したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

少女漫画キャラバトルロワイアル 第二巻

1名無しさん:2013/05/30(木) 21:45:38 ID:eKlMnmjk0
このスレは少女漫画のキャラクターによるリレーSS企画、少女漫画キャラバトルロワイアルの本スレです。
クオリティは特に求めません。話に矛盾、間違いがなければOK。
SSを書くのが初めての方も気軽にご参加ください。

企画の性質上残酷な内容を含みますので、閲覧の際には十分ご注意ください。
また、原作のネタバレが多々存在しますのでこちらもご注意ください。

前スレ
少女漫画キャラバトルロワイアル
ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1284816080/

【避難所】ttp://jbbs.livedoor.jp/comic/5978/
【まとめWiki】ttp://w.livedoor.jp/girlcomic/
【参加者名簿】ttp://w.livedoor.jp/girlcomic/d/%bb%b2%b2%c3%bc%d4%cc%be%ca%ed
【ルール(書き手ルール含む)】ttp://w.livedoor.jp/girlcomic/d/%a5%eb%a1%bc%a5%eb

62名無しさん:2013/09/26(木) 11:59:34 ID:PE7YkV4Y0
うおおおお!
支援乙です!
しかし鬼宿も浅葱も悪い顔してんな……w

63激走! トマランナー! ◆F9bPzQUFL.:2013/10/10(木) 00:55:12 ID:lhe/urCI0
「貴様……"アリス"の持ち主か」
痛む腕を押さえながら、ペルソナは自身に蹴りを入れた男へと問う。
学園が把握していないアリスは相当数居るが、その中に無効化のアリスの持ち主が居るのは予想外だった。
しかし、男はきょとんとした顔をしてから、ふふんと鼻を鳴らす。
「ん? ああ、そういう設定? じゃあ、多分……俺が最強だな」
アリスという能力を知らず、生まれ育ってくる人間もいる。
故に、アリスという単語に反応できない能力者が居るというのも、何ら不思議ではない。
へらっ、と笑う男がそうである可能性も、無いわけではない。
「よくわかんねーけど、とにかく正義の鉄拳を食らえぇぃっ!!」
先ほどと同じように、男が無計画に突っこんでくる。
握り拳を作りながら、ただ、まっすぐに。
それを撃退しようにも、腐食の力は使えない。
だが、"それ以外"ならある。
ペルソナは素早くそれを構え、男へと突きつけていく。
あとは、引き金を引くだけで良い。
「ほほう、そんなヘボヘボの銃でこの森田様を倒そうってか」
引き金に指を当てたとき、男は不適に笑った。
怖じることもなく、銃口を見つめたまま。
「支えとなるべき片腕はない、肩で呼吸をするほど疲れてる。
 ってのに精密に急所を撃ち抜ける自信があるなら、大したもんだ」
男の言うことも尤もだ。
ペルソナは、銃を扱うスペシャリストではない。
先ほどは至近距離に近かったが故に当てることが出来たが、今の距離感で確実に撃ち抜ける自信はハッキリ言って、ない。
辺りの炎が揺らめき、視界を曲げていく。
「クッ……」
苦しみの声を出したとき、男の後ろから先ほどの二人の少年少女がこちらに向かってくるのが見える。
少女はともかく、少年は何かしらのアリスを持っている。
今の状況で戦闘になれば、苦戦を強いられることは間違いない。
下手に手を出すより、ここは逃走を選んだ方がいい。
くるり、と身を翻し、まだ動く足を動かしてその場から逃走を図る。
自身の能力を察しているのか、男は追ってくる気配はない。
助けられる形になっているのは気にくわないが、ここで死ぬわけにはいかない。
そう、まだ。
こんな所で死ぬわけにはいかないのだから。



