらに向き直るが……

「言ったはずだ、乗っかってやるってな……だが期待はするなよ。
 奴との休戦だけじゃない、オレたちと無事に合流できるかってこともだ……」
「ま、待ってくれ! きみたちは波紋を――」

はっきりとした返答、だが同時に我に返ったシーザーが割り込んできた。
再度告げられる――波紋を使えぬ二人では、カーズに同行するなど自殺行為に等しいことだと。
だが、それを聞いてなお二人に動揺はなかった。

「考えならある……こいつは自己犠牲の精神ってやつでもなけりゃ、ヤケを起こしたわけでもねえ」
「まだ出会って間もないけど、あなたは『信頼』できる……こっちは任せて。
 その代わり、残る皆のことはあなたにお願いしたい……こんな押し付けるような頼み方で、ごめんなさい」
「クッ、だが……だが……」
「時間だ」

律儀に数えていたのか、それともこれ以上時間を与えても無駄と判断したのか、カーズが告げる。
指定された二人はカーズの方へ歩き出す。
この時点でまだやれることがあるといえる者は、シーザーただひとり。

(今、カーズに攻撃を仕掛ければ提案を蹴ったことになり……二人が連れていかれることもなくなる。
 そうすべきだろう……あいつが信用できるわけがないッ……!)

頭では間違いなくそう考えている。
そしてシーザーは本来、進むか退くかの場面では進むことを選ぶ男である。
にもかかわらず、彼は動けない……
常人ならば間違いなく恐怖するだろう境遇に立たされたはずの二人……
彼らの瞳に、それぞれ異なる決意に満ちた光を見たのだから。

(お、おれにはできない……さっきのお嬢ちゃんといい、この二人といい……
 一度進むと決めた者のゆるぎない意志を、ねじまげるというのは……!)

それはある意味、とてつもない皮肉ともいえた。
かつて柱の男が潜むゲスラーのホテルに、彼が制止を振り切り一人で乗り込んでしまったように……
シーザー・アントニオ・ツェペリには、前進する思いは止められない……それがたとえ自分自身であっても。


#

「……これで、よかったんでしょうか」
「…………いいわけがない、ないんだが……クソッ!」

170どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:24:46 ID:1vtLf/uI

残された者たちに『納得』している者などひとりもいない。
シーザーは、宿敵というべき存在をみすみす見逃してしまった。
玉美はトリッシュを、千帆はプロシュートを連れていかれ、かつての自分の決意が踏みにじられるような感覚だった。
イギーは……そっぽをむいてはいたが、不機嫌そうな以上彼もまたそうなのだろう。

カーズの目的は何なのか、その上で連れていかれた二人はどうなるのか……
考えてもわからぬことだらけの現状に、冷静でいられる彼らではなかった。
そして敵がいなくなった以上、抑えきれぬ苛立ちは当然周囲の者にぶつけるしかない。

「て、てめー……あいつのことなんか知ってるんだろ!?トリッシュ様は本当に大丈夫なのかよ、おいッ!!」
「……わからない。おれの先生は、カーズはやつらの仲間内で一番高い知能を持つと言っていた……
 そいつがわざわざ連れて行ったってことは、すぐに殺すつもりは無い……そう、思いたいが」
「んだよそりゃ!? そんなテキトーでトリッシュ様になにかあったら責任取れんのかッ!!
 おいナランチャ、てめーからも何か言って……ん?」

他にどうすることもできずシーザーに文句を言う玉美だが、ふとナランチャの様子がおかしいことに気づく。
彼は地面にうずくまり……頭を抱え、震えていた。
思い返せばカーズが探知できなかった件以降、彼が意見を言っていないことに気づく。

「お、おい……どっか痛いのか? それとも、誰かになんかされたのか!?」
「…………俺、前にあのカーズとよく似たやつに会ってんだ」
「……似ている、だって? そいつは、どんなやつだ?」

その相手とはまさかワムウかエシディシでは、と思い当たる可能性からシーザーは話の続きを促す。
いまだに顔を伏せて震えるナランチャは、それでもぽつりぽつりと話し始めた。

「そいつは、アバッキオ――俺の仲間の仇で、俺たちはみんなで戦ったんだけどあっさりやられちまった……
 その時はただ、悔しかった……それだけだったんだ」
「やられた……ほかのやつらは、死んじまったのか……?」
「いいや、全員大したケガもなく無事だった……無事だったんだよォッ!!」

絞り出すような声。
聞いた側は、命があったのなら何が問題なのか不思議だったが……

「今、カーズってやつを見て気づいちまった……アバッキオの仇は、まるでやる気がなかったってことに……
 本当ならあの時、全員殺されててもおかしくなかったのに、わざわざ生かしてくれてただけだってことに……」

ナランチャが顔を上げる――その顔は一目でわかるほど絶望が見て取れた。
かつて彼の上司が組織を裏切った時のように、強大すぎる力を持つ相手を敵に回したことを認識したのだった……!

