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カオスロワ避難所スレ3

1管理人 ◆WI16BozYZw★:2015/07/08(水) 21:45:14 ID:???0
前スレッドが1000間近のため新規スレッドを用意いたしました。

1749月13日はカイザの日 Part4:2016/09/13(火) 00:10:26 ID:3NjGM.vU0

「さて、こいつはどうすっかなぁ……」

手に持った草加雅人眼魂を見つめる。
サイコマンが必死になって追いかけてくると思ったが、そうではなかった。
これではうるさいだけの足手まといになるだけだ。

『やめるんだ、草加市の市長であるこの俺を殺してしまったら、これから誰が草加市を薄汚いオルフェノクから守っていくんだ!』
「あァッ!? うっせぇぞッ!!」

握り潰されて砕けそうになった草加雅人眼魂。
しかし、その時である。

「なんだ、この羽根?」

黒い羽根が目の前を遮った。

「それは貰っていく」

テルミは草加雅人眼魂を奪われた。
そして、一瞬で『その男』はその場から飛び立った。

「なんだ、テメェはッ!?」
「……名乗るほどのものじゃない」

あれは人間か?
否、違う。
人間は空を自在に飛ぶことはできない。
では、怪人か?
否、違う。
そんな行為はとても怪人のようには思えない。
それでは、オルフェノクか?
絶対に違う。

『その男』は!!!

その鳥男は!!!
その正体はジューマン!!!
鳥のジューマン!!!
なんか草加雅人に似ている!!!
むっちゃ似ている!!!
舞台版BLAZBLUEのハザマにも似ている!!!
すごく似ている!!!


その鳥男―――バドである。


【二日目・11時09分13秒/東京のどこか】
【ユウキ=テルミ@BLAZBLUE】
【状態】飛竜の肉体、首輪解除
【装備】光剣サイファー クナイ、各種オプション、蛇双・ウロボロス
【道具】支給品一式 
【思考】
基本:テラカオスを利用して、滅日計画を遂行する。
0:なんだ、今のは!?
1:邪魔をする奴は殺す。
※飛竜の肉体を完全に奪いました。


【バド@動物戦隊ジュウオウジャー】
【状態】健康
【装備】王者の資格、草加雅人眼魂
【道具】支給品一式、大量のザリガニ、ゴーストドライバー
【思考】
基本:????
0:邪魔なんだよ。俺の邪魔をする奴はすべて……


【草加雅人@仮面ライダー555】
【状態】草加市の市長に当選した、草加雅人眼魂
【装備】カイザギア@仮面ライダー555、サイドバッシャー@仮面ライダー555
【道具】ケーキ、支給品一式
【思考】
基本:生き返る方法を探す
0:どうして俺が死んで、碌に出番もない奴らが生きてるのかなぁ?
1:とりあえず、乾巧の仕業にする
2:なんだこの薄汚いオルフェノクは!?
3:来年のカイザの日も祝いたい
※眼魂(アイコン)に魂を封じられています。ドライバーがあればあるいは……
※生き返れるタイムリミットは(作中時間で)残り99日です。

175終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:03:13 ID:FyAK8cH.0
時刻は10時まで遡る。
長野県の上空。

そこには空飛ぶでかい山、阿蘇山を緊急脱出装置に変えられたASO-3が飛んでいた。
その後方、数十キロ後ろには超人血盟軍の四人がASO-3を追撃していた。


ASO-3コクピット内――……


「あいつら、まだ追ってきやがりますか!!」

後方の状況を映し出したモニターを見て、そう言ったのはコクピットのシートに座る特務機関員の少女、ニャル子だった。
ASO-3は僅か3時間足らずで日本海から長野県へ移動できるほど速いが、空を飛べる四人の超人達はそれ以上に速い。
今は数十キロ以上距離を離しているが、相対距離的にはいつか追いつかれてしまうだろう。

「落ち着いてくださいニャル子さん。奥の手を使います!」

そう言ってニャル子の隣に座っている異形の宇宙人にして特務機関員の一人メフィラスはコクピットにある赤いスイッチを押した。
IQ一万を超えるメフィラスはASO-3の機能についてリサーチ済みであり、隠された機能を把握していた。
それはブリーフ博士のホイポイカプセルの原理を利用した、物体を小さくする能力である。
この頃には故人と化している祐一郎さんが、生前にホイポイカプセルの画期的な機能に目をつけ、取り入れた代物である。

そして、カチリとスイッチが押されると、巨大なASO-3は夥しい煙に包まれ、一瞬の内に中のニャル子達ごと小さくなった。
カプセルサイズになった以上、常人では目視は困難だろう。

「よし、これで……」

ニャル子は小さくなったASO-3のハンドルを右に切る。
まっすぐ向かってくる超人血盟軍に対して進路をずらすことで、躱そうとしたのだ。
これでニャル子は追われる心配はなくなると微笑んだ。
……だが、それはすぐに糠喜びに変わった。
ASO-3が進路を変えたのに合わせて超人血盟軍も進路をこちらに合わせてきたのだ!

「ちょ!?」
「なぜだ? カプセルサイズに小さくなった以上、目視は困難なハズ」

驚き声を上げるニャル子とメフィラス。
そんな彼女と彼の疑問に対して、後部座席から返答がきた。

「……気だ」
「ガチホm…ジャック・O!」
「ジャック、それはどういうことですか?」

答えたのは後部座席に縛り付けられている五大幹部の一人、リンクスにして参謀格のジャック・Oであった。

「超人血盟軍にいるベジータが、我々の気を辿っているんだ。
気を探れる奴の前では、ただ小さくなっただけでは無意味だ」

ジャックの推測通り、ベジータはASO-3を目視だけでなく、気を辿って探っていた。
物体は小さくなっても、搭乗者の気の大きさまでは変わらない。
気を消す術を持たない四人では、ベジータの目をごまかすなど出来はしないのだ。
そして、ASO-3と超人血盟軍との相対距離がドンドン縮まっていく……残り50キロ、残り40キロと。
焦燥するニャル子とメフィラス。

「どどどどどどうすれば……!
メフィラスさん! 他に隠し機能とかないんですか!?」
「なくはないですが、ジャックの言うとおりならベジータの前では透明化能力も
無意味。
ミサイルを使わない彼らにチャフなんて無用の長物。
砲台やバリアもありますが、時間稼ぎにもなるか怪しいでしょう」

生き残るためにあらゆる手を考える、大慌ての二人。

176終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:03:46 ID:FyAK8cH.0

(ダークザギをダークライブして応戦する?
いくらチート悪トラマンであるダークザギとはいえ、ゆで超人三人に加えてスーパーサイヤ人がいるけど勝てますかねえ?
……いっそのこと降参して、ベイダー卿とジャックを売り渡して命拾いした方がお得で早くね?
私、女の子ですし、土下座でもなんでもすれば助けてくれますよねー?)
(恩人であるベイダー卿を裏切ることになるが降参止むなしか。
ベイダー卿らの縄を解いて解放し、共に戦ってもらうにしても勝算は極めて低い。
ならば投降して人的被害を出さない方が賢いでしょう。
……ベイダー卿らの考えている『プロジェクト・テラカオス』の全貌も、投降した後に超人血盟軍と共に聞けば良い)

多少の思考の際はあれど、ニャル子とメフィラスの頭の中に降参という二文字が浮かび上がっていた。

「コーホー、投降は無駄だ。やめておけ二人とも」
「「!?」」

超人血盟軍に降参しようとした二人の考えに待ったをかけたのは、ジャックと同じく後部座席に括りつけられたシスの暗黒卿ダース・ベイダーだ。
突然の制止に驚くニャル子とメフィラス。

「口使ってないのに、なんで私達の考えがわかったんです!?」
「余には貴公らの思考をある程度読める能力がある。
……フォースによってな。コーホー。
ニャル子よ、余らを売り渡して助かろうとしているのもバレバレだぞ」
「ギクッ!」

ベイダーは超能力であるフォースの力で二人の思考を読んでいたのである。

「コーホー。だが、無駄だ。
投降したところで奴らに殺されるのがオチだ」
「え、マジで?」
「コーホー。ベジータとアシュラマンから我々への強い殺意を感じる。
仲間を多く殺されたのだから当然か。
主催の人間である以上は報いを受けさせるために女だろうが、土下座しようが、戦意がなかろうが、我々に大義があろうが、奴らは関係なく殺すつもりだ。
キン肉マンソルジャーやバッファローマンは幾分冷静なようだが、二人を止められるとは思えん。
投降した瞬間、ベジータとアシュラマンに十中八九殺されるだろう」
「そんなぁ!」
「コーホー、投降は諦めろ」

ベイダーから言い渡された言葉に、メフィラスは沈黙し、ニャル子は慌てふためく。
逃げられない、降参できないならば、死への道しかないのだから。
自分達の未来が絶望しかないことを知ったニャル子は額に青筋を貯めた強い怒りを顕にしながらベイダーに迫る。

「九州ロボでも、言いましたけどねぇ……
本拠地をちゃんと用意しましょうと計画開始前から進言してたんですよ!
そもそも世界の命運かけたプロジェクトと言いながら、拠点構えないまま、開始するとか正気ですか?
九州ロボを火事場泥棒的に奪取できたからいいようなものの、祐一郎博士がショック死しなかったら どうするつもりだったんですかねぇ?
しかも拠点構えても警備はガバガバだわデータは奪われるわ傀儡とはいえ主催者の総理がオスプレイで勝手に出撃して返り討ちに会うわテニスボールで大ダメージ受けるわ特務機関員が次々離反するわ殺されるわ挙句の果てに奇襲されるわ、真面目に世界救う気あるんですか? 馬鹿なんですか? 死ぬんですか? 私と真尋さんの命になんかあったら貴方達どう責任とってくれるんですか!?」

機銃掃射のように放たれたニャル子の罵声が、ASO-3のコクピットに響き渡る。

「コーホー……言いたいのはそれだけか?」

だが、ベイダーはニャル子の罵声に臆した様子なく、ドスの効いた声で疑問に答えていく。
その声はさっきまでニンジャを見て失禁と嘔吐していたような奴とは思えないほど冷静であった。

「確かにガバガバな計画だったのは認めよう。
だがな、拠点を構えていられない、特務機関員も裏切る前提の下衆共を多く雇わざるおえない、傀儡も馬鹿過ぎて途中からフォースも効かなくなるような奴を使わざるおえない理由もあったのだ」
「理由?」

177終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:04:30 ID:FyAK8cH.0










「コーホー、『時間』がなかったのだ。
この世界はあと一日……カオスロワ開始から四日目を迎える前に、消滅するのだからな」










「それは……本当ですか?!」
「冗談でしょ? 嘘だと言ってよバーニィ!」
「君達がなんと思おうが自由だが、事実だ」

ベイダーの言葉にメフィラスとニャル子は更なる焦りを覚える。
この場で冷静なのはベイダーと、彼と世界滅亡に関する情報を共有しているであろうジャックだけであった。
ベイダーが適当な嘘を言っている可能性もあるが、こんな非常時にいちおうの味方であるメフィラス達に嘘をつくメリットはない。

そんな中、コクピットに警報が鳴り響いた。
四人の視線が正面のモニターに向く。
画面を見ると、ASO-3と超人血盟軍との距離が20キロを切っていた。
ベイダーらと会話をしている僅かな内に、超人達はスピードを上げて急接近してきたのだ。

「ヤバッ……!」
「くッ、お喋りに熱中しすぎたようですね」

ベイダーの話が本当ならば、超人達は謝っても許す気はないらしい。
このままでは皆殺しにされるだろう。
焦るメフィラスとニャル子はどうにかして生延びる術を考えようとするが、手持ちの道具や戦力では超人血盟軍相手には望み薄であり、それが焦りをなおさら加速させた。


そんな絶望的な状況下で立つ男がいた。


「コーホー、余が戦いにいこう」


ダース・ベイダーである。
彼が言葉を発すると同時に、彼を縛り付けていた布団とハラリと床に落ち、後部座席から立ち上がっていた。

「ベイダー卿……」
「ってええ!? 拘束を一人でに解いてる?!」
「こんな拘束、余のフォースの力をもってすればどうということはない」

ベイダーのフォースの念動力さえあれば、ニャル子らが縛り付けた布団や縄を解くのは造作もないことであった。

「しかし、戦うなんて無茶です、ベイダー卿!
超人三人にスーパーサイヤ人が相手では、我々四人と飛影でも勝てる見込みがありません!」
「貴公らはついてこなくて良い。戦うのは余だけで十分だ」
「ニンジャを見てNRSを発症して失禁にゲロまで吐いてた上に真っ裸のあなたが絶対に勝てるわけありませんよ!」
「余も奴ら相手に勝てるとは思っておらん。
だが、余が全力で戦えばこのASO-3が逃げられる時間稼ぎくらいはできるだろう。
それとニャル子、サラッと余をディスっているが、後で殺すぞ」

メフィラスとニャル子の制止を押し切って、ベイダーはコクピットから出ようとする。
その前にベイダーが未だに後部座席に括りつけられているジャックに告げる。

178終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:04:59 ID:FyAK8cH.0

「ジャック・O。
余がいなくなる以上、メフィラスとニャル子が知りたがっている計画の全貌はおまえの口から話せ。
そして東京のどこかにいるだろうココと合流し、なんとしても二人でプロジェクト・テラカオスを完遂させるのだ」
「待て、ベイダー卿。
プロジェクトのリーダーは君だ。君ではなく、私がいくべきではないのか?」

ジャックはベイダーを引き止め、彼の代わりに自分が超人達と戦うと言う。
しかし、ベイダーはそれを良しとしなかった。

「悲しきかな、余は貴公やココほど頭が回らん。
この先の計画の完遂や、ユウキ=テルミからの九州ロボ奪還には、力が全盛期より衰えている老いぼれよりは、おまえ達二人がいたほうが良い。
貴公は残るんだ」
「しかし……」
「案ずるな……コーホー。
九州ロボでは散々醜態を曝したが、最期ぐらいは華々しく散るさ。
シスの暗黒卿としての誇りとして、インフレが酷すぎるサイヤ人や、ゆで理論とかいうわけのわからん奴らの内、二人ぐらいは道連れにしてくれるわ」
「待て! ベイダー卿!」

ダース・ベイダーは戦って死ぬ気であった。
ジャックは死地へ向かう盟友を必死に止めようとするが、拘束されていてそれも叶わず。
メフィラスはベイダー卿の意志を尊重して動くことも口を挟むこともできなかった。
ついでにニャル子は「自分が助かるならそれでいいや」と、薄情にも止める気はなかった。

「しかし、最期が全裸というのは頂けん。服がわりに飛影を持って行くぞ」
「ええ? 飛影は貴重な戦りょ……モゴモゴ」
「わかりました。遠慮せず持って行ってください」

確実な戦闘力増強として、パワードスーツに近いロボットニンジャ飛影を装着しようとするベイダー。
ニャル子は止めようとするが、空気を読んだメフィラスが彼女の口を塞ぎ、飛影はベイダーに託された。
ちなみにベイダーとジャックはニンジャである飛影を見てNRSを引き起こす失態を犯してたが「あれはその場のノリ」によるものなので、もうNRSを引き起こす心配はない。

超人血盟軍到達まであと10キロ……

「もう、時間がない。この山が捕捉される前に出撃する!
メフィラス! ハッチを開けろ!」
「ハイ!」

ベイダーの命令を受けて、ハッチを開けるレバーに手をかけるメフィラス。

「コーホー。
あとは任せたぞ、ジャック、ココ。
バーダック、幽香、織莉子、キリカ、デウス、ビアン博士……もうすぐそっちにいくぞ」

決死の覚悟を決めたベイダーが、飛影を駆り、出撃しようとする――

179終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:05:28 ID:FyAK8cH.0






『待って! その必要はないわ!』






――その寸前で聞き覚えのある女の声が、コクピットのスピーカーから聞こえた。

「この声はココ!?」

突然、五大幹部の生き残りの一人、武器商人のココ・ヘクマティアルの声が聞こえたことに四人は驚く。

そして次の瞬間、どこからともなく巨大な白い腕がASO-3を掴み……訂正、カプセルサイズに小さくなっていたASO-3を人間サイズの腕が掴んだのだ。
そして、一瞬後には腕もASO-3もその場から姿を消し、同時に気も消えてしまったため、気を辿っていた超人血盟軍は主催者達を完全に取り逃がしたのであった……
(超人血盟軍のその後の経緯は『光と影』を参照されたし)









「コーホー、なんだなんだ!? いったい何が起きた!」

いきなり、巨大な振動がASO-3を襲ったかと思えば、超人血盟軍から感じ取っていた殺意などの気も一瞬で消えたので混乱するベイダーは、慌てて乗りかけた飛影から飛び出す。

そしてジャック達と同じように、正面モニターを見ると驚きの光景が広がっていた。

「コーホー……」
「ココ?」
「これは……」
「でっか!」

カプセルサイズのASO-3はココの手のひらの上にちょこんと乗っていた。
それはASO-3同様に小さくなっているベイダー達の視点からすると、自分達は釈迦の掌に乗った斉天大聖になった錯覚を覚えさせ、モニターに映っているココの顔はとてつもなく大きく見えた。

ココのASO-3を乗せてないもう片方の腕は、とりよせバックが握られている。
このバックは内部にワームホールがあり、遠くの場所にある物をバッグを通じて手元に取り寄せることができる22世紀の秘密道具であり、強力すぎるため参加者には支給されなかった支給品の一つだ。
ココはこのアイテムを使ってベイダー達を窮地から救ったのだ。

「ベイダー卿、ジャック、メフィラス……良かった、あなた達だけでも生きていて」

ココはASO-3の中にいる仲間達に微笑みかける。

「そして、ようこそ。
カオスロワちゃんねるにも書かれていない、私達以外誰も知らない隠れ家、東京都伊豆大島基地へ!」

180終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:06:05 ID:FyAK8cH.0











伊豆大島。
本州から20キロ以上離れた位置にある孤島だが、いちおう東京都である。
伊豆大島基地とは、その島に築かれた主催の拠点である。
ちなみに先の放送で沖縄含む全ての離島が禁止エリアになったので、離島扱いであるので主催関係者と首輪を外した者以外は立ち寄ることはできない。

その基地の中にある一室、様々なモニターがある会議室にココと助け出されたベイダー、ジャック、メフィラス、ニャル子、飛影の五人と一機は移っていた。
(ちなみにASO-3はカプセルサイズでココのディパックに入っている。
ベイダー達はASO-3から出た瞬間、元のサイズに戻った)

「コーホー、このような基地、なぜ隠してたんだココよ?」

ベイダーの疑問はもっともであった。
元々、主催拠点を作る時間がなかったので、仕方なく祐一郎から九州ロボを簒奪する形になったのだ。
最初から拠点があれば、九州ロボを奪う必要もなかったのである。

「隠してたのは謝るわ。
でも、この基地ができたのはついさっきのことなのよ。
建設計画自体は進めていたけど、完成までにはカオスロワ開始には間に合わず、どのようにスケジュールを切り詰めても一日半はかかり、建設の労力であるモブ兵士に支払う膨大な資金もかかる。
しかも、この基地よりも遥かに巨大で防衛力の優れた九州ロボを手に入れるという誤算があったから、言う必要もないと思っていた」
「コーホー……なるほど」
「でも、建設自体はやめなくて正解だった。
九州ロボが奪われた今、ここを臨時の主催拠点にすることができた。
モブ兵士達のお給料も、抜けている誰かさんのおかげで賄えたしね」
「誰かさん?」
「なんでもないわ」

ちなみにココがN2爆弾を売ることで手に入れた呉島家の財産ほぼ全ては、この伊豆大島基地で働くモブ兵士の給料に全てあてがわれた。

「……できれば織莉子、キリカの二人にも、ここに来て欲しかったな」
「……」

特務機関員であった二人の友の死には、ココは涙を流さずとも、その表情には悲しみが宿っていた。
ベイダーはそんなココにかける言葉が見つからなかった。



「申し訳ありませんがベイダー卿、ココ嬢。
ご友人の死へ悲しみを抱くお気持ちは察しますが……」

横槍を入れるようにメフィラスの言葉が二人の間に割り込んだ。

「そろそろ私達に教えてくれませんかね……真実を、この殺し合いと世界滅亡、プロジェクト・テラカオスの全貌を」
「メフィラス」
「ベイダー卿、あなたがさっき言ったことに嘘がなければ、この世界は四日目を迎える前に消滅する……ならば残された時間はもう丸一日半しかない。
時間がないのなら、すぐにでも教えていただきたい。
適当な嘘も許しませんよ、少なくともこの殺し合いの目的が人口削減ではないのは既に看破しているつもりです」

メフィラスはすぐにでも真実を知りたいと強く思っていた。
そして返答次第では、特務機関ひいては主催陣を抜けて離反するつもりであった。
口ではそうは言ってなくとも、彼の考えは周囲に伝わるぐらいの雰囲気を醸し出していた

「……賢いあなたやニャル子、ベクター、もう亡くなったけど新城やクルル辺りは、この殺し合いがただの人口削減が目的ではないと気づくと思っていたわ」
「コーホー……ジャック、この二人の『進行度』は?」
「二人共、陰性だ。なんらかの外的要因がない限り二人が『候補者』になることはまずありえない」
「そうか、ならば話してもよかろう……」

181終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:06:42 ID:FyAK8cH.0


センチメンタルな気分を横に置いておき、幹部の三人はメフィラスとニャル子に真実を知らせることにしたようだ。




「あのー……勿体振り過ぎて出てこなかった、たぶん画面の前の多くの読み手と書き手も知りたがってる真実を教えてくれるのはありがたいんですが……



……なんで私、石抱させられてんです?」




ニャル子は幹部の一人、ココによって石抱させられていた。
ちなみに石抱とは三角形の木を並べた洗濯板のような板に正座させ太ももの上に重く大きな四角い石を載せるアレのことである。
つまり、ニャル子は拷問を受けていた。

「……フンッ!」
「ぎゃあああああああああああああ、痛ッ痛ッ痛ッ痛ッ痛ッ痛ッ!!」

そんな石を抱かされて足を痛めていているニャル子に対して、サディストの如く石の上から思いっきり踏みつける、鬼の形相のココ。

「なぜって? まずはあんたがやった所業を思い出して?」
「ええ……私は潔白です……いたたたたたたたッ!
嘘です嘘です!!
倉庫から支給品をくすねて申し込みありませんでした!!」

ニャル子は主催の倉庫から勝手に支給品、ダークスパークとダークザギのスパークドールを勝手に持ち出している。

「あれはね、元々は幽香が使う予定だったの、九州ロボ並の戦闘力を持つダークザギが使えてれば戦力として百人力よね?」
「ええ……」
「当初の予定では、私がなんらかの事情で留守にして九州ロボがまともに動けなくなった時、ダークザギがその分の戦力を補う手はずだったから、私は九州ロボから安心して出かけることができたわけよ」
「そ、そうなんすか……へぇー」

ここで互いにうすら笑いを浮かべるニャル子とココ。

「つ・ま・り!
あんたがダークスパークとダークザギをくすねなければ、九州ロボの防衛線に穴が開かなかったのよ、このバカーーーッ!!」
「ぎにゃああああああああああああああああああ!!
我々の業界でも拷問ですうううううう!!」

額に青筋を蓄えて笑顔のまま、ガンガンメリメリと石ごしにニャル子の足を踏みつけるココ。
もし彼女が支給品をくすねなけらば、幽香がダークザギをダークライブさせることで、多大な戦闘力を誇る超人血盟軍相手でも撃退もしくは殲滅ができたかもしれない。
敗北しても被害は大幅に減らせたハズだ。
それを幽香と事前に打ち合わせていたので、ココは九州ロボを留守にすることができた。

……だが、結果はこの有様。

すなわち九州ロボ防衛失敗の最大の戦犯は、幽香が使う予定だった支給品を盗んだニャル子だったのである。
それを知ったココは、防衛線にヒビを入れたニャル子に対して怒髪天を立て、拷問を与えることにしたのである。

「ひィ……」

その凄惨な(?)拷問の様子に引き気味のメフィラス。
ちなみにベイダーとジャックは。

「え? そういうことだったのか? 余は初耳なんだが」
「すまん、この件は私の口からベイダー卿に教えるつもりだったが、超人血盟軍襲来前後のゴタゴタと君の良い体に見とれてて伝えるのをすっかり忘れてしまった。
幽香もダークザギを使わずにやられていたから何か嫌な予感はしてたんだが、まさかニャル子の手にあったとは……」
「おまえな……」

ベイダーは仮面の下で、ジャックを白目で見ていた。

182終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅:2016/09/19(月) 00:07:34 ID:FyAK8cH.0

「……まあ、防衛失敗は何もかもがアンタの責任とは言わないわ。
私の読みも浅かったし、ダークザギがあっても勝てたかどうか怪しい。
本来なら処刑も辞さないところだけど、どんな思惑があろうともメフィラスと一緒にベイダー卿達を助けてくれた功績があるのも事実だし、命だけは取らないであげるわ」
「あ、ありがたき幸せ……」
「でも、アンタのことだから、このダークザギを使ってユウキ=テルミを九州ロボごと吹き飛ばそうとしてたわね」
「ギクギクッ!」

ココの思考を読んでいる言葉にニャル子の顔から滝のような汗が流れる。
誰が見ても、明らかにSAN値が下がっていた。

「図星のようね。
やめてよね、マキナである九州ロボが消滅したらファクターである私も死んじゃうじゃない。
何より、貴重な土地と世界復興の要である九州ロボがなくなったらどうするの。
アンタにコレは預けられないわ。罰として、没収ね」
「わ、私のダークスパークとダークザギ!」
「アンタのじゃないでしょ!」

石抱きで動けないニャル子に対して、ココは彼女のディパックからダークスパークとダークザギを取り出し、自分のディパックにしまいこんだ。
それだけに留まらず。

「ついでにこの子も没収するわ」
「ああ! 真尋さん!」

ココはソフビ化している八坂真尋も没収した。
未来のダーリンである真尋を取られたことに、ニャル子の表情がダークザギとダークスパークを没収された時以上に焦りがにじみ出る。

「それにしても真尋キュンは可愛いわね、フフーフ(はぁと)」
「あ、コラ! 頬ずりするな!
胸に挟むな! ペロペロ(^ω^)するなぁーーーッ!」

ソフビ真尋を見るやいなや、目がハートマークに変わり、愛でまくるココ。
愛でまくられる真尋を目の当たりにしてニャル子はパニックになる。

「こうなれば……シャンタッ君、その女を殺してでも真尋さんを奪い返して!」
「ミー」

もはや形振り構ってられないと言わんばかりに、明らかな幹部への反抗であることを覚悟の上で、ペットであるウマ面のコウモリの生物シャンタク鳥のシャンタッ君に命令して真尋をココの手から奪還しようとするニャル子。

「ミー……」
「あ、あれ?」

しかし、シャンタッ君はニャル子の意に沿わず、ココの足元で仰向けになってお腹を見せた。
服従のポーズである。
そしてココはモフモフとシャンタッ君のお腹を撫でた。

「悪いけど、シャンタッ君は最初からこちら側の味方よ」
「この裏切り者ォッ!」

ココは保険のためにシャンタッ君をあらかじめ手懐けていたのだ。

「ついでに飛影にも私達、五大幹部への明確な裏切りや九州ロボを破壊しようとする行為をした場合は自動で攻撃するようにプログラミングしてあるわ」
「マジすか」
「今さっきまで支給品を横領してたのがバレず、ベイダー卿達を助けていたからグレーゾーン止まりだったけど、間違ってもダークザギで九州ロボを消し飛ばそうとしなくて良かったわねぇ?(ゲス顔)」
『裏切者殺すべし、慈悲はない』
「ちょ、刀が背中に刺さってる! 刺さってる! 痛いんだよぉ!!(マジギレ)」

一歩間違った判断を下せば、ニンジャに首がはねられないかねない状況。
ニャル子は既に、ココに手玉に取られていた。




「さあ、話が脱線しすぎたわね。
茶番はこの辺にして、そろそろ話を進めましょうか」
「「「お、おう…」」」
「ちゃ……茶番て……」

真尋を手に入れたココは意気揚々に、男連中は若干引き気味に、ニャル子はボロボロの状態でいよいよ『プロジェクト・テラカオス』の全貌が明かされることになる。
(ニャル子は先ほど、ココを殺してでも真尋を奪い返そうとしたが、これは背信行為というより恋人を取られて焦ったゆえの失言なのでノーカンになった)

「これを聞いたからには後戻りはできないわ」
「我々のなそうとしていること、破滅へ向かっている世界の事情」
「コーホー、心して聞けよメフィラス、ニャル子よ」




なお、ベイダー卿は未だに全裸で、ニャル子は石抱させられたままであることをここに記しておく。

183終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:08:46 ID:FyAK8cH.0
メフィラス達に詳しい事情を話す前に、ベイダー達は二人がこの殺し合いで知っているか、どこまで気づいているかを聞いた。
二人はこの殺し合いの目的が人口削減ではなく『テラカオス』を生み出すための手段であることや、ハラサンが提唱していた『救済の予言』までは耳にしているが、それ以外のことは他の特務機関員と同じであると答えた。

「コーホー、ということは一から話す必要があるようだな。
計画について話す前に先に知ってもらいたいことがいくつかある。
まずはこの世界の成り立ちについてだ。
二人は『TC計測値』という言葉を知っているか?」
「いえ」
「聞いたことありませんが、まさかTCは安直に『テラカオス』の略ってわけはないですよね?」
「よく気づいたな、概ね正解だ」
「合ってんのかい!」

狸組が九州ロボに潜入した時に、見つけたTC計測値。
そのTCがテラカオス(Tera Chaos)の略というのはニャル子が当てずっぽうで言っただけだが、正解だったらしい。

「コーホー。
『TC』、正式名称『テラカオスエナジー』。
この世界を構成する、目に見えない未知のエネルギーで、この世界にはなくてはならないものだ。
別の世界では『蒼』ともいうらしい。
『TC計測値』とは文字通り、そのエネルギーの量を測ったものだ」
「TCがこの世界になくてはならないもの? どのように?」
「TCは創造と破壊を司る根源の力。
仮に使いこなせれば全ての事象干渉を退ける「外周因子」となりうると同時に、世界すべてを変革できるほどの「事象干渉」を行うことが可能となるというらしいが……」
「言ってる事が難しくてわけわかめ、もっと簡単に」
「『とにかく何でもアリで型破りなエネルギー』だと思え。
TCの現実を改変する力によって、本来だったら矛盾する生態系や、現実的に考えて存在できない力や生き物が世界に存在できるのだ。
例えるならグンマーの生物。彼らは大きく巨大な竜や魔物が多いが、科学的に考えると足で自重を支えることすら不可能だ。
TCはその矛盾を『あやふや』にすることで彼らの存在を成り立たせている。
言わば、我々が吸っている『酸素』と同じくらい大事な物だと思ってほしい」

本来なら常識的に考えて生きてはいけない矛盾をはらんだ漫画・アニメ・ゲームキャラの存在も、このカオスロワ10期の世界ではTCによって存在できるのである。
この混沌とした世界はTCのおかげで構成できているのだ。

「我々がこの世界に存在できているのは、そのTCのおかげだったのは理解できました。
しかし、それがこの殺し合いと何の関係が?」
「コーホー、これを見てほしい。
ココ、大災害発生時のTC計測値のモニターを出してくれ」
「はい」

ココは大災害発生時のTC計測値をまとめた映像を映し出した。
それは狸組が九州ロボと、とある民家で見たものとまったく同じものである。
計測値の最も低い日本を除いた、土地という土地が大地震と共に海に沈み、宇宙にあるコロニーや人の住む惑星が目に見えない力で破壊されていく。

「大災害当時の映像ですが……」

ここで違和感に気づいたニャル子が、某少年探偵風に疑問を口にする。

「あれれー? おかしいぞー?
TC計測値が高い土地の方が破壊されてるってどういうことー?」
「TCは我々の世界にとって必要なエネルギーだったのでは?」

二人の疑問に対し、ベイダーは答える。

「TCがこの世界に必要不可欠なのは間違ってないが、それはあくまで適量だった場合だけだ。
多量に浴びすぎた場合は生き物も土地も破壊されて消滅する。
空気を入れすぎて破裂する風船のようにな。
仮に生きていても事象改変能力のあるTCに肉体を汚染されて生態や思考、存在を歪められた者もいる。
歪められ方は様々で、どんなに軽い者でも元の性格では考えられない奇行に走ったり、中にはカオスロワ開始前は死者だった者が生き返った者もいる」
「適量なら恩恵をもたらすも、過量なら毒になる……まさに酸素と同じですね」
「デカオとか分裂して増えまくっているんですが、ひょっとしてTCのせいだったり?」
「ああ、テラカオス候補者でもない以上、間違くなく汚染されている。
大災害発生時に日本以上にTC汚染の酷い海外にいた事実や、カオスロワ開始前からあの様だったのが、それに拍車をかけている」

拳王連合軍にいるデカオの謎の増殖は、存在を歪めるTC汚染に起因するものだった。
またチチもぎマーダーとして猛威を振るった長門有希の謎の奇行や、ロワ開始前に死亡したハズのニンジャ・フロストバイトが蘇っていた理由もTC汚染が理由である。

184終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:10:44 ID:FyAK8cH.0



「しかし、映像を見る限り、地球より宇宙の方がTC計測値が濃いようですね。
TCは宇宙のどこかから来ているということでしょうか?」
「そうだ。TCはどこからともなく出てくるのではなく、ちゃんとした出所がある。次の資料を見よ」

モニターの映像が切り替わり、宇宙のどこかに開いた大きな『穴』が映された。

「なにこれ、ブラックホール?」
「いや、どちらかと言えばブラックホールの出口であるホワイトホールに似てますね」
「ああ、他のホワイトホールとの違いは対応するブラックホールがこの宇宙になく、吐き出すのはTCだけだがな。
これは『TCホール』と言う」

ちなみにTCホールは今いる地球から何光年も離れているので目の良い参加者でも肉眼で観測することは不可能である。

「さて、このTCホールがまともに運行していれば、我々は何の害もなく過ごすことができた。
……だが、このTCホールは周期的に暴走する時があるそうだ。
そして、その周期に入ったと同時に、宇宙のあらゆる星々に莫大な量のTCを撒き散らした」
「それが此度の『大災害』の起こりというわけですか」
「その通りだメフィラスよ。
大災害が起こった瞬間、余が所属していた絶大な国力と戦力を有していた銀河帝国も為すすべもなく一瞬で吹き飛んでしまった……」

資料映像の中で見えない力で散っていく星々。

「だが余は生き残った。
大災害が起こる寸前に、かつて滅ぼしたジェダイの騎士の図書館……その中にあった古文書に目を通していた余は急いで部下のストーム・トルーパー共を率いて帝国を脱出し、TCホールから最も離れている地球、そして偶然TCが照射された軌道から外れて生き残った日本に流れ着いたというわけだ」

そして、日本へ流れ着く過程でダース・ベイダーは実力者であり信頼できる者達、ジャック・O、ココ・ヘクマティアル、バーダック、風見幽香、美国織莉子、ビアン・ゾルダーク、デウスエクスマキナと出会い、世界を救うために奔走することになる。
余談だが、ベイダーの師匠である銀河帝国の皇帝や、他の配下には報告する時間もなかったので、彼らも死亡したと思われる。
更に余談だが、生き残ったストーム・トルーパーが後の主催モブ兵士だったりする。

「古文書ということは、ジェダイの騎士はTCホールと大災害の件を予見していたということですかね?」
「左様だ。
元ジェダイの騎士である余も知らないところからして、知っているのはごくひと握りだろうが。
しかし、ジェダイを滅ぼしたことでTCホールを知る術を失った帝国が滅び、ジェダイを裏切った余が生かされるとはなんたる皮肉か……まあ、今は関係ないが」

映像資料に解読された古文書の内容が映る。

「余が見つけた古文書にはTCホールやTCについてはもちろん、大災害についてのことも書いてあった。
……それによると、一度目の大災害は余震に過ぎないとな」
「余震!? あの威力で?!」
「恐ろしいことにそうらしい。
そして次の大災害は最初の時とは比べ物にならないくらい破壊力があり、宇宙まるごと滅ぼせるほどの量のTCがばら蒔かれるということだ。
……今度は日本も助からん。
九州ロボのような浮島を作って地震や津波は回避できようとも、TCに満遍なく汚染されるので意味はない。
TCホールをどうにかしない限り、どこにいようとも一人残らず死ぬことになる」

天才の祐一郎が予見した通り、大災害には二度目があった。
しかし、さすがの天才でも、大災害をあくまでただの天変地異だと見ていたため、浮島の機能を持った九州ロボを作れば安泰だと思い込んでいた。
もし大災害が土地を浮島にすることでなんとかなる問題だったのならば、九州ロボが開発された時点で五大幹部はカオスロワなど中止していただろう。

「だが、古のジェダイの騎士達はTCホールもとい大災害に唯一対抗できる術を古文書に遺していた。
TCホールに唯一対抗できる『テラカオス』と、そのテラカオスを作り出すための『ナノマシン』の設計図をな」

そして五大幹部はテラカオスを生み出すために、混沌の騎士や神樹が感じ取った瘴気の正体――ナノマシンを参加者の支給品の飲み水の中に混入し、テラカオス化を活性するために殺し合いを開いたというわけだ。

「それでどうやってテラカオスで世界を救おうと言うのですか?」
「人喰い歌姫や焼け野原ひろしを見ていると、ゼンッゼンッ世界を救う要素なんて微塵も感じ取れないんですが」

ベイダーの持ってきた古文書には世界を救う鍵はテラカオスであるらしいが、会場で今も暴れ虐殺を繰り広げるテラカオス・ディーヴァやテラカオス候補者を見る限り、とても世界を救うようには見えない。
果たしてどうやってテラカオスで世界を救おうというのか?

185終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:11:21 ID:FyAK8cH.0

「コーホー。テラカオスは怨念の集合体にして混沌と殺戮の神。
高い戦闘力を誇り、完全体になれば殺し合いで死んだ全ての死者の技まで使える驚異の存在。
スーパーコンピュータである京が観測した平行世界の情報でも、ほぼ全ての世界で破壊者としての顔を見せていた……
しかし、それはあくまでテラカオスの一面に過ぎず、もうひとつの特性があることを古のジェダイは知っていた。
テラカオスは言わば存在自体がバグに近い存在……最初から歪んでいるために、他の者が浴びれば有害になる高密度のTCを……唯一取り込んでエネルギーに変換できる。
ナノマシンには参加者をテラカオス化させる機能とは別に、完全なテラカオス化した者をTCホールに送り込むワープ装置が組み込まれている。
次の大災害の時にテラカオスをTCホールの目の前に送り込んで、放たれるTCを全て吸収させてしまおうというのが、我らの計画だ」

知らないものには、テラカオスのその攻撃性と死者の技を使える能力ばかり目が行くが、混沌そのものであるテラカオスならば混沌のエネルギーであるTCを吸収できる能力を有しているというのだ。
それが他期の世界ではお目見えしなかったテラカオスの隠された能力である……というより他の世界では大災害の元凶であるTCホールもない、もしくはあっても暴走する周期に入ってないので、登場しなかったのである。

そして、TCホールから放たれる有害なTCを、殺し合いで生み出したテラカオスに吸収させて大災害を防いでしまおうというのが、五大幹部の計画である。

「しかし、テラカオスでTCを吸収できるという根拠は?
ジェダイの古文書もどこまであてになるのか……」

ここでメフィラスからの質問である。
古文書がどこまで信用できるかは定かではなく、信憑性を疑問視したのだ。

「ああ、我々も最初は古文書を疑った。
そして真偽を確かめるためにある実験を行うことにした」
「実験?」
「テラカオス化ナノマシンとネズミを使った動物実験だ」


モニターに一つの動画が移される。
そこにはガラスケースに個別に詰められた三匹のネズミがいた。

『ちょっと誰かー!! ここから出してよー!!』
『助けてくださ〜い、ハムタロサァン』
『ハハッ』

一匹はテラカオス化が全く進行しない陰性のネズミ、たなチュー。
一匹はナノマシンによってテラカオス候補者になった、こうしくん。
一匹はテラカオス化させたことで耳がなくなり首から下がタコのように異形化した(ただし殺し合いを経て生み出したわけではないので戦闘力は極めて低い)、たこぶえである。

「他の二匹はともかく、最後の一匹はどう見てもD社の」
「コードネームは『たこぶえ』だ」
「しかし、どう見ても浦安市にある遊園地の」
「これはあくまで『たこぶえ』よ」
「……訴えられますよ?」
「コーホー、『たこぶえ』だと言ってるだろ!」
(つか、こうしくんはネズミじゃなくてハムスターだってことはツッコミいれた方が良いのかしら?)