「……あの男は?」
「逃げたよ」
ようやく追いついた時、森田の側に先ほどの男の姿はなかった。
亢宿の問いかけに特に悪びれる様子もなく、森田は答えていく。
「逃がしたんですか?」
「いや、勝手に逃げた。そういう流れなんだろ」
重ねて放った問いかけにも、即座に回答が返ってくる。
が、その回答は少し引っかかる点があった。
「――――そういう流れなんだろ」
亢宿は気にしていなかったが、側にいた紗南はその言葉にどうしても引っかかっていた。
紗南がそれを問いかけようとしたとき、後ろで張り裂けそうなほど大きな音が響く。
振り返れば、燃え上がる炎が巨木を飲み込み、耐えきれなくなった体が爆音とともに倒れ込んでいたのだ。
猛る炎は、未だに弱まる気配がない。
「こりゃやっべーな、熱い熱いと思ったらマジのヤツじゃねえか。
 ったく……あのクソ監督、リアルにも限度ってもんがあんだろ。
 巻き込まれない内に、早く逃げ……あー」
ぶつぶつと言いながら、森田は早々にその場を立ち去ろうとする。
が、ついてくるのは中学生ほどの年齢の少年少女。
大学生(と表現して言い生命体なのかどうかはさておき)の森田の走りについてこれるわけもない。
かといってそのままなら間違いなく火事に巻き込まれるだろう。
せっかくライダーキックまでかましたのに、か弱い子供をおいて逃げてしまっては主役としてみっともない。
一瞬の思考の後、森田は突然後ろの二人へと振り向く。
ぎょっとしたままの二人を、有無をいわさず両脇に抱えていく。
「揺れるからな! 舌噛むなよ!」
そう言って、己の出せる全力全開を出して、広がる火の手から逃げ出していった。
こういうのはスタントマンの役目なのだが、と思いながらも、森田はひたすらに走り続ける。
抱えている二人がなにやら言っているが、それは耳には入らない。
ただ、森田が思っているのは。
映画の主役も楽じゃないな、ということ。

64激走! トマランナー! ◆F9bPzQUFL.:2013/10/10(木) 00:57:19 ID:lhe/urCI0



しばらくして。
森田とよい子のみんな達は火事の現場から大きく離れることには成功した。
――――森田の体力という(すぐに蘇る)犠牲を伴って。
全身から噴き出している汗、上半身全てを動かして行われる呼吸。
「はーっ……はーっ……あ"あ"あ"あ"疲れたぁぁぁぁ!!」
最後に、叫び。
言ってしまえば40〜50kgを片手ずつに抱えて全力疾走したのだ。
本物の火事から逃げるために必死になっていたために、いろいろとトんで居たが、落ち着いてみればそれらが瞬時にのしかかってくる。
ばたりと倒れ込んだ森田はぴくりとも動く気配を見せない。
「あ、あの」
「ごめん無理会話する気力もない今から寝るから後で起こして」
「えっ」
声をかけようとした紗南の言葉を遮り、一息で吐いた言葉を皮切りに気絶した。
その間、コンマ数秒。
「何なの、この人……」
「さ、さあ……」
あまりの事態に何がどうなっていて、何をどうすべきなのか分からずにいる二人。
けれどまあ、このままほったらかしにしておく訳にも行かないし、亢宿の傷の手当てもある、ということでその場に残ることにした。

気がつけば、足が震えている。
怖い、怖いのだ。
先ほど直面した、死の恐怖。
初めて味わう感覚が、こんなにも怖いものだなんて。

……また、あれを味わう羽目になるのだろうか。

この場所には、人を殺すことを何とも思わない人間がいる。
それを、証明されてしまった以上、可能性は0ではなく、寧ろ100に近い。
次、その場面に立ち会ったとき。

自分は、どうするのだろう。

ただ、一つ言えるのは。
「紗南」
隣にいてくれる、彼は。
「大丈夫」
今この場で、自分にとって唯一頼れる支えであるという、こと。

そう、まだ、前を向ける。

怖くは、ない。

聞こえないように小さくつぶやき、自分に少しだけ強く、言い聞かせた。

65激走! トマランナー! ◆F9bPzQUFL.:2013/10/10(木) 00:57:30 ID:lhe/urCI0
【B-5/森林/昼】
【ペルソナ@学園アリス】
[状態]:左腕遺失、軽い火傷
[装備]:ゾラキ 925(22/25)
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜5、棗の物を含む)
[思考]
基本:人を殺す

【C-5/キャンプ場/昼】
【森田忍@ハチミツとクローバー】
[状態]:め っ ち ゃ 疲 れ た 、気絶
[装備]:無効化のアリスストーン@学園アリス
[道具]:基本支給品、不明支給品(0〜2)
[思考]
基本:正義のヒーローとして振舞う
1:寝
[備考]
※バトルロワイアルのことをよく理解していないです
※というかピーター・ルーカスの映画撮影だと思ってます

