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90's バトルロイヤル
71
:
翼よ!あれが帝都の灯だ
◆V1QffSgaNc
:2015/10/25(日) 01:57:36 ID:zK2P4TTY0
「あんた本当に馬鹿じゃないの!? 悪いけど私たちはあんたを置いて先に行くわよ!?」
「そうだぜ! さっさと戻れ! 俺たちは死にたくないんでな、先に行くぞ!」
「構わない。──いや、それでいいんだ。戦う事は、力を持つ人間の権利だとしても、義務じゃない。……だが、それならば俺は、俺の力で、俺が信じる正義を選ぶ!!」
大神は、真魔剛竜剣を両腕で握り込んで、向かい来る戸愚呂に立ち向かおうとしている。
そして、高らかに叫んだ大神──。
「──花見の準備をせよ!」
普段は帝国華撃団・花組を出動させる為の台詞であるが、今日ばかりは自分一人の為にこう叫んだのだった。
その場がシン、となった。
戸愚呂はごく近くまで接近してきている──。
「チッ……! あの馬鹿野郎がっ!」
「本当に馬鹿よ……何が花見よ……マジで錯乱してんじゃない!?」
「ああ、でも、だからこそ放っておけねえ! ──クロス……チェンジャー!!」
凱は、激しく車から飛び降りると、次の瞬間──ブラックコンドルへと変身した。
彼がそんな行動を取ったのは、ほとんど反射的であった。
大神一人で戦えるという保証はない。ましてや、相手は化け物だ。それこそ、裏次元の化け物と戦ってきた実感のある凱の方が専門だ。
「ちょ……ちょっと、あんたもそっちなわけ!? あんたたち、本当にどうかしてるわっ! それなら一人で逃げるからね……っ!! 悪く思わないでよっ!!」
「ああ、逃げたきゃ先に行けっ!」
「そう! 本当に行くわよ……っ!」
令子が躊躇しながら、アクセルを踏んだ。
それから、また思い切ってもっと強くアクセルを踏むと、ポルシェは一瞬で遠ざかってしまった。
令子がこれを後悔したのか、それとも、やはり自分こそが賢明だとしたのかは、わからないままだ。
しかし、大神は、自分の隣に一人残った事に少しだけほっとした。
「結城さん……」
「おい大神っ! 俺は男と納豆が大嫌いだ──。あんな奴でも目障りだからな、一緒にあの納豆野郎を片づけるぞ……! それともう一つだ、結城さんなんて言われてもピンと来ねえぜ、俺の事は凱様と呼べ!」
「あ、ああ……。あれはとても納豆には見えないが……ありがとう、凱!」
「ケッ、あの髪型が納豆みたいに粘ついた性格を物語ってるんだよ! それにあの腕を見てみやがれ!」
そんなブラックコンドルと大神の前で、戸愚呂は足を──いや、手を止めた。
彼は、二人の目の前まで着地する。もはや逃げられないほどまで距離を縮めたのだ。
そして、人間のような姿に戻ってから、薄ら笑いを浮かべた。
「納豆野郎とは失礼だなァ……! ま、予想通りこのオレが納豆みたいに粘っこくしつこいって事は認めるがねェ!!」
──戸愚呂は叫び出す。
まるで堪えきれなかったかのように。
久々にナマのエモノを狩れる事を、激しく喜び──祝福せずにはいられなかったのだ。
下衆の匂いがした。
「ひっひっひっ、テメェら二人は逃がさねえぜ!! あの女もよく見りゃ良い女だったからな……あとで犯して殺してやるよ!! ひゃはははははは!!」
そんな言葉に大神と凱は強い不快感を覚える。
二人ともおおよそ同じような事を思っただろう。
そして、戸愚呂は、二人の内──いずれかの声を聞いた。
「おお、感じるぜ……!! お前ら随分怒ってやがる……!! お前はゲスだ、最低野郎だ、女の敵だ、この結城凱様がブチ殺してやる!! ってな具合か──!?」
戸愚呂の言葉に、凱はブラックコンドルのマスクの裏で眉を顰めた。
それは、一字一句違わず、凱の思考そのままであったからだ。
「こいつ、心をまるっきり読んでいやがるのか!?」
「ひひひ……その通り……! オレはお前らの心が読める! それだけじゃない……俺は、不死身の身体で、他人の能力をオレの物に出来る! オレは無敵なのさ!!」
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