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アニメキャラ・バトルロワイアル4th part4

1名無しさん:2017/03/05(日) 07:40:57 ID:ngLuRqqY0
ここはアニメキャラクターでバトルロワイアルを行うリレーSS企画です。
企画の性質上、キャラの死亡や流血等、残酷な内容を含みます。閲覧の際には十分ご注意ください。

したらば
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17204/

避難所
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17220/

地図
ttp://imgur.com/wm3q2BI

チャット
ttp://anirowa4.chatx2.whocares.jp/

【参加者名簿】

0/7【Fate/Zero】
×衛宮切嗣/×セイバー/×言峰綺礼/×ランサー/×雨生龍之介/×キャスター/ ×間桐雁夜
2/7【銀魂】
×坂田銀時/×志村新八/×神楽/×土方十四郎/○桂小太郎/×長谷川泰三/ ○神威
3/6【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
○空条承太郎/×花京院典明/×ジャン=ピエール・ポルナレフ/×ホル・ホース/ ○ヴァニラ・アイス/○DIO
2/6 【神撃のバハムート GENESIS】
×ファバロ・レオーネ/×カイザル・リドファルド/×リタ/×ジャンヌ・ダルク/○アザゼル/○ラヴァレイ
1/5 【ご注文はうさぎですか?】
×保登心愛/×香風智乃/○天々座理世/×宇治松千夜/×桐間紗路
2/5【デュラララ!!】
○セルティ・ストゥルルソン/×園原杏里/×折原臨也/○平和島静雄/×ヴァローナ
1/5【ラブライブ!】
×高坂穂乃果/×南ことり/×矢澤にこ/ ○絢瀬絵里/×東條希
1/5 【結城友奈は勇者である】
×結城友奈/×東郷美森/×犬吠埼風/×犬吠埼樹/ ○三好夏凜
2/5【キルラキル】
○纏流子/○鬼龍院皐月/×満艦飾マコ/×蟇郡苛/×針目縫
0/4【グラップラー刃牙】
×範馬刃牙/×ジャック・ハンマー/×範馬勇次郎/×本部以蔵
2/4【selector infected WIXOSS】
○小湊るう子/×紅林遊月/×蒼井晶/○浦添伊緒奈
0/3【咲-Saki- 全国編】
×宮永咲/×神代小蒔/×池田華菜
1/3 【魔法少女リリカルなのはViVid】
×高町ヴィヴィオ/×アインハルト・ストラトス/○コロナ・ティミル
2/3 【のんのんびより】
○宮内れんげ/○一条蛍/ ×越谷小鞠
1/2 【グリザイアの果実シリーズ】
○風見雄二/×入巣蒔菜
20/70

2名無しさん:2017/03/05(日) 07:41:51 ID:ngLuRqqY0
前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1455272657/

A:基本ルール
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一名が優勝者となる。
 優勝者はどんな願いも叶える事ができる。
 参加者間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、参加者は会場内にランダムで配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
 ゲーム開始から72時間経過した場合も勝者なしゲームオーバー(参加者全員死亡)となる。


B:スタート時の持ち物について
 全ての参加者には騎士の手甲に似た幅広の腕輪が嵌められている。
 腕輪には特殊な力を持つ白のカード1枚がはめ込まれている。
 それとは別の特殊な力を持つ黒のカードが1〜3枚、赤のカードが1枚、青のカードが1枚支給される。
 他のパロロワでいうところの首輪とデイパックに相当する。

 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は大小に関わらず全て没収
 武器にならない衣服、帽子などは持ち込みを許される。
 もし、それらが武器の類なら代わりに同デザインの普通の衣服等を着せられる。支給品扱いではない。

C:【4種類のカード】
白:マスターカード
  腕輪に嵌まっているカード。
  地図ナビ、時計、名簿、脱落者の確認、点灯などいろいろ行えるカード型端末。
  死んだり主催に刃向かったりしたら、このカードの中に魂が封印されて喋ったり動いたりできなくなる。
  基本腕輪から取り外せないが、死んで魂がカードに封じられた後に剥がれ落ちる。
  物理破壊不可。

※基本的に主催は意思持ち支給品の生殺与奪権も参加者同様に握っている。


黒:ランダムカード
  つまりランダム支給品。出したものをカードに収納できる。
  それぞれ武器や道具とかのアイテムが収納されている。
  一回出してからカードに再収納すると効果欄が浮かび上がって詳細が確認可能。

※支給品枠についての注意
【キルラキル】【結城友奈は勇者である】【なのはvivid】【Fate/Zero】の
制服、スマホ、デバイス、宝具の本人支給は可。
ただし、本人に支給する場合はそれだけで支給品枠を全て使うものとする
(デバイス等を本人以外のキャラに支給する場合は、支給品ひと枠分として扱っても可。
 その代わり初登場話で他の参加者から、本人装備を奪う、譲り受けるような展開での入手は禁止)

赤:フードカード 
青:ウォーターカード
 赤は食料、青は飲料。任意のものが出せる。1回につき1人前までで、10回まで。
 一度出したものは元には戻せない。

3名無しさん:2017/03/05(日) 07:42:50 ID:ngLuRqqY0
D:【侵入禁止エリアについて】
放送で主催者が指定したエリアが侵入禁止エリアとなる。
放送度に禁止エリアは計3マス指定される。
参加者が禁止エリアに入って一定以上の時間が経てば、魂が引き剥がされ死亡する。
意思持ち支給品も状況次第で同じように処理される可能性あり。
禁止エリアは最後の1名以下になるまで解除されない


E:放送と時間表記について
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が侵入禁止エリア、死亡者、残り人数の発表を行う。
禁止エリアは放送度に計3マス指定される。

※本編は0:00スタート。


F:状態表
  SSの最後につける状態表は下記の形式で

【(エリア)/(場所や施設の名前)/(日数と時間帯)】
 【(キャラ名)@(作品名)】
 [状態]:
 [服装]:(身に着けている防具や服類、書く必要がない場合はなくてもOK)
 [装備]:(手に持っている武器など)
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:(収納した支給品)
     (黒カードに収納していない初期配布の白、黒、赤、青カード以外の所持品)
 [思考・行動]
基本方針:
   1:
   2:
 [備考]
  ※(状態や思考以外の事項)

・時間帯の表記について
 状態表に書く時間帯は、下記の表から当てはめる。

 深夜:0〜2時 / 黎明:2〜4時 / 早朝:4〜6時 / 朝:6〜8時 / 午前:8〜10時 / 昼:10〜12時
 日中:12〜14時 / 午後:14〜16時 / 夕方:16〜18時 / 夜:18〜20時 / 夜中:20〜22時 / 真夜中:22〜24時


・死亡したキャラが出た場合は以下の通りに表記する
【参加者名@作品名】死亡
残り○○名

4名無しさん:2017/03/05(日) 07:44:26 ID:ngLuRqqY0
G:一律制限案
バランスブレイカーとなる身体能力及び戦闘能力は制限される。
基本はアニロワシリーズ基準で(他のロワも参考にした方がいいかも)。
ギャグ描写の誇大解釈は無しの方向で。細かい所は書き手任せ。
対象:キルキラルのキャラ、結城友奈は勇者であるのキャラ(変身後)
   JOJOのスタンド、Fate/Zeroの英霊達など。


H:〈キャラ個人の特殊能力について〉
バランスブレイカーなるくらい便利すぎるもの、厄介なもの、制限が難しいものは禁止。
蘇生、洗脳、再生、時間操作能力を持った参加者や支給品には何らかの制限を加える。
Fate/Zeroの魔術などは大半は使用できなくなる。物理攻撃不可能な参加者にも攻撃は可能になる。
ただし、能力を削除する事によってキャラの魅力が激減するなら議論。
腕輪や白のカードへの安易な干渉ができる能力などは原則禁止。
細かい所は書き手任せ。


I:{洗脳系能力の扱いについて}
本来の能力と比べて効果を減衰させるか、あるいは2時間単位で解除される仕様にする。
洗脳系アイテムは所持者が同意するか、廃人にならない限りは乗っ取り不可に。
乗っ取っても2時間単位で洗脳は解除されるので、その都度能力を行使する必要あり。
洗脳能力はそれをメインにしているキャラや支給品のみが行使できる(要議論?)。


J:『支給品の制限について』
支給品も参加者と同等にその効力が制限される。
言語能力、一般人と同等以上の戦闘力を持つ意思持ち支給品は、所持者(主)から遠く離れる事ができない。
有用であればあるほど、離れられる距離は短くなる。場合によっては更に制限がつく可能性も。
行動範囲外に入ればどうなるかは議論か書き手任せ。

宝具や勇者用スマホなど、一般人が通常なら扱えないアイテムも当ロワでは特に大きなリスク無く大体使用可能。
ただし、その効果は力量にもよるが本来の所有者のと比べ大きく落ちる。細かいところは書き手任せ。
本来の所有者やそれに近い実力者が使えば制限下であるものの充分力を発揮できる。

5名無しさん:2017/03/05(日) 07:45:13 ID:ngLuRqqY0
K:作品別の参加者・支給品の制限

【Fate/Zero】
・マスターの令呪は没収
・サーヴァントの霊体化禁止

【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
・スタンドは可視化、物理干渉を受ける
・ヴァニラ・アイスの暗黒空間に腕輪を飲み込むことは出来ない

【結城友奈は勇者である】
・精霊の防御能力にはなんらかの制限を加える。
・スマホに精霊を2体以上付けるのは禁止。
 ただし、本人支給をした場合は、そのキャラの参戦時期の時の精霊の数になる。
・NARUKO(勇者専用アプリ)の勇者の位置表示機能は使用不可。

【selector infected WIXOSS】
・ウリスとイオナ(ユキ)は『浦添伊緒奈』の、ユヅキと花代は『紅林遊月』の中身が誰であるか判明するまで支給不可。
・カードバトルを作中で行う場合、バトルの直前および途中でのリレーは可能な限り避ける。
 (ウィクロスはTCGアニメですが作中でのゲーム描写が曖昧な部分があり、カードゲームパートによる企画停滞を避ける為)

※議論及び、話の進行によって、今後各作品の支給品、能力等の問題は当ルールテンプレとは別に『制限まとめ』として今後編集していく予定です。
 詳しくは ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17220/1435887783/325- で。

6名無しさん:2017/03/05(日) 07:46:22 ID:ngLuRqqY0
L:【予約について】
キャラ被りを避ける、執筆期間を取りたいという場合にはまず予約にて書きたいキャラの予約を行う。
予約はトリップを付け、その作品に登場するキャラの名前を書く。
キャラの名前はフルネームでも苗字だけでも構わない。そのキャラだと分かるように書く。

予約及び本投下条件は、リレーする作品の投下から36時間以上が経過し、尚且つ通しになっていること。
要修正の作品は修正作業が完了し、最初の本投下から36時間以上経過すれば予約できるが、
問題が残っている場合は最悪破棄され予約も無効となるので、リレーする作品は改めてよく確認すること。

自己リレーは絶対という訳ではないが、リレー企画の体裁上は予約する場合は自己リレーと予め言っておく事。
序盤はできるだけ避ける事。

また再予約する際は周囲の、他書き手の同意を得た上で再予約と宣言して予約すること。


M:【予約期間について】
予約をした場合、予約期間は3作以上書いた人は7日間、延長宣言があればさらに7日延長可能。
2作以下の人は延長なしの7日間。ただし予約は任意で強制ではない。
予約が期限切れした場合、無連絡のままオーバーしたら1日待ち
それで投下が無ければその次の日に予約可能。

M-2:【作品修正のルール追記】
期日をオーバーする修正はなるべく避けること。

N:【作品投下のルール】
予約なしで作品を投下する場合、騙り等により起こる混乱等を防ぐためにトリップ推奨。
作品に自信がない場合は仮投下スレで仮投下することも推奨。

N-2:【仮投下のルール】
期限は本投下の予約期間と同じ。
修正も期限などは本投下と同様に2日間。

O:【作品修正のルール】
投下した作品に問題があり、投下から36時間以内に問題点を指摘された場合は修正要求される可能性あり。
期限は修正要求から最大2日間。それまでに間に合わなければ破棄。
投下から36時間以内に指摘がなければ通しになるが、問題点が企画の進行に阻害が出るくらい大きければ、
時間が経っても修正要求される。もし作者が修正に応じなければ審議で今後の対応を決定。

7名無しさん:2017/03/05(日) 07:47:15 ID:ngLuRqqY0
※トリップの付け方
書き込みページの名前欄に#を入れて、#の後に任意の文字を入れて投稿すれば
◆mAuG2RWWgのようにスレッドに表示されます。
#の後に個人情報などリアルに関わる文字を入れるのは止めた方がいいです。
認証後、トリップ被りや成りすましを避けるためにも、事前にテストスレなどを利用して
出たトリップをグーグルなどで検索して確認する事をお勧めします 。
P:書き手の注意点
・荒らし目的の行為、又は通す事によって企画の停滞・崩壊を招きかねない内容の作品の投下は禁止。
 (これまでの話や原典の設定とは大きく矛盾するSS投下や、無理がありすぎる展開の話、
  複数の書き手がリレーを放棄する内容のSS投下など)

・一度死亡が確定したキャラの復活は禁止。
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる話の投下や、新規キャラの途中参加は程度によっては審議の対象。

・時間軸を遡った話の投下の禁止。
 話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている等こうした矛盾を解決する為に、
 他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意すること。

・中途半端な書きかけ状態の作品投下は基本禁止。
 但し、長編を期間を置いてに分割して投下する場合はこの限りではない。
・無理して体を壊さない。

・リレー小説である事を念頭に置き、皆で一つの物語を創っていると常に自覚すること。
・ご都合主義過ぎる、または特定のキャラを贔屓しすぎる展開に走らないように注意すること。

・残酷表現及び性的描写に関しては原則的にそれぞれの作者の裁量に委ねる。
 但し後者については行為中の詳細な描写は禁止。

・各作品の末尾には状態表を必ず記載する。
 作品内での死亡キャラの確認表示も忘れずに。


Q:読み手の注意点
・煽り、必要以上の叩きなど荒らしに繋がる行為は厳禁。
・各作品、キャラのファンはスレの雰囲気を読み、言動には常に注意すること。
 不本意な展開になったから暴れるのは駄目。 
・仮投下された作品への指摘は本投下前に行うこと。
・書き手にも生活があるので急かすのは程々に。書き手が書きやすい雰囲気を作るのも大事。

8名無しさん:2017/03/05(日) 07:49:01 ID:ngLuRqqY0
以上です。

9 ◆NiwQmtZOLQ:2017/03/10(金) 00:02:13 ID:tAoZ4bek0
遅くなりましたが、スレ立て乙です。

一応こちらでも。
議論スレにてチャット開催の提案をさせていただきました。反応をいただければ幸いです

10 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:19:12 ID:FjK6RFpc0
今から本投下を始めます。

11有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:20:46 ID:FjK6RFpc0

「持っていかないんですか?」
「あ?」

平和島静雄は支給品であり同行者であるエルドラから問いかけられる。
蛍を立たせた静雄は先程落命した紅林遊月に手早く土砂を被せその場を立ち去ろうと考えていた。
彼が問いの意味を理解整理するのに時間がかかった。
もう一人の同行者一条蛍が先に理解し発言する。
エルドラのカードをかざし現場を見せているのは彼女。

「……お姉さんのカードを」
「……ああ」

静雄が後悔に曇らされた頭で問いの意味を咀嚼するのに少々時間がかかるのは仕方のない事。
彼は遊月が所持していた支給品を手早く回収していく。死体漁りに嫌悪を感じながら。
アドバイスをしたエルドラに少々ながら嫌気を持ち、思わず顔をちらりと見る。