【倉田紗南@こどものおもちゃ】
[状態]:健康、困惑
[装備]:制服(私物)
[道具]:基本支給品、不明支給品(0〜1)
[思考]
基本:とりあえず生き残る
1:どうしよう
[備考]
※参戦時期は本編終了後

【亢宿@ふしぎ遊戯】
[状態]:右目の辺りが腐食、脇腹を負傷
[装備]:リコーダー、包帯
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考]
基本:紗南と行動を共にする 
1:どうしよう
2:青龍七星士として呼ばれたのか?
3:朱雀の巫女、鬼宿と会ったら…
[備考]
※参戦時期は川で流された後、美朱と再会前

----
投下終了です。

66名無しさん:2013/10/26(土) 23:15:27 ID:HsEjXxcM0
遅くなりましたが投下乙乙。
いやー森田さんが自重しないなーwおまえさーまじさー…w睡眠でどんだけ時間使うんだwwww
ペルソナさん勝手に誤解して退散したけど結果的に双方よかったのかもしれないと思わせる森田さんぱない
亢宿が徐々に覚悟を決めてきているがはたしてどうなるか期待

67 ◆F9bPzQUFL.:2013/11/15(金) 00:45:45 ID:wJ76rJhQ0
月報集計お疲れ様です。
少女漫画. 39話(+ 1) 33/40(- 0) 82.5(- 0.0)

68 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/11(土) 15:45:47 ID:D2U2vMHA0
投下します

69魂の迷い子 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/11(土) 15:46:16 ID:D2U2vMHA0
 自分が目覚めたのがデパートであったのは、不幸中の幸いだった。
 ドライバーを始めとした工具は、日用品レベルのものなら手に入るからだ。
 工具さえ手に入ってしまえば、あとはこっちの物だ。
 デパートの一角に置かれた家電とパソコンを、片っ端から分解していく。
 あらかたの家電とパソコンを部品に戻した所で、いざ、と言いたいが。
 手元にある工具は、あくまで日用品レベルだ。
 本格的にモノを作るのだとすれば、これでは少し心細い。
 だから、まずは"工具"を生み出していく。
 ひとつ、ひとつ、またひとつと組み合わせていくことで、急ごしらえの"工具"を作っていく。
 一つ工具ができれば、作れるものの幅が広がる。作れるものの幅が広がれば、作れる工具も増えていく。
 ひとつ、ひとつ、けれど確実に進めていくことで、可能性は広がっていく。
 可能性が広がれば、それは自分の力になる。

「よし、と」

 一息つき、汗を拭う。
 気がつけば、このデパートにあった殆どの家電を分解していた。
 これほどまでに集中できたのは、やはり殺しあいという異常事態だからだろうか。
 生み出した工具の数もさながら、数時間の時を経て完成したそれは、なかなかの力作だ。
 見た目こそ不思議な生き物だが、その正体は即興のパワードスーツだ。
 予想よりも出来が良くなったのは、近年の家電が高性能化しているおかげだろう。
 それに感謝をしつつ、蛍は出来上がったそれを見上げる。
 珍しく考えこむポーズを取り、しばらくした後、何かを閃いたかのように口を開く。

「モゲ太……そうね、これの名前は、モゲ太よ」

 そう、それはなんとなしに付けた名前だった。
 家電からパーツをもいで作ったから、モゲ太。
 そんな単純な理由だった。
 よもや、それと同じ名前のキャラクターが居ることなど知るわけもなく。
 まして、そのキャラクターとスーツの外見が、酷似していることなど、気づくわけも無かった。

「ひとまず、動作確認よね」

 名付けも終わった所で、蛍はモゲ太へと乗り込んでいく。
 コクピットは自分が乗り込むことしか考えていなかったため、ギリギリのサイズだ。
 だが、逆を返せば自分にフィットしているとも取れる。
 欲しい情報は、手を伸ばせば直ぐ手に入るようになっているのは、我ながら惚れ惚れする出来だ。
 ふっ、とニヒルな笑みを浮かべた後、蛍はゲームコントローラで代用した操縦桿を握り、モゲ太を動かし始めた。

