したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

90's バトルロイヤル

90大魔王降臨 ◆emwJRUHCH2:2015/10/25(日) 23:35:44 ID:zB2rB7rk0
やがて薄い笑みを浮かべ口を開いた。

「ふふふ……そう構えずとも良い。もっとも、余を前にして強張るなというのも無理な話か。
だがそなたにその気が無いならば、余にも事を構えるつもりは無い。」

老人は重々しい声で、しかし何ら気負う様子も無く小狼に話し掛ける。
その様子からは小狼はおろか、殺し合いの状況にすら余裕を持っているかに見えた。
ただ話し掛けられただけで押し潰されそうな老人の威圧。
しかしそれは、生来反骨心の強い小狼の反意を招く結果となった。

「……じゃあ何の用だ?」
「余は話し合いを求めているだけだ。何しろこの状況だ、情報を集めたくてな。
そなたも情報は欲しいのではないか?」

老人の呼び掛けにも小狼は警戒を解かない。
小狼は生来、李家の魔術師として教育を受けてきた。
様々な魔法や外法の知識や、それに対応する術を。
それゆえ小狼は老人の邪な気に強く反応してしまう。
それに何よりこの場は殺し合いであり――さくらも参加していた。

「お前の言うことは信用できない」
「ほう……理由を聞こうか」
「お前は人間じゃないだろ。……そして、人間に害する存在だ」

小狼の指摘にも老人に動揺する様子は無い。
ただ興をそそられたとでも言うように、目を細める。
それでも冷たさと鋭さの増した老人の視線に、小狼は背筋を寒くするのを禁じ得なかった。

「ふむ……確かに余は人間と敵対する立場にある魔族だ。だが余自身が直接人間を害したことはほとんど無い。
何しろほとんど人間と接触したことが無くてな」

老人はあくまで小狼に話し合いを求める。
しかし老人の話を聞いた小狼は、怒りを表す。

「流暢な日本語を話しておいて、何が人間と接したことが無いだ!」

小狼にしてみれば、老人の話は到底信じることはできない。
人間と接触したことが無いならば、その言葉を覚える必要が無いはずだからだ。
老人は小狼の反応にも慌てることは無く、むしろ思考を深めている様子だ。

「日本語? …………それは日本という世界……違うな。世界全体の統一言語ならば、それ自体を指す固有名詞を必要としない。
日本という国の言葉か」

老人は小狼に話し掛けるでもなく、一人ごちる。
小狼にはまるで意味が分からない。

「余の言語がその日本語に聞こえると? その日本語とは、名簿や地図に使われた言語ではないか?」
「さっきから、何を訳の分からないことを言っているんだ!」
「その態度から察するに、余の問いへの答えは”YES”か……。なるほど……少しは話が見えてきたな」

やはり老人の言うことを小狼は呑み込めない。
しかし一方的に情報を得られていることは理解できた。
そのために益々老人への反意を強める。

「……お前はやっぱり信用できない、危険な奴だ」

いよいよ老人への敵意を露にする小狼。
小狼にとって老人はただの危険因子ではない。
この場を殺し合いであり、さくらも参加している。
さくらを守るためにも、老人を放置しては置けない。
老人を倒す決意をする小狼。

「……ふむ、どうやら余の”魔”に近い暗黒闘気を察知して、それに強く反応しているようだな」

小狼の敵意を承知したであろう老人は、あくまで余裕を崩さない。
だが威圧感が。重圧が。凶々しい気が増していく。

「……余は大魔王バーン。最後に名を聞いておこう」

大魔王バーン。
やはり老人は有象無象のごとき、そこらの魔物ではなかった。
大魔王の尊称に相応しいバーンの威風に負けじと小狼も返す。

「李小狼だ」
「…………良かろう。小狼よ、これ以上の情報はお前との戦いで得るとしよう……首輪と共にな」

首輪を得る。そう宣言するバーン。
即ち首を狩るという宣言に等しい。
大魔王の宣戦布告を受け、小狼が仕掛けた。

バーンに飛び掛る。と同時に蹴りを放つ小狼。
小狼は魔法と同時に武術の修行も修めている。
その腕前もまた、年齢に見合わぬ域に達していた。
蹴りは精確にバーンの顎へ目掛け打ち放たれた。

「……!」
「余を恐れず攻める胆力は大したものよ。だが勝算の無い相手に挑むのは勇気とは言えぬ。無謀でしか無いな」

しかし蹴りはバーンに届いていない。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板