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少女漫画キャラバトルロワイアル 第二巻

63激走! トマランナー! ◆F9bPzQUFL.:2013/10/10(木) 00:55:12 ID:lhe/urCI0
「貴様……"アリス"の持ち主か」
痛む腕を押さえながら、ペルソナは自身に蹴りを入れた男へと問う。
学園が把握していないアリスは相当数居るが、その中に無効化のアリスの持ち主が居るのは予想外だった。
しかし、男はきょとんとした顔をしてから、ふふんと鼻を鳴らす。
「ん? ああ、そういう設定? じゃあ、多分……俺が最強だな」
アリスという能力を知らず、生まれ育ってくる人間もいる。
故に、アリスという単語に反応できない能力者が居るというのも、何ら不思議ではない。
へらっ、と笑う男がそうである可能性も、無いわけではない。
「よくわかんねーけど、とにかく正義の鉄拳を食らえぇぃっ!!」
先ほどと同じように、男が無計画に突っこんでくる。
握り拳を作りながら、ただ、まっすぐに。
それを撃退しようにも、腐食の力は使えない。
だが、"それ以外"ならある。
ペルソナは素早くそれを構え、男へと突きつけていく。
あとは、引き金を引くだけで良い。
「ほほう、そんなヘボヘボの銃でこの森田様を倒そうってか」
引き金に指を当てたとき、男は不適に笑った。
怖じることもなく、銃口を見つめたまま。
「支えとなるべき片腕はない、肩で呼吸をするほど疲れてる。
 ってのに精密に急所を撃ち抜ける自信があるなら、大したもんだ」
男の言うことも尤もだ。
ペルソナは、銃を扱うスペシャリストではない。
先ほどは至近距離に近かったが故に当てることが出来たが、今の距離感で確実に撃ち抜ける自信はハッキリ言って、ない。
辺りの炎が揺らめき、視界を曲げていく。
「クッ……」
苦しみの声を出したとき、男の後ろから先ほどの二人の少年少女がこちらに向かってくるのが見える。
少女はともかく、少年は何かしらのアリスを持っている。
今の状況で戦闘になれば、苦戦を強いられることは間違いない。
下手に手を出すより、ここは逃走を選んだ方がいい。
くるり、と身を翻し、まだ動く足を動かしてその場から逃走を図る。
自身の能力を察しているのか、男は追ってくる気配はない。
助けられる形になっているのは気にくわないが、ここで死ぬわけにはいかない。
そう、まだ。
こんな所で死ぬわけにはいかないのだから。



「……あの男は?」
「逃げたよ」
ようやく追いついた時、森田の側に先ほどの男の姿はなかった。
亢宿の問いかけに特に悪びれる様子もなく、森田は答えていく。
「逃がしたんですか?」
「いや、勝手に逃げた。そういう流れなんだろ」
重ねて放った問いかけにも、即座に回答が返ってくる。
が、その回答は少し引っかかる点があった。
「――――そういう流れなんだろ」
亢宿は気にしていなかったが、側にいた紗南はその言葉にどうしても引っかかっていた。
紗南がそれを問いかけようとしたとき、後ろで張り裂けそうなほど大きな音が響く。
振り返れば、燃え上がる炎が巨木を飲み込み、耐えきれなくなった体が爆音とともに倒れ込んでいたのだ。
猛る炎は、未だに弱まる気配がない。
「こりゃやっべーな、熱い熱いと思ったらマジのヤツじゃねえか。
 ったく……あのクソ監督、リアルにも限度ってもんがあんだろ。
 巻き込まれない内に、早く逃げ……あー」
ぶつぶつと言いながら、森田は早々にその場を立ち去ろうとする。
が、ついてくるのは中学生ほどの年齢の少年少女。
大学生(と表現して言い生命体なのかどうかはさておき)の森田の走りについてこれるわけもない。
かといってそのままなら間違いなく火事に巻き込まれるだろう。
せっかくライダーキックまでかましたのに、か弱い子供をおいて逃げてしまっては主役としてみっともない。
一瞬の思考の後、森田は突然後ろの二人へと振り向く。
ぎょっとしたままの二人を、有無をいわさず両脇に抱えていく。
「揺れるからな! 舌噛むなよ!」
そう言って、己の出せる全力全開を出して、広がる火の手から逃げ出していった。
こういうのはスタントマンの役目なのだが、と思いながらも、森田はひたすらに走り続ける。
抱えている二人がなにやら言っているが、それは耳には入らない。
ただ、森田が思っているのは。
映画の主役も楽じゃないな、ということ。


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