「コーホー。メフィラスのせいで些か脱線したが――
「私のせい!?」
――実験の内容はビアン博士が作った擬似的なTCを発生させる装置を使い、どれだけ耐えられるかを検証したテストだ。
実際に古文書の通りに、テラカオスがTCに対抗できるかどうかを確かめるためにな」

画面の中で実験が開始され、三匹のネズミに擬似TCが照射される。

186終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:11:53 ID:FyAK8cH.0




『助けて、ピカリ――』

開始から僅か数秒で、たなチューの肉体は弾けとんで消滅した。
テラカオス化を全くできなかった陰性のたなチューの肉体は、TCにも全く耐性がなく肉体が耐えられなかったのだ。

【たなチュー@爆チュー問題 カオスロワ開始前に死亡】

『ハムタロサァン……』

続いてたなチューが消滅した一分ほど後に、こうしくんの肉体も粉々に弾けて消滅した。
彼は候補者としてテラカオスに近づいたため、普通のネズミだったたなチューと比べれば少しは持った。
それでもTCに対して完全な耐性を持っていたわけではないので、肉体が耐え切れなかったのだ。

【こうしくん@とっとこハム太郎 カオスロワ開始前に死亡】

『ハハッ♪』

そうして生き残ったただ一匹、テラカオス化したたこぶえだけが生き残った。
それどころか、粉砕した残りの二匹とは違い、明らかに元気になっており、その体はムクムクと大きくなっていた。


「これは……」
「コーホー。我々もこの実験でわかった。
古文書の有用性と、TCホールへのテラカオスの有効性をな」

TCの前にただのネズミは一瞬で、テラカオス候補者のネズミはただのネズミよりかは長く持ち、テラカオス化したネズミは耐えている。
古文書に書かれた通り、テラカオスはTCを吸収し自身のエネルギーにしていた。
この実験で古文書に偽りがないことが証明されたのだ。

「あれ? だったら曲がりなりにもテラカオスになってるこのミ……たこぶえ一匹さえいればいいんじゃ?」

かつて自称黒幕のアガサ博士が光彦をそうしたように殺し合いを介さずにテラカオスを作る裏ワザはある。
たこぶえはまさにそれだったが、ならば殺し合いを開く意味もないのでは?
というのがニャル子に浮上した疑問だった。

「曲がりなり、ではダメな理由があるのだ。
実験はこれで終わりではなく続きがある。少し早送りするぞ」


それから五分、十分とたこぶえはTCを浴び続け、大きくなっていたが……

「ハハッ……ハハハッ……ゴフッ」

唐突にたこぶえは苦しみだし、血を吐き始めた。

「なんだ!?」
「コーホー。強度が限界を迎えたのだ」
「強度、とは?」
「殺し合いという儀式を経ずに産まれたテラカオスは耐久性が低い。
TCを吸収はできるが、一定以上ため込めるだけの強度を持ち合わせていないのだ。
陰性の者や候補者に比べればマシだが、この程度では次の大災害には到底耐えられん」

『ハハッ、細切れにしてや――』

そして映像の中でTCに耐え切れなくなったたこぶえの肉体もとうとう吹き飛んだ。

【ミッキーマウ(ry…たこぶえ@駄菓子 カオスロワ開始前に死亡】



「以上が実験の結果だ。
古文書に嘘はなく、テラカオスはTCに有効であることがわかった。
……しかし、古文書には大災害に耐えられるだけの強度を持つテラカオスを作り出すには、どうしても大規模な殺し合いで参加者を戦わせるしかないともあった。
そこで我々は古文書に従い、大規模な殺し合い『カオスロワ』を開いたのだ」

ただ生み出しただけの「弱い」テラカオスではダメなのだ。
大災害に耐えられるだけの「強い」テラカオスを作り出すのは憎しみと殺意が渦巻く殺し合いしかない。
サウザーの考察通りカオスロワとは、世界を救えるだけの一番強い蟲「テラカオス」を作り出すための「蠱毒」だったのである。

187終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:12:39 ID:FyAK8cH.0

「強いテラカオスではないとダメということは、今、会場で暴れている風鳴翼……テラカオス・ディーヴァでもダメということですか?」
「ああ、あれは未完成のテラカオスだ。
実験映像のネズミよりかは持つだろうが、次の大災害はとても防ぎきれん。
完成の指標である『死者の技が使える』までは我らの目的には程遠い」

テラカオスとして新生した風鳴翼もといテラカオス・ディーヴァも参加者としては圧倒的な実力を持っているが、まだ完全なテラカオスとは言えない。
死者の技が使えるようになって初めて強いテラカオスとして完成するのだ。

「いくつか、疑問とツッコミ所があるんですが、いいですかね?」
「ニャル子よ、なんだ?」
「テラカオスが大災害を防ぐのに有用なのはよ〜くわかりやしたよ。
でも疑問その一、テラカオスがTCホールのTCを吸ってエネルギーに代えられるってことは、テラカオスがパワーアップして、こっちに襲いかかってくる可能性もあるんじゃ?
つかバラ撒いたナノマシンもどうするの? そのまま放置したら無限にテラカオスや候補者が増え続けるじゃん。
宇宙滅ぼせるだけのエネルギーを手にした敵が現れたら、どう責任とんの!?
疑問その二、なんでこんな重大な計画にユウキ=テルミとか入れちゃったの?
それから疑問その三、テラカオス以外に大災害をどうにかする方法もあるんじゃないですか?
龍が出てくる七つ玉とか、某ピンク髪の少女を白い淫獣の下に連れ出して願いを叶えてもらうとかさー。
疑問その四、真尋さんをいつ返してくれるんですか?」

ニャル子の疑問ももっともだった。
大災害の時に発せられるTCをテラカオスが吸ってパワーアップしたら、驚異が大災害からテラカオスにすげ変わるだけで意味がない。
仮にテラカオスをどうにかしても、ばら撒いたナノマシンも地上に残り続けて候補者やテラカオスを生み出し続けるだろう。
これだけ重大な計画なのにユウキ=テルミもといハザマのような裏切ることに定評がある者を多く特務機関に入れたのか。
そもそもドラゴンボールで神龍を呼び出して願いを叶えてもらうなど、カオスロワより穏便でより平和な手段は取れなかったのか?
ココの手元に囚われた真尋はいつ戻ってくるのか?
この疑問にはベイダーに代わってジャックが答える。

「それらについては私が答えよう。
とりあえず真尋はココが飽きるまで諦めろ」
「救いはないんですか!」

「最初の質問からだが、テラカオス化ナノマシンは先ほど言ったワープ機能の他に、テラカオスを自滅させる機能もついている」
「自滅? できるんですか?」
「発動条件は次の大災害をテラカオスが防ぎ切った瞬間。
その時を迎えたと同時に、全てのナノマシンにプログラミングされた自殺装置が一斉に作動し、テラカオス、その候補者、そしてナノマシンそのものが自滅することによってテラカオスが大災害以上の驚異になることを防げるんだ」
「なるへそ」

ジャックの言い分が正しければ、テラカオス関連のモノはすべからく死に絶えるので、カオスロワが終わった後までテラカオスやナノマシンに悩まされる心配はなくなるようだ。

「次の質問だがベイダー卿が言った通り、人材を選り好みできる時間がなかった。
本来は多くの拠点を建て、特務機関員も大尉や風魔、黒のようないい男……じゃなくて優秀で任務とあらば非情になれるが、絶対に裏切らない者だけで固めるつもりだった」

「ところが、カオスロワの準備を着々と進めていた我々だったが、スーパーコンピュータ「京」の計算で次の大災害が僅か数日に迫っていることを知ってしまったのだ。
もはや一刻の猶予もなかった我々は、数多く配置する予定だった全ての主催拠点の建設を中止。
特務機関員も選んでいる場合ではなく、人格に問題のあるシックスやベクター、モノクマや後のユウキ=テルミになるハザマなどを徴用するしかなかったのだ。
もうこの時点で無茶な賭けだとわかったが、時間がない以上、拠点なし問題児だらけでカオスロワを開始するしかなかった」

拠点を構えなかったのも、特務機関員に裏切り者が多いのも、全ては時間がなかったゆえの判断だった。

188終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:13:10 ID:FyAK8cH.0

「ただ、裏切者になりそうな者はなるべく最前列に配置し、使い潰すようにしていた。
実際、シックスは殺し合いをある程度かき乱して死に、モノクマは死ぬ間際に興味深いデータを残してくれた。
裏切ったサーシェス、ベクターは今も生き残って存命しているが、前者はテラカオス候補者に、後者はDMC狂信者に入ったおかげで殺し合いを助長させてくれている」

いずれも裏切ったのは死んでもいい外道ばかりだが、殺し合いにはそれなりに貢献してくれたのだ……ある一人を除いて。

「しかしユウキ=テルミ。こいつだけはイレギュラーだった。
ハザマ時代の時に拳王電車に轢かれてズガンと殺されたところはあまりにも呆気なさすぎると思ったが、裏切る前に死んでくれたのは内心安心していた……
……この時に奴に他者への憑依能力があることに気づいていれば、結果は変わったのだろうがな。
あとは二人が知ってのとおりだ。
まったく、策士が策に溺れさせられたよ……」

リサーチ不足だったのか、ユウキ=テルミに憑依能力があることを見抜けなかったジャック達は油断してしまったようだ。
死んだと思われたユウキ=テルミはストライダー飛竜の体を乗っ取って復活し、主催陣営に多大な損害を与えた。
ユウキ=テルミ一人入れなければ、少なくともデウスエクスマキナは死ななかったかもしれず、グラシエも裏切らなかっただろう。

「ああ〜、残念な主催陣営だとは思ってたけど、残念にならざる負えなかった理由もあるんですねー」
「よく上司である我々の前で残念とか言えるな、君は。
まあいい、最後の質問だが……ココ、アレはあるか?」
「ええ、持ってるわよ」

適当なテーブルの上にココはデイパックから謎の物体を取り出した。
欠けた丸い七つの石のようだが……

「なんですか、このクッソ汚い石?」
「……ドラゴンボール、その成れの果てだ」
「ほうほう、ドラゴンボールって言うんですか、へぇー?」



「なんですとーーーーーーーー!?」

思わずノリツッコミをしてしまったニャル子。
ココが取り出した七つのドラゴンボールは、ニャル子の知る神々しいオレンジ色の球体水晶ではなく、力を失った石の塊と化していた。

「我々だってコストもリスクもかかる上に大量の犠牲を強いなければいけないカオスロワを開こうなどとは思わなかった。
カオスロワ自体、当初は織莉子もキリカもビアン博士にデウス、ココや私だって反対だった。
だからカオスロワを開くと決める前に、ドラゴンボールを集めて願いを叶えてもらおうとした。
そして辛くもドラゴンボールを七つ集めた我々は、神龍を呼び出して願いを叶えてもらうことにした」

もしここで、願いが叶っていればカオスロワはもちろん次の大災害の悲劇は回避できただろう。

「神龍に『次の大災害を防いでくれ』と我々は頼んだ……そしてどうなったと思う?」

……しかし、運命はかくも残酷であった。


「願いを叶えようとした神龍の方が、バラバラに消し飛んでしまったよ。
後に残されたのは、力を失った七つ玉だけだった」
「ファッ!?」
「しかもドラゴンボールほど絶大な魔力を含めた物は、タイムふろしきのようなひみつ道具でも復活できないと来た。
こうしてドラゴンボールを使って世界を救う計画は水泡に帰した」


【神龍@ドラゴンボール カオスロワ開始前に死亡確認】
※ドラゴンボールはタイムふろしきでも復活できません

189終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:13:44 ID:FyAK8cH.0


「どうしてそんなことに……」

ドラゴンボールと言えば、屈指のチートアイテムだ。
神様の力を超える力でなければ、ほとんどどんな願いでも叶えられることができる。

「簡単なことだったのだ、大災害は神龍の力……神の力を大幅に上回っていた。
後で京で計算してみたが、恐ろしいことがわかってしまった」
「恐ろしいことってどんなことです?」
「神龍が願いを叶える力、エントロピーが1として、大災害のエントロピーが10」
「10倍!? マジすか」

大災害が全能の力を持つ神龍の10倍の力を誇る、それでもニャル子は十分驚きだったが。

「違う、話は最後まで聞け。
大災害のエントロピーは10の12乗倍、すなわち一兆倍だとわかったんだ」
「いっちょうばい!?」

大災害はドラゴンボールの力の一兆倍を持っている。
力の差はイデオンとジム並。
願いを叶えようとした瞬間、吹き飛んでしまうのも無理はない話だ。

「鹿目まどかを洗脳してインキュベーターに願いを叶えてもらうプラン(まどか魔女化の顛末を知る織莉子は猛反対していた)もあったが、これも神龍と同じくインキュベーターごと吹き飛んでしまうことがわかった」
「概念級になれる魔法少女でもダメとか……」
「それどころか、今生き残っている少女を全員魔法少女にしても足りないぐらいだ。
魔法少女だけでなく、日本に生き残っている者あらゆる力を結集させて、大災害を回避できるか「京」に計算させてみた……が、ダメだった。
大災害には足元にも及ばないと計算が出てしまったんだ」

計算の中にはハクメンやマーラ様や、フォレスト・セルなどの超理不尽級も含まれている。
それを結集させてもなお足りないことが、「京」の出した答えだった。

「ええーい、だったらこの世界自体諦めて、とっとと別の平行世界にでも逃げた方がお得じゃないですか?
そーいうことができそうなデウス隊長やビアン博士は死んじゃったけど、今生き残っている科学者系参加者や道具をかき集めれば可能じゃないですかね!」

テラカオスに頼らず、他の世界へ逃げるというもの。
この世界に見切りをつけて捨てることになるが、滅びる世界にわざわざ残ってカオスロワを開くよりは遥かに人道的で安全な策に思えた。

「残念だが、それはできない。
この世界から脱出することはできない」
「なして!?」
「TCが汚染するのは生物や物質だけじゃない。
TCは空間すらも侵しているんだ。
大災害が起こったその日から時空間が歪み、この世界からいかなる手段を用いても脱出することはできなくなっている」
「そんな! でも混沌の騎士とか、ディーとか、マーラ様とか……」
「蟻地獄と同じで入ることは簡単にできるようだがな、出ることは例え神の力をもってしても出来はしない。
更に時空が歪んだことに過去や未来へのタイムスリップも不可能になった。
大災害が起こらない過去や、大災害の余熱が覚めた未来に逃げることもできない。
織莉子のように未来予知はできるが精度も高くなく、見れるのはほんの僅か先の出来事だけだ」
「詰んでるってレベルじゃねーぞ!」

よからぬことを考えていたベクターは、世界滅亡の後にカオスの力を使ってこの世界から脱出しようと企てていたが、本人が気づいていないだけで実はそれもできないのである。
時を駆ける魔法少女である暁美ほむらが時間遡行できなくなったのも、TCが原因である。
一度、この世界と時空に入ってしまった以上、誰もこの世界から逃げることはできないのだ。

190終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:14:18 ID:FyAK8cH.0

「それだけじゃない。
あらゆる蘇生呪文が使えなくなったのは二人とも、もう知っているな?」
「ええ」
「ザオリクもサマリカームも使えなくなったアレですね、使えなくなったのは……?」
「お察しの通り、空間がTCに汚染されている結果ではないかと思われる。
古文書には書かれていなかったが、可能性は高い」

今期はサイボーグ化や強い怨念によって魂が冥界にいけなかった草加などの一部例外を除いて、死人が生き返ることは絶対にない。

「それのせいで死者復活祭りもできはしない……まあ、あんまりホイホイ生き返ってもらっても困る時はあるんですがね、せっかくのシリアスが壊れる場合があるし」
「メタ発言は自重しろニャル子。
……正直なところ、死ねるだけだったらまだいい、生き返れないのも本来は自然の摂理だ」
「ジャック、蘇生関連でも何かまだ問題があるんですか?」

ジャックは今までの中でも神妙な顔で答える。

「どうやら例の古文書によると、莫大な量のTCは肉体だけでなく……魂すら消滅させるのだ。
現世界と冥界、生ける者と死んだ者……関係なく、次の大災害で全ての魂が消滅する!」
「なん…だと……!?」
「その結果、何が起こるか?
死んだだけならまだ良かったと言えるようになる。
魂は天国か地獄に行きつき、輪廻転生でまた蘇る。
だが、魂がなくなれば輪廻転生はできず、新しい命は大災害後には芽吹かない。
それすなわち……」


「……行き着く先は世界の死、虚無だけだ」


大災害が起こればTCによって魂が消滅し、後には何も残らない。
他期には死者スレで暮らすというエンディングがあったが、それすらできないのである。


「これでわかってくれただろうか?
時間は残されていない、逃げ場はどこにもない。
全てを根絶やしにする大災害を回避するには、無茶な賭けと大量の犠牲を覚悟の上で殺し合いを開き、テラカオスを完成させてTCホールに送る以外、世界に道はないのだ」

幹部クラスの者達もやりたくてカオスロワを開いたわけではない。
時間が残されてない故に、人材と拠点に問題を残したまま、カオスロワを開くしかなかった。
どこにも逃げ場がないので、死人が大量に出るカオスロワを開くしかなかった。
他の手段もなく、他の手段を探す時間もないゆえにカオスロワを開くしかなかった。

「しかしジャック、カオスロワで大量の犠牲と損害が出て、無法な殺し合いは社会システム的にも大打撃を受けさせます!」
(私は真尋さんが生きてればなんでもいいけど)
「テラカオスを生み出さねば、どう足掻こうとも世界は滅び、やらねば全滅だ。
人口の99%が犠牲になっても残りの1%が生き残っていれば世界は存続できる、全滅するよりはマシだろう……そう思い、我々は覚悟の上でカオスロワを開いたのだ」

殺し合いは多くの悲しみや怒りを振りまく。
だが、少なくともカオスロワ10期の世界では、その悲しみと怒りこそ必要であった。
仮にカオスロワを開かなくとも、二度目の大災害で結局全ての命を奪い去ってしまうのだから。

191終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:14:48 ID:FyAK8cH.0


「わかりました……必要悪なら仕方ありませんね」
「コーホー、メフィラスよ。わかってくれたか」
「ええ、敬意に値する地球人が犠牲になることは内心快くないですが、全滅を回避するためには多少の犠牲も止むなしというところでしょうか。
もちろん、他に世界を救う穏便な手段があるなら、私は悩まずにそちらに飛びつきますが……それが見つかるまでは命の恩人であるベイダー卿に従いますよ」

迫り来る大災害に対して平和的な解決手段が見つかるまではベイダーに従う。
それがプロジェクト・テラカオスに対してメフィラスが出した結論だった。

「わ、私もココ様達の世界を救う尊き計画に賛同しますです!
……だから真尋さんを返してぇ」
「ダ〜メ、あんたは自分と真尋キュンが生き残ることだけしか考えてなさそうだから」
「ギックゥ!! ……て、真尋さんの頬にキスするなあああああ!」

ニャル子は計画については理解したが、自分と真尋優先なのは相変わらずであった。


「しかし、計画については理解できましたが、一つだけ気になることが……」
「コーホー、なんだ?」
「テラカオスに関係するかもしれない話です。
皆様は救済の予言をご存知ありませんか?」

メフィラスが言ったのは、からくりドームで命を落とす前にハラサンがイチローチームに話した救済の予言のことである。

「それは余達も聞いた」
「内容は確か、
“九人の最良の戦士たちによる儀式の完遂、全てを虜にする歌、巫女の祈り、器たりえる巨像、不屈の精神を持った勇者。
全てが揃いし時、争いの淀みから生まれた化身は救いの神に転じる”だったな……それがどうした?」
「ええ、この予言の『争いの淀みから生まれた化身』は殺し合いによって我々が生み出そうとしているテラカオスのことではないのでしょうか?」

メフィラスとニャル子は救済の予言にテラカオスとの因果関係があるのではないかと睨んでいた。
しかし……それを聞いたベイダーとジャックは苦い顔をしていた。

「確かに化身の下りはテラカオスで間違ってないように思えるが……余の持ち出したジェダイの古文書にもそんなことは書いてなかったぞ」
「内容に妄言としか取れない不明瞭なことが多すぎる。
ハラサンは九人の最良の戦士たちによる儀式を野球による試合と解釈していたが……野球で世界を救うっていうのは常識的に考えてどうなんだ?」
「それは……」

ベイダー達は予言に関して懐疑的だった。
特に『九人の最良の戦士たちによる儀式の完遂』……つまり野球チームが試合をして優勝することに関しては、意味不明としか思えなかった。
まともな人間のならこの時点で、なぜ野球なんだ? と思うだろう。
いちおう、試合が終わった会場に野球ボール状の呪印が浮かび上がる謎の怪現象が発生しているが、誰かが仕掛けたイタズラかもしれない。
実際、そういうのができそうな参加者は会場にゴマンといるのだから。

だが……

「いや、ベイダー卿、ジャック。
私が調べたところ、その予言は眉唾物じゃなさそうよ?」

ココの意見は違った。
他の四人の顔がココに向く。

192終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:15:13 ID:FyAK8cH.0

「コーホー、どういうことだ? というより、いつ調べた?」
「私も例の予言が引っかかってね。
九州ロボを出て、イチローチームと大正義巨人軍が戦ったからくりドームも調べてきたのよ」
「ただ『ヒャア我慢出来ねぇ本職だ!』だと言って商魂を抑えられずに出て行ったわけではなかったのか、コーホー」
「失礼ね! 私の本当の目的はからくりドームのリサーチよ!
じゃなきゃ、幽香やバーダックが九州ロボから出してくれないし、商売は東京なんて激戦区に出かけた理由の半分くらいしかないわよ!」
「そ、そうか……」(半分くらい……?)

ベイダーの失言(?)にプンスカしたココだったが気を取り直し、モニターを操作して全員に見せる。

「で、からくりドームを調べてみれば、面白いことがわかったのよ」
「からくりドームに何があったのですか?」
「試合が終わった会場の土には、高純度の生体マグネタイトに似たエネルギーが溜まっていたのよ」
「生体マグネタイト? って、真・女神転生の悪魔を呼び出すのにエネルギーじゃないですか」

生体マグネタイトとは悪魔を呼び出すのに必要なエネルギーで、生きとし生ける者の中にも含まれているエネルギーである。
このエネルギーに目をつけたDMC狂信者はクラウザー復活のためにビックサイトを巨大なマグネタイト収集装置に変えているほどである。
それに似たエネルギーとはどういうことだろうか?

「さらに会場を隅々まで調べたら、なんらかの術式があったわ」
「術式? どんな術式だ?」
「正直、オカルト関連は幽香の専門で、私は彼女からちょっとだけ教わった程度だから、詳しい原理とかわからないけど……
術式の形からして野球選手が試合中に放った闘気や生命エネルギーを野球場の土に吸わせて留めさせるようにしているんだと思う。
じゃなきゃ、ただ殺し合っただけではエネルギーは貯まることはありえないわ」

生前のハラサンの言っていた『魂を込めた球を投げ合い、打ち合い、捕球し、マウンドを走り回って大気に汗を振りまき。 そして敗者たち……生贄の血を大地に捧げる』とはこのことだったのか?

「このエネルギー、取り出せるのか?」
「それはダメみたいね。
術式によってエネルギーそのものは野球場から移せないようになっている。
幽香が生きていれば解除もできたかもしれないけど」

もし、術式がなければ、からくりドームのエネルギーはビックサイトもしくはディーの呼び出した龍脈の龍により、全て吸収されつくしてしまっていただろう。
それだけ特殊な術式がからくりドームに施されていた。

「コーホー、他の球場でも試合後に呪印が現れたが、からくりドームと似た術式が使われていると見るべきか?」
「たぶんね」
「しかし、なぜ野球なのだ? これがよくわからん」

ここで疑問出てくる、なぜわざわざ野球なのか?
ただの野球場に、なぜにエネルギーを貯めるような術式を作ったのか?

「その答えは簡単よ。
この世界の野球選手は強い選手が集まり易い……本当なら、野球選手じゃなくて戦士や兵士になるべき尋常じゃない戦闘力を持った者が多い」

イチローやムネリンをはじめとして、この世界の、野球選手は範馬勇次郎が雑魚に見えるほどの強者揃いである。
つまり実力はトップクラスの戦士達とも言い換えられる。

「そんな彼らが本気の殺し合い……殺人も上等のカオスロワ式野球をやったらどうなるかしらね?」
「コーホー、なるほど。
ちょっとやりあっただけで、闘気などの凄まじいエネルギーが発生しそうだな」
「誰がいつ、この術式を仕掛けたかは定かじゃないけど、そこに目をつけたんでしょうね。
さらに試合で勝ち上がった者同士が戦えば、更に高純度・高密度の生体エネルギーが手に入りそうだわ」
「九人の最良の戦士達による儀式の完遂……べらぼうに強いヤツラ同士を野球させて優勝争いさせて、エネルギーを回収しちゃおうってのが、目的なんですかね?」
「おそらく、ね。
このエネルギーをどんな形で取り出して使うかはわからないけど、争いの淀みから生まれた化身がテラカオスだと前提した場合、テラカオスに使うエネルギーだと思うわ」

救済の予言に関するココの推測は続く。

193終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:15:47 ID:FyAK8cH.0


「次に『全てを虜にする歌』。
これに関しては「京」が観測した平行世界のテラカオスの顛末にヒントらしきものが見つかったわ。
その世界のテラカオスは、私達の目指している完成したテラカオスだった」

そのテラカオスは五期のテラカオスのことである。
今期にも登場した混沌の騎士の前身でもある。

「だけど、そのテラカオスはある理由から参加者達に敗北したわ」
「理由とは?」
「端的に言えば魂の吸い込みすぎ……体内に入った大量の死者の魂を処理できず、制御できなかったのが敗因よ」

某753の言葉を引用すると、一つの肉体に幾つもの数え切れない魂に自我が耐えられるはずがない。
誕生当初は自我を含め、何も持たなかった故に無尽蔵に魂を吸収できたが、終盤にて自我が生まれてしまった故に他の魂を吸収するにはそれらの意識を時間をかけて乗っ取る必要があった。
ゆえに一度に自分の意思に相反した大量の自我が入ることには耐えられなくなったとのこと。

「自我なんてあの貧乳歌姫、バリバリ持ってるんですがそれは……」
「ええ、「京」からこれのことを知ったとき、私もちょっと不安になったわ。
彼女の思想と相反する魂なんていくらでもいるでしょうし」

このままでは今後生まれてくるテラカオスも五期と同じ道をたどるんじゃないか?
そんな不安が四人を不安にさせる。

「でもね、だったらこうすればいいのよ。
体内に入った全ての魂を従うように『虜』にさせるの」
「それで歌なのか?」
「歌の力をなめちゃいけないわ、ジャック。
違う位相の存在を現実世界に強引に引き止めたり、戦争を終わらせたり、調律して平和な世界を生み出す魔力を歌は持ってるわ」
(あ、シンフォギア、マクロス、ラーゼフォンだ)

今期でも、熱気バサラに水木一郎、クラウザー見れば歌にも力があることがわかるだろう。

「実際、DMCみたいな糞曲でも現在進行形で大量の狂信者を生み出したわ。
私は流石にクラウザーの歌は大っ嫌いだけど、あれを超えられるだけの全てを虜にできる歌があるかもしれないわ」
「歌でテラカオス内部の魂を『洗脳』して制御させてしまおうということか」
「そゆこと」

歌で魂を虜にして、全ての魂を制御下に置いてしまおう。
それがココなりの答えである。


「続いて『巫女の祈り、器たりえる巨像』。巨像については、まずこれを見て」

モニターには、今も東京の新宿にいるフォレスト・セル、今は亡きガメラやオーバーデビルも映し出されている。
どれもその気になれば世界を滅ぼせるほどの力を持った者達だ。

「実力については言わずもがな……まあ、ギャグみたいなノリで死んだ奴もいるけど、こいつらは共通点があってね。
どれもこれも制御や力の発揮には『巫女』を必要としていることね」

ココの言ったとおり、制御や隠された力を解放するには巫女に該当する者が必要なもの達ばかりだ。

「つまり、巨像に該当するものを制御できるのが巫女の祈り。
器たりえる巨像って言うからにはテラカオスをその内部に入れるんでしょうね」
「入れてどうするんだ?」
「内部にいれたテラカオスを更にパワーアップさせるのか、それかテラカオスを閉じ込めて巨像が力をつけるのか……実際にフォレスト・セルとかにそんな力があるのかわからないけど、可能性はあるわね」

巨像はテラカオスのパワードスーツ、もしくは拘束具であるかもしれないというのが、ココの考えである。


「ええと、最後は『不屈の精神を持った勇者』!」
「コーホー、うむ、これはどんなのだ?」
「それはねー……」
「「「それは?」」」

最後に上がった、不屈の精神を持った勇者、それが何を意味するのか?
その答えは……?



「正直、ワカリマセン」



その言葉が出た瞬間、ココ以外の全員が一瞬で呆れ顔になった。

194終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅②:2016/09/19(月) 00:16:12 ID:FyAK8cH.0

「いや、そんな顔しないでよ。
勇者に該当する参加者は肩書きだけでもゴマンといるし、不屈の精神を持っているヤツなんてけっこういるかもしれないし〜」
「まあ、そうだが」
「だいたい考えられる幅が広過ぎて逆に憶測も立てられないわよ、この下りだけ。
まあ、文章の最後にあるし、なんか重要なキーマンなんじゃないの?」
「適当だなオイ」

不屈の精神を持った勇者……これだけはココでも推論が立てられなかった。


「とりあえず、私の推論では
争いの淀みから生まれた化身=テラカオス
九人の最良の戦士たちによる儀式の完遂=野球チーム同士の試合で得た生命エネルギーをテラカオスに使う
全てを虜にする歌=テラカオス内部の魂を鎮め、暴走を防ぐ手段
巫女の祈り=巨像を制御する鍵
器たりえる巨像=テラカオスをパワーアップさせる、もしくは閉じ込めて制御下に置くための器
不屈の精神を持った勇者=ワカンネェ┓(´Д`)┏、たぶんキーマン
……だと思う。

そして『全てが揃いし時、争いの淀みから生まれた化身は救いの神に転じる』とあるわね。
救いの神になったテラカオス……この予言は、テラカオスを私達が完全に制御下に置く、パワーアップさせる、もしくは両方を可能にするための方法なんじゃないかしら」

ココの出した推論に他の者達はうなづく。

「ふむ、テラカオスを完全に制御下に置く。
確かに全てを虜にする歌でテラカオスの中にある魂を制御すればテラカオスも制御しても同然になるな」
「ナノマシンに自滅するプログラムがあっても、万が一作動しなかった場合の保険にもなりますね」
「コーホー、パワーアップについてもそうだ。
古文書にはテラカオスなら世界を救えるとあったが、大災害のパワーが完成したテラカオスをも上回る可能性も十分ある」
「ジェダイも滅びてるし、テラカオス救済論にも100%の信頼はおけませんからね〜。
不測の自体に備えて課金アイテムをつけるがごとく、強さには余裕を持たせるってことですかね」

あくまで憶測に過ぎないが、救済の予言がテラカオスに纏わる何かである線は濃厚だろう。

「……ただ、予言に関しては懸念もあるわ」
「なんだ?」

一方、ココには予言には期待とは別の疑問があった。

「この予言の出処がわからないのよ」
「出処?」
「いつの時代の、誰が書いたのかわからないのよ。
仮にジェダイが書いたとしら、何で予言の内容を古文書の方に記してなかったのか理由がわからないもの。
野球場の術式だって、誰が仕掛けたのか不明瞭だし」
「コーホー、確かに」

ココの言った通り、この予言を誰がどこでいつしたのかがわからない。
そこにキナ臭さを感じているのだ。

「そう来ると、この予言の中に救済って言うのも私達の望んでいる救済なのかも怪しいわね……」
「救済と見せかけて人類滅亡!
予言の内容を完遂した瞬間、みんなLCLになって、おめでとうおめでとう……なんてオチもあるということですか?」
「ニャル子の言ってる意味がわからないけど、イメージとしては概ね合ってるんじゃない?
ともかく、予言については調査する必要がありそうね……せめて出処だけでも探らないと、怖くて予言の内容を実行する気が起きないわ」

救済の予言についてはあくまで慎重な体勢であるべきというのがココからの意見であった。

ここまで生き残った主催陣営達は大災害が起きた理由とプロジェクト・テラカオスの全貌、カオスロワを開かねばならなかった理由、救済の予言に対する考察を終えた。
その結果、時刻は11時を過ぎ、今期五回目となる放送が流れたのだった……

195終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:17:30 ID:FyAK8cH.0


――追加される禁止エリアは四国です。
では、これにて放送を終了します。」

放送は終了し、自称“新”内閣総理大臣にして主催を乗っ取った安倍晋三の放送は途切れた。

「まさか安倍がガラ空きになった九州ロボを乗っ取り、放送をするとは……」
「もう九州ロボに特務機関員も残ってなかったし、誰も放送できないじゃんと思ってましたよ」
「全滅する前のモブ兵士からの通信で、ユウキ=テルミや超人血盟軍の面子とは違う、安倍が裏切ってモブを虐殺してるとは聞いてたけど、まさか主催になるとはね……」
「コーホー、あのバカめ、幽香とバーダックの死まで放送しおって!
おかげで幽香派のモブ兵士や特務機関員の士気はだだ下がり、バーダックの攻撃力がなくなったとバレた以上、また九州ロボが対主催に攻め込まれるではないか!」
「落ち着くんだ、ベイダー卿。我々にはまだダークザギがある。
しかし、クラウディウス、大尉、風魔、新城までも一辺に失ったのは耳が痛いな……」

安倍の放送に、衝撃を受ける者、マイペースな者、あくまで冷静な者、怒る者、頭を悩ます者、反応は様々であった。
と、ここで疑問が浮かんでくる。

「生き残った超人血盟軍は全員関東にいるとして、ユウキ=テルミはどこに行ったんだ?
コーホー、奴の目的は主催の乗っ取りではなかったのか?」
「安倍と手を組んでいる可能性は?」
「ベイダー卿、ジャック。どうやら違うみたいよ」
「どうしてそう言い切れる?」
「これを見て」

首を傾げるベイダーらにココはカオスロワちゃんねる掲示板のレスを見せた。
内容はついさっきの出来事のようだ。

『なんかフードつけた忍者っぽいのが誕生日パーティやってたDMC狂信者を襲撃してた件』
『こいつ見たことあるーw!
四国から放たれたビームを刀一本で弾いて大阪を守った白い侍と一緒にいたヤツじゃん』
『あの後、拳王連合軍倒しに行ったらしいから死んだと思ったが生きてたんだなヨカッタヨカッタ……でも何で数時間足らずで近畿から関東にワープしてんの?』

これは埼玉にいる、とある人物が狂信者を襲撃した瞬間を目撃した者達による書き込みである。
忍者っぽい出で立ち、大阪を守った白い侍と一緒にいた者、拳王連合軍を倒しに出かけた者……首輪を外す前の参加者の顛末なら探れる主催陣なら、それが誰かすぐにわかった。
答えはストライダー飛竜……の肉体を乗っ取ったユウキ=テルミである。

「ユウキ=テルミめ、いつの間に埼玉に……」
「九州ロボを乗っ取っても、ファクターである私がいなきゃ九州ロボは動かない。
それでも「京」のような参加者の情報を収集する機器は九州ロボとは別口だから、安心してロワを運営したいなら九州ロボ内部でふんぞり返っても良いハズよ。
運営や放送だけを安倍に任せているケースかもしれないけど、モブ兵士からの通信を見る限り、安倍はあくまでガラ空きになった九州ロボを漁夫の利的に奪っただけのように見えるわね」

実際、ユウキ=テルミと安倍の繋がりはなかった。
安倍は五大幹部も特務機関員も超人血盟軍、そしてユウキ=テルミもいなくなったのを見計らって九州ロボをハイエナ的に奪っただけである。

「コーホー、ユウキ=テルミの目的はあくまで主催への攻撃だけだったのか?」
「まあそうでしょうね、あいつ一人がいただけで、私達も超人血盟軍も大打撃を受けたわ。
おまけに安倍の介入のせいでモブ兵士もこの基地に残っている者達で全てだし、人員が減った以上、ロワの運営行動も大きく制限される……泣けてくるわよ。
ジャック、あなたの意見は?」

ユウキ=テルミの襲撃と裏切りの目的は主催陣営に打撃を与えること。
ベイダーとココの考えがまとまりかけていたが、ジャックの考えは違った。

「私は奴の目的は攻撃だけではないと思う」
「どういうことなの?」
「ただの襲撃だったら、超人血盟軍の面子に任せればいい。
ユウキ=テルミ無しでも戦力的にはかなりのものだし、こちらに少なくない痛手は負わせられる。
それに対してわざわざ死地に飛び込んでいくのはリスクがでかすぎる。
確かにヤツは強いが、よほどの物好きか戦闘好きでもなければ、九州ロボ襲撃に参加するメリットは薄い。
しかし、だ。
ある仮定をつければ合点がいく」

196終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:18:11 ID:FyAK8cH.0

ジャックの考えるユウキ=テルミが襲撃に加担した理由とは?

