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ニコニコ動画バトルロワイアルγsm3

1名無しさん:2013/04/07(日) 12:38:07 ID:6NYUY/JY0
春です。



本日はニコニコ動画バトルロワイアルに 御アクセス頂き、 ありがとうございます。



ここはニコニコ動画の人気キャラを用いてバトルロワイヤルをするというリレー小説のスレッドです。
大変申し訳ありませんが、 この企画はフィクションであり実在の団体・人物等とはまったく関係ありません。
ルールさえ守っていただければ誰でも参加可能です。



またの御アクセスをお待ちしております。

wiki ttp://www34.atwiki.jp/niconico3nd/
前スレ ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14759/1336579927/
したらば ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15395/

374 ◆FbzPVNOXDo:2013/11/04(月) 06:21:55 ID:sWhc5Kp.0
投下終了です

375名無しさん:2013/11/04(月) 10:57:25 ID:ZPU/8BR6O
投下お疲れ様です
やったぜ。(爆発の感想)
そしてもやしもここでついに倒れたか……色んな意味で緊張感のあるいい戦いだった……!
彼の想いを受け、果たしてランサーはどこまで突き進めるのか

376名無しさん:2013/11/04(月) 17:05:45 ID:TPXgyyYA0
投下乙
士ああああああああああああああ!!
初っ端からかわいそうな目に遭ってばかりだったけど最後は守れてよかったな
あとこれでホモ勢全滅か!(歓喜)

377名無しさん:2013/11/04(月) 21:39:34 ID:8chy8JiY0
投下乙です
ホモ特有の眼光を見抜くランサーに草不可避ww

378名無しさん:2013/11/05(火) 15:33:21 ID:QaVL0ofQ0
投下乙です

そうだよ、こういう長くて濃いSSが読みたかったんだよ
よかったです、思い切りワロタw

379 ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 00:52:05 ID:jowGsRXw0
投下します。

380暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 00:56:36 ID:jowGsRXw0
『聞こえるか? エンリケだ。これから第二回定時放送を始める』

二度目の定時放送を、早苗達はF-2の市街地にある民家の中で迎えた。

『皆が戻ってくるまで建物の中に身を隠そう』。その提案をしたのは海東だ。
なるべくここから離れるなという権兵衛の指示に反する事になるが、今ここには足に怪我を負った子供もいる。
この少年(名をムラクモというらしい)の応急処置はひとまず済んだが、まだ暫くは安静にさせてやらねばならない。
その為にも、仲間達が戻ってくるまでは少しでも安全な場所で彼を休ませた方がいい。そんな至極真っ当な意見だった。
早苗も今はとりあえず少年の安全を確保したい気持ちでいた為、彼の提案にすぐさま賛成した。
そうして三人は近くの適当な民家の寝室を借り、暫しの休息を取る事にしたのだった。


『―――次の放送はこの俺が担当する。それまで精々生きててくれ』

ベネットと名乗る男の声を最後に放送は途切れた。

「……終わり、ですか。どうやら皆様方はご無事のようですね」

見張りの為に窓際に立っていた海東は、ニコッといつもの笑みを浮かべながら言った。
早苗達が今ここで帰りを待つ者達の名前は、幸い発表された死亡者リストの中には含まれていなかった。

「…………聖さん……」

しかし海東の予想に反して、早苗から喜びの声が上がる事はなかった。
ベッドの横に置いた小さな椅子に座り、どこか哀しげに顔を伏せたままの早苗。
放送が始まるまでは騒々しい程元気に場を和ませていたというのに、今では一変して表情を曇らせている。

「早苗さん、もしやお知り合いだったのですか?」
「……私の友人でした」
「そうでしたか……申し訳御座いません、このような事をお聞きして」
「いえ、海東さんは悪くないですよ」

自分のよく知る誰かが、『死亡者』として名前を呼ばれる。
その度に早苗の心はチクチクと痛み続けていたのだが、今回の放送で受けたダメージは今まで以上に大きかったようだ。
趣味を通じて交流を深めた仲間を失ったショックは、単なる顔見知りを亡くした時とは比べ物にならない。

「お気持ちはお察しいたします。私も仮面ライダーですから、時には戦いの中で仲間を失う事もありました」

海東はゆっくりと早苗の元に歩み寄ると、彼女の白く細い肩にポンと手を置いた。
その手は大きく温かく、傷ついた心の痛みがほんの少し和らいだような気がした。

「しかし、落ち込んでいてはいけません。ご友人の為にも、今は生きてここから脱出する事に専念すべきです。
 貴女にはきっとやるべき事があります。涙を流すのは全てが終わってからでも遅くありませんよ」
「…………そう……ですよね」

早苗は一息だけ深呼吸すると、自らの両頬をぱしぱし叩いて渇を入れた。
わかっている、この仮面ライダーの言う通りだ。今はまだ悲しみに暮れている場合ではない。
死んでしまった人達を弔うのは、無事に幻想郷に帰ってからだ。
決意を固めた早苗は、椅子からすっくと立ち上がる。

「海東さん、顔に似合わずすごくいい事おっしゃいますね! おかげで元気が出てきました!」
「顔……? いえ、お役に立てて光栄です。やはりそうして元気に笑ってる方が貴女らしい」
「みんなで力を合わせて、必ずここから脱出しましょう!!」

なんて頼り甲斐のある人なのだろう。やはりこんな風に他人を思いやれる人でないと正義の味方にはなれないのだ。
そんな事を思いながら、早苗は感謝と尊敬の気持ちを込めて深々とお辞儀をする。
そして頭を上げて天使のような笑顔を見せると、部屋の窓際まで駆けていった。
窓から差し込む昼間の日差しの中で、そっと目を伏せ、天に向かって祈りを捧げ始める。



―――聖さん。そして星さんも。
―――皆さんの事、皆さんと協力してコスプレした時の事、私は一生忘れません。
―――ですから、今はどうか待っていて下さい。
―――幻想郷に帰ったら、聖さんがお好きだった魔法少女リラメル☆鈴木のコスをお供えします!



……友の為に純真な祈りを捧げる少女の背後で、海東はニヤリと笑みを浮かべる。
正義の味方にはとても出来ぬ、邪悪めいた笑みを。

381暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 00:58:47 ID:jowGsRXw0





「早苗さん、私は少しの間ここを離れます」

祈りを終えた早苗が椅子に座り直そうとすると、海東は唐突に話を切り出した。

「もこみちが倒れたようですし、そろそろ皆様方が戻ってくるかもしれません。ですから彼らと別れた場所に行ってみようかと思いまして」
「あ、じゃあ私も!」

早苗はいそいそと出発の準備を始めようとするが、海東は手で遮りそれを制止する。

「……私一人で十分です。暫くしたら戻りますので、貴女はここで彼の傍についていてあげて下さい」

そう言って海東はベッドの方向へ目配せした。
ベッドに座るムラクモは、権兵衛の考察メモを無言で読み耽っている。
眉間に皺を寄せて真剣に文書に目を通すその姿からは、この年頃の少年にしては妙に厳かな雰囲気が漂っていた。
確かに怪我した少年を一人残していくわけにはいかない。無暗に連れ回すのも傷に障るだろう。

「わかりました。でも、くれぐれもお気をつけて下さいね」
「ええ。叫べば声の届く距離ですから、何かありましたらすぐにお呼び下さい。よろしくお願いいたします」

海東は斜め45度の一礼をすると、自分のデイパックを背負って部屋から出て行った。


(海東さん……)

早苗は思った。きっと海東は自分達を気遣って自ら危険な役を買って出てくれたのだと。
それは正義の味方である仮面ライダーとして当然の責務かもしれないが、それでも感謝せずにはいられない。
自分も彼に頼ってばかりではいけない、任された務めを果たさなくては。
早苗がムラクモの方に目を向けると、いつの間にか彼もメモを読むのをやめて早苗をじっと見つめていた。

「心配は御無用ですよ、ムラクモくん。いざとなったら私が守ってあげますから!」

エッヘンと力強く胸を張りながら語りかけてくる早苗に、ムラクモは無表情のままこくりと頷いた。

「……ねえ、早苗さん」
「なんです?」
「早苗さんには……どんなものが支給されたの?」

仲間の支給品の確認。バトルロワイアルの参加者なら当然やる事だ。
早苗は微塵も警戒する事なく、椅子の足元に置かれたデイパックを引き寄せる。
そしてごそごそと中身を物色すると、一枚のカードを取り出した。

「じゃじゃーん、まずはこれ『幸運の運び手エポナ』! どんな攻撃もガードしてくれるディフェンスに定評のあるカードです!」
「玩具みたい」
「見た目で判断しないで下さい、私の命の恩人なんですから! 一度使うと二時間使えないからエポナゲーには出来ないですけどね」
「……前に使ったのは何時間前?」

これを使用したのは、あのケンシロウを名乗るヘルメット男に襲われた時。
まだ黎明の頃の出来事だから、既に半日は経過しているはずだ。
その事を伝えると、ムラクモはフム……と相槌を打ってカードを手に取りしげしげと眺め始めた。
それは子供が好奇心で玩具を眺めているというより、駒を手に入れ計略を巡らす軍師の目に近かった。

「……返すよ。これの他には?」
「二つ目は電磁サイリウムですね。よくお祭りで売ってる光る棒、わかりますか? あれに電気が流れて武器になるんです!」
「電気か。他には?」

如何にも子供が好きそうなものなのに、思っていたより反応が薄かった。
早苗はちょっぴり拍子抜けする。

382暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:01:16 ID:jowGsRXw0
「三つ目は、AT-4です! AT-4っていうのは、」
「携行対戦車無反動砲のこと? 使い捨て式の」
「あ、知ってるんですか。一発しか撃てないですが強そうですよね! バックブラストがあるので撃つ時は注意ですけど」

説明書にも書かれているが、AT-4発射時は反動相殺のバックブラストにより後方90°60mの範囲内は危険区域だ。
注意しなければ後方にいる味方や自らをも火傷の危険に晒す事になる。無論、屋内からの発射など出来るはずもない。