「……」

彼女は渋面で遺体を中心に周囲を観察している。僅かに顔を伏せながら。
静雄はその様子をみて、恥を感じながら作業を続行する。
エルドラは半ば放心している蛍に聞こえるように呟いた。

「紅林遊月……」
「……っ」

蛍は思い出した。18時間近く前に会った"お姉さん"の名前を。
遊月にコーヒーを運んでた時に互いに軽く自己紹介した事を。
遊月がすぐ喫茶店から去った事もあり、これまで蛍は彼女の動向をあまり意識できていなかった。
まさかこんな形で再会するなんて……。蛍は絶句せざるを得ない。
自身を庇い命を落とした人はこれで2人目。

「……あ、静雄さん。そのつけ爪も支給品かと。」

静雄は遺体の指に着けられている、指輪のようなものに手を触れる。

「カードに戻して」

静雄は車をカードに収納したのと同じように念じた。
指輪はどこかに落ちていた黒カードに収納され静雄の手に渡る。
静雄は全ての支給品を回収したのを確認し、地面を音を立てないように掘り上げようする。

「エルドラさん?」

その行為を止めたのは蛍の疑問の声だった。

「……」
「……白カードか」

エルドラは頷く。静雄は遊月の腕輪から剥がれ落ちたカードを拾う。
血液が付着していたが他のカード同様に染みていない。
軽く振るうと血液は飛び散り、血糊は剥がれ落ちた。
カードを見ると生前の遊月の顔がある。その絵をエルドラにも見せた。
エルドラは顔を落胆したかのようにうつむかせ、目を瞑った。

12有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:21:07 ID:FjK6RFpc0

静雄は無言で遺体の近くの地面を蹴り上げ、地面の土を遺体へと被せていく。
極力音を出さないように。本当は手厚く埋葬したかったが時間がない。
付近に殺人者いる可能性があり、先程の発砲音を聞きつけてここに来るかも知れなかったから。
僅かな時間で遺体は土に隠れた。
3人はその場を去ろうとする、静雄の顔は西を向いている。
蛍は――リゼさんは?と口に出そうとする。
智乃の大事な仲間の1人で静雄に対し殺意を向け、やがて蛍にも敵意を向けた天々座理世。
過失とはいえ遊月を殺し東方面へ立ち去った少女。
静雄にしてみれば初対面から敵意を向けられた事もあり好印象を持ちようがないが、
蛍にしてみれば、良好な関係を築けていた智乃と親しかったリゼは未だに気がかりである。

「……」

考えを察したのだろうエルドラは非難めいた眼差しこそしなかったが、肯定しているとは言えない表情を蛍に向けた。
蛍はリゼの静雄への誤解を解きたかった。だが全身全霊をかけたと言ってもいい説得は通じず、より敵意を膨らませたに過ぎなかった。
説得を切り上げその場を立ち去れば少なくとも遊月さんは死ななかったのだろうか?
蛍は湧き起こる後悔と無力感を抱えながら静雄に声をかけた。

「……。平和島さんどこに?」
「城に行こうと思ったけどよ……エルドラ、向こう魔力とやらが弾けて危険なんだよな」
「今は収まっていると思いますけど、ところであの城には行ったことあるんですか?」
「いや、ねえ」
「休憩場所として選ぶにゃどうかとは思いますね。それに山に入ったら迷いそうな気がしますし」

「……温泉方面に行こうと思う。途中に家の幾つかはあるだろ」
「どうしてですか?」
「服の替えが必要だろ」

静雄は蛍の今の姿を見て断言した。
蛍はそれに納得し、静雄の顔を見て思わず息を飲んだ。
静雄の眉間には皺が刻まれていたから。さっきの発言はリゼへの追跡はもうしないと言ってるのも同義。
蛍は未練を持ちつつもその考えを否定できないでいた。
今のリゼは不可思議な力を持つ銃を所持している、あれで撃たれたら誰も無事でいられる保証はないと蛍が判断してしまう代物。
蛍は彼には聞こえないようにそっと溜息をついた。

「わかりました」

諦めざるを得なかった。
静雄と蛍は立ち去るべく、その前に遊月の遺体がある場所に謝罪の言葉を掛けようとする。
それを遮るようにエルドラは遊月の白カードに向かって一言呟いた。

「ごめん」

真摯さが込められたその言葉を耳にし、2人は黙って遺体から背を向ける。紅林遊月はここにいないから。
2人は真に報いるべき行動を優先する為に足早に西に向かい林に入った。

「……」
「……」
「道路照明灯はあるんですかね?」

殺人者との接触を避け為に林中を歩く2人に掛けられたのは、陰鬱な空気を振り払うようなエルドラの気楽そうな声だった。
静雄は蟇郡苛と出会う前後の記憶を思い起こす。
エリアFからEにかけての照明はいくつか怒りにまかせて破壊してしまったが、HからGにかけての照明には手を付けていない。

13有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:21:26 ID:FjK6RFpc0

さっきコシュタ・バワーを運転していた時は急いでいた事も道路でなく草原を走っていたが、
もし照明灯がある道路なら、ライトがない車でもさっきよりは速度を出せるだろう。
静雄は蛍に顔を向ける、彼女は虚ろな目をしていた。

「……」
「蛍ちゃん、大丈夫か?」
「……えっ、ハイ」
「……」

さっきの遊月の件が辛くない訳がない。
現に静雄とエルドラさえショックを受けているのに、まだ小学生の蛍の負担が小さい筈がないのだ。
静雄は足の向きを南へ変え、方針を2人に伝える。少女達はそれに同意し彼に続いた。

林を抜け草原を抜けた先には少々ながらも照明に照らされた道路が見える。
他参加者の姿は見えない。東には相変わらず煙が立ち上っているが延焼が拡大しているようには見えない。
今がチャンスとばかり静雄は急いで漆黒の車 コシュタ・バワーを現出させる。
蛍は静雄に続く前に尻に手を当てるが返り血が掛かっていない事を確認するやそのまま乗車する。
温泉街に向う3人の行動を止めるものはなかった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

半日前、H-5の海岸にて。

衛宮切嗣に関する情報をどうしようかと考えていた折原臨也。

「折原さん」

そんな彼に一条蛍はジュースを手に立ち上がり声をかけた。

「ジュースありがとうございました」
「ああ良いんだよ」

臨也は笑みを浮かべつつ、ぺこりと頭を下げる蛍を愉しげ見るや、切嗣についての情報の提供を保留とする事にした。
わざわざ情報屋としての禁忌を侵さなくても、同様の効果が期待できる面白い反応が見られる方法を思いついたから。

「蛍ちゃん、ちょっと悪いことを訊くけど、君はもし殺し合いに乗った危険なヤツにあったらどうする?」
「え、それは?」
「無理に答えなくてもいいよ、これから俺がするのはそういった危険を乗り越える為の作戦さ」

蛍の表情が引き締められたものに変わった。
彼女は臨也の今後の計画――主に危険人物と遭遇した場合の対策について、相槌や短い返事を交えながら懸命に記憶していく。
臨也は暗に静雄への悪評が混じった作戦を聞く蛍の様子に胸中でほくそ笑む。
いくつかの対応手段を伝え終わった臨也は最後に緊急時の連絡方法について蛍に伝えた。

「×××-××××-××××ですか?」
「そう。紙に書き写すのは危険だからちょっとキツいけど我慢して覚えて」


教えられた番号は臨也のスマートフォンの電話番号。
もし何らかのトラブルで2人が離れ離れになった場合における連携手段。

「わかりました」

蛍は臨也の細やかな気遣いに感謝した。

14有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:21:46 ID:FjK6RFpc0

「いいんだよ。さ、行こうか」

臨也にとっては片手間的な手段の一つに過ぎない事を知らないまま。
彼の残酷さをその時は知らないまま。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

「ハンドルを大きく右に切って〜」

車は危なげなくカーブし先に温泉がある道へ移行する。
ラビットハウスを目指していた頃より上手く運転できるようにはなっていると静雄は思った。
とりあえず危機を脱した事もあり少々なりともリラックスできたのも大きいようだ。

「……詳しいな」
「適当です、テヘ」
「おい」

静雄は冗談と受け取る事にした。

「……」

蛍は乗車して数分後に眠っており、運転のサポートはエルドラが行っている。
ルリグカードは前窓の内側に立てかけていた。

「手紙、れんげちゃんの手に渡ってるといいですね」
「ああ」

静雄とエルドラは分校から出発する前、蛍からある相談を持ちかけられていた。
電話番号の情報を残して良いのでしょうか?と。
悪意ある参加者から情報を利用されるのを恐れたのだろう。
静雄は悪用されるのを想定して考えればいいと受託し、エルドラも少し考えた後に「いいんじゃないですかね」と答えた。

「建物が見えて来たっすよ」
「……」

車は林に挟まれた車道に入る。身近な建物の近くに駐車すべく減速してゆく。
温泉へは目と鼻の先だが、まず蛍の衣服の替えを入手しなければならない。
車は停車する。急ではないが多少揺れて。

「う……ん」

その衝撃で蛍は目覚めた。静雄はバツが悪そうに目を細めた。

車を降りてから3人は今後どうするかぽつぽつと相談を始める。
蛍はまずルリグカードを極力出した状態にできるようカードホルダーを作りたいと提案した。
エルドラと会話しやすいように。正直、静雄と2人だけでは相談相手が少ないと思ったからだ。
それに対してエルドラは「頼みますよ」と答える。
家の玄関が見えた。静雄はこいつの分はどうするんだとばかりに胸ポケットに入れたルリグカードを出して見せた。
カードには仰向けに寝た少女が映し出されている。パーマがかった水色髪をした少女――青のルリグ ピルルク。

放心してルリグに気づけなかった蛍は目を丸くしてカードを見、エルドラは観察するようにピルルクを凝視した。
そして納得したように手を打って、訴えかけるような顔を静雄へ向ける。

「知り合いなのか?」

15有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:22:14 ID:FjK6RFpc0

「だいぶ前にこの子とバトルをした事がありましてね」
「……セレクターバトルの方だよな?」

殺し合いの方を想像し険のある声で問いてしまう。
エルドラは気にせず続けた。

「ええ。そん時は私が勝ちましたが。まさかここで出遭うとは」
「どういう人だったんですか?」
「ルリグにしては愛想のない子でしたねえ」

人物像については解らないという事か。
静雄はそう解釈しピルルクをポケットに戻した。

「その人の、セレクターさんはここにはいないんですか?」
「……さあ?」

実はエルドラは確信が持てる程ではないが、ピルルクの元セレクターについて予想を付けていた。
蒼井晶。現ルリグ ミルルン以前に使役していた青ルリグがいただろう事を。
赤のルリグ ユヅキ達の交流を通じて。はぐらかしたのはわざわざ蛍に負担をかけたくないとの判断だった。

「ルリグなんて何十人もいますからね、そんなにレアじゃないっスよ」
「一体、何を考えてんだあのアマ」

静雄は明言こそされなかったものの、ルリグが元人間なのを薄々は感づいている。
エルドラの説明と会話からそれは推測できた。そもそもエルドラに隠す気がほとんどないのも原因だったが。
静雄は繭の更なる非道から来る怒りに不快げに歯ぎしりし、何とか衝動を堪らえながら戸に手をかける。
戸は開き3人は中に入り、程なくしてタンスがある和室へと入った。

照明は豆電球のみに留め、蛍は白カードの照明を頼りに遠慮がちにタンスの中を物色している。
静雄はスマートフォンを机に置いた。スイッチが入っている。
エルドラとのちょっとした質疑応答を交えながら、静雄はチャットの画面を見続ける。

I:『一番目のMと、五番目のD。今夜、地下闘技場で話がある』


「D……」

静雄の脳裏に連想される頭文字Dの人物はただ1人。
臨也との最期の会話で存在が示唆された、肉の芽という洗脳能力を使う危険人物 DIO。
チャット機能による頭文字の方則を知らない静雄でもその一文には意識をせざるを得なかった。
発言者Mについては正体に想像が付かなかったが、少なくともDIOは北西の方に行くだろうという想像はできた。
突如、透き通ったような声が聞こえた。

「DIOですか……」

それは探索が終わった蛍の声。彼女の手には手帳や衣服や下着が抱えられている。

「知っているのか?」
「承太郎さんから聞きましたから」

蛍ははっきりそう答えると、今度は居心地が悪そうに視線を落とした。

「?」
「その……着替えをしたいので」

16有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:22:33 ID:FjK6RFpc0


彼女の服に付着した血は既に固まっているが、とてもじゃないが他者に見せられる姿ではない。
静雄は失念していた自分を恥じつつエルドラを手に立ち上がり、彼女を隣室へと促した。

「……」


数分後、蛍が着替えをしている部屋の前に静雄が立っている。
待機する静雄に対しエルドラは小さな声で言う。

「静雄さん、繭に対してこれからする事伝えるんですか?」
「!」

ピルルクとの会話を聞いていたのかと静雄はバツが悪そうに顔を歪ませる。
エルドラは神妙な顔で続ける。

「繭を倒すって言うなら、今のうちに蛍ちゃんに伝えた方がいい」
「……」

静雄がここに来て蛍に自らの主張を告げなかったのにはいくつか理由がある。
自分たちを安全な場所に避難させる必要があって言い出せなかったのが一番大きい。
だがそれとそう変わらないくらい大きな原因もあった。

それは蛍の信念を挫けば、これからの行動に支障をきたすくらい衰弱する可能性が見えたから。
通用こそしなかったが、リゼを説得する際に蛍からは強い信念が感じられた。
ただの小学生を超える説得を発言できるほどに。その強さを否定するような事は静雄には気が進まなかった。
両者はしばし黙り、沈黙が訪れる。また口火を切ったのはエルドラであった。

「こんな状況だし……いつ敵が襲撃して話し合いができなくなるかも知れない」

そう冷然と現実を告げる。

「……!」

静雄は蟇郡の事を思い出し葛藤する。もう果たせない約束を意識して。
白服の怪物に圧倒された事実からくる無力感も意識して。
また訪れるは沈黙の時間。静雄は思考の海に落ち発言できない。
ルリグは訴えかけるようにゆっくりと呟いた。

「……私はやるべき時に必要な事を伝えられなかった」
「!」


静雄はトーンを落としたルリグの声を聞き、目を見開く。
これ以上発言させるわけには行かないと静雄は思った。
それは自己保身や現実逃避の防止からくる不快の念からではない。
エルドラが深い後悔を抱えているからこそ、それ以上に年長者として彼女に負担を強いる訳には行かなかった。
ここに来て伝わった。未熟な大人でも静雄は今すべきことが解る。
力なんて関係ない、越谷小鞠の死を最も悲しみ怒った外部の"人間"として彼は決断する。

「――」
「そうする」

エルドラが次の句を告げる前に、静雄は力強く頷いた。

17有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:22:53 ID:FjK6RFpc0

「……」

気づいたエルドラは独白を止め、両手を頭の後ろに回し気恥ずかしそうに音のしない口笛を吹いた。
静雄は呆れたような表情を浮かべると聞かなかったように腕を組んで蛍を待った。
少しして部屋の戸が開き、蛍が姿を見せた。
その姿は細部は異なるがさっきまで着用してた服とそう変わらなかった。

「あー静雄さん、腕輪を見たいのでお願い」

3人はさっきの部屋に戻り。相談を再開している。
静雄は腕輪を操作しながらエルドラに情報を見せている。

「蛍ちゃんは最初どこにいたんだ?」
「え?私は映画館で……承太郎さん達と一緒に」
「俺はゲームセンタ-にいたんだ」
「え」

静雄は湧き出す感情を抑えながら、柔らかい笑みを浮かべ照れくさそうに言う。

「俺さ、あの時繭がやった事に腹が立って暴れてたんだ」
「……」
「その時、小鞠ちゃんに遭ったんだ。怖がらせて気絶してしまった」
「!?」
蛍は思わず顔を近づかせる。