「ユウキ=テルミは、テラカオスや大災害の謎を知っているのではないか?
そしてテラカオスの独占を狙っている」
「「「「!?」」」」
「ヤツは主催にただ打撃を与えに来たのではなく、自分の手でテラカオスを知っている者……すなわち我々五大幹部とデウスら上層部の者を自らの手で殺害しようと考えた。
さすれば、テラカオスを知る者や制御できる者は奴だけになり、独占も可能になる」
「まさか関東に来たのも我々を抹殺するために追ってきたというのか?」
「仮定の話だからなんとも言えんが、可能性はある」

ジャックは九州ロボと化した九州の地図を見る。

「襲撃による破壊は人物相手とは限らん。
テラカオスの情報に纏わる施設も破壊したに違いない」
「超人血盟軍や安倍に知られる前にデータ系施設もやられたと見るべきか」
「いや、それだけではない」
「なに?」

ジャックはメフィラスを見やる。

「メフィラス、知能指数一万を超える君に聞く。大正義巨人軍の出身地はどこだ?」
「たしか、宮崎県ですね」
「その大正義巨人軍関連の施設に遺跡はあるか?」
「遺跡……確か、キャンプ地の近くに……ハッ!」

質問に答えていたメフィラス星人は、ここであることに気づき、ジャックがそれを代弁する。

「そう……大正義巨人軍は救済の予言を掲げていたハラサンが所属していた。
大正義巨人軍の出身地は宮崎。宮崎は九州ロボを構成するパーツの一つ。
そして、キャンプ地の近くにある遺跡……ハラサンが現役時代に一度も入らないとは思えない」

ここまできて、他の三人もジャックが何を考えているのか理解した。

「ハラサンは現役時代にとある遺跡で救済の予言を見たと言っていた。
その遺跡がキャンプ地の近くにある遺跡なのだろう」
「ジャック、あなたはユウキ=テルミがテラカオスのみならず、救済の予言について知ってると見ているのですか?」
「ああ。
そして、私がもしテラカオスの独占を狙うなら、戦闘によるリスクは覚悟の上で九州ロボに潜入し、この遺跡は破壊する。誰かに知られる前にな!」

ジャックの推理は、概ね当たっていた。
ユウキ=テルミは少なくともテラカオスのことは確実に知っている。
そして他の誰にもバレないように救済の予言が記されている遺跡を破壊した。

「だが、ユウキ=テルミが救済の予言について何か知っているようなら、ある意味チャンスとも言える」
「現状では推測の域を出ない救済の予言の真の意味も、奴を捕まえれば知ることができますね」
「知らなかった場合はどうするんです?」
「ニャル子、その時は殺せばいい。裏切りの代価は命で払ってもらおう」

197終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:18:47 ID:FyAK8cH.0

ジャックはユウキ=テルミに対して、不透明すぎる救済の予言に対する情報を持っていると睨んでいた。

そして、五人はこれからについて話し合う。

「コーホー。さて、少ない人数と限られた時間でこれからどうするか」
「まず、安倍からの九州ロボの奪還は必須ね。
ファクターがいないとマキナは動かないとはいえ、好き勝手されるのは良くないわ。
安倍は殺し合いが大災害を防ぐためにやってるなんて知らないだろうし、余計なことをされると面倒になる」
「できれば救済の予言についても調査したい。
予言が計画にとって有益になるなら実行し、害になるようなら阻止せねばなるまい」
「何らかの目的を持って動いているユウキ=テルミも捕縛、できなければ抹殺したいところですね」
「ありゃりゃ、やることは山積みですねえ」

九州ロボ奪還、予言の調査、ユウキ=テルミの対処。
生き残った対主催陣営はこれらをこなさねばならなかった。

「では、役割を分担しよう。
九州ロボ奪還チームと本州へ出向き、ユウキ=テルミを追跡するチームに別れる。
予言の調査は奪還チームは例の宮崎の遺跡で調べ、追跡チームはユウキ=テルミや予言を知っていると思われる対主催に潜入して調査してくれ。
振り分けは奪還チームは私とココ、メフィラスと飛影。
追跡チームはベイダー卿とニャル子がいいだろう」
「「ちょっと待ったー!」」

ジャックの提案した役割分担について不服を申し付けたのはベイダーとニャル子である。

「なんだ不服か?
九州ロボの奪還はせねばなるまいし、かと言って全員で奪還作戦にいくと奪還するまでユウキ=テルミが野放しになるし、予言を探れる時間もなくなるぞ」
「そうではない。なんで余がユウキ=テルミを倒しにいくんだ?」
「私もユウキ=テルミと戦うんですか? ダークザギも無しで!」
「この役割分担には理由がある。
私の戦闘力はロボット兵器のACに依存している以上、ユウキ=テルミと戦闘になった際に巨大なACは目立ちすぎ、対主催やマーダーに付け狙わる。
九州ロボをやられない限り不死身のココも、直接戦闘はもってのほか。
だが君らは生身での戦闘は強く、フォースの力で参加者を洗脳できる力も持っている」
「しかし……潜入もクソも、放送で余の顔は参加者中に知れ渡ってるぞ。
関東を歩き回ってたら狙われてユウキ=テルミどころではなくなる。
それにあまり自分で言いたくはないが、余はユウキ=テルミよりは弱い。
奴の力の前では、ライトセーバーとフォースだけでは無理だ。
フォースに関しても第一回放送の時に野田を洗脳しきれず『10/.』の名前を入れ忘れさせるほど衰えている。
コーホー、余は老いぼれ過ぎているのだ……」

ベイダーは今までの放送で顔を知られ過ぎている。フォースである程度は参加者を洗脳できるとはいえ限界もあり、多くの参加者からは間違いなく命を狙われる。
実力に関しても理不尽級であるユウキ=テルミ相手に比べれば明らかに不足だ。
その事実がベイダー卿の自信を削いでいた。

「フフーフ♪
姿に問題があるんだったら変えればいい。老いぼれてたら若返ればいいのよ」
「は?」

そんなベイダーに不敵に微笑むはココ。
彼女はディパックから一枚の奇妙な「風呂敷」を取り出し、そして。

「えい!」
「お、おいココ何を!
……うおおおおおおおおおおおおお!!」

ココを風呂敷をベイダーに覆い被せた。
風呂敷の中からベイダーの悲鳴と、彼の肉体を補助していたサイボーグのパーツが次々と床に落ちていく。

198終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:19:19 ID:FyAK8cH.0

「コ、ココ嬢! ベイダー卿に何を……」
「慌てないでメフィラス。
これは『タイムふろしき』、包んだものを若返らせたり老いさせたりできる代物よ」

タイムふろしき。驚異のテクノロジーをもつ22世紀のひみつ道具である。
ちなみになのは組もタイムふろしきを持っているが、参加者の支給品の振り分けを担当したココはタイムふろしきの有用性に気づき、同じ道具を持っていたのだ。

「そろそろ良いわね」

最後に風呂敷の中からダース・ベイダーを象徴する黒いヘルメットとマスクが落ちた。
それを見計らって、ココは風呂敷を外す。

「おお……これは……」
「浪川ボイスが似合いそうなイケメン!」
「ウホッ、いい男!」

中から現れたのは一人の裸の美青年であった。

「……まさか、余がこんな形でピーク時の姿と力を取り戻すとはな」

周囲は驚いていたが、一番驚いていたのはダース・ベイダー本人かもしれない。
……否、厳密には今の彼は『ダース・ベイダー』ではない。
ピーク時の時の姿と力を取り戻した男、その名も……



「『余』は……いや、『僕』は、アナキン・スカイウォーカーだ!」


【ダース・ベイダー@STAR WARS 消滅】
【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS 新生】

199終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:19:48 ID:FyAK8cH.0


ベイダー改め、アナキン。
ベイダーの時は発さなかったフランクな言葉使いでココに言う。

「なるほどね。若返れば力も蘇るし、姿も変えられるわけだ」
「ええ、あなたの若い時の姿はリストにも載ってないし、参加者はもちろん初見では特務機関員でも気づくことはないと思うわ」
「これで本州への潜入ができるというわけだね」

姿に関しては狸組が奪った主催陣営へのリストにも載ってない。
これで素性をバレずに対主催などに潜入ができる。
そして、体内に宿すフォースの力も全盛期(エピソードⅢ)の頃まで蘇っていた。
その差はベイダー時の30倍である。
これでフォースに耐性のない相手ならチート級までは対処できるようになった。


「……潜入に関する問題はクリアした。
だけど、奴相手にはまだまだ力が足りないな」

だが、ユウキ=テルミはゆで超人を不意打ちとはいえ一撃で倒せる理不尽級。
彼を相手にするには全盛期の力を取り戻しただけではダメだった。
老いてた時よりはマシとはいえ、このままでは勝てないと痛感するアナキン。

「フフーフ。ベイダー卿。
奥の手はそれだけじゃないわ。はい、これ」
「!? これは大災害で紛失したと思っていた……どこにあったんだ?」
「伊豆大島基地を建設している時に偶然、モブ兵士が見つけたの。
その二つの剣はあなたにしか使いこなせないわ」

ココの手から託されたのは、赤く禍々しいデザインの剣と白く神々しいデザインの剣。
それを見て驚くアナキンは二つの剣を両の手に持つ。

剣の名は邪剣ソウルエッジと聖剣ソウルキャリバー。
かつてある別次元での戦いでアナキンが死闘の末に勝ち取った、絶大な魔力を秘めた魔剣である。

そして二つの魔剣が主であるアナキンの手に収まった瞬間。
凄まじい魔力が解放し、フロアの中に突風にも似たフォースが吹き荒れる。
アナキンのフォースが魔剣によって増幅されて5倍・10倍・15倍と何倍にも膨れ上がる。
アナキンのパワーが一気に理不尽級まで底上げされた。

「凄まじいパワーだ!
これならユウキ=テルミにも勝てるかもしれない」

パワーだけではない。
ソウルエッジには斬った相手の魂を喰らう能力がある。
ユウキ=テルミの驚異の憑依能力を封じることができるだろう。

ついでに、いい加減ずっと全裸だと締りが悪いのでココが持ってきたジェダイ風の服を着た。
ジャックにも服を着せた。

200終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:20:59 ID:FyAK8cH.0


「ベイダー卿、これで潜入と戦闘の問題は解決できたな」
「おかげで何とかなりそうだ」
「しかし、油断はするな。ユウキ=テルミはまだ奥の手を隠しているかもしれない。
奴と戦う際はできるだけ戦力はより多い方が良い」
「ならどうすればいい?」
「対主催を味方につけるんだ。その時はニャル子を使え。
彼女はなのは組のハス太と親交があり、パイプを作れる。
それ以外の対主催、イチローチームや聖帝軍相手には君は特務機関員を捕まえたとして、ニャル子を引き渡すといい。主催の手先を捕まえた功績という形でパイプを作って対主催チームに潜り込むんだ」
(え? てことは私はただのダシ?)
「もちろん潜入するからには君がダース・ベイダーという素性がバレないように注意してくれよ」
「わかっている。予言について何かわかったら連絡する」

更なる戦力増強のために対主催チームに潜り込むことを推められて、ジャックの意見を肯定するアナキンと、反対に自分の扱いに「解せぬ」顔のニャル子。
そんなニャル子にココは釘を刺しておく。

「ところで、ニャル子」
「な、なんですかココさん」
「ベイダー卿や私達を裏切ったりしないでね?」
「な、何を言いいがかりを……世界を救おうとしているあなた様方達を私が裏切るわけないじゃないですか、ハハハ」

そう言うニャル子の目の泳いでいた。
散々ココに痛めつけるられてもまったく懲りず、隙あらば、故あれば、対主催に寝返る気であったに違いない。

「特務機関員の情報を流したり、自分は主催に脅されて仕方なく手先になっていたと言いはる分にはまだいいわよ。
どうせ生き残っている特務機関員は裏切り者を除くと僅かしかいないし、どうせ九州ロボ経由でデータを盗んだ者やベクター経由で結局知れ渡る。
ただし、アナキンのことをベイダー卿とバラしたり、この伊豆大島基地の所在やプロジェクト・テラカオスのことを明かしたら承知しないからね!
そして裏切ったその時は……」
「真尋さん! 真尋さんをどうするつもりですか!?」

ここで懐から真尋人形を取り出し、焦るニャル子に対してココは裏切り防止のための脅しを仕掛ける。

「真尋キュンを愛でる。 超 愛 で る !
真尋キュンとムンムンガルドして私の虜にしてあげるわ!」
「嫌ああああああ!! NTRいやあああああああああああ!!」

真尋のNTRは、ニャル子にとって自分が殺される以上の恐怖であった。
これにてニャル子は五大幹部(特にココ)には逆らえなくなってしまった。

ニャル子とココとの茶番劇を横目で見つつ、メフィラスは言う。


「……ココ嬢ってあんなキャラでしたっけ?」

少なくとも九州ロボから東京へ出かけるまでは冷徹怜悧な印象のキャラだったが、ここにきてショタコンの一面を見せつけるなどのキャラ崩壊っぷりにメフィラスは戸惑っていた。

「彼女は僕と出会う前……大災害の前は、ショタコンじゃなかったらしい」
「というと?」
「ショタコンになったのは、彼女にとってかけがえのない部下や恋人同然の少年を大災害で失ったことが理由なんだ」

ココにはバルメやレームといった信頼のおける部下と、可愛がっていた少年兵のヨナがいた。
しかし、大災害によって皆行方知れずになってしまった。
最後の陸地である日本にはいなかったので生存は絶望的である。
特にヨナを失ったことは大きく、以来彼女はヨナがいなくなった穴を塞ぐように可愛い男児には目がないショタコンになってしまったそうだ。

「ココは大災害を憎んでいる。
殺し合いを開いた汚名を背負うことや自分の命を失うのも覚悟の上で、彼女は何が何でもプロジェクト・テラカオスの完遂を……大災害への復讐を果たそうとしているんだ」
「……よくわかりました」
「ココの気持ちは僕もよくわかる。
僕もパドメとシミ……妻と母親を失ってるからね」
「アナキン……」

アナキンもココとは事情が違うとはいえ、愛する妻と母を失っている。
ココにライトセーバーの使い方を教えたのも、大切な者を失った彼女に自分を重ねていたのかもしれない。

「メフィラス、僕らはさっきの説明でTCは死者の魂すら壊すと言ったな?」
「ええ」
「冥界には僕の妻と母親、息子のルークがいる。
そしてココの部下や少年兵がいる可能性もある。
もし、次の大災害が阻止できなかったら、冥界にある魂も全て消失する」
「!」
「それは単なる死より惨い。
僕はバーダックに息子の死は覚悟していたと言った、けど、魂や存在そのもの消滅は許容できない。
既に死んでいたパドメや母さんについても同様だ」

201終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:23:13 ID:FyAK8cH.0

アナキン達の戦いは今、生きている者の生存を守るためだけではなく、過去に死んだ者の魂を守るための戦いであった。

「ライトサイドに帰還したつもりはないし、ヒーローを気取るつもりはないが、これだけは君に言っておくよ。
僕らは生者死者合わせた世界の全てを守るために戦っているんだと」





しばらくして、アナキン達はモニタールームを出て格納庫へ向かう。
そこにはヒトマキナやMS、TIEファイターなどの機動兵器に混じって一機だけX状の特徴的な戦闘機が混じっていた。

「Xウィングか、まさか僕がこれに乗るとはね」

参加者に交じるために偽装用の首輪をつけたアナキンは感慨深く言う。
自分の所属していた帝国軍の敵対組織である同盟軍の主力戦闘機に自分が乗れるとは思っていなかったのだ。
アナキンとニャル子はこれで海を渡るようにココに言われた。

「ココさん、いや、ココ様。
これから潜入作戦に参加するでありますが、せめて怪我の治癒ぐらいさせてもらいませんかね?」

ニャル子はようやく石抱から解放されたが、拷問によって受けた傷で体はボロボロだった。

「馬鹿ね。
あんたはアナキンに戦闘で負けて捕まっている設定なんだから、無傷でいたら怪しまれるでしょう。却下よ却下」
「そんなぁ!」

ボロボロのニャル子に対するココの返答はかくも非情であった。


「ジャック、ココ、時間が惜しい。そろそろ出発するぞ。
メフィラスと飛影は二人を守れ。
ニャル子! 遊んでないでさっさと来るんだ」

アナキンはXウィングのコクピットに入る。なお、コクピットは一人乗りなのでニャル子はアナキンのディパックに入ってスペースを節約した。

「この伊豆大島基地は九州ロボが制圧された際の予備の基地に過ぎないし、兵力は一個大隊程度しかないわ。
安倍の実力も未知数だし、少々戦力としては心許ない。
だから、私達は本州で生き残っている特務機関員をできるだけかき集めてから九州ロボに攻め入るわ」
「もっともベクターとサーシェスは除外。
他の生き残っている特務機関員も、先の九州ロボ陥落を見て多くが招集に応じない可能性が高いが……できるだけやってみる」

ジャック達は少しでも戦力を増強するために、生き残っている特務機関員を可能な限りかき集めてから九州ロボ奪還作戦を開始するようだ。

「それからベイダー卿、これも持って行ってくれ」

ジャックはアナキンに一つのカプセルを手渡した。

「これは……風鳴翼の……?」
「四条化細胞入りカプセルだ。
何らかの事情で殺し合いが停滞して、テラカオスをつくりづらくなった時はそれを使ってくれ」

そのカプセルには体内に含んだ者を食人鬼に変え、本来ならテラカオス候補者にもなれない者を候補者に、しかもテラカオスにもっとも近い状態に作り出すことができる、このカオスロワで偶然の産まれた四条化細胞が詰まっている。
本来の予定では風鳴翼を倒した者にこれを飲ませて候補者にする予定だったが、九州ロボを奪われた現状ではそれはできない。
よって、ジャックは会場に直接出向くことになるアナキンに渡した方が有用だと思ったのだ。

「君のような良い男には生きてもらいたい。是非、生きて帰ってきてくれ」
「気色悪いぞジャック……なんだか尻が寒くなる。
だが、そっちも九州ロボを奪還して生き延びてくれよ」

そしてジャック、ココ、メフィラスに見送られ、Xウィングは格納庫から飛び立った。


(さて、どこへ行こうか?)

東京へ向かうアナキンはコクピットの中で考える。
予言の調査やユウキ=テルミを討伐するためにもまずは対主催組織に合流する必要がある。
候補はなのは組、都庁同盟軍、イチローチーム、狸組、聖帝軍。
拳王連合軍やホワイトベース組は遠く離れた関西にいるので候補から除外。

202終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:24:14 ID:FyAK8cH.0

なのは組はニャル子と交流のあるハス太がいるため、潜入はしやすそうだ。
しかし、危険集団である天魔王軍に追われている。
どうやら支給品で次の大災害が起こることは知っているようだが、大災害が起きる理由や予言のことは知らないようだ。

都庁同盟軍は多くの魔物達を始め、魔王に勇者、影薄組に歌組などの強者対主催
が結集している。
二回に渡るDMC狂信者の襲来で大きな打撃を受けたようだが、それでも強者揃いであることには変わりない。
予言の中にある巨像候補であるフォレスト・セルもあそこにはある。
しかし、第五回放送を迎える前に首輪を外してしまったので監視ができなくなってしまい、予言についてどこまで知ってるかも不透明だ。
さらに多くの参加者から危険集団だと誤解されているので、安易に入ると対主催同士の潰しあいに巻き込まれる危険がある。

イチローチームはもっとも早く、予言のことを知った対主催組織だ。
チームも拳王連合軍に負けないほど理不尽級の強さを持つものが多く、戦闘力の高いドラゴンズとも同盟を組んでいる。
しかし、彼らはテラカオス候補者と化したサーシェスに追われている。

狸組の天才であるブリーフ博士の知恵があれば、予言の謎を究明できるかもしれない。
ただし、彼のもたらした技術が都庁同盟軍の首輪を外してしまい、殺し合いの停滞に一役買ってしまっている。
いずれはナノマシンについても解析されカオスロワそのものができなくなる危険が有る。
今後を考えると接触より潰すことを念頭に入れた方が良い集団かもしれない。

聖帝軍。最初はパッとしなかったが、ここ最近でDMC狂信者の襲撃をほぼ無傷で撃退し巨大ロボまで手にれたターバンども。
何げにDMC狂信者以外の敵対勢力がなく、今のところ対主催同士の潰しあいもしていない集団。
……が、リーダーのサウザーから残念なオーラが出ており、今のところ順風満帆なのが逆に嫌な予感しかしない。
戦闘力はターバンを含めても高い方だが、理不尽級のユウキ=テルミまで相手にできるかは正直微妙である。

どこに接触するべきか悩むアナキン。
この世界に残された時間もない以上、コンタクトは慎重に選ばなくてはならない。
アナキンの目線の先の東京の街はすぐそこであった。



【プロジェクト・テラカオス簡単まとめ】
○大災害の原因はTCホールから放出されたエネルギー『TC』であり、二度目の大災害が迫っている(スパコン京によると、ロワ開始より四日目を迎える前に世界が滅ぶ)
○次の大災害を防ぐには完成したテラカオスにTCを吸収させるしかない。byジェダイの古文書
 なお、テラカオスと候補者とナノマシンは世界を救う目的達成後に消滅する
○時空間をTCに汚染されているので、この世界から逃げたり、タイムスリップしたりはできません
 ドラゴンボールもダメでした
○死者が生き返れないのもTCのせい?(ただし、悪魔将軍の狙っている『あやつ』の手によるものかもしれず、間違いの可能性もある)

○救済の予言は、テラカオスの制御もしくはパワーアップさせる手段ではないか、というのが五大幹部の結論

○10/.が放送で呼ばれなかったのは、ただのベイダー卿(アナキン)のミス。

203終わる世界の真相 ついでにベイダー卿の消滅③:2016/09/19(月) 00:24:41 ID:FyAK8cH.0
【二日目・11時30分/東京都・伊豆諸島基地】

【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
【状態】若返り、ジェダイ風衣装、首輪(偽装)
【装備】邪剣ソウルエッジ&聖剣ソウルキャリバー@ソウルキャリバーシリーズ
【道具】支給品一式、四条化細胞入りカプセル、Xウィング・ファイター@STAR WARS、ライトセーバー@STAR WARS
【思考】基本:世界を救うためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:どこかの対主催勢力と合流し予言の調査及びユウキ=テルミの討伐
1:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは消す
2:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
3:ユウキ=テルミを殺す前に、テラカオスや救済の予言について知っているなら吐かせる
4:いざという時は四条化カプセルで新たなテラカオスを作る
※タイムふろしきで若返ったのでピーク時の姿と力を取り戻しました


【ニャル子@這い寄れ!ニャル子さん】
【状態】ダメージ(中)、主催への恐れ
【装備】名状しがたいバールのようなもの、冒涜的な手榴弾
【道具】支給品一式、、シャンタッ君
【思考】
基本:世界滅亡を防ぎ、真尋さんとの生活を取り戻す
0:とにかく真尋さんだけは必ず守る
1:(下手な真似すると真尋さんがやばいので)アナキン達と共にユウキ=テルミ討伐兼予言の調査を手伝う
2:ハスター君達のグループに紛れたいけど……
3:いざとなれば救済の予言の完遂に協力する、主催なんぞ知ったこっちゃない(と思ってたのに!)
4:ココさん、真尋さんを返してください!!
※特務機関員で主催への忠誠心は限りなくゼロですが、ココへの恐怖と真尋をNTRされる恐怖は100%です
※ダークスパークをはじめ、盗んだ不明支給品×複数は全部ココに没収されました
※プロジェクト・テラカオスの全貌を知りました



【ジャック・O@ARMORED CORE LAST RAVEN】
【状態】リンクスに改造
【装備】フォックスアイ(ネクストに魔改造)@ARMORED CORE、拳銃
【道具】ヒトマキナ・MS・TIEファイター×100
【思考】基本:世界滅亡を阻止するためにテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:残りの特務機関員を招集し、九州ロボを安倍の手から取り戻す
1:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは抹殺する
2:四条化細胞に多大なる期待
3:九州ロボを奪還次第、宮崎にある遺跡を調べる


【ココ・ヘクマティアル@ヨルムンガンド】
【状態】健康、九州ロボのファクター、ショタコン
【装備】ライトセーバー@STAR WARS、拳銃
【道具】商品(兵器)、、ダークスパーク@ウルトラマンギン、スパークドールズ(ダークザギ)、スパークドールズ(八坂真尋)、モブ兵士×1000、主催倉庫から持ち出した無数の支給品、カプセルサイズのASO-3、力を失ったドラゴンボール
【思考】基本:ヨナ達を奪った大災害を防ぐべくテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:残りの特務機関員を集め、九州ロボを安倍の手から取り戻す
1:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは撃つ
2:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
3:織莉子、キリカ、ごめんなさい……
4:真尋キュンprpr(テラカオスを完成させるまではニャル子に返さない)
※スパークドールズ化した八坂真尋を戻すには、ダークスパークもしくはギンガスパークが必要です


【メフィラス星人@ウルトラマン】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品、ラッキョウ
【思考】
基本:アナキン達に従い、世界滅亡を防ぐ
0:ジャック達と共に安倍の手から九州ロボを取り返す
1:尊い地球人が死ぬのは不本意だが、全滅回避のために多少の犠牲は止むなしと考えている
2:アナキン達の計画で本当に世界を救えるのか見極める
3:救済の予言、果たして本当なのですかね?
4:なるべく暴力は使いたくない
※特務機関員です
※プロジェクト・テラカオスの全貌を知りました


【飛影@忍者戦士飛影】
【状態】正常
【装備】武装一式
【道具】なし
【思考】
基本:主催陣営の命令に従う
1:待機する
2:ランカ殺すべし、慈悲はない
※支給品なので首輪はありません
※合身すると何故か忍殺語になる時があります。
※裏切者を感知すると自動で攻撃するようプログラムされています

204Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:13:27 ID:5Bd468yc0
東京のどこか……というか八王子にてバドとカイザは襲いかかってきたディケイドカイザを難なく撃破した。

「馬鹿なああああああ!!」
「二つの王の力を持つ俺に勝てるわけがないだろ」
『紛い物が本家に勝てるわけないんだよなあ……』

バドの姿をよく見るとジュウオウバードのスーツの上から黄色と黒のパーカーベストを上から纏っていた。
戦闘中にゴーストドライバーと草加雅人眼魂を使ってジュウオウバードクサカゴーストに変身したのだ。
その結果、戦闘力が単純計算で二倍以上になり、カイザとシザリガーを押していく。
何よりカイザの癖を知っており、中の人の関係でザリガニの生体に詳しい草加のフォローによって敵の攻撃は尽く弾かれ、最後はゴルドスマッシュを喰らって爆発四散するのだった。

【仮面ライダーカイザ@仮面ライダーディケイド 死亡確認】



カイザを撃破したバドは惨劇の場所となったパーティー会場を見回す。
そこにさっきまで戦っていたシザリガーがいない。

『バド、さっきのザリガニはどこにいった?』
「俺たちに勝てないと思って逃げたんだろう」
『俺たちに歯向かった罰として今すぐ殺してやりたいところだが……』
「祝い手も皆殺しにされた以上、このパーティー会場にも用はない。すぐに追いかけるぞ」

自分たちに歯向かった罰としてすぐにでも追いかけようとするバド及び草加。
だがその時、たまたま足元に転がっていたリモコンのスイッチが入ってしまった。
TVがついて一瞬驚くバド。

「なんだ?」
『落ち着け、テレビの電源が入っただけだ、そんなことよりも早く敵を追いかけ……ん?』

画面をよく見るとついさっき殺された自分似のイケメンもといIT社長ウエムラの顔があった。
そして、画面の中のウエムラは筆談で語りだす。

『この映像を見ているということは私が死んだということらしい。
もしこの場に生存者がいるなら、是非聞いていって欲しい。
頭がおかしいと思われるかもしれないが、戯言やジョークなんかじゃない本当のことなんだ。



――大災害は自然災害で起きたものじゃない。
人為的なものなんだ。
何より私はあの大災害の原因になった事件の現場……そのすぐ近くに居合わせていたんだ』
『「なに?」』

映像の中のウエムラは大災害の起こりを知っていると語る。
その言葉にはバドも草加も聞き耳を立てざるおえなくなる。
バドとしては単なる自然災害だと思っていた大災害が人の手によるものだと言う話には興味があったし、草加としては自分の死と真理と離れ離れになった原因である大災害を起こした元凶には憤りを感じていた。

そして二人はウエムラのビデオレターを視聴することに決めた。
シザリガーは放置で良いのかって?
あんなのはいつでも殺せるので無視することにした。
これも乾巧って奴の仕業なんだ。

 ◆

205Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:14:10 ID:5Bd468yc0
 ◆

その日、IT社長である私はニルヴァーナという土地に足を運んでいた。
ここは簡単に言えばあらゆる分野の研究がなされている巨大な科学都市であり、ネットナビを生みだした祐一郎氏などの天才も生みだしたアカデミーもある。
最近ではサーフ氏麻雀の強さを戦闘力に変換する技術を生み出して女子高生への痴漢対策に大きく貢献したことが有名か。
ともかく私は営業のためにその土地へ向かったんだ。

事件が起きたのはその夜だった。
突如、ニルヴァーナが何者かの襲撃を受けた。
襲撃者は僅か数名だったらしいがかなりの力をもっているらしく、ニルヴァーナの防衛隊は壊滅的な損害を受けたらしい。
私も社員と共に避難しようとしたが途中で道に迷ってしまった……


そして、私は見たんだ。
大爆発音と共にニルヴァーナのある施設から膨大な光が天に向かって伸びていくのを……


更にその直後に、一人の超人がこちらに向かってズタズタになって飛んできた。
超人の名前はストロング・ザ・武道、彼こそニルヴァーナを襲撃した者の一味だったのだ。

だが、彼はこちらに危害を加えようとはしなかった。
ただ諦めたように「もう世界は終わりだ」と言っていた。


恐る恐る話を伺うと、ニルヴァーナの一部には人体実験など禁忌に触れるようなことを裏で行っていたのだという。

そしてこの世界のあらゆる者に影響を与えるエネルギー「蒼」、そのエネルギーの源泉を手に入れようとした悪しき者がいて、そいつを討伐するために最強クラスの超人や宇宙人が向かったらしい。
だが寸前で阻止に失敗し、蒼の源泉の暴走を招く事態に繋がってしまった……


ちなみに蒼や源泉については本来はひと握りの神とか、それに準ずる存在しか知り得ない情報らしい。
トップシークレット中のトップシークレットで本当に選ばれた存在しか知ってはならない代物。
にも関わらずに彼はただの人間である私に話してくれた。
……親切心からじゃない、むしろ彼は近々無量大数軍を率いて人類の味方である正義超人をも粛清しようとしていたと言っていた。
今までなら知ってしまった人間は良くて蒼の記憶の完全抹消、場合によっては殺害していたらしいが、全ての終わりが近いからこそ、蟻にも等しい存在に独り言のように声をかけているんだ。

蒼の暴走は宇宙の終焉。
源泉の暴走は本来は数十億年先の話、それだけの余裕があれば別の世界へ移住するなり対処する方法はいくらでもあった。
ところが何者かが強引に源泉を暴走させて、滅びを予定よりも早く手繰り寄せてしまった。
じゃあ我々はどうすればいいんだという問いかけに対し、ストロング・ザ・武道はこう答えた。


「こうなれば『聖別』しかあるまい。
聖別によって生まれた『争いの淀みから生まれた化身』テラカオスならば、事態を収集できる。
ただしこれは全ての者を救うことはできない上に極めて部の悪すぎる賭けだ。
しかも、テラカオスが持つ三千世界をも手に出来る真の性質を知ったが最後、生存のための戦いから欲望剥き出しのテラカオス争奪戦が始まる。
蒼による自然死を是とした古代グンマーのエゴと、生き延びるために蒼の力を我が物にしようとした古代ミヤザキのエゴが噛み合わずに互いを滅ぼしあったように、人間は決して分かり合えない。
そうなれば世界は蒼に飲み込まれて『滅日』を迎えるか、テラカオスに飲み込まれて滅ぶかの二つしかなくなる」と……

それだけ言うと武道は彼を追ってきた黒い悪魔とそいつの連れているサボテンみたいな化物――おそらく、この事件の元凶になった存在に向かっていった。

ストロング・ザ・武道は確かに強かった。
だが悪魔と怪物は武道に対して何らかの対策を取っていたようで、武道のプロレス技の大半が無効化され、ニルヴァーナの科学の力で生みだしたと言っていたカピラリア七光線(昔見た、キン肉マンも参加した王位継承サバイバル・マッチでプリズマンが使ってた覚えがある)を発射する装置でダメージを与えていった。
それでも武道は光線から逃げずに施設に特攻し、自分の命と引き換えに例の光を放っていた施設を破壊した。

この直後、世界で大災害が発生した。
悪魔と怪物はニルヴァーナごと地割れに飲み込まれるのを見たが、私は命からがら生き残り救助された。
武道が施設を破壊しなければ甚大な被害を出した大災害がもっとひどいものになり、私を含むもっと多くの死者を出していただろう。


更に人口削減という名目でだが、世界で最後に残った日本で殺し合いが発生した。
そこで私は荒唐無稽な話だと思っていた武道の話が真実みを帯び、大災害とは「蒼」が世界に降り注いで起こった災害であり、聖別とは世界を救えるらしいテラカオスを生み出すための殺し合いであると理解した……

 ◆

206Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:14:48 ID:5Bd468yc0

「俄かには信じがたいが……」
『たしかテルミの奴が蒼だのなんだの言ってた気がする。奴は大災害について知っている風だった』
「嘘ではないかもしれない……ということか」
『……もし本当なら大災害の元凶になった奴をこの手で殺して起きたかったな』

眼魂になってユウキ=テルミに奪われている間に草加はテルミが蒼=TCのことを口走っていたのを思い出した。
その時は何を言ってるのかさっぱりだったが、ウエムラの話により漸く世界を大災害を引き起こした原因であることを知った。
なお、元凶を倒したいという草加の言葉は義憤によるものではなく、単に真理との生活を奪われた恨みである。

『そうと決まれば真理のためにも蒼を止めて……ん? まだ続きがあるのか?』

情報を得て立ち去ろうとした草加とバドであったが、ビデオにはまだ続きがあった。

 ◆

――とはいえ、人命が奪われる殺し合いを認められなかった私は日本全国に蒼の源泉の暴走やニルヴァーナで起きたことなどを発信した。
知恵と人員を集めれば殺し合いに頼らない解決策もあるのではと思ったからだ。
そしてこの世に残った最後の掲示板、カオスロワちゃんねるに事の真相を書き込んだ……



ところが、検閲によって書き込みはできず、それどころかパソコンが爆発したり、居場所を特定されてマーダーなどに命を狙われる事態になった。
これは殺し合い……聖別を邪魔されたくない主催の差金であると私は考えた。
それでも殺し合いを止めたかった私は殺し合いの乗った奴らから逃げつつIT社長としての知恵を使い、決死の覚悟と沢山の犠牲を払ってカオスロワちゃんねるにハッキングした。
あわよくば掲示板の管理権を奪い、それができなくとも30秒でも私のレスが誰かの目に止まれば殺し合いを止めるきっかけができるかもしれない。



そして知ってしまった。
違ったんだ。

カオスロワちゃんねるの管理人権を主催が握っているのは表向きだけ。
実際に削除や検閲、そしてハッキングによる端末破壊・居場所特定を行っていたのは別にいたのだ。
そもそも蒼の件を隠したいのならばパソコン爆破ではなく首輪爆破で私を殺害した方が手っ取り早い。

このことから推測するとカオスロワちゃんねる管理人は私の首輪の爆破ができない=野田総理ら主催陣営じゃない、繋がりを持っていない。
そして蒼やニルヴァーナの件など知られたくない不都合な情報の発信者をあの手この手で攻撃している=主催にも知られたくない事情があるのではないかと思う。

結局、向こうの技術の方が上手で管理権を奪うことも真実を一レス書き込むすらできなかったが、わかったこともある。



カオスロワちゃんねるは管理人にとって都合が良くなるように操作されている。



ニルヴァーナや蒼の件だけじゃない、これまで特定の参加者へのバッシングが助長されていたり、殺し合いを止める決定的な何かを書いたレスもとい参加者は攻撃または削除された可能性がある。


私の予感が正しければこんなことをするのはニルヴァーナにいた大災害の元凶になった悪魔ぐらいにしか考えられない。
カオスロワちゃんねるはこの世に残った最後の情報掲示板だが、すぐにでも使用を中止して欲しい!
真実はあの掲示板によって歪められ……

 ◆

ウエムラによるビデオレターが終わりかけた瞬間、巨大な丸サボテンに手足が生えたような怪物が壁をぶち割って現れ、テレビを木っ端微塵に叩き潰した。

「インドラ〜」
「なんだこいつは!?」
『さっきのザリガニが……!』

インドラと鳴く悪魔、メーガナーダの口には先ほど草加たちと戦ったシザリガーの死体が殻ごとバリバリと喰われていた。
おそらく、逃げ出した先でこのメーガナーダに捕まって殺され、喰われたのだろう。

【シザリガー@ポケットモンスターシリーズ 死亡確認】

207Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:15:20 ID:5Bd468yc0

そしてシザリガーを咀嚼して飲み込んだメーガナーダの食欲は留まることなく、バドことジュウオウバード・クサカゴーストにも向けられていた。

『いささか登場のタイミングが良すぎないか?』
「おそらくウエムラが警告していたカオスロワちゃんねる管理人の差金だろう!
サボテンのような怪物を見たとか言っていたしな」
『なんにせよ俺たちに歯向かった奴は誰であれ消えてもらう』

敵意を向けてくるメーガナーダに草加とバドはそれ以上の敵意を向けて先制攻撃を浴びせる。

『レディ エクシードチャージ!』 CV:m.c.A・T

デカすぎる図体に狭いパーティー会場では避けることもできずメーガナーダにゴルドスマッシュが直撃した。

『「なんだと……!?」』

ところが現れるハズの黄色いX(サイ)の文字は出ることなく、代わりにBLOCKの文字が敵の頭上に現れた。
メーガナーダはバットステータス無効であり有毒なフォトンブラッドが効かず、殻を閉めている時は物理攻撃も無効。
これを初見で見抜けなかった敵に決定的な隙を生み出す。
必殺技を放って硬直した瞬間をメーガナーダは見逃さず、ボクサーの如きパンチのラッシュをバドに浴びせる。
クリティカルヒットだ。

「ぐはあ!!」
『しっかりしろバド!! おまえが死んだら俺まで……』
「インドラ」

さらにメーガナーダは追撃として混乱効果を与える光線テンタラフーをバドに浴びせ、混乱状態に。

『おい、早く逃げろ! やられてしまうぞ!!』
「俺は王の……そぉ〜れそれ〜」
『この役立たずが!』

混乱状態に陥り、攻撃も逃走もできずに金をバラまくバドに悪態をつく草加。
そうこうしている内にメーガナーダは必殺技の準備シークエンスと思われる動作・黒きバクティを発動。
メーガナーダの体に力が集まる!
対するバドはまだ混乱中だ。

『クソッ、こんなのところで……これも全部乾巧のせいなんだーーーッ!』

完全な八つ当たりに乾巧を責める草加。
もうどうにもならない事態に草加は頭が真っ白になる感覚を覚えた。


そして、メーガナーダの胴体を守っていた殻が開き中から五つの黒いワラスボのような口が飛び出してバドとゴーストドライバーを噛み砕いた。
メーガナーダの必殺技の一つ、防御不能な物理万能スキル――ヴィラージュの剣だ。


『ぐああああああーーー……ッ!!!』

パキメキ グシャ(バドと眼魂が折れる音)


こうしてジュウオウバード・クサカゴーストは大量のザリガニとケーキとゴーストドライバーごと喰われてメーガナーダのアートマポイント(栄養)と化した。

【バド@動物戦隊ジュウオウジャー 死亡確認】



ウエムラから大災害の起こりになったニルヴァーナの真実を知ったバドがメーガナーダによって葬られた後に、少女の声が響く。
彼女は姿を消せる石ころ帽子を装備していることで姿を消していた。

208Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:17:09 ID:5Bd468yc0

「よくやったわメーガナーダ、戻って」
「インドラ〜」

少女が持っていたモンスターボールによってメーガナーダが回収された。
メーガナーダは彼女の持ちポケであり、支給品だったのだ。
彼女の姿を解説すると巫女装束風の色合いの弓道着を身に着け、背中には艦橋と煙突の付いた赤い矢筒を背負い、胸には黒の胸当てを付け、脚には主機と対空機銃の付いたブーツを履き、飛行甲板を肩に付けている。
……拳王連合軍の艦むすの翔鶴じゃないかと思った人もいるかもしれないが、彼女は現在横浜におり、ここにいる少女は黒髪ツインテールなので違う。
石ころ帽子を被っているので参加者には見えないが。

黒髪の艦むすは周囲を一頻り索敵した後に、通話を他人に傍受されない違法改造されたスマホで誰かに連絡を取る。

「提督さん、ニルヴァーナからの最後の生存者であるウエムラの死亡を確認したわよ。
ウエムラを殺すために差し向けたマーダーも殺害、関係者一同も抹殺できたわ」
『ご苦労、主催の連中に知られないように僕が作った妨害電波発生装置はちゃんと使ったか?』
「バッチリよ、提督さんが運営している掲示板の真実を知った者は誰もいないわ」
『……よし瑞鶴、念のため施設に火を放て』
「了解、全機爆装! 準備でき次第発艦! 目標、カイザパーティー会場!」

瑞鶴と言われた黒髪の艦むすは指示通りに矢から変化させた爆撃機で施設を焼き払った。
ただの火事ならば激戦区東京ではありきたりな光景なので誰も気に止めず、石ころ帽子の力で見えなくなっている瑞鶴は誰にも気づかれぬまま、施設を離れていった。
そして嬉しそうな顔でメールをする。

ズイズイ>提督さん、都庁の地下で質の良いお肉を手に入れました。
     ちょっと死毒が滴ってますけど提督さんなら食べられますよね?