70魂の迷い子 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/11(土) 15:46:38 ID:D2U2vMHA0
 


「くそっ、見失った……」

 脱兎の如く逃げ出した少女を追って、由希はデパートへと足を踏み入れた。
 一階に広がっていたのは、婦人用のファッション用品の数々。
 展示された宝石、無数のマネキンたちと、綺麗な服が多数かけられたハンガーラック。
 少女一人が隠れる分の隙間は、いくらでもある。
 途方も無いことだとは思うが、探していくしか無い。
 せめて、何か手がかりがあればいいのだが。
 そう思いながらも、一つ一つ物陰を探し始めた時だった。

「うぎゃーーーーーーーーーーーーっ!?!?」

 別の階で響いたの、叫び声。
 間違いない、さっきの少女の声だ。
 どうやらこのデパートには、先客が居たようだ。
 そして、別の階に逃げ込んでいた少女は、その先客と鉢合わせした。
 願わくば、その先客が"そういう人間"で無いことを祈りながら。
 階段を駆け登った先、そこで由希が見たもの、それは。

「えっ……」

 思わず、そんな言葉が漏れる。
 いや、声を漏らさずにいられる訳がなかった。
 何故も何もない、そこに立っていたのは。

「モゲ……太……?」

 由希もよく知っている、アニメキャラだったのだから。
 しかも、成人男性よりも一回りほど大きい。
 アニメよりゴテゴテとした外見なにが少し気になるが、と思っていた時だ。
 なんと、モゲ太が迷いもなくこちらへ向かってくるのだ。
 まさか、モゲ太が敵だと言うのだろうか。
 ちょっと理解が追いつかないが、最悪のケースを想定しつつ、由希は散弾銃を構える。
 まさかこんな事になろうとは、そういえば映画でもモゲ太は人を襲っていた気がする。
 いや、本当にモゲ太が存在するとでもいうのか、馬鹿馬鹿しい。
 そう思っているうちにも、モゲ太はどんどんこちらへ近づいてくる。
 どうする、どうする、どうすべきだ、思考が回る――――

『あの』

 その時に聞こえたのは、機械を通したような、別の少女の声だった。

『手伝ってくれませんか、怪我してる女の子がいるんです』

 そう言って、モゲ太はぺこりと頭を下げる。
 思考が、ストップする。
 もはや何がどうということなのか、考えられなくなっていた。
 銃を構える余裕などあるわけもなく、ただ単に、ぼうっとモゲ太の姿を見ていた。
 すると、モゲ太の傍から一人の少女が現れ、由希の目の前へと足を進めてきた。

「初めまして、今井蛍と申します。お願いです、手を貸してくれませんか?」

 少女、蛍の名乗りに、ようやく意識を現世に戻した由希は、ゆっくりと肯定するように頷いた。

71魂の迷い子 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/11(土) 15:46:54 ID:D2U2vMHA0



 予想通り、といえば予想通りだった。
 怪我をしている少女というのは、先ほど由希を見て一目散に逃げ出していった、あの少女のことだった。
 聞けば、モゲ太は蛍が作ったパワードスーツ(なんて言葉を使うとは思っていなかったが)らしく、それの動作確認をしていた時に、少女と鉢合わせてしまったらしい。
 自分の顔を見るや否や逃げ出すほど追い詰められていた少女が、傍から見れば怪物にも見えるそれを見て、気を保っていられるわけもなく。
 気を失ってしまった少女を見て、どうするべきかと悩んでいた時に、由希が現れたのだという。
 それから、モゲ太を作ったのは蛍であること、アリスと呼ばれる超能力の話を含め、由希は蛍の話を聞いていた。
 超能力なんて信じてはいなかったが、目の前で見せられては流石に信じざるを得なかった。

「由希さんは、これからどうするんですか」

 デパートの一角の薬局から拝借してきた薬を掛けあわせ、一通り治療が終わった所で、蛍は由希へと語りかける。
 答えは分かりきっている、今更という気持ちもあるが、それでも蛍はちゃんと聞いておきたかった。
 少しの沈黙を経て、由希はゆっくりと蛍へ語る。