「最初、訳が解らなかったけどよ……」
「?」
「話して見て解ったんだ」
「……。小鞠ちゃん、乱暴者の俺を受け入れてくれたんだ」
「!」
「間違いなくいい子だったよ。上級生として君達の事を守ろうと頑張ろうとして」

蛍の左目から涙が流れた。
静雄は表情を変えずに続けようとする。それがぎこちないものと自覚していても。

「……もっと話を、小鞠ちゃんの話を聞きたいか?」
「お願いしますっ」

掠れた声で蛍は言う。鼻水を吸った音がした。静雄は話を続ける。
会話にはやがて蛍による小鞠の思い出話が入り始めた。それでも2人の会話が中断する事はない。
襲撃者も来客もない心からの対話。エルドラは黙って2人のやり取りを聞いている。
その対話は静雄が蛍に対しての隠している感情に気づいても尚続いた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

I:『犬吠埼樹さんのスマホから書き込んでいます。鮮血とアスクレピオスは目的地に到着しました。
途中針目縫と交戦し倒しました』


それはスマホのチャット画面に新たに加わった文章。
3人はそれを意識しながら支給品の再点検を行っていた。
これからの方針についての相談は粗方終えている。
写真立てにはエルドラが立たされていた。
蛍は上目つかいで静雄を見て「主催者は……」と言った。

18有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:23:14 ID:FjK6RFpc0


静雄は黙ったまま真剣な眼差しを蛍を見つめている。
それは繭に対する非道による怒りから来るもの。繭殺害は今の蛍の主義には反する。
だがその根源から来る怒りを蛍は否定できない。だから彼女なりの熟考からきた主張を口出すタイミングを待った。

「俺はあの女のやった事はどうしても許せねえ」

拳を握る音が聞こえた。

「だからアイツに……報いを与えたい」

さっきと同じように殺すとは言わない、それは嘘を付きたいから言葉を変えたのとは違う。
さっきの対話の途中で殺す殺す……発言を蛍に咎められたのが原因だから。
ただ"繭に怒りをぶつける"それだけは誰が相手でも譲れなかった。

「分かりました」
「……」

蛍がショックを受けた様子はない。
無理を通した罪悪をちょっと感じながら静雄は安堵する。

「ただ……」
「!」
「もし……主催者に限りませんけど、機会があったら私、話してみたいんです」
「……」
「……」
「解った、できるだけ協力する。だから無理だけはしないでくれ」
「……」
「俺はそこらの銃で撃たれても、……ちょっとの怪我くらいで済むくらい頑丈だから。
 頼っていいんだぞ」
「はい」

蛍はようやく元気を含んだ返事をした。そしてエルドラの方へ顔を向けた。

「……へ?私はおふたりがする事に反対はしませんよ。何せ支給品ですからねー」

静雄は呆れたようにエルドラに質問をぶつける。冗談めかした感じで。

「何でそのただの支給品がそこまですんだよ?何か魂胆でもあるのか?」
「……いやぁ、私だって生き残りたいですからねー。御二人には仲良くしてもらわんと」
「ふっ」
「なんですかねぇ、その冷笑は」

その時、スマホから発信音がした。
3人は即座にチャット画面に注目する。


I:『犬吠埼樹さんのスマホから書き込んでいます。鮮血とアスクレピオスは目的地に到着しました。
途中針目縫と交戦し倒しました』


「これは……」

名称の選択は3番めと6番目の文章と似たような感じだったが、
そこから人物を特定できるようなものは静雄にはないと思えた。

19有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:23:33 ID:FjK6RFpc0

困惑する彼を他所にエルドラはどこともなく呟く。

「義輝と覇王へ。フルール・ド・ラパンとタマはティッピーの小屋へ。
 タマは小湊るう子……」
「!」
「それって小湊さんのルリグの名前ですか?」
「ええ聞いた所によると以前の。今はイオナって名前のルリグと組んでますが」
「イオナ……浦添伊緒奈とは違うんだよな?」
「……どうですかね?時系列の違いもありますし」
「ティッピーの小屋はラビットハウスの事です」
「4番目の発言のタイミングからすると、あの子があの女達に攫われる前の文章か。クソ!」

ここに来て携帯電話を握りつぶしたのを静雄は後悔する。チャット機能があったかも知れないのにと。
どこぞの吸血鬼以上に。

「針目縫……」

蛍は蟇郡から智乃を通じて伝えられ知った最上級の危険人物の事を思い出し、呟く。
針目が倒された事は僥倖だが、倒した人達の手がかりが少ない。
智乃は蟇郡から神衣鮮血の事までは教えられていなかったから。

「……これだけじゃ判断の材料に乏しい気もしますね」
「……」

蛍は意見を求めるべく静雄の方を向く。
静雄はスマホに登録された電話番号を見て考える。
登録されているのはラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの4箇所。
万事屋を除いて、生前の臨也が登録した番号。
より多くの協力者が必要だとここに至って静雄は思った。
生前の臨也による情報工作の悪影響の懸念はある。
だがエルドラが気づかせたようにいつどうなるか解らない状況が故に恐れを隠して電話を掛けようとする。

「待って下さい」

蛍が静雄を止め、自らの提案を口にする。

「チャットかメールでリゼさんのこと伝えられないでしょうか?」
「……そうだな」

書き込む文章をエルドラも交えた3人で考える。
相談の傍ら、蛍の手帳と糸と布を使った作業は進行している。
10分以上をかけてもいい文章が浮かばなかった。
それだけリゼの扱いは難儀なのだ。

蛍は出来上がったカードホルダーにエルドラの同意を得た上で彼女を収納する。
次に彼女はまだ眠り続けるピルルク用のカードホルダーの制作に着手する。
その時、スマートフォンが振動した。

3人は相談を中断し、誰が受け持つかを考える。静雄は慎重にスマホを手に取ると蛍へと手渡す。

「……」

映し出された番号は先のどの施設のものでもない。
もしかしたら、と期待半分不安半分に蛍は意を決してボタンを押した。

20有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:23:54 ID:FjK6RFpc0

「もしもし……」
『……』

電話の向こうから微かな喧騒が聞こえたような気がする。
蛍は気を落ち着かせ、誰が話し掛けても対応できるよう気を引き締める。

『ほたるん……』
「れんちゃん」

最後に会ってから感覚的に2日も経っていないのに、長い時が流れたような気がした。
的外れとも取れるその思考の後、蛍は表情を緩めた。

「無事なの、元気なの?」

それは嗚咽混じりとも取れる問いかけ。
だがその感情は悲しみとは相反するもの。

『ウチ、無事なん!さっつん達のおかげで元気なん!』
「っ」

蛍が深呼吸をした。
そして何かが決壊したように安堵から来る言葉が、要領の得ないものも含めて次々と飛び出す。
電話の向こうの少女 れんげも同じように喋りまくった。

「……」

静雄はそんな2人のやり取りを見守っていた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

同じ村に住む2人のやりとりが一段落した後。
静雄は現在のれんげの保護者である鬼龍院皐月と通話していた。

『そうか、蟇郡と纏流子は……』
「す……」

詳細までは聞いていないが静雄は蟇郡の主君である皐月について
静雄は詫びの言葉を口にしようとした。

『謝らなくてもいい。あいつ自身それを望むような者ではない』

凛としたその声に静雄は口を噤んだ。

『しかし、極制服を着用していたとは……』

微かな困惑が入り交じった皐月の声に、エルドラは助け舟を出すべく静雄に声をかける。

「それってまた時系列の……ってやつじゃないですかね」

同意を求められた蛍は黙って頷く。
蛍自身、その行き違いから生命を落としかけたのだ。忘れるはずがない。

『どういう事だ?』
「……話したいんだけど、代わっていいですかね?」

21有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:25:09 ID:FjK6RFpc0


静雄は黙ってスマホを蛍に渡す。

「はい。こちらルリグのエルドラー」
『ルリグ?何の事だ』

知らないようですねって感じで静雄達に目配せしたエルドラは、蛍にサポートを頼みつつ慎重に皐月との通話を続けた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

「……」

蛍は鉛筆は手に皐月から教えられた電話番号を記録していく。
そしてその番号をスマホに登録していく。
生前、臨也は記録は残さず、自分で記憶した方がいいと言っていたのを蛍は思い出し、
恥を感じながらもやるべきことを続けた。

『では、こちらは手紙を処分するがいいのか?』

皐月とれんげは既に記憶したという。
その言葉に力強さを感じた静雄は「ああ」と同意する。

『それで静雄さんが探している相手は……』
「小湊るう子。紅顔の中肉中背の中学生くらいの女の子だ。後、俺の事は呼び捨てで良い。蟇郡もそう呼んでいたから」
『小湊……るう子か』
「はい」

それは蛍の声。

『解った。我々は今分校にいるが、あなた達はどうする?』
「俺達は……今からそっちに向かおうと思う」
『そうか。では我々もそちらに行こう』

そうした方が早く合流できるかと3人は合意する。

「そうだな。頼むぜ」
『そちらこそ』

静雄は蛍にスマホを渡すと、彼女は電話の向こうに声をかける。

「じゃ、またねれんちゃん!」
『うん、またなん!』

通話が終了した。
静雄と蛍はさっきと比べ晴れやかな表情で立ち上がる。

「ちょっと、待って」

とエルドラは2人にストップをかけた。
机の上には1枚の黒カードがある。
静雄はそのカードを捲ると裏面には支給品 蝙蝠の使い魔の詳細が書かれていた。

「私をその蝙蝠に触れさせて来れませんかね?」
「何でだ?」
「ちょいと思い当たる節がありまして」

22有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:25:55 ID:FjK6RFpc0
静雄は黒カードから蝙蝠を出し、蛍はホルダーからルリグカードを出す。
欠伸をした蝙蝠にエルドラは触れた。
すると蝙蝠は青白く発光し目をぱちくりさせた。

「これは……?」
「うーむ。静雄さん、ちょっと戸を開けてもらえませんかね?」

静雄は戸を開けると、蝙蝠は飛び立ち暗闇へと身を躍らせる。

「おい」
「……おー、見える見える」
「あのエルドラさん、もしかして」

ある事を記憶している蛍はエルドラに問いかける。

「どうやらこの子、シグニと同じように扱えるみたいっすね」
「シグニ?」
「ルリグの使い魔……って言って良いのかな?みたいなものです」

ルリグは稀にだが触れた物体を自らの眷属 シグニへと進化させる事ができる力を持つ。
ゲームとしてだけではなく創作小説としてのウィクロスにも詳しいエルドラだからこそ思い至った発想だった。

「あまりスピードは出せないけど、これで車の運転も楽にできるっしょ」
「じゃあ私にも」
「色々試してみるのも良いかもですね」

和気あいあいとした2人の感情に釣られたように嬉しそうな鳴き声を上げて蝙蝠が戻ってくる。
蛍はスマホを手に思案し、首に掛けられたエルドラも画面を見つめる。
静雄はそんな彼女等を見て、強くなりたい気持ちを一層強めた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

一方、その頃の旭丘分校では

通話を終えた皐月とれんげは校舎から出ると、蛍らと合流すべく足早に南下しようとする。
さっきまでの通話の情報交換は必要最低限のものに過ぎない。
彼女等と合流してからが本番。桂さんや絢瀬と平穏に会話するための暗号等も伝えた。
連絡は……今はあの3人に頼るしかない。
れんげの精霊が哨戒するかのように宙を舞う。
走った2人は校門を出た。

2人は道路の脇の林に入って進む。辺りは静寂に包まれいる。

今後の進路は、これからのあの3人の成果次第だが、おおよそに決めている。
島の中央の道路を西進し放送局に向うか、あるいは苦境に立たされた反ゲーム派の参加者の救援の為に、
分校の転送装置を使って、駅までの道をショートカットして電車を利用するか。

「……」

城周辺にいるかも知れない妹 纏流子と再会して凶行を止めたい気持ちはある。
だが皐月は今はあえてれんげの希望を叶えたかった。
2人も行く、約束を果たす為に。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

23有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:26:19 ID:FjK6RFpc0

【G-3/温泉付近の民家/夜中】

【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:こんな状況を招いた自分への怒り(中)、全身にダメージ(中)
[服装]:バーテン服、グラサン
[装備]:ブルーアプリ(ピルルクのカードデッキ)@selector infected WIXOSS
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(18/18)、青カード(13/18)
    黒カード:縛斬・餓虎@キルラキル、 コルト・ガバメント@現実、軍用手榴弾×2@現実、
         コシュタ・バワー@デュラララ!!、不明支給品0〜1(本人確認済み)
    白カード :紅林遊月、衛宮切嗣、ランサー
    自分と蛍の換えの服(上下1〜2着分)@現地調達

[思考・行動]
基本方針:あの女(繭)に報いを与えたい。殺す発言は極力しないように心がける。
  0:道路照明と使い魔を駆使し車で分校方面へ向う。
  1:蛍を守りたい。強くなりたい。
  2:蛍とれんげを再会させ守る為にスマホを通じて情報収集する。
  3:小湊るう子を保護する。
  5:2と3を解決できたら蟇郡を弔う。
  6:リゼが気がかり。
  7:余裕があれば衛宮切嗣とランサーの遺体、東條希の事を協力者に伝える。

[備考]
※一条蛍、越谷小鞠と情報交換しました。
※エルドラから小湊るう子、紅林遊月、蒼井晶、浦添伊緒奈、繭、セレクターバトルについての情報を得ました。
  先程、簡単にですが皐月、れんげとも情報交換を行いました。
※東條希の事を一条蛍にはまだ話していません。
※D-4沿岸で蒼井晶の遺体を簡単にですが埋葬しました。
※D-4の研究室内で折原臨也の死体と桐間紗路の近くに臨也の不明支給品0〜1枚が放置されています。
※校庭に土方十四郎の遺体を埋葬しました。
※H-4での火災に気付いています。 遊月を埋葬した時点では拡大も鎮火もしていないようです。
※G-4とH-5の境界付近で紅林遊月を簡単にですが埋葬しました。
※ピルルクの「ピーピング・アナライズ」は(何らかの魔力供給を受けない限り)チャージするのにあと1〜2時間かかります。


【一条蛍@のんのんびより】
[状態]:全身にダメージ(小)、精神的疲労(中)
[服装]:普段通りに近い服@現地調達
[装備]:ブルーリクエスト(エルドラのデッキ)@selector infected WIXOSS、蝙蝠の使い魔@Fate/Zero(シグニ化?)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(18/20)
    黒カード:フルール・ド・ラパンの制服@ご注文はうさぎですか?、カッターナイフ@グリザイアの果実シリーズ、
    ジャスタウェイ@銀魂、越谷小鞠の白カード 折原臨也のスマートフォン(考察メモ付き)
    ボゼの仮面咲-Saki- 全国編、赤マルジャンプ@銀魂、ジャスタウェイ×1@銀魂、     
    超硬化生命繊維の付け爪@キルラキル 、およびM84スタングレネード@現実
    越谷小鞠の不明支給品(刀剣や銃の類ではない)、筆記具と紙数枚+裁縫道具@現地調達品

[思考・行動]
基本方針:誰かを死なせて悲しむ人を増やしたくない。自分の命についてはまだ分からない。
   1:れんちゃんと再会すべく分校方面へ向う。
   2:平和島さんに付いて行く。
   3:どうにかスマホを活用してリゼさんを含めた仲間達を助けたい。   
   4:主催者と遭えたら話をしてみたい。
   5:折原さんがどんなに悪い人だったとしても、折原さんがしてくれたことは忘れない
   6:何があっても、誰も殺したくない。