「CS型じゃないんだ」
「シーエス?」
「知らないのか。AT-4CS、市街地戦用にバックブラストを抑えたAT-4の改良型だ。
 従来型は燃焼ガスで反動を相殺するが、CS型は代わりに塩水を噴射する事で閉所でも安全な無反動射撃を実現している」

ムラクモが権兵衛ばりにすらすらと垂れ流した薀蓄を、早苗はぽかんと口を開けたまま聞き入っていた。
それは彼の知識に感心したのではなく、今までの無口さとのギャップに呆気に取られただけだったのだが。

「ムラクモくん、詳しいですね。まるで本物の軍人さんみたいです」
「……。軍事兵器はよく調べてるんだ。単なる趣味だよ」
「いーえ、わかります、わかりますよ!! 兵器は男のロマンですよね!」

何故か少々ばつが悪そうに顔を逸らすムラクモに対し、目をキラキラと輝かせながらグッと親指を立てる早苗。
別に男ではないが巨大ロボが好きな早苗には、男の子が兵器に憧れる気持ちがよく理解できた。
それに、早苗は彼の思いがけない一面を知れた事を内心嬉しく思っていた。
無口で無愛想で自分をあまり曝け出そうとしないこの少年の心にほんの少しだけ近づけたような気がしたから。
彼がどこかばつが悪そうにしているのは、ミリタリーオタクである事を隠すつもりだったからだろうと解釈した。

「わかってくれて助かるよ。AT-4、せっかくだから触らせてくれないかな。重さを知りたいから」
「今は持ってないですよ」
「何?」
「武器が足りなくて困ってた海東さんにあげちゃったんです。電磁サイリウムと一緒に」

その事実を知ると、ムラクモは途端にガッカリした様子を見せた。
海東が帰ってきたら頼めばいいだけのはずなのに。彼の落胆の理由がわからず、早苗は首を傾げる。

「それってつまり、今は何にも武器を持ってないの?」
「持ってないですけど。あー、もしかして不安なんですか?」

今この場にいるのは少女と子供の二人だけ。海東は不在で、その上武器すらない。
こんな状況ならば不安を覚えるのも仕方がないと早苗は納得した。
まだ会ったばかりで会話も碌に出来ていなかった彼は、早苗が何者であるかを知らないのだから。

「ご心配には及びません。武器がなくとも、私には奇跡を起こす”神”の力がありますから!」

その言葉に、ムラクモはぴくりと反応する。

「…………”神”?」

フッフッフ、と早苗は何やら意味ありげに笑ってみせる。
そしておもむろに椅子から立ち上がると、腰に手を当て堂々と胸を張った。

「この私をただの巫女だとお思いだったんですか? 一緒にされては困ります!
 私は一子相伝の秘術で奇跡を起こし、人間でありながら信仰を受けるようになった―――」

そこで一呼吸溜めて勿体ぶりながら、早苗は得意満面にカミングアウトする。

383暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:04:15 ID:jowGsRXw0


「人でもあり、神でもある―――”現人神”の末裔なのです!!」


―――沈黙。

ドヤ顔を決めている早苗。何故か言葉を失っているムラクモ。
彼は真っ赤な血色の目を見開き、早苗の頭から爪先までじろじろと凝視している。
正直彼がここまで驚くとは思っていなかった為、早苗はちょっぴり良い気分だった。

「…………げ、現人神」
「あらひとがみです」
「本気で言ってるの?」
「私はいつだって本気ですよ! やっぱり信じてませんね?」

とはいえ、疑われるのは早苗にとっても予想の範疇だ。
幻想郷ならいざ知らず、外の世界でいきなり神様宣言されて信用する人間などいない。
寧ろ頭が可哀想な子だと思われても仕方ない。それが外の世界の常識だからだ。

「ならば私が起こす奇跡の力で信じさせてあげましょう! ムラクモくん、そこにある水を手に持っていただけますか!」

早苗はビシッとベッドの宮棚の方を指差す。そこには飲みかけのペットボトルの水が置かれている。
彼は何度も訝しげな眼を早苗に向けながらも、その水を手に取った。

「その水から目を離さないで下さいね。行きます!」

早苗は目を瞑り、右手で五芒星形の印を切りながらボソボソと呪文らしきものを唱える――その時不思議な事が起こった。
ペットボトルは動かしていないのに、ボトルの中の水だけが突然ひとりでに揺れだしたのだ。
そして無色透明だった水が、見る見るうちにオレンジ色に色づいていくではないか。

「水をオレンジジュースに変化させてみました。これぞ現人神の力、これぞ八坂の奇跡です!」

ドヤァ……と得意げに胸を張る。だが彼女の予想に反してムラクモの反応はいまいちだ。

「それだけ?」
「いえいえ、これは簡単な営業用奇跡ですから! 本気になればもっと大それた事も出来ますよ」

実際それは早苗が里の子供達を相手によく使っていた手品レベルの奇跡だった。
呪文詠唱が一言で済むお手軽なもので、それでいて子供ならとても喜んでくれるのだ。
年相応でない彼に合わせて別の奇跡をチョイスすべきだったかとちょっとだけ後悔する早苗。
そんな彼女を前に、ムラクモはフッと鼻で笑う。

「なら、他にどんな事が出来るの。…………”現人神”さま?」

ひたすら抑揚がなく、感情の篭っていない声。
だが元々彼の台詞は起伏が乏しい方で、早苗は別段気にする事はなかった。

384暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:07:14 ID:jowGsRXw0
「雨風を喚ぶのが主ですね、快晴の日に大雨を降らせたり出来ますよ。あとは海を割ったり、客星を輝かせたり」
「蘇られる?」
「え?」
「死んだ後に何度でも蘇られるとしたら、それは”奇跡”と言っていいよね?」

唐突にそんな事を言われて唖然としない訳がない。
早苗は大きな目をぱちくりとさせるが、またすぐに笑顔を取り戻した。

「ステキですねそれ、中二感がたまりませんっ! そんな秘術があれば良かったのに」
「ないの?」
「ないですよ、守矢の秘術には。『東風谷は滅びぬ、何度でも蘇るさ!』とか言ってみたいですけどねー」

そんな先代にホイホイ甦られたら一子相伝の意味がない。
尤も幻想郷には人間が死後に復活した例も、人間が数百年単位で転生している例もある事にはある。
ただ前者はほぼ人間をやめているようなものだし、後者は色々と面倒な制約があって早苗はあまり憧れなかったのだが。

それを聞いて、ムラクモは再び鼻で笑った。


「死ねば終わりか。……それで良い」

「え?」


小首を傾ける早苗にはわからぬように。

ムラクモは、自らの体内に仕込まれた”ソレ”のスイッチを入れ。

出力を、一気に最大まで引き上げた――――――――――――――

385暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:09:03 ID:jowGsRXw0















「――――早苗さん、いらっしゃいますか!? 一大事です!」

窓の外から突如飛び込む鬼気迫った声。

「わっ!? な、何事ですか海東さんっ!」

突然の事に面食らいながら振り返る早苗の後ろで、ムラクモは即座にソレのスイッチを切った。
海東は開けていた窓から部屋に侵入し、慌てた様子で彼女に近づいてくる。

「実は、権兵衛さん達と別れた場所に、こんな物が……」

そう言って、ピラッと一枚の紙切れを差し出す。何かの紙の端を小さく破ったもののようだ。
その紙切れにはクッソ汚い字でこう書かれていた。

 ◇

   先に光写真館へ向かいます
   このメッセージに気づいたら追ってきて下さい
   事情は後でご説明します
                          権兵衛
 ◇

「汚い字ですね」
「汚い字、ですか。犬らしい」

これが犬の妖怪である権兵衛が書いたものだとすれば、このミミズののたくったような字も納得できる。
まさか彼らが自分達を置いて先に行ってしまうなんて。
やはり誰か一人でもあの場所で待っているべきだったのかもしれない。
果たしてどんな事情があったのだろうか。説明を省く程に時間に追われていたのだろうか。
それに、シャロやリュウセイに代筆を頼まなかった理由はなんだろうか。
もしや――。理由を考えれば考える程に、早苗の背中に嫌な汗が流れた。

「こっ、こうしてはいられません、早く追いましょう! ムラクモくん、歩けそうですか!?」
「いいよ、心配しないで」

早苗は出してあった食料や水を急いでかき集めてデイパックの中に放り込む。
ムラクモはいつの間にやら先に荷造りを終えていた。

「とはいえ、ムラクモくんにあまり無理をさせるとまた足の傷が開いてしまいます。
 ……早苗さん、こんな事を女性にお願いするのも申し訳ないですが、彼を背負っていただけませんか?」
「私がですか?」
「本来なら私の役目でしょうが、いざという時に貴女様方を守る為にも両手は空けておきたいのです」
「なるほど、でしたらお任せ下さい!」

早苗は快く引き受け、ベッドに座るムラクモに背を向けて身を屈めた。
しかし女性の背を借りるのはプライドが許さないのだろうか、ムラクモ本人は少々遠慮気味だ。

「見栄なんて張らなくていいですよ、怪我人なんですから。それに、私は空を飛べますからね!」

早苗は半ば無理やりムラクモを背に担ぐと、ふわりとその身を宙に浮かせた。
提案した海東自身もこれは想定外だったらしく、ほう……と思わず嘆息した。
ムラクモは彼女の背でほんの少しだけ目を見張ったが、奇跡に慣れ始めていたのかさほど驚く事はなかった。

「すごいですね。私の世界には空を飛べる人間なんていませんでした」
「幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。さあ、早く権兵衛さんを追いましょう!!」

386暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:12:00 ID:jowGsRXw0



 ★ ★ ★



―――駄目だ、まだ笑うな……こらえるんだ、し、しかし……。

あまりに上手く事が運び、俺は笑いを押し殺すのに必死だった。

権兵衛は光写真館になど向かっていない。それどころかまだあの場所に戻ってきてすらいないはずだ。
この書置きは手駒達を動かす為についさっき俺が偽造したものだ。
いくら思慮の浅い女子供が相手とはいえ、権兵衛との約束を無下にすれば俺は反感を食らい信用を落としてしまう。
だったら餌で釣ればいい。ここにいない権兵衛に俺の手駒を誘き寄せる、まさに餌を演じてもらったんだよ。

俺はまんまと騙された早苗達を連れ、民家の外に出る。

「では参りましょう。あまり上空を飛ぶと目立ちますから、出来るだけ低空飛行でお願いいたします」
「わかりました!」

それにしても、空を飛べる人間か。ただの少女かと思ってたが、存外利用価値がありそうだ。
時々意味不明な事を喚くのが難点だが、少し優しい言葉をかけたり励ましただけですぐ従順になって実に扱いやすい。
しかも既にこの俺に厚い信頼を寄せている。この早苗はもう俺の意のままだ。
次はムラクモの使い道でも考えようか。今の所は人質くらいにしか使えそうにないが。

……全く、子守役というのもつらいな。まあ、大樹も昔は手がかかったものだが……。


―――その時、北東の方角から眩い閃光が放たれた。



 ★ ★ ★



眩しい光とほぼ同時に爆音が辺りに響き渡って、私と海東さんは同時にその方向へ顔を向けた。

「な、何でしょうか?」
「爆弾……でしょうね。気にせず参りましょう」

海東さんはそれだけ言って急ぎ足で南東へと進み始めた。
……なんでしょう。とても嫌な予感がします。
方角からして無関係でしょうけど、もし権兵衛さん達があんなのに巻き込まれる事があったら……。
海東さんも同じ思いで私を急かしてるんでしょうか。……急がなきゃ!
私は空を飛んで海東さんについていく。
さっきは何とも思わなかったけど、いつもよりちょっと疲れやすいような?