「決めたんだ。僕はこの殺し合いに抗う、誰も殺したくないし、死にたくもない。みんなで生き残りたいんだ」

 今は眠る、少女の姿を見て決めたこと。
 天秤をひっくり返す、日常を取り戻す。
 誰かを傷つけること、ましてや人を殺すことなんて、出来るわけもなかった。

「本当に、そんなことが出来ると思いますか」

 その答えを聞いた蛍が返したのは、そんな言葉だった。

「……こんな小さな子が追いつめられて、気を失ってしまうくらいだというのに。
 それでも由希さんは、"その気"の人間まで殺さずにいられますか」

 小学生とは到底思えない落ち着きで、蛍は口を開き続ける。
 その言葉に、由希もはっとする。
 そう、ここは殺し合いの場。
 人が人を殺し続けないと生き残れない、そう告げられている場所。
 その言葉に乗せられて、既にその気になっている人間も少なくはないだろう。
 そんな人間に襲われても、自分は"不殺"を貫けるだろうか。
 他人の幸せを奪おうとしている人間の幸せさえも、守ることが出来るだろうか。

「戦わなくちゃいけない時だって、あるんです」

 そんな心を見透かされているかのように、蛍の言葉が続く。
 言葉を詰まらせる由希をじっと見つめながら、蛍はその姿を"彼女"と重ねる。
 無鉄砲で、ハチャメチャで、でも人を思いやる優しい心をもつ少女は、この場所のどこかで人殺しを止めようとしているのだろう。
 そしてきっと彼女も、彼と同じように悩んでいるのだろう。
 その時自分は、彼女の言葉を聞けるだろうか。
 彼女の命を脅かす存在さえも、守ろうとする彼女の言葉を。
 それとも、彼女を守るための動くことを優先するだろうか。

 現実は、重い。
 気づいてしまった、気づかせてしまった、故に二人は足を止める。
 掲げた理想と目標を達成するためには、何かを捨てなくてはいけないのだろうか。
 もし、そうだとすれば。

 その時、自分は"何"を選ぶのだろうか。

72魂の迷い子 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/11(土) 15:47:14 ID:D2U2vMHA0
 
【F-2/デパート内・家電売場/昼】
【今井蛍@学園アリス】
[状態]:健康
[服装]:学園の制服
[装備]:スタンガン、自作パワードスーツ(モゲ太型)、癒しのアリスストーン@学園アリス
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1(本人確認済み、自分の発明品・工具は無い)
[基本行動方針]:人殺しには乗らずに蜜柑(たち)と生き残る、ルールには乗らない
[思考]
基本:殺し合い以外で助かる方法を模索する
1:由希と行動、少女(はぐみ)が起きるまで待つ。
2:蜜柑、棗と合流する。
3:ペルソナ、小泉月の危険度を教える。
[備考]
※参戦時期は16巻終了直後です
 ・小泉月のアリスが人を操れること、蜜柑に盗みのアリスが潜在していることを知っています

【草摩由希@フルーツバスケット】
[状態]:左手負傷(手当済み)
[装備]:ウィンチェスター M1887(5/5、予備弾10)@現実
[道具]:基本支給品、アリス学園高等部制服@学園アリス、「水の館」の台本@こどものおもちゃ
[思考]
基本:絶対に生き残る。
1:蛍と行動、少女(はぐみ)が起きるまで待つ。
[備考]
※参戦時期は本編終了後

【花本はぐみ@ハチミツとクローバー】
[状態]:気絶、恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品(不明支給品1〜3個)
[思考]
基本:友人を探す
1:――――

※はぐの怪我はアリスストーンで完治させました

---
以上で投下終了です。

73名無しさん:2016/06/13(月) 21:56:50 ID:AP39A43Q0
投下乙―!
蛍の能力はロワでも利便性高いなあ。っていうか、モゲ太……w
こういうクロスオーバーもロワの花だよね!
一方での由希君も、ロワではある種定番の悩みにぶち当たり、さて。
定番だと思う反面、大事な人、大切な人がいる舞台での取捨選択も少女漫画っぽくていいよなあ。
由希君だけでなく、蛍も、そしてはぐみも。