24有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:26:47 ID:FjK6RFpc0

[備考]
※セレクターバトルに関する情報を得ました。ゲームのルールを覚えている最中です。
※空条承太郎、香風智乃、折原臨也、風見雄二、天々座理世、衛宮切嗣、平和島静雄、エルドラと情報交換しました。
 先程、簡単にですが皐月、れんげとも情報交換を行いました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。現状他の参加者に伝える気はありません。
※衛宮切嗣が犯人である可能性に思い至りました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※エルドラのルリグカードは自作の透明のカードホルダーに収納されています。
 現在2つ目を制作している最中です。
※折原臨也のスマートフォンにメモがいくつか残されていることに気付きました。 現状、『天国で、また会おう』というメモしか確認していません。
 他のメモについては『「犯人」に罪状が追加されました』『キルラララララ!!』をご参照ください。また、臨也の手に入れた情報の範囲で、他にも考察が書かれている可能性があります。

※エルドラの参加時期は二期でちよりと別れる少し前です。平和島静雄、一条蛍と情報交換しました。
 ルリグの気配以外にも、魔力や微弱ながらも魂入りの白カードを察知できるようです。
 黒カード状態のルリグを察知できるかどうかは不明です。
※現在、蝙蝠の使い魔はエルドラと感覚を共有しています。



※【蝙蝠の使い魔 補足】
 セレクター役がいるルリグと接触させると、ルリグが魔術師と同様に感覚を共有でき使役できるようになります。
 命までは共有しません。なおどちらかを黒カードに収納するか意識を失うとそれらの効果は失われます。
 制限や、ルリグを扱うセレクターが同様に扱えるかどうかは後の書き手にお任せします。
 支給品による強化で魔術の力を得た場合も扱えるかもしれません。

【追記】
臨也のスマホにラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの電話番号が登録されています。
今回の話で新たに各勇者スマホの番号が登録されました。



【F-4/旭丘分校付近/夜中】
【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(小)、全身にダメージ(中)、袈裟懸けに斬撃(回復中)
[服装]:神衣鮮血@キルラキル(ダメージ小)
[装備]:体内に罪歌、バタフライナイフ@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(5/10)、青カード(8/10)
    黒カード:片太刀バサミ@キルラキル
    白カード:針目縫
    針目縫の腕輪(糸が括り付けられている)、鉛筆2本
[思考・行動]
基本方針:纏流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
0:まず平和島静雄と合流する。それから放送局に向うか分校の転送装置を利用して電車を利用するか判断する。
1:絢瀬絵里が心配。 何とか連絡を取りたい。
2:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
3:纏流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
4:ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を調べてみたい。
5:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。
6:神威、DIOには最大限に警戒。また、金髪の女(セイバー)へ警戒

25有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:27:12 ID:FjK6RFpc0

[備考]
※纏流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※【銀魂】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※罪歌を支配しました。支配した場合の変形は身体から実際の刀身以上までの範囲内でなら自由です。
※一条蛍(I)の書き込みまでチャットを確認しました。
※IDカードから転送装置の存在と詳細を知りました。
※静雄との会話で蟇郡が流子に殺された事を知りました。

【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:魔力消費(中)、勇者に変身中
[服装]:普段通り、絵里のリボン
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid 、犬吠埼樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り三個)@キルラキル
    飴の入った袋(残り8割)
[思考・行動]
基本方針:ほたるんと再開するために南下する。
1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
2:銀さん、えりりん心配のん。
3:あんりん……ゆうなん……。
4:きんぱつさん、危ないのん?
[備考]
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
 また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。 魔術師的な感覚も備わり始めました。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【銀魂】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※一条蛍(I)の書き込みまでチャットを確認しました。
※放送を聞いていません。
※IDカードから転送装置の存在と詳細を知りました。

【追記】
※静雄達との通話による情報交換は必要最低限に留まっています。
 少なくとも第二放送前の流子と蟇郡の事、小湊るう子の事、天々座理世を始めとする混乱については伝えられています。
※樹の勇者スマホに臨也のスマホとラビットハウス、ゲームセンター、映画館、万事屋銀ちゃんの電話番号が登録されました。
※蛍の手紙は処分されました。
※衛宮切嗣の遺体とランサーの生首は埋葬されました。  影響はありませんが両者の遺体からは差異はあれど魔力が残留しています。
※旭丘分校からの転移先は本能字学園の校庭です。装置に関する説明文の有無や細かい場所は後の書き手さんにお任せします。
※IDカードは針目縫との空中戦の折紛失しました。現在D-4かD-5の海上に落ちている可能性が高いです。

26 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:29:26 ID:FjK6RFpc0
投下終了です。

27 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 16:50:48 ID:GEnvyBk.0
遅ればせながら、投下させていただきます

28 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 16:51:32 ID:GEnvyBk.0

チャットルームの書き込みは、以前のそれよりかなり増えていた。
更に、その中にある二つの書き込みと絢瀬絵里が居合わせたよいう状況が同時に存在していたことが、彼女たちに大きなアドバンテージを与えていた。

『つまり、樹ちゃんのスマホを皐月さんって人とれんげちゃんって子が。友奈ちゃんのスマホをコロナちゃんって子と桂さんって人が、それぞれ持っている可能性がとても高い……そういうことだね?』

セルティのまとめに、絵里がうなずく。
書き込まれたイニシャルと、何らかの隠喩であることを如実に表した文中の謎めいた言葉。
これらが、極力他の知り合いにもわかりやすいように

「れんげちゃんだけ、もとの世界の子からは分かりづらいんですけど……でも、共通した渾名みたいなのは本名が連想しやすい『れんちょん』だけだったから」
「仕方なく、支給品の名前をつけた…ってことね」

納得した、という風に夏凜が〆る。
ともあれ、そういうことなら連絡手段は存在する。既に電話機能までが解放されている以上、使わないでいる理由など何もない。
となると、どちらから連絡を取るべきか。
特にどちらでも問題があるというわけではないのだが、しかし改めてこうした二択となるとどちらがいいとすぐには決まらないものだ。
どうしようかな、と考えようとしたセルティに、しかし絵里がおずおずと意見を述べる。

「……桂さんとコロナちゃんにしたいと思うんですけど、駄目ですか?」
『別に。むしろ迷ってたから決めてくれてありがたいんだけど……何か理由が?』

その言葉に、絵里は少し俯いて答える。

「……単純に、書き込みがちょっと前みたいだから……」

伏し目がちに紡がれたその言葉で、セルティも理解した。
要するに、安否が最後に確認できたのがより古い方から連絡したい、とそういうわけだ。
夏凜も特に異議を唱えることはなく、友奈の番号を電話帳から呼び出していた。
声を聞けば確認できるから、ということで、電話を実際にするのは絵里にすぐ決定した。
渡された端末の通話ボタンをプッシュし、そっと耳にあてがう。
プルルルル、プルルルル、と。
電話のコール音が、静寂の中に響き渡っていた。
セルティと夏凜が見守る中で、絵里が握っている端末は機械音を吐き出し続ける。
そして、待つことおよそ十数秒─────コール音は止まり、代わりに聞こえてきたのは、電話越しの少女の声。

『……もしもし。こちらはブランゼル』

聞き覚えがある声に、絵里の目頭が僅かに熱くなる。
そのまま漏れ出してきそうな嗚咽を噛み殺し、その代わりに叫ぶように電話の向こうの名前を呼ぶ。

「その声………やっぱり、コロナちゃん!」
『………え、絵里さん!?』

やはり、確かに聞き覚えがある声。
思わず叫びが漏れ、そのまま喜びに任せてしまいそうな想いをしかしぐっと堪える。
尚も会話を交わそうとして、しかし電話の向こうから聞こえてきたのは少し話し合うような声と、端末そのものが揺れるような音。
そして、その後に聞こえてきた声は、先程とはうって変わった、しかしやはり聞き覚えのある声。

『………電話を代わらせていただいた。絵里殿か』
「桂さん……!」

何よりも、安心感のある「大人の声」を聞いたことで、更に彼女の心は揺らぐ。
しかし、その前に桂の方から機先を制して語りかけてきた言葉が、まだ彼女を繋ぎ止める。

『まだだ。一応確認をさせてもらわねば、な。
別れの時、銀時が俺に渡した支給品。そのうち、武器のほうはなんだった?』

本人確認。
成りすましでの行動を防ぐ為に、当人たちしか分からない事を聞く。針目縫などの変身能力持ちに騙されない為の処置。先程決めたばかりなのに、もう記憶の彼方にあるように感じてしまう。
問題は、銀時が彼へと渡していた武器。そう、確か、使い方がよく分からないとか何とか言われていた─────

29 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 16:55:24 ID:GEnvyBk.0

「鎖分銅、だったわよね」
『………よく無事でいてくれた、絵里殿』

正否の代わりに、返ってきたのは安堵を噛み締めたような、そして電話越しでも此方を安心させてくれるような温かみを感じる声。
泣き出しそうになるのを堪えようとして─────しかし、久し振りに信用出来る人間と連絡が取れたことに、限界まで張り詰めていた絵里の心は容易くぐらついた。
安堵の嗚咽が漏れ、涙が否応無く頬を伝う。
言葉をまともに発する事も出来ず崩折れた彼女に、電話の向こう側の桂も一度押し黙る。
しかし、何時までもそうしてはいられない。
時間は有限だ。泣いて落ち着く暇も、今は惜しい。

『……絵里ちゃん。とりあえず、それを夏凜ちゃんに渡してもらって良いかな?』

セルティが、彼女の肩を叩いてその文面を見せる。
大丈夫だ、と反射的に言おうとして、しかしこみ上げる感情に収まりが中々つかないだろうと彼女自身が自覚していた為に、す、と夏凜へと差し出した。

「……電話を代わらせてもらったわ。私は三好夏凜よ」

受け取った夏凜も、絵里から聞いた分だけだが桂の事は知っている。
まずは名乗った上で、情報交換

『……夏凜殿。貴女が、か』
「どうかした?」
『……いや、後で語ろう。ともあれ、まずは互いに情報を共有するべきだろう』


『……なるほど。大まかな事情は把握した』

絵里の身に起こった、地下闘技場での決戦とその後の一件。
夏凜とセルティの身に起こった、放送局付近での様々な事件。
桂とコロナが、絵里たちと別れてから遭遇した出来事。
なるべく手早く、両者はそれらの情報を共有した。

『話を聞く限り、最優先事項は恐らくそのるう子という少女だろうな』

全てを聞いた桂の結論に、夏凜も同意する。
桂たちが発見した、ゲームに関連性がある可能性が大きいアプリゲーム─────その内容が、そっくりそのままWIXOSSと同じであるということが、小湊るう子という存在の重要性を更に高めていた。
だが、それとは別に、合流も視野にいれるべきだろうという意見もあった。
既に人数が減り、まだ生存している人間に対してある程度は危険人物かどうかの目星がつくようになっている。
そんな状況であるならば、将来的に生き残った対主催メンバーで残ったマーダーを迎え撃つという理想的な構図になるべく近付けたい以上、仲間集めと同程度に「信用できる知り合いとの確実な再開」は重要だ。

『こちらは今、映画館にいる。恐らくは分校か、或いは温泉あたりでも合流は可能だが……』
「……さっきも言った通り、こっちはこのまま北に向かいたいわね。るう子の状況が分からないから、変なことに巻き込まれる前にできるだけ早く見つけてあげたい」

合流を早めたいのなら南東へ。るう子の救助を優先するなら北へ。
どちらも捨てがたい選択肢だが、向かう先が完全に異なるというのはやはりどうしようもない問題として浮上する。
どうしたものか、と思う夏凜だが─────そこで、桂がとあることに思い当たる。

『……いや、もしかしたらなんとかなるかもしれない。幸運なことに、アテはある』
「アテ?」
『ああ。ワープ装置……三ヶ所の学校に、それぞれを繋いでいる転移機能が備わっているようでな』

手短に説明されたその内容は、確かに効率良く集合する事に適していた。
三つの学校を繋ぐそれは、ちょうど夏凜たちが北に向かった先である音乃木坂学園と、桂たちの進行方向上にある旭丘分校を繋いでいることとなる。
このまま北に行き、アザゼルか自分たちがうまくるう子を発見し、その上で合流まで果たせたとすれば、目標は果たせたこととなる。
今後の話になってから隣で話を聞いていたセルティに視線で同意を仰げば、彼女も文句はないとばかりにヘルメットを縦に振っていた。

30 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 16:59:59 ID:GEnvyBk.0

「……じゃあ、それでいいわね?」
『ああ。細かい場所集合は……やはり、音乃木坂学園かその周辺の施設、となるだろうな』
「分かったわ。そう伝えておく」
『頼んだ。皐月殿たちには私たちから連絡をしてみる』

これで、方針も決まった。
わずかな時間ではあるが、得たものは大きい。
今後の方針だけではない。様々な情報、そして何より信頼できる人間の生存。
恐らくは、今後の戦いにおいてもとても重要なものになるはずだ。

「……あ、それと」

最後に、と。
夏凜がもうひとつ、言葉を付け加える。

「温泉街に、絵里さんと同じ制服の死体があるかもしれない、て言ってたから……もし、余裕があれば」

映画館の北側が禁止エリアで封じられた今、分校に向かうには山の中を突っ切るか南側の道路を伝っていくのが最良。
そのうちの後者のルートならば、確かに足を伸ばせない場所ではない。

『……わかった。ルートにもよるが、考慮しておこう。
それでは、そちらの幸運を祈る。……それと、こちらからも一つ』

深呼吸のような音が一つ聞こえたかと思うと、電話越しにも感じ取れる、深い─────言いようのない複雑な感情が込められた言葉が耳に届いた。

『絵里殿に、伝えておいてくれ。最後まで銀時の隣にいてくれたこと、感謝する、と』
「……ええ、わかったわ」

その会話を最後に、通話は途切れた。



映画館の中、端末を握ったまま立ち尽くす人影が一つ。
絢瀬絵里からの通話を終えた桂小太郎は、何かを思案するように顎に手を当てていた。
深く考え込んでいた彼だったが、同行者が此方に戻ってくる音で顔を上げる。

「落ち着いたか、コロナ殿」
「はい、なんとか………すいません、安心しちゃって」

コロナから桂に電話が代わった後、コロナもまた再会の感動で泣き腫らしていた。
途中までは桂が落ち着くようにと手を握っていたが、途中からは自分で手水場に向かい、顔を洗うなどして幾らか落ち着きを取り戻していた。

「絵里殿もコロナ殿も、平和な世に生きる身だ。こんな場所で、安心できるような事があるのなら泣く事は何も恥ずべきではない」

その言葉に、先程のラビットハウスでの一件を思い出したのか、コロナの顔が少し赤くなる。
慌ててそれを隠すように、彼女は話題を探すかのように目を泳がせ─────そして、はたと話題が思いついたように口を開いた。

「でも、夏凜さんと合流できてたみたいなのは朗報ですね」

そう言いながら、コロナが取り出したのは一枚の黒カード。
ラビットハウスに残っていた、勇者部五箇条のポスター。くしゃくしゃになってはいるものの、極力修復がされ、眺めるには問題ない程度の状態で残っていた。

「勝手にとってきちゃいましたけど……夏凜さんにあげれば、喜んでくれるでしょうか」

これを渡すべきは、今となっては恐らくは唯一生き残った勇者部のメンバーである夏凜のみだろう。
複製の可能性も大きいが、それでも思い出の品ではある筈だ。本人の手元にあった方が良い、というより彼女が持つべきものだろう、とコロナは思う。
だが、それに対して桂は渋い顔を向ける。

「……いや。それは、止めておいた方が良いかもしれん」
「え?」

想像もしていなかった言葉に、コロナは疑問符を浮かべる。
そう思うコロナの言葉も尤もなのだが─────しかし、桂の脳裏にはどうしても、先程の一つの声がちらついて仕方がなかった。