「早苗さんは、本当に現人神なんだね」

ふとムラクモくんが耳元で私に語りかけてくる。

「信じてくださいましたか? ではこうして出会ったのも何かの縁、あなたも守矢神社に一信仰を!」
「何それ、宗教臭い」
「宗教ですよ! 神の力は信仰の力です。信仰を得れば神は強くなりますし、逆に信仰を失えば力を失うんです」

背後からクスクスと微かな笑い声が聞こえる。おぶっているから表情は見られない。

「じゃあ……僕も信仰を得れば、神になれるかな」
「あははは、ムラクモくんも現人神になるんですか? そしたら私と仲間ですね!
 でも信仰を集めるのも大変なんですよ、メイド服着たり体操服着たり……」

……最初は内気で口数の少ない子かと思ってましたが、意外と冗談も言える子なんですね。
なんだか楽しくお話してたら不思議と疲れも取れてきた気がします。

神奈子さま、諏訪子さま。私は守矢の巫女として、きっとこの子を守ってみせます!

387暇を持て余した神々の遊び ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:15:22 ID:jowGsRXw0



 ★ ★ ★



……済度し難き愚か者め。

現人神だと? こんな常識知らずの小娘が?
なんたる戯れ言か。先祖が積み上げた伝統と血筋の上に胡坐をかいているだけではないか。

己が使命を忘れ、俗世にまみれてのうのうと生きる神など滅びてしまえ。

海東の居ぬうちに早苗の支給品を確認し、使えるものがあれば奪い去る画策だったが……。
まさか先に手を打たれていたとはな。あの拍子に割り込んできたのも恐らく彼奴の策略であろう。
あと少し時間があれば、電光機関でこの神人くずれに天誅を加えられたというに。

……まあ良い。まだ殺せんのなら、暫くは足として利用するまで。
それにこの小娘の奇跡の力があれば、オリーブオイルも楽に手に入るかもしれん。

東風谷早苗、精々信仰を集めるがいい。
だが何れ解らせてやろう。お前の先に待つ未来は破滅しかないのだと。

全人類の信仰を手に入れるのは、この私なのだよ。





【F-2 市街地/一日目・日中】


【海東純一@仮面ライダーディケイド】
[状態]:( ^U^)申し訳ございません、このような健康体で。
[装備]:グレイブバックル@仮面ライダーディケイド、電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER
[道具]:基本支給品、電光戦車@エヌアイン完全世界、外部AI@MUGEN、AT-4@魔法少女まどか☆マギカ、権兵衛の書置き(偽)
[思考・状況]
基本:優勝して、元の世界を支配する。
 1:光写真館に向かう。
 2:表向きは対主催として振る舞い、集団の中に潜む。
 3:早苗とムラクモと行動を共にする。
 4:ノーリスクで殺人が可能な武器が欲しい。
 5:グレイブバックルの制限を何とかしたい。
 6:ディケイドにも制限が?
 7:AIを搭載した電光戦車は切り札。
 8:光写真館に少し興味。
※「ディエンドの世界」編終了後からの参戦
※鬼柳とさやかを死んだと思っています。
※大変胡散臭い表情をしていますが、本人はそれに気付いていません。
※グレイブバックルは一度使うと2時間使用不可になります。
※電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER、AT-4@魔法少女まどか☆マギカを早苗から譲り受けました
※早苗のことは別の世界の仮面ライダー住民だと思っています。
※権兵衛の書置きを偽造する為、支給品のどれかの説明書の端を破り取ったようです。


【東風谷早苗@守矢一家コスプレ劇場】
[状態]軽傷、霊力消費(小)
[装備]無し
[道具]基本支給品
    VGカード『幸運の運び手エポナ』@カードファイト!!ヴァンガード、権兵衛の考察メモ
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
1:権兵衛を追って光写真館に向かう。
2:ムラクモを守りたい。
3:海東さんはさすが仮面ライダーだ!
4:北東から見えたあの光は……?
5:守矢の巫女として信仰を集める。
6:博麗神社は後で改めて訪れたい。
7:\  /
8:●  ● この会場では常識に囚われてはいけないのですね!
9:" ▽ "
※権兵衛が光写真館に向かったものと思っています。
※海東を正義の仮面ライダーだと信じて疑っていません。
※ムラクモはただのミリオタの少年だと思ってます。
※奇跡が制限されているかどうかは不明ですが、とりあえず簡単な奇跡は起こせるようです。


【ムラクモ@アカツキ電光戦記】
[状態]:貧血、疲労(中)、ダメージ(中)、右足に刺し傷(処置済)、身体が十二歳程になっています
[装備]: 六〇式電光被服@アカツキ電光戦記、十六夜咲夜のスカート
[道具]:基本支給品、マッド博士の整形マシーン、ポラロイドカメラ、オレンジジュース(元は支給品の水)
[思考・状況]
基本:主催も含めて皆殺し。
1:早苗はいつか絶対に殺す。
2:海東を警戒。
3:無力な少年を装い2人と行動を共にして隙を見て支給品を奪い殺す。
4:怪我の回復にも専念する。
5:早苗を利用すればオリーブオイルを入手できるかもしれない。
6:もこみちざまあwwwwwwwwwwwww
※海東が自分の思惑を見抜いていると思っています
※権兵衛の考察メモを読みました。
※早苗が現人神である事、奇跡を起こす程度の能力の一部を知りました。


※E-3で権兵衛が使った地球破壊爆弾の爆発に気づきました。

388 ◆yZJRtWQFk.:2013/11/07(木) 01:16:20 ID:jowGsRXw0
以上で投下終了です。何か問題がありましたら指摘お願いします

389名無しさん:2013/11/07(木) 08:18:22 ID:rP/hHF5E0
投下お疲れ様です
表向きの和やかな雰囲気とは裏腹に、それぞれの思惑が渦巻いている……
って、早苗がエラく危険な状況だなぁ。本人は気付いてないけど
今後の海東とげんじんしんの頭脳戦に期待出来ますね……!

390名無しさん:2013/11/07(木) 12:41:08 ID:SMm.b8nw0
乙!
方略が渦巻くのはロワの醍醐味だなあ

391名無しさん:2013/11/07(木) 22:42:11 ID:E568CdSo0
投下乙です
こういうのもパロロワの醍醐味なんだよなあ
いいよいいよ、こういうのも好きなんだよw

392 ◆FbzPVNOXDo:2013/11/16(土) 01:40:11 ID:DdyMRwj20
しまった……カッコつけて残り30人ってやっちゃったけど32人なのか……
wikiで修正してくれた方ありがとうございます

393 ◆FbzPVNOXDo:2013/11/25(月) 18:16:21 ID:cBIGzozY0
投下します

394三人寄ればなんとやら…… ◆FbzPVNOXDo:2013/11/25(月) 18:16:54 ID:cBIGzozY0
「ほむらちゃん……?」
「目が覚めた? まどか」

目覚めたまどかが最初に見たのは、心配そうに顔を覗き込ませるほむら。
次に感じたのは頭を包む、柔らかく暖かい感触。
ほむらの顔がまどかには逆さまに見えた事から、自分はほむらに膝枕をして貰い、先ほどまで介抱されていたと気付いた。

「あの、カズマとかいうお兄さんは?」
「何とか撒いたわ」
「マミさんは?」
「砕けた」
「はぁ……」

マミの悲報を聞きながらも、まどかはそれに涙を流す様子も無く溜息を着く。
戦力が減ったばかりか、カズマに一杯喰わされたのが余程気に入らないのか。
まどかは更に静かに奥歯を噛み締めていた。

「聞いてまどか……」

そんな、まどかの機嫌を良くしようと思ったのか。
ほむらはカズマの戦いをヒントに見出した、首輪解除の方法を伝える。

「えー、いや一理あるけど……。流石にそれは無謀なんじゃないかな」
「でもカズマはやったわ。なら、私にも出来る筈」

まどかとしては、そのような話半信半疑だ。
首輪が爆発した瞬間秘孔を突いて、首を強化して爆破に耐えるなど。
キン肉マンのゆで理論じゃあるまいし。

395三人寄ればなんとやら…… ◆FbzPVNOXDo:2013/11/25(月) 18:17:27 ID:cBIGzozY0

「勿論、すぐにとは言わないわ」
「誰かで実験するってこと?」
「ええ」

ここに来て、まどかは当初の自分の目的を振り返る。
私情や私怨で参加者を襲いはしたが、基本的に自分は生存優先であったはずだ。
しかし、物事は上手く行かないもので流石に暴れすぎたかもしれない。
となると、殺し合いに否定的な連中からすれば自分達は危険人物として認識され、敵対される可能性も高い。
一応、ランサーにはガセの情報を流したが、何処まで信じてくれるか分からない。
こうなれば、いっそ優勝を目指した方が早いかもしれないとすら思える。
もっとも主催者も信用出来ないのも事実。ならば参加者を間引くのと同時に、首輪解除の方法を探るというのもありか。