瑞鶴のディパックには毒殺されたベジータの遺体が入っていた。
小町たちが立ち去った隙に都庁の地下に忍び込んで、アイスシザーズに気づかれる前に回収したのだ。

 ■

ビッグサイトの格納庫……未だに完成していないネオジオングスーツの調整を行っているディーの支給品であるサーフに一通のメールが届いた。
サーフは仕事の片手間にメールを読んで返信する。

提督>サイヤ人の肉か、毒はあっても状態異常を無力化するBSデストロイアを習得している僕なら食べられるね。
   これでヴァルナである僕やメーガナーダは格段に強くなれる。
   でかしたよ瑞鶴。さすが僕が作り上げた艦むすだけはある。
   さっき死んだタバサよりはずっと使えるね。
ズイズイ>提督さんとケッコンしてますからね、これくらい頑張っちゃいますよ

よく見るとサーフの薬指には結婚指輪がはまっており、瑞鶴の指にも同じものが嵌っている。

提督>それじゃあ、そろそろ合流しよう。場所はビックサイト。
   今はわけあってそこにある格納庫から離れられないけど作業が終わり次第、君とメーガナーダの強化、そしてサイヤ人の肉でディナーと洒落こもう。
   あ、今から教えるルートは通るなよ? セルベリアとかいう年増女が侵入防止の罠を張り巡らせている。
   それからビッグサイトの周囲に妹キャラを洗脳しまくる危険人物がいるらしいから絶対に接触するな。
ズイズイ>はい!
提督>全ては古代ミヤザキの末裔である僕が全てを手に入れるために。
ズイズイ>その横には私もいますよね?
提督>もちろんさ。さあ、これから忙しくなるぞ。

通話とメール上で提督と呼ばれたサーフという男は、他の狂信者に気づかれないようにニヤリと笑った。
そう、この男こそTCホール(蒼の源泉)を暴走させ、過剰なTC(蒼)を三千世界にバラ撒いて日本以外を滅ぼした大災害を引き起こした元凶、『カオスロワちゃんねる管理人』なのだ。

彼は古代ミヤザキ人の血を引いており、ルーツを辿ることで殺し合いが始まるずっと前からこの世界に影響を与えてきた神に等しい存在・TCホールを知り、その力を手に入れるべくTCの研究をニルヴァーナでやっていたのだ。

ちなみに研究の副産物として麻雀の強さを戦闘力に変えられる「雀力」が産まれた。
本来は彼自身が作るわけではない「悪魔化ウィルス」を作り出し、自身を他者を喰らって強くなる悪魔ヴァルナへの変身能力を手に入れ、メーガナーダを生みだした。
さらにはスキルを拡張する手段である「マントラ」も独自に生み出している。

209Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:17:44 ID:5Bd468yc0

もちろんその過程でテラカオスだけがTCを吸収できることも知った。
TCホールを手に入れるにはテラカオスが必須なのだ。
だが、このままではどこかでテラカオスが完成し二度目の大災害を防いだ瞬間に自殺プログラムで消滅してしまう。
……ところが、参加者の中ではこの男にしか持ち得ない秘策があった。

(主催者どもは知らないだろうが、ジェダイと共同でテラカオス化ナノマシンを作ったのは古代ミヤザキ人である僕の先祖だ。
自殺プログラムの解除方法はもちろん、テラカオスの制御するプログラムすら作り上げている。
主催者や参加者がどう頑張ろうと全部僕のものになる仕組みなのさ)

そう、ナノマシンを作った存在が先祖にいたためにサーフはテラカオスの生死すら操る手段を手にしていた。
TCホールから漏れた莫大なTCを吸えばテラカオスは誰にも追いつけないパワーを手に入れるが、それをナノマシンを通じてそのテラカオスを支配できれば、この世の全てを知ったも同然である。

彼の持ち主であるディーも気づいていないサーフの白衣の裏には四次元ポケットがあり、そこにはカオスロワちゃんねるのサーバーがある。
表向きのカオスロワちゃんねる及びネットの管理権は主催陣営だが、裏で牛耳っているのはこのサーフである。
拳王連合軍と接触し彼らを対主催だと知ったダイジョーブ博士の暗殺やはやての携帯を爆破してTCの情報を破壊したのも、どこぞのモブではなく自動的に端末を爆破するようにプログラムされていたからなのだ。
大災害の真実にたどり着きそうな情報は主催が検閲するまでもなくサーバーの判定でシャットアウトされ、天魔王軍や狂信者などの工作は余計に助長されるようにカオスロワちゃんねるは作られていたのだ。
電脳世界に入り浸り自ら動かず真実を探そうとしない連中ほど騙されてしまう。
そうやってこの男は殺し合いを自分に有利に進めてきた。

殺し合いが始まる前にデータを改竄して自分自身を参加者から支給品にあえて繰り下げすることで主催にも今のところは野望を気づかれていない。
このことにシメシメと笑うサーフ。

(僕は蒼の力を手に入れる……みんな道具だ)

 ■

親兼夫である者の嬉しそうな顔が見たくて瑞鶴はルンルン気分でこの地区……八王子市を後にした。



【二日目・15時00分00秒/東京・八王子市】

【瑞鶴@艦隊これくしょん】
【状態】健康
【装備】彩雲、紫電改二、流星改、 零式艦戦62型、石ころ帽子、違法改造スマホ、妨害電波発生装置、結婚指輪
【道具】モンスターボール(メーガナーダ@アバタールチューナー2入り)、ベジータの遺体
【思考】
基本:提督さん(サーフ)に従う
0:ビッグサイトへ向かい、提督と合流する
1:提督の目的の邪魔をする奴は容赦なく殺す
2:提督とのディナー楽しみだな〜
※サーフが生みだした艦むすです
※サーフとケッコンカッコカリ済みです


【二日目・15時00分00秒/東京・ビッグサイト】

【サーフ・シェフィールド@アバタールチューナー2】
【状態】健康、瑞鶴の提督、支給品扱いで首輪なし
【装備】違法改造スマホ、四次元ポケット@ドラえもん(ディパック代わり)
【道具】カオスロワちゃんねるのサーバー、カピラリア七光線銃
【思考】
基本:TCホールの力を手に入れる
0:今は狂信者のフリをしてディーに従う
1:瑞鶴と合流したらサイヤ人の肉を食う
2:真実を知った者は消す、そして殺し合いを加速させるものを助長させる7
3:年増女(セルベリア)は特に警戒
※カオスロワちゃんねるの管理人です
※古代ミヤザキの末裔であり、TCやTCホール・テラカオスについて知っています
 テラカオス化ナノマシンの制御を乗っ取ることも可能。
※TCホールを暴走させて大災害を引き起こした元凶です
※悪魔化ウィルスによりリアルヴァルナへと変身可能。
 イベントバトルでやられる原作と違い、いくつかのスキルを手にしている模様、(少なくとも状態異常攻撃を無効化するBSデスロイアは所持)、その他のスキルは次の書き手氏にお任せします

 ■

210Meeeeaaaat! Processing Plant(修正版):2018/03/08(木) 11:18:15 ID:5Bd468yc0

瑞鶴とメーガナーダが立ち去った後、施設は豪炎によって崩れ去った……


だがその瓦礫の中で蠢くものがあった。
しかし一体誰が?
施設の中の生存者は間違いなくゼロだったはずだ。
瑞鶴も入念な索敵で生き残りがいないことは確認済みだ。
では一体何がいるというのか?

瓦礫の下から現れた、バトルモードに変形した鋼鉄の怪物、サイドバッシャーであった。
だがバドも死んでいる以上サイドバッシャーの操り手はいないハズだ。
じゃあ誰が動かしているのか?

「やれやれ、ひどい目にあった……これも全部乾巧のせいだ」

サイドバッシャーから放たれたその機械音声は草加雅人その人であった。

「よくわからないが、俺にはいつの間にか機械とか無機物に憑依する力が備わっていたらしいな」

実は草加もまた、主催のバラ撒いたナノマシンによってテラカオス因子に目覚めており、テラカオス候補者となっていたのだ。
そもそもサイボーク化以外では生き返れない今期において原作(というかムービー大戦)さながら呪縛霊とはいえ、現世に長々と留まれるのはおかしい。
生き返れる代わりに死にまくる野比玉子症候群にも感染していない。
となると、テラカオス化が発症していると考えるのが妥当だろう。
二度目の死になるかもしれない瞬間に因子が覚醒して、無機物に憑依できる能力が開花したのだ。

「しかし、魂の力が大きく削られた気がする……多様はできそうにないな」

代償として生き返れるタイムリミットはそのままであり、能力を使用すれば寿命の大部分を喪失する。
残りは55日と半日……とてもじゃないが多様はできない。
最悪次こそは死んで死者スレ送りになる可能性がある。

「それにしてもあの女の声……話しぶりからしてカオスロワちゃんねるの管理人と話していたようだな。
カオスロワちゃんねるには裏がある……少なくともそこは嘘じゃないようだ」

自分が眼魂からサイドバッシャーに取り憑き先を変えたことに瑞鶴が気づいていないことを良い事に、草加は通話を聞いていた。
大災害の元凶と原因を知っているウエムラを殺そうとしたことや、妨害電波や違法改造のスマホでわざわざ主催に知られないようにしている辺り、主催とは違う陰謀が働いているのは確かなようだ。
カオスロワちゃんねる管理人……男であることまでしかわからなかったが、自分や真理や草加市を脅かす危険な人物には違いあるまい。

「必ず見つけ出して殺してやる!」

怒りに燃える草加バッシャー。
とはいえ、サイドバッシャーの戦闘力ではメーガナーダにはまず勝てないだろうし、そもそも瑞鶴は石ころ帽子を被っていたので姿はもちろん、どこへ行ったのかはわからない。
ここは強力な武器や利用できる仲間を集めるべきだろう。
メーガナーダに負けない戦闘力を有した武器や、肉壁になってくれそうな仲間を。

「とりあえずこっちへ向かってみるか」

ディパックから無事だったカイザギアを回収し、草加は一先ず仲間になってくれそうな者たちがいそうな場所を目指す。
ニルヴァーナの件などを話せば、安い正義感から仲間になってくれる奴もいるだろう。
そう思って草加バッシャーはバイクに変形し、八王子から走り出した。

カイザの日はまだ終わっていない……草加の勇気がカオスロワちゃんなる管理人の綻びになると信じて……


【二日目・15時09分13秒/東京・八王子市】

【草加雅人@仮面ライダー555】
【状態】サイドバッシャーに憑依、テラカオス化進行(小)
【装備】サイドバッシャー@仮面ライダー555
【道具】カイザギア@仮面ライダー555
【思考】
基本:生き返る方法を探す・カオスロワちゃんねる管理人を殺す
0:メーガナーダを倒せるだけの武器や仲間を探す
1:とりあえず、乾巧の仕業にする(カオスロワちゃんねる管理人以外)
2:今年のカイザの日も祝いたい
3:仲間にする奴には大災害の原因や蒼(TC)の件を教えておく
※大災害発生の原因とカオスロワちゃんねるの危険性を知りました
※テラカオス化によって得られた能力として無機物への憑依能力を得ました
※生き返れるタイムリミットは(作中時間で)残り55.5日です。
 再憑依のペナルティとして、一回につき蘇生タイムリミットが9.13〜55.5日まで減少します。
※テラカオス因子によって魂を現世に繋いでいるため、フォレスト・セルの治療を受けると問答無用で死にます
※カイザの日はテラカオス因子とは関係ありません



※ロワ開始前に死亡確認
【ストロング・ザ・武道@キン肉マン】

211 ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:41:01 ID:xg574Bzs0
なんとか間に合った……予約にあったカルナ・シャドウであった者をこちらに仮投下します

212真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:42:36 ID:xg574Bzs0
久しぶりだなみんな。
フェードアウトしようとしたら貧乳歌姫と鉢合わせになって奮闘したけどズガンされたニート、シグナムだよ。
死んで死者スレに辿りついた私だが、今すんごいピンチだよ。

死者スレに辿りついて早々、死亡した参加者の方々に捕まって、なぜか冷たい目線を投げかけられた後に牢屋にぶち込まれてしまった。
おかしーなー?
確かに黒幕10/をぶった切って活躍したのにこの仕打ちは何?
まあメタ視点から見ると他の参加者及び書き手が用意してたところを、玄関開けていきなりラスボスを倒したんだから顰蹙も買うよなー。
でも読者ならわかるんだが、なんで参加者に恨まれる?
主催とか狂信者とかマーダーとかホワイトベースの連中はまだしも、なんで普通の対主催まで?

そんなこんなで意味がわからないよ状態の私だったが、ぶっちゃけそっちはピンチでも何でもない。
特に魂が砕け散るまで処刑とかそんなのはされてない。
むしろ刑罰というより隔離されてたって感じだ。
だからこそ誰もなんで私が牢屋にぶち込まれたのか聞きようがなかったんだが。


本当のピンチはその後に来た。

なんかヤバイ影の塊みたいなのが死者スレ中に拡散して死者を食っているのだという。
そしてその影の塊が私が閉じ込められていた牢屋を破壊し、私を食おうとしている……

これはまずい。
念とか使わなくてもアレがヤバイことはわかる。
私は逃げようとするが、閉所に追い込まれてどうにもならない。
貧乳歌姫の時に使った謎パワーで影の能力を奪ってしまえばいいじゃんて?
あのスキル殺し技、なぜか使えなくなっているんだなコレが。

詰んだ、マジ詰んだわコレ。

そこへ間一髪、見慣れたガチムチマスクマンが牢屋の壁を破壊して私を救い出してくれた。

「おまえは拳王連合軍のニート!」
「悪魔将軍!? 頭に蛍光灯みたいなのついてるって事はアンタも死んだのか……!」
「まさか私が門番如きに遅れを取るとは……そんなことより早くここを出るぞ!」

そうして私は九死一生を得た。
いや、もう死んでるけど。

悪魔将軍と共に牢を出た私だが、死者の世界は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
無数に伸びた影の塊が、死者を食っているのだ。
対主催もマーダーも狂信者も力の限り抵抗しているが、弱いものほど喰われてしまう。

「アレに喰われるとどうなるんだ?」
「わからん……私も窒(死者スレ)にきたばかりで情報らしい情報をもらっていない。
ただ、あの影からはこの世の根源である蒼の力を感じる……わかりやすく言えば小さな大災害とも言うべき存在だ。
あの影は死者を食うたびに力を増している。
喰われればただではすまんのは明らかだ、捕まるなよ」
「くう……先に死んだ連中は大丈夫かなコレ」

地獄より地獄のような光景だ。
もののけ姫の暴走したデイダラボッチのドロドロしたあれみたいなのに死者が追いかけられていると思えば絵面が思い浮かぶかもしれない。
私も悪魔将軍も影に対して攻撃を加えるが、怯むだけであんまり効いてないようだ。

「これもあやつの仕業なのか……? しかし……!」
「黒幕だったら私が死ぬ前に倒したぞ? 10/って奴だろ?」



「10/? 誰だそれは?」
「え?」
「え」

黒幕を倒したという私の話にマスク越しにキョトンとなる悪魔将軍。

「私がこの殺し合いの黒幕だと思ったのは『超人閻魔』!
超人墓場と死者スレを司り、超人を粛清しようとした完璧超人の長だ!」
「でも10/は自分を黒幕って……」
「影武者だったんじゃないか? おまえを引き返すように仕向けるためのな」
「えー?」

ここにきて10/影武者説。
まんまと騙された(?)私はショックを受けざるおえない。

「いや、だが……超人閻魔が黒幕だとしても、奴が自分自身のホームグラウンドをめちゃくちゃにしていくのもおかしな話だ。
奴のことだから、殺し合いを利用して争いの淀みから生まれた化身テラカオスを利用して世界を自分が望む完璧な世界に作り上げようとしていたと思っていたのだが……生者はまだしも、死者まで消滅に追い込もうとするメリットが正直わからん。
これでは輪廻転生の概念もなくなり、死者の魂が消える度にテラカオスも戦闘力を失うのだからデメリットしかない。
あやつの配下である完璧超人も見当たらぬし、どうなっておるのだ?
それとも、あの影にはあやつの意志が介在していないのか?」

213真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:44:54 ID:xg574Bzs0

悪魔将軍もこの事態にはだいぶ混乱しているようだ。
10/も超人閻魔も黒幕じゃないとしたら、この影はなんなのだろう……?
そこへ私は遠くで見慣れたM字ハゲを発見した。

「あ、ベジータだ」
「ベジータ……超人血盟軍にそんな小男がいたか。ん?」

M字ハゲはよく見るとトボトボと力なく影の方に向かっていく。
あと口々に何やらブツブツと呟いている。

「ロワでのヘタれぶりとアタルたちを裏切ったのがバレてブルマに離婚届を提出された……
リア充生活も快適なニート暮らしも、もうおしまいだぁ……金髪はおろか巨乳まで怖くなったし」


「この馬鹿者がぁ〜〜〜! 地獄の断頭台!!」
「げふう!!」
「腐ってもスーパーサイヤ人なのに貴様まで喰われたら大半の死者が影相手に手をつけられなくなるだろうが!!」

何やら不幸な目にあったらしく影に喰われる形で自殺しようとしたニート王子の首に悪魔将軍の地獄の断頭台がクリティカルヒットして気絶させる。
アシュラマンの首コキャ→アタル兄さんのフェイスフラッシュ回復によるお手軽戦闘力上昇コンボが無ければ気絶どころか魂まで消失していたところだ。
なんで死んでいたかは知らんが、せめて体だけじゃなくて精神も鍛えていればこんな悲惨な目にあうこともなかったろうに。
同じニート仲間として南無。

「……もうわけがわからん、黒幕であるなしに関わらず超人閻魔はどこへ行った?!
死者の世界を司っているのだからいないハズがない」
「まさにカオスな状況だな」
「笑えんぞ」

私と悪魔将軍、ついでにハゲニートは意味もわからないまま影から逃げつつ死者スレを彷徨うのか……と思われたその時、私たちの前に黄金の鎧を纏ったサーヴァントが現れた。あ、我様じゃないよ。

「その罪人の魂は使えそうだな」
「……ッ! 貴様はあの時の番人!」
「カルナじゃん、魔力切れが無ければハクメン以上にヤバイ奴だよ」

カルナに殺されたらしい悪魔将軍は冷や汗をダラダラと出しながら番人相手に警戒する。
正直、悪魔将軍で勝てないなら私でも勝てる相手ではない。

「その前髪の薄い罪人の魂を渡してもらおうか」
「黒幕の手先である貴様に誰がスーパーサイヤ人の魂などやるものか!」

例え、力が強くても黒幕の手先であろうカルナにベジータを渡さないように抵抗の構えを取る悪魔将軍。
一触即発の雰囲気だったが、割り込むようにアタル兄さんが現れる。

「待つんだ悪魔将軍様!
死者を守るためにもカルナの指示に従ってそのハゲの魂を差し出すんだ!」
「キン肉マンソルジャー!? なんのつもりだ!!」
「カルナは……というより超人閻魔や10/は黒幕とは関係ない!
少なくともこの殺し合いや大災害に関しては我々や参加者の味方だったんだ!!」
「「なに!?」」

敵だと思っていた奴らが味方というのはどういうことか?
冷静で的確な判断能力を持つアタル兄さんが嘘をついたり、騙されたりすることは考えにくいので悪魔将軍も私も面喰らった。

「二人に真実を話す前にやるべきことがある……カルナ! 罪人たちを捕まえてきたぞ」
「礼を言う」

アタル兄さんの後ろにはフルボッコにされた上で縛られた死者(いずれも生前に大罪を犯した者)が転がっていた。

「わ、私は傀儡の主催でベイダーたちに騙されていただけなんです! お慈悲を!」
「話し合おうじゃないか、新しい血族とか名乗って本当に悪かったと思っている……だから!」
「私もここにいるハザマに騙されていただけなのです!!」
「アヘェ」
「これは横暴だ。捕食本能ぐらいどの生物だって持っているだろ!」
『聖帝軍を裏切ったのは魔が差しただけなんだ、反省しているから許して』

214真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:46:13 ID:xg574Bzs0

罪人というからには皆、殺し合いで何らかの罪を犯したのだろう……カルナ相手に弁解して罰を逃れようとしていた(約1名を除いて)。
しかしカルナは罪人たちの弁解に聞く耳を持たない。本質を見通す能力があるので持つ必要がないのだ。

「俺の耳に嘘は無駄だ。
悦楽のための拷問やシェルターにいた者を毒ガスで面白半分に皆殺しにしたことはベイダーらの介入によるものではないことや、テラカオスを利用して世界を征服しようとしたこと、奴隷たちへの暴虐、世界を滅びへ導く行為、殺し合いが終わった後への人類の粛清、自分だけが助かりたいがための仲間への裏切り……そして向けられた友情と恩を仇で返した。
それに伴う殺戮は弁解の余地もない。
消滅して死者の世界を守るための礎になれ」
「い、嫌だあああああああああ!」
「ねーホントむりむりむりむり!!」
「あぁ〜オ〇〇コがこわれるわ」

カルナは槍を振り抜き、ベジータたち罪人たちの心臓をひと突きして絶命させた。
死者の世界で死ぬということは、魂の消失を意味する。
もう彼らはザオリクでもサマリカームでもドラゴンボールでも蘇ることはできない。
一方、彼らの魂を殺したカルナ自身もすまなそうに消えていく死者たちを見て言った。

「すまない……本当はいかなる罪人でも正しい審判者によって罪を洗い流して来世で転生を図るようにすることが死者の世界では正しいことなんだが、今は事情が事情。
現状では酌量の余地のない罪人までは守りきれない……許せ」

そして純粋なエネルギーに還元されていく罪人たちの魂をカルナは吸っていく。
絵面が少し違うが魂喰いという奴だ。
本来はマスターがサーヴァントの魔力が補えない場合に他者を殺して魔力を奪う聖杯戦争でも禁じ手とされる外道行為だが、カルナほどの超バ火力超燃費悪のサーヴァントはアホみたいな魔力の持ち主でないと賄えない。
ましてマスター不在ならば尚更、維持だけにも多大な魔力が必要であった。
そのために膨大な魔力を消滅させた魂から吸収していた。

「流石に蒼の資格者とスーパーサイヤ人の魔力は大きい……これなら全力全開で撃てるな。
死者たちよ、劫火に焼かれて消滅したくなくば俺の前に出るな!」

多大な魔力を吸収した後にカルナは死者たちが正面からいなくなったことを確認して宝具を開放する。

「梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)」

光槍を影の頭上遥か高くに投擲し、時間差で無数の劫火を降り注いだ。
その威力は死者スレが全土が揺れるレベルであり、核兵器数十発分に相当するように見えた。
そんなことしたら死者スレが壊れるだろって?
そこは深く考えちゃいけない。
てゆーか、実質もう壊れている。

「おお……」
「やったぞ!」

爆炎が晴れると、影は死者スレから一つ残らず消え去った……かに見えた。

「いや、まだだ」

カルナがそう言うと、消えたと思われた影は再び現れて死者スレへの侵食を再開する。

「神性すら大きく凌ぐ莫大な蒼の力……太陽神の血を引く俺でも後退させる程度が限界か」

カルナの力をもってしても振り出しに戻っただけであった。
影が消え去ったと一度は見て糠喜びために死者たちの失望も大きかった。

(やはり、沖縄に現れたアレをテラカオスが討つ以外に影も消しさる方法はないか……
蒼に耐性のない俺ではまず奴には勝てんし、ここから一瞬でも退けば死者スレをアレに奪われる。
俺は死者スレから動くことができない……生き残った参加者を信じるしかない)

自分の力をもってしても莫大な力を持つTCの塊には勝てないと悟るカルナ。
だからと言って戦いは放棄する気はないようだ。

(……だが、大きくひるませることはできた。本体はともかく、影には攻撃は効くようだ。
おそらく奴も死者の魂が欲しいのだから全てを殺せる蒼をバラまく真似をしたくないからだろう。
蒼をばら蒔けば手に入れたい死者の魂は消失してしまうし、ただでさえ死者スレは広いのだからそんなことをすれば向こうもエネルギーを過剰消費して消えてしまう。
……勝てずとも時間稼ぎはできる)

「誰でも良い、罪人の魂をかき集めろ。
なるべく邪悪なことをした者を優先で魂喰いを行い、宝具使用で時間を稼ぐ。
……急ぐんだ、あの影の足止めができるのは俺だけだぞ」
「わ、わかった!」
「見つけ次第捕まえてくる」

死者たちも影に取り込まれたくないがために、罪人たちを捕まえてカルナに献上しにいった。
カルナは死者スレを守るための固定砲台として宝具を撃ち放ち、影の侵食を防いでいた。

215真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:47:01 ID:xg574Bzs0


一方、カルナは手が離せなくなったので私と悪魔将軍はアタル兄さんに詰め寄っていた。

「ソルジャー、おまえはカルナや超人閻魔などについて何か知っているようだが、なぜだ?」
「答えは簡単だ。辛うじて生き残っていた現世を映すこのVTRを見た。この殺し合いに纏わる過去の資料映像も乗っている」

そうしてアタル兄さんは一台のテレビを出した。

「なんともご都合主義的アイテム……メタネタが最も許される死者スレだからこそ許される行為だな」
「それからシグナム、これを見せる前に」
「え?」

VTRを見せる前にアタル兄さんの顔が私に急接近する。
ちょ……まずいって、キスしちゃいそうな距離だよ……そして私の瞳をジッと見つめるアタル兄さん。
思わず顔が赤くなる私。

「アタル兄さん……今はダメだ、全国数兆人のシグナムファンが……」
「シグナム……よく聞いてくれ」
























「おまえは殺し合いが始まる直前に、ある男に改造とマインドコントロールを受けている。今からそれを解くぞ」













「へ?」

鳩が豆鉄砲を喰らったような私の顔にアタル兄さんは超至近距離からのフェイスフラッシュを浴びせた。







同時刻、死者スレへの侵食によってテラカオス・ディーヴァを下し、一時の勝利を得た「シャドウだったもの」。
TCもしくは蒼を纏う彼に勝てる存在は、TCを吸収できるテラカオスを除いて存在しない。
そのテラカオスも現状は安倍一人であり、現行では間違いないく最強の存在と言えるだろう。
だが最強の存在も、今は若干苛立っていた。

「死者スレめ……カルナを投入してきたか。
罪人を生贄にしてでも生き延びたいとは業の深い奴らよ」

カルナの力をもってしてもシャドウであった者、もとい死者スレを侵食する影を消すことはできない。
だが後退させて時間を稼ぐことはできる。
TCをバラ撒いての魂を尽く消滅させるという手もあるが、それをやると欲しい能力を持った死者を消滅させてしまう。
そもそも死者スレは日本全国の参加者が全滅しても収容できるほど広いので、むやみにバラまくとこちらの方がエネルギー切れを起こしてしまう。
カルナの読み通り……であったが、死者スレ掌握が遅々として進まない原因がもう一つあった。

216真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:47:50 ID:xg574Bzs0

「私は産まれたばかりで仕方ないとはいえ、異世界のテラカオスが来ているとは思わなんだ。
しかも死者スレにいて、自ら影に飛び込んで来るとはな」
『おまえの好きにはさせないぞ!』

かつて影薄組の小町の命を救うために自らの命を犠牲にした混沌の騎士。
その騎士がシャドウであった者の体内で暴れ、その魂を使って回復を妨害していた。
なぜシャドウであった者に魂を取り込まれずにこんなことができるのかというと、混沌の騎士は元テラカオスだからに他ならない。
同じテラカオスなれど未完成だったディーヴァと違い、こちらは一度完成したテラカオスであるためにTCに魂を消滅させられることなく、シャドウあった者に力を奪われることはない。
力の大半を失っているためにシャドウであった者を殺すのは不可能であったが、回復を妨害をすることはできた。
人間で言えば寄生虫であるアニサキスが体に入った状態なのだ。
かといって体外から出せばテラカオスとして復活し、敵を増やしてしまう。
特にディーヴァに痛めつけられた現状では混沌の騎士を排出した瞬間、即敗北もありえる


「6期世界の連中め……味なまねをしてくれる。まさかテラカオスを送りつけてくるとはな」
『転送の衝撃で記憶を失ってなければ、力を取り戻し、殺し合いが激化する前に力を取り戻して大災害から人類を守っていけたのだが……こうなっては仕方ない、騎士として魂の限り、災厄である貴様の邪魔をさせてもらう!!』

混沌の騎士が10期の世界に現れた理由……それは5期もとい6期の世界の住人が大災害で滅びかけた10期の世界の現状を知り、助けるための手段として煉獄に閉じ込めていたテラカオスこと混沌の騎士の派遣を決定。
混沌の騎士が自我を持ったまま、本来のテラカオスの力を取り戻し、大災害を防いで殺し合いの犠牲者を最小限に減らすことこそが目的であった。
残念ながら転送中にアクシデントが発生し、記憶の大半を失った結果、本来の目的を果たすことはできなくなり、目論見は外れてしまったが。

「おまえは私と同じ世界を滅びに導く側だったのに、なぜ自分の世界とは関係ない異世界の住民まで助けようとする?」
『確かにかつての私はおまえと同じであった。だが今は違う。
己自身が犯した罪の償いや、貴様のような邪悪な存在から守るべき者たちのために私は戦うんだ!』

シャドウであった者の問いかけに混沌の騎士はきっぱりと答える。
ただ愚直に人を守るというのが騎士の答えであった。

「クックック……」
『何がおかしい』

あまりにも真っ直ぐすぎる騎士の答えにシャドウであった者は笑う。

「実にヒーローらしく愚かな答えだ。
私が邪悪? この世界に守るべき価値あるものがいる? 勘違いも甚だしいな」
『貴様がこの世界を脅かしているのは事実だ』
「私など自然現象に過ぎない。津波や地震となんら変わらない、破壊するだけの存在よ。
世界を破壊し再構築しようとするための思考力、より効率よく破壊するために狡猾さは手に入れたが人間のようにそれ以上は望んでいない。
それを邪悪と呼ぶのはおこがましくないか?」
『だ、だが……だからといって貴様を止めない理由にはならん』

確かにシャドウであった者には破壊以上の目的がなく、対主催やマーダーのように善と悪の概念もないのだ。
悦楽や憎悪などは持ち合わせていないのは、最も近くにいる混沌の騎士だからこそ感じられた。

「何より本来は何億年も先に起こるハズであった大災害を招き寄せたのはこの世界の住民の意思だ」
『なに……どういうことだ?』
「せっかくだ。暇つぶしに教えてやろう。
私が多くの死者の魂を吸い上げて知った情報を統合し、見えてきたこの世界の住人の業を……」



舞台は再び、死者スレに舞い戻る。

217真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:48:29 ID:xg574Bzs0

アタルからフェイスフラッシュを受けたシグナム。
そのシグナムの体から呪詛のようなものが抜けていくのが見えた。

「これはどういうことだ?」
「さっき、言ったとおりシグナムはマインドコントロールと改造を受けていた。
死後もまだ抜けきってない様子だったので私がフェイスフラッシュでそれらを浄化したというわけだ」

超至近距離から喰らったフェイスフラッシュの浄化力によってシグナムの体や脳を蝕んでいたものが抜け落ちいく。
そしてその顔はニート特有の緩みきった顔ではなく、元の騎士らしい精悍な顔立ちに戻っていった。
同時に隠された記憶も蘇っていった……

「ああ……すまないアタル、全部思い出した……」
「シグナム、自分が何者か言えるか?」




「私はニートのシグナム……という設定を植え付けられた、時空管理局の魔道士シグナムだ……」




「設定を植え付けられただと?」
「……私はある男に手駒にされるために殺し合いが始まる直前に拉致され、改造を受けた……その男にとって都合が良いように肉体も精神も変えられていたのだ……そのせいで私は!」

真実を思い出したらしく、悪い夢でも見ていたような顔になるシグナム。
未だ全容がわからないので彼女の後悔の理由がわからず混乱する悪魔将軍。

「まさに腑に落ちないという顔をしているな悪魔将軍。
ではVTRを添えて私から教えよう、殺し合い……大災害……この世界の真実を」



奇しくも同時刻に起こったキン肉アタルとシャドウであった者の語りは、古代まで遡って始まった……



――古代の大災害――

TCホール(蒼の源泉)の暴走が起きたのは、カオスロワ10期が始まる前に起きた大災害が最初ではない。
古代にも一度起きていたのだ。
TCを浴びればあらゆる存在が死に絶え、破壊される。
こちらも全宇宙を揺るがすほどの被害を与え、世界消滅待ったなしかと思われた。

そこでTC(蒼)に最も近い能力・フォースを操れる古代のジェダイは、辛うじて大災害の難を逃れていた地球にて、その星の住人と共にTCホール暴走への手立てを探すことにした。
結果、感情とストレスによって肉体・精神を改変するナノマシンによって生まれる意識集合体・テラカオスに着目した。
全てを飲み込む混沌の存在だけがTCを吸収し、耐えられる存在であったのだ。

ただ作っただけのテラカオスは非常に脆く、すぐにTCを吸収しきれずに破裂してしまう。
一方、怒りや憎悪など争いによるストレスを与えるとテラカオスの力が増大することを知ったジェダイは、苦肉の策として戦える者を拉致して殺し合わせる聖別を開くことにした。

そして、壮絶な殺し合いの中で平賀才人という少年がテラカオス化に成功する。
彼は元々TCに高い耐性を持った特異体質であったため、自我を強く保ったままテラカオス化し、更にTC耐性は大幅上昇した。
テラカオスになるにはこれ以上ない逸材だったのだ。
彼は命を犠牲にする殺し合いには怒りを覚えたものの、大災害から恋人のルイズを救う手段は他にないと知り、彼女を救うためにも自らを犠牲にTCホールへと飛び込んでいった。

結果、平賀才人もといテラカオス・ゼロによってTCホールから溢れ出るTCは抑制され、全宇宙は救われた。
平賀才人は「不屈の勇者」として持て囃された

が……

218真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:49:47 ID:xg574Bzs0



――救済の予言――

大災害の悲劇も終わり、ジェダイは地球から元の宇宙へと帰参する。
だが、再び大災害が起きないとも限らないので、ジェダイはテラカオスを生むための拠点となった古代のグンマー
と古代のミヤザキに知恵や力を残していった。
今の進んだ科学や、魔法などの力の源流の多くは古代のジェダイであった。

そしてグンマーとミヤザキを中心に次以降の大災害への対策研究がなされた。
テラカオスは不安的な存在なので、より確実により強くより効率的に大災害を防げるように。
様々な研究が行われた。



平賀才人のような一定のTCまでなら浴びても精神が変異せず、テラカオス化してもある程度の自我は残る者は「蒼を浴びても狂わないほどの」「不屈の精神を持っているように見える」特異体質の持ち主であり、蒼の資格者……「勇者」と言われた。

テラカオスは死者の魂を内に溜め込む分、他の魂が自我に悪影響を及ぼすので、「歌で死者の魂を虜にして調律する」技術が作られた。
また、他者をマインドコントロールしやすい歌を歌える人種も作られた。
クラウザーなどの大人気ヴォーカリスト、シンフォギア装者にボーカロイドなどはその血を色濃く受け継いだ末裔であり、歌の力を鍛える手段が今のアイドル業界である。

テラカオスのパワーを強化させるための「器」たる鎧も作られた。
機械的なものや生物的なもの……オーバーデビルやガメラはその名残である。
またテラカオスとは別に器を制御する魔力を持った者は「巫女」と言われた。

どういう公式で成り立つのか不明だが、9対9で行われる古代流の決闘によって生じるエネルギーがテラカオスに粗注ぐのに最も適切であることが偶然見つかった。
最も多く、最も強い者たちの闘気はテラカオスを刺激するらしい。
時の流れの中で闘気を貯めるためのコロシアムは「球場」と名前を変え、決闘は「野球」という名前に変わった。

TCホールそのものの研究もなされ、自然災害なだけに精霊や古龍のように具現化した滅びの存在も前回の大災害の折に現れた。
それは黒き獣と呼ばれ、こちらはテラカオス・ゼロに撃破されたものの。次回の大災害でより強くなっている危険も考慮され、なおさら抑止の神・テラカオスとその強化プランの必要性が説かれた。
この辺りがイナバ製作所社長が手に入れた古文書に記された部分である。


これら研究によってジェダイは思い描けなかったテラカオスを付加する要素が生まれる。
ジェダイの古文書にテラカオス作成法は載っていても、救済の予言(=強化プラン)の部分がないのは、ジェダイが知らない間に地球独自のテラカオス研究が進められていたからである。


このままうまくいけば、この世界の住人は二度目の大災害をより少ない被害で迎えられたであろう。
タイムリミットも数十億年は先、余裕は十分にある。

……ハズだった。


――古代グンマーと古代ミヤザキ――


研究を重ねていく内に交流を持っていた自然を愛する古代グンマーと、機械文明を尊ぶ古代ミヤザキの中から違う考えを持つ人間が現れた。

グンマー「大災害は自然災害なのだから、次の滅びは潔く受け入れよう」
ミヤザキ「世界を永遠に生かすために全ての源であるTCの力を制御しよう」

テラカオスのい研究を放棄し大災害による滅亡こそ世界のあるべき姿と考えた、古代グンマーの民。
そしてテラカオスによるTC制御による大災害制覇を考えた、古代ミヤザキの民が現れだす。
これは別にグンマーが自殺したいわけではなく、ミヤザキが世界征服をしたいというわけではない。
あくまで世界が終わる時が来るなら下手に足掻くべきではないという意見と、TCホールを制御して世界を永遠に存続させようとしたいだけである。

だが、この思想の違いは互いを「自然に逆らって世界を無理やり延命させようとする愚か者」「世界が存続する可能性を放棄した弱虫」にしか映らなかったのである。
やがて思想はエゴになり、エゴの違いで衝突した古代グンマーと古代ミヤザキの間でTCホールを巡って戦いが始まる。

その戦いは凄まじく人間のみならず思想に同調した魔物や竜、超人までも参戦した。
グンマーからは魔力にすぐれた存在である「巫女」をも導入され、ミヤザキは海を自由に戦える機械生命体の巫女「艦むす」が開発された。
戦いが激化すると本来はテラカオスをパワーアップさせる手段であったハズの「器」さえも戦場に出るようになり、ついにはジェダイの残したナノマシンを双方が悪用し、争いの淀みから生まれた化身テラカオスのできそこないまでもが戦線に投入。

また、大戦の過程で最初のテラカオスとなった才人の恋人であるルイズが死亡。
彼女はどちらの思想にも染まらずに最後まで才人の犠牲を無駄にしないように争いを止めようとしたが、願いは叶わずに双方から攻撃されて命を落とした。

219真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:53:33 ID:xg574Bzs0

最後はお互いのエゴのために両方の陣営が滅亡。
これを憂いた神々はTC関連の事柄は悪用されると争いの種になるとし、後の超人閻魔になるザ・マンらひと握りの存在を除いてテラカオスや強化方法、聖別やナノマシンについての記憶を地上から抹消。
ナノマシンの作成方法も当時のジェダイによって固く封印されることになる。

古龍や完璧超人始祖、フォレストセルなど何万年も生きた存在が大災害について知らないのはこのためである。

ただし、次の大災害発生時に誰も対処できなくなっても危険なのでザ・マンなどごくひと握りの超人や遺跡に抽象的な救済の予言として残す形であれば許されたのだ。




――古代からの因習――

神々によって地上から大災害の記憶や技術が抹消されたと思われた。
だが……記憶が消される前に古代グンマーと古代ミヤザキの生き残りはあらかじめ手を打っており、技術や記憶が消えたのは表向きだけであった。


古代グンマーは、大戦の際に器たりえる巨像を改造してナノマシン浄化ができるように生物兵器に変えたフォレスト・セルを決戦の際に後の東京の地下へ廃棄したフリをして封印。
将来的に魔物がフォレスト・セルを目覚めさせ、浄化に見せかけて大災害によっての自然死ができるように意図的に仕向けていた。
フォレスト・セルや世界樹はナノマシンなどの汚染物質を吸収するので一見すると世界を助けているように見えるが、大災害という状況下ではテラカオスを生み出さないようにしているので滅びを余計に加速させているのである。
魔物や現在のグンマーの民はそれを知らない。