(取り越し苦労である事を、祈りたいのだがな─────)

友奈と風の事を切り出した時の、夏凜の声。
友が死んだにしては、あまりにも平坦過ぎる声。
どこか壊れてしまったかのようなその声を思いだし─────しかし、今彼に何ができるというわけでもないのもまた事実。
首を振って余計な思考ごと振り払い、再び端末を取り出す。

31 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:01:21 ID:GEnvyBk.0

「……ともあれ、コロナ殿。まずは皐月殿とれんげ殿に連絡を取らなければな」

そう言いながら再び端末の黒カードを取り出して、皐月への連絡をしようとする。
まずはそちらと合流、そして─────恐らく、そこが一つの決戦になる可能性が大きい。
電話帳を開く前に、桂はちらりとチャットルームを覗く。
『5番目のD』─────DIOを呼び出した存在もまた、地下闘技場にいる可能性が高い。
もしもあの男が乗ったなら、決して闘技場から遠い場所ではない音乃木坂学園にいる自分たちと遭遇する可能性は軽視できないものとなる。
先程、彼女たちにも極力避けて通るよう忠告はした。本来なら皐月やれんげと合流した上で迎えに行きたい程だが、そうなれば今度はるう子という少女がDIOと遭遇する可能性も同時に上昇する。
結局、最良の判断としてはなるべく早く合流するというそれしかない。

(……これも、取り越し苦労であってくれれば良いのだがな)

未だに、無力感は拭えぬまま─────それでも、人間である以上は一歩ずつ進むしかない。
先の見えない暗闇に、それでも光を切り開かんとばかりに、桂はその目を細めていた。


【G-7/ラビットハウス周辺/夜】

【桂小太郎@銀魂】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身中
[服装]:いつも通りの袴姿
[装備]:風or樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(17/20)、青カード(17/20)
    黒カード:鎖分銅@ラブライブ!、鎮痛剤(錠剤。残り10分の9)、抗生物質(軟膏。残り10分の9)
    長谷川泰三の白カード
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
1:皐月や他の参加者と合流しつつ分校に向かい、ワープ装置で北西の島に飛び絵里たちとも合流。
2:コロナと行動。
3:神威、並びに殺し合いに乗った参加者や危険人物へはその都度適切な対処をしていく。
  殺し合いの進行がなされないと判断できれば交渉も視野に入れる。用心はする。
4:スマホアプリWIXOSSのゲームをクリアできる人材、及びWIXOSSについての(主にクロ)情報を入手したい。
5:金髪の女(セイバー)に警戒
[備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は風か樹の勇者服を模した羽織を着用します。他に外見に変化はありません。
 変身の際の花弁は不定形です。強化の度合いはコロナと比べ低めです。


【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:胴体にダメージ(小) 、勇者に変身中、悲しみ
[服装]:制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である
    ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid 、
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(16/20)、青カード(17/20)
     黒カード:トランシーバー(B)@現実、勇者部五箇条ポスター@結城友奈は勇者である
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
1:桂さんと行動。
2:桂さんのフォローをする
3:金髪の女の人(セイバー)へ警戒
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※勇者に変身した場合は友奈の勇者服が紺色に変化したものを着用します。
 髪の色と変身の際の桜の花弁が薄緑に変化します。魔力と魔法技術は強化されません

32 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:03:30 ID:GEnvyBk.0



絵里が戻ってくると、既に通話は終わっていた。
できれば、もう少し言葉を聞きたかった─────そう思いかけるも、己の頬を手で張って甘えたくなる気持ちを抑える。
ただでさえ、泣くことでわざわざ夏凜に話を代わってもらうことになったのだ。これ以上頼るわけにはいかない。

「……とりあえず、聞いたことを纏めるわ」

電話が終わった、ということで、まず夏凜が話したのは今後の方針について。
るう子を探しつつ北上、その後ワープ装置によって合流。その方針に、絵里も異論を抱くことはない。

「集合するのは、その近く……駅か、地下闘技場になると思う、けど」
『地下闘技場は、危険である可能性が少なくないな。DIOがいる可能性がある』

セルティの言葉に、二人も頷く。
チャットルームに増えていた書き込みのひとつ─────『一番目のM』、そして『五番目のD』へと向けられたその言葉。
もしDIOがこれに応じたとすれば、地下闘技場はかなりリスキーな場所となる。

(アザゼルのヤツがちゃんと交渉を成立させていたら、少しは安心できるんだがな……)

夏凜がいる手前敢えてPDAには書かず、こっそりと心の中で呟く。
真っ向からぶつかっても勝ち目がないというのは、罪歌の能力を使用した杏里やそれ以上の実力者が束になって尚圧倒されたという絵里の言葉から分かっている。
杏里のことを許す気はないが、かといって無謀に復讐を企んでも意味はない。少なくとも、まともに勝負をすることになるという状況だけは避けたいところだ。
そんなことをセルティが考えている合間に、夏凜から絵里への方針説明は粗方終わっていた。

「方針については、大体こんな感じね。次は……向こうであったことも聞いたわ」

その言葉で、セルティも思案を一旦止めて夏凜の方を向く。
それは絵里だけでなく、セルティも聞いていなかった話だ。有益な情報があれば、共有しておくに限る。
二者の視線を受けながら、思い返すように顎に手を当てつつ夏凜が語り出す。

「あなたたちと別れた後、金髪の女と遭遇したって。風とは別人のね。その時は特に交戦は無かったけど、危険人物の可能性は高い……なんでも、DIOと組んでる可能性があるらしいって」

その一言で、絵里の心中が一瞬で張り詰める。
あのDIOの協力者、となれば、此方を害する事に何の躊躇いも無いだろうというのは容易に想像できてしまう。
少女の実力や能力などは分からないが、確かに細心の注意を払う必要があるはずだ─────と、絵里は心に留める。

『……そうなると、このDが二回目にチャットで発言したこれは』

セルティが指し示したのは、やはりチャットルームの書き込み。
誰かに対して約束をしていたことが窺えるそれと今の話を照らし合わせれば、金髪の少女という協力者の存在はほぼ確かだと言っていいだろう。
当の本人であるセイバーは既に激戦の末命を落としていたのだが、それを知る由は現段階の彼女たちにはない。

「それで、その後は……っと、そう。その後はショッピングモールに向かって、そこで─────風と会ったって」

そして、続いたその言葉に、セルティと絵里がしまったという表情をする。
そこから先、何があったのか─────それを彼女に語らせるのは、あまりにも残酷だ。
「友奈の端末をコロナたちが持っている」という事実から、友奈や風の死を彼らが見届けたというのは明らかだったというのに─────それに気づくのが、遅かった。
セルティが、夏凜の言葉を遮ろうと、止めようと手を伸ばそうとする。

33 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:05:16 ID:GEnvyBk.0



─────しかし。



「風と戦ってる間に友奈が来て、その後すぐに二人は外に出て……で、何かいざこざがあった後、少し遅れて追いかけてたけど、その時はもう二人とも死んでたらしいわ」


─────その言葉の内容に、問題があったわけではない。
絵里もセルティも放送を聞いていたのだから、その二人の死は知っている。
だから、それを聞いたことで、彼女たちは夏凜を

問題は。
セルティと絵里が、夏凜の言葉を止めようとした二人が、そのまま固まってしまったほどの、違和感は。
その、友達が死んだという、ショッキングな内容を語っているはずの夏凜が。
この言葉で、最もダメージを受けているはずの夏凜が。
「何一つ口調を変えることなく」、「その前後の内容と同じように」、まるで─────まるで、「他人事のように」。
無感情ですらない、平坦な口調で、あっさりとそれを告げたこと。

「……その後、もっと見て回れる範囲を広くしようっていうことで、二人ずつ二組に分かれて行動することになったらしいわ。今桂さんたちは映画館で、鬼龍院さんたちは分校か城のあたりにいるんじゃないか、って」

そこまで言い終えて、夏凜はようやく他の二人が、自分を変なものでも見るかのような視線に気づく。

「……私、何か変なこと言った?」

自然な言葉。
先程のものとはうって代わって、本来込められるべき感情をきちんと込められている言葉。
不自然な態度を取る自分たちに、当然のように疑問を抱き、此方へとかけた言葉。
そこに違和感は無く、裏表も無く、単純明快な疑問のみがそこにある。

「何か、って………」

だからこそ、わからないと絵里は思う。
三好夏凜が先程告げた、他人事のように死を告げた言葉が、どうしても異質で奇妙なものであるように思えて。
友奈と風の事を告げた時の、あの言葉が─────おかしいとしか、思えない。

「……どうしたのよ、絢瀬さん」

そして、同時に。
絵里の中で、激しい感情が徐々に起こりつつあるのを、彼女自身が感じていた。
彼女自身でも理解しきれていない感情が、表層に浮き出てくるのを感じる。
夏凜が絵里へと声をかけたのも、きっとそれが態度に現れているから。

「………どうして」

そして。
その感情が、導くままに。
それを問わなければ、彼女の中の何かが壊れてしまいそうな焦燥感が導くままに。
ぽつり、と。
綾瀬絵里は、それを口にする。

「どうして、あなたはそんなに……友達が死んだのに、平気な顔でいられるの?」



「─────そんなこと」



帰ってきたのは。
やはり、他人事のように。
興味のない世間話を交わすように、彼女は気迫な感情のみを込めた言葉を紡ぎ続ける。
そこに情動はなく、さりとて感情の触れ幅を意識して消しているでもなく。
本当に、ただ、淡々と。
どうでもいいことを、述べるように。

「─────そんなこと、今はどうだって良いじゃない」

言い放たれた、そんな言葉。
そして、それは更に、絵里の激情に火を灯す。

「─────どうだって良くなんて、ないじゃない」

語気が強くなるのを、自分自身でも感じる。
目も自然と睨み付けるように鋭くなり、拳を握る力が強くなる。

「でも今は、そんなことを言っている場合じゃないでしょ?」

けれど。
それでもやはり、夏凜の声は変わらない。

「私たちは、悲しむより、進まなきゃ」

そして、その表情を僅かに引き締めて。
己を縛り付けるかのように、顔をひきつらせて。

34 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:07:20 ID:GEnvyBk.0



「だって私は、勇者だから」

─────勇者。
その言葉を聞いた時、絵里の脳裏に過ったのは、本能字学園での記憶。
自分たちを守るように立ち塞がる少女が、安心させるように言った言葉。
人を守る為に、大切なものを無くさないようにと、戦う存在を表す言葉。

─────そんな言葉を、彼女は大切なものから■■る為に使っている。

「─────ふざけないで!」

口から飛び出した言葉は、自分でも想像しなかった程に大きく響き渡った。

それに対して、夏凜が初めてその感情を揺らがせる。
Mあるで、己が進む道を遮られたかのように。

「そんな事より、今はこの後の事を考えなきゃいけないでしょ?るう子だって助けないといけないじゃない!」

尚も切り捨てながら、しかしその言葉に込められた響きは、強められた語気の向かう先は、確かな小湊るう子への心配で。
それが、絵里の心を殊更に掻き乱す。
現実逃避ではない。
かといって、現実に正面から向き合っているわけでは無い。
「勇者部」という存在に対してだけ、夏凜は思考を放棄している。


「─────それでも、友達が死んだことを、そんなことなんて言う理由にはならないじゃない!」


─────絢瀬絵里には、それが許せない。
何が許せないのか明確に言語化出来ぬまま、しかし間違っているという確かな想いの下に叫ぶ。

彼女がそれに気づけないのは、偏にそれが彼女を縛る呪いであると、彼女自身が気付いていないから。
逃げたい、とか、辛い、とか、そういう泣き言なら幾らでも言えるけれど。
彼女は、無意識にその全てを背負った上で歩んでいくと決めた。決めてしまった。
それこそが「呪い」。絢瀬絵里を縛る、彼女の心が引き千切れようと彼女を牽引していく奴隷の首輪。
そして、それを背負ったからこそ。
自分が背負うと決めた、一時の友人に対して。
「自分よりも、もっと彼女のことを背負うべき」である、仲間である少女が。
自分の目の前で、背負うことを放棄していた、とするまらば─────それが、絢瀬絵里が叫ばずにはいられなかった理由。
彼女は、未だそれに区付くことはなく。
しかし、それに駆られるままに─────彼女は、叫び続けていた。


(……何を、そんなに怒ってるんだろう)

そして。
対する夏凜は、そもそも絵里がここまで突っ掛かってくる理由を「理解していない」。
絵里が激昂した理由も、そもそも何に激昂したのかさえも。
ただ、彼女が言うには、自分は仲間の死に対して白状だ、とかそういう事を訴えてきている。
彼女からすれば、ただ、今はそれをするべきではない、と思っているだけなのに。

(……勇者部の皆。友奈、風、樹、東郷……)

試しに、一人一人の顔を、彼女の脳裏に順繰りに浮かぶ。
勿論のことすぐに浮かんだその顔に、しかし彼女は違和感を抱く。
何故だか皆、此方を見ていない。
こちらとは反対側を向いているところしか、彼女の脳裏には浮かばない。
改めて、その表情自体を思い出そうとして─────そこで、彼女の中で一つの警鐘が鳴った。
何故だか、これ以上思い浮かべることは、絶対にダメであると思えてしまう。
具体的な理由はわからぬまま、しかしただそれだけを叫び続ける脳内を、夏凜は無理矢理シャットダウンさせる。

(……止めた。やっぱり、今そんなことを考えてる場合じゃないもの。)

─────そして、結局はそこに終止する。
勇者部という彼女の居場所に背を向けて────否、向けずにはいられなくて。
最後の、もうひとつの彼女の寄る辺─────勇者という肩書きに恥じぬものとして。
そう、だから私は──────勇者として、振る舞い続けなければならない。
それでいい、と、彼女は信じて動く。
最早、今の彼女自身にとって、彼女の存在を許してくれるものはもうそれしか残っていないのだから。

35 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:09:24 ID:GEnvyBk.0

─────彼女の根底にあるのは、結局のところ勇者部への罪悪感だ。
そもそも、この世界に呼ばれる直前の時点で、夏凜は満開の後遺症とそれに関する嘆きを叫ぶ風と相対したばかりだった。
大赦への、そして己への憎悪にただ猛り狂う風に対して、夏凜は何も言う事が出来なかった。
それは、己だけ満開せず、治らない障害を負ってはいないことと同時に、「自分は大赦に属する勇者である」という自負が存在したから。
何せ、風の暴走に最初に対処出来たのも、彼女が大赦に風を見張るよう命令されたからでもあった為に、その縛りは強固なものとなっていた。
その縛りは、本来ならその直後に、自身が大赦の道具に過ぎないのだと東郷に断じられる事で吹っ切れる筈のものだったけれど─────少なくともこの彼女は、それを言われる前にこの殺し合いへと呼ばれていた。
そして、この殺し合いの最中においても尚。
東郷美森が先走り、マーダーとなった理由はきっと、勇者部のみんなの為なのだろうと。
そして、そんな彼女を止められなかった夏凜は、更に責任を負い。
極め付けに、犬吠埼樹の死を笑われたが故に激情に駆られ、取り返しのつかない罪を犯しかけたことを最後に─────彼女自身が、自分が「勇者部の一員」として戦う事に耐えられなくなった。
何も出来ない、仲間を救うどころか、自分は重荷にしかならない。
だから、彼女は勇者部である、少女としての三好夏凜を捨てた。
自身には、その資格なんてありはしない、と、そう己自身で断じて。

─────ここで、重要な事実がひとつ存在する。
三好夏凜という少女の生涯にわたって─────普通の少女としての振る舞いを許したのは、勇者部とそれに付随するものだけである、という事実が。
勇者部に入るまでの彼女の人生は、常に優秀な兄と比較され続けるものだった。