「その話、聞かせてもらったよ」

「!? 下がって、まどか!」

少女の声だった。
正面より現われたその少女にまどかとほむらは声を掛けられるまで、まったく気付けなかった。

「貴女達、どちらかと言えば殺し合いには肯定的なんだよね?」
「うーんどうだろう?」
「そっちが良ければ、協力してみたいな……なんて」

協力。
殺し合いに肯定的と知ってこの態度。
彼女も同じ、乗っている参加者と考えられる。

「少なくとも、私と貴女達はある程度の所までは協力し合えると思うけど?」
「私が貴女と組んで、何か得する事はあるのかな?」
「奇襲は格段にしやすくなると思うけど。それに、さっき聞いちゃったんだけど参加者を使った実験するんでしょ?
 なら、生きた参加者の首輪の方が良い。つまり生け捕りも奇襲のがやりやすい」

言っている事は理に適っている。
彼女の気配を消す能力は可能ならば手にしたい。
しかし、気になる。何故、彼女は自分達と組みたいのか。
それで一体、何の得になるというのか。

396三人寄ればなんとやら…… ◆FbzPVNOXDo:2013/11/25(月) 18:17:59 ID:cBIGzozY0

「教えて欲しいな。どうして貴女は私達と組みたいの?」
「……私は非力だから。単純な戦闘では生き残れるとは考え難い」

なるほど。気配を消すのは得意だが、それ以外は並かそれ以下という事か。
理由は分かった。
だがそれでも、まどかは納得出来ない理由があった。

「じゃあ最後に一つだけ。ねえ、何で首輪が無いの?」

そうこの少女。アサシンの分身の生き残りである彼女には首輪が無かった。
考えられるのは二つ。
一つは自分の力で外した。速水もこみちやカズマのように。
二つ目、これが一番現実的かもしれない。
それは彼女が主催側の参加者、ジョーカーということ。

「話せば長くなるんだけど……」

元は男性だったこと、ゴンさんとの激戦にでの宝具の使用で分身である自身が生き残ったこと。
それら全てを包み隠さずアサシンは話した。

「ふーん。でもそれって首輪が無いって事は、殺し合いを強いる為の枷が無いって事だよね?
 わざわざ、主催に従う意味あるのかな」
「首輪が無いからって、連中と正面からぶつかっても勝てそうに無いし……」

見た目のわりにリアリスト……いや臆病と捕らえるべきか。
まどかの見た限り自分の意思、信念というものが感じられず。ただ死んだ本体と主催の敷いたレールに乗っているだけ。
聞いた限りでは、分身として本体の命令をこなす事が常だった様子だ。仕方の無い事かもしれないが。

(でも中々いい駒になるかも)

だからこそ扱いやすい。
下手にまだ自我を残しているほむらより、アサシンは何でもこなしてくれるだろう。
場合によってはほむらを切り捨て、アサシンと組んでいくのも悪くは無い。

「良いよ。一緒に組もうか」
「まどか?」
「大丈夫大丈夫。ほむらちゃんは私の言う事を聞いてればいいから」
「これからよろしくね」

こうして暗殺者の少女とクズな少女が交わった。

397三人寄ればなんとやら…… ◆FbzPVNOXDo:2013/11/25(月) 18:18:31 ID:cBIGzozY0


【E-7/1日目・午後】


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ(クズなまどかシリーズ)】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(中)、気絶
[装備]:ソウルジェム 、螺湮城教本@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式×2、キングクリムゾン(残り3回)@ニコニコ動画、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:ゲームからの生還
1:アサシン、ほむらちゃんと一緒に行動。あまり役に立たないようなら捨てる。
2:利用できる者は利用し、邪魔になる者は殺す。士、メイトリックスはいずれ殺す。
3:行動に出る際はパッチを利用してなるべく自分の悪評が広がることはないように動く。
4:海魔召喚のための餌も探す
5:ほむらの仮説を確かめる為に生きた参加者で実験する。その為に手頃な参加者を捕獲する。
6:優勝も視野に入れなきゃかな……。
※クズなまどかVS逆襲の魔法少女スーパーさやかちゃん【前編】直後の参戦です。
※さやかの体が鬼柳京介になっているのを知りました。
※螺湮城教本は制限により海魔の現界、術者の魔力補給、本体のダメージ修復等の同時運用は出来ません。
※制限として海魔の最大同時現界数は五体までしか出せません、また能力も下方修正されています。
※AV動画オールスターセットの動物はもう残っていません

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(大)、マドカァー 、ヤンデレ状態、ほむトキ
[装備]:ソウルジェム、バルメM78(36/40)@コマンドー、ストライカーユニット@ストライクウィッチーズ、世紀末魔法少女パッチ@MUGEN
[道具]:基本支給品一式、キャベツ@夜明け前より瑠璃色な 〜Crescent Love〜、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本思考:まどかに全てを捧げる。
1:何があってもまどかを守る。
2:どんなことをしてもまどかに認めてもらう。
3:もう役立たずだなんて言われたくない。
4:まどかに危険を及ぼしうるものは全て排除する。
5:北斗神拳を使い秘孔を突けば首輪が外れるんじゃ。
6:自分の仮説を確かめる為に生きた参加者で実験する。その為に手頃な参加者を捕獲する。
7:何か大切なことを忘れている気がする。

【アサシン(少女)@Fate/Zero】
[状態]:首輪なし 、疲労(中)
[装備]:ウィンチェスターライフル(1/7)@うみねこのなく頃に
[道具]:基本支給品一式、十六夜咲夜のナイフ×3、イカ娘の支給品(ランダム品1〜3)
ゴンさんのデイバック(ヴェルタースオリジナル一袋@現実、スタングレネード×5@現実、コンコン@JAPAN_WORLD_CUP
キャラ改変パッチ@MUGEN、ランダム支給品(0〜2))
[思考・状況]
基本:参加者の皆殺し、主催者も殺す。
1:まどか達と組む。
※基本的な固有スキル(気配遮断など)は受け継いでいますが、身体能力は人間レベルしか振り分けられていません
※分割によって首輪がなく、制限は解除されました

398 ◆FbzPVNOXDo:2013/11/25(月) 18:19:05 ID:cBIGzozY0
投下終了です

399名無しさん:2013/11/26(火) 00:34:59 ID:i0.BzQE.0
投下乙です

屑まどかに更に手駒が増えた、それぞれの思惑を胸にトリオを組んだが…
みんならしい行動取ってるなあ…w

400 ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:20:31 ID:InhDw1D60
投下します

401お前に夢中だ!! エイラァァァァァ!!! ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:23:24 ID:InhDw1D60
「えーと学校ってこっちで合ってるよな!」
「た、多分……ぐっ」
「悪ィ、傷口に響いちまったのならすまねえ」

サーニャを背負いながらも学校に向かって行くカズマ。
シェルブリット第二形態はその速度こそ、影すら追いつかぬといわれる程の速さを誇る絶影すら捉えるほどだが
しかし、絶影と違い揺れや振動は激しい。つまりそれで飛んでいるカズマ本人はともかく、乗っているサーニャからすれば非常に乗り心地が悪い。
怪我さえしなければ程々のスリルが味わえ楽しめたかもしれないが、腹に穴が開いていてはそうもいかない。

「ベネっなんとかも、近くに医者ぐらい置いとけよな!」

それじゃ殺し合いになりませんよね、と突っ込む体力も無いサーニャがグッタリとカズマの背に寄りかかる。
さて、いよいよこれは手遅れかとカズマが焦りだした時。

「うお、人間が空飛んでる!」
「リュウセイくん? 馬鹿いっちゃあいけない……うわ!
 空飛ぶ人間、ジュラル星人に違いない!!」
「落ち着きなさい貴方達は。トイズを使えばあれくらい訳ありません」

露出度の高い女に二人の少年の姿が見えた。
こちらの姿を見て困惑している様子だが、今はそれに構っている暇は無い。

「おいアンタ達! 誰か医者は知らねえか!」
「!? 貴方は……」



――――

402お前に夢中だ!! エイラァァァァァ!!! ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:23:59 ID:InhDw1D60


「悪いなアンタ。
 それにしても、ホテルの時と違ってなんでそんな格好してんだ?」
「まあ、色々事情がありまして。それよりも貴方首輪は?」
「爆発した瞬間にアルター化して何とかした」
「は?」

サーニャの傷を手当するアルセーヌにカズマは礼を言う。
アルセーヌとカズマが互いに面識があったのが幸いした。
ジュラル星人だと騒ぐキチガイを抑え、何とか戦闘に入ることだけは回避できた。
その後、背のサーニャに気付いたアルセーヌが応急手当をしたお陰でサーニャも一命は取り留められた。

「ところでお前ら、アカツキとかいうのに会ってないか? 学校に行ってるらしくてよ。
 俺もそいつらと会う為に、そこに行かなきゃならねえんだが」
「へえ、それで学校に行くのか。俺は絶対に行かないけどな」
「うんあそこには狂った殺人鬼が居るからね」
「何の話だよ?」

リュウセイと研の会話の意味が分からないカズマが疑問を口にすると二人は揃って「四人殺した殺人鬼が居るから」と言う。
ますます分からなくなったカズマが、更に聞き込んでくるとかわりにアルセーヌが答え始めた。

「放送で呼ばれた聖白蓮、有野晋哉、エイラ・イルマタル・ユーティライネン、速水もこみち。
 この四名が恐らくは学校に居た殺人鬼に……」
「強いのか? そいつは」
「……姿が見えません。正確には、一部の者には見えるようですが。
 更に狡猾で頭も回るでしょう。これだけの殺戮をしているのですから」

カズマは舌打ちをする。
面倒な事になった。どうやら、アカツキ達はそんな魔窟に向かっていっているらしい。
単純に強いだけならともかく、頭を使うタイプとなるとカズマも無闇に突っ込む訳にもいかない。
無論、己の拳だけで切り抜けられるという自身はあるが、他の連中が妙な事になっていては厄介だ。