「なあ……俺、どうしたらいいんだよ……? スタンドだって通用しない、ブチャラティだってもういない……
 遊び感覚で俺たちを軽くブチのめしちまう、そんな化け物相手に本当に勝てるのかよ……?」
「…………勝てる」

シーザーはそんな彼に向き合い、はっきりと言う。
常人ならともかく、波紋戦士たる自分が強大な相手にしり込みなどするわけにはいかない。
もしそうなったら笑われ……はしないだろうが、ニヤケ顔で嫌味を言ってきそうな男の顔を思い浮かべながら。

「やつらだって生物……おれたちが使える波紋のように、弱点だってあるんだ……
 それにおれの親友は、やつと同等以上の力を持ってる仲間をたったひとりで倒しちまったんだぜ……
 はは、言ってておれのほうが情けなくなってきちまった……おれも、あいつに負けてられないってのにな」

171どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:25:54 ID:1vtLf/uI

シーザーも本当はすぐにでもカーズを追いかけたかったのだが……
だが同行者に指名された二人の覚悟の目と、現状がそれを許さなかった。
すなわち、トリッシュとプロシュートが抜けたことでこの場に残る戦力の問題である。

――スタンド使いですらない千帆。
――情緒不安定なうえに腰が引けている玉美。
――戦意喪失しているナランチャ。
――戦力としては数えられないシルバー・バレット。

結果、シーザーから見て一番頼れるのが犬のイギーという有様。
そのイギーにしても、先程フーゴの見張りを失敗しているためこの場を任せるには不安が過ぎる。

(まさか、俺がこうして動けなくなるのを狙ってあの二人を……? さすがに無いと思いたいが)

その推測が正しいとすれば自分はまんまといっぱい食わされたことになる。
結局、連れていかれた二人の無事については彼らの機転とカーズの気まぐれに祈るしかないという歯痒い展開。
だが、今のナランチャを説得する過程はシーザー自身も己を奮い立たせることにつながっていた。

「……よし! ここでこうしてたって何も始まらねえ!
 おれたちはおれたちにできることをやるだけだ……ワムウのやつもまだ生き残ってるしな!」
「……ワムウ、ですか?」

答えが出ない問題はひとまず置いておき、新たに動き出そうと発破をかけるものの……
千帆にとって忘れようもない名前がその中にはあった。

「ああ、ワムウってのはさっきのカーズの仲間で――」
「いえ、あの……ワムウさんなら、もういません……倒されました」
「……何だって!?」

数時間前、異形の力を持つ青年がワムウと一騎打ちの末、相打ちになったことを話す。
詳しい話を聞いたシーザーは――



            ――突如千帆の肩を掴み、必死の形相で詰め寄った。



「……だったら、あいつが付けてた輪っかがあっただろ! そいつはどうした!?」
「え……その、すみません、首輪ならプロシュートさんが持って――」
「違う!首輪じゃなくて口元につけてたピアスだよッ!!」
「……えっ?」
「お、おいてめーいい加減にしやがれ!嬢ちゃんが怖がってるじゃねえかよ!
 だいたいそのピアスが何だってんだッ!?」

焦り気味なためか要点が抜け落ち中々話が進まない。
ここまで女性に優しかったシーザーらしからぬ剣幕にビビりつつも、見かねた玉美が助け舟を出す。
返ってきた言葉は……ある意味想像を絶するものだった。

「おれの親友が体内に毒の指輪を仕込まれてて、その解毒剤がワムウの付けてるピアスの中に入ってる!
 はやくあいつに持ってってやらねえと、もうほとんど時間も残ってねえんだッ!!」
「え、ええっ!!?」

172どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:26:54 ID:1vtLf/uI

――リーダー不在。
今まで先導してきたトリッシュとプロシュートの離脱に加えてシーザーの混乱がここにきて響いてくる。
さらにはカーズが指定した第四放送まで、既に一時間もない。
指導者もなく、明確な目的も不明瞭、時間すらも満足に持たない彼らはこれからどこへ行くのか。
それとも――

(クソッ! こいつら誰も気づきやがらねえ……それにこのにおい……『あいつ』、近くにいるのかッ!?)

――迫りくる『何か』により、どこへも行けないのか……?



【D-3とD-4の境界付近 / 一日目 真夜中】


【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[能力]:『波紋法』
[時間軸]:サン・モリッツ廃ホテル突入前、ジョセフと喧嘩別れした直後
[状態]:胸に銃創二発(ほぼ回復済み)、焦り気味
[装備]:トニオさんの石鹸、メリケンサック、シルバー・バレット
[道具]:基本支給品一式、モデルガン、コーヒーガム(1枚消費)、ダイナマイト6本
   ミスタの記憶DISC、クリーム・スターターのスタンドDISC、ホット・パンツの記憶DISC、イギーの不明支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:主催者、柱の男、吸血鬼の打倒
0.ワムウのピアスを手に入れ、ジョセフに渡さなければ!
1.第四放送時に会場の中央に赴き、カーズを倒す?
2.フーゴ、どこに……?とにかくフーゴに助かってほしい
3.ジョセフ、シュトロハイムを探し柱の男を倒す
※DISCの使い方を理解しました。スタンドDISCと記憶DISCの違いはまだ知りません。
※フーゴの言う『ジョジョ』をジョセフの事だと誤解しています。


【イギー】
[スタンド]:『ザ・フール』
[時間軸]:JC23巻 ダービー戦前
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ここから脱出する
0.近くに誰かがいる……新手の敵か?
1.あいつ(フーゴ)、近くにいるのか!?
2.コーヒーガム(シーザー)と行動、穴だらけ(フーゴ)、フーゴの仲間と合流したい
3.煙突(ジョルノ)が気に喰わないけど、DIOを倒したのでちょっと見直した

173どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:27:28 ID:1vtLf/uI

【小林玉美】
[スタンド]:『錠前(ザ・ロック)』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康
[装備]:H&K MARK23(0/12、予備弾0)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:トリッシュを守る
0.トリッシュ様をなんとかして助け出したいでござる
1.なんだこのナンパ野郎ッ許さんッ!が、どうにもできないのでとりあえず一緒にいる
2.ナランチャは気に食わないが、同行を許してやらんこともない


【ナランチャ・ギルガ】
[スタンド]:『エアロスミス』
[時間軸]:アバッキオ死亡直後
[状態]:戦意喪失
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)
    不明支給品1〜2(確認済、波紋に役立つアイテムなし)
[思考・状況]
基本行動方針:主催者をブッ飛ばす!
0.柱の男には勝てない……?
1.早くフーゴとジョナサンを探しに行こう
2.玉美は気に入らないけど 、まあ一緒でもいいか