そんな彼女を、初めて無条件で迎えてくれた存在。
それが、彼女にとっての勇者部であり。
逆に言えば─────彼女以外の勇者部がいなくなり、彼女自身もそこから目を背けた今、「彼女を無条件で受け入れてくれるもの」なんて、彼女には既に存在していない。
彼女は既に、戻りつつあった。
勇者でなければ、己の存在価値はないと思い込んでいる─────勇者部に入る前の思考に。

或いは。
或いは、絢瀬絵里と東條希の二人の間に起こった出来事を彼女が知っていれば、結論は少しは違ったかもしれない。
少なくとも、白状であるという言葉に関して、もう少しは思うところもあっただろうが─────セルティと絵里が、絵里に無理に思い起こさせない為に肝心なところをぼかした上で伝えていたのが、この場に限っては裏目に出ていた。

ともあれ。

「でも─────」

それに忠実に、三好夏凜は繰り返すだけだ。
彼女の、壊れかけた論理に基づく逃避を。

「私は勇者だから──────そんなことで、立ち止まってちゃ、ダメだから」



──────その言葉で。
まるで、友を悼むことが、それを背負うことが、停滞だと言わんばかりのその言葉で。
その言葉は、絵里にとっての、琴線だった。

「いい加減に─────」

ほぼ、無意識に。
彼女は、右腕を高く振り上げ、それを彼女の頬目掛けて降り下ろし─────

36 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:11:02 ID:GEnvyBk.0



(どうする)

ただ一人。
セルティ・ストゥルルソンだけが、冷静に状況を見ていた。

彼女とて、夏凜の言葉に思うところが無かった訳ではない。
いや、寧ろ、己の中の違和感に対しては絵里よりも確証を持っていた。
何故なら、彼女は「こう」なる前の三好夏凜を知っていたから。
友を想い、確かに勇者としての振る舞いを見せる彼女の姿を知っていたが故に、夏凜の今さっきの言葉には明確に違和感を感じとっていた。

(いや─────)

違う。
そもそも、言われてみればそれより前にも確かに違和感はあった。
自分が放送局を出る前と帰ってきた後で、明確におかしいと感じられる点が。
それはアザゼルに対して、東郷のものという端末を渡した時だ。
仮にも、三好夏凜にとって、アザゼルは東郷美森の仇である。
彼女がマーダーとして動き、何人かの人間を既にその手に掛けていたとして、その思いを胸に封じたとしても─────それでも、仇に対してそれを託した事に、違和感を感じずにはいられない。
連絡をするだけなら、電話であろうとメールであろうとタブレットでも事足りるのも確かであるこの状況で、わざわざ渡すだろうか。
或いは、また別の、思うところが彼女にあったという可能性もある。
だが、そんな都合があったと考えるより、今のこの状況とそれを照らし合わせた方が整合性が取れる。
即ち。

(夏凜ちゃんが、勇者部を捨てた─────?)

捨てた、という表現がどこまで的を射ているかは分からないが、ともあれそれに類するものではないか、とセルティは推察した。
勇者部、と限定したのは、彼女が人を想えないような人間ではなくなった、と断ずることは出来そうになかったから。
先の、るう子をおざなりにして、結果危険に巻き込んだというただそれだけに対してあそこまで激昂した夏凜の姿は、他人に対して極度に冷淡になったような人間のそれとは思えない。
友奈と風、そして東郷。この三者のみに他人事のような態度を取るというのが現状で確定している以上、その三人、或いは犬吠埼樹も含めた四人に対してそのような態度をとったと思えば納得できる。
……だが、そこまで絞り混んだところで、明確な解決策が用意できるわけではない。
仮に勇者部の誰かが生きていたとするならその誰かに説得してもらえばいいのだろうが、それがもういないからこその態度とも考えられる以上どうしようもない。
どうするべきか─────それを思案していたセルティだったが、そんな彼女の必死の思考を嘲笑うように二人の口論は激化していき。
そして、絵里が遂に手を上げかけた。

(─────マズい!)

咄嗟に、セルティは駆け出す。
口論している内は何とかなる。だが、今ここで手が出てしまうと、恐らくはその対立が明確になってしまう。
一度スッキリすればどうなる、だとか、そういうストレスからくる喧嘩などとは文字通り訳が違うのだ。
思わず駆け寄り、両者の間に立ちふさがってそれを止めようとする。
夏凜が勇者に変身している訳でも、どちらかが凶器を持っている訳でもない以上、影をあえて使う必要はない。セルティ自身の力で止められる─────そう思っての、物理的な仲裁。

けれど。
絵里の、全力とはいかないまでも八割程度の力が篭った咄嗟の平手が、ヘルメットに当たる可能性を、駆け出す直前まで別のことに思考を費やしていたセルティは失念していた。
そして同時に、絵里が緑子のデッキを所持していたことで、アーツ「」が自動的に発動していたこと。
そのアーツが乗った状態での攻撃が、人間に致命的なダメージをを与えるには到底足りないものの─────軽いものを吹き飛ばすには、十分に足りる程度であったことが、彼女の計算には入っておらず。

だから。
絢瀬絵里の手が思いきりヘルメットに衝突し、それが吹き飛んでしまい─────その下を露出させることとなる、という結果を、彼女は想定もしていなかった。。

カラン、と。
乾いた音が、響いた。

37 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:12:33 ID:GEnvyBk.0

カラン、と。
乾いた音が、響いた。

「…………あ………」

地面に落ちたヘルメットを見て、絵里が声にならない声を出す。
そして、そのまま首がないままに立ち尽くすそれを見て─────彼女は腰が抜け、へたりと座り込む。
夏凜もまた、何も言うことが出来ない。
頭部が吹き飛ばされた、という事実を咀嚼し、激しい同様に襲われかけ─────しかし、すぐに違う疑問が湧き上がる。
変身すらしていない、何の特殊能力を持っている訳でもない。それなのに、その程度の少女の攻撃が当たったからで人間の首が飛ぶだろうか?
絵里もまた、同様の疑問を浮かべ─────それと同時に、少し遅れて実感する実際に手に残った感触、手応えのない感覚。それらが彼女を混乱させ、

そして。
首の無くなったセルティが動いた瞬間、夏凜は変身して詰め寄る。

「アンタ、何……!?」

油断なくセルティへと剣を突きつけ、文字通り訳のわからないモノを見る目でセルティを睨みつける。
一方の絵里はといえば、腰が抜けたまま立ち上がることも出来ずへたりこんでいる。
そんな両者に対し、セルティは改めてPDAを取り出して文字を打ち込むと、その画面を向ける。

『………驚かせてすまない。見ての通り、私は首が無くてね……だから、こうして文字を打ってコミュニケーションを取らせてもらっていたんだ』
「…………」

夏凜は無言。
絵里もまた、無言。こちらはどちらかと言えば、何か言おうにもまともな言葉が紡げないというのもあるが。
張り詰めた空気が流れる中で、尚もセルティは文字を打ち込む。

『別にとって食おうって訳じゃないし、あのヘルメットも出来るだけ恐がらせないようにと思って着けていたんだ。私は、あくまで君たちを不意に驚かせたくは無かった、それだけだ』

実のところ。
両者共に、彼女の存在そのものは受け入れてはいた。
しかし、絵里にとっては元々そういったものに対する恐怖心が大きい為に、夏凜にとってはそれを受け入れる最大の要因たる悪魔の態度故に、警戒は未だ解かれた訳ではなく。
そして、それに対して、セルティが出来るのはただ心境を語ることのみ。
幸い、と言うべきでも無いだろうが、後ろ暗いとまで言える事は無い。正直に誠心誠意話すことで、通じない相手ではないというのもなんとなくは分かっている。であるならば、ひとまずはそれを信じるのみだ。
それに。

『信用してくれ、とは言わない。だけど、それよりも先に、君たち二人は一度言い合いを止めてくれないか』

その言葉に、両者が止まったのを、セルティは見逃さない。
上手く行けば、この場を丸く収めきれる。先送りにすぎないが、ここでずっと諍いを繰り返していてはどうにもならない。

『お互いに、きっと思うところは一杯あるんだろう。それは私にも分かっている。だけど、今はそれよりもるう子ちゃんの捜索とか、する事はたくさんあるんだ』

卑怯な言い草だという事は、セルティ自身も自覚している。
そもそも論点をずらした上で、納得させる為に言葉を並べているのだ。信用出来ないと言われる可能性はある。
しかし、それでも─────何もしなければ、ここで宙ぶらりんになってしまう可能性が大きい。それは、出来る事なら避けたい事態だ。

『仲間割れをしてる場合じゃないってのは分かってると思うし、それでも言っておかないと気が済まないのかもしれない。……でも、やっぱりそれを私が見過ごす訳にはいかないってのも分かってほしい』

そこで、一度PDAに文字を打ち込む手を止める。
夏凜と絵里の方に視線を向けると、未だに表情には懐疑が浮かんでいる─────が、先に比べれば幾らかはましになった、と思う。
祈るような思いで、セルティは返答を待つ。

「……私は、信じるわ」

先にそう呟いたのは、夏凜だった。
接した時間の長さ、そして東郷の死の時に自分の代わりにアザゼルに突っかかった姿。
それは、外見とは関係なく、確かな信用に値する姿だ、と彼女は判断した。
そして。

「私も」

絵里にとっても、彼女は親身になって接してくれた存在だった。
人ならざるモノであっても人間の味方ではある存在として、鮮血という前例があった事も含め。
元々から恐怖心があった霊的なものという事情のために、幾らか夏凜より時間を擁したが─────それでも、信用しない理由にはならない。

「……夏凜ちゃんにも。私、熱くなりすぎてたみたい。……ごめん」
「……うん」

和解─────だろうか。
少なくとも、絵里の様子は先程に比べれば大分マシになっていた。
夏凜も、抱え込んだものが解消された訳では無いが、そちらは恐らく勇者部の話題さえ出さなければ爆発する事は無いだろう。

「……でも」

38 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:16:01 ID:GEnvyBk.0

─────ダメか。
セルティが身構える。
また口論が始まるようなら、セルティにはどうしようもない。最悪の場合、影を使う事も視野に入れるべきか。
そんな思案をしていたセルティと、首を傾げた夏凜に対し、絵里は気まずそうな顔でそれを告げた。

「……それはそれとして、腰が抜けちゃって立てない………」

─────絵里が苦手な、所謂幽霊が目の前に現れたとあっては。
それが頼りになる存在だったと改めて確認出来たとしても、腰砕けになった分の衝撃を取り戻すには足りず。
夏凜が差し伸べた手を取って、ようやく絵里は立ち上がったのだった。




ひとまず、衝突による仲間割れは防げた事に、セルティは心の底から安堵する。
作戦であった訳ではないが、自身の正体を明かす事が結果的にプラスになったのではないか、と思うと、うまいこと幸運が味方してくれた。
これで、少なくとも今すぐにチームが分裂してしまうという事は避けられた筈だ。
しかし。

(結局のところ、問題を先延ばしにしただけだな……)

結局のところ、夏凜、そしてもしかしたら絵里も。両者が抱えている、何らかの問題が解決した訳ではない。
放置しておけば、必ずまたどこかで同様の言い争いが起こる可能性がある。

(夏凜ちゃんの地雷が勇者部だって分かってるだけでも救いかな……)

夏凜の場合、明確に「勇者部」のメンバーだけが地雷である可能性が大きい。
そして、夏凜があの状態にならなければ、絵里もわざわざ突っかかる事は無い筈だ。

(……本当は、解決できれば良いのだが)

セルティには、こうした少女たちの機微をケアするだけの技量はない。
いや、むしろこの会場全体を見回しても、他人を完璧にケアできるような余裕を持った人間などいないだろう。
脳裏にとある黒コートの人間が思い浮かんだが、彼はもう死んでいるし、仮に生きていたとしてもこの状況で頼りたいと思うような人間ではないから除外するにしても。
しかし、ならばこのまま放置できるかといえば、やはりそれにも一抹の不安を感じる。
埋まっている地雷など、場所がわかっていたとしても何らかの事故で踏んでしまう可能性は十分にあるのだから。

(もし─────私じゃなかったら、分かるのか─────?)

ふと、そんなことを思う。
デュラハンとして、気付いた時にはこの世を彷徨っていたような存在。
それまで深く物を考える事もなく、首を無くし、それを探し始めて、あの街に辿り着いて─────岸谷森羅と一緒に暮らして。
そうして、色んな「人間」に触れる事で人間性を獲得した自分だから。
あの少女たちの抱える本当の問題が何か、それすらも分からないのか。

(─────森羅。私はどうすればいいんだと思う……?)

自分に口があれば、きっと溜息混じりに呟いていただろう質問。
空気を震わせる事が無く、ただ虚空に消えただけのそんな質問にも、心を覗いているかの如く察して答えをくれる人間は、此処には居なかった。



【D-1/放送局跡付近/一日目・夜中】

【セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!】
[状態]:健康、精神的疲労(小)、罪悪感(中)
[服装]:普段通り
[装備]:V‐MAX@Fate/Zero、ヘルメット@現地調達 、PDA@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:カードキー(使用可)、イングラムM10(32/32)@現実
         ジャック・ハンマー御用達薬品セット(精神安定剤抜き)、精神安定剤2回分     
[思考・行動]
基本方針:殺し合いからの脱出を狙う
0: 南ことりの腕輪を回収後、アザゼルと連絡を取りつつ北方でるう子達を捜索する。
1: 絵里、夏凜をサポートする。
2:静雄との合流。
4:縫い目(針目縫)はいずれどうにかする。
5:杏里ちゃんを殺したのはDIO……
6:静雄、一体何をやっているんだ……?