74束の間の休息 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/16(木) 23:57:08 ID:sqxrrFNA0
 何度も何度も、飽きるほどに毎日聞いた、良く知った声。
 当たり前に聞けると思っていた、日常の欠片。
 何気ないそれが、日常が崩れ去った今は、この上なく嬉しい。
 だが、そんな感傷に浸っている時間はない。
 そうしているうちにも火は燃え上がり、次々に木々を飲み込んでいく。

「とにかく、ここはヤバイ。逃げるよ!!」

 再会を悠長に祝いあっている時間はない。
 ここでそんなことをしていれば、あっという間に丸焦げ死体が二体出来上がりだ。
 燃え上がる炎を背に逃げるなんて、映画でしか見たことがなかったが、まさか自分がそんな状況に陥るとは考えもしなかった。
 こんなにも熱いのならば、一度限りで御免被りたいものだ。
 そんな事を考えながらも、走りだしていた光の耳に、少し弱々しい声が届く。

「待っ、ひか……待っ……」

 そうだ、藤岡ハルヒという人間は、運動音痴が服を着て歩いているような、運動神経の持ち主だ。
 自分の全力の走りになんて、着いてこれるわけもない。
 いつもなら「トロいやつだな」と馬鹿にする場面だが、今はそんなことを言っていられない。

「ああっ、もうっ!!」

 半ば自棄になりながら、光はハルヒの体をひょいと抱える。
 正直、軽くはないが、見捨てることになるより、何倍もマシだ。
 人間追いつめられたら、普段の何倍もの力が出るとは聞いたことがあるが、多分これもその一種なのだろう。

「捕まってろよ!!」

 彼女を救うのは、キングの仕事だろう。
 そんな事を思いながら、光は一目散に走りだした。

75束の間の休息 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/16(木) 23:57:37 ID:sqxrrFNA0



「はあっ……はあっ……はあっ……」

 途切れ途切れの上がりきった息と、水が静かに流れる音。
 体力の限界を迎え、あたりに構わず倒れ伏した光を、ハルヒは心配そうに見つめている。
 そんなハルヒに対し、光はにっと笑顔を作る。

「……ありがとう」
「気に、すんなよ」

 途切れ途切れの息では、会話も難しいか。
 こんな他愛もない会話をこなすのが難しいくらいには、疲れているということか。
 それでも、光は会話ができることが嬉しかった。

「おい、泣く奴が、あるかよ」

 ふと、ハルヒの顔を見て気がつく。
 そう、彼女は自分の顔を見つめたまま、ぼろぼろと大粒の涙を流していたのだ。

「だって、だってッ……」

 拭っても拭っても、涙が止まらない理由、それは。

「怖かった、怖かったんだよ!!」

 恐怖。
 殺し合いという異常な事態の中で、少し弱っていた精神には、火事という現象はいつもよりも怖く見えた。
 それは、少女の心を少し壊すには、十分すぎる恐怖だった。

「……俺だって、怖かっ……たさ」

 その言葉を受けて、光は思い出してしまう。
 火事から逃げ出していた先ほどまでの光景、ではなく。
 この殺し合いが始まってから、初めに出会った人間の事。
 錯乱しながら、自分に刺さったナイフを引き抜いて襲ってきた時の、顔。
 あれほど恐ろしいものを、光は今まで知らなかった。
 これから先、またあんな顔の人間に出会ってしまうのだろうか。
 その時、自分は正気を保っていられるのだろうか。
 そんな事を、考えてしまう。
 だから今は、彼女の顔をしっかりと見ておこうと思った。
 今だけだったとしても、この安心感を胸から離したくはなかったから。
 光は、ハルヒの顔を見て、もう一度笑った。

【C-6/橋の近く/昼】
【常陸院光@桜蘭高校ホスト部】
[状態]:少し安心、制服は返り血塗れ、疲労(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、不明支給品(1〜3)
[思考]
基本:とにかく馨に会いたい
1:休息

【藤岡ハルヒ@桜蘭高校ホスト部】
[状態]:疲労(中)
[装備]:防火服
[道具]:基本支給品、不明支給品(0〜2)
[思考]
基本:とにかく、人殺しはしない。
1:休息
2:他のホスト部員との合流。
3:森田はひとまず保留

76 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/16(木) 23:58:14 ID:sqxrrFNA0
投下終了