【双葉千帆】
[スタンド]:なし
[時間軸]:大神照彦を包丁で刺す直前
[状態]:健康、強い決意
[装備]:万年筆、スミスアンドウエスンM19・357マグナム(6/6)、予備弾薬(18/24)
[道具]:基本支給品、露伴の手紙、ノート、地下地図、応急処置セット(少量使用) 、顔写真付き参加者名簿、大量の角砂糖
[思考・状況]
基本行動方針:ノンフィクションではなく、小説を書く 。その為に参加者に取材をする
0.ワムウのピアスを取りに行く?
1.第四放送時に会場中央に赴く?
2.大統領に悟られないようジョニィに接触する
3.主催者の目的・動機を考察する
4.次に琢馬兄さんに会えたらちゃんと話をする
[ノートの内容]
プロシュート、千帆について:小説の原案メモ(173話 無粋 の時点までに書いたもの)を簡単に書き直したもの+現時点までの経緯
橋沢育朗について:原作〜176話 激闘 までの経緯
ワムウについて:柱の男と言う種族についてと152話 新・戦闘潮流 までの経緯
188話 風にかえる怪物たち のくだりはプロシュートが書きましたがホッチキスで留められて読めない状態です

174どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:28:20 ID:1vtLf/uI

#


集団から離れたカーズ、トリッシュ、プロシュートの三人、その先頭を悠々と進むのはカーズ。
一見無防備にも見える背中には、その実まったく隙が無い。
少なくとも二人がかりの奇襲程度でなんとかできそうにないのは明白だった。

「……私たちを拘束したりしないの?」
「おかしなことを聞く……このカーズは『同行』と言ったはずだが?」

連れてこられた二人にとって最大の懸念は相手の思考、目的がまるで読めないこと。
今のトリッシュの質問にもどこ吹く風の態度を崩す様子がない。
無論本心ではないだろうが、それ故何を考えているのかまるでわからないという不気味さがあった。

「もっとも、きさまらが逃げるとは先程出した条件を違える……
 すなわち奴らの元に戻り皆殺しにしてもよいということ。
 それでかまわぬのなら、どこへなりとでも行くがよかろう」
「…………」

人質――真っ先にその言葉が脳裏によぎる。
ただ、連れてこられた自分たちではなく残されたほうが人質というのもおかしな話だったが。
断じてこれは『同行』などではない……トリッシュがそんな思考をしているとプロシュートが口を開いた。

「手っ取り早く済ませようじゃあねえか……オレたちに何の用だ」
「ふむ?」
「てめえのヤバさはどうやら本物だ……それこそ、さっきのオレたち全員が相手でも十分すぎるくらいにな……
 そんなてめえが必要もない同行者、しかも指定をしてきた以上、最初からオレたちが狙いだったんだろう?」

殺害が目的ならあの場で仕掛けてきている……そう踏んだのか強気な発言。
目的は果たして何なのか探りを入れようとするも、聞かれたカーズはあっさりとそれを口にした。

「少しは頭が回るようだ、よかろう――


                ――『干からびた遺体』と言えばわかるな?」

「……」
「……!」

――そう、カーズも含めたこの三人の共通点……それは『遺体の所有者』だということ。
カーズの言葉にプロシュートは無表情のままだったが、トリッシュは微かに反応してしまう。
当然、相手がそれを見逃すはずもなかった。

「誤魔化すのなら、もう少し上手くやるのだなぁ〜?……それで、この遺体はいったいどういうものなのだ?」
「……私にもわからないわよ」

隣から聞こえる舌打ちも気にせず、トリッシュは答える。
正直、というよりはそれ以外に選択肢がないゆえに率直な答えを。

175どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:29:17 ID:1vtLf/uI

「……」

カーズは気分を害した風もなく、プロシュートのほうへと視線を移し……
彼が無言を貫くのを見て興味なさげに顔を戻した。
質問が終わると同時に襲い掛かってくる可能性を危惧していた二人は各自で内心一息つく。

「まあ、よかろう。きさまらが本当に知らぬ可能性もあるとは思っていた……
 だが隠し立てしているのだとしたら、早めに喋ったほうがよいかもしれんぞ?
 このカーズが次に同じ質問をする者は、きさまたちより素直だとよいのだがなぁ〜〜?」
「……!!」

同じ質問――それはすなわち、自分たちと同様に遺体を持つものに対して行われるということ。
トリッシュの脳裏には自然と『彼女』の姿が浮かぶ。

(ルーシー……おそらくだけど、彼女はこの遺体について何かを知っている……!
 あなたは今、どこにいるの? 私たち――カーズが向かう先にいるの……?)

結局、自分は彼女を助けには行けなかった。
無事なのか、そして遺体について確かめるためもう一度会いたかった……こんな状況でさえなければ。

「首輪を解除するとか言っときながら、一方でわけのわからんもの集めか?
 それとも、解除にその遺体が必要だってのか?」

一方で再度探りを入れるプロシュート。
連れてこられた目的は明らかになった……では何のために遺体を必要としているのか。
するとカーズは……

「見くびるなよ? このカーズ――


               ――首輪の謎など、とうに解けておるわ」

「嘘ね」
「嘘だな」

質問自体の答えははぐらかしたものの、出てきたのはまたしても意外な言葉。
だがそれを聞いた二人は反射的にそう口にしていた。
偶然にも返答が一致してしまったことで一瞬だけ視線を合わせ……トリッシュが引き継ぐ。

「それが本当なら、あんたはとっとと自分の首輪を外してこんなところ出てってるはず……
 そうしてないのは、解除ができないっていう証拠よ」

殺し合いに興味のないものが首輪解除の手段を持つのなら、現状を打破しないはずがない……
言葉に多少の差こそあれど、概ねプロシュートも同意見だった。
一方、言われたカーズはというと……

「まあ、見ているがよい」

         不敵……見ようによっては不気味ともいえる笑みを浮かべていた――!

176どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:30:07 ID:1vtLf/uI

カーズの性格からして素直に全員の首輪を解除するはずもないのだが、謎の自信は策略かそれとも……?
さらに言うなら何故遺体に興味を示すのか、二人から力づくで遺体を奪わず同行させた真の目的は……?
いずれも本人のみがそれを知るところであろう。

そしてもう一つ、トリッシュとプロシュート。
この二人、共通の敵たるカーズの存在で表面化こそしていないものの、元は決して仲間とは言えない間柄。

トリッシュは隣で歩く男が暗殺チームの一員だと認識しているのか、仮に覚えていたのならどうするのか。
プロシュートは計らずも目標としていたボスの娘と一対一に近いこの状況になったことで、動くのか否か。

これもまた、いずれも本人のみがそれを知るところであろう……


【D-3とD-4の境界付近→??? / 一日目 真夜中】


【カーズ】
[能力]:『光の流法』
[時間軸]:二千年の眠りから目覚めた直後
[状態]:身体ダメージ(小〜中に回復)、疲労(なし〜小に回復)
[装備]:遺体の左脚
[道具]:基本支給品×5、サヴェジガーデン一匹、首輪(由花子/噴上)、壊れた首輪×2(J・ガイル/億泰)
    ランダム支給品1〜5(アクセル・RO:1〜2/カーズ+由花子+億泰:0〜1)
    工具用品一式、コンビニ強盗のアーミーナイフ、地下地図、スタンド大辞典
[思考・状況]
基本行動方針:柱の男と合流し、殺し合いの舞台から帰還。究極の生命となる
0.トリッシュとプロシュートを連れて……?
1.参加者(特に承太郎、DIO、吉良)を探す。場合によっては首輪の破壊を試みる
2.ワムウと合流
3.エイジャの赤石の行方について調べる
4.第四放送時に会場の中央に赴き、集まった参加者を皆殺しにする
[備考]
※スタンド大辞典を読破しました。
 参加者が参戦時点で使用できるスタンドは名前、能力、外見(ビジョン)全てが頭の中に入っています。
 現時点の生き残りでスタンドと本体が一致しているのは承太郎、吉良、宮本です。
 まだ琢馬の事は詳細を聞いていない&見ていないので把握していません。
※死の結婚指輪がカーズ、エシディシ、ワムウのうち誰の物かは次回以降の書き手さんにお任せします。
 ちなみにカーズは誰の指輪か知っています。死の結婚指輪の解毒剤を持っているかどうかは不明です。
 (そもそも『解毒剤は自分が持っている』、『指示に従えば渡す』などとは一言も言っていません)
※首輪の解析結果について
 1.首輪は破壊『可』能。ただし壊すと内部で爆発が起こり、内部構造は『隠滅』される。
 2.1の爆発で首輪そのもの(外殻)は壊れない(周囲への殺傷能力はほぼ皆無)→禁止エリア違反などによる参加者の始末は別の方法?
 3.1、2は死者から外した首輪の場合であり、生存者の首輪についてはこの限りではない可能性がある。
 4.生きている参加者の首輪を攻撃した場合は、攻撃された参加者の首が吹き飛びます(165話『BLOOD PROUD』参照)

※カーズの首輪に「何か」が起きています。どういった理由で何が起きてるかは、次以降の書き手さんにおまかせします。
 カーズ本人も異変には気づいていますが、どの程度まで理解しているかも次以降の書き手さんにおまかせします。

177どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:31:17 ID:1vtLf/uI

【トリッシュ・ウナ】
[スタンド]:『スパイス・ガール』
[時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』ラジオ番組に出演する直前
[状態]:健康
[装備]:吉良吉影のスカしたジャケット、ウェイトレスの服、遺体の胴体
[道具]:基本支給品×4
[思考・状況]
基本行動方針:打倒大統領。殺し合いを止め、ここから脱出する
0.とりあえずカーズについていくが……?
1.さっきの声……ルーシー?今聞こえないのはなぜ?

※プロシュートが暗殺チームの一員だと知って(覚えて)いるかは不明です。


【プロシュート】
[スタンド]:『グレイトフル・デッド』
[時間軸]:ネアポリス駅に張り込んでいた時
[状態]:健康、覚悟完了、戦士たちに感化された(?)
[装備]:ベレッタM92(15/15、予備弾薬 28/60)、手榴弾セット(閃光弾・催涙弾×2)、遺体の心臓
[道具]:基本支給品(水×6)、双眼鏡、応急処置セット、簡易治療器具、露伴のバイク、打ち上げ花火
    ゾンビ馬(消費:小)、ブラフォードの首輪、ワムウの首輪、 不明支給品1〜2、ワルサーP99(04/20、予備弾薬40)
[思考・状況]
基本行動方針:ターゲットの殺害と元の世界への帰還
0.とりあえずカーズについていくが……?
1.大統領に悟られないようジョニィに接触する
2.育朗とワムウの遺志は俺たち二人で"繋ぐ"
3.残された暗殺チームの誇りを持ってターゲットは絶対に殺害する


【備考】
・進路はカーズ任せです。どの方向、あるいは誰の元に向かうかは次の書き手さんにおまかせします。



#


――溜息を吐く。

(ああ、確かに望み通りだ……)