[備考]
※制限により、スーツの耐久力が微量ではありますが低下しています。
 少なくとも、弾丸程度では大きなダメージにはなりません。
※三好夏凜、アインハルト・ストラトス、アザゼル、絢瀬絵里と情報交換しました。

39 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:18:36 ID:GEnvyBk.0

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(大、精神安定剤服用)、髪下し状態、精神的ショックからの寒気(小)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero、 グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS
    セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid 、宮内ひかげの携帯電話@のんのんびより    
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(70/85)、青カード(66/85)、最高級うどん玉
    黒カード:エリザベス変身セット@銀魂、ベレッタM92&ベレッタ92予備弾倉@現実、 タブレットPC@現実、トランシーバーA@現実
         盗聴器@現実、ヴィマーナ@Fate/Zero(使用可能)、セルティのヘルメット@デュラララ、メルセデス・ベンツ@現実                   
         具@のんのんびより、こまぐるみ(お正月バージョン)@のんのんびより、ブレスレット@Fate/Zero、
         黄長瀬紬の装備セット@キルラキル、狸の着ぐるみ@のんのんびより、小型テレビ@現実
         カイザルの剣@神撃のバハムート GENESIS、ライターー@現実、ビームサーベル@銀魂
         不明支給品:0〜1(千夜)、0〜1(晶)
    白カード:坂田銀時、本部以蔵、ファバロ・リオーネ、東條希、宇治松千夜、神代小蒔
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出。
0:夏凜ちゃん…?
1:北に向かいるう子を探す。
2:自分の手持ちのカードの分配を考える。
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
※アザゼル、、セルティ、三好夏凜、緑子と情報交換しました。
※多元世界についてなんとなくですが、理解しました。
※左肩の怪我は骨は既に治癒しており、今は若干痛い程度になっています。行動に支障はありません。
※セルティがデュラハンであることを知りました。

【三好夏凜@結城友奈は勇者である】
[状態]: 精神的疲労(大、精神安定剤服用)疲労(中)、顔にダメージ(小)、左顔面が腫れている、胴体にダメージ(小)、罪悪感(大)
    満開ゲージ:0、左目の視力を『散華』、「勇者」であろうとする意志(半ば現実逃避)、肉体的ダメージはアヴァロンで回復中、顔に泣きはらした跡、「勇者部」からの逃避
[服装]:普段通り
[装備]:にぼし(ひと袋)、夏凜のスマートフォン@結城友奈は勇者である、全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero     
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(26/30)、青カード(25/30)
    黒カード:不明支給品0〜1(紗路、確認済み)、不明支給品1(アインハルト)、不明支給品0〜2(池田)、スクーター@現実、

    白カード:東郷美森、アインハルト・ストラトス
[思考・行動]
基本方針:繭を倒して、元の世界に帰る。
0:るう子を救助する。
1:『勇者として』行動する。
2:セルティらのサポートをする。
3:ダメージから回復したら全て遠き理想郷(アヴァロン)を返却する。
4:勇者部については……今は考えない。それでいい、はず。
[備考]
※参戦時期は9話終了時からです。
※夢限少女になれる条件を満たしたセレクターには、何らかの適性があるのではないかとの考えてを強めています。
※夏凛の勇者スマホは他の勇者スマホとの通信機能が全て使えなくなっています。
 ただし他の電話やパソコンなどの通信機器に関しては制限されていません。
※東郷美森が犬吠埼樹を殺したという情報(大嘘)を知りました。
※セルティ、ホル・ホース、アザゼル、絢瀬絵里、緑子と情報交換しました。

40 ◆NiwQmtZOLQ:2017/04/16(日) 17:29:14 ID:GEnvyBk.0
投下を終了します。タイトルは「Lostheart(hurt) distorted ROYAL 」です。
また、桂とコロナの時間帯表記を変え忘れていた為ここで修正させていただきます。
【G-7/ラビットハウス周辺/夜】→【G-6/映画館/夜中】

41名無しさん:2017/04/16(日) 22:21:23 ID:5c.7SqlUO
投下乙です

一番いいのは二人を引き離すことなんだけど、そんな余裕ない

42名無しさん:2017/04/23(日) 21:30:47 ID:aQX0IqgQ0
投下乙です
夏凜の思考が前回からフォローされててより分かりやすい。
「勇者部」と「μs」、どちらも仲間同士のグループに所属しているからこそ起きた衝突。
仲裁したセルティはGJ。でもスタンスが変化したわけではないのが、妙に怖いところ。

43 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:05:44 ID:bWFb0ZGY0
遅れましたが投下を始めます。

44目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:07:12 ID:bWFb0ZGY0
❖?と??達

何日か前。天気は曇り。
真っ白な洋室で何人もの年配の男と2人の少女がテーブルを囲んで雑談をしている。
テーブルの中央には小道具があった。今は休憩時間。あるゲームの。
男達は時折少女の機嫌を伺いながらそれぞれの仕事についても話し合い、
特徴的な髪型をした朧気な少女はそれに耳を傾けながら数枚のカードを見つめていた。
残されたもう1人の少女は居心地が悪そうにしつつ、一冊の本を読んで気を紛らわせている。

休憩時間が残り3分になった時、窓のような扉から1人の男が入室してきた。
一同は男に視線を向け報告を待つ。
男はその部屋の中にいる者――本を持つ少女を除いて明らかに立場が下の者。
男は挨拶を一通り終えるや、抱えた紙束の中から正確に報告書を選別するやその内容を告げた。

朧気な少女は眉をひそめつつも眼は好気に彩られ。
男のその中でも一番年上に見える男はその内容に顔をひきつらせ。
残りの男達は苦笑と取れるような曖昧な表情で顔を見合わせた。

一番立場が上の男は朧気な少女に顔を向け、意見を求める。
朧気な少女は手を顎に当てしばし考え、答えが閃くや入室した男に声を掛ける。
もう1人の少女は尚もこの状況に慣れる事無く困惑が解消されないでいた。


・雄二1

山を器用かつ俊敏に駆けながら、風見雄二は一瞬後ろを振り返る。
当面の敵、蟇郡によれば纏流子が誤って炎上させた車の煙が空に昇っているのが見えた。
先程までの突き刺すような殺気が迫る気配は無い。

爆発に巻き込まれて追撃できなくなったか?
……などと物事を楽観視できるほど雄二の頭は目出たくない。
更なる体力の消費を覚悟しつつ神経を聴覚に集中させる。

「……」

今は迫る気配はないようだ。
彼は黒カードから腕輪探知機を出すや、起動させる。
現在地はG-4の山の低所、腕輪の数は一つ。
纏流子はまだ立ち止まっているようだ。
彼は速度をやや落とし、今後の事を深く考え始める。
優先すべきは空条承太郎を始めとする仲間との合流と、もう一人の敵、騎士王――セイバーとの戦いへの加勢。
彼は赤カードからゼリーを現出させ口に入れ、どうすれば戦いを有利に運べるか思案する。

「……!」

油断なく目を配らせていた腕輪探知機の腕輪の数が2に増えたのに気づく。
緊張を他からのものと錯覚せぬよう、気持ちを落ち着かせ神経を集中させる。
雄二はまたもや速度を上げると、何メートルか横に移動し敵からの逃走を再開する。
微かだが死の匂いがしたから。

「……」

武器のベレッタM92の弾丸が尽きた今、雄二が単独で流子に勝てる見込みは殆ど無い。
装甲服のようなものは露出部分を狙わぬ限り、銃弾でさえ通さない防御力を保持し、
どういう理屈か力なのかは知らないが銃撃をも傘などで弾く技術のようなものさえ彼女は持つ。

45目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:08:25 ID:bWFb0ZGY0
それにムラはあれど彼女の攻撃もまともに喰らえば一撃必殺と言っても過言で無いもの。
自動小銃のキャリコM950では弾数が少ない上に、取り回しにやや不便で狙撃も困難だ。
余程の策を持ち要らない限り戦う事さえままならないだろう。
せめて短剣があればと彼は思い山を駆ける。

「……?」

探知機の数は変わらない。
だが追手との距離が開いているような気がしてならない。
先の戦闘で彼は彼女の左太ももに銃弾を撃ち込んでいる。
この事が原因で彼女の走行速度が落ちたと解釈はできるが、彼の見解は違う。
戦闘の直前、流子が人間離れした勢いで飛空しながら突っ込んで来たのを覚えているから。
その上、彼女は損壊した眼球をも1分も経たずに再生させた針目縫の妹と名乗っていた。
同族なら針目と同等の異常再生力を持っていてもおかしくないし、それを見越せば被弾した弾丸の摘出も
容易に実行できるだろう。
もし仮に再生能力がそれ程でなくても、先の襲撃手段を用いれば――たとえ脚を損傷していても
一気にこちらへの距離を詰める事ができるはず。何故しない?
そう疑問を抱きながら、彼は敵への対応策を練りつつ北上を続ける。

「……」

しばらくして、下腕輪探知機の腕輪の数が1に減じた。
背後に危険な気配はない。

「!」

横目に茶色い建物が目に入る。
雄二は方向転換をし、注意を怠らぬよう身構えつつ山小屋の方へ走った。


・流子1

纏流子は抑えきれぬ苛立ちを募らせながら走る。標的の風見雄二を殺す為に。
だがその速度は先の気絶から覚醒した時からと比べ明らかに遅く、進路も徐々にずれてゆき、
このまま行けば完全に見失ってしまうのは時間の問題だった。

「……」

ギリッ……と歯ぎしりをしながら流子は速度を落とし思案を始める。
まず流子は飛行形態で追跡しようと考えたが、ある事に思いあたりやめる。
彼女も雄二や承太郎を侮れない敵と見なしている。
もし仮に強力な飛び道具を持っていたらと警戒しての判断だった。
遮蔽物が無いなら回避してやるが、こういう場所だと承太郎の全力に匹敵する攻撃を空中で回避するのは無理だろうと。

彼女は表情だけでも落ち着かせると自らの神衣の袖を目を細めて見た。
小さな焦げがあった。それは炎上した車から脱出する際ついた焼け跡。
彼女は地団駄を踏み、怒りで身体を震わせる。
車を誤爆させた時の火の粉が付着したのだろう、生命繊維からの快楽に酔いしれている流子にとってその事実は恥ずべき事。
森林に八つ当たりしたい衝動を抑え、どうすれば雄二を発見できるか知恵を働かせる。
彼女は左肩・左太ももを見た。埋め込まれた弾丸はいまだ体外に排出されずにいる。

「どうなってんだ……これは!?」

そう、生命繊維の化物と化した流子にしてみれば、今の状態は今後の活動に差し支えがあるほどおかしい事。
先のセイバーとの戦いの際、彼女は昏倒するまでの重傷を負った。それも傷口から魔力を放出されるという髄まで及ぶ程の。

46目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:09:37 ID:bWFb0ZGY0
そんなダメージを流子は3時間未満の睡眠で全快してのけた。
なのに針目縫との戦闘後それ以上の休憩を取ったに関らず、蟇郡との戦闘からのダメージさえも回復しきっていない。
ゲーム序盤の皐月戦でのダメージからの回復具合からしても、明らかに回復速度が落ちているのだ。

流子は顔を上げ睨みつけるように空を見上げる。
縫が言っていた能力制限を嫌でも思い出す。最後に殺す相手と決めている繭の存在がここに来て更に強く印象つけられる。
吐き気だけでなく怒りで目眩もしてきた。彼女は忌々しそうに2つの銃創を意識する。
流子は走行を歩行へと移行しつつ黒カードから短刀 縛斬・蛟竜を取り出すとその切っ先を左肩の銃創へ突き立てた。



・雄二2

雄二は今、アナティ城付近の山小屋の中にいる。
先程、キャリコM950から一発の銃弾が発射された。
銃身には数枚のタオルが簡易に巻かれており、いずれのタオルには銃痕がある。
元から発射音は大きい方ではなかったが、雄二は小屋の破損部分から目当てのものをいくつか回収するや
窓の外を見た。

「……」

流子らしき気配や物影はなく、腕輪探知機の方にも変化はない。
治療に役立ちそうなタオルなどは回収し終えた。
小屋には他に刃物を突き立てたような刺し傷が床に数か所ある他、微量だが血痕も発見。
擦ると跡形もなく消えた不思議な現象があったが、雄二にとってもう用はない場所。
早く離れねばと彼は考える。
雄二が知る由はないがその小屋は早朝に針目縫が立ち寄った小屋だった。

雄二は鉛筆サイズの金属片数枚と木片数枚を仕舞うと、足早にその小屋を離れ北へ向かった。


・流子2

左肩と左太ももの痛みを意識しながら流子は北へと走る。
縛斬で弾丸を摘出した後、彼女は出血が治まるまでは歩行に専念し、治まってからは走行を再開した。
傷口には生命繊維がきつく巻かれている。結論から言うと銃創からの切開によるダメージはまだ残っている。
現時点でも時間をかければ自然治癒でも全快は可能だが、そこまで時間は経っていない。
故に速度はさっきよりは少し上がった程度だ。

「!」

流子は針目のいた小屋を発見し、口元を歪ませる。
だが、すぐに表情を引き締めると走行を止め小屋の壁に聞き耳を立てた。
仮に家に入った所で長居する程奴は暢気でないと思えたから。

「……」

気配は感じない。
もっとも他参加者がいた所で神威とセイバー以外はブチ殺すだけだが。
そう思いながら流子は小屋の中に入る。

内部はテレビなどはなく、最低限の生活が出来る程度の物品しか見当たらない。
流子の目からして床にある幾つかの刺し傷と、ある一箇所以外は何の変哲のない家に過ぎなかった。
彼女は落胆したように息を吐くと、外出しようとしてある可能性に思い至り止める。
神威純潔の胸元を見る。従来なら固く閉じられているはずの前面が、胸元だけ不自然にはだけている。

47目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:10:21 ID:bWFb0ZGY0

今、自身にも所持品にも生命繊維がある。それを使って修繕できないだろうかと彼女は考え、裁縫道具を見つけるべく物色を始めた。

「……………………………………チッ!!」

見つからなかった。
もっとも仮にあったとして神衣を修繕できる道具はおいそれとして存在しないが。

「……クソッ」

他に方法はないかと考える内に縫の顔が浮かび、思わず流子は吐き捨てる。
針目縫なら純潔の修繕も可能かも知れないが、先にこちらが敵対行動を取ったので後の祭だ。
流子は手が出るよりも気が滅入り、思わず仰向けに転がった。

「……」

天井を見る。何の変哲もない、きれいな天井。
すぐに起き上がり追跡を再会する気も何故か起こらず、疲労ともどかしさが胸中を廻る。
首を横に向けると小綺麗な壁と家具が見える。
流子の耳に砂が混じるような音が聞こえた。何度も何度も。
夜の帳が降りるように流子の意識は落ちていく。
それを拙いと思い流子はしばし考えた。彼女はひと声かけた。

「純潔、見張ってくれ」

ここに来て初めて己の神衣に話しかけた流子は瞼を落とし眠りに着いた。
アイツん家と違ってきれいな家だなと思いながら。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

いつか見た光景がそこにはあった。もう何年も前の事のように思える。
明らかなボロ家の中で4人と1匹の家族が少女に対し土下座をしている。
それはもうすがすがしいまでのあやまりっぷりだ。

少女は彼女等を切り捨てようかと思った。もう自分は人ではないから。
でも口に出た言葉はあの時と同じものだった。

「今度あんなことしたら容赦しないよ」

少女は苦笑いで応えている、一家は「ははー」と応えると顔を上げ夕食に取り掛かる。
ひとりを除いて一家はあの時と変わらなかった。

「……」

少女は胸のむかつきを覚えつつ何の拒絶の言葉も出せないでいる。
――堂々巡り。そんな単語が脳裏に浮かんだ。
思えばあの時も自分が強く出られなかったからあの一家は暴走した。
今はさっさと切り捨てればいいと思っているのに、自分はそれができないでいる。
おかしい。何でだ? これではこれまでと同じじゃねえか……。

少女は顔をしかめつつ思わずアイツの姿を探す。

「?!」

少女は一瞬アイツの姿を見た。だが次の瞬間掻き消えるようにいなくなった。

48目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:11:24 ID:bWFb0ZGY0

少女は絶句する、数秒遅れてアイツの父親に声をかける。
だが彼は始めっから娘がいないかのように振る舞っている。他の家族も同様だった。
少女は声を張り上げようとした、だが薄気味悪さに震え声を出せない。

少しして窓の向こうに巨大な人影が見えた。
少女は顔を歪ませ窓へ向う。一家はそれをきょとんと見つめている。
すると巨大な人影も姿を確認した直前に掻き消えた。
困惑と動揺が少女の胸中を駆け巡る。なんだ何が起こった?
少女は思わず走り出す、本能字学園がある方へ全力で。

「!!?」

突然、何かに掴まれたように足の動きが止まった。
たまらず転倒する。信じられないような表情で少女は地面を見る。
そこには1枚の何も描かれていないカードがあった。
少女は怒りを込めてカードへ向かい拳を振るう。
だが、拳がカードに触れた瞬間、地面から白と黒の触手のようなものが現出し少女を捕らえた。
脱出しようともがくが、まるで通じない。自分を遥かに超える力かも知れない……!
自分にはもう無くなった筈の感情をむき出しにしながら少女は巨大なカードに吸い込まれていった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

・流子3

「?!」

驚愕の表情で流子は目を覚ました。純潔が何事かと身じろぎをする。
流子はなんとか気を落ち着かせると現状を把握すべく頭を働かせた。
……睡眠時間は10分かそこらだっただろうか?