403お前に夢中だ!! エイラァァァァァ!!! ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:24:31 ID:InhDw1D60

「なあ、俺の連れてた姉ちゃん頼めるか?」
「どういう意味です」
「その殺人鬼って奴を潰しに行く」
「それは……少なくとも作戦を立ててから……」
「んな悠長な事言ってる場合じゃねえんだよ。
 一応、アカツキとかいうのに会っとかなきゃいけない訳だしな」

カズマとアルセーヌが口論を始めた横でリュウセイと研が違和感に気付く。
アルセーヌに治療を施され、横になっていたサーニャが居ないのだ。
可愛い女の子には、それなりに目が無いリュウセイと研だからこそ真っ先に気付けた。

「おい、あの姉ちゃん居ないぞ」
「なっ?」

リュウセイの報告でアルセーヌとカズマは初めて事態に気付く。

「多分、仇討ちじゃないかなあ。あのお姉さん、エイラって名前を聞いた瞬間血相変えてたしね。
 復讐からは何も生まれないというのに」
「お前、割と私怨で動いてる気がするんだけど……」
「」
「失礼するなあ!」
「今の間なんだよ」

呑気に自分の推測を語り始めた研に突っ込みを入れるリュウセイを余所にカズマは解いたアルターを再構築する。

「ちょ、ちょっと貴方! まだ作戦が……」
「ケイネスっておっさんとランサーって兄ちゃんは殺し合いに乗ってねえ!
 アカツキとかいう連中もだ。後は青い巨人に気を付けろ! 何か怪我したら、そいつになるかもしれねえんだと!」

どうにも時間は相当無いらしい。
とっとと殺人鬼とやらをぶちのめし、サーニャを連れ戻すしかなさそうだ。

404お前に夢中だ!! エイラァァァァァ!!! ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:25:04 ID:InhDw1D60

「じゃあな。あとはまどかとかいうガキにも気をつけとけ!」

再構成されたシェルブリットを大地に叩きつけカズマは加速する。
その姿を見送りこそすれ、リュウセイと研は追いかけることはしない。

「殺人鬼か、許せないけどジュラル星人じゃない人にアルファガンは使えないからね」
「いや使ってたろ?」
「それより早くシャロちゃんと早苗さんって人に会いに行こうよ!」 
「そうだな。権兵衛や海東さんなら、あの殺人鬼も倒せるだろ。
 何せ仮面ライダーだからな、うん。早く会ってあの殺人鬼を倒してもらおうぜ!」
「ちょっと貴方達待ちなさい!」

そう言い走り出す研とリュウセイ。
カズマを気にしつつも二人を追いかけるアルセーヌ。

お姉さんがショタ二人を追いかける構図って結構あれだよね。

405お前に夢中だ!! エイラァァァァァ!!! ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:25:49 ID:InhDw1D60
【D-03/一日目・昼】


【アルセーヌ(アンリエット・ミステール)@探偵オペラミルキィホームズ】
[状態]:健康、アルセーヌの怪盗服
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム品×1、 シャロの探偵服@探偵オペラミルキィホームズ
[思考・状況]基本思考:殺し合いを壊し主催から願いを叶える方法を盗み出す。
0:シャロと合流。
1:施設を巡り調査する。
2:シャーロック・シェリンフォードを探し出す。
4:アルセーヌとして行動するが、協力者を集める。
4:男声の女(譲治)とロックオンを警戒。
5:自分の推測が正しいか確かめる為、情報を集める。
6:黒幕は神……そんなわけないですわね。
7:オリーブオイルを一応探しておく?
8:頭の中に爆弾がある事も考慮。
※幻惑のトイズは制限により弱まっています(具現化も不可能)。
※トイズの制限に気付いています。
※デッドライジング、スクライド世界の話を聞きましたが半信半疑です。
※有野、もこみち達と情報交換しました。


【泉研@チャージマン研!】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、気絶
[装備]:スペクトルアロー(ランダム品3つ扱い、2時間変装出来ません)@チャージマン研!
[道具]:基本支給品、ランダム品無し
[思考・状況]基本思考:主催者及びジュラル星人、殺し合いに乗ったキチガイ参加者を全て滅ぼす!
0:シャロ達(面識なし)と合流。
1:ありがとウサギ(名前を知らない)、ムラクモを倒す(特にムラクモの計画は必ず阻止する!)。
2:変装できない間、身を守れる武器を探す。
3:間違いない。黒幕はジュラル星人だ!
4:頭の中に爆弾が!
5:ジュラル星人め許さないぞ!
※全てジュラル星人の仕業だと断定しました。(真相は不明)
※頭の中に爆弾があると断定しました。(真相は不明)
※ジュラルの魔王が生きていると断定しました。(真相は不明)
※有野達、アルセーヌと情報交換しました。


【天野河リュウセイ@人造昆虫カブトボーグV×V】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、左肩に刺し傷、オリーブオイル臭い
[装備]: トムキャット・レッド・ビートル@人造昆虫カブトボーグV×V
[道具]:基本支給品、スコップ@現実
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗るつもりはない。
0:シャロ達と合流。海東ににとり(名前は知らない)を倒してもらう。
1:もこみち死んだのか。
2:ケン、勝治…… 。

406お前に夢中だ!! エイラァァァァァ!!! ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:26:22 ID:InhDw1D60


【カズマ@スクライド】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、激しい怒り、首周りに少し焦げ跡、首輪解除
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、ケイネスのメモ、ランダム品0〜1
[思考・状況]
基本:気に入らない奴はとにかくぶん殴るが、あのせこい男(サリー)の言いなりになるつもりはない。
0:エイラを追いかける。殺人鬼(にとり)もぶちのめす。
1:このバトルロワイアルとやらを破壊するためにも、せこい男(サリー)の思い通りにさせない。
2:男声の女(譲治)とフランクを撃った男(ロックオン)、野獣先輩を警戒。場合によってはぶちのめす。
3:雛子、響、アカツキ(名前を知らない)にケイネスのメモを渡す為、学校に向かう。
4:ケイネスに言われたので、化け物については一応気を付けておく。
5:まどかは次会ったらぶちのめす。ほむらのまどかへの態度が気に入らない。
※ミルキィホームズとデッドライジングの世界を聞きましたが、何処まで覚えてるか不明です。
※少なくとも参戦時期は君島死亡後です。
※ケイネスのメモには、ケイネスが立てた青鬼増殖の仮説。
 それと雛子、響、アカツキの名前が書かれています。


【サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、魔力消費(微) 、精神的な落ち込み、腹部に重傷
[装備]:★Rock Cannon@ブラック★ロックシューター、黒猫のゴスロリ服@俺の妹がこんなに可愛いわけがない
[道具]:メントスコーラ(空)@コーラを開けるとメントスが落ちるトラップの作り方、
    DMカード『スターダスト・ドラゴン』@遊戯王5D's
[思考・状況]:殺し合いには乗らずゲームを打破する
1、エイラの仇を討ちに学校に行く。
2、知り合いが居れば合流する
3、ストライカーユニットとフリーガーハマーが有れば入手したい
4、殺し合いに乗ってない参加者が居れば合流したい
5、まどか達を警戒

407 ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 20:27:17 ID:InhDw1D60
投下終了です
タイトルはガンソードというアニメの主人公が発した台詞を一部改変したモノを引用しました

408 ◆FbzPVNOXDo:2013/12/08(日) 22:47:36 ID:InhDw1D60
すいません修正です
【D-03/一日目・夕方】

409名無しさん:2013/12/09(月) 00:07:49 ID:ZuIFeMGo0
投下乙です
ただでさえ重傷なのににちょりのとこ行くのはやばいなあ……
指摘ですけど、カズマの状態表の思考0はサーニャの間違いかな?

410 ◆FbzPVNOXDo:2013/12/09(月) 00:11:53 ID:EW4QD44g0
やっちまった
そうですサーニャです
修正版です

【カズマ@スクライド】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、激しい怒り、首周りに少し焦げ跡、首輪解除
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、ケイネスのメモ、ランダム品0〜1
[思考・状況]
基本:気に入らない奴はとにかくぶん殴るが、あのせこい男(サリー)の言いなりになるつもりはない。
0:サーニャを追いかける。殺人鬼(にとり)もぶちのめす。
1:このバトルロワイアルとやらを破壊するためにも、せこい男(サリー)の思い通りにさせない。
2:男声の女(譲治)とフランクを撃った男(ロックオン)、野獣先輩を警戒。場合によってはぶちのめす。
3:雛子、響、アカツキ(名前を知らない)にケイネスのメモを渡す為、学校に向かう。
4:ケイネスに言われたので、化け物については一応気を付けておく。
5:まどかは次会ったらぶちのめす。ほむらのまどかへの態度が気に入らない。
※ミルキィホームズとデッドライジングの世界を聞きましたが、何処まで覚えてるか不明です。
※少なくとも参戦時期は君島死亡後です。
※ケイネスのメモには、ケイネスが立てた青鬼増殖の仮説。
 それと雛子、響、アカツキの名前が書かれています。

411名無しさん:2013/12/09(月) 22:27:00 ID:9iM4/.Jc0
投下乙です

状況的に色んな意味で気になるぜ
復讐の為に動くサーニャにそれを追うカズマ
それ以外に研らみたいな不安定要素もどう動くかw

413名無しさん:2013/12/14(土) 00:12:34 ID:C4X26eTY0
投下乙です。

空飛ぶ人=ジュラル星人という訳ですね。わかります!

研といえば研の状態が気絶になっていますよ?

