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90's バトルロイヤル
181
:
これが私の生きる道
◆V1QffSgaNc
:2015/11/05(木) 00:24:50 ID:XkQeIA9c0
その為に、大勢の部下を従え、ダロス国際空港において、空港の管制中枢を乗っ取って、その機能を麻痺させた。
そのダロス国際空港も、どういうわけか日本の東京タワーやイタリアのコロッセオなどと共に、この場に同名の施設があるようだが、彼としてはそれがそのまま存在している事実には懐疑的である。
その座標に存在する物に関する何らかの暗号、あるいはコードネームとして「ダロス」、「東京」、「コロッセオ」などのシンボル的名称を用いていると解釈している。
何にせよ、彼の目的は、多くの部下を従える一介の軍人としての“勝ち残り”。──その為ならば、如何に冷徹な手段も厭わない。
(ジョン・マクレーン……貴様も同様だ)
たとえ、あの有名なニューヨーク市警(いや、今はサンフランシスコ市警だったか)が相手であっても同様である。
奴には、空港で多くの部下を殺された。
我々の作戦を妨害しようとしていた男だが、おそらくスチュアートが真正面からぶつかれば敗北するような相手ではないだろう。
(だが、いかにこの私といえども、今の連中と正面からの戦闘で勝ち残るのは分が悪い)
問題は、マクレーンではなく、春麗やシャンプーのような、スチュアートも及ばないレベルの超常的な格闘能力を持った連中だ。
これまでに見て来た中国人の兵隊たちを凌駕したその格闘の実力を見るに、この殺し合いに呼ばれた連中は、「驚異的な戦闘能力」あるいは「卓越した知力」など、何らかにおいて優秀な能力を持つ者たちであろう。
(……だとすれば、ひとまずは、マクレーン以外の連中は上手く仲間として取り入るのが最善の策か)
あの春麗という娘──奴もインターポールなどという素性を明かしていたが、だとすれば、スチュアートも安易に接触するのは不味い。
ひとまずは、この場からは上手く去り、彼女たちと戦闘にならないように心がけ、周囲の連中を利用する。
──そうだ。
それより前に、倉庫に残っている筈の、シャンプーの支給品を奪っておくのが得策であろう。武器は多い方が良い。幸いにも、このデイパックは何故か重さを感じない。
戦場とは違い、武器を持ちすぎる事が首を締める事にはならない筈だ。
「──」
スチュアートは、春麗の方を見た。
彼女は、どうやら、シャンプーを追って水面まで飛び込んだようである。──ならば、ひとまずは、彼女の目はないわけだ。
彼は、急いで倉庫内に立ち入り、彼女たちの戦闘が繰り広げられていた場所へと駆けつける。──思った通りだ。
シャンプーのデイパックと、彼女が装着していた仮面が残されている。
武器類があるか確認するのは後だ。春麗と遭遇しない内にこれらを回収してここから出て、不要物を捨てて武器を得る。
これが得策と見た。
彼は、すぐに倉庫から外を見たが、春麗はまだ陸に上がってこないようなので、すぐに倉庫の外に出た。
「にゃー!」
と、その瞬間、真後ろから、変な鳴き声が響いた。
流石のスチュアートも心臓が飛び出そうだったが、どうやら、ただの野良猫のようである。
水でも被ったかのように全身びしょ濡れだったが、スチュアートは、そんな野良猫を小声で追い払おうとする。
「なんだ、猫か……あっちに行け! シッ! シッ!」
そう言って、発情期のようにうるさく泣きわめく猫を背に、スチュアートは走りだした。番犬に吼えられている泥棒の気分だ。だが、少しでも早く逃げなければ、目立って春麗に見つかってしまう。
その猫は、少しだけスチュアートを追いかけようとしたようであったが、どうやらその猫も相当の疲労に参っていたようで、すぐに追い払った。
幸いにも、春麗にも見つからずに済んだようである。
◆
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