77錯綜する、心 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/18(土) 01:59:57 ID:5PiEMPPc0
 雨は降っていないのに、ざあざあとノイズが響く。
 時が凍りついたかのように、何も動かない。
 一つの死体を挟んで向かい合う、二人を除いて。

「何やってんねんって、聞いてんねん」

 今の状況を理解するのは簡単だが、理解したくないという感情が勝っている。
 当たり前だ、知っている人間が"殺人"に手を染めているなど、認めたいわけがない。
 だから、風花は両手を赤に染めている直澄に問いかける。
 再び沈黙が続き、空気が次第に重くなっていく。
 少しの間を置いて、直澄はゆっくりと口を開く。

「……突然この人が現れて、それで、死んだ」
「そんなん、信じろって言うんか」

 直澄がようやく振り絞った言葉を、風花は即座に切り捨てる。
 この殺しあい自体が、信じられないような現象であるのは確かだ。
 しかし、だからといってそんなマジックのような話を、おいそれと信じられる訳も無かった。

「そうとしか、僕からは言えないよ」

 だが、直澄からすれば、それが事実なのだ。
 まるでアニメや漫画のような話だと、自分でも思う。
 けれどそれが現実なのだから、そう語るしか無いのだ。

「せやったら、証明してや」
「え……?」

 半ば諦めていた直澄に突き刺さる、風花の言葉。
 どういうことだ、といった表情を浮かべる直澄に、風花は表情を変えずにそのまま続ける。

「あんたが人を殺してへん、殺すつもりもあれへんって事を証明して。
 うちの所に、あんたの袋を投げてよこすくらい、出来るやろ」

 風花の要求は、シンプルだ。
 武器や道具の入った袋を投げて渡す、たったそれだけのこと。
 本当に人殺しではないというのならば、それが出来るはずだと、風花は思っていた。

「……できないよ」

 だが、少しの間を置いて帰ってきたのは、否定の言葉だった。
 眉をひそめ、風花は直澄の顔を睨みつける。

「なんでや」
「だって、ここは殺し合いをする場所だ」

 風花の問いに、直澄は即答する。

「僕だって、死にたくはない……」

 そして、目をそらす。
 そう、ここは人と人が殺し合う、地獄のような場所だ。
 そんな場所で武器を失うということは、どういうことか。
 万が一、誰かに襲われた時に、抵抗する手段が無くなるということだ。
 誰だって、死にたくはない。だから、道具を手放すことが出来なかった。

78錯綜する、心 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/18(土) 02:00:10 ID:5PiEMPPc0

「はっ、そういう事かいな」

 だがその答えは、この場においては最悪の事態を招く。
 風花からしてみれば、武器を手放すつもりがないということは、人殺しであると認めたことにも等しい。
 だから、風花は蔑むような目で、直澄を見つめる。
 お前は人殺しだ、自分とは違う、と言い聞かせるように。

「ち、違う! 本当に僕じゃない!!」
「近寄んな人殺し!!」

 弁明しようと声を上げる直澄に、風花はついに刀を向ける。
 風花にとっては、今の直澄は人殺しとしてしか映らなくなっていた。
 もし、普段の彼女であれば、もう少しまともな判断が出来たかもしれない。
 だが、直澄は知らない、知る由もない。
 間接的にとは言え、彼女が既に一人の人間を殺していることを。
 その事実が、彼女の精神を摩耗させきっていたことを。

「うちはアンタとは違う! 人殺しなんてまっぴら御免や!!」
「分かってる、僕も同感だ」

 自分は人殺しだと認めたくない、だから人殺しに近寄られたくない。
 認めたくない、認めたくないから、近寄られたくない。
 だから、風花は拒絶するように、刀を振るう。

「来んな!! 来んなって言ってんねん!!」

 型もへったくれもなく、ぶん、ぶんと大振りに振るう。
 女子のそれとはいえ、鋭利な刃物が振るわれているのは怖い。
 だから近寄れず、少し遠くから風花の様子を見ていた。

 もしこの時、直澄が体を張って止めていれば。
 もし少し前、直澄が袋を投げ飛ばしていれば。
 もし初めに、風花が人を殺していなければ。

 そして今、風花は闇雲に刀を振るっている。
 初めて見た死体から、全速力で逃げ出したが故に彼女の体力は落ちている。
 擦り切れた精神では、それを判断できるほどの思考能力は残されている訳もなく。

