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作品投下スレ

110Tangled Up ◆LvAk1Ki9I.:2019/01/20(日) 22:59:41 ID:pwqg9dZk


――ボスが姿を現した。

その噂はギャング組織、パッショーネ内を電撃のように駆け巡り、多く……いや、ほぼ全ての者に驚愕をもたらした。
さらにその正体が若干15歳の少年とくれば、すさまじい混乱の渦が巻き起こったであろうことは想像に難くない。

そんな混乱を意にも介さず……むしろそれに乗じたというべきか。
若きボス――ジョルノ・ジョバァーナは大胆に、且つ迅速に組織を統率していったのだが……
その手腕を見てなお、全員が納得したわけではなかった。
わかりやすい例を挙げれば、組織の設立は何年前で当時彼は幾つだったと思っているのか、といったもの。
そんな声が密かに、しかしあちこちで上がるのもある意味当然なほどジョルノは『若すぎた』。

そのような声が『不信』に変わり、真実か否か探ろうとする者が現れるまで時間はかからなかった。
無論、組織においてボスの正体を探ることが何を意味するかは周知の事実。
だがこの一件はそれを踏まえてなお、調べる価値があると判断されたのである。
万が一ジョルノが『偽物』だった場合、個人の立場どころか組織全体がひっくり返りかねないのだから。

飛び交う噂やその出所から真実を突き止めようとした者。
部下や情報屋に金や権力を使って探らせた者。
自らボスへと近づいて探りを入れた者。
手段は様々だが、ボス側に悟られぬよう密かに……それだけは共通して、決して少なくない人数が動き出した。
しかし、彼らの『調査』は早々に行き詰る。

――ジョルノ・ジョバァーナ、これはイタリアで名乗っている名前であり本名は汐華初流乃。

   現在ネアポリス地区の高校に在学、同学校の寮に住む15歳の学生。

   一見普通の少年だが裏では『いろいろ』やっており、他ならぬパッショーネに目をつけられたこともある。

   母親は日本人、父親はイタリア人だがこちらは義父。

   どちらも碌に面倒を見なかったため親でさえ彼の細かい行動についてはよく知らない――

そんな公言されている当たり障りのない事実だけで満足できるはずもないが、そこから先が出てこない。
手掛かりといえそうなのは「理由は不明だが、彼は幼い頃からギャングと関わっていた」という程度。
結局、深入りを避けた者は関係あるんだかないんだか……そんな宙ぶらりんな情報しか入手できなかった。

ならば、と幾人かは別方面からの調査を試みた。
彼のルーツ……本来の父親から何か足取りを掴めないかとはるばる海外まで足を運んだのである。

だが、この父親も父親でまた謎の存在であった。
単にネアポリスでの聞き込みだけで、顔も名前も住んでいた地域もあっさり判明する。
にもかかわらず、現地の人間からも記録からも何故かその父親の情報がまったく出てこない。
そして、手間取っているうちに彼らはその地で妙な集団に囲まれ、こう質問されるのだ。

                    「――何故、『彼』のことを調べているのですか?」

その相手が最近組織と提携した、とある財団の人間だとわかればそこまで……泡を食って逃げ帰るほかない。
即座に身を隠す、あるいは依頼主へ調査結果と「これ以上は無理だ、オレもあんたもヤバイ」という言葉だけ残して去っていった。


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