したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

オリロワ2014 part3

91THE END -Relation Hope- ◆H3bky6/SCY:2018/11/11(日) 22:23:51 ID:9FwNdzk60
周囲の風景が目に飛び込む。
静止したのは遥かに低い上空、見上げれば島全体を見渡せる程の高所だった。

それは異様な風景だった。
この島の全てが天に墜ちる逆しまの世界となっている訳ではなかった。
むしろそうなっているのはごく一部、この一帯だけが異常だった。
表と裏。正と負が入り混じった何て狭くて歪な世界。
これがワールドオーダーの創る世界。

全てが逆しまの世界の中、高く大地を見上げる。
剥がれ落ちた大地が次々と墜ちてくる中で、大地に縛り付けられたワールドオーダーが空を見下ろし口元を歪めていた。

「…………倒そう、あいつはここで、倒さなきゃダメだ」

この歪んだ世界を眺めて、そう改めて強く決意する。
自分の首輪を解除するためという理由だけではない。
思うがまま世界の歪ませるアレは世界に居てはならない存在だと心の底からそう確信した。

「糸を解いて勇二くん!」
「あ、そうか!」

オデットに言われ勇二はワールドオーダーを縛る霊力の糸を消し去った。
拘束を解かれたワールドオーダーの体が、反転した重力に従い落下を始める。

オデットたちは空中で静止したまま身構える。
落下に抗うの手立てのないワールドオーダーがこの状況を回避するためには世界を改変するしかない。

世界がどう変わるのか主導権は常に世界を変えるこの男にある。
次の瞬間世界がどう変わるのか余人には予測を立てる事すらままならない。
だが今なら、確実に世界を変えざる負えない今ならば、少なくともタイミングは読み取れる。

故に何が来ようと対処できるよう心構えをする二人。
だが、その予測を裏切る様にワールドオーダーは風圧に煽られる口元を歪めたままそのまま自由落下を続けるだけだった。
空中で静止するオデットたちとの距離が見る見るうちに縮まってゆく。

(まさか、このまま落下の勢いを利用して衝突するつもりなの!?)

意表を突く策だが、この男ならばやりかねない。
オデットは迎え撃つべく身を構えた。
勇二を抱え両手の塞がった状態でも魔法で撃退するだけならば口だけで事足りる。

「『人間』は『飛べる』」

だが、その直前でクンと、見えない何かに引っ張られるようにしてワールドオーダーの落下軌道が変化した。
世界が変わる。
重力は正常に戻り、世界はぐるりと反転する。

そのまま曲がりながら浮き上がるような軌道を辿るワールドオーダーの体。
それは落下ではなく自由自在に空を飛ぶ『飛行』だった。

空中戦を続けようというつもりなのか。
だがそれはオデットにとっては望む所である。

オデットの空を飛べるというアドバンテージをイーブンにされただけだ。
むしろ、それ以外の法則が存在しない今が好機である。
いかに重症であろうとも、それ以外の戦闘能力ではまだオデットに分があった。
どういうつもりか知らないが、この機を逃す手はない。

勇二を抱えたオデットは彼女たちから離れる様に飛んで行くその背を追おうとしたところで、鼻先に僅かな異変を感じた。
それは小さな砂粒だった。どうやら空から降り注いできたようだ。
それ自体は何の変哲もない砂粒である。
だが、ここは雲も見下ろそうかという遥か上空だ、そんなものが降り注いでくるはずもない。

予感を感じ、墨をぶちまけた様な空を見上げる。
世界は革命され反転していた重力は正常に戻った。
ならば先ほど空に打ち上げられた、草木や岩石が、剥がれ落ちた大地はどうなるのか。
その答えが雨霰となって降り注いできた。

「くっ!」

身を躱す。
大小様々な物体が空よりも高い宙より落下してきた。
自由落下に過ぎないが、辛うじて糸で体を繋いでいる状態のオデットにとっては、物よっては当たれば危うい。
勇二を抱えた状態で果たして的確に全て躱しきれるのか、そんな不安が頭をよぎる。
だが、そこで抱えていた勇二が自分に視線を向けている事に気付く。

「大丈夫だよ、オデットさん」

ニコリと勇二が安心させるような笑みを浮かべる。
そして自分を抱えるオデットの手を解き、トンと突き放すと空へと自らの体を放った。

「!? え、勇二く…………ん!?」

突然の勇二の行動に驚きオデットは捕まえようと手を伸ばすが、夜に飛び出した少年の体は沈むことなく浮き上がった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板