再会自体は偶然。
カーズについて歩きだしてしばらく、彼が何やらブツブツとつぶやき始めた。
確認してみると自分からはまだ見えてもいない前方に参加者の集団がいたようで、口にしていたのはその内訳。
問題は……その中に千帆、そしてプロシュートらしき人物の特徴があったこと。
さらにカーズがこんな内容のことを言い出したのだった。

『用があるのであの集団に接触する』

178どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:32:20 ID:1vtLf/uI

この場合、行動する前に言ってくれたのは感謝すべき事項なのだろう。
蓮見琢馬はこの怪物らしからぬ言動を受け、カーズに頼み事をしていた。
目下、千帆との対話にあたって最大の邪魔者――プロシュート。
千帆から彼を殺してでもいいから引き離し、尚且つ千帆には一切手出ししないでほしい、と。
正直、カーズに何の得もない以上断られるのもやむなしと思っていたが……

『よかろう』

幸運なことに、この望みはカーズの目的と相反するものではなかったらしい。
然程興味すら示さず、たったそれだけ述べると目にもとまらぬ速さで自分だけ集団へと近づき……
実際、要求通りプロシュートともうひとり女性だけを連れて行ってしまった――余計な連中を残したままで。

(あいつは、絶対にわかっててやっている)

自分が置いて行かれたことについては問題ない、第四放送時に会場の中央へ赴く話は聞いている。
だがそこで文句をつけたとしてもおそらくどうにもならないだろう。
逆にこの要望の対価として何を要求されるか分かったものではないが……それより今はこちらだ。

(あの男――杜王町の借金取り立て屋、加えて外国人の青年と少年がひとりづつ、犬一匹に馬一頭)

なんともまとまりのない集団だが、数よりも初めて見る顔が多いというのが厄介だった。
さすがに自分の素性が割れているとは考え難いが、誰がどんな能力を持っているのか分かったものではない。
小細工で『本』を見せようにも、下手を打てば千帆まで巻き添えになる――

(……何を考えている)

それならそれで問題ないのではないか。
彼女がいなくなれば、もう自分は何の憂いもなくあの緑色の草原へと出発できるのではないのか。

(いや……違う)

――『罪』からは逃れられない。
千帆とこのまま何も話さずに終わるのは決着ではなく逃げだ。
最後の山場が丸ごと欠けている冒険譚など、読んだ者誰ひとりとして納得しないことは明白。
再度の対話……自分にとってそれは必要なことだった。

(最初から手荒な真似をする必要はない……プロシュートさえいないなら、後はどいつもこいつも――)

――その時。
青年が千帆へと詰め寄り、彼女の肩を掴んで何やら捲し立てはじめる姿が視界に入った。


              ――その子からさあ、きたない手をはなせよ。


……そんな思いがよぎったかどうかまでは、定かではない。

179どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:33:12 ID:1vtLf/uI

【D-3とD-4の境界付近 / 一日目 真夜中】


【蓮見琢馬】
[スタンド]:『記憶を本に記録するスタンド能力』
[時間軸]:千帆の書いた小説を図書館で読んでいた途中
[状態]:健康、精神的動揺(極小)
[装備]:遺体の右手、自動拳銃、アヌビス神
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:他人に頼ることなく生き残る……?
0.ドでかい目標を持つものについていき、『答え』をその目で見る
1.千帆と決着をつける……?
2.その“もの”カーズと接触。あとはカーズの指示次第だが――?
3.自分の罪にどう向き合えばいいのかわからない=思考0へ
[備考]
※参戦時期の関係上、琢馬のスタンドには未だ名前がありません。
※琢馬はホール内で岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、虹村形兆、ウィルソン・フィリップスの顔を確認しました。
 また、その他の名前を知らない周囲の人物の顔も全て記憶しているため、出会ったら思い出すと思われます。
 また杜王町に滞在したことがある者や著名人ならば、直接接触したことが無くとも琢馬が知っている可能性はあります。
※ミスタ、ミキタカから彼らの仲間の情報を聞き出しました。
※スタンドに『銃で撃たれた記憶』が追加されました。右手の指が二本千切れかけ、大量に出血します。何かを持っていても確実に取り落とします。
 琢馬自身の傷は遺体を取り込んだことにより完治しています。
※小林玉美の顔(と職業)は記憶していました。



#


遠方から何やら叫び声を聞きつけて一旦バイクを停め……徒歩でこっそり近づいた先には男女と動物の集団。
二人――宮本と吉良がそこに近づいたとき、既に『事件』はひと段落した後だった。
だが彼らに声をかけるべきか否か……そんな思考をする間もなく、耳に入ってきた会話が衝撃をもたらすことになる。

「おれの親友が体内に毒の指輪を仕込まれてて、その解毒剤がワムウの付けてるピアスの中に入ってる!
 はやくあいつに持ってってやらねえと、もうほとんど時間も残ってねえんだッ!!」
(――――――――!!)

毒の指輪、解毒剤、そしてワムウ。
断片的な情報だけでも、まぎれもなく自分と同じ状況と推測できる。
そして肝心の解毒剤があるかもしれない――しかもカーズが関わらないところに。
確定ではない、だがようやく掴んだ一筋の希望。

(横取り……いや、先回り……? どうする……どうする!?)