 もしと、今。
 細かな全てが、積み重なり。
 それは、招かれた。

79錯綜する、心 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/18(土) 02:00:23 ID:5PiEMPPc0

「え」

 するり、と風花の手から滑って抜けた刀が。

 直澄の胸に、深々と突き刺さっていた。

「あ――――」

 はっきりと映ったその光景は、風花の意志を崩壊させるには十分で。

 声にならない声を絞り出しながら、風花はその場から逃げ出した。

「あ、っちゃ…………」

 ごふり、と血を吐き出しながら、直澄はその場に倒れこむ。
 投げ飛ばされた勢いも相まって、刀は思っていたよりも深く突き刺さっている。
 手当すれば間に合うかもしれないが、そんな人間なんてどこにも居ない。
 そんなことを考えているうちにも、血は流れていくし、感覚はどんどんと失われていく。
 少しずつ、体の自由が奪われていく感覚が、はっきりと分かる。
 演技でもなく、欺瞞でもなく、本当の"死"という感覚。

「……怖い、な……」

 初めて味わうそれを、しっかりと噛み締めながら。
 直澄は、ゆっくりと目を閉じた。

【加村直澄@こどものおもちゃ 死亡】
【残り32人】

※白虎の刀@BASARAが胸部に突き刺さったままです。
※支給品袋は遺体傍に放置されています

【G-2/南西部/昼】
【松井風花@こどものおもちゃ】
[状態]:吐き気、震え、殺人に対する恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、黒板セット@現実
[思考]
基本:――――――

80錯綜する、心 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/18(土) 02:00:33 ID:5PiEMPPc0
投下終了です

81第一回放送 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/18(土) 02:29:08 ID:5PiEMPPc0
「儀式に招かれし贄達よ、定刻だ。
 死者と禁止エリアを告げる、一度しか言わぬ故に聞き逃すことのないようにな。
 まず、禁止エリアを告げる。

 14:00 B-3、D-7
 16:00 C-1、E-2
 18:00 F-1、G-2

 以上、六ヶ所だ。
 次に、この六時間の間に捧げられた、贄達の名を告げよう。

 草摩依鈴
 竹本祐太
 小椋迅八
 草摩夾
 日向棗
 笠間春彦
 山田あゆみ
 加村直澄

 以上、八名だ。
 ふむ……首尾は順調のようだな。
 だが、用意された椅子は一つ、夢々忘れることのないようにな」



「慊人様。時間ですので、報告に参りました」

 放送を終え、心宿は個室で休んでいる慊人に同じ内容を報告する。
 禁止エリアには興味を示していなかったが、死者の名前を読み上げている時、慊人は笑っていた。
 八人、全体の五分の一。六時間の間に上がった成果にしては、上々だろう。

「これなら紫呉様も――――」

 そして、続いた心宿の言葉に、慊人はピクリと反応する。

「紫呉? 紫呉が何だって?」
「いえ、何も」

 失言だったか、と心宿は慌てて取り繕う。

「まあいいや、紫呉は僕が殺したんだ、そうさ……フフフ」

 だが、慊人は特に気にする様子もなく、一人で笑い出し始める。
 そう殺した、自分の手で、殺したのだと、笑う。
 そんな姿を見つめながら、心宿は慊人に一礼をし、個室を後にしていった。

「……困るねえ」

 その出先で待ち構えていたのは、他でもない紫呉だ。

「あんまり勝手なこと、言わないでよね」

 意味深な笑みを浮かべたまま、彼はそれだけを心宿に言い残して、立ち去っていく。
 全く、理解できない。
 そう思いながら、紫呉の後ろ姿を少し見つめ、心宿は彼に背を向けて、どこかへと向かって行った。

【残り32人】

82 ◆F9bPzQUFL.:2016/06/18(土) 02:29:33 ID:5PiEMPPc0
投下終了です。
禁止エリアは独断で決めました、問題ありそうなら対応します。

83 ◆F9bPzQUFL.:2016/07/15(金) 00:41:03 ID:trjlr7FU0
月報集計お疲れ様です。
少女漫画  43話(+ 4) 32/40 (-1) 80.0 (-2.5)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板