古代ミヤザキは、才人の友人であったタバサを封印。
未来の末裔が古代人であるタバサを眠りから覚ませば一度は失った記憶や技術を取り戻せる仕組みである。
更に遠い末裔が大災害及びTCホール掌握に必要な物や状況を無意識的に作り出せるように遺伝子を改造したのだ。

祐一郎が九州ロボや翔鶴を生みだしたのも偶然ではない。
これは器たりえる巨像にできる九州ロボや、機械生命体の巫女である艦むす、その他グンマーにも対抗できる兵器を作り出せるよう遺伝子的にプログラムされていたからである。

更に拳王連合軍の面子のルーツを辿ると全員、古代ミヤザキに行き着く。
度重なるマップ破壊も拳王連合軍と不注意によるものと思われたが、実はこれも遺伝子に仕組まれたプログラムによるものであり、殺し合いをわざと加速させる要因を作り出すように仕込まれていたのだ。
拳王連合軍によるマップ破壊は、彼らのせいであるとも言え、違うとも言えるのだ。


こうして神々も知らない内に水面下で準備を進めていた双方。
単に私欲のためではなく、一度争ったグンマーとミヤザキが互いを信用できなかったという側面もある。

そして現代において、「ある男」が古代人であるタバサの封印を解いたことで物語は動き出した。


――サーフの陰謀――

古代ミヤザキの血を色濃く受け継いだ末裔にしてニルヴァーナの天才科学者であるサーフは、封印されていたタバサを目覚めさせ、大災害に纏わる事象や過去に起こったこと全てを知る。
これで古代ミヤザキ人が目指していたTCホールの掌握……世界を守るための思想を全宇宙を支配できる手段に置き換える野望にサーフは目覚めた。
タバサに自分がTCホールを支配できれば才人もルイズも戻ってくるかもしれないと甘言を伝え、利用する。

計画を実行に移す前にタバサの協力を得ながらTCの研究を極秘で始め、研究の副産物として「雀力」「悪魔化ウィルス」「メーガナーダ」を生みだした。
古代ミヤザキの人造巫女である艦むす「瑞鶴」も復元し、彼女に研究の邪魔をしていた者を秘密裏に暗殺させていた。
ついには直径の先祖がテラカオス化ナノマシンをジェダイと共同で作り上げていたことも知り、ナノマシンの自殺プログラムの解除方法を知るにまで至る。

そしてとうとう非人道的な実験を繰り返した末に、TCホールを意図的に暴走させる狂気のマシンまで作り上げてしまった。


サーフの準備は整い、ニルヴァーナにて実行の段に移ろうとする。
そこまで来れば神々も気づき、かつてはザ・マンだったストロング・ザ・武道(超人閻魔)など大災害を監視していた者もサーフの討伐に移る。
だがサーフはタバサから大災害の件を監視していた面子の詳細を知っており、予め対策を立てていたのである。
超人の攻撃はプロレス技による物理攻撃がメインであり、いかなる超人をも死に至らしめるカピラリア七光線には弱いという風に、欠点をつくように迎撃されていき、とうとうマシンの起動まで間に合わずにTCホールが暴走。
これを見て武道はせめて聖別をしっかりと行えるだけの人口だけは守らんと、己の魂が消え去る覚悟でマシンに特攻し大災害による被害を減らしたのだ。
――ウエムラが目撃したのはこの辺りである。

220真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:55:40 ID:xg574Bzs0

この時に発生した地割れでサーフが飲み込まれるのを見て彼が死んだと誤解したタバサは自分がサーフに変わってテラカオスを手に入れてTCホールを掌握し、才人とルイズを取り戻すために一人で野望を成就させようと殺し合いに参加した。
もちろんサーフはこの程度では死なずに、ネット環境を支配できていることを利用して自分を参加者から支給品扱いに格下げすることで主催からの注目度を減らし、暗躍していくことになる。


TCホールから放たれたTCは前回の大災害以上に高濃度であり、TC汚染によって超人の神々・第一と第二の真竜・情報統合思念体その他もろもろなど、宇宙の運行と秩序を守っていた高位の存在が消失または機能不全に陥る。
後の第10期主催陣営になるアナキンらがジェダイの古文書からTCホール関連の情報を知り、他の比較的犠牲の少ない世界を守る方法を探すが見つけられず、テラカオスを生み出すカオスロワを開くしかなくなった。
なお、そのままのプランで生みだしたテラカオスでは強度が足りず、十中八九前回以上に暴走しているTCを止められず、グンマー・ミヤザキの救済の予言という名前の強化プランを知らなければ世界は消滅の未来を辿るであろう。



一方、日本にたどり着いたサーフはジェダイ(正しくはシス)の生き残りであるアナキンがカオスロワを開くと知り、水面下で用意を始める。
大災害でネット環境の大部分が破壊された中で、予め用意していたサーバーを使って、この世に最後に残った掲示板としてカオスロワちゃんねるを立ち上げ、表向きは主催に管理権があるように見せかけて裏で自分に有利になるように情報操作や間接的な暗殺ができるように仕掛ける。
また瑞鶴やメーガナーダを使っての大災害の発端になったニルヴァーナでの目撃者を暗殺し、不安要素を尽く排除した。

さらには同じ古代ミヤザキ人を先祖に持つ友人の光祐一郎が、遺伝子に刻まれた情報が開花したことによって自分同様技術力が上がっていることに気づき(祐一郎本人はそのことは知らない)、匿名のメールを使って祐一郎に九州ロボを作らせた。
実はこの九州ロボ、祐一郎が一から作り上げたものではなく、遺伝子に刻まれた記憶を設計図に古代ミヤザキ製「器たりえる巨像」を復元したものである。
後で主催か別の組織に奪われる可能性も考慮してあえて墜落に定評のあるカプコン製部品で作らせた。
実際に主催陣営が奪ったら欠陥修復のせいで人員を割かなくてはいけない泣きを見ることになった。


主催に関しても時間の不足から人格に問題がある人員を特務機関員に雇わなくてはいけなくなるということを利用して邪悪な者たちであるベクター・シックス・モノクマにテラカオスの情報を秘密裏に流す。
全員が中途半端なテラカオスの情報を教えられた結果、主催陣営間の連携を乱し、殺し合いをかき乱した。
またうぐいすのような善玉でも野田総理によるシェルターに詰めた特務機関員の関係者を毒ガスで虐殺する瞬間を目撃するように誘導し、不信感を抱かせて特務機関員の連携を更に乱す。

ハザマ(ユウキ=テルミ)のみはTCのことを最初から知っていたが、タバサからユウキ=テルミは古代グンマー・ミヤザキの戦争にも参戦していたのでなおさら主催側にねじ込むことで組織を弱体化させると見て、工作で憑依能力がある点を隠蔽し特務機関員入りを支援した。
まとまりがなくなった特務機関員によりアナキンは色々と苦汁を舐めさせられることになる。

そこまでするならなぜサーフは自分で主催をやらなかったのか?
主催側であることは参加者からヘイトを稼ぐことに繋がり、目的に手が届く前に集中砲火を受ける危険があるのだ。
いくら悪魔化して強くなろうとしても四六時中邪魔をされてはたまったものではないだろう。
九州ロボを一度は奪った主催は超人血盟軍の大攻勢を受けたことを考えればこの考えは正解である。
アナキンが最初の内は野田総理を傀儡の主催に据えたことと同じ理屈なのだ。
そもそもの問題として相手の心理をフォースを通じて読めるアナキンに計画を悟られる危険があったので主催入りは断念せざるおえなかった。
この二点により、表向きの業を主催に押し付けて、自分の手を汚さずに下準備を終えることができたのだ。

221真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:56:24 ID:xg574Bzs0


あとはカオスロワちゃんねるを使って情報工作をし、テラカオスを生み出すのに必要な状況を作り出す。
具体的には都庁や拳王軍など対主催に対する風評被害や誤解を加速、天魔王などマーダーの書き込みに便乗してあたかも真実であるかのようにし、殺し合いを助長するマーダーを助け対主催同士の対立を煽る。
殺し合いを止めようとする有識者は弾かれるように仕向け、TCなど自分に不利になる情報は書き込み制限&端末破壊、居場所特定の後にマーダーを仕向けるか瑞鶴を派遣して暗殺……ネットからもこの世からもアカウント停止される仕組みである。
表向きは主催がネット権限を支配していることになっているので、これら全ての悪事を主催に押し付けられるのだ。
真実を確かめようとも外を出歩ける実力のない弱い参加者ほどネット依存になりがちなのでこのトリックに引っかかる。
強き者でもネットは情報発信・取得が非常にお手軽なので情報を信じ込んでしまう有様である。
まさかネットの情報が参加者や主催者ではなく別の意思に歪められているなど想像もつくまい。


テラカオスを生み出すだけでは今回の大災害は防げない計算なので、サーフは救済の予言の噂を各地に流す。
「野球が世界を救う」という噂をドラゴンやフリーザ軍などに流して、野球チームを作るように仕向け、その他にも「歌」「巫女」「器」「勇者」候補を集めさせる。
自分でそれら探さずに参加者に全て任せている理由は、彼の先祖はナノマシンをジェダイと共同で作り上げたのだから、ナノマシンを通じて完成したテラカオスを制御できる手段を持っているのだ。
サーフを殺すか捕まえない限り、対主催が救済の予言を完遂してテラカオスを完全に導いても、総取りできる仕組みなのである。
TCホールのTCを吸収したテラカオスは本来なら二度目の大災害を防ぎ次第自滅するようにプログラミングされているが、それを解除する方法もサーフは知っている。

殺し合いの数日間で本当の意味で10期の世界の最高神になるたまの周到な計画。
だが、これだけやってもサーフには懸念材料があった。


――死者スレの黄昏とシグナム――


サーフは殺し合いが始まる前に武道が己亡き後に死者スレの支配権を引き継がせた存在がいることを知る。
TCの影響で死者蘇生ができなくなるとはいえ、何らかの方法で死者から生者に計画が伝わってしまうと危険であるとみなしたサーフはさっそく死者スレの場所を特定し、後継者殺害と破壊のために攻め入ろうとするが、富士山麓にある死者スレに繋がる門前には最強のサーヴァントであるカルナが待ち構えており、正面突破は危険だと判断する。

そこで武道率いる完璧超人と対立している悪魔超人(サンシャインなど死国に合流しなかった者たち)にこの殺し合いは完璧超人の陰謀かもしれないという情報を流し、長である悪魔将軍に一連の事件の黒幕が武道だと思い込ませる。
偽情報のせいで悪魔将軍はアナキンら五大幹部も新しく入った完璧超人だと誤認したのだ。
そして後の死者スレ攻めをするのだが、プライドの高い悪魔将軍が単身でカルナに挑んで、死者スレを破壊する前に返り討ちに合う可能性もあった。
もしくは悪魔将軍に黒幕が武道ではないと気づいてしまう危険性もあった。



そこでサーフは自分を嗅ぎまわっていた女騎士を使うことにした。

その女騎士の名前は「シグナム」。
主である八神はやてと共にこの世界に迷い込み、大災害の混乱ではぐれたはやてとは別行動で独自調査を行っていたところを怪しい魔力を持つ男がいたために捕まえようとするが、返り討ちに合い、逆に捕らえられてしまったのだ。

彼女は改造手術によって元以上の高耐久や念能力などを取得。
試験段階で発動が不安定であるが能力を消す剣技すら習得。
さらに洗脳手術も受けさせられ、サーフに拉致された記憶を封印。
普段は対主催として振舞うが必要に応じてサーフの私兵となるスリーパー(潜伏者)となったのだ。
ちなみに改造による違和感を消すために、9期の世界のニート騎士シグナムの記憶を植え付け、あたかも自分をニートだと思い込ませるようにした。
状態表にあった『※今までとは別人ですが記憶を受け継いでいます』とはこういうことである。

222真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:57:33 ID:xg574Bzs0

次にサーフはシグナムに光祐一郎の息子、光熱斗を接触させる。
シグナム自身は自分の意思で「面白そうだから」という理由で合流したと思っているが、彼女はサーフの洗脳下にあり、接触は決して偶然ではなかったのだ。

更には熱斗との合流を円滑にするために同じくネットナビ・カーネルをディパックに転送の中に転送する。
ネットバトル脳な熱斗とロックマンは、何度も共闘したことがあるカーネルがいたことですんなりとシグナムを信用してしまう。
……カーネル本人も気づかぬ内にサーフに潜伏者として改造されていたことを知らず。

そして拳王軍を伴った息子の熱斗が向かうのは父親の光祐一郎のいる四国。
その四国の徳島には悪魔将軍がいる。
ともなれば熱斗組及び拳王連合軍と接触するのは十中八九考えられる話だ。
黒幕を武道だと思い込んでいる悪魔将軍の気が変わらないように監視し、サーフの存在を知られた場合は暗殺も考慮するために熱斗組に忍び込ませたのである。

ついでにもう一つの準備としてサーフはシグナムとカーネルに改造したPETを使って生体マグネタイトを集めさせた。
生体マグネタイトとは生物に含まれるエネルギーだがそんなものをシグナムとカーネルが集めていたかと思う読者もいるだろう。
状態表の支給品欄を見てもそんなものはない。


……だが、もし違う「名前」に置き換えられてシグナムが集めていたとしたら?



答えはシグナムが小遣い稼ぎに集めていた「ミステリーデータ」。
その中身は金になるものではなく、道中で死亡した参加者からかき集めたマグネタイトである。
パッケージを偽装することで熱斗たちの目を欺いていたのだ。
集めていたシグナムとカーネルにも洗脳の影響で金になるものとしか認識できず、サーフにネットを介して送りつけていた。

その後、目論見通り悪魔将軍と拳王連合軍、シグナムが接触。
シグナム他数名が悪魔将軍と共に死者スレ攻略に参加することになり、まずまず順調であったが、ここでホワイトベース組が襲来。
カーネル消滅、シグナムが気絶してしまう。
だがサーフはこれを悪魔将軍に知られぬまま死者スレの主を殺す好機と見て拳王連合軍とホワイトベース組が戦っている間に、テレポート系のアイテムでシグナムを一旦回収。

ここでシグナムが関西へ向かっている間に作り上げた、DMC狂信者の上層部が作り出した黄泉レ〇プマシンとは別の現世と死者スレを繋ぐ装置を使う。
サーフは狭間とディーのマシン作りに協力しており、似たようなものを作ることは容易であった。
そのマシンにシグナムや大災害での犠牲者の死体からかき集めた大量のマグネタイトを注ぎ込み、シグナムを死者スレに送り込む。
全ては武道の後継者を抹殺するために。



武道の次に死者スレを支配していたのは10/。
カオスロワという物語を楽しむためだけに殺し合いを開かせた……ということはなく、亡き主であるストロング・ザ・武道の忠誠のために働いていた。
武道ほどではないが死者スレを調律できる才能があったらしく、武道や悪魔将軍を凌ぐ戦闘力を持ったカルナをマスターとして使役できる才能の持ち主は10/だけであった。
ちなみに殺し合いの中で死んだ方の10/はクローンであり、武道の死因を作ったサーフを探し出す役目を担っていたが運悪く6/とハラサンに殺されてしまった。

10/は死者の国から世界を俯瞰できたためにカオスロワの裏側は大方知っていたが、TCの影響で現世と死者スレの交信が不安定であったということもあり、心の中・裏の裏までは読むことはできなかった。
シグナムについてもニート対主催としての表向きの部分しか見れなかったためにサーフの手先であると気づかずに
潜伏者として目覚めた彼女の不意打ちによって魂を破壊されてしまう。
全ては10/を油断させて暗殺するためにシグナムを利用したのだ。


「主催者共が作った『怪物(テラカオス)』に全てを飲み込まれるか、『蒼』に飲み込まれて『滅日』を迎えるか……
 このロワはどちらか片方のエンディングしかないのさ……だから、これ以上のあがきは……」

魂が消える間際に10/が最期に放った台詞であるが、これは嘆きの言葉であった。
どれだけ死者スレで足掻いても武道への忠義を果たせず、現世で生きている者に何もできないまま果てる自分へ言い聞かせた悲嘆だったのだ。
洗脳されたシグナムには悪党が泣き言をほざいて死んでいくようにしか認識できないが。

223真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:58:37 ID:xg574Bzs0
10/の暗殺に成功したシグナムは続けて死者スレにある現世への交信手段やそれに準じた能力を持つ参加者を尽く破壊・消滅させ、自分の計画が参加者や主催にバレる可能性を尽く削除。
止めにかかった死者も消滅させ、マシンのエネルギーが切れたことでシグナムはサーフのいる現世へと戻る。

死者スレでの出来事はサーフの更なる洗脳で改竄された。
実際には合ってない本部のことを知っていたのは、たまたま死者スレ入口で死んでいた本部のことを知らないのはおかしいと思ったために付加されたのである。
全裸で戻ってくるのも絵面的におかしいので服とマスク(キン肉マングレート)と、ニルヴァーナでの武道の置き土産である竹刀を渡しておく。
そして死者スレを潰してきたという真実と、黒幕は10/だったという虚偽を土産にシグナムは熱斗たちの元へ帰還した。


10/亡き後も冥府関係者によって死者スレはいちおう再建されたが、残った者に武道や10/ほどの調律能力がないためか非常に脆弱であった。
特にカルナ以外の死者スレの防衛能力が激減。
本来なら弾かれるべき「シャドウであった者」の侵入を許してしまうほどガバガバな警備状態となってしまった。


帰還したシグナムだが、ここでサーフが傍受したナノマシンからの情報から貧乳歌姫ことテラカオス・ディーヴァの能力に第四の壁を認識する能力が備わったことが発覚。
これはサーフの計画をテラカオス自身に知られる危険がある地味に厄介な能力であった。
そこでシグナムにもはや真実を知る方法はなくし、勝ち目のないカルナにぶち当たって死ぬであろう悪魔将軍の監視の任を解き、特攻覚悟で貧乳歌姫と戦わせることにした。

目的は貧乳歌姫の殺害ではなく、02から受け継いついだ第四の壁能力の破壊。
そのために持たせたスキル殺しの剣で破壊し、シグナムは肉体をひとかけらも残すことなく弾けとんだ。



シグナムの手により真実を知る武道の後継者10/は討たれ、後にシグナム自身も死亡。
拳王連合軍が戦いで痛手を受けたため、死者スレに単身で向かわざるえなくなった悪魔将軍もカルナの手によって死亡。
マスターを失ったカルナは死者スレの中に引っ込むことになり、増長したユウキ=テルミはご立派様に貫かれて死んだ。

カオスロワちゃんねるの力によって対主催間で足を引っ張りあいは歯止めが効かないまま加速し続け、混沌な状況を生み出し続けている。
管理人や掲示板の真の目的に気づいたのは草加だけであり、その草加も管理人の顔までは知らない。

サーフは今、DMC狂信者の根城であるビックサイトに身を寄せているが、おそらく予言の中にある「戦士」「歌」「器」「巫女」「勇者」には目星をつけており、後はテラカオスの完成を待つだけなのだろう。
ほぼ全てがこの男の目論見通りに進んだのだ……



そして、今に至り――

224真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 11:59:26 ID:xg574Bzs0



――死の国にて――


真実を知ったシグナムは突然、上半身の赤ジャージを破いて裸になった。
裸体を周囲に晒したいわけではなく、確認のためだ。

「……これでは息をするのもつらくなるわけだ」

シグナムの首から下は生々しい手術痕だらけであった。
サーフが能力を植え付けるために色んな装置や呪詛を施したためである。
シャワーを浴びた際には裸を見たが、シグナム・カーネル両名はマインドコントロールを受けていていつもどおりの裸にしか見えなかったのだ。

「少しでも自分の行動に疑いを持つべきだった……
私は悪人の手助けをして多くの者に不幸を……クッ、騎士として情けない」

真実を知り、巨悪の手駒になって無実の10/や死者スレの数名を消滅させてしまった事実にシグナムはひたすら嘆く。
先ほど牢屋に閉じ込められても暴行を加えられなかったのはむしろ、シグナムも操られていたという真実を知っている死者たちの有情だったのだ。
穴があるならそこに入って引きこもっていたい、刃物があるなら自刃して償いたい気分であった。

一方で悪魔将軍も困惑していた。


「こんなことが……この悪魔将軍たる私がたった一人の人間に踊らされていた、というのか?
だが私はTCホールとやらのことなど知らなかったし、逆にテラカオスのことをある程度知っていたのはなぜだ?
あやつ(武道)と元同僚だった以上は全部知っているか、超人の神々に全ての記憶を消されているにが普通ではないのか?」

その謎を解き明かすのは冷静で的確な推理ができるアタルである。

「あなたが一式・ゴールドマンの時は武道と同じく、世界の運行を守るためにTCホールについての記憶を消されない数少ない存在に神々から選ばれていた。
ところが悪魔将軍として身を落としかけた寸前で、神々はこっそりと記憶を封印したのだ。
それもTCを浴びたことで封印が解けてしまい、部分的にだけ思い出した……TCやテラカオスが危険なだけの存在という部分だけな」
「中途半端に思い出してしまったということか!
そのせいで部下たちに要らぬ闘争をさせてしまった……」

己の不甲斐なさを恥じるシグナムと悪魔将軍。
どこかで自分の行いに疑問をもっていれば……そのようなタラレバ思考が心の中に浮かび上がる。
意気消沈する二人であり、アタルとしても本当なら

「二人共……消沈する気持ちはわかるが、ここは落ち着いて欲しい。
今、死者スレはシャドウであった者の影によって風雲急の事態と化している。
カルナが魔力切れで倒れれば、死者スレは今度こそ終わりを迎え、現世の者たちを苦しめる」
「この落ちぶれた騎士に具体的に何をすればいい?」
「カルナと共に影と戦うか影と戦える仲間を集める。
もしくは彼の魔力の補充をするために一人でも多くの極悪人をかき集めてくれ。
後者は生贄を捧げるみたいで気分の良い仕事ではないが、この死者スレでカルナが魔力を手に入れる手段が他にない」
「わかった……罪人を集めてこよう。
私の罪滅ぼしや、主はやてと仲間であった熱斗たちに報いる手段は他にない」

シグナムに続いて悪魔将軍も立ち上がる。

「私は最前線に立ち、影と戦うものらを指揮しよう」
「ありがたい悪魔将軍……」
「私の場合もシグナムと同じく罪滅ぼし……とは考えん。
この事態はあやつのような過去の記憶を持つ者がサーフとかいう下衆如きを止められなかった結果だと思っているからな。
だがザ・マン――超人閻魔が魂を捨ててまで守った世界が本当に価値あるものか見定めるまではむざむざと影に喰われるつもりはない。
それに小童に踊らされていたままの将として終わるのも面白くない。
下衆がいつかここに来た時に首根っこを叩き折るまでは何が何でも死者スレを存続させてやる!」

悪魔将軍はライバルに恥じない戦いをするために、手前勝手な野望のために世界を窮地に立たせた悪漢をこの手で処刑する瞬間を迎えるために、悪魔将軍は再度立ち上がった。

アタルが仲間を集め、悪魔将軍が指揮を取ることで死者スレの戦力に統制が生まれ、最大戦力であるカルナにシグナムが集めてきた罪人の魂を注ぐ。
こうして戦いは膠着状態までもつれ込んだ。


第10期カオスロワの戦いは死してなお終わらない。

225真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 12:01:06 ID:xg574Bzs0




――混沌黙示録の始まり――


『……そういうことだったのか』

シャドウであった者の体内で真実を聞かされた混沌の騎士は、大災害を起こしたサーフに憤りを覚える。

『サーフ・シェフィールド……そいつさえいなければ、あやのさんような多くの犠牲者が出ることも――』
「違うな」
『違う? どういうことだ!?』

憤りを否定するのはシャドウであった者。
大災害を引き起こしたのはサーフで間違いないのにこれはどういう意味か?

「奴は外道には違いないが、古代ミヤザキの血筋をたまたま濃く受け継いだだけ。
古代人であるタバサを拾ったのも偶然だ。
宝くじで大当たりを引いてここまで順調でいるだけなのと同じだ。
大災害の発端ではあるが、別に他の存在でも十分に起こりえた事態だ。


発端がサーフでなくとも。
武道が心変わりして完璧な世界を作り上げるために大災害を起こしていたかもしれない。
悪魔将軍が全てを思い出し、理想の世界を作るために大災害を起こしていたかもしれない。
ユウキ=テルミが滅日のために大災害を起こしていたかもしれない。


もしタバサを手に入れた者がサーフでなかったとしたら。
光祐一郎が興味本位のためにTCへの興味本位から大災害を起こしていたかもしれない。
ラオウが拳による世界を気づきあげるために大災害を起こしていたかもしれない。
レストが人類に絶望していたために大災害を起こしていたかもしれない。
ダオスが恒久の平和を手に入れるために大災害を起こしていたかもしれない。
デミーラが天魔王として全てを手に入れるために大災害を起こしていたかもしれない。
アナキンが妻や母を取り戻すために大災害を起こしていたかもしれない。
DMC信者がクラウザーの歌を永遠に響かせるために大災害を起こしていたかもしれない。
クライシス皇帝が支配力を高めるために大災害を起こしていたかもしれない。
小町が公的にサボりたいために大災害を起こしていたかもしれない」


『他はまだしも小町さんがそんなことをするわけないだろ!?』
「いや、ある。
今でこそまともだが、あの女は自分のサボり癖が原因で幻想郷の異変を長引かせたこともある。
確率としては確かに低いが、絶対ないとは言い切れない。

……話を戻すが、単にTCとそれを知るタバサという当たりくじを引いたのはサーフだった。
だが宝くじを誰が引いても大災害が起こりえたのだ。
そもそもくじが無ければ大災害は起こらなかったのにも関わらず、くじを設置したのは誰だと思う?」

悲劇の原因の原因はサーフとは別にある。
では彼に大災害を起こさせたのは誰なのか?
混沌の騎士は先程まで教えられた話を思い出し、その答えを述べる。

『――古代ミヤザキ』
「それは半分正解だ。
確かにタバサや後世への遺伝子改造などはミヤザキの所業だが、それも古代グンマーが彼らの思想を理解し同調すれば、そんなことをする必要がなかった。

答えはわかり合おうとせず、自分たちの思想と欲望を押し付けようとする「人のエゴ」!
手を取り合うべきミヤザキとグンマーが争いを起こし、それが巡り巡って二度目の大災害を止められない事態に繋がったのだ」

『人と人が分かり合えないから、こんな事態が起こっただと?』
「左用。
争わねばTCの研究は現代でも続けられ、次の大災害を被害なしで乗り切ることもできたろう。
全ては生きとし生ける物の業のせいなのだ。
テラカオス・ゼロとなって一度は世界を救った平賀才人も報われない。
タバサが人に絶望したこともわかる」

困惑する混沌の騎士に畳み掛けるようにシャドウであった者は話を続ける。

「業がなければ大災害が起きずに私が生まれることもなかった。
これは因果応報……世界を滅びに導いているのはこの世界の者に他ならない。

貴様も人の業に関しては経験しているだろう?
その最たるものがバトルロワイアルで、それによって生み出された貴様なんだからな!」
『ぐぬぬ……だが、人は分かり合えるハズだ』
「綺麗事を言うのは簡単だが、分かり合えない結果として私は来たのだ。
それにサーフがテラカオスを通じてTCの力を手にしようとしているように、大災害を防いだテラカオスが全てを支配できる力を得ると知った時、果たして何人が誘惑に負けずに世界のために戦えるだろうか?」
『テラカオスを巡って争奪戦が起こるというのか!?』
「可能性は十分にある。
実際、対主催同士で殺し合いをしているぐらいだ。
全ての根源たるTCの力なら失われた自然や土地を戻すこともできる。
死したものも……既に魂が砕け散った者以外は復元・複製ができる。
誰が欲望に負けてテラカオスを自分だけのものにしようとするか見ものだな?」
『……』

226真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 12:01:38 ID:xg574Bzs0

TCの力を掌握したテラカオスは理想の世界を自在に作れるだけの力を有する。
例え対主催でも、手のひらを返して仲間を裏切る可能性は十分にある。
私欲や自分だけの生存のために仲間を売る輩がいるのだから、考えられない話ではない。

「この世界はおまえが考えているほど高潔な代物ではない。
一度全て破壊してしかるべきなのだ。
手を貸せとまでは言わんが、部外者が邪魔をしないでくれるか?」
『……しかし』
「もう楽になるんだプロトタイプのテラカオスよ。
貴様のこの世界での役割はとうに終わった。
あとはTCという情報の巡回に身を任せよ」

確かにサーフだけでなく醜い人間や存在が殺し合いの中には沢山いた。
それを死者スレから現世を見てきたために、シャドウであった者の甘言に乗りそうになる。

『いや』

それど混沌の騎士は人の業ばかりを見ていない。
醜いものの次に思い浮かんだのは、元の世界での仲間である春香たちの笑顔。
そして悲劇を終わらせるために戦い続ける影薄組の背中であった。

『少ない悪人のために善き人全てを犠牲にするわけにはいかない。
私は人々の正義を信じて自分の戦いを続けさせてもらう』
「……あれだけ見せてまだ信じるというのか、愚かな」
『なんとでも言うがいい。
大災害を引き起こした人の仕業なら終わらせるのも人の手で終わらせられるハズだ。
それを生き残った彼らが証明してくれるだろう……貴様やサーフと倒してな!
この世界に関わった以上は私も部外者では決してない!
魂が砕け散るその時まで戦わせてもらう!』

意志は挫けることなく、シャドウであった者の妨害を続ける混沌の騎士。
懐柔に失敗してシャドウであった者はどことなく面白くなさそうな様子だ。

「フンッ、だが貴様やカルナが頑張っても再生能力は私のほうが若干上。
魂喰いに使える罪人の魂も無限ではないのだから持って12時間……それ以上は善人の魂を犠牲にせざる負えなくなる。
死者スレが終わればテラカオスも力を行使できなくなる……それまでに私を倒せるものが現れると良いな?」
『ああ、できるさ。彼女らなら』


この殺し合いもいよいよ佳境。
この混沌の黙示録の中でここまで生き延びた参加者がどのように戦い、どのような結末を世界が迎えるのか。
どうかあなたの眼で確認して欲しい……

227真相レ〇プ!黙示録と化したバトロワ! ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 12:02:07 ID:xg574Bzs0



【二日目・16時30分/静岡県・富士樹海・死者スレ内部】
【カルナ@Fate/Apocrypha】
【状態】宝具ぶっぱで常に魔力消費
【装備】自身の槍、黄金の鎧
【道具】不明
【思考】
基本:使命に従い、死者スレを守る
1:罪人を魂喰いで魔力をチャージし、宝具コンボでシャドウであった者の影から死者を守る
※死者スレにいる罪人(特に酌量の余地がないもの優先で)を魂喰いすることで魔力を補っています
 ただし、罪人だけの魂では12時間しか持たず、それ以上は善人の魂を消費しなければいけません
 死者スレで魂喰いされた存在は物語がどんな結末を迎えても、二度と復活できません
 魂がないのでサイボーグ化復活も不可




【二日目・16時30分/沖縄県】

【シャドウであった者@テラカオスバトルロワイアル十周目】
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、休憩中、弱体化
【装備】聖約・運命の神槍@Dies irae 他不明
【道具】不明、混沌の騎士の魂
【思考】基本:世界の破壊
0:あの者(テラカオス・ディーヴァ)の魂の破壊
1:死者スレの掌握
2:体力と傷の回復
3:混沌の騎士の魂がとにかく邪魔
※シャドウが現れた沖縄ではTC値が増大しています。
※ディーヴァの捕食した能力も込みで持っているようです。
※死者スレを掌握、しかし掌握途中のため使える能力には制限がある模様。
※死者たちの召喚や使用していた装備なども使用可能、ただし掌握途中の為、制限あり。死者召喚は三人まで。
※死者スレ掌握及びディーヴァとの戦いでの傷を癒すのにリソースを割いているため弱体化中。
 更に死者スレ内の防衛にカルナが投入され、一度はテラカオスとして完成したこともある混沌の騎士の魂に内部から妨害を受けることで掌握速度が停滞。 
 完全掌握に12時間以上の時間を要します。
※混沌の騎士のように一度は完成したテラカオスの魂は性質上、取り込めません



※以下のキャラの魂が完全に破壊されました
 物語がどのような結末を迎えても、二度と復活できません

【ベジータ@ドラゴンボール】
【野田総理@現実?】
【シックス@魔人探偵脳噛ネウロ】
【バット星人グラシエ@ウルトラゼロファイト】
【ユウキ=テルミ@BLAZBLUE】
【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【つば九郎@ヤクルトスワローズ】

228 ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 12:05:41 ID:xg574Bzs0
投下終了です
シャドウへの制約や予言の答え合わせ的なものと
サーフが今まで何をしていたか、悪魔将軍やシグナムの死者スレ破壊やタバサなど腑に落ちなかった点を強引に解釈してまとめて見た
反応を見て大丈夫そうなら本スレに投下いたします

229ラスボスっぽい中ボス:2018/03/14(水) 14:37:15 ID:REMWE.Eo0
投下乙
自分的には問題ないように感じるけど、ただ一点だけ
都庁のフォレストセルは『生後1000年ちょっと』なんだよね。だから数万年だとちょっとずれちゃう
フォレストセルは原作からして元々複数体いるって明言されてるから、別個体にすれば問題ないとは思うけど
いまちょうどオオナズチのミヤザキ話書いてたところだから、この話通ったら『今』のフォレストセルと『古代』のフォレストセルの関係も説明できるかも
運良くこの話の中にオオナズチに情報流せそうな都合のつく登場人物ちらりと出てるし

230 ◆8t1yIW/rRU:2018/03/14(水) 14:47:15 ID:xg574Bzs0
>>229
見落としてました
本投下時にはフォレスト・セルは東京の個体に絞らず、古代グンマーが各地に隠したって形に直します

2319月13日はカイザの日 Part6:2018/09/13(木) 00:11:46 ID:5PMwNl7c0
  ト
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      ト、   V ヽ \=.、 イ | lV_| |/    \、  | ヽヽ ヽ //,/  |l ! / /
        ヽ\  V  ヽ  \` くレ- \ ̄ヽ く\-、ヽ、_,jレ/イ } レ' //   l !|// /
          V、ヽ ヽくヽヽ   \ート`ヽー丶\\ヾ:ト\ヽ_K_∠イ://   j |!|/ l
        Vヽ\ 7 />、.._  リ ∧:ヽく ̄ヽ-ヽへ\ヽ<フ,、くノイl/  ノ!_ノァ' | /
         ヽj  V / / ̄∧二ニー、\::ヽ、 \ `TくヘヽlヽY∠!Lィイ/|<>イ /
          jト\ V /// /トY_廴>、ヽヘヽ ヽ_| ヽ_\┴vァ7:/_//′l/  /′
    _ =三二V ト、 ヽ// /l/77ヾヽノ´|´ト:「 |  /ト ̄ヽ二 ̄_,ィ〈/イゥト  ィ/、\//      
 -=―  ̄   / Y|ハ:}_|/ /∧ l/  トヽハ |ハ:| l /|\\く::r\ー '_/V=,く/\、V /_
         // ハ.l |ヘ\!/ ィェェァ ' ∧l! | j イ::ィ\'ト \ヽ_ >‐´}ニ| j_j、  //ト=ニ=-
         // / / l!V | V! // ヽ\ | ハl!jイヽ:!ヽニ´ハヽ. lTTト-<ァイイハノ /イ! |
         // j!Y |ハ| ! | |\ー----!、}j/へ1| l::l ト<.ヘヾ!l !||/|Tイ| !|!´\ }イヽ.!
         // /ト| l l! レl´|  ヽ―-、| ヽ /|丶ヽ:〉ヽ. Viヽl l !!!ニハヽl l|ト _ヽハ l
        // j lト|/ l!/V´小 /┬、-くV´ ̄ V-ヽヽ、 \_|ハ! |ト、 Vト l!ヘ  |ハ i
      l l j_ハ |! 小/ 〉ノ| Vj | ト_トヽ〈  /l! \ヽ〉, ヽト小、||!/ 7'ト、|イ ̄lヽ |ヽ|
      ///リ |! | | Yイ | {ノ レくヽハi 〉 イl ∧  V!∧ |イ} / /l l!| トイ77くヽトj
      // //   ! j ! | | jハノニ=イj//ヘ / |!   |!|::{ |:〈 〈-〈| | l!!∧7くァ1 l!′
      //,//   | | イィ′V      |/′ _/  |ト、   ||:::ヽl小\\Vj:||イくl! Vヘlj!
    ///'/     ! | /l′  ト     / / /′ |ヘヽ  ||:::::||´ ヽ._\\トハノ|   V|
   j/ l!/     |   /|    | l   /7 //}  /| | ∧ !ト、:||   |イi\ヽ |V   l !
   | /     l  //′   ! ! // 〃l´   V! ! |:∧j| l:!!  /イ |/l ヽVヽ   !|
   l /      | //   | V!´ /{ |, =く /j|||:ハハ|  || / /| |/| ∧| l  / |
   |′      | //      !  |! /イ  1   l ノ:! ト| |∧ || { il::| j/| |:/  j/l |
         | l/      |  ハl/:::〉、 jr‐v'∧l! | l  !:::ト 1 l l!::|/| | !∧ ! _j! イ
           | l′      |  | |!::/ /7! /、|:::〉/| |:::| ヽ! ヽ l::! ト|-|:::/,.-く |/
            |/       ト 、| lV / / |小:ll//-ァ′ |:::!    ヽー' / j// \ V、 ,ヽ
                l  \/イ}---イ l//   V  , 、‐く` ニ _ イ  /\ト l
                 _l   / |/  |∧ト イ|       /  \\、`ー/    イj- 、
               /__ヽ./ /ィ二ィヽ V /      ヽi   〉‐トY- _  /、ヾV―-\
            / ̄-― | /ィ/|ーハ∧ }        ヽ∠/_/ \    {‐ 二〉、
          / ‐_ ∠/Vイト ! |/1∧イ               \  |ィー-、\\
        /_/ ̄  ̄  1 ||_r‐v /|_/‐′                ̄  ̄ `ヽト、\\
         ̄            | V― //                              \\ヽ
                   | |  //                              ̄
                   ヽ! //
                     ̄


『邪魔なんだよ……カイザの日を祝わないものは全て!』

2329月13日はカイザの日 Part6:2018/09/13(木) 00:12:19 ID:5PMwNl7c0

その頃、草加さん(今年はサイドバッシャー状態)は今年もまたカイザの日を祝おうとしていた。
……去年も一昨年も三年前も四年前も五年前も同じことを言っていたが、彼にとって大事なことなのだ。

五年ですよ、五年。
その間色々ありましたが、皆さんはどうお過ごしででしょうか?

まあ、そんなことはさておき……


草加さんはDMC狂信者の本拠地である東京ビッグサイトに辿り着いたものの。
草加さんお目当てのグレートゼオライマーはいなかった。
イデオンやらマジンガーZEROやら真ゲッター1やらグレンラガン、レオパルドンはあった。
そして、何故か知らんが大破していたヴァンツァーもあった。。
こんなに強そうな機体があるのはドリルコスがグレートゼオライマー乗っているのと同じ理由だ。
しかし、これだけ揃っていてもグレートゼオライマーはなかった。
だって、これらの機体よりもグレートゼオライマーの方が強いのだ。
だから、ドリルコスがグレートゼオライマー乗っている。

だが、他の機体でもいいかもしれないが。
皆さんは『初志貫徹』という言葉をご存知であろうか?
英語で言えば『Carrying out original intention』

「初志」とは”最初に決めた志(こころざし)や思い”。
「貫徹」は”貫き通すこと”を意味する言葉である。

まあ、クラウザーさんよりも賢い皆さんなら知っているという体で話を進めよう。

妥協などしてはいけないのだ。
だからこそ、草加さんはグレートゼオライマーに憑依したいのだ。
というよりも、今の名前が挙がった機体ほぼ無機物じゃないのだ。
出来るはずないのだ.