詳しく聞いたわけではないが、内容からして素直に譲ってもらえそうにないことぐらいはわかる。
どうすべきか……さらなる情報を得るべく耳を澄ましながら、彼らを出し抜くべく手段を考え続ける。

(やれやれ……どうしたものかね)

そんな思考の渦に入り込んで周りが見えなくなりかけている宮本を尻目に、吉良は自分たちの立ち回りについて考えるのであった――

180どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:34:03 ID:1vtLf/uI

【D-3とD-4の境界付近 / 一日目 真夜中】


【宮本輝之輔】
[スタンド]:『エニグマ』
[時間軸]:仗助に本にされる直前
[状態]:左耳たぶ欠損(止血済)、心臓動脈に死の結婚指輪
[装備]:コルト・パイソン、『爆弾化』した首輪(本人は気付いていない)
[道具]:重ちーのウイスキー、壊れた首輪(SPW)、フーゴの紙、拡声器
[思考・状況]
基本行動方針:柱の男を倒す、自分も生き残る、両方やる
0.解毒剤の話!聞かずにはいられないッ!
1.柱の男や死の結婚指輪について情報を集める、そのためにジョセフとシーザーを探す
2.1のため、紙にした少年を治療できる方法を探す
3.吉良とともに行動する。なるべく多くの参加者にカーズの伝言を伝える
4.体内にある『死の結婚指輪』をどうにかしたい

※フーゴをシーザーではないかと思っています。
※思考1について本人(ジョセフ、シーザー)以外に話す気は全くありません。
 従って思考1、2について自分から誰かに聞くことはできるだけしないつもりです。
 シーザーについては外見がわからないため『欧州の外国人男性』を見かけたら名前までは調べると決めています。
※第二放送をしっかり聞いていません。覚えているのは152話『新・戦闘潮流』で見た知り合い(ワムウ、仗助、噴上ら)が呼ばれなかったことぐらいです。
 吉良に聞くなど手段はありますが、本人の思考がそこに至っていない状態です。
 第三放送は聞いていました。
※カーズから『第四放送時、会場の中央に来た者は首輪をはずしてやる』という伝言を受けました。
※死の結婚指輪を埋め込まれました。タイムリミットは2日目 黎明頃です。
※夕方(シーザーが出て行ってからルーシーが来るまで)にDIOの館を捜索し、拡声器を入手していました。
 それに伴い、サン・ジョルジョ・マジョーレ教会の倒壊も目撃していました。


【吉良吉影】
[スタンド]:『キラークイーン』
[時間軸]:JC37巻、『吉良吉影は静かに暮らしたい』 その①、サンジェルマンでサンドイッチを買った直後
[状態]:左手首負傷(大・応急手当済)、全身ダメージ(回復)疲労(回復)
[装備]:波紋入りの薔薇、空条貞夫の私服(普段着)
[道具]:基本支給品 バイク(三部/DIO戦で承太郎とポルナレフが乗ったもの) 、川尻しのぶの右手首、
    地下地図、紫外線照射装置、スロー・ダンサー(未開封)、ランダム支給品2〜3(しのぶ、吉良・確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する
0.自分の存在を知るものを殺し、優勝を目指す
1.近くにいる集団への対応について考える
2.宮本輝之助をカーズと接触させ、カーズ暗殺を計画
3.宮本の行動に協力(するフリを)して参加者と接触、方針1の基盤とする。無論そこで自分の正体を晒す気はない
4.機会があれば吉良邸へ赴き、弓矢を回収したい

※宮本輝之助の首輪を爆弾化しました。『爆弾に触れた相手を消し飛ばす』ものです(166話『悪の教典』でしのぶがなっていた状態と同じです)
※波紋の治療により傷はほとんど治りましたが、溶けた左手首はそのままです。応急処置だけ済ませました。
※吉良が確認したのは168話(Trace)の承太郎達、169話(トリニティ・ブラッド)のトリッシュ達と、教会地下のDIO・ジョルノの戦闘、
 地上でのイギー・ヴァニラ達の戦闘です。具体的に誰を補足しているかは不明です。
※吉良が今後ジョニィに接触するかどうかは未定です。以降の書き手さんにお任せします。
※宮本と細かい情報交換は(どちらも必要性を感じていないため)していません。

181どこへ行かれるのですか? ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:35:11 ID:1vtLf/uI

【パンナコッタ・フーゴ】
[スタンド]:『パープル・ヘイズ・ディストーション』
[時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』終了時点
[状態]:紙化、右腕消失、脇腹・左足負傷(波紋で止血済)、大量出血
[装備]:DIOの投げたナイフ1本
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)、DIOの投げたナイフ×5、
[思考・状況]
基本行動方針:"ジョジョ"の夢と未来を受け継ぐ。
1.……(思考不能)

※フーゴの容体は深刻です。危篤状態は脱しましたが、いつ急変してもおかしくありません。
 ただし『エニグマ』の能力で紙になっている間は変化しません。
※第三放送を聞き逃しました。


【備考】
・D-5中央付近に拡声器を設置してきました。
 時限式で宮本の声で四放送時、カーズが会場中央で首輪解除を行うという内容を放送します。
 いつ放送されるか、あるいは放送自体がされるかどうかは不明です。
・イギーは周囲にいる人間(琢馬、宮本、吉良、紙にされているフーゴ)のにおいをかぎとっています。
 宮本組と琢馬はシーザー一行を補足していますが、他の者が別のグループに気づいているかは不明です。

182 ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/01(土) 00:40:47 ID:1vtLf/uI
書き込むところ間違えた…
以上で投下終了です。
ご意見、矛盾などありましたら遠慮なくお願いいたします。
見ている人がどれくらいいるかはわかりませんが新年ということもありますし気長に待ちます。

183名無しさんは砕けない:2022/01/04(火) 17:28:43 ID:uOFeQeCo
ブラボー!おおブラボー!
投下乙です!新年早々壮大な話が読めて最高にハイってやつですッ!

これで今年のジョジョロワが盛り上がってくれればいいですね!

話の感想ですが、どのキャラも「らしい」動きで最高です。トリッシュ様の方が美人ですドゴォは新年初笑いでしたw
カーズの動きもまっすぐルーシーに向かうのか、それとも…?と期待が膨らみますし、残された皆の立ち回りもハラハラが止まりません。
琢馬は琢馬で千帆に再度接触しそうですし吉良達も接近するとなれば、と一話で大きく話が動いて今後の話が楽しみになりました!