414名無しさん:2014/01/07(火) 06:20:00 ID:dGJZo3YY0
◆FbzPVNOXDo氏はなんか全体的に一人で死なせ過ぎじゃない?
齟齬無く描写できててもさすがにそろそろ違和感を感じる
書いてる人一人だけだから展開を急ぐのも分かるけど

415名無しさん:2014/01/07(火) 10:50:08 ID:ox0.jdEo0
じゃあ書きに来いよ
書いてる人一人だからって理解してるなら尚更
正直一人でこの人数を捌ききるのには限界あるし

416名無しさん:2014/01/07(火) 21:38:50 ID:dGJZo3YY0
書いた所で死んだキャラほいほい生き返らせたりするわけにはいかんでしょ
それこそさらに◆FbzPVNOXDo氏に負担掛ける事になる
何よりそういった展開を自分で捌き切れるような力と時間があるならとっくに書いてる
書かない奴が上から目線云々言われればそれまでだけどさ

417名無しさん:2014/01/07(火) 22:27:26 ID:M1y2c8gs0
負担掛けたくないなら黙ってろよ
そういう野次一つで書き手は書く気無くすもんなんだぞ

418名無しさん:2014/01/08(水) 05:53:26 ID:8kG4//8c0
展開急ぎ過ぎって言われても別に48時間使い切る必要ないと思うんだ

419名無しさん:2014/01/08(水) 06:54:13 ID:OxzzVFf60
>>416
今度余計なこと言ったらその口縫い合わすぞ

420名無しさん:2014/02/09(日) 23:38:54 ID:JucjRKF20
やっぱ終わってたか
少し期待してたけどまあキャラ選から微妙だったし仕方ないと言えば仕方ないかもなあ

421名無しさん:2014/02/10(月) 19:31:32 ID:c2rppZpg0
何というか大御所がいないんだよな
うまく言えないが

422名無しさん:2014/02/10(月) 20:22:35 ID:B8fBQD4c0
今度余計なこと言ったらその口縫い合わすぞ

423名無しさん:2014/02/10(月) 22:33:36 ID:j4AiwGH60
連れを起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる

424名無しさん:2014/02/11(火) 07:11:21 ID:Sk41RheA0
ソートシトキマショソート

425名無しさん:2014/02/11(火) 07:52:18 ID:O5OEipDc0
「今度余計なこと言ったらその口縫い合わすぞ」←これすき

426名無しさん:2014/02/12(水) 13:38:54 ID:CXDs8KOI0
書き込みあったと思って来たらよく解らん事になってるな
これでもまだ書き手を期待してるんだぜ

427名無しさん:2014/02/12(水) 23:22:45 ID:qf3Et6Z60
期待するなら誰でも出来るんだよな
先ずは書いてみたらどうでしょう

428名無しさん:2014/02/13(木) 00:28:53 ID:0fdPflRk0
誰にでも出来る事しかできないんだよ
すまんね

429名無しさん:2014/02/27(木) 00:18:19 ID:Tq2K7uN.0
そんな自分にむかっ腹。

430名無しさん:2014/03/31(月) 06:35:43 ID:wrQ5F47I0
書きもしない癖に最後に残った書き手にすらあーだこーだ言う奴ばっかじゃそりゃ書き手は去るし来もしないわな

431名無しさん:2014/04/06(日) 00:15:53 ID:Mf0nyUM20
あーだーこーだー

432名無しさん:2014/12/31(水) 12:32:47 ID:zT2YVIh20
仕事とかで半年くらい来てなかったが案の定止まってた…
書き溜めてたネタあったんだけどな…

433名無しさん:2014/12/31(水) 22:46:14 ID:p8VSLQRU0
おかえり
溜めておくなんて勿体無い、今すぐ投稿すべき

434 ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:30:19 ID:Bp792GWg0
ただいま
弔いがてらに投下しておく
酉は適当

435大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:32:29 ID:Bp792GWg0
「だめか…」

アリアスの死亡後、依頼人との連絡を試み続けていたベネットであったがこの数時間全くの応答がない。
もしかすると定時放送の際以外依頼人への通信は受け付けない仕様なのかもしれない。
静寂の中、そういった憶測がベネットの脳をよぎる。
この半ば崩壊しかけたゲームバランスといい、それに無介入な依頼人といい、ベネットの不信感は募るばかりである。
思索するベネットが通信をあきらめかけたその間、無機質な人口音声が静けさを破り部屋に響く。

「…聞こえているか」

依頼人である。
人口音声とはいえその声色を聞き間違えるはずがない。
その声を聞いた瞬間ベネットの頭上に「!」が浮かび上がりそうになったのは言うまでもない。
即座にマイクを手に取り応答する。散々待たされた憤りからか、その声は少々荒かった。

「ああ、聞こえているぞ。今になって返事が来るとはな」
「その声調子なら前置きは不要だな。これよりゲームバランスの調整のために臨時の措置を行う」
「臨時の措置?」

ベネットが反芻する。
ゲームバランスについてはベネット含め3人とも気にかけてはいたし、依頼人がそういった物に対する解決策を考えている可能性も憶惻の内であった。
しかし、自分たちを生き返らせるような超常的なまでの力を持っているが故、そう言った問題への解決手段については全く予想がつかなかった。

「措置の実行に関してはクックに任せてある。そちらにはその実行内容を定時放送の際に知らせてもらいたい。内容に関しては措置の実行後でクックがそちらに向かうので彼から聞くように」
「クック!?あいつもいるのか」

見知った人間の存在を知り、思わずベネットは聞き返す。
クックとはアリアスが雇っていた元グリーンベレーの人間だ。
部下の殺害によりメイトリックスの居場所を炙り出す作戦に協力し、自身の死亡トリックにも加担してくれた。
その後は自分の与り知るところではないがおそらくは自分と同様メイトリックスに殺害されたと考えている。
この件で自らが蘇生されたように彼もまた蘇生された可能性も考えていたがなぜかこの場には居合せていなかった。

436大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:33:35 ID:Bp792GWg0


(っと、考えてばかりもいられねぇな、聞く事聞いとかねぇと)

ベネットはここまで情報ばかりを与えられていたが、ここに来て依頼人との連絡を試みた理由を思い出した。
もこみちやカズマが首輪を外したことが、想定内なのか想定外なのか。
主催側と内通した参加者が二人とも死亡してしまったが、ゲームの進行に影響はないのか。
青鬼や少女アサシンなど参加者でも支給品でもない人物が独立して参加者を殺害することは、問題ではないのか。

そして、この殺し合いの目的は一体なんなのか。


「それと…聞きたい事がいくつかあるんですが」
「悪いが質問は受け付けていない」


即答。そして拒否。
同時に通信が断ち切られる。この間、僅か0.1秒足らず
それは曲がりなりにも軍人であったベネットでさえ、反論の隙を得るには短すぎる時間であった。



【ベネット@コマンドー】
[思考・状況]
基本思考:殺し合いの進行。メイトリックスへの復讐。
0:依頼人の素性が気になる
1:アリアスの死体はどこに置いたんだろうか


【エンリケ@コマンドー】
[思考・状況]
基本思考:殺し合いの進行。メイトリックスへの復讐。
0:監視の続行


【サリー@コマンドー】
[思考・状況]
基本思考:殺し合いの進行。メイトリックスへの復讐。
0:監視の続行

437大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:35:07 ID:Bp792GWg0




---




(何だこいつは…?)

禍々しい肩パッドの付いた男・ジャギは、こちらに歩いてくる目の前の物体に対してそこはかとない好奇と、いい知れぬ戦慄を抱き、そんな言葉を心の中でつぶやいた。
その反応の対象こそがブルーベリーみたいな色をした全裸の巨人こと、他ならぬ青鬼である。
ジャギは当然ながらその異様な風体からあの男の言っていた青色の巨人はこいつの事だろうと確信した。

(こうもやすやすと的が来てくれると嬉しい物だな…だが)

少しタイミングを考えてほしかった。そうも都合よくいかないのが現実ではあるのだが。
腕の応急処置こそ済ませてあるものの、立て続けの戦闘はかつての北斗神拳伝承者候補()であろうと少なくないダメージになり得る。
先程までのような対主催をほざくようなゲームに乗る気のない参加者を不意打ちすれば少ないエネルギー消費で殺せるし、派手な戦闘を起こさない分、周囲に警戒されづらい。
怪我に関してもマーダーと戦って撃退したが相応の傷を負ったと適当な題目でも述べておけば、治療を他人に任せつつ隙を作りやすくなる。
だが目の前の巨人は違う。アカツキの言う分には話の通じる相手ではないと聞かされたし、
ジャギ自身も見た目からして小細工の効かなさそうな相手とわかる。
正々堂々と戦う形になってもケンシロウと戦うまでは時間も含めて消耗は最小限に押さえたい。

そうなれば、短期決戦が望ましい。
自分にはそれだけの力がある。
その間にも、巨人は歩みを緩めず近付いてくる。


「北斗…」


ジャギは腰を落とし、技を構える。

青鬼はジャギににじり寄りつつ、僅かながら笑みを浮かべ不気味な口をゆっくりと開く。


「千手殺!!!」


青鬼はただ一言も言葉も単語も発さず、ただジャギを補食するために腕を広げて襲いかかろうとした。
そこに食欲以外の一切の感情はない。故に青鬼は恐怖を生む。

対するジャギは空中に飛び上がり貫手の構えで相手を高速で突く北斗千手殺を放った

438大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:36:15 ID:Bp792GWg0


貫手が青鬼の額を突き刺す。
それは額を砕くには至らないがわずかに青鬼の動きを阻んだ。


貫手が青鬼の頬を突き刺す。
それは頬を砕くには至らないがわずかに青鬼の口を遠ざけた。


貫手が青鬼の顎を突き刺す。
それは頬を砕くには至らないがわずかに青鬼の体勢を乱した。


青鬼は貫手に阻まれながらも怯まずジャギを補食しようと口を近づける。

この技は元より秘孔を狙った物ではないが、ケンシロウにも一定のダメージを与えられた。
しかし、この巨人の表皮は途轍もなく固く、怯むどころか呻き声一つあげない。
それでも、ジャギは手を止めなかった。

今までの彼ならば、手を止め取引だ等と理由を付け如何にも小物らしく命乞いをしていただろう。
まさに世紀末の悪党に似つかわしくない行動である。
彼自身に自覚はないが彼の心には慢心とは異なる魔法戦士としての「何か」が芽生え始めていた。

わずか数秒の出来事ではあったがジャギにはこの瞬間が一日よりも長く感じた。


ジャギは後悔した。
話の通じない相手とはいえもう少し敵を見定めておくべきであった。
だが同時にそれはジャギにある種の高揚感も生んでいた。
こういう一筋縄では行かない奴もいる。
こういう奴になら、殺されても納得がいく。