「……」

嫌な夢を見た。それは恐れる物は無くなった筈の彼女が恐怖を感じさせる内容。
闇か光のような不定形のものが自身を予想もつかない遠くに連れ去っていくもの。
他にも何かがあったかも知れないが流子が覚えているのはそれだけだった。
流子は額の汗を手で拭う。

「……」

数秒の間を開けた後、彼女は純潔に話しかけた。

『……』

純潔の双眸が怪訝そうに歪む。
だが流子はそれに構わず自らの神衣を見つめる。
純潔は観念したかのように目を瞑ると、服の形状が変化を始めた。


・雄二3

雄二は入手した布で応急処置を終えるや、北東の方角を見る。
小屋から離れてだいぶ時間が経つ。纏流子からの逃走を始めて3時間は過ぎたか。
遠くから白い物体が北上しているのが見えた。結構な速度だ。

49目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:13:11 ID:bWFb0ZGY0

「……」

現在、雄二はF-4の南西にいる。白い物体――纏流子からは結構距離が離れている。
相手はこちらに気づく様子はない。
だが雄二は彼女の様子がさっきまでとだいぶ違う事に気づき、注意深く観察する。
流子が現在着用しているのは白を貴重としたセーラー服のようなもので、手にはボールのようなものを持っている。
武器以外の支給品を使用してきたかと雄二は推測する。
人かどうか怪しいが言葉を解するなら道具に頼るという選択は当然だ。
ただその試みは向こうにとって成功かどうかは読み取れない。

「……立ち止まった?」

やがて彼女は足を止め、出したボールを仕舞ったのを彼は確認する。
流子は途方に暮れたように周囲を見回しているが依然こちらに気づいていなかった。
今の内に西か南に行けば完全に引き離せるかも知れない。雄二はそう考えた。
流子は更に1枚のカードを出し首をひねりながら何かを考え始めている。
……向こうの支給品の内容を確認したい気はある、だが集中している今なら逃走は確実と思える。
どうする?



【F-5/南西/夜中】

【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:ダメージ(中、処置済み)疲労(小)右肩に切り傷(処置済み)、全身に切り傷 (処置済み)
[服装]:美浜学園の制服
[装備]:キャリコM950(残弾半分以下)@Fate/Zero、ベレッタM92@現実(残弾0)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(7/10)
   黒カード:マグロマンのぬいぐるみ@グリザイアの果実シリーズ、腕輪発見機@現実
   歩狩汗@銀魂×2、旧式の携帯電話(ゲームセンターで入手、通話機能のみ)
   小さな木杭3本、小さな鉄杭3本、タオル2枚、包帯代わりの布2枚、包丁一本(低品質)
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   0:承太郎達と合流する為にすぐに南か西に向かうか。
     あるいは纏流子の出方を見てから行動するか
[備考]
※アニメ版グリザイアの果実終了後からの参戦。
※折原臨也、衛宮切嗣、蟇郡苛、空条承太郎、紅林遊月、言峰綺礼と情報交換しました。
※キャスターの声がヒース・オスロに、繭の声が天々座理世に似ていると感じました。
※参加者の時間軸がずれている可能性を認識しました。
※『越谷小毬殺人事件の真犯人はDIOである』という臨也の推理(大嘘)を聞きました。必要に応じて他の参加者にも伝える可能性があります。
※言峰から魔術についてのおおまかな概要を聞きました
※纏流子の純潔の胸元に隙間があるなどの異変に気づいています。
[雄二の考察まとめ]
※繭には、殺し合いを隠蔽する技術を提供した、協力者がいる。
※殺し合いを隠蔽する装置が、この島のどこかにある。それを破壊すれば外部と連絡が取れる。
※第三放送を聞いていません。



・流子4

流子は遠見の水晶球を苛立たしげに見つめると黒カードに収納する。
風見雄二捜索に役立つと思い初めて使用したが、どうも有効範囲が広くない上に視点のコントロールも練習が必要なくらい不便な物だった。

50目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:14:00 ID:bWFb0ZGY0
逃走中の相手を探すのには向いていないと流子は判断した。
睡眠を取る前の彼女ならそのまま水晶球を破壊していたかも知れない。
だが、純潔の人衣一体を解除した今、生命繊維特有の激しき情動は僅かに和らいでいると思え、
無益な破壊を思いと留まらせるまでに抑制できている。
残る支給品で捜索に役立つものはないかと流子は焦りとともに考えを巡らせる。

「……!」

流子は1枚のカードを取り出し裏面を確認する。
そしてカードを振る。草木をかき分けなぎ倒す音と共に一台のトラックが出現した。
流子は表情を変えないまま、手元にあるPDAの画面を見る。PDAはトラックとセットになっている支給品の一部。
画面には会場図が表示されており、ランドマークも表示されている。
だが通常の地図と違う点があった。

「放送局がぶっ潰れたのか」

ランドマークは通常は青色の丸印で位置が解るようにされている。
その中で破壊された施設は灰色で表示される。
流子は放送局に少々興味を持つが、頭を振りすぐに当座の目標に意識を戻すと今後の作戦を練る。

……悔しいが風見雄二は見失ったと思わざるを得ない。
睡眠を取った事で大きなロスが生じてしまった。それは受け入れよう。
だが諦めた訳ではない。当面においても。
流子は若干たどたどしい手つきでPDAの操作を始めた。その目は座っている。

操作を終えるとトラックからくぐもったような音声が聞こえた。

『目標地はどこに設定いたしますか?』

流子はPDAの地図を見る。
主催の都合次第で破壊できない施設があるという説明文があったが、現在は禁止エリアを除いて
全てのランドマークか指定エリアの中央を破壊対象に設定できるようだ。
流子はしばし考える。
辛気臭い分校か、南東の駅か、あるいは森の中央か……。
彼女は熟考の末、目標を決定しスイッチを押した。
間桐雁夜の支給品で説明文いわく、支給品の中でも最大級の破壊力を持つ武器。
自動車爆弾の標的を決めた。

『……を目標へ設定いたしました』

音声とともにトラックは独りでにエンジンをふかし、草木の抵抗を物ともせ比較的低速で移動を始める。

「……」

流子は黙ってカードから番傘を出すと、車体の横に突きを繰り出した。

「……へえ」

流子は軽い感嘆の声を上げた。
戦闘力が低下しているとは言え、そこらの車なら簡単に穴を開ける威力を持つ突きを受けても傷一つ入らなかったのだ。
説明文にはどんな強い参加者でも容易に破壊できないとの記述があった。
真偽を確かめてみたが、偽りは無さそうだ。

『警告です。当自動車が機能停止しますと■分後に爆発いたします』

51目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:16:54 ID:bWFb0ZGY0

流子はその警告を鼻で笑うと、草木をなぎ倒して進むトラックにしがみつき、上まで登る。
警告は一度きりだった。運転席には乗り込まない。これは手動で運転できる機能はないから。

流子の現在の目的は自動車爆弾で参加者を直接葬る事ではない。
自動車爆弾での会場全体に響き渡るとされている爆発によって参加者をおびき寄せるのが狙いだ。
今なら雄二もそれほど遠くに行ってはいないだろう。ただの爆発なら近寄ろうとするのはいないか僅かだろうが、
想定以上の大規模破壊なら少々タイミングを遅らせて調査に出向くはず。
万が一誰も来ずとも、爆発を見ればこちらの気が多少は紛れるかも知れない。
状況次第では停車させれば済む話。何の問題もない。

流子はトラックの屋根に座り、獲物がいないかと注視する。
見当たらないが、見つけられなかったなら爆発の範囲内に移動するまでに下車すればいいだけの事。
流子は口元に笑みを浮かべ下方を見つつ索敵を続ける。

機嫌が少々良くなったからか、流子は先程の夢の内容をちょっとだけ思い出していた。
ただそれは満艦飾一家のではなく、マコが消えたという内容だけを。

「……」

潰れた顔をしたマコの生首を思い出し、流子は顔をしかめ耐える。
所詮、生前のアイツと関係の無い生ゴミに等しい残骸と言い聞かせて。

「……」

少しだが吐き気がした。だが流子にその原因は分からなかった。
だから戦闘による疲労によるものと解釈し、マコの事は胸に押し込め忘れようと決めた。
あの時、できる事は何も思い浮かばなかった。それが私の答えだと自分に言い聞かせて。
流子は声を上げずに笑った。辛いことを吹き飛ばすように、母親の栄光を無理に頭に思い描きながら、こっそりと。
その姿は大きな流れに乗って楽しんでいる子供のように見えた。


【F-5/中央/夜中】

【纏流子@キルラキル】
[状態]:非人衣一体状態、全身にダメージ(中、回復中)、左肩・左太ももに銃創(処置済み、回復中)、疲労(中)、精神的疲労(極大)、
    数本骨折、説明しきれない感情(恐怖心?)
[服装]:神衣純潔@キルラキル(僅かな綻びあり)
[装備]:縛斬・蛟竜@キルラキル、自動車爆弾@現実?
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(19/20)、青カード(19/20) 、黒カード1枚(飲用薬品)
    黒カード:生命繊維の糸束(一割消費)@キルラキル、遠見の水晶球@Fate/Zero、花京院典明の不明支給品0〜1枚
[思考・行動]
基本方針:全員殺して優勝する。最後には繭も殺す
   0:自動車爆弾を爆破させ、引き寄せられた参加者を狙う。
   1:次に出会った時、雄二と皐月と鮮血は必ず殺す。
   2:神威を一時的な協力者として利用する……が、今は会いたくない。
   3:消える奴(ヴァニラ)は手の出しようがないので一旦放置。だが、次に会ったら絶対殺す。
   4:針目縫は殺す。
   5:純潔の綻びを修繕したい。
   6:マコの事を忘れたい。

52目覚めたその部分 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:17:32 ID:bWFb0ZGY0

[備考]
※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。
※DIOおよび各スタンド使いに関する最低限の情報を入手しました。
※満艦飾マコと自分に関する記憶が完全に戻りました。
※針目縫に対する嫌悪感と敵対心が戻りました。羅暁への忠誠心はまだ残っています。
※第三放送を聞いていません。
※現在人衣一体を解除しています。それにより再生能力と体力の回復速度が上昇しました。
 気性の粗さも少々緩和されています。ただし人衣一体時より能力は低下しています。
※雄二が比較的近くにいるのに気づいていません。
※現在自動車爆弾は屋根に乗った流子と共に健在のランドマークか各エリアの中央のいずれかにへ向けて移動しています。
 妨害がなければ一定時間後に標的の施設を爆破します。


・支給品説明

【自動車爆弾@現実?】
間桐雁夜に支給。
操作用のPDAとセットになっている。爆弾の形状はトラックで細かい所は書き手さん任せ。
自動操縦のみで手動での運転は不可。運転席にはコンピューターがあり上手く操作できれば停止も可能(ただし困難)。
PDAはタッチパネルと地図が表示されており、ランドマークやエリアを指定する事により爆弾の行き先を決定できる。
ただし禁止エリア及び主催が破壊に不都合と判断した施設等があった場合標的に指定はできない。
破壊された施設は灰色で表示される。禁止エリア等の細かい所は書き手さん任せ。
エリア中央に行くかランドマークと接触すればその場で爆発する。なお爆発範囲はカードの説明に記載されている。

爆弾の威力は至近距離で爆発に巻き込めばどの参加者も死に至らしめるほど。
少なくとも放送局やホテル、病院は確実に破壊できる。範囲はそれほど広くない。爆発音は会場全体に響くほど大きい。
同時に車体の強度も異常でセイバーや針目縫、神威といった最強クラスの武器持ち参加者でも容易に破壊できないほどのものである(原理は不明)。
仮に移動不可になるまで破壊してしまった場合、数分後に爆発するようになっている。
欠点は起動者以外の参加者が一定距離まで接近するとトラックから退避の警告がされる事。
爆発の範囲外に逃れると警告はストップする。速度は人の徒歩より多少早い程度。ひき逃げには向いていない。
爆弾の停止方法はPDAを破壊するか、起動者が停止のスイッチを押す。コンピューターを操作し停止させる、主催が遠隔操作で停止させるのがある。
一度停止した場合、再設定には1時間の間隔が必要。

モデルは原作Fate/Zeroで触れられた衛宮切嗣発案の対言峰綺礼用の自動車爆弾。
ロワの主催はそれを元案にして対最強クラスの参加者用にこの爆弾を制作したものと思われる。

53 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 17:18:29 ID:bWFb0ZGY0
投下終了です。

54名無しさん:2017/05/06(土) 17:42:55 ID:tJ3UKQ1s0
純潔の人衣一体解除は無理なのでは?
原作では人に着られているのではなく、人を支配するような形でした。
今回の話で流子に感化されるような描写がありましたが、理由としては弱すぎると思いました。
本来ならば自分の意思で脱ぐことは不可能であり、こうも簡単に人衣一体を解除可能となると今までの戦いやこれまでの話はなんだったのでしょうか。
じゃあ最初から解除するなり、純潔と意思疎通が可能なら話し合えと。
急に人衣一体を解除する純潔に違和感を感じます。原作無視に近いです。

皐月や四天王、その他大勢の仲間と精神の中に飛び込んだマコと鮮血のおかげで解除された純潔が今回の話だけで
人衣一体解除にまで心を開くとは思えません。
前回でダメージを負った流子を回復させたいならもっと他に方法があるかと思います。
貴重なマーダーのため大切にしたい気持ちは伝わりますがやり方に無理があります。

55 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/06(土) 22:08:50 ID:bWFb0ZGY0
>>54
ご指摘ありがとうございます。
後ほどその辺を訂正した作品を修正スレに投下させていただきます。

56 ◆WqZH3L6gH6:2017/05/07(日) 12:49:14 ID:LcVD67Xc0
修正スレで『目覚めたその部分』の 修正版を投下いたしました。
ご確認をお願いします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17204/1438784746/316-323

57名無しさん:2017/05/08(月) 12:28:44 ID:wWAWvZ3k0
投下と修正乙です
流子の矛盾に踏みこんできましたか
雄二との戦いの行方も含めどうなるか

58名無しさん:2017/05/21(日) 15:44:24 ID:XmK7kgEw0
>>54の指摘、態度といい全てが読み手様の権化って感じだな

59名無しさん:2017/05/21(日) 16:05:11 ID:kn97Xr8A0
指摘そのものは全うでしょ

60名無しさん:2017/05/26(金) 10:00:00 ID:EVc2IP5k0
原作でこうだからこうです、って理屈で修正が通っていくのは、本当は企画にとってはいいことではないけどね。

61名無しさん:2017/05/29(月) 20:04:22 ID:72vfn2sA0
>>60
二次創作は原作あってこそなんだよなあ

62名無しさん:2017/06/04(日) 11:38:09 ID:uTxj/MF.0
まあDIOが改心して承太郎と仲良しこよしとかされると困るから多少はね?
アニロワの特性上キャラ崩壊とかは珍しくないとはいえ原作リスペクトは大事よ

63名無しさん:2017/06/13(火) 03:35:09 ID:LjlZa6.k0
某アニメでフリーザ様が仲間になるしDIO様が仲間になってもヘーキヘーキ
手が滑って腹パンしあえばいいよ

64名無しさん:2017/06/13(火) 16:52:06 ID:IMW2oiOU0
DIO側には歩み寄る気があったが手が滑って花京院を腹パンしたら勢い余って殺害してしまった……?

65名無しさん:2017/06/13(火) 17:04:29 ID:YH.33L620
面白いと思ってるの?

66名無しさん:2017/06/14(水) 04:03:38 ID:sxWJmnuc0
本人達は面白いと思ってるんだろう

67名無しさん:2017/06/17(土) 12:40:17 ID:tQcxI0Wc0
指摘とは名ばかりの難癖が湧くのはアニロワシリーズの伝統だぞ

68名無しさん:2017/06/17(土) 13:00:12 ID:ZocSq3DU0
>>67
難癖?指摘だが?


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