184名無しさんは砕けない:2022/01/06(木) 23:54:07 ID:FyrAPkS2
と、投下がきた!?2022年はいい年だ!

固定化されつつあった双葉とプロシュートのコンビをあっさり引き裂くカーズの怪物感やばいっすね。
まとめ役のトリッシュが抜けたグループでシーザーの「考えなきゃいけないこと」が積み重なってますが、そこに追い打ちをかけそうな来訪者たち……。
読み応え抜群でした。投下乙です!

185 ◆LvAk1Ki9I.:2022/01/08(土) 19:00:41 ID:xKOnPHbk
感想ありがとうございます。
二年近くあけておいてもう誰も見ていないんじゃないかと不安でしたがキチンと感想いただけて感謝の極みです。
6部アニメのテレビ放映も始まりましたし、こちらも少しでも進んでほしいですね。

wiki収録は状態表で宮本が拡声器まだ持ってたりなど細かい部分の手直しを予定しています。
とりあえず一週間ほど待ってのんびりやるつもりです。
ご意見などありましたら引き続き遠慮なくお願いいたします。

186 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:40:08 ID:J4o6mBSI
大変ご無沙汰しております。
ゲリラ投下ではありますが久々に作品を投下しようと思います。
お付き合いいただければ幸いです。

187 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:42:22 ID:J4o6mBSI
大変ご無沙汰しております。
ゲリラですが久々にSS書けたので投下しようと思います。
お付き合いいただければ幸いです。

188邂逅 その1 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:42:53 ID:J4o6mBSI
皆に聞くまでもなかったことなんだが――つい最近まで勘違いしていたことがあってね。

『エニグマの紙の中では意識があるのかどうか?』という問題について。

冷静に考えればなんてことはなかった。
意識があれば体を動かそうとする、自力で紙から脱出しようとする。
だが、それはできない。そういうスタンド能力だ。
しかもだ……体は動かせないのに恐怖やら痛覚やらは意識として存在する、だなんて。
とてもじゃあないが“そんな訳がない”だろう。きっとショックや疲弊で死んでしまう。人質としても使い物にならない。

つまり、エニグマの紙の中に閉じ込められた人間に意識はないという訳だ。ずっとあるものだと思っていたんだ、恥ずかしい。

では――紙の中の人間は何もできないのか?と聞かれれば、必ずしもそうではないようだ。
今回はそんな話をしよう。

*****

浮遊感があるようで、しかし地面に寝転んでいるようで――いや、立っているのかもしれない。
真っ暗なブラックホールが目の前にあったかと思えば、次の瞬間に視界すべてが極彩色でいっぱいになる。

これはアレだ。風邪ひいて寝込んでる時に見るやつだ。だが、なんでまた……

どのくらいの時間が経ったのだろうか。一瞬かもしれないし、二週間かもしれない。

「神ってよォ〜〜、どんなカッコウしてると思う?」

不意に響いてきたその声がした方を――どこから聞こえたかわからない。
振り向くべきなのか見上げるべきなのか……?

「白いローブでよォ、ヒゲ生やして?革表紙の本とか持ってんのか?」

こちらの様子を知ってか知らずか話を続ける声の主。

「でもよォ、ロベルト・バッジオの神業シュートとか、『マディソン郡の橋』の神懸かり的なカットとかよ。
 “そういう神”が“そういう外見”には思えねェんだよな、俺には。
 意外とさァ、Tシャツにジーパンとか?バッシュとか履いてたりして?

 居てもいいと思うんだけどな、そういう神がよォ〜〜」

パリパリと貼りついた唇がうまく動かない。
だが、動いたとて何を言えば良いものか……

「まっ、どっちも見たことねぇんだけども。会えるもんかね、俺らみてえな連中が」

言いたいことを言い切ったのか、迷っているうちに声が遠ざかり、そのうち聞こえなくなってしまった。

189邂逅 その2 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:43:39 ID:J4o6mBSI
「話したことはなかったが――俺は『重力』ってもんに一目置いているんだ。
 落ちに落ちて、堕ちまくった人間が言うと説得力あんだろ」

さっき、と言っていいのか。どれくらいかわからない時間が経ったのち、違う質感の声が響いてきた。
やはり正確な位置は分らない。ふわふわした体感と意識を両足に込めて姿勢を正し、思い切って口を開く。
想像以上にスッと声を発することができた。

「いい加減にしろよッ!
 さっきのミスタといい、人の夢に出てきておいてなんなんだアバッキオ!
 なんの暗喩だ!?言いたいことがあったらハッキリ言えッ!」

――言葉の中身は全然スッキリしたものではなかったが。
そして、アバッキオの名を出したとたん、パッと周囲の景色が一変した。
いつか立ち寄ったリストランテの一角に似ていた、ような気がする。

「……」

声の主、アバッキオの顔が窓からの日差しに照らされる。
相変わらずムッツリとした、機嫌が良いんだか悪いんだか、そんないつもの表情だった。
返事はない。

「そうだぜェ〜アバッキオよぉ〜、俺にもわかるように説明しろって!
 いや?俺がバカだとかそういう訳じゃねえぜ?5歳児にもわかるように説明できなきゃいいプレゼンじゃねェって読んだことあるぜ〜?」

いつの間にか居たミスタが手元でカチャカチャと食器を奏でつつ口を開く。
ちらりと目をやると、こちらにバチンとウインクをしてきた。“どうだ?いいアシストしてやったろ?”と言わんばかりだ。

「……」

そんなミスタを一瞥しつつもアバッキオは口を開こうとしない。
沈黙は嫌いではないが、質問に答えてこないというのは気に食わない。
ちっ、と短く舌打ちをしたのは僕か、ミスタか、それともアバッキオ自身か――