このゲームには殺しがいのある奴がたくさんいる。

楽しい。

ワクワクする。

「立て続けのピンチってのも面白ェな」

今、ジャギのその目は歪んだ殺人者の顔とは到底相応しくない、好敵手を求めて放浪する格闘家の目をしていた。



ジャギは地に斃れたブルーベリーみたいな色をした全裸の巨人を一瞥し、無意識に頭を下げた。
それはかつてのジャギにはあるまじき動作であった。

439大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:37:35 ID:Bp792GWg0

〜〜〜



「クソッ…あいつまだ…」


猛スピ−ドで走るオデッセイの中で物言う上半身、プラ/シドは苦悶の表情で車のドアをたたく。
響に抱かえられている時、確かに鬼子は自らの足で立って、こちらを見ていた。
だがその顔は、先ほど突如森林から現れ、雛子を補食した青い異形の巨人の顔をしていたのだ。

一気に4人の仲間を失った。これで振り出しである。
しかし参加者の人数自体は減っているので仲間を再び集める難易度は格段に上昇している。


仲間を、愛する者を、失う事なんてもうとっくに慣れていた。

もはや失った物の大小すらわからない。

一体自分はこれまで何を失ってきたのか。

この戦いで何を得たのか。

この現実を受け入れる事は断じて易い物ではない。

だが、悔しがってばかりもいられない。

せめてでも敵の素性を知り得なければ犠牲者は犬死になる。
プラシドは未知の敵に対し、正体を考察する。プラス★思考

(あいつらは、_繁殖あるいは増殖をしているかもしれない)

不意に頭の中でアカツキの言葉が木霊する。

青鬼にはおそらく何らかの能力がある
あの鬼が鬼子の姿をしていた点を踏まえて考えられるのは他者を洗脳する能力。
だがそれなら何故、アカツキやジャギのようなより戦力になりそうな者を洗脳しないのか。
次に不完全ながら他者のコピーを生み出す能力。
これも上と同じ理由である。仮に生み出した者の能力が自信と同じであるとしてもわざわざ鬼子を選ぶ必要はないはず。
あるい他者に擬態する能力。
夜間ならともかくも昼間にあんなブルーベリー色の肌をしていたらバレてしまう。何よりそれは増殖とは言えない。この可能性も低い。

最後に、一番考えたくないが補食、殺害した者を同胞にする形で増殖する能力。
しかしながら現状では状況からしてこの仮説が最も有力と言える。
この説が正しいとすれば非常に厄介だ。おそらく補食された雛子もやがては青い異形の巨人に成り果てるだろう。
もし、鬼子だったアレにも同等の能力が備わっているとしたら響も同じ運命を辿る事になる。
そうなればこの近辺には青鬼が4体も存在する事になる。仲間を四人も失った以上、こうなってしまっては現状ではもはや手がつけられない。

440大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:38:24 ID:Bp792GWg0

ここでプラ/シドはもう一つの事実に気づく。
日は西に傾き、すでにゲーム開始から15時間近く経過している。
これまでの定時放送で青鬼の名は2回呼ばれている。
これは少なくとも青鬼による犠牲者が雛子が喰われるまでに2人もいた事になる。
他に青鬼となった犠牲者がいても何ら不思議な事ではない。

真に危険な人物は司馬宙を殺害した巨大ロボットでもなく、厳ついマスクと肩パットのジャギでもなく、青鬼であった。

何にせよここにいては危険である。一刻も早く他エリアに移った方が良い。
そう一時的に結論づけたが、さすがに行く宛て位は決めておきたかった。
だがそのためには現在地の確認も含めて地図を見直さなければならない。
地図は最初に乗り合わせた際プラ/シドになる前にダッシュボードの上に置いたのだがこの体では手が届かない。
と言うのも、

下半身がない。
シートベルトは未着用。
ルカの錯乱運転。

これにより、乗せるときこそ無難な感じであったが、いまでは座席の上に仰向けになり起き上がる事も出来ないという無理な体勢なのである。
人間が仰向けから起き上がる際は少なからずとも腹筋や背筋を使用する。それらを全く使わず手だけで起き上がるのはそれなりに難しい。
そういった筋肉の多くは下半身の骨と健で繋がっており、ロボットとは言えど下半身がないプラ/シドはそういった状況に置かれているのだ。
ましてや車の座席の上という狭い場所に置いてはそれはより困難を極める。
故に地図はルカに取ってもらうしかなかった。
前も録に見えない体勢のままプラシドはルカに話しかける。


「おいルカ」




「…伏せろ!」

441大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:39:28 ID:Bp792GWg0


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空も赤く色付き始める頃、赤ヘルメットの魔法戦士は道を引き返し、西へ向かっていた。
つらくも何とか撃退した青鬼であったが、遺体を見るとデイバックはおろか首輪さえ付いていなかったのだ。
治療薬の類いが無い事以前に戦利品自体が勝利以外に何も得られなかったのは、彼に大きな徒労感を生んだ。
なんにせよジャギは休息の場が欲しかったので地図を確認したところ、少し北にワグナリアという施設がある事に気づく。
運良くこの場所からも一部を視認できた。
近場とあらばすぐに向かいたい所なのだがそうも行かなかった。禁止エリアの存在である。
ジャギの存在するC-05は17時から禁止エリアに指定される事になっている。
すでに夕暮れが近づいているこの状況でこの場所でゆっくり休んでいては首が吹っ飛んでしまう。
朝方立ち寄った神社も禁止エリアに指定されており、時間的にもう入れなくなっているだろう。
なぜか奇妙な事に自分の近くに存在する施設のあるエリアが3つも禁止指定されてるのだ
ここでジャギの目についた施設が小学校であった。

(ここなら休めるかもしれねぇな…)

小学校と言えば災害時の避難所という印象がある。
このゲームの場に何故そんな物が設置してあるのか全くの疑問だったが身を休めるにはうってつけである。
もしかすると殺し合いに反対する参加者達が拠点にしている可能性もある。
そうとあらばこの体は好都合だ。怪我人という弱者を装えば付け入る隙も生まれるというもの。
青い化け物を倒したという事実を餌にヒーローを騙れば周囲の信用も得られるだろう。
とは言えこの作戦には2つ問題点がある。

まず、自らを貶めた女と犬である。
自分の素性を知っている以上、あの二人に先に学校に来られていた場合、上記の作戦は破綻する事になる。
後から来たなら「仲間」に嘘を流し込んでやればいい。

次にケンシロウである。
当然ながら鉢合わせする事自体が不味い。
どのタイミングで学校に来ても戦闘は避けられないだろう。

ここでジャギは昼頃出会った人物の話を思い出す。
あのやたら怖い顔をした女はケンシロウを「危ない奴」といっていた。
単純にあの女がケンシロウと敵対していただけなのかもしれないが、これを利用して適当に話を膨らませれば信用を失う可能性は低い。

442大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:40:22 ID:Bp792GWg0

結果論として以上のデメリットをさし引いても、学校に行かない理由にはならなかった。




「しかし首輪か…」

自らにかけられた枷に指をかける。
先程の青い怪物には無かった物である。
あの時、北斗千手殺による貫手は悉く怪物の強靭な表皮に阻まれ、歩みさえ止める事が出来なかった。
もし、怪物が自らを補食せんと口を大きく開いた時、口腔内が表皮に覆われてない事に気づけなかったら
もし、自分が咄嗟の判断で貫手の狙いを怪物の口内に集中させていなかったら

自分もまた餌にされていたであろう。

今まで彼は殺した物の事を気にかけるなど毛ほども無かった。
しかし今回ばかりは気になる。
参加者名簿を見るにあの青い怪物には「青鬼」という参加者の単語がそっくり当てはまる。
だが「青鬼」という奴は2回目の放送までに誰かに殺されているはずなのだ。

そうなると考えられるのは誰かの支給品だ。
あの怪物が誰かに命令されて動く傀儡の類いならデイバックも首輪も無い事に合点が行く。
一方で疑問も浮かぶ。支給品だとしたらこんな凶悪なアイテムがあっていいのか?
自分への支給品の外れ具合を根拠として参加者の能力差を埋めるために支給品が存在しているにしても、
先程確認した自分が殺めたアカツキという軍人のデイバックには重火器の予備弾薬とよく解らない鍵とカラのもう一個のデイバックのみである。
軍人である奴に弾薬が配られたとあればその仮説は消える。物々交換を行った可能性もあるのだが。
重火器の予備弾薬は素直に有り難かった  …その重火器さえあれば。
現状では宝の持ち腐れだが持っておく事に損は無い。
「こんなところ」のタグが付いた鍵束は完全に謎である。こんなところとはどんなところなのか。
カラのデイバックに関しては完全に必要ないと判断し、途中で捨て置いた。
ともかく能力の強弱で支給品の強弱が変わる可能性は無いだろう。

あるいはそう都合の良い物ではないのかもしれない。
例えば支給者本人にも制御が効かない代物である可能性もある。
自分に支給された物のようにデイバックから得られる物が必ずしも支給者にとっていい物であるとは限らない、その延長線としての考え方である。
ただそれで良いのだろうか。
もし、支給品が自立して殺害を続け優勝してしまったらどうするのか。
もしくは自分のような人物に倒される事を敢えて想定した上で支給しているのだろうか。

443大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:41:45 ID:Bp792GWg0



青から紫、紫から橙の夕空のグラデーション。
夕日に照らされ、紅く染まる木々。
この場がバトルロワイヤルという殺し合いの場所でなければそれは幻想的かつ日常的なさぞ平和な風景であった。
だが、この場であるからこそ「ソレ」は風景の中から唐突に現れた。
ジャギでさえもいい知れぬ戦慄を抱かせた青の異形―。


何時の間にここに。どうやってここまで。倒した筈なのに。
その光景に疑問と驚愕が突沸する。


青鬼は、巨大な口を開けジャギの頭をヘルメットごと食い千切らんと迫る。
その早さは獰猛と知られるヤゴの補食でさえも霞んで見える程である。

その凶悪な牙は、ジャギの首筋の肉を―




突き破……らなかった。




人は、あまりにも悲しい時、強すぎる怒りを覚えた時、この上なく面白い時、比べようが無いほど驚いた時、却って無表情になるという。
ジャギもまたこの驚愕のあまり、却って冷静を保てていたのだ。

