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オリロワ2014 part3

93THE END -Relation Hope- ◆H3bky6/SCY:2018/11/11(日) 22:24:25 ID:9FwNdzk60
「くっ…………」

オデットが苦しげに息を吐く。
やはり少々無茶が過ぎた。
あまりにも強力なその攻撃を制御するにはオデットの体は傷付き過ぎていた。

「ふぅ。危ない危ない」

絶体絶命の状況から助かった直後とは思えぬほど平然とした声で飄々と呟く。
攻撃が逸れ命拾いした事を、ワールドオーダーは幸運であるとは微塵も思ってはいなかった。
彼に言わせれば幸運ではなく運命である。
オデットではワールドオーダーを世界から排除するに足る運命を持たなかった。

その考えが正しいか否か。
確かめるすべはないが事実として攻撃は外れた。

だが、何も起きなかったわけではない。
空白が生まれた。
雷の矢によって消し飛ばされたその空間に矢が辿った軌跡に奇跡の虹が残留している。
それはさながら夜空に架かる虹の橋だ。
その道を往くのは、当然、勇者の仕事である。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

仲間が決死の思いで開いたラスボスの元まで一直線に繋がるレインボーロード。
勇二が勝利の栄光へと繋がる虹の橋を一気に飛び抜ける。

「追いついたぞ、ワールドオーダー!!」

勇二がワールドオーダーを眼前に捉える。
猛る勇者。
自らを追い詰めた相手を見て、支配者は嗤った。
とても不気味な笑顔だった。

「追いついた? 違うね――――――追いつかせたのさ」

瞬間、空より月が消えた。
雲に隠れたのではない。
何故なら、ここは薄くかかった積雲より高い、遥か上空なのだから。

勇二の顔に影がかかる。
月を隠した何かが勇二の上空に存在を示した。
その影を見上げる。
そこには、降り注ぐ余りも巨大な槍があった。

「な…………ぁっ!?」

それは重力が反転した際に空に打ち上げられていた電波塔だった。
100tを超える大質量が巨大な槍となって降り注いで来る。
その落下地点に誘い込まれていた。

槍が降ることを予知していたワールドオーダーは既に槍の範囲外へと離脱を計り動いていた。
それに気付いた勇二も僅かに遅れてそれを追う。

一心不乱に空を駆け抜ける。
だが、単純に”デカすぎる”。
一息で躱せる大きさではない。

夜闇に紛れたせいで、電波塔の存在に気付くのが遅れたせいで。
最短距離を全力で飛行しても回避が間に合うかどうかというタイミングである。

空から落下する逆さまの塔。
それに巻き込まれそうになる二人。
そこから少し離れた位置にいたオデットには全体が見えていた。

ワールドオーダーは既に安全圏に離脱した。
僅かに遅れてはいるがこの調子なら勇二もギリギリだが避けきれるだろう。

だが、そこでオデットは気付いた。
ワールドオーダーの狙いに。
彼の目論む、その悪意に。

「ダメよ! 勇二くん―――――――!!」

オデットは飛び出す。
一刻を争う事態。
もう余裕がない。
勇二の行く手を塞ぐ様に瞬間移動で転移すると、向かってくる勇二を乱暴に横合いに蹴り出す。

直後、落ちてくるタワーに巻き込まれオデットは地面に堕ちていった。

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