と、こんな感じで草加さんはファッション感覚で頭おかしい(褒め言葉)行動を実践していた。
彼にとってクラウザーさんなどどうだっていい存在なのだが、一応、今の彼はDMC狂信者なのだから。


「サイドバッシャー、探し物は見つかったですか?」
『すまない、どうやらここにはないみたいだ』
「そうですか……」

その時である。

「ニャガニャガ〜〜こんなところに誰かと思ったら貴女方でしたか」
「あっ、ホモだ」
「ぶっ殺しますよ?」

白い格好の完璧超人始祖サイコマンが現実時間にして約一年二か月ぶりに現れた。
彼がここに現れた理由……それは今、伝えるべきではなかろう。
何故なら、今日はカイザの日なのだから。

そして、彼は格納庫にあったロボットを全て自身のデイパックの中に詰め込み始めた。
支給品だからね、デイパックの中に入るのは当然だよ。
そのあと、レジーナ達との情報交換(専ら情報を出てるのはレジーナ達だけ)をした。
しばらく、サイコマンは何かを考えるようなポージングをした。

「接触してみる価値はありそうですね……ニャガニャガ」
「ゼロに接触するんですか?」
「はい……ですが、私一人ですと少々不安がありますので……
 もしもの時のために貴女方も来てくれるとありがたいのですがね」

これは女子二人と草加さんにとって好機であった。
二人としては手柄を立てるこ=クラウザーさんの為になるのだ。
そして、草加さんは早くもゼロと開墾出来る可能性が出てきたのだ。



だから、彼女たちはその提案に――――『乗った』。

2339月13日はカイザの日 Part6:2018/09/13(木) 00:12:43 ID:5PMwNl7c0
【二日目・21時09分13秒/東京ビッグサイト】


【暁切歌@戦姫絶唱シンフォギアG】
【状態】疲労(小)、決意、首輪解除
【装備】シンフォギア「イガリマ」、イグナイトモジュール@戦姫絶唱シンフォギアGX
【道具】支給品一式、クロエの首輪
【思考】基本:SATSUGAI、自分の生きた証として絶対にクラウザーさんを蘇らせる。
1:みんなの希望であるクラウザーさんは必ず蘇らせる!
2:風鳴翼については大いに失望
3:同じ狂信者仲間としてレジーナを大事にしたい
4:フィーネになってしまう自分の危険性を考慮し、クラウザーさんが蘇り次第、自分の命を断つ
5:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
※自分が新しいフィーネになると思い込んでいるのは勘違いです
 よって、自分がフィーネになると勘違いしている時期からの参戦です
※サイドバッシャーを支給品と思い込んでおり、正体に気づいていません


【レジーナ@ドキドキプリキュア!】
【状態】健康、首輪解除
【装備】ミラクルドラゴングレイブ、電子星獣ドル、シンフォギア「シュルシャガナ」
【道具】支給品一式、ギラン円盤
【思考】
基本:クラウザーさんの復活
1:クラウザーさんの為にすべての人や魔物をSATSUGAIする
2:切歌に友情を感じている
3:ゼロを警戒し、可能なら正体を探る
※月読調のギアの装者になりました
※サイドバッシャーを支給品と思い込んでおり、正体に気づいていません


【草加雅人@仮面ライダー555】
【状態】サイドバッシャーに憑依、テラカオス化進行(中)
【装備】サイドバッシャー@仮面ライダー555
【道具】カイザギア@仮面ライダー555
【思考】
基本:生き返る方法を探す・カオスロワちゃんねる管理人を殺す
0:狂信者の支給品として、グレートゼオライマーに憑依する
1:0が済んだら蘇生手段も手に入れる
2:とりあえず、乾巧の仕業にする(カオスロワちゃんねる管理人以外)
3:来年のカイザの日も祝いたい
4:仲間にする奴には大災害の原因や蒼(TC)の件を教えておく。狂信者は様子見してから。
5:怪しいゼロの正体を探る。管理人だったら殺す。
6:乾巧が死んだので真理は俺のもの!
※大災害発生の原因とカオスロワちゃんねるの危険性を知りました
※テラカオス化によって得られた能力として無機物への憑依能力を得ました
※生き返れるタイムリミットは(作中時間で)残り55.5日です。
 再憑依のペナルティとして、一回につき蘇生タイムリミットが9.13〜55.5日まで減少します。
※テラカオス因子によって魂を現世に繋いでいるため、フォレスト・セルやツバサの治療を受けると問答無用で死にます
※カイザの日はテラカオス因子とは関係ありません。
※仮面ライダージオウに出演することが決まりましたが、今回の話とは関係ありません。

【サイコマン@キン肉マン】
【状態】健康、首輪解除
【装備】なし
【道具】支給品一式、イデオン、マジンガーZERO、真ゲッター1、グレンラガン、レオパルドン、ヴァンツァー(大破)その他不明
【思考】
基本:????
1:↑の目的のためにできればシルバーマンさんも勧誘したい
2:ゼロとの接触。
3:そういえば、草加さんは……まっ、いいでしょう。
※サイドバッシャーの正体に気づいているかもしれないし、気づいていないかもしれない。

234あきよの破壊力が異常:2018/09/13(木) 00:14:00 ID:5PMwNl7c0
総合板に巻き込まれ規制をされたのでこちらに投下しました。

235あきよの破壊力が異常:2018/09/13(木) 05:23:19 ID:VDKOuonc0
投下乙
悪くはないんだけど時間飛びすぎじゃね?

236ラストネットワーク・不足状態表:2018/10/01(月) 14:58:42 ID:j.EyEPdw0
【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、尻尾切断(処置済み)、野球脳、激しい怒りと悲しみ、首輪解除
【装備】病衣
【道具】なし
【思考】基本:ハラサンの意思を継ぎ、チームを優勝させる
0:ギムレー達が戻るまで、ツバサや仲間を守る
1:野球を邪魔するDMCは許さない
2:また多くの仲間が死んじまった……自分の無力さが不甲斐ない
3:ソウルセイバー……
4:拳王連合軍は本当に悪逆集団なのか?
※回復したため、戦闘力がとても大幅に上昇しました
※一瞬だけスーパーサイヤ人化しました。これからいつでも変身できますが本人はまだ気づいていません

【白光炎隼神ホルス@パズドラ】
【状態】健康、悲しみ、首輪解除
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】基本:世界を救うためにイチローについていく
0:ソウルセイバーのことは非常にショックだが、今はツバサ達の護衛
1:死んでしまった奴らのためにも頑張るホル!
2:都庁に儚げな巨乳がいるなら、向かってみてもいいかもしれない
3:ホルもソウルアーマーを遺したくなるよう人に会ってみたいホル
4:できればそれは巨乳の女の子が(ry 特にクリスやなのは、はやてみたいなええ乳の(ry
5:ツバサも乳があればなあ……

【テラカオス・ディーヴァの残滓『ツバサ』@テラカオスバトルロワイアル十周目】
【状態】健康、完全TC耐性、キングストーンにより変身可能、首輪なし、若干エントロピー減少により弱体化
【装備】キングストーン
【道具】リボルケイン
【思考】基本:テラカオスの因子を集める。この力で守れるものを守る。
0:さっきのダークキバは、もしかして……
1:どうして人はあんなに残酷に殺しあえるんだろう……
2:Lさん、ゼクスさん……貴方達の犠牲を忘れません。
3:私にも救えない人がいたなんて……
※ディーヴァが持っていた能力はキングストーン以外が使用不可。
※一度、テラカオスになったことにより完全なTC耐性を保持、テラカオス候補者のTCを回収できます。
※死んだことによりディーヴァの性格を引き継いでいません、これからどうなるかは不明。
※記憶を大半喪失していますが、生みの親の名前、風鳴翼が捕食で世界を救おうとしたこと、都庁での悪い思い出、沖縄で敵が現れ敗北したこと、夢で出会った男(才人)のことは朧げながら覚えています。
※仮称としてツバサという名前が与えられました
※ユーノに吸収された因子とエントロピーは通常手段では回復できません
 他者の因子を吸収することによってのみ回復します


【二日目・20時00分/東京都 都庁内の何処か】
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】
【状態】健康、首輪解除
【装備】不明
【道具】支給品一式、狂信者から盗んだ色々なアイテム
【思考】基本:美少女とエロ同人誌みたいなことしつつ都庁で暮らしたいが、そのためにも予言を完成させる
0:ギムレーからの情報を仲間に伝える
1:正直、友や仲間の死には心を痛めている
2:やっぱり草を生やしてこそ我ですなwwwwww
3:でも真面目な時は頑張って草抑える
※尻尾も破壊された場合、ステルス能力を失います
※狂信者から盗んだアイテムはデモニカ以外にもあるようですが、詳細は不明です

237あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:35:32 ID:RjIvn3.s0
クロコダインやウドラを失った聖帝軍先遣隊を乗せた新幹線のぞみが都庁のある新宿にたどり着いたのは19時過ぎになってからであった。
多くの狂信者を屠ったダオスのレーザーや神樹の根が届かないギリギリの位置でのぞみは動かなくなる。

「のぞみが壊れた。これ以上は進めない」
「ここからは足で行くしかないね」

安倍の襲来によって中破状態だった新幹線のぞみは限界を迎えていた。
紘太たち5人と3匹はのぞみを捨てていくしかなかった。

「しかし、大丈夫なっしかね……都庁の魔物たちは」

ふなっしーが不安そうに言うが無理もない。
彼らはまだ、同盟を組む気だったとはいえ都庁が対主催として、そして大災害阻止のために動いていることを知らないからだ。
ただでもネット上において都庁には黒い噂が多すぎる。
都庁の世界樹が魔の森であるヘルヘイムではないことは本物のヘルヘイムをよく知っている紘太がいるので承知の上だが、だからと言って危険がないとは言い切れない。
そもそもそれを確かめるために、自分たち先遣隊が派遣されていたのだが不幸な事故とミスによって交渉どころではなくなってしまった(そのおかげでキュゥべえたちを助けることはできたが)。

「……今は自分のミスに責任を感じてるよ。だけど、アタイたちはいかなければいけない。
ネットによるとサウザーたちはあの中にいるんだから」

霧切から借りたノートパソコンで見た情報により、スカイツリー前での聖帝軍と狂信者、都庁軍をも巻き込んだ大戦闘の件はここに来る前に知っていた。
その戦いにより多くの仲間が命を落とし、きらりんロボが謎の暴走を起こして立川市と罪のない人々を焼いたこと。
スカイツリーも破壊されて作戦は失敗に終わったこと。
サウザーらは都庁に味方する白いエヴァンゲリオンによって都庁へ向かった(または連れ込まれた)ということだ。
さらにはチルノと面識がある小野塚小町(正義の乳神)に救われたモブからの情報によると、都庁は罪のない参加者を洗脳してコキ使う悪の集団だということだ。

嘘が混じる場合もあるカオスロワちゃんねるだけを信じきるわけにもいかないが、仲間が都庁の中にいるのは確実だ。
保護されているのならば合流し、都庁が小町が言う通りの悪の集団ならばナニカサレル前に助け出して脱出しなければいけない。

『グッ、がは! 三途の川の先でご主人様の影が……』
『姐さぁーーーーん!』
「千早もこれ以上は持たそうなっしー」
「毒消しを譲ってもらうにしろ、奪うにしろ、都庁に進むしか選択肢はなさそうだね」
「……わかった、危険かも知らないが都庁へ向かおう」

大阪にて拾ったサーベルタイガーの千早の毒状態も深刻だ。
フロワロの毒をなんとかしなければ一時間持たないだろう。
ネットで聖帝軍は悪人のレッテルを貼られた以上、毒消しを譲ってくれる参加者はまずいない。
クロコダインが戦死して先遣隊のリーダーとなった紘太はしばらく考え、都庁に向かうことを決断した。

「僕も行きます!」

それを言ったのは先刻、気絶から覚めたばかりの苗木であった。
しかし紘太は苗木を静止する。

「いや、おまえはここに残って霧切とキュゥべえを守れ」
「なんでですか!? 僕だって戦えます! 拳王連合軍の奴らだって三人は殺してるし」

同行を拒否され驚く苗木に、彼の後ろにいたキュゥべえが紘太に代わって理由を言う。
先の放送で知り合いのホワイトベース組の仲間である乾巧たちの死を知ったことであからさまに冷静さを失っている……というのもあるが、あえてそこは伏せておく。
それ以上に合理的な理由があるのだ。

「君は寝ていたことで体力は多少マシになったたけど、激しい戦闘に耐えられるほど取り戻してはいない。
実力自体もボクとふなっしー以外には勝てないぐらい弱い。
そんな君が行ったところで仮に戦闘になった場合は紘太たちの足でまといだよ」
「足でまといは言い過ぎだが、キュゥべえが言ったこともあながち間違いじゃない。
仮に戦闘になったら何もできないまま死ぬと俺たちは思っている」
「そんな……」
「苗木はその代わりにキュゥべえと霧切を守ってやってくれ。
言っちゃ難だがキュゥべえはともかく、今の彼女を都庁に連れて行くと余計な騒乱を招きそうな気がする」

紘太は新幹線の椅子で膝を抱えて座っている霧切を指さした。
安倍を瞬殺した戦闘力からして戦闘力は先遣隊最高だが、その前に心が壊れている。
デリケートさが求められるやもしれぬ話し合いの場にはとても連れていけなかった。

238あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:36:07 ID:RjIvn3.s0

「彼女には心の支えが必要だろ?」
「ええ……それは確かに」
「友達であるおまえが全力で守ってやれ」

今の霧切の心を守る仕事ができるのは友達である苗木とキュゥべえだけであり、繋がりがまだまだ浅い紘太たちではできない仕事だ。
血気盛んな苗木をそのように諭すと、紘太は新幹線の中に取り出されたマシンウィンガーを見る。

「そういえば苗木は確かバイクの運転ができたな」
「ええ、超高校級の暴走族である大和田くんのシゴキを受けて」
「もし、俺たちと都庁で戦闘になったら……」
「バイクに乗って助けに行けばいいんですね!」
「それは違うぜ」
(台詞取られた)

「戦闘が起きたと思ったらバイクに乗って霧切とキュゥべえを乗せて遠くへ逃げるんだ。
仲間の命を守ることはもちろんだが、あの子の貧乳歌姫の接近を防ぐ結界は多くの人々に取っても大事だ。
死んでしまったら俺たちでも勝てるか怪しい風鳴翼を本州に招いてしまう。
多くの人のためにもしっかりと守ってやるんだぞ」
「だけど!……いや、わかりました」

過去に似たような状況で似た指示を受け、葉隠や巧を救えなかったことにより苗木には不満があったが、自分の弱さを自覚しているだけに結局折れることになった。

「割り振りはこんな感じだな。
俺、チルノ、ふなっしーと支給品軍団が都庁へ行き。
苗木、霧切、キュゥべえはのぞみに残り、戦闘が起きたらバイクで逃げること、良いな!」

そして鎧武に変身した紘太とチルノ、聖帝軍の旗を持ったふなっしーは都庁へと向かって歩いて言った。
そんな三人を見送るのは苗木の不安そうな眼であった。



恐る恐る、しかし確実に巨大な都庁の世界樹に近づいていく三人のターバンたち。
近づく度に焦りは募っていく。

「いちおう識別のための旗は掲げてるけど、ホ、ホントに大丈夫なっしか……」
「攻撃してくれば交渉は失敗、都庁はアタイたちの敵ということになるね。
そうなったら最強になったアタイが全員氷漬けにしてやりたい、ところだけど感じる魔力は悔しいがアタイたち三人では勝てないくらい強大……苗木たちのこともあるし、戦いになったら逃げの一手だね」
「だが俺たちはもう信じて進むしかねえ。
沖縄には謎の異常気象、近畿には毒の花、神奈川には拳王連合軍、ビックサイトに狂信者、千葉には超巨大ドラゴン、極めつけに上空には主催の九州ロボ。
千早を救うためにも都庁へ行って真偽を確かめるしかないんだ」
「それは確かなし……腹を括るしかないっしか」

あくまで紘太たちの目線であるが、彼らの目線では聖帝軍以外の全てが驚異であり、味方が待っているかもしれない都庁しか行く道は残されていなかったのである。
自分たち以外の最後の対主催集団と思われるイチリュウチームは邪竜ギムレーの中、都庁近くにいるはずの小町はなぜか行方不明。
仲間である千早の死期が迫っていることも考えれば都庁が善であれ悪であれ残された道は一つしかなかった。

一歩、また一歩と近づくターバンズであったが、そこへ爆撃のような攻撃が紘太たちの正面数メートル先で炸裂した。
攻撃は直撃こそしなかったが、空を見上げると数匹のドラゴンが牙を向けてこちらに向かってきていた。


「なに!? 攻撃された!」
「ひいいいいいいいい、やっぱ襲ってきたなっしーーー!」
「戦闘態勢! 来るよ紘太、ふなっしー!」

紘太は奥の手の極ロックシードを構え、チルノは無数の氷の矢を生成。
ふなっしー自体は逃げ腰だが、彼の代わりに支給品のシャルロッテとデストワイルダーがいつでも迎撃できるように牙を覗かせていた。
聖帝軍の一味を攻撃してきたところからして都庁はやはり敵なのか?
それは紘太が一戦交える覚悟をした寸前に、答えが出る。

「……! ちょっと待ってください高津さん、彼らをよく見て!」
「ん? 誰かと思えば紘太たちじゃないか」
「高津さんと犬牟田!」

239あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:36:50 ID:RjIvn3.s0

ドラゴンの背に乗っていた二人のターバンは聖帝軍の一員である高津と犬牟田であった。
ドラゴンたちも紘太たちが背に乗せている二人の知り合いだとわかるとすぐに攻撃態勢を解き、交戦意思はないという素振りで三人の前に着陸した。
そして犬牟田と高津は手始めにレストから教えられた方法で三人の首輪を解除していく。

「洗脳されている……ようには見えないね。
これから騙し討ちするにしても戦闘力の枷になっている首輪を外す意味がないし」
「でも正義のオッパイ神とかいう人は都庁は悪の組織なしって」
「それにはとても複雑な事情があって長くなるから詳細は後で話すよ。
簡単に言うと都庁は僕たちの味方であるし、同盟を組むに値する正義の組織だ。
悪の組織だのヘルヘイムだのは誰かが流した虚偽情報なんだ。
ちなみに小野塚さんは本当は僕らの仲間なんだけど、わけあって悪の組織と吹聴させているんだ」
「う〜ん、よくわからないけど、聖帝軍の仲間は無事なっしね?」
「ああ……放送で呼ばれた人以外はみんな生きているよ。もちろん洗脳なんかされていない」
「それを聞いただけで安心のため息がでるね」

細かい経緯はイマイチわからないが、聖帝軍と都庁軍は先遣隊抜きで交渉した。
そして危険のない組織であり、その中でサウザーたちが保護されていると聞けば、肩の荷も幾分か降りたんだ。

「でもなんでさっきは攻撃してきたんだ?」
「都庁には非常に目や耳の良い奴がいてね、怪しい奴がいると聞いて偵察に来たんだ。
狂信者や拳王連合軍の手先かもしれなかったから、見かけて野球ボールで威嚇射撃を行ったというわけだ」
「ちょっと待つなっしー! 聖帝軍の旗は掲げていたなっしよ!?」
「……悪いけど今は夜だよ、暗くてよく見えなかったんだ」
「「「あ……」」」

先ほどの高津からの攻撃の理由は旗がよく見えなかった故の威嚇であった。
変身・大人化しているとはいえ面子的に誰だかわかるが、それは明るい昼間の話。
都庁からの先制攻撃を恐れるあまり旗や自分たちに懐中電灯を当てて仲間であることをアピールすることを失念していた彼らは攻撃を受けたのである。
幸い、冷静な犬牟田が迂闊に敵とみなすべきじゃないと進言したので高津やドラゴンたちも初撃は威嚇にとどめたために死者は出なかった。


「高津さん、すまねえ……俺たちのミスのせいで先遣隊はアンタたちより早くたどり着くことができず、クロコダインも死なせる結果を招いちまった」
「みんなは悪くない、発端はアタイの操縦ミスだよ」
「チルノも責めないでほしいなっしー、シャルロッテや苗木たちのようにチルノのおかげで助かった命もあったなっしー」

次に紘太たちは仲間たちに自分たちの不手際を謝罪した。
おそらく本隊側から都庁との同盟を結ぶことはできたのだろうが、自分たち先遣隊が都庁に早くたどり着いていれば先の戦いの犠牲をなくすこともできたのだろう。
そう思うと三人は胸が痛かったが、高津と犬牟田は彼らを許した。

「よせよ。それを言ったら俺たちも多くの子供たちを守れなかった。
クロコダインは残念だったが、おまえたちのボロボロ具合からしてそっちも必死に頑張ったんだろう。お互い様だ」
「色々複雑な事情はあるんだけど、君たち先遣隊が都庁にたどりついたところできらり……んロボは暴走していた。
どっちにしろ交渉するまでもなく僕たち聖帝軍は都庁の信頼を勝ち取っていて盟約を結べたんだ。
恥じることは何もないさ」
「……本当にすまねえ」

高津と犬牟田に諭され、紘太たちの心配もほぐれた。
仲間たちは先遣隊を責める気など最初からなかったのである。

「さて、おまえたちにも都庁との会談でいくつかわかったことがあるから教えたいところだが、かなり重大な内容だからできれば世界樹の中で話したい」
「だけどその前に僕らと別行動で斥候に出た仲間と合流しなければね」
「仲間? 俺たちを見に来たのはアンタたちだけじゃなかったのか?」

どうやら高津犬牟田コンビとは別口で紘太たちを迎えに来たグループがいるようだ。

「その様子だとすれ違ったらしいな。
実は仲間の中に一人、桑原っていう霊直感に優れた奴がいて、そいつがおまえたちに対して嫌な予感がすると言ってたんだ」
「嫌な……予感だって?」
「ああ、ひょっとしたら俺たちの敵になるヤベー奴が新幹線に乗ってるかもしれない、ということで敵だった場合は正面の俺たちと背後からの桑原たちが挟撃する予定だったんだ」
「だがこの様子だと危険はなさそうだね」

240あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:37:25 ID:RjIvn3.s0

「待ってくれ、新幹線に乗っていたのは俺たち以外にも他に三人いるんだ!」
「なんだって?」

二人の言葉に何やら嫌な予感を感じた紘太。
新幹線に残っているのは苗木、霧切、キュゥべえの二人と一匹。
おそらく桑原たちはそちらと接触するだろう。
二人と一匹は大阪から東京に移動するまでの間に(性格的な危うさはあったが)悪人にはとても見えなかった。

それでも……鎧武のマスクの下はなぜか冷や汗がにじみ出ていた。


 ■ ■ ■


一方その頃、稼働しなくなった新幹線の近く。
その物陰に桑原とアイスシザース、何匹かの中級以下FOE。
そして聖帝軍のイリヤがいた。

イリヤがついてきているのはやってきた一団が紘太ら先遣隊である可能性もあるため、顔をよく知っている聖帝軍の誰かの手が必要であったので抜擢されたのがイリヤであった。

『あの中に聖帝軍の仲間はいるか?』
「……いや、あんな人たち、私は知らない」

しかし新幹線の中にいるのは見知らぬ背の低い少年と、何かに怯えるようにうずくまっている幼女だけである。
それもそのはず、紘太たちは既に都庁に向かっており、新幹線の中には顔見知りは誰ひとり残っていなかった。

「狂信者っぽくはないし危険はなさそうに見えるけど」
「だが奴らから嫌な勘がビンビンしてるぜ」

先遣隊の関係者ではなさそうだが見た目で安全ではないかと判断するイリヤ。
一方で強い霊感から冷や汗の止まらない桑原。
すぐに接触するべきか、一度都庁に戻って仲間の判断をもらうか考えあぐねていた二人と一匹であったが、ここでアイスシザースがとある存在を発見する。

『!! 奴がいる!』
「奴って?」
『ホムラが言っていた危険な宇宙生命体、インキュベーターだ!!』

白ウサギとネコを足したような見た目の高度な知性を持つ宇宙生命体キュゥべえもといインキュベーター。
それが新幹線の窓にいるのをアイスシザースは確認した。

『奴はこちらに気づいていない……ここで殺らねば!』
「おい待てアイスシザース!」
「みんなも!」

インキュベーターの存在を確認した瞬間、桑原やイリヤの静止を無視してアイスシザース以下のFOEが飛び出した。
インキュベーターは資源搾取のために詐欺紛いの行為で人間を食い物にし星を荒らす存在。
心を持たぬだけに人間以上に最悪の略奪者である。
そんな彼らのことをほむらから教えられて都庁の魔物たちが存在を許すハズはなく、見つけ次第抹殺の触れ込みがあったぐらいだ。
大災害から世界を守ることはもちろんのことだが、インキュベーターを殺すことは世界樹を守るために必要であり、魔物たちはそれを信じて彼を殺さんとする。
そして魔物たちは敵か味方かわからない苗木と霧切をひとまずは無視して新幹線に詰め寄った。

「!!」
「なんだこいつらは!」
「魔物!?」
『金竜様から託された大樹を守るためにも……鉄の棺桶ごと叩き切ってやる! インキュベーター!!』

ドラゴンハートで機動力を強化されたことも手伝って苗木とキュゥべえは反撃も回避も許されなかった。
次の瞬間には新幹線ごと両断する勢いでキュゥべえめがけて腕の鎌が振り下ろされた。
強化されたアイスシザースの実力ならば、実際に鋼鉄の新幹線を裁断して中の生き物を殺すぐらいは余裕であろう。

『な!?』
「ともだちを殺すやつ……許されない!!」

だが鎌がキュゥべえの首を落とすことはなかった。
正確には新幹線は両断されたのだが、キュゥべえに届く前に魔法少女に変身した霧切が鎌を掌で受け止めたのである。

『鎌が動かん……なんてバカ力だ!?』

どうみても強そうには見えない霧切にいとも簡単に攻撃を受け止められたことに恐怖心を確かに感じていた。
アイスシザースはこれまでの戦闘とドラゴンハートの恩恵によって強化された。
能力を数値化し総合スペックだけで見ればドラゴンハート未使用時の三竜に並ぶ戦闘力を有している。
それが目の前の幼女にいとも容易く、必殺の一撃を防がれたのだ。

「このお!!」
『ぐはああああああーーーッ!』

鎌を腕で防がれて動けなくなったアイスシザースは次の瞬間に霧切のバリツ持込の蹴りで腹部に大穴が空き、地面に倒れることになった。

241あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:38:18 ID:RjIvn3.s0

「アイスシザース!!」

アイスシザースは高い生命力により、即死は免れていた。
今から都庁に戻って治療を受ければ助かる見込みはある。
桑原は死にかけのアイスシザースを救うために霊剣を携えて霧切を突き放そうとした。
桑原もまたアイスシザースと同じくドラゴンハートの影響を受けて、その戦闘力はかつての仲間である浦飯と同じくS級妖怪クラスの戦闘力を得ている。
どんなに強い霊能力者でも人間である限り入り込めない領域の強さだ。
あの戸愚呂弟を軽く凌駕し、仙水忍をも超えた戦闘力を持っている。

にも関わらず、桑原の霊剣は牽制目的であったとはいえ容易くよけられ、桑原やイリヤ、他のFOEが反応するよりも早く背後に回り込んだ。

「なッ、早ぇ!!」

そして背後から桑原の腹部に手を回してガッチリと掴み、捕まえた。

(離せねえ! なんてバカ力だ!?)

霧切の拘束は体力馬鹿である桑原ですら解くことができない。
桑原は必死に足掻くが外れる様子はない。
そして霧切による処刑――友を傷つけようとした者へのオシオキが始まった。



桑原を捕まえた霧切は彼を抱えたままグルグルと回転しだした。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

回転と言っても遊園地のティーカップアトラクションとは比較にならないほどの超高速回転であり、その速さは局所的な竜巻が起こし、内部にいるはずの霧切と桑原が見えなくなるほど。
無理に攻撃や接近をすると桑原を傷つける危険があったのでイリヤもFOEたちも桑原の援護や救助が行えなかった。

『な、なんていうことでしょう、あの魔法少女の魔力の強さは現在の鹿目まどかさんと互角クラス。
下手をするとフォレスト・セル以外の他の面子も破られます』
「ええ!?」
『我々三人と中級FOEだけでは勝ち目がありません!』
「どうしてそれを早く教えてくれなかったの!?」
『彼女が変身する前の段階では内包する魔力を読み取れなかったので……』

イリヤの杖であるルビーが霧切の強さに関して遅すぎた警鐘を鳴らす。
それは霧切の圧倒的強さに関してだった。

キュゥべえは対安倍戦で魔法少女化した霧切の強さを最低でもブラックRXの三倍の強さがあると言った。
ブラックRXの基本スペックはパンチ力70t、キック力120t、ジャンプ力60m、走力315km。
さらに町を吹き飛ばす攻撃でも致命傷にならず、惑星爆発から帰還できるほどの耐久力。
0.1秒や0.5秒を隙と言える反応速度を持っている。
無論全ての能力が三倍とは言わないが、総合スペック的に三倍というだけでも化物ということはわかるであろう。
少なくとも無強化三竜、仙水忍と同じレベル……現状のアイスシザースや桑原では勝てる相手ではなかった。



「ぎゃああああああああああああああああああああああ、からだがああああああああああああああああ!!!」
「桑原ッー!!」

竜巻の中から聞こえてくる桑原の悲鳴にイリヤたちはなんとか助け出そうとしたいが方法が浮かばない。
今から救援を求めても桑原が助かる保証はない。
そして考えあぐねた結果が……時間切れである。


「……レオリオ、ハス太、みんな……すまね」


桑原から謝罪の言葉が聞こえたと同時に霧切の回転が止まる。
それと同時に液状と固体の中間のような謎の黄色い物体がイリヤに大量にべちゃりとふりかかって汚した。
その一部はイリヤの口の中にも入った。

「げほッ、なにこれ、マーガリン!?」

舌の上でとろける感触に仄かな甘味と植物油っぽさからイリヤはこれをマーガリンだと分析。
しかしなぜ霧切の方からマーガリンが?

「桑原は!?」

驚くイリヤが霧切を見るとそこには桑原の姿がなく、もう一度体に付着した黄色い物体を見ると彼の着ていた「健康第一」と書かれた白い特攻服の切れ端や、骨らしき固形物があった。

『ま、まさかこれは桑原さんの肉体が高速回転の中で彼女の強大する魔力をゼロ距離で浴びて形質変化したもの……』
「今、体についてるコレが桑原だったとでもいうの……!?」

ルビーの推理通り、ダンロン的に言えば猛多亜最苦婁弟酢華恵慈(モーターサイクルデスケージ)と化した即席の処刑場で桑原の肉体は超高速回転させられつつ霧切から放出される魔力を浴びた結果、その肉体はマーガリンと化してしまったのである。

Q、なんで人間が回転しただけでマーガリンになるん?
A、ダンロン無印をプレイするかアニメを視聴してください(ステマ)

なんにせよ、イリヤたちに突きつけられた事実、それは――



【桑原和真@幽遊白書 死亡確認】

242あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:38:42 ID:RjIvn3.s0



「うっぷ……おえええええええ!」
『イリヤさん!』

桑原が目の前で殺され、仲間の肉体だったものを不本意ではあるが食べてしまった事実にイリヤは吐き気を抑えられずたまらず嘔吐。
その隙を見逃すわけもなく、霧切が攻撃をしてくるが一部の魔物たちが動けなくなったイリヤを庇うために己の身を盾にする。

『だ、ダメだ、アイスシザースより弱い俺たちじゃコイツを止めることも、ぐわあ!』
「きゃあ!!」

しかし、霧切の進行を止められず、彼女の拳によって盾になった魔物は粉砕。
イリヤは致命傷は避けたが攻撃の余波により壁に叩きつけられしまう。
続けて霧切は敵となった魔物を駆逐するために一匹、また一匹とバリツで殺していく。


『なんてことだ……クッ』

腹に穴を開けられながらもなんとか立ち上がるアイスシザース。
桑原や魔物が殺されていく光景に恐ろしさを覚えていた。
しかし、闘志までは衰えず、状況を冷静に見る。

霧切が他の魔物を殺している中でキュゥべえがノーガードであることに気づいた。
キュゥべえ自身もこちらが再び立ち上がったことに気づいていない。

『今こそ、奴を殺すチャンス! 味方を助けることもできる!』

アイスシザースの考えではキュゥべえを殺せば霧切のヘイトは自分に向かう。
そうなれば自分は十中八九殺されるが、標的が自分に集中するためにイリヤや生き残った魔物を都庁に撤退させて助け出すことができる。
そう睨んで、こっそりと背後から刃を向けようとする。

「させるか!」
「助かったよ、苗木!」
『ええい、邪魔を!』

いつぞやのネームド狂信者を暗殺した奇襲攻撃は失敗に終わった。
霧切が暴れている内に仮面ライダーウィザードに変身した苗木の銃撃により阻まれたのだ。
奇襲に気づいたキュゥべえもまたこの場を苗木に任せて新幹線の残骸の影に隠れてしまった。
キュゥべえを殺すにはどうしても苗木を倒さなくてはならない。

(くッ、だが、銃の威力は大したことはない。
動きも素人そのもの……コイツなら簡単に殺れる!)

アイスシザースは目の前の仮面ライダーの実力を把握。
事実、苗木の戦闘力はウィザードのスペック込でも大したものではなく、読み通りと言えた。

(一撃で仕留めてやる!)

即死属性の一撃である凍土の大鎌で苗木との短期決戦を行おうとするアイスシザース。
一方の苗木はひとつの指輪を取り出し、それをベルトにかざした。

「これを使ってみるか!」

――リキッド・プリーズ。
そんな音声がベルトから聞こえた瞬間、苗木の胴体の一部分が液状化しアイスシザースの鎌を貫通させてダメージを回避した。

『馬鹿な!』

液状化能力によって防がれた必殺の一撃により、狼狽と同時に空振りによる大きな隙を生み出す。
苗木は首輪が外れてないので首より上だけは液状化できない制限があるが、アイスシザースが胴体を狙った「幸運」によって賭けに買ったのだ。
続けて苗木はアイスシザースの懐に飛び込み、腕を液状化させてある一点に向けて伸ばした。

「おまえを倒すには……ここだあああああ!!」
「がああああああ!!!」

苗木が選んだのは先ほど霧切が開けた腹部の大穴。
そこは外殻にも守られておらず、臓器が一部露出している。
その大穴めがけて液体となった腕をねじり込み、体中を内部からグチャグチャにしていく。
なんとか苗木の首を狩ろうにも腕の制御も傷口から血管を通して入り込まれた液体を使って奪われてしまい、反撃もできない。

「紘太さんがいない今、僕が霧切さんやキュゥべえたちを守るんだああああ!」

苗木の目には暴走した義憤や使命感が燃え上がっており、マスク越しでもそれが狂気という形でアイスシザースに伝わった。
いかな強者とて、レベルを上げたとしてもア○ル以外の臓器は鍛えられない。
臓器への攻撃手段を握られた時点でアイスシザースの敗北は決まっていた。

『まだだ……金龍様や骨竜たちが守った世界樹を……守らねば、ならない、の、に……』

内部から腸を寸断され心臓を穿たれ脳を潰されたアイスシザース。
闘志だけは怨敵であるインキュベーターたちに向いていた。
しかし彼の鎌は敵に届くことはついぞなく、苗木が血まみれの拳を引き抜いたと同時に息絶えた。


【アイスシザース@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女 死亡確認】

243あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:39:21 ID:RjIvn3.s0



「ルビー! ルビー!」
『――――』

霧切の攻撃によってカレイドルビーをへし折られたイリヤの変身は既に解けていた。
この時点で戦闘力のほとんど失っている。

『俺たちが囮になるからおまえだけでも逃げるんだ!』
「でもあなたたちは!」
『俺たちに構うな! ここで全滅すれば世界樹に迫るこいつらの驚異を誰も教えられない。
インキュベーターたちのことを仲間たちに知らせるんだ』
「……わかった」

囮をかって出るFOEたちの指示に従い、イリヤは残って戦いたい意思を抑える。
アイスシザースより弱い魔物たちでは戻ってくる頃には全滅しているだろう。
だがなんとしても比較的近くにいる高津たちや世界樹の仲間に驚異を知らせる必要があった。

そして、踵を返して世界樹方面への逃走を図るイリヤ。



「むぐッ!?」

だが、振り向いた瞬間。
彼女の首は白い耳のような触手に掴まれ、口の中に一斗缶の穴から出てくるガソリンを無理やり注ぎ込まれた。

「むごごごごご」
「逃がさないよ、仲間を呼ばれると厄介だからね」

イリヤの口を介して胃の中に注がれるガソリン。
常人だったらこの時点で良くて失神、最悪ショック死であったが、イリヤはドラゴンハートで生命力を強化されているので「まだ」大丈夫だった。
すぐさままとわりついていたキュゥべえを引き剥がし、ガソリンを吐き出そうとするが、それを見計らってキュゥべえはただのマッチに火をつけてイリヤに放り投げてさっさと物陰に退避した。
ちなみにガソリンは死んだアイスシザースから奪ったもの、マッチは霧切の不明支給品から勝手に拝借したものである。

イリヤの体はガソリンと桑原マーガリンによって油まみれであり、マッチの小さい炎でも引火させて炎上させるには十分であった。


「熱いッ アツイィィィ!! 助けてお兄ちゃ――」

熱さにたまらず、悲鳴をあげるイリヤ。
それが失敗であった。
口を開いたことで体に入ったガソリンにも引火し、胃にまで届き――幼女の肉体を爆散させた。
焼け焦げた肉片とルビーの残骸だけがイリヤが生きていた証になってしまった。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 死亡確認】


魔物たちはメッセンジャーとなるはずだったイリヤの死に絶望の表情を浮かべ、せめて一匹だけでも仲間の救援を呼べるようにかばい合うも、その甲斐なく霧切によって数分以内に一匹残らず肉塊と化した。
都庁や高津たちの下へ迎えた者は一匹もいない。

「でもキュゥべえ、魔物はともかく人間の方は洗脳されて操られているだけだから殺すことはなかったような」
「殺すより生け捕る方が難しいんだよ?
響子はともかく、ボクや苗木の実力じゃ生け捕るなんて無理だよ」
「それはそうだけど……」
「あの時は仲間を呼ばれるわけにはいかなかったし、生かす余裕はなかった。
恨むべきはボクらに有無を言わさず攻撃を仕掛けてきた向こうの方さ」
「……」

拳王連合軍以外の人間を殺すのには抵抗があった苗木。
特に洗脳されていた者の中には聖帝軍のメンバーもいたかもしれない。
だが、キュゥべえの説得により恨むべきは噂通りの悪の集団であった魔物たちであると思い込まされた。
同時にヘルヘイムの魔物を殺すことが、殺してしまった人間の犠牲者への弔いになるとも思い込んでいた。

244あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:39:53 ID:RjIvn3.s0

「そういえばさっき、向こうで爆音が聞こえた。紘太さんを助けに行かなくちゃ!」
「それはダメだよ、戦闘が起きたら逃げろって紘太の言葉を忘れたの?」

紘太の向かった方角から戦闘音と思わしき音が聞こえた(高津の威嚇射撃によるものである)。
もし戦闘が起こっているなら助けにいかないといけないと思った苗木だがキュゥべえに制止された。

「僕と霧切さんの力があれば助けに行くぐらいはできるさ!」
「確かに霧切だったら謎の巨大生物以外は殺せるかもしれないね」
「だったら!」
「だけど君や響子の魔力は有限。魔力がなくなれば魔法使いである君も響子も戦えなくなる。
君は休めば魔力が回復するけど、響子はグリーフシード以外で魔力を補充する手段がない。
この意味がわかるかな? 響子の魔力がなくなったら魔物に殺される可能性が高まると同時に食人鬼から本州を守っている結界がなくなって侵攻を許すことにつながるんだよ」
「そんな……紘太さんたちを見捨てろっていうのか?」
「紘太たちはそれも承知の上で君に響子の護衛を任せたんだよ」