「全員落ち着け。俺の意見を聞かせてやる」

チリン、とドアのベルとともに聞こえてきたその声は。
もう二度と聞くことはできないとあの時決意し嘆いた、あの声だった。


「つまり『どうしようもない力(パワー)はどうしようもなくこの世に存在する』ということだろう。
 避けることのできない事象。重力、時間、太陽の輝き、そして死」

最後の単語が耳に入ってきたとき、堪らなくなりそちらを向く。
凛々しくもどこか乾ききったような、かつて見ていたその目と視線がかち合った。

「ということは僕は死んだと?だからここで皆と再会して会話が出来てるって?
 そういうことですか、ブチャラティ」
「相変わらず頭の回転が速いな」

その言葉に理解した。そうか、そういうことだったのか――
フンと鼻を鳴らすアバッキオ、大ゲサにあーあ、とため息をついて僕を見やるミスタ。
頭が重い。それこそ重力に逆らえなくなり、ゆっくりとうなだれた。

「だが違う」

190邂逅 その3 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:44:03 ID:J4o6mBSI
「……」
アバッキオは何も言わなかった。
「……」
ミスタも何も言わない。
「……え?」
長い長い沈黙の末にあげた声は、今までにないほど素っ頓狂なものだった。

「だが違う、と。そう言ったんだよフーゴ」
それが当然とばかりに手をひらひらとさせるブチャラティ。
理解が追い付かない。喜ぶべきなのか惜しむべきなのか、それとも恐怖すべきなのだろうか。

「さっき自分で言っただろう。そうフーゴ、これは君自身の夢の中だ。明晰夢ってヤツだな。
 そこで死んだはずの人間と会話している。つまりオレ自身も死んじまったんだ、だからこうして会話できているんだ、と」
狼狽する僕の様子から言葉に困っていると察してくれたのか、ブチャラティが続ける。

「だとしたら“なぜここにジョルノがいないのか”?気にはならなかったか?
 おまえはジョルノが死んだと考え、絶望し、恐怖したからこそ今ここにいるんだろう?」

ハッとする。弾かれたように上げた顔を風が吹き抜ける。いつの間にかミスタが窓を開いていたようだ。

「つまりそれって」
「さてアバッキオ、レコードをかけてやってくれ」
「ああ」

やっとのことで口を開いた僕の言葉を遮ったブチャラティと、それを聞きてきぱきと準備をするアバッキオ。
ブチャラティがレコードをかけるとき。それはつまり一人にしてほしいという合図。
だが“かけてやってくれ”ということは……

「ま、待ってくれブチャラティ。僕はいったいどうすればッ」
慌てて言葉を繋げる。行ってほしくない。いっそこのまま、と思ってしまったのだ。
ついて来いと言ってほしかった。もう休んでいいと肩を抱いてほしかった。

「どうすれば、いったな――なら『準備』をしておけ」

言いながらドアに向かうブチャラティ。アバッキオはさっさと、ミスタは手を振りながら……すでに向こうに行ってしまった。

「『覚悟』をする、その準備な」
ちらりとこちらを振り返ったその目は少し細められたように見えた。
憂いたのか呆れたのか――いや、きっと笑ってくれたんだろう。そう信じたい。


レストランに残された僕の視界がゆっくりと暗転していく。
遠くなるレコードから流れてくるトランペットの音がいつまでも耳に残っていた。


*****

そう――意識のない人間が出来ること。それは夢を見ることだ。

もっとも、これはあとになって聞いた話だし、見た夢の中身なんて本人にしか知りようがない。
これが事実かどうかはフーゴ自身にしかわからないことだろう。

ともあれ、フーゴはこれから覚悟の準備をすることができるのだろうか?それはまた別の話になりそうだ――

191邂逅 状態表 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:44:22 ID:J4o6mBSI
【??? 紙の中 / ??? 1日目 夜〜深夜】

【パンナコッタ・フーゴ】
[スタンド]:『パープル・ヘイズ・ディストーション』
[時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』終了時点
[状態]:紙化、右腕消失、脇腹・左足負傷(波紋で止血済)、大量出血、恐怖(?)
[装備]:DIOの投げたナイフ1本
[道具]:基本支給品(食料1、水ボトル少し消費)、DIOの投げたナイフ×5
[思考・状況]
基本行動方針:"ジョジョ"の夢と未来を受け継ぐ
0.???(思考不能)
1.『覚悟』の『準備』をする……?

※フーゴの容体は深刻です。危篤状態は脱しましたが、いつ急変してもおかしくありません。
 ただし『エニグマ』の能力で紙になっている間は変化しません。
※第三放送を聞き逃しています。

192邂逅 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:45:42 ID:J4o6mBSI
以上で投下終了です。
久っっっ々にジョジョロワ書きました。
ジョジョ9部も始まったことですし、書き手さんも読み手さんも戻ってきてほしいですねえ。

誤字脱字や矛盾点ありましたらご指摘ください。それでは

193 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/12(日) 00:50:33 ID:J4o6mBSI
あ、最初の投下開始レスが連投になってる、申し訳ない・・・

194名無しさんは砕けない:2023/11/13(月) 23:10:08 ID:C2hQpxXA
投下乙です、ひさびさのジョジョロワが乾いた体に染み渡る……。
「『覚悟』の準備」なんてワードの印象を激エモssの余韻で上書きできるのはこの企画を追ってるヤツだけの特権だな。
恥パで設定されたブチャラティのレコードの描写もニヤリとさせられましたね。

195 ◆yxYaCUyrzc:2023/11/20(月) 05:35:45 ID:LHTCdDJI
感想ありがとうございます!
誤字脱字等もないようなので、今週中にはwikiに収録しようと思います。


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