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オリロワ2014 part3

99THE END -Relation Hope- ◆H3bky6/SCY:2018/11/11(日) 22:27:32 ID:9FwNdzk60
意識が霞み始めたが、気力を振り絞り踏みとどまる。
まだ倒れる訳にはいかない。

男の死と共に世界が消え始めた。
この世界はワールドオーダーを殺すために創られた世界だ。
目的を達した以上、世界は消滅するのが必定である。

この地における最大の悪は倒した。
だがそれを手放しで喜ぶにはまだ早い。

消えゆく世界の最後の力を一枚の翼に集約して、倒れたワールドオーダーの首を撥ねる。
躊躇っている暇はなかった。
血だまりに転がる首輪を勇二が急いで回収する。

首輪は得た。
ここからどうするかが問題である。

解体、解析、効果の適応。勇二にそれが出来るのか?
勇者の力も失われ、霊力が尽きた状態ではただの小学生でしかない。
爆発はしないと保証されている首輪なのだから強引にやればできないことはないだろうが、余りにも時間がない。

「…………何か、何かないのか…………ッ!?」

逆転の可能性を探して、灯りを取り出すのも忘れ暗闇に目を凝らしながら周囲を見る。
見えるのは逆さまの電波塔、首のないワールドオーダーの死体、そして。

「ワールドオーダーの…………荷物」

飛びつくように荷物に掴みかかると、ひっくり返すように中身を地面にぶちまける。
微かな希望に縋るように地面に転がる荷物を掻き分けるが、出てくるのは食料や地図といった一般参加者と変わらない物ばかりだった。
転がっている時計の針が目に入る。残り時間は1分を切っていた。

腹の底がざわつくような焦りが勇二を支配し始めた。
先ほどまでの戦いとは違う、足元から追い詰められてゆくような感覚。

このままでは終わる。
勇二の命が。
繋がれた希望が。
何もかもが終わってしまう。
それはダメだ。
それだけはダメだ。

主催者の所持品なのだ。
全てを解決する一発逆転の何か。
そんな道具があってもいいじゃないか。
一般参加者と同じだったとしてもランダム支給品が何か、何か、何かあるはずだ。

ぐるぐると廻る思考。焦る手が何かに触れた。
基本支給物ではない何か。恐らくワールドオーダーにランダムに与えられた支給品の一つ。
それが何であるかを理解した瞬間、少年は自分が何をすべきかを理解した。

己が辿る運命。
己が為すべき役割。
その全てを悟る。
それは幼い少年が固めるには余りにも過酷な決意だった。

静寂が訪れる。
全てを成し遂げた少年は祈る様に目を瞑る。

それは全てを解決するわけでもなく、少年の命も救わない。
それでもやらなくては。
ここで終わるのではなく、何かを先に繋げるために。

「…………………………………………お父さん、お母さん」



爆発音が鳴り響いた。


この世界に蔓延る巨悪を打ち倒した勇者は、報われることなくその命を落とした。
神の如き支配者も、神の因子に侵された女も、神の才を持つ少年も消え去り、この地に残ったのは朽ちた塔のみである。

何もかもが消え去り無に返る。
残る物は何一つない。





いや、希望は。



【オデット 死亡】
【田外勇二 死亡】
【主催者(ワールドオーダー) 死亡】


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