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オリロワ2014 part3

49HERO ◆H3bky6/SCY:2018/06/08(金) 01:05:32 ID:CdEWYDVs0
「ボンバーガールね」
「ああ、恐らく間違いない」

頭痛を堪える様に額に手をやり首を振る。

「慎重を要するこの状況で、見つけてくれと言わんばかりの派手な移動方法を取るって……あなたのお仲間はそこまで考えなしなの?」
「返す言葉もないな。だが、頼りになる女だ。できれば、合流したい」

恐らくは相手の存在に気付いているのはこちらだけだ。
合流するにはどこかに行く前に迎えに行く必要がある。
だが、事件解決の手掛かりとなり得るこの場の調査を放置するわけにもいかない。

「迎えには俺一人で行こうと思う、あんたはここで調査を続けてくれ。
 俺はそっち方面ではあまり役に立てそうにないしな。枠割分担と行こう」
「そうね…………」

女子高生探偵は口元に手を当て考え込む。
確かにリクにその手のスキルは期待しておらず、探偵とは違うヒーローとしての発想力が欲しい場面でもない。
ここで戦力を分けるのは非常にリスクが高いが、役割分担と言うのは正しい方針である。
であるのだが。

「その方針自体に異議はないわ。けれど駄目、あなたを行かせるわけにはいかない」
「何故だ?」
「単純に、あなたに死なれると困るのよ」
「俺に…………? あんたの護衛役がいなくなるのが困る、って事じゃなくてか?」

戦力分散は別行動した場合の当然のリスクだ。
特に襲撃を受けた場合亜理子一人では対処できない。その護衛として残れと言うのならまだ分かる。
そういう意味では合流が果たせれば日本の誇るヒーローがもう一人戦力に加わる大きなメリットがあるのだが、それでも許可できない理由があった。

「ええ、貴方に死なれるのが困るのよ。だから今にも死にそうなあなたを行かせる訳にもいかないわ」
「それは俺が道中で誰かに襲われるかもってことか?」
「それもあるし、たどり着いた先に居るのが敵っていう可能性もあるわ」
「それは珠美じゃないかもって意味か? それとも……」

別の意味を含んでいるのか。
そう問うようにリクの視線が強まり、一瞬不穏な気配が二人の間に漂う。
その視線を亜理子は軽くあしらう。

「可能性の話よ」
「だからって、ここにいれば安全って訳でもないだろ」

戦場と化したこの場でどこに居たって危険地帯である事には変わりない。
実際の所、万全のシルバースレイヤーならともかく、重傷を負っている今のシルバースレイヤーは護衛としては心許無い。
先ほど亜理子を襲った太陽の怪人のような輩に襲われれば二人とも成すすべなく死ぬだけである。

「そうね、確かにそれはその通り。けど動かないほうが安全っていうのは道理でしょ?
 ともかくあなたにはやって貰わないといけない役割があるの、それまで死なれては困るわ」
「役割…………?」

そう言えばと、その言葉に先ほどの通信越しに漏れ聞こえていた亜理子と龍次郎の会話を思い出す。
完全に聞こえていたわけではないが、リクを何かに利用したいと言う話だったか。

「あんたは俺に何をさせたいんだ? ワールドオーダーを打倒するためだ、ってんなら協力はするが……」
「正しく”それ”よ」

確信を得たりと強い語調で探偵は言う。
それと言うのが何を指しているのか、リクはすぐさま理解した。

「それって…………つまりは、俺にヤツを倒してほしいってことか?」

ええ、と魔法少女の衣装を着た女子高生は頷きを返す。
だが、それは亜理子に促されずとも行う大前提である。

「言われなくともそのつもりだが。そこまで言うからには何か理由があるってことなんだな?」
「ええ。察しがよくて助かるわ」

聞き手の理解の速さに女子高生探偵は満足げに頷く。
ヒーロー組織の長だけあって頭の回転は悪くない。
と言うより先ほどまでの相棒が脳筋すぎた。
優雅さすら感じさせる所作で探偵はスカートを翻させる。


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