絵に描いたような間一髪の状況でジャギは頭を引っ込め、ヘルメットに抉り傷を作りながらも凶悪な牙から逃れた。

「てめェ、まだ生きてたのか」

すかさずローリングで距離を取りジャギが言う。
やはり青い巨人は答えない。無言で不気味な表情をして迫るのみである。

(北斗千手殺でも為留められなかったか…面倒くせェなぁ)

ジャギとしては学校に到着さえすれば良いのだが、いざという時の為にそれ也の体力を残しておきたかった。
それならば、今は撤退を強いられるだろう。
走る事は避けられないがこのまま戦うよりはマシである。戦闘が長期化すればジリ貧にもなりかねない。
元は世紀末な小悪党である為かそういった判断への実行は素早かった。

444大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:43:33 ID:Bp792GWg0


「悪ィが今は逃げさせてもらうぜ!決着は後でな!」



そういってジャギは鬼に背を向け、全速前進!した。




+++



「ふゥ、見えたな、あれが学校か」

校門まで数百メートル、ジャギは小さな声で呟く。
青い巨人もそろそろ撒いたと思いジャギが足を緩める。
息こそ切れていないがジャギは初めて全身全霊で走った気がした。

ジャギはこのゲームに参加してから奇妙な気分に覆われつつあった。
今までこんな相手の事を考えた戦いをした事があっただろうか。
今までこんなにも計略と考察を重ねたことがあっただろうか。

それがジャギのQMZの力の目覚めと自覚する事はなかったのだが。


「見る限り人気は無いな」

近くで学校を見た第一印象。
人や物は見かけによらないというが、初対面の人間や初めて見る物には正直第一印象でしか半断が付かない。
(これにはジャギの外見にも同じ事が言えるが)
とは言え、敢えて人の気配を隠している可能性も十分ある。あまり意味があるとは思えないが。


とにかく、今は中身が重要だ。



そう思ってジャギは校門を開くために手をかけようとして

445大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:44:31 ID:Bp792GWg0


誰かに肩を つ か ま れ た 。



否。



か ま れ た











「………」



もはや驚く事も出来なかった。
痛みよりも驚きよりも全てにおいて疑問が先行していた。
ジャギもまた青鬼同様無言になった。

それは諦念であろうか、後悔であろうか。
もっとも青鬼にとってはどんな事はどうでも良かった。
そこに人があるから喰らう。それだけである。
半ば人の姿をしているが故、そういった歪みがよりおぞましさを増長させているのだ。


ジャギの肩に食らいついた青鬼は顎を開き、肩肉から牙を抜いてより奥に食らいつこうとする。
自らの凶悪な牙で、心臓を貫く為に、

青鬼は最大限まで顎を開き、牙をジャギの胸に突き立てる。
強靭な筋肉さえも青鬼の顎の力には無力であった。




「…後悔も諦めも、しねェからな」




それは、魔法戦士としての抵抗。

446大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:45:20 ID:Bp792GWg0
同時に顎を閉じられる。


牙が心臓を___







貫かなかった。







青鬼の牙が空を千切る。
そのとき始めて青鬼は自分の体の違和感に気がついた。


拘束されている。


青鬼がその事実に気がつくのと青鬼がその空間から断たれたのは同時であった。


異変に気づき、ジャギが振り向く頃には青鬼もそれをつかんでいた「手」も消えていた。


【青鬼3@青鬼】一時退場



【c-03 /1日目・夕方】

【ジャギ@北斗の拳】
[状態]:疲労(大)+奥義連続使用による消耗、ダメージ(大)、全身に爆発によるダメージ×2、QMZの力の目覚め、原因不明の苛立ち、右腕に裂け傷(止血済み) 左肩に大きな噛み傷
[装備]:魔法戦士の衣装一式@QMZ
[道具]:基本支給品一式、音の出るフリスピー@ミツバチ(遊助)
    こんなところの閉鎖病室の鍵の束@チャージマン研!、銃火器予備弾薬セット@オリジナル
    日本酒一升、刃物×2(全て違う種類、そこそこ大きい)
[思考・状況]
基本思考:ケンシロウの名を騙ってゲームに乗る
0:ケンシロウも気になるが、コソコソ見てた奴(譲治)も気になる。
1:参加者を探し、殺す。
2:銃火器がほしい。ガトリングとか。
3:襲撃者(にとり)は確実に殺す。
4:自分をコケにした女と犬(早苗と権兵衛)は許さない。
5:研、リュウセイ(名前を知らない)は次会ったら殺す。
6:奇跡の部屋にある新鮮な血に疑問。
7:右腕と左肩の治療を優先。
8:あの青い奴、さっきのとは何か違う気が…
※青鬼のデイバックがC-04に放置されています
※青鬼の事を支給品の類いだと考えています

447大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:47:19 ID:Bp792GWg0


***



「…伏せろ!」




プラシドがその異変に気づくことが出来たのはこの仰向けの無理な体勢だったからこそであろう。
上しか見えない、しかしそれが最大の不幸中の幸いであった。

…青い巨人という最大の不幸の。

今まで自分の周りで5人もの仲間が失われた。
その悲劇を繰り返さないのは、もはや言うまでもない
プラシドはプラ/シド也に上半身だけの状態でも自分に出来ることを絶えず模索し続けていた。

絶望を一歩分でも遠ざける為に、

希望に一歩でも近づく為に、

多くの仲間を失ってもなお挫けず、

上半身だけになってもなお諦めず、

絶望の未来を変えるため、生き残った仲間の命を救おうとするプラシドのその姿は、正に希望の番人であった。



そのプラシドの希望の声は、しかし手遅れだった。



桃色の人工的な頭髪がプラシドの顔にかかる。

プラシドにはルカの表情を伺い知ることは出来なかった。
なぜなら、ルカが座るべき運転席には、ルカの「体」だけがあった。
胸のあたりまで青黒く染まった首から上の存在しないルカの体が、そこにいたから。

その首無し死体の上に、歪な青の双眸がのぞく、
その双眸の正体こそ二人の仲間を喰らった張本人、青鬼であった。

青の異形は手に入れた餌をさぞおいしそうに咀嚼し、そして飲み込んだ。

ここでプラシドはここでやっと今起こった事を理解した。
それほど短い、一瞬の出来事であった。

448大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:48:18 ID:Bp792GWg0

自分の呼びかけもむなしく、ルカは青鬼に食われた。

プラシドの感情もまた、ルカを救えなかった事への絶望より、疑問が先行していた。

オデッセイの天井を破るまで音もしなかった。いつの間にここに。それだけの力があるというのか。
これは鬼子か。いや、青鬼は複数いる。とすればこいつは一体元々誰だったんだ。

青鬼は自らを見つめる上半身だけのそれが生きている事に気づく。
体を車内へとのめり込ませ、その上半身という餌に腕をのばす。
プラシドの視界が青鬼の手に覆われていく。

(………っ!)


運良くまだシート上に転がっていた拳銃の存在に気づき、それを構える。

重力が歪み、視界が反転していく。

それはプラシドの幻覚でも走馬灯でもなく、他ならぬ現実であった。




ルカという運転手を失ったオデッセイは文字通り暴走している事になる。

空中に放り出されたオデッセイは。運動エネルギーを残したまま位置エネルギーを生み出し、落下していく。
そのままオデッセイが転がりながら着地し、なおも何度か回転を続け川の浅瀬に着水、その場で回転運動を停止した。

プラシドもフロントガラスを突き破って吹き飛ばされ、河原に落ちる。
それは奇しくも遊星のシューティングスター・ドラゴンのスターダスト・ミラージュ五連撃を喰らって敗北した時と同じ吹き飛び方であった。
今回ばかりは意識が残っていたが。



河原のプラシドは微睡む意識を目覚まさせ、両腕で前へ進む。

あの鬼はまだ生きてるだろうか。
下半身は無事だろうか。
どちらにせよ移動しなければ。遅かれ早かれここも危険な所になる。


ついにまた、1人になった。

449大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:49:17 ID:Bp792GWg0

愛さえもいらなくなったあの世界のように。


だが、それでも絶望には呑まれない。


必ず希望はある。





そんなプラシドを飲み込む巨大な影が。





ブルーベリー色の全裸の巨人が。






「S・トリガー『地獄門 ヘル・ゲート』!」





どこからとも無く微かに聞こえた声とともに突如、青鬼をも飲み込む巨大な影が。


青鬼を呑み込んだ。






^ ^ ^ ^

450大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:52:58 ID:Bp792GWg0


「便利なもんだ。こんな紙切れにこれほどまでの力があるとはな」

「しかし相変わらず気持ち悪い化け物だ、こんなモノを去勢した所で何になるんだ」

青鬼を飲み込んだ影が霧散し、またどこからとも無く声が聞こえた。
プラシドは視界の端の声の主に目を向ける。
その男はかのアカツキの様な軍服を着用し、見知らぬカードを手に持っていた。

途切れながらの声でプラシドが問う。

「…お前は…誰…だ…」
「その…カードは…」

軍服の男が上半身だけのプラシドの存在に気がついた。
だが、その男は一言も話さずプラシドへ背をむけた。
軍服の男は何かを手に取り耳に当てる。通信機器の類だろうか。


「聞こえるかカルロ?そちらの様子はどうだ」


「なら主催に連絡して穴掘る道具でも送ってもらえ」


その言葉から、その態度から、プラシドが軍服の男の正体を察するのは容易であった。

プラシドはテケテケのような歩きでありながらも必死でその男に近づこうとした。


(…こいつは…主催者…?)


(何故俺を…)


「いや、残り志村と江頭に任せてある。終わったら主催の所に戻っていろ」


「俺はまだ仕事がある。切るぞ」


プラシドの手が男に触れようとしたその時、男は通信を切った。
同時に男はその空間から消え、プラシドの手は空を薙いだ。





大破したオデッセイと上半身だけのプラシドただ一人が、