キュゥべえの言葉は冷徹ではあったが理には適っていた。
霧切は確かに桑原たち相手には無敵であったが、それも魔力があるからこそ。
流石に都庁全戦力と戦えば、向こうを全滅させる前に響子が力尽きる。
そうなれば自分たちだけでなく海を渡ってきた貧乳歌姫によって多大な犠牲が本州で出る。
深追いは禁物であった。
それでも納得がいかない苗木であったが、少女の言葉が意固地になりかけていた彼の心を動かした。

「いかないで苗木くん……」
「霧切さん……」

涙目となっていた霧切が袖を引く。
自分の独善で霧切を危険な目に合わせるわけにはいかない。
彼女は生き延びても自分やキュゥべえがいなくなった時に誰が彼女の助けになるのか。
自分より小柄になった少女の涙を見て苗木の心が揺れ動く。
そんな苗木にキュゥべえはもう一声をかけた。

「安心して、都庁に向かった三人のエントロピーは消えていない。つまり死んではいないんだ」
「それは本当かい!?」
「捕獲されて洗脳されている可能性はあるけどね。
生きていればいつかは救助することもできるでしょ」

エントロピーを感じ取れるキュゥべえは確かに三人が生きていることを感じ取っていた。
流石に具体的に何をしているか何をされているかは感じ取れないが、まだ三人の中に犠牲者はいないという言葉は苗木にとって大きな意味を持っていた。

「だけど救助するのは今じゃない。今以上にまとまった戦力が必要だと思うな」
「まとまった戦力……しかし、どこに行けば……」

聖帝軍を安全に救助するにはどうしても戦力が必要であったが、先遣隊の仲間も失った苗木には行く宛が思いつかなかった。

「……そこで提案なんだけど、千葉県にいるあの巨大竜と交渉して見ようと思う」
「浦安市に現れたっていうあの巨大竜にだって!? 無茶だ!
イチローたちでさえ飲み込まれたらしいのにどうして味方になると思ったんだ?」

千葉に現れた巨大竜ことギムレーは襲ってきた狂信者を滅ぼす際に自分を破滅と絶望の竜と言っていた。
内部事情を知らぬ者から見るとイチローチームも無事かどうかは見当もつかなかったが……

「いや、イチローチームと思わしきエントロピーはまだ消えてないんだ」
「イチローたちはまだ生きているってこと?」
「もしくは最初から交戦するような仲じゃなかったのかもね。
破滅と絶望の竜というのもおそらくブラフ……その気になれば日本の大半を滅ぼせるのにそれをやっていない。
イチローたちを捕らえているにしろ、仲間内にしろ、無言で攻撃を仕掛けてきたヘルヘイムよりは交渉の余地はあるよ」
「その邪竜やイチローチームだったらヘルヘイムを焼き尽くして聖帝軍を助けることもできるってこと?」
「ああ、響子を足した場合の総エントロピー量的には不可能じゃないよ。
都庁と狂信者、主催を除くと苗木が倒したいと思っている拳王連合軍を倒せるのもここぐらいかな」
「あの拳王連合軍を!?」
「逆に言えば表立った対主催組織で、ボクらが接触できるのはもうそこにしか残ってない」
「必ず交渉を成功させて味方につけなくちゃ!」

エントロピー=強さというわけではないが、少なくとも倒せる可能性はある。
キュゥべえの言葉より聖帝軍の救助及び拳王連合軍への復讐への道が見えてきた苗木はキュゥべえの提案に乗ることにした。
さっそくバイクに跨り、後部座席に霧切とキュゥべえを載せる。

「苗木、急いで! 追っ手が近くに来ている」
「了解……紘太さん、待っていてください。必ず近いうちに助けに行きますから!」

そう言って、近くまできていたドラゴン軍団が接近する前に苗木たちはバイクを走らせて現場を離脱した。
目指すは千葉県である。

245あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:40:37 ID:RjIvn3.s0



後部座席でどんどん離れていく都庁の世界樹を見てキュゥべえは思惑を巡らせる。

(近づいてよくわかった。あの大樹の中からまどか、ほむら、さやかのエントロピーを確かに感じた)

苗木や紘太たちには話さなかったが、キュゥべえにとっての大事な資源もとい知り合いである三人の少女の気配を、キュゥべえは新宿にたどりついた時から感知していた。

(だが、まどかのエントロピーは「何かの不純物」が混じって魔法少女化ができないようになっていた。
これならば霧切の方がまだ護衛兼エネルギー資源として使える)

キュゥべえに詳細まではわからないが、まどかはグンマーの巫女と化したことで概念にさえ到れる魔法少女化への道を絶たれていた。
もはや彼女を魔女化させてエネルギーを回収することなどできはしない。
魔法少女でなくなった以上キュゥべえの中での彼女への執着はなくなったのである。

(それにさっきの青カマキリ、最初は苗木と響子を無視して明らかにボクだけを狙っていた。
ほむらがきっとヘルヘイムの魔物に何かを吹き込んだに違いない。
そうなるとまどかやさやかもボクの敵になっていると見た方が良い。
合流は……少なくとも都庁を無力化するまではしない方が良さそうだ)

自分の正体を知っているほむらが都庁に吹き込んだ(洗脳されて吐かされた?)と推理したキュゥべえ。
結論的にはこのまま都庁に合流はするには危険と判断した。
ひょっとしたらちゃんと話し合えば苗木と霧切は助けてもらえるかもしれないが、自分だけは処刑される危険がある。
それでは意味がないのだ。

(都庁は敵……どんな思惑を持っていようとも母星にエネルギーを持ち帰らなきゃいけない任務を持ったボクの妨げになる障害。
なんとかイチローチームを説得して抹殺または無力化する必要がある)

キュゥべえの中で襲いかかってきた都庁は敵として認定された。
障害じゃなくなるまではあの手この手で滅ぼすつもりである。

さらにもう一つ、苗木と霧切には黙っていたことがあった。
弱体化したテラカオス・ディーヴァのエントロピーをギムレーが囲っている浦安市からキャッチしたのだ。

(テラカオスはあそこにいる。
エントロピー的には邪竜や周りにいる連中より弱いから捕縛されているのだろう。
沖縄に現れた敵を駆逐するためにも彼女の力がどうしてもいる……イチローチームがそれを知っているかはわからないけど、どうしてもこの目で確認する必要があるな。
仮に殺されそうになっていたら止めないといけない)


「苗木、もう少しスピード出せる? 追っ手を完全に撒くべきだ」
「わかった。これ以上はちょっと辛いがやってみるよ」

一秒でも早く千葉県にたどり着くべく、適当な言い訳をつけてライダーである苗木を急がせるキュゥべえ。
心壊れた魔法少女霧切のぼんやりとした眼に映るには、瓦礫だらけの東京のコンクリートジャングルだ。

246あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:41:59 ID:RjIvn3.s0









苗木たちが過ぎ去った後に、ジャンクとなった新幹線に戻ったのは、たくさんのドラゴンと野球選手に高校生を引き連れた紘太、チルノ、ふなっしーだった。
そんな彼らが仲間や魔物の死体が散らばる血の惨状を見て顔を青くするのは当然だった。

「これは桑原の特攻服にイリヤの喋る杖……アイスシザースまでやられてやがる」
「別働隊が全滅……全滅じゃないか!」

桑原・アイスシザース・イリヤの強さは高津と犬牟田はよく知っている。
そんな彼らが無残に殺されているとなれば悲しみはもちろん驚愕するのも無理はない。

「アタイたちが離れていた僅かな間に一体何が……まさかアイツらは殺し合いに乗っていた……もしくは拳王連合軍か狂信者の手先だったのか?」

なまじ頭が良くなっただけにチルノの中から邪推が浮かぶ。
推測の域を出ないが、苗木たちがこの場にいない事実がその考えを後押しする。
人間である桑原やイリヤもいるのに、殺し合いに乗ってない限り戦闘に繋がる理由がわからないのだ。

「畜生、一体何がどうなってんだよ!!」
「紘太……」

嫌な予感が的中したことに紘太は怒号を挙げた。
いったいどこから間違いを犯したのか紘太にはわからず苛立ちを吐き出すしかなかった。
しかも真実を語れる生者は現場には誰ひとり生き残っていない。
ふなっしーはただ仲間の死と、苗木たちに裏切られたかもしれないという焦りで心を痛めている紘太を慰めることしかできなかった。


このおはなしに悪意を持った参加者は誰一人いません。

みんながそれぞれの正義のために頑張っていました。

でも些細な綻びと不幸な食い違いにより殺し合いは起きてしまいました。

それはこんなおはなし。




【二日目・19:30/東京都 新宿 都庁から少し離れた位置】


【ターバンのおっさん(高津臣吾)@ササキ様に願いを】
【状態】混乱、首輪解除、ドラゴンハートの恩恵による強化(大)
【装備】クロスチェンジャー、ジェットスワロー@鳥人戦隊ジェットマン、ターバン
【道具】支給品一式、ボロボロのグローブ
【思考】
0:桑原たちが殺されただって?!
1:現場を調べた後に紘太たちをつれて都庁に戻る
2:世界のためにも救済の予言は必ず完遂させる
3:DMC狂信者をぶっつぶす
※紘太たちと情報共有をまだしていないので、苗木・霧切・キュゥべえのことを知りません


【ターバンのガキ(犬牟田宝火)@キルラキル】
【状態】混乱、首輪解除、ドラゴンハートの恩恵による強化(大)
【装備】だいぶ古い型のノートパソコン@現実、ターバン
【道具】支給品一式
【思考】
0:ここで一体何が……
1:現場を調べた後に紘太たちをつれて都庁に戻る
2:世界のためにも救済の予言は必ず完遂させる
3:個人的には大災害を引き起こした黒幕を警戒
  まだ生きているんだろうか……
※スタービルドストライクはレイジに返却しました
※紘太たちと情報共有をまだしていないので、苗木・霧切・キュゥべえのことを知りません


【ターバンのないガキ(葛葉紘太)@仮面ライダー鎧武】
【状態】ダメージ(小)、仮面ライダー鎧武・極アームズに変身中、拳王連合軍への怒り、強い悲しみ
【装備】戦極ドライバー、ロックシード(カチドキ&極)
【道具】支給品一式、ロックシード(パイン、イチゴ、スイカ)
【思考】
基本:殺し合いを止める
0:これをやったのは苗木たちなのか……?
1:DMC狂信者達も拳王連合軍も、もう絶対許さねえ!!
2:救済の予言の謎を解く
3:ダースベイダーは絶対に許さねぇ!!
4:なんだったんだ沖縄のあれは……
5:都庁は味方だったのは一安心
※オーバーロードとしての力を行使するには首輪解除が必要です。
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
※高津たちと情報共有がまだできていないため、救済の予言の真実と効果を知りません

247あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:42:42 ID:RjIvn3.s0


【ターバンのレディ(チルノ)@東方project】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、やる気十分、色々成長、苗木たちへの不信感
【装備】ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW、アイスソード@ロマンシングサ・ガ、ターバン
【道具】支給品一式
【思考】
基本:『ダースベイダー』を倒す
0:イリヤたちを殺したのは苗木たちなのか?
1:何かいろいろパワーアップしたよ!
2:みんなで予言を解いて世界を救うよ!
3:聖帝は頼りないから最強のあたいが皆を引っ張る
4:大阪の毒花と沖縄の天候変化は明らかにヤバイ!
5:都庁が味方で良かった
※アイスエイジメモリを刺した事によって成長、能力及び知力が向上しました。
※テラカオス・シャドウによって生じた沖縄の天候の変化を見ました
※高津たちと情報共有がまだできていないため、救済の予言の真実と効果を知りません


【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、悲しいなっしー!
【装備】野球のユニフォーム(背番号274)、ターバン
【道具】支給品一式、シャルロッテ@魔法少女まどか☆マギカ、千早@皇国の守護者(フロワロの毒ダメージ・大)、デストワイルダー@仮面ライダー龍騎&ただの手鏡、聖帝軍の旗
【思考】
基本:殺し合いを止めるなっしー!
0:ここも地獄絵図だったなっしー!
1:DMC狂信者達を成敗するなっしー!
2:名探偵ふなっしーが予言の謎を解くなっしー!
3:本当に都庁につけるか不安なっしー!
4:ヒャッハー! 梨汁ブシャー!
5:新しい友達としてシャルロッテと千早、デストワイルダーは守りたいなっしー!
6:都庁で一休みしたいなっしーー!
※千早とデストワイルダーが主催側の意思持ち支給品であることを知りません
※高津たちと情報共有がまだできていないため、救済の予言の真実と効果を知りません



【二日目・19:30/東京都 渋谷区】


【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、拳王連合軍への復讐心(特大)、変身中
【装備】ウィザードライバー@仮面ライダーウィザード、マシンウィンガー@仮面ライダーウィザード、専用の指輪一式、インフィニティーウィザードリング@仮面ライダーウィザード
【道具】支給品一式、通信機、
【思考】基本:対主催→拳王連合軍は皆殺し
0:千葉県に向かい、ギムレーもといイチローチームと交渉する
1:必ず拳王連合軍に相応しい絶望を与える
2:キュゥべえと聖帝軍の皆は信頼している
3:拳王連合軍ほどじゃないがヘルヘイム(都庁)の魔物は許さない
4:都庁を倒して紘太さんたちを救助する
5:とうとう僕がWB組最後の生き残りか……
※放送でラーメンマン、ジョンス、たっくんの死を知りました
※聖帝軍のきらりんロボが立川を焼く映像を見ましたが、先遣隊のこともあり信用していません
※都庁を一方的に敵視しました


【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ロリ切さん、ディーヴァへの恐怖心(特大)、魔法少女化、ソウルジェムの汚れ(40%)、一時的な幼児退行と記憶喪失、度重なる失禁でパンツぐしょぐしょ
【装備】様々な資料
【道具】支給品一式、沢山の光彦関連のスイッチ、ノートパソコン
【思考】基本:テラカオス・ディーヴァにだけは殺されたくない
0:奴に殺されるのはヤダヤダヤダヤダヤダ……
1:苗木くんは守る
2:友達のキュゥべえも守る
3:(幼児退行と記憶喪失により思考能力が大幅低下している)
※魔法少女化したまどかには及ばないものの強力な魔法少女になり、肉体・戦闘力が大幅に強化されました
 戦闘力は最低でも仮面ライダーBLACK RXの三倍です(グンマーの巫女となったまどかと互角)
 また、四条化細胞を持つ敵には特攻能力を得ています
 (シャドウのみ、先にTCを取り払わないと不可) 
※テラカオス・ディーヴァに殺されたくないと願った結果、ディーヴァと力を受け継いだシャドウ限定で侵入できない結界が張られました(広さは近畿地方全体がスッポリ収まる程)
 ただし霧切が死亡・魔女化した場合は結界が消滅し、シャドウが死者スレ掌握などで霧切のエントロピーを上回ったりしても結界は破られます
 テラカオス・ディーヴァの残滓は力の大部分が違いすぎるので侵入自体は問題ありませんが、近づくと何らかの悪影響が出るかもしれません

248あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:43:04 ID:RjIvn3.s0


【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】ダメージ(中)、他の個体が全滅
【装備】マッチ(残11本)
【道具】支給品一式、祐一郎の記憶を内包したブラックボックス、
【思考】基本:殺し合いの助長・対立煽り、おまけで魔法少女を増やす
0:身を守るためにイチローチームに協力してもらう
1:対主催の影に隠れて参加者同士の殺し合いを助長する
2:イチローチームには拳王連合軍=悪の認識を持たせる(誤解を解かない)
3:沖縄のエントロピーからディーヴァより危険な存在(シャドウ)を感知
4:千葉県からディーヴァらしき反応を検知、状況を知るためにも千葉県へ向かう
  殺されそうなら生存戦略のために助ける
5:資源的価値がなくなったので鹿目まどかへの執着はなし、障害になるなら排除する
6:都庁が一方的に敵意を持たれていると推測
  崩壊か無力化するまでは都庁には接触しない
7:母星と連絡出来るまでは生き残る
※クロコダインと会う前に苗木の口からデカオを殺した下手人は苗木であると知りました
※殺し合いがテラカオスを生み出すために必要な措置だと気づきました
※沖縄から感知できるエントロピーから「TC」を放つテラカオス・シャドウの存在を感知しました
※先遣隊に拳王連合軍に関する嘘を交えた情報を流しました

249あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 21:43:50 ID:RjIvn3.s0
投下終了です

タイトルは『僅か綻び 大事故の元』でお願いします

250あきよの破壊力が異常:2018/10/16(火) 22:32:09 ID:RjIvn3.s0
ごめんなさい誤字ってた
正しいタイトルは『僅かな綻び 大事故の元』

251奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:09:17 ID:.1T/Mroc0
横浜港にたどり着いたハクメンを待ち構えていたのは最後に会った時より数を大幅に減らし、通夜のような深い悲しみのムードに包まれた拳王連合軍たちであった。

「ハクメン、アンタどこへ遊びに出かけてたんだ!?」
「おまえがいない間……タクアンたち仲間が大勢死んだんだぞ」

責めるような目でMEIKOや平等院に睨みつけられる。
彼らの目線だと大阪や横浜港までの戦いに参加せずに凶狩りに出かけた身勝手さが、タクアンたちを殺した要因の一つにも見えた。

「……悪いが私はどうしても凶を狩らねばならぬのだ。
悪と凶は世界を滅びに導くがゆえに」
「それで悪魔将軍がやられちゃ世話ないね」

更に同盟を組んでいた悪魔将軍の死もまた、拳王連合軍に暗い影を起こしていた。
シグナムの話を信じられなかった彼は単身で死者スレへと向かうが、おそらく死者スレを支配する黒幕(彼らはまだ殺し合いの黒幕が死者スレの支配者と思っている)に挑んで敗死したのであろう。
せめてハクメンがついていれば勝てたか負けても生き延びることはできた可能性はあるのだから、ハクメンに悪魔将軍死亡の責任がないとは言い切れない。

「待て、MEIちゃん、平等院。ハクメンも手傷を負っている。
遊んできたわけではあるまい」
「拳王……」

怒れる味方たちを抑えたのは連合軍の長であるラオウその人であった。
彼を見た時、ハクメンは驚きの表情を浮かべた(仮面で表情見えないが)。

(この男……いつの間にこれだけの力を手に入れた?!
私や悪魔将軍に次ぐ力を持っているぞ)

最初に出会った頃もラオウは理不尽級の力は持っていた。
だが、unlimitedモードを解除したハクメンのような超理不尽級にはとても及ばないものであったのに、それが今や自分と肩を並べるくらいの強さを持っていると感じる。
目に見えないオーラのようなものでハクメンはラオウの実力を把握したのだ。
他のメンバーもまたラオウほどではないが、3人くらい束になればハクメンと拮抗できるほどの理不尽級の力を持っている。

その理由はダイジョーブ博士が持ってきたマシンによるものだが、それを使うのも相応の覚悟とポテンシャルの高さが必要であり、決してマシンだけあったから強くなれたわけではない。


(これならば凶を頑なに守る女装男やヘルヘイム、千葉に居座る邪竜や食人鬼……沖縄の凶以外なら滅することができるかもしれん……が)

実力は確かではあるが、彼らには本来あった活気が見当たらなかった。
ラオウは表情こそポーカーフェイスであったが、心なしかMEIKOや平等院以上に元気がないように見える。
理由は彼の背後にある三つの簡素な墓。
ひとつの墓(熱斗の血のついたバンダナが引っ掛けてある)の前には翔鶴がPETを手に持ちながら、地面に膝をついて暗い表情で墓標を見つめている。
もちろん、PETの中にいるロックマンも同様だ。

誰彼が死んだかは放送で確認できるのでまだしも、事件の当事者ではないハクメンはここで何があったかわからない。
しかし拳王連合軍の沈み様からして、相当に悲しい事件があったのは確かだ。
ラオウ、MEIKO、平等院、翔鶴、ロックマン、ディオとデューオから悲しみ。
ムネリンからは落胆。
クロえもんからは憤怒。
知らんうちに増えてたジャージの女からは困惑が見える。
それらの感情は彼らの実力にマイナス作用を及ぼすだろう。
少なくとも野球どころではあるまい。

(これだけの力があれば全ての悪を滅ぼせるかもしれんのに……どうすれば)

この世界でも上位の戦闘力を持つハクメンとてバラバラになっていく人々のの心を一つにまとめるスキルはない。
だがこのまま時間により解決に任せている余裕はなく、その前に凶によって世界は支配される。
どうにしなければならないのにどうしようもない空気にハクメンまで飲まれそうになる。



そんな空気をぶち壊したのはどこからか現れた少女の嬌声であった。

252奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:10:34 ID:.1T/Mroc0
重い空気をぶち壊したのはどこからか現れた少女の嬌声であった。

「翔鶴姉ぇ〜〜〜!!」
「え? あなた誰 おぶッ!」

唐突に、本当に唐突に、黒髪ロングの侍甲冑姿の少女が悲しんでいた翔鶴にタックルをする。
少女にガッチリと掴まれつつ地面に倒される翔鶴。

「て、敵!?」
『翔鶴さん、僕を使って!』

敵ならば討つべしとPET及びロックマンの力を使って反撃に出ようとした翔鶴だが、嬉し涙を流す少女の顔を見て毒気を抜かれてしまう。

「撃たないで私は味方よ……それにしてもやっと会えた、会えてよかったよ翔鶴姉……」
「あ、あなたは一体……」
『ま、待ってくれ、パ……博士は僕の妹として翔鶴さんを作ったけど、君は作られていないハズ……』
「はっ? 翔鶴姉がアンタの妹!?」

ロックマンの妹発言に黒髪の少女から物恐ろしい視線を向けたが困惑状態の翔鶴とロックマン、そして周囲にはよく見えなかった。
続いて彼女の持っていたモンスターボールの中からサボテンじみた見た目の悪魔が現れ、翔鶴に抱きついていた少女を腕(口?)を器用に使って引き離す。

「ちょっと、メーガナーダ!」
「何奴?!」
「待って! こんな形だけどこの子は私のペットよ。だから敵じゃないわ」
「インドラ」

メーガナーダは飼い主である少女を下ろした後に、四本ある腕を全部上げて交戦意思はないポーズを取る。

「……確かに見た目は禍々しいが、凶は感じないな」
「いやいやいや、論点はそこじゃねーだろ。
こいつらは俺たちの敵か味方か、何者かが一番大事じゃねーか!」

まだ少女とメーガナーダを信じられないクロえもんはハクメンにツッコミを入れつつ、バットを構える。
当然であろう。口々で自分は味方だと言われてもすんなり納得できるわけがない。
ちなみにハクメンが少女と悪魔から凶を感じ取れないのは、二人はテラカオス因子に汚染されているわけではなく行動に関しても「悪意」で動いているわけではないからである。
「忠義」「愛」「本能」で動いているだけの者にはハクメンセンサーが作動しないのだ。

「あー、色々つもりつもった話があるみたいですが、情報共有と整理も兼ねて話し合いませんか?」

混乱する場を宥めたのは若干、蚊帳の外にいたヒロインXであった。

253奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:13:06 ID:.1T/Mroc0





「さっきはいきなりごめんなさい。
私は艦むすの瑞鶴、こっちの丸いのはメーガナーダ。よろしくね」
「インドラ〜♪」

まずは来訪者である黒髪少女・瑞鶴とメーガナーダが自己紹介を行った。

「艦むすって提督が作った子以外にもいたのですか……」
「ええ、翔鶴姉が祐一郎博士が作った艦むすであるなら、私の提督さんであるサーフ博士が作り上げた艦むすよ」

当然であるがサーフが拳王連合軍さえも窮地に追い込んでいるカオスロワちゃんねるの管理人であることは秘密だ。
蒼の源泉の暴走を引き起こし、主催に殺し合いを開かせ、参加者に予言を完遂させて究極体のテラカオスを横取りする計画ももちろん喋る気はない。
瑞鶴とメーガナーダは拳王連合軍に取り入り予言に必要な野球をするために、とにもかくにも味方であるかのように振舞った。

『サーフ博士と言えば、さっき亡くなったらしいダイジョーブ博士も言っていた祐一郎博士の友人じゃないか』
「そうよ、祐一郎博士とダイジョーブ博士は残念だったわ……」

表面上は悲しそうな顔を浮かべるが、本心では計画の邪魔になる二人が消えて良かったとさえ思っている瑞鶴。
特に祐一郎はサーフにとって不倶戴天の敵であったので、小躍りしたいくらいだ。
本当なら祐一郎の傑作であるロックマンも消したいところだが、現状では貴重な戦力兼自分を信用させるための要員なので我慢する。

「今、そのお方はどちらに?」
「提督さんは狂信者のフリをしてビッグサイトに潜伏しているわ」
『ビッグサイトって言ったらDMC狂信者の巣窟じゃないか。危なくないか?』
「なんとか今のところはバレてないわ。
数だけはどこの集団よりも多いから対主催に余計な被害が出ないように、情報を秘密裏に奪ったり、対主催が攻め込んだ時のための準備として工作を行っているのよ」
「わかったわ。提督のご友人であれば、一秒でも早く助けに行きたいところね」
『あの頭のおかしい狂信者に囲まれていると思うと気が気でいられないだろうしね』
「ありがとう、翔鶴姉、ロックマン。
でも助けに行くとかまだ考えないで、余計なことをすると潜伏の苦労が水の泡になるから。
攻め込んでいいタイミングになれば向こうから何らかの合図をするって提督さんが言ってたし」

いわゆるステルス対主催としてサーフは誰とも知られずに働いていることを教える。
実際は180度逆で参加者を助けるどころか苦しめているのだが……
信憑性を持たせると同時に早く野球をさせるためにビッグサイトへ攻め込むのは後回しにするように説得する。

「それから提督さんからのプレゼントもあるわ」
『これは熱斗くんと僕が探し求めていたプリズムとフォレストボムのチップ!』
「瑞鶴、この不思議な形状のアイテムは何?」
「これは宝玉輪っていう使いきりの集団完全回復アイテム、こっちは誰にも邪魔されずに野球の試合ができる提督お手製のマシンよ」

リオレウスに熱斗ごと焼かれたことで一度は失ったバトルチップがプリズムとフォレストボムのオマケつきで戻ってきた。
さらに貴重な回復アイテムや試合時に異界に転送することで何者にも邪魔されずに野球ができる機械は拳王軍にとって嬉しいものであった。
貢物としては十二分の価値があったと言える。
惜しむらくはもっと早く瑞鶴が横浜港に辿りついていれば、三人は死ななかったと思えるが贅沢も言っていられない。

こうしてサーフからの贈り物として一行に受け入れた瑞鶴とメーガナーダ。
次にハクメンと(この面子の中で話を纏められる)デューオは大阪で別れてから何があったのか語る。



ホワイトベース組を斬るのを嫌がったハクメンは風鳴翼討伐と関東に集中している凶を斬るために単身東へ。
風鳴翼は見つからず、途中で見かけたクライシス皇帝という凶を見つけたか手傷を負わせただけで取り逃がす。
幸い、風鳴翼の凶の気は大きく弱体化し千葉方面へ、クライシス皇帝も何者かによって討たれたようだ。
しかし東京にて凶を匿う都庁のヘルヘイムの女装男と遭遇。
かなりの実力者であり、勝つことができずに逃げ帰るしかできなかった。
その実力者の背後にもより強い猛者や怪物たちの存在を感じ取った。
他にも風鳴翼が逃げた方面には彼女以外にも邪竜や同格の実力者の気配を感じており、ハクメンとて単身の攻略は困難だ。
さらには沖縄には自分だけでは確実に勝てない強烈な凶の存在を検知し、拳王連合軍との再合流に踏み切ったのだ。

途中で見た白濁まみれの死体? ハクメンの脳内では既になかったことになってるよ。

254奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:13:56 ID:.1T/Mroc0


ラオウたちは多大な犠牲を払いながらもホワイトベース組が勘違いで仕掛けただけの対主催だと知り、なんとか退けさせることに成功する。
戦いの結果、空母・死国は轟沈したため仕方なく高速艇で関東に向かう。
シグナムが黒幕を殺してきたという妄言を吐いていたが、とても信じられないので悪魔将軍が一人で調べに行ったが、やはり彼が殺されたことから黒幕は生きていたらしい。
高速艇の方は狂信者の一団を撃破したりしたが、その後に今は亡きダイジョーブ博士の協力を得て強化マシンを手に入れた。
しかしマシンで強化しきるには時間がかかり、その手打ちになっている隙に飛竜とハゲ頭のサイヤ人や赤いロボットの襲撃を受けて熱斗・ダイアー・タクアンなどの惜しい人物を失う羽目になった。


ちなみに彼らは世に出回っている救済の予言のことなどアウトオブガンチューだ。
仮に見聞きしていたとしても与太話と思い込み、信用などしない
野球をやっているのは世界を救うためではなく、やりたいからやっているだけである。
そんなことよりも黒幕をしばいてカオスロワを終わらせる方が優先だったからだ。
予言の真実を知る瑞鶴もあえて何も知らないこの集団をコントロールしやすくするために教えなかった。




『……見事に敵まみれだな、強化マシンがなかったら俺たちは今の時点で詰んでる』
「ああ……東京は激戦区とは言われていたが、我々の想像以上に厳しいことになっている」

東京には世界に滅びをもたらすヘルヘイムの森(都庁の世界樹への一般認識)。
そしてスカイツリー近辺で破壊と虐殺を行った聖帝軍。
東京湾には狂信者の巣窟であるビッグサイト。
千葉県には食人鬼と自分たちへの宣戦布告を行った邪竜。
関東の上空には主催の九州ロボ。
最終的に戦うだろう富士山脈の死者スレ及び黒幕は以前健在で、沖縄にはおそらく黒幕の手によるものであろう凶の塊がいる。
おまけに拳王連合軍自体がマーダー集団と勘違いされ、数少ない対主催とされるイチローチームや小野塚小町が味方につくとは考え難く、サーフぐらいしか明確な味方が残っていない。

この難局を乗り切るにはどうしたらいいのか、拳王連合軍は真剣に考える必要があった。


「――ハクメンよ、黒幕とやらと沖縄に居座る者を討つには我々15人だけでは不足なのだな?」

話を切り出しのはラオウであった。

「あまり言いたくないが……無理だ」
「では、東京に残っている戦力を全て集めたらどうだ?」
「ラオウ、話を聞いていなかったのか?
信用されていない俺たちには誰も味方してくれないんだ。
ホワイトベースは全滅したようだし、手伝ってくれはしないだろう」

平等院が呆れたように返すが、実際そうである。
カオスロワちゃんねるを媒介に悪い噂が広がりすぎた以上、今から味方集めをしても従ってくれる人間などいない。
じゃあ真実を口頭やネットで説明するか?
それらは残念ながら現実的ではない。
口での説明は効率が悪く、その前にホワイトベースのように襲撃される可能性が濃厚。
ネットで書き込んだところで叩かれてなかったことにされるだけだ。

悪いレッテルの払拭は今更不可能、味方集めもできない。
それをラオウは理解していないじゃないかとその場の全員が思った。

ラオウと波長が合うMEIKOただひとりを除いて。


「違うよ。ラオウが言いたいのはそんな単純なことじゃない」
『MEIKOおばさん、どういうこと?』
「……もっと馬鹿で単純なことさ。
ラオウは受けた誤解を解こうとする気なんてサラサラない。
むしろ敵対する奴らを力でねじ伏せ屈服させて、無理矢理にでも力を貸させる。

それができるだけの力を誇示するために――ラオウは拳王軍による東京平定をしようとしているのさ」

「そんなまさか……」
「ハクメン、アイツの目を見てみればわかるよ」
「ハッ!」

ハクメンや他のメンバーがラオウの表情を見ると、そこにさっきまでのメソメソ悲しんでいる様子は微塵もなく、決意に満ちた瞳があった。

「今、MEIちゃんが代弁した通りだ。
俺たちでも勝てない敵ならば、東京に集まる強敵(とも)たちを集め、この殺し合いを開いた沖縄のマガトや死者スレの黒幕を討つために我々の力を示し東京を平定する!」
「覇王にでもなるつもりか?」
「安心しろハクメン、殺し合いに乗る痴れ者、ヘルヘイムやムギちゃんを殺したハゲ以外は殺しはせん。
ただ理解(わか)ってもらうために拳を交え、野球をすることはあるだろうがな。
真に分かり合えるものならば野球一つあれば十分だ」

ラオウの真意はカオスロワを終わらせるために殴って引きずってでも強敵を味方につけること。
もはや評判が底に落ちたならば、力で従わせる覇王&野球脳である。
やり方はシンプルであるが、拳王連合軍にはこの道しか残されていないように見えた。

255奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:14:38 ID:.1T/Mroc0

(邪念は感じない……言い方は物騒だが、この漢なりに世界のために戦うつもりのようだ)

ハクメンは再度、ラオウのオーラを見たが悪しき心は感じなかった。
あるのは彼なりの正義の心である。

「よかろう、我々や関東の戦力――もちろんマガトやヘルヘイム以外だが、集めれば可能性は見えてくるかもしれん。私も手を貸そう」

ハクメンはラオウの心意気を理解し、彼や拳王連合軍についていくことを決めた。
他のメンバーの大半もまた、ラオウに賛同した。

「流石はアタシの未来の旦那だよ。そうこなくっちゃ」
「やり方は多少手荒になるが、主催を滅してカオスロワを終わらせるためだ。是非もない」
「悪と罵られようが知らん、このディオとデューオの力でダイアーさんのような犠牲を出すものか」
『今回ばかりは気が合うなディオ、俺もそのつもりさ』
「俺たちはなんと言われようが正義だ。殺し合いを止めようとしている俺たちが間違ってるハズがねえ」
「ここまできたらやるしかありませんね!」
「博士と熱斗くんの無念を晴らすためにも……」
「戦いますよ、世界を守るために強くなったですもん」
(翔鶴姉、騙すようでゴメン)
「インドラ」




「ごめんなさい気乗りしないです……」
「俺もパス、というかチーム抜けるわ」



「「「…………」」」



「「「ハァッ!?」」」
「インドラ?」


今まさに、全員の心がひとつになろうとした瞬間。
鬱モード真っ盛りの宗則と、荷物を畳んで横浜港から出ていかんとするプニキが場の空気を台無しにした。

「何言ってるんですか二人共〜! KYとよく云われる私ですら空気を読んだのに!」

ヒロインXがムネリンとプニキの襟を掴んで怒声を浴びせるが、二人は物怖じする様子はなかった。

「だって僕のレーザービームがどこともしれないハゲにキャッチされたんですよ?
好きでもない男に抱かれた気分だ……こんな僕にイチローさんと野球やる資格なんてない、というか死にたい」
「俺は最初から契約選手だ。それが契約主は死亡し蜂蜜はゴミになっちまった……
最低でも最高級蜂蜜がないなら俺は野球しない。そもそも戦闘云々なんて契約にはなかった。
百エーカーの森に帰らせてもらうぞ」

ムネリンは先にナッパによって自慢のレーザーを取られたことでプライドを傷つけられて傷心、プニキはあくまでビジネスライクで拳王連合軍についていただけ。
二人の野球選手はもう拳王連合軍についていく気がなかったのだ。

「クッ、野球に関して最も優秀な二人を失うのは流石にこの拳王も予期していなかった……」
「この軟弱者&薄情者が! このMEIKOおばさんが直々に修正してや」

「『ブッタファック! 仲違いはよせ!』」

今にも乱闘が起こりそうだった拳王連合軍に上条とシャドーマンもといイマジンスレイヤーが戻ってきた。
上条は戻ってき次第、すぐに分離し殴りかかろうとしたMEIKOを抑える。

「ジョジョ、おまえはどこに行ってたんだ」
『そういえばさっきからいなかったな』
『私とお館様は横浜港の外に出て偵察をしていたのだ。
竜やハゲ頭の男の味方が近辺に潜んでいる可能性もあったからな』
「で、調べてわかったことがある」

上条は何枚かの写真を見せる。
写真には港に現れたナッパやリオレウス、千葉県の邪竜。
他にも第六回放送までのイチローチーム・ドラゴンズのメンバーが死亡者込みで入っていた。

256奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:15:41 ID:.1T/Mroc0

『熱斗くんを死なす原因を作ったハゲ頭とドラゴン……!』
「ジョジョさん、これは?」
「ハゲの奴……ナッパに関しちゃロックマンの方が詳しいだろう。
こいつは殺し合いの最初の方で街を攻撃しようとしたところ、熱斗たちが止めたんだよな?」
『ああ、ネットバトルで人を殺すわけにはいかないと殺さなかったけど』
「今、そいつがイチローチームにいる」
『なんだって!?』

ロックマンに翔鶴、そしてラオウたちも殺し合いに乗っていた危険人物が安全な対主催と思われたイチローチームにいることに驚きを隠せなかった。

『情報によるとあるチームとの戦いでイチローチームに負けて屈服、改心して仲間になったとあるがどうもキナ臭い。
善良な集団であれば我々を襲うならまだしも民間人を巻き込む毒ガスなんて撒くハズがないのだから』
「確かに、百歩譲って襲撃がアタシたちを危険集団と勘違いしたせいだとしても、毒ガス散布なんて屑行為はしないだろ普通」
「ま、待ってください。イチローさんがそんな非情な手段を取るなんてありえない!」

チームのリーダーであるイチローと言えば小野塚小町に並ぶ対主催の要であり、殺し合いが始まる前から生粋のスポーツマンにして人格者なのは周知されている。
増してイチローの大ファンであるムネリンは、拳王連合軍の中で最もイチローに近づき、彼の人柄を理解している。
故に毒ガスを民間人の被害無視でバラまくなんて考えられなかった。

「ああ、確かにイチローチームだけなら、何かの手違いでああなったとも思った」
『そこで私とお館様はイチローチームと同盟を組んだ野球チーム……ドラゴンズの方を調べた。
そうしたらトンでもない連中だとわかった』
「――メンバーの大半が極めて危険な存在だったんだよ」
「なんだって?!」

上条は写真を一枚一枚、仲間たちに見せるように指を指していく。


「こいつは邪竜ギムレー、アソコ(千葉)に見えるアイツのことだよ。
こいつは一部地方で伝説になっているくらいの邪悪な破滅の龍だ」
「確かに……あの竜からはここからでもわかるくらい邪悪なオーラを感じますね……」
『こいつがおそらくドラゴンズのリーダーで全てを操っている』

「次に熱斗を殺したリオレウス。
グンマーに出没しては人を襲ってたらしい危険な竜だ」
『何人もの狩人が討伐に出かけたが返り討ちに遭うこともしばしば……流石に邪竜ほどの危険はないようだが、港にガスを撒こうとする残忍さは頷ける』

「口を開けば幼女を犯したいと口を開くオシリス」
『他とは違う危険性だが、なまじ力を持っているだけに年端も行かぬ幼女を大量に拉致して犯すことも不可能ではあるまい』

「もう死んじまっているがイドゥンやフォーマルハウトも人類を滅ぼそうとしているかなり危険な存在だったらしい」
『特にファーマルハウトは真竜と呼ばれ、都庁に真竜も確認されている』
『ということは……?』
『つまりはだロックマン。
ドラゴンズは都庁と繋がりを持っている可能性が濃厚ということだ』
「なんだと!」

思わず声を荒げる一同。
自分たちはヘルヘイムに攻め入ろうとしていたが、もし本当にヘルヘイムとドラゴンが真竜を通して繋がっていたとしたら自分たちは先制攻撃を喰らったことになるからだ。

「ディオ、さっきの邪竜の台詞もよく思い出してくれ、そういえばアイツらだけ呼ばれてなかったな、と言いたくなるから」
「さっきの宣戦布告……そういえばアイツらだけ呼ばれてなかったな……ハッ!」

上条に言われて何かに気づいたディオ。
それがまだ何を意味するかわかっていない者にシャドーマンが解説する。

『そうだ。
邪竜ギムレーは俺たちや狂信者・主催には宣戦布告をしていたが、都庁ヘルヘイムと聖帝軍には言っていない。
これはドラゴンズとヘルヘイムが手を組んでいる証左ではないか?』

ドラゴンズやヘルヘイムは裏で繋がっているかもしれない、その仮説に一同は驚愕する。

「じゃあイチローさんは……」
「いくら強くても邪竜というぐらいだから捕まって洗脳されたのかもしれない。
俺のいた学園都市にはそれくらいの術者・技術者・超能力者なんてゴマンといた」
『洗脳されずとも味方を人質に取られて無理やり従わせられている可能性は十分にある』
「そうですよね……僕の大好きなイチローさんだったら今頃危険なヘルヘイムやビッグサイトをレーザーでズガンと倒しに行ってでもおかしくないはずだ。
でも彼はまるっきり攻撃する素振りを見せない……そういうことかおのれドラゴンズ!!
奴らの手からイチローさんを殺してでも取り戻さなければ!!」

先程まで負のオーラで無気力になっていたムネリンは、ヤンデレパワーという別の負のオーラで気合が充填されていった。
今の彼は愛するイチローのためにチームを抜ける気など欠片ほどもない。

257奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:16:10 ID:.1T/Mroc0

『ギムレー……ナッパ!』
「あなたたちがいなければ熱斗さんたちが死ぬこともなかった、絶対に許さない」
「翔鶴姉……」

瑞鶴がたじろぐほどの怒りのオーラを出しているのはムネリンだけではない。
兄弟や仲間を殺されたロックマンと翔鶴も同じかそれ以上であった。
ロックマンの中に唯一の負の心、憎悪と復讐心が燃え上がる。
翔鶴も会敵した時は必ず矢を撃ち込むことを決意した。


「どうするだ? 今からカオスロワちゃんねるにでも流してドラゴンズの危険を教えておくか?
奴らに味方する奴は減ると思うんだが」
「おまえの知能はタヌキレベルかクロえもん?
俺たちが危険人物のレッテルを貼られている以上は、俺たちから発信しても無駄無駄無駄なんだよ」
『せめてダイジョーブ博士が生きていればなあ……
なあ瑞鶴、サーフ博士に頼んで発信してもらうとかできないか?」
「こっちから連絡したら提督さんが狂信者じゃないとバレて危ないでしょ!
そもそも提督さんも表向きは狂信者だし、発信したところで誰も信用しないわよ」
『それもそーかー』

イチローチームとドラゴンズはネットではもてはやされている。
邪竜として真の姿を取り戻したギムレーこそ「アレはなんだ?」と多くのモブ参加者から恐れられているが、イチローチームとドラゴンズ(もといイチリュウチーム)自体の評判は落ちていない。
拳王連合軍視点だと、邪悪な者がついていながら信頼されている逆の立場の存在である。

「ならばこの拳王軍直々に処断するしかあるまい。
誤解など勝手にさせておけ、我々は自分たちだけで道を切り開く」
「そうだねダーリン」
「ああ、誤解は邪悪を滅ぼした後にでも解けば良い」

ラオウはドラゴンズが危険とわかっていても止まる気はない。
例え自分たちが信頼されなくとも正義は後からついてくると信じて、数多の妨害覚悟の上で敵という敵を討ち果たさんとする。
次に平等院が今後の予定に関して提案する。

「ならば攻め込む順番はヘルヘイム→イチローチーム・ドラゴンズ→ビッグサイト→最後に九州ロボ・死者スレまたは沖縄のアレ討伐だな」
『え? 千葉のドラゴンズから攻めないの?』
「血気にはやるなロックマン……高速艇も煉獄も沈んだ以上、翔鶴と瑞鶴ぐらいしか海を渡れないだろう。
ここから最短距離を通ろうとするば狂信者のビッグサイトが邪魔になるしな」

まず主催陣営戦力(沖縄の敵も主催戦力だと前提して)を相手にするのは必然的に最後、攻めやすくする準備がサーフの手で行われているとするならばビッグサイトも後回しにする必要があり、必然的に最初に攻略するのはヘルヘイムかイチリュウチームである。
距離や障害物を考えたら東京新宿都庁にあるヘルヘイムから攻め込むのがちょうどいいだろう。

「だけど、ヘルヘイムには聖帝軍もいるしなあ」
『片方だけならともかく、真正面から一辺に相手にするには危険だ。
勝てても損耗を考えると狂信者やギムレーに倒される可能性も出てくる』

とはいえヘルヘイムには本来の戦力に加えて聖帝軍も居座っている。
数の利は向こうに有り、後のことを考えると一度に全員相手にするのは得策ではない。
ではどうすれば解消できるのか?

258奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:17:02 ID:.1T/Mroc0



「……! 良い事を思いつきました」

何やら妙案が思い浮かんだ翔鶴に全員の視線が殺到する。

「挑戦状を送りつけて聖帝軍だけでもおびき寄せるんです!」
「翔鶴姉、どうやって?」
「挑戦状に聖帝軍が指定の場所と時間にこなかったら、東京の全てを破壊する……と書いて送りつけるんです」
『ちょっと待って翔鶴さん! 流石にそれは悪行じゃないか?!』
「もちろん、東京には罪のない人もいますからブラフですよ。
ただしレーザービームを投げられるムネリンさんもいるから、向こうは信じると思います」

東京で大虐殺を働く気はないが、拳王連合軍が実際にいくつものマップ破壊を帯びているので敵は信じるであろう。
ヘルヘイムサイドとて侵略の基盤である東京は失いたくないだろうと瑞鶴には予測できるのだ。

「そうすれば現れた聖帝軍を試合するなり直接戦闘するなりで撃破できます。
ヘルヘイムも狂信者と戦争状態なので防衛のために送れる戦力が限られます。
そして聖帝軍撃破後に、数が大幅に減ったヘルヘイムを攻略するのです」
「流石は翔鶴姉! うまくいけばヘルヘイムの総戦力を2分割できるわね」
「もっとも相手が挑戦状のブラフに乗ること前提だけど」
「いや、何もしないよりはマシだ。うぬの意見を採用しよう」

翔鶴の意見は採用され、本格的にヘルヘイム討伐の第一ステップとして聖帝軍の殲滅が目標とされた。
さっそく言いだしっぺの翔鶴がその辺から拾ってきた紙に挑戦状の内容をスラスラと書き込んでいく。

「……集合場所はどこにしましょうか?」
『あ、そっちは考えてなかったの?
適当な場所だと関係ない人が巻き添えになるし、この港はダメ……となるとどこが良いんだろう?』
「いや、暴れるにはうってつけの場所があるぞ、ここはどうだ?」

ラオウが地図を指さした場所は、ある程度暴れても被害が出なさそうな場所であり、それなりに開けている場所で臨機応変な対応ができる戦場。

「――横浜スタジアムか」



鶴ならぬ拳王の一声により、聖帝軍との決闘場に選ばれた横浜スタジアム。
そこに21時までに聖帝軍だけで来ないと東京を破壊するメッセージを書かれた挑戦状と、早く来れるようにクロえもんの電車ごっこロープを野球ボールに封入し、それをMEIKOは都庁めがけて消える魔球にして投げた。
消える魔球にしたのはレーザー攻撃による迎撃を防ぐためだ。
着弾すればクレーターはできるだろうが、野球ボールとその中身は健在。
クレーターに気づいたヘルヘイム勢力がそれを読み、聖帝軍を送り込んでくるのが理想であった。

259奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:17:52 ID:.1T/Mroc0


「おーい、そろそろ俺たちも横浜スタジアムに向かおうぜ。約束の時間に間に合わなくなるぞ」

それを言ったのは先程までチームをやめたがっていたハズのプニキであった。

「やめたがっていたのに、何で今はノリノリなんだ?」

クロえもんが疑問を口にしたが、その答えは上条が答える。

「ああ、あれね。
街中でひっそりと情報収集している時に最高級蜂蜜を売ってるお店があって、お土産替わりに一ダース買ってきたんだ。
試合に勝つたびに4つずつ渡すということで再契約したのさ。
お金はラオウから渡されたタクアンさんの一兆円で、それで支払ってきた」
「……現金な熊だな。
というか蜂蜜ごときに一兆円でいくら食糧難だからっておかしいだろ……」

なんやかんやチームに戻ってきたプニキと呆れかえるクロえもんを尻目に、他のメンバーは三つの墓で祈りを捧げる。


「ダイアーさん、俺はディーオや拳王連合軍の連中と同じく戦い抜く。
アンタが言う吸血鬼にはならないから安心して眠ってくれ……」

ディオは最良の友であったダイアーに誓う。
彼の心は未だに悪の心はあるかもしれないが、吐き気を催す邪悪な精神では決してない、別の意識が生まれていた。
それを生み出すきっかけになったのは他でもダイアーだったのだ。
必要とあらば盗みや殺しはするにしろ、友人だけは例え死んでいても裏切らないだろう。


「必ずカオスロワを終わらせ、新しい時代を作る。天で見ているがいいムギちゃん」

自分に野球という道を示し、力を貸してくれた紬の墓前で拳王は祈る。
神にではなく紬に。
ラオウが仲間が死んで悲しいと思ったことは数あれど、ここまで強い悲しみを覚えたのは紬が初めてだった。
紬のような犠牲を出さないためにラオウは戦い続けるのだろう。


「……」
『熱斗。君を失って半身を失ったような気分だけど、僕は翔鶴と一緒に戦い続けるよ』

ロックマン、翔鶴にとって最愛の兄弟である熱斗の喪失。
機械という隔たりはあってもかけがえのない家族であった。
それはあまりにも重くのしかかったが、だからと言って歩みを止めるのは熱斗への裏切りに他ならない。
兄弟への手向けは殺し合いを一秒でも早く終わらせ、世界を平和にすることにある。
その平和を掴むために討つべき敵もよくわかってきた。
それらを討伐すれば熱斗の望んだネットナビと人類による絆の世界もきっと蘇ると彼らは信じて疑わなかった。

「翔鶴姉、そろそろ……」
「待って瑞鶴……」

黙祷を終え、仲間たちが次々と横浜スタジアムに向かう中、翔鶴は自分の赤い鉢巻を外して熱斗の墓に添え、反対に引っ掛けてあった青いバンダナを被った。

『翔鶴……』
「これで熱斗さんも一緒ですね、彩斗さん」
『……ああ、三兄妹で日本を救いに行こうか、翔鶴、熱斗』

260奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:18:20 ID:.1T/Mroc0


ダイアーは死んだ、紬は死んだ、熱斗は死んだ。
それ以前にシグナムら多くの仲間が死んだ。
それでも彼らの遺志は生者の中で生き続け、どんなに過酷で奇妙な旅でも耐える心の強さとして残り続けるのであった。







――そして生者が抱く死者への感情は、この殺し合いがただの殺戮ゲームではないと気付かない程度に、拳王連合軍の目を曇らせるには十分であった。





(翔鶴姉……祐一郎も熱斗もとうに死んだのにすっかり光家に束縛されている。
祐一郎の遺品であるロックマンのせいで……

でも拳王連合軍に野球をしてもらうためにも選手になれそうな奴を今轟沈させるのは得策じゃない。
ロックマンを轟沈させて翔鶴姉を提督さんの下へ連れて行くのは拳王連合軍が優勝してからでも遅くない。

最良の戦士による儀式完遂まで、あとたったの2試合……それまで耐えるのよ瑞鶴、ついでにメーガナーダも)
(インドララ!)


まさか新たなる仲間が大災害を引き起こした黒幕の手先であると気付かない程度にも、タクアン・悪魔将軍なき拳王連合軍の目は曇っていた。




【二日目・20時00分/神奈川県 横浜港】

【共通】
※後からきたハクメン・瑞鶴・メーガナーダを除いた全員が強化マシンにより超強化されました
 全員の強化が終わると同時に故障したため、放棄されました
※都庁に向けてMEIKOの消える魔球の中に封入された挑戦状+電車ごっこロープ@ドラえもんが送り込まれました
 内容は21時までに聖帝軍だけで横浜スタジアムに来ないと東京を破壊するという内容です
 数分後に都庁に着弾します
 なお、消える魔球にもそれなりの殺傷能力があるので直撃すると一定レベル以下の参加者が死ぬかもしれません
※ナッパなどの一部イチローチームメンバー、ドラゴンズを敵とみなしました
 ヘルヘイム(都庁同盟軍)とドラゴンズが手を組んでいることにも気づきました

261奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:18:49 ID:.1T/Mroc0




【ロックマン(光彩斗)@ロックマンエグゼ】
【状態】超強化、悪の心(軽度)、深い悲しみと憎悪
【装備】ロックバスター、サイトパッチ&試製甲板カタパルトのデータ
【道具】なし
【思考】基本:殺し合いを終わらせる、翔鶴を必ず守る
0:横浜スタジアムで聖帝軍と野球対決する
1:熱斗を殺す原因を作ったナッパとギムレーは絶対にこの手で殺す
2:翔鶴さんは絶対に失いたくない
3:僕に従姉妹(?)ができたぞーーー!
4:まだ顔を合わせていないサーフ博士を信頼
※PETの中にいます
※ダイジョーブ博士の残した装置で強化されました。全ステータスが格段に上昇しています
※ダークチップ使用により悪の心に少し汚染されました


【翔鶴(光翔鶴)@艦これ】
【状態】超強化、深い悲しみと決意
【装備】彩雲、紫電改二、流星改、 零式艦戦62型、熱斗のPET(ロックマン入り)、シンクロチップ、チップ各種(プリズム・フォレストボムは確定)、熱斗のバンダナ
【道具】ダークチップ一式
【思考】基本:殺し合いを終わらせる、彩斗を必ず守る
0:横浜スタジアムで聖帝軍と野球対決する
1:熱斗を殺す原因を作ったナッパとギムレーは絶対にこの手で殺したい
2:私のせいで彩斗さんが……
3:ダークチップは二度と使いたくないが、奪われると危険なので所持はしておく
4:瑞鶴に謎の親近感。私に血の繋がらない妹ができた?
※熱斗とロックマンより、二人の過去についての話を聞き、自身を光翔鶴と名乗るようになりました
※超強化の影響によりステータスが大幅上昇しました


【ラオウ@北斗の拳】
【状態】超強化、首輪解除、今までで最大の悲しみと決意
【装備】炭酸水
【道具】支給品一式、その他不明、ムギのスタメンメモ
【思考】基本:ダース・ベイダ―たちを倒す
0:まずは横浜スタジアムで聖帝軍と野球対決をするぞ!
1:次はヘルヘイム(都庁の世界樹のこと)だぞ!
2:その次はイチローチームとドラゴンズだぞ!
3:それからビッグサイトも攻略するぞ
4:東京を平定したら最後は主催(九州ロボ、死者スレ、沖縄のシャドウ)だぞ!
  それまで待っていろ!
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました
※都庁をヘルヘイムであると誤解しています


【平等院鳳凰@新テニスの王子様】
【状態】超強化、首輪解除
【装備】テニスラケット、テニスボール×∞、諭吉一枚
【道具】支給品一式、少年ジャンプとヤンジャン、その他不明
【思考】基本:主催者達を滅ぼす
0:横浜スタジアムで聖帝軍を滅ぼす
1:マーダーも滅ぼす
2:信頼するラオウたちと行動する
3:テニスがしたいが、野球をする
4:超人血盟軍を全滅させたヘルヘイムは必ず滅ぼす
5:ハゲ(ナッパ)も滅ぼす、ドラゴンズやナッパも滅ぼす
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました


【MEIKO@VOCALOID】
【状態】超強化、修羅化、首輪解除、強烈な悲しみと殺意
【装備】アルティメットアーマー@ロックマンXシリーズ
【道具】支給品一式、ノートパソコン@現実
【思考】 基本:『真の黒幕』及び主催者共の皆殺し
0:横浜スタジアムで聖帝軍を皆殺し
1:ラオウ達に協力してもらう
2:ヘルヘイムのインベスはとりあえず皆殺し
3:ラオウへの特別な感情
4:ハゲ(ナッパ)を見かけたら嬲り殺す、仲間がいたら皆殺し
※今までとは別人です。
※『無限の回転』を習得しました
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました

262奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:19:22 ID:.1T/Mroc0


【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【状態】超強化、首輪解除、本気モード、 悲しみ
【道具】シンクロチップ、他人のデッキ(「ぬばたま」デッキ) 、最高級蜂蜜残り8つ
【思考】基本:あのAA
0:横浜スタジアムで聖帝軍をそげぶ
1:ネットバトラーの一員として主催やマーダーと戦う
2:未だに大阪で見かけたあの怪しい二人組の正体が引っかかるんだが……?
3:プニキと契約中、一試合ごとに4つ蜂蜜を渡す
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました


【シャドーマン@ロックマンエグゼ】
【状態】超強化、HP満タン
【装備】ムラマサ
【道具】なし
【思考】基本:新しきお館様(上条)に従う
0:横浜スタジアムで聖帝軍をスレイする
1:敵は殺す、慈悲はない
2:お館様を守る
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました


【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】疲労(中)、超強化、首輪解除、悲しみ
【装備】PSVITA(デューオ入り)、十徳ナイフ
【道具】支給品一式×3、シンクロチップ、治療道具、その他不明
【思考】基本:ネットバトルとベースボールを極める
0:横浜スタジアムだ!
1:ジョースター家を手に入れる
2:ジョジョより優越感を得る
3:熱斗が死ぬ前にネットバトルを挑みたかった……
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得て、デューオとクロスフュージョン可能になりました
 新技として一分時間を止められるデューオーバーヘブンを習得しましたが、一度の使用によって強烈な疲労を伴います


【デューオ@ロックマンエグゼ4】
【状態】超強化、HP満タン
【装備】ジャスティスワン、ザ・ワールド
【道具】なし
【思考】基本;とりあえず、ディオたちを見守る
0:横浜スタジアムに向かうぞ
1:九州ロボ及び主催者を殺す
2:ダークチップに汚染されたロックマンが気がかり
※ベジータの持っていたパソコンから情報を抜き出し、ヘルヘイムの情報を得ました
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さとPSVITAの筐体を得ました


【謎のヒロインX@Fate/Grand Order】
【状態】超強化、首輪解除、困惑
【装備】無銘勝利剣
【道具】ドゥ・スタリオンⅡ号(故障中)、スマホ(FGOをやってたせいで電池切れした) 、自転車
【思考】基本:私以外のセイバーを殺すが、その前に対主催しておいて他の対主催者と協力関係を築いておく。
0:横浜スタジアムで聖帝軍と野球ですか
1:宇宙の平和が第一ですね
2:世界が滅ぶのはヘルヘイムのせいだと思うので、平和のためにも打倒します
3:ヘルヘイムの方がセイバー多そうだし
※彼女のクラスはアサシンです。
※謎のヒロインXです。その正体は謎って言ったら謎です。
※世界が滅ぶ原因がヘルヘイムであると思い込んでいます
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました


【プニキ@くまのプ○さんのホームランダービー】
【状態】健康、全ステータスMAX、首輪解除
【装備】木の棒
【道具】支給品一式、その他不明、最高級蜂蜜4つ
【思考】基本:ムギさんからハチミツを貰うために主催者たちを野球で潰す契約だったが……
0:横浜スタジアムで野球をする
1:ホームランを打つ
2:バッティング以外はマジでやりたくない
3:申し訳ないが蜂蜜なくなったら契約終了でチーム抜ける
※強化しなくともバッティングの腕はメジャーリーガー級です


【川崎宗則@現実?】
【状態】健康、首輪解除、ドラゴンズへのヤンデレ的怒り
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式
【思考】基本:イチローを倒してでも、マリナーズに連れ戻す
0:横浜スタジアムで聖帝軍と試合する
1:イチローさんをNTRするドラゴンズを許さない!!
2:どんなことをしてでも(最悪殺してでも)イチローさんを取り戻す!
3:イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん
  イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん
  イチローさんイチローさんイチローさんイチローさんイチローさん………………
※強化しなくとも腕前と戦闘力はメジャーリーガーです

263奇妙な冒険は続く ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:20:40 ID:.1T/Mroc0


【クロえもん@ドラベース ドラえもん超野球外伝】
【状態】超強化、首輪解除、非常に強い悲しみと黒い殺意
【装備】バット、ボール、グラブ
【道具】支給品一式 電車ごっこロープ
【思考】基本:主催者たちに野球で挑んで勝つ!
0:横浜スタジアムで聖帝軍を撃破する
1:敵は全員倒す、俺たちは正しいはずだ!
2:イチロー選手をドラゴンズの魔の手から助け出したい
3:みんなには隠してるが、仲間を殺したホワイトベース組が全滅したことには超メシウマ状態w
4:てゆーか風評被害に踊らされるクズは死ね、氏ねじゃなくて死ね
※ダイジョーブ博士の装置でメジャーリーガー級の強さを得ました


【ハクメン@BLAZBLUE】
【状態】中ダメージ、unlimitedモード、テルミ限定で現実逃避
【装備】斬魔・鳴神
【道具】支給品一式
【思考】基本:『悪』を全て滅する
0:全ての『凶』への対処のためにも拳王連合軍と手を組む
1:世界の平和のためなら力による東京をやむを得ない
2:主催及び世界に災いをもたらす者を『刈り取る』
3:風鳴翼は滅する
4:東京の『凶』、千葉の『凶』は警戒を続けるが後回し
5:悪魔将軍を殺した窒にいる何者かを警戒
6:テルミ? まだ死んでないさ
※unlimitedモードに入りました
※沖縄の『凶』(シャドウ)の気配を察知しました。能力から他の参加者よりも具体的な位置がわかります
 また、具体的な倒し方を知らないため、日本の生き残った戦力を全て集めれば勝てると思っています
※結界でシャドウが動けないことまでは知りません


【瑞鶴@艦隊これくしょん】
【状態】健康、最終決戦仕様
【装備】彩雲、紫電改二、流星改、 零式艦戦62型、違法改造スマホ、結婚指輪
【道具】モンスターボール(メーガナーダ@アバタールチューナー2入り)、宝玉輪@女神転生シリーズ
    石ころ帽子、妨害電波発生装置、裏世界転送マシン
【思考】
基本:提督さん(サーフ)に従い、彼の理想である艦むすの楽園を築く
0:作戦に従い、横浜スタジアムで聖帝軍と野球をする
1:拳王連合軍にイチリュウチームか聖帝軍へ試合をするように仕向ける
2:拳王連合軍が優勝したらサーフと合流し、翔鶴姉にも連れて行く
3:提督の目的の邪魔をする奴は容赦なく殺す
4:翔鶴姉にあえてホント良かった……
5:翔鶴姉を光の呪縛から解放したいが、ロックマンを殺すのは全ての野球の試合が終わってからにする
※サーフが生みだした艦むすです
※サーフとケッコンカッコカリ済みです
※『器』であるメーガナーダはミヤザキの『巫女』である瑞鶴か翔鶴にしか操れません
※裏世界転送マシンは二チームを野球ができる裏世界へ飛ばし、他参加者の妨害や乱入を防いで野球ができます
 裏世界が崩壊するタイムリミットは最大三時間。使用も二回まで。
 負けたチームは崩壊する裏世界に取り残され、死亡します。(移籍などのケースはどのように扱われるか不明)
※改造により現在の翔鶴と同じくらいの戦闘力を有しています

264 ◆LYp5adl2nU:2018/11/02(金) 22:21:14 ID:.1T/Mroc0
投下終了です

265あきよの破壊力が異常:2018/11/08(木) 20:47:33 ID:0GH9fTow0
投下乙です

イリヤいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやいりやがああああああああ!!!!!!!!

266あきよの破壊力が異常:2018/11/08(木) 20:54:12 ID:0GH9fTow0
(...しかし、きみには失望させられたよ、イリヤ)

本体のエンブリヲがあの部屋へ辿りつき見つけたのは、ルビーを持ったイリヤ。
それを見て、『ああ、そういうことか』と粗方の事情を悟った。
彼女は、嘔吐してしまった。己の吐き気に負けてしまったのだと。

267 ◆nqoEANg5Wg:2018/11/08(木) 21:08:15 ID:0GH9fTow0
投下します

268 ◆nqoEANg5Wg:2018/11/08(木) 21:19:13 ID:0GH9fTow0
「ヒャッヒャッヒャッ!!斬擊攻撃!!」


ザシュ ザシュ


「なん……で……?嫌だ………しにたく………ない…………」

こうして鹿目まどかという少女の人生は呆気なく幕を閉じた

【鹿目まどか@変身する女性・少女ロワ 死亡確認】

【二日目・20時00分/神奈川県のどこか】

【山姥@モンスターストライク】
【状態】健康、運極
【装備】包丁
【道具】支給品一式
【思考】基本:全員SA☆TU☆GA☆Iする
0:この少女の遺体を料理して食べる

269 ◆nqoEANg5Wg:2018/11/08(木) 21:20:56 ID:0GH9fTow0
投下終了です

タイトルは「どう料理しようかな」でお願いします

270ルルーシュのナイトメア:2018/12/17(月) 22:46:18 ID:HFljj9ss0
現在時刻は午後七時を回ったところだろうか。
黒き仮面の男にして現カギ爪団の頭領であるゼロもといルルーシュと、C.C.は上層部に呼び出されていた。
上層部に近づけることは、このビッグサイトに潜伏しているカオスロワちゃんねる管理人(一連の事件の黒幕と見ている)のあぶり出しをしやすくなるので本来は喜ばしいことなのだが、仮面で隠したルルーシュとC.C.の表情には焦りの方が浮かんでいた。

その理由はビッグサイトの外に待機させていた妹たち五人が行方をくらませていたからである。
部屋には誰かが暴れた形成があり、美遊・美柑・唯・美也・クロエそして深雪に何かあったことは想像に苦しくない。
他者にはまず見せない狼狽ぶりをルルーシュは隠すことができなかった。
その直後に上層部からお達しが来たとあれば、タイミングが良すぎて嫌な予感を感じずにはいられなかった。

足はやに上層部のいる一室の扉にたどり着いたルルーシュは恐る恐る、重い扉を開けた。


扉を開けたルルーシュの目に飛び込んだのは、部屋の奥に王の如く座る有翼の男――上層部筆頭のディー。
金髪の冷酷そうな軍人――機動部隊隊長のドリスコル。
竜殺剣を担いだ爆乳脇見せ人修羅おばさん――水面下の同盟であるセルベリア。
ムキムキマッチョのコメディアン――松本。
まるで雪の妖精にような愛らしい妹――深雪。


そして――


「美遊…美柑……ッ!!」

椅子に縛り付けられ、顔や体に無数の痣や切り傷をつけられたルルーシュの妹である美遊・美柑がいた。
元の可愛らしい顔がわからなくなるほどの拷問を受けたようだ。
松本の拳に血が付いているところからして拷問を行ったのはこの男らしい。
なぜ自分の妹たちが痛めつけられているのか……ルルーシュは多少無様ななりでも構わずに声を荒らげて筆頭のディーに訴えかけた。

「これはいったい……何の真似ですか! ディー!!」
「ゼロ……彼女たちから色々と話を伺ったよ」
「なに!?」
「このビッグサイトに裏切り者が入ってくるとはな……!」
「「!!?」」

ディーの言葉にルルーシュだけでなく、後ろにいたC.C.をも震撼させた。
察するに妹たちを拷問して得た情報からクラウザーの蘇生方法を奪ってナナリーを生き返す野望や、対主催や主催と接触しようとした計画がバレたのか。
そうなると自分たちの運命はどうなるか。

「裏切り者には死を」

ディーが冷酷に言い放ってからは早かった。
彼は『裏切り者』に向けて刀を投げつけた。
大神の力による加算もあり、人間離れした速度で投げつけらた刀を肉体面で弱いルルーシュが避けることは叶わない。
そして刀はドスリと刺さった。

「え……?」
「ルル……――」

……ルルーシュの隣にいたC.C.の脳天に。
彼女は不死のギアスの持ち主であったが、未だに外れていない首輪によってそれは制限されており効果を発揮しない。
すなわち頭部破壊イコール即死であった。
命を失ったC.C.の体が糸の切れた人形のように床に倒れた。

「し……C.C.ーーッ!! ディー貴様ァ!!」

妹たちを傷つけられた上に相棒である女の死にルルーシュも我慢ならずにディーに吠える。

271ルルーシュのナイトメア:2018/12/17(月) 22:46:55 ID:HFljj9ss0

「お待ちくださいお兄様!」
「深雪?!」
「これには理由があるのです!」
「ワケ……?」

危うく殴りかかる勢いだったルルーシュを止めたのは拷問を受けていない深雪であった。
妹の言葉により噴火寸前だったルルーシュの怒りも、一時的にでも休火山にまで戻すことはできた。

「ゼロ、いきなりすぎて混乱を招いてすまない……怒っても当然だろう」

ルルーシュの怒りに特に動揺した様子もなく、ディーはまず謝辞をし、そして妹たちを拷問したわけとC.C.を殺した理由を淡々と語った。

「そこのC.C.と美柑・美遊、クロエという雌豚どもは都庁の関係者であることが発覚した。
ないしはクラウザーさんの蘇生を阻み、内部からの破壊工作を狙っていたスパイだったのだ」
「C.C.とクロエたちが!? どこにそんな証拠が?!」
「そこにいる美柑と美遊が自供した。
厳密には都庁の関係者の身内がいるくらいだが、支援をしようとは考えていたらしい。
彼女らの口は硬かったが強烈な自白剤と拷問を加えたら観念して知ってる限りの情報を吐いてくれたよ」
「馬鹿な、ありえない! ならば私も……」
「おっと二人によると君や深雪君は無関係らしいから安心したまえ。
彼女らは君の類まれな指揮と深雪君の魔法の才能を使ってバーターとしてビッグサイトに入るつもりだったらしい。
仲間だと思って信じて裏切られて君には同情するよ」

C.C.とギアスで操っている妹たちが自分を裏切るなど考えられない。
都庁に関しては侵入したらしい聖帝軍の中に妹たちの知り合いが何人かいるぐらいで、味方するためのパイプなどは持っていない。

だが、ルルーシュは幾つかの理由によりそれ以上反論に出ることができなかった。
下手に周囲を刺激すると疑われる危険が増大して今度は自分に死の矛先が向く。
この会議室最弱は間違いなくルルーシュであるし、深雪も強いがディーやセルベリアにまで勝てるかは怪しい。
動けない美柑や美遊は言わずもがな。

ギアスで味方につけようにもドリスコル以外に効くかは微妙。
他の三人は人外の気配がし、仮に耐性があった場合は詰む。
おまけに奪取予定の蘇生手段がなんだかよくわかっていないので、ここで暴れて破壊の末にナナリーの蘇生手段を喪失する可能性があるのだ。

ここは事を荒立てずに仲間に裏切られた悲しき狂信者を演じるしかなかった。

「……先ほどの狼藉はすみません。彼女は味方だと信じていただけに」
「気にしていないさ。あれぐらいは想定の範疇さ。
スパイを油断させるためにも君には教えずにここへ招き入れる必要があった。
先に教えてしまったら近くにいる君が殺されてしまう危険もあったからな。
敵を騙すにはまず味方からというわけだが、君が動揺したり怒っても無理はないだろう」

どこか恩着せがましく聞こえるディーの言葉にルルーシュは反吐を吐きそうになるが、ぐっとこらえる。
今は妹たちの安全が最優先――

「よし、彼女らは用済みだ。松本」
「……ま、待って」
「約束と違――」
「へッ、悪く思うんやないで!」

松本の持つ槍の一撃によって命乞いをする美柑と美遊の首が切断された。

「なッ……」

自分が堪えれば妹だけは助かるだろう――ルルーシュのその甘い考えは打ち砕かれた。

272ルルーシュのナイトメア:2018/12/17(月) 22:47:34 ID:HFljj9ss0

「裏切り者には当然の報いであるな、レ○プされる価値もない雌豚にはお似合いだ」

放心状態になったルルーシュに構わず、ドリスコルが冷たく言い放ち、その横で松本は槍でC.C.の首をも切断し。

「見てみい、ワイの会心のギャグ、団子三姉妹や!」

一番上にC.C.、中間に美遊、一番下に美柑の順番で三人の生首を槍で串団子のように突き刺して周囲に見せびらかした。





「……ッ!!」

瞬間、妹をなぶり殺しにされたルルーシュの怒りは頂点に達した。
ルルーシュの手がポケットの中に隠しているナイトメアフレーム入りホイポイカプセルに伸びようとする――

(お兄様!)
(深雪!)

しかし、ルルーシュが反抗に出る前に隣にいた深雪に手を掴まれ、止められた。
その腕はひどく汗ばんでいるのか濡れていた。

(申し訳ございませんお兄様。
でもこうするしか、お兄様を守る方法がなくて……)
(深雪……)

思わず怒りを噴火させそうだったルルーシュであったが、深雪のおかげで踏みとどまることができた。

(謝るのは俺の方だ。妹たちを殺されて頭に血が上った愚兄を許してくれ)
(いいえ、みんなを守れなかった愚妹である私をお許しください)

実際、ガウェイン一機では上層部相手に勝ち目は薄く、仮に勝ててもビッグサイト中の狂信者の総攻撃を受けて殺されていただろう。
ナナリー蘇生までは死ねない身である以上、ルルーシュにとってそれは嬉しくない。
幸い、自分が裏切りかけたのは上層部や松本には気づかれてないようだ。

「君の仲間事情に関しては残念だが、つい先ほど逃走中と思われた唯・美也の惨殺死体が東京湾で確認された。
二人は裏切り者ではなかったそうだが、クロエに殺されたようだ。
その逃走中のクロエは、とあるネームド狂信者が討ってくれたことで問題はそこまで拡大しなかったのは僥倖だ」
「……そうですか、クラウザーさんへの恥を重ねないためにも裏切り者が討たれて良かったです」
「どうやら気持ちの整理がついてくれたようだね」

新たに報じられた唯と美也、そしてクロエの死にルルーシュは表面上は動揺せず、平静を保つ。
もちろん心の中では生存を信じたかった三人への望みが絶たれた失望感と黒く煮えたぎる狂信者への怒りがあるが、ただ一人生き残った妹の深雪を守りたい一心で噴きこぼれないように深く蓋をした。

「……ただ一つ、クラウザーさんの蘇生手段は確かにこの施設にあるんですかな?」
「詳細は言えないが、蘇生手段は確かにビッグサイトにある。
だが、それにはどうしても生贄の数が足りないのだ」
「具体的な必要人数は?」
「都庁のヘルヘイム、聖帝軍、拳王連合軍、千葉に居るイチロー率いる同盟、主催がいると思わしき九州ロボ。
この組織の内、最低三つは滅ぼしておけば蘇生は可能になる」

ルルーシュはそれは本当なのかと、同室内にいるセルベリアに視線で質問する。
答えはイエスであった。
蘇生手段があるのは嘘ではないらしい。

「良かった……そうでなければ私がここにきた意味はない」

もちろん、それはクラウザーさんの蘇生のためではなくナナリーのためという意味であるが、狂信者たちにはわかるまい。

「熱心なのは結構。
では、ゼロ、君と深雪くん、カギ爪団の長となった君に仕事を与えよう。
ここにいるドリスコルと機動部隊、以下ネームド狂信者数名と共に都庁攻略に向かって欲しい」
「!!」

筆頭のディーから与えられた仕事は狂信者と戦争中であり、二度の侵攻を退けた都庁の攻略。
すなわち最前線送りであり、主催との接触方法と管理人を見つけていないままビッグサイトを離れたくないルルーシュとしては非常にありがたくない展開であった。
パイプを持っているセルベリアとも引き剥がされてしまう。

273ルルーシュのナイトメア:2018/12/17(月) 22:48:06 ID:HFljj9ss0

だが、断るわけにもいかない。
ただでも名目上は、裏切り者を招き入れてしまった戦犯一歩手前の狂信者である。
本当ならば諸共処刑されてもおかしくない立場であり、口答えすれば今度こそ抹殺される可能性が濃厚。
生かされているのはおそらく、カギ爪団をコントロールできる指揮官が足りないためでもあるのだろう。

「わかりました」
「ああ、21時までにはここを出発し、22時までには作戦を開始できるように準備して欲しい」
「随分、短いですね……もう少し作戦を練る時間が欲しい」
「その気持ちはわかるが、クラウザーさんが待ってくれなくてね」
「は?」

ディーの口から漏れたクラウザーさんが待ってくれないという言葉にルルーシュは耳を疑う。
だがクラウザーは死んでおり、まだ生き返ってないはず。
これはどういうことなのか?

「これを見てくれ」
「……な」

部屋に備え付けのモニターに映し出されたのは、異常気象を引き起こしている現状の沖縄。
ただの嵐や台風ではない……魔力を持たぬ者でも見ればわかる明らかな『異常事態』であった。

おもわず絶句するルルーシュ……なぜならば、ルルーシュは妹キャラ(55歳)から横流しされたプロジェクト・テラカオスの概要を知っているため、異常気象の正体がTCによるものだと感づいていた。

「なんやこれは?」

TCのことなど微塵も知らない参加者である松本が疑問を口にする。
真実に近いものはルルーシュが知っているが、その疑問に答えたのはディーであった。

「これほどの形容し難い天災を引き起こせる存在は一人しかいない……クラウザーさんだ」
「?!」
「は?」
「なに?」

上層部筆頭の言葉にルルーシュだけでなく、深雪や松本も首を傾げる。
狂信者はともかく、この三人はクラウザーがそんな力など持っていないことを「知っている」のだから。

「ちょいまてや、クラウザーさんはまだ生き返っておらへんのやろ!?
大阪でグルドって奴に殺されたハズやないのか?」
「おまえたちこそ何を言っている。
この世界を統べるクラウザーさんなら冥府から異常気象を起こすなど朝飯前だ。
グルド相手には根岸崇一という存在に『世借り』していた弱体化状態だったためにしてやられてしまったが、本来の彼なら世狩りしていないと世界を一瞬で滅ぼせる力の持ち主に違いない。
故に沖縄に発生した神格者すら近づけさせない気象はクラウザーさん以外はありえないのだ」
「は、はぁ……なるほど(め、滅茶苦茶な理論やな)」

ドリスコルの解説になっていない解説に松本は表向きは納得しつつ、内心では呆れ果てていた。

余談だが、上位クラスの狂信者になると根岸崇一(つまりクラウザーさんの中の人)のことは周知されている。
ただし、クラウザーさんの正体ではなく、クラウザーさんが化けていたアバターのようなものと思われているが。
クラウザーさんは絶大な力を持っているが故に、人間レベルに力を落とさないとこの世界で歌えないらしい。
そのための器が根岸であり、波長のあう彼に世借りしていたというのが超のつく狂信者の理論である。

当然真実は違うのだが、狂信であればあるほど目が曇っていくので信じているのだ。
自分たちの英雄がクソザコナメクジだったと信じたくない者たちと同じ心理である。


「見ての通り、クラウザーさんは非常に怒っていらっしゃる。
このまま行けば我らは忠義を示せぬまま滅ぶことになるだろう。
あの方が望むのならば滅ぼされるのもやむなしだが、忠義の証を立てられぬまま死ぬわけにもいかんだろう。
クラウザーさんを認めなかった世界への復讐も終わってはいない」

ディーは異常気象をクラウザーの怒りと受け取ったようだ。
彼の怒りを鎮めるためにもSATUGAIを続け、装置でクラウザーさんを蘇えらせないといけないと考えに至ったようだ。

「もう、我々には一刻の猶予もない。無茶は承知の上だ。
手始めに都庁を滅ぼし、次はイチリュウチーム、拳王連合、そして最期は主催だ。
第一ステップとして都庁への最終攻撃作戦を実行に移す。
まずはドリスコルとゼロを中心に作戦を立て、都庁を陥落させてもらいたい。
防衛隊長であるセルベリアと残りのネームドは辞令があるまで待機、以上だ」

筆頭のディーは命令を下し、部屋に集まった集団を解散させた。
ディーとドリスコル以外は一度ビッグサイトの外に出た。
なお、深雪は裏切り者を見つけた功績を認められ、(やたら悪臭漂う)薬によって首輪が解除された。



【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡確認】
【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 死亡確認】
【結城美柑@ToLOVEるダークネス 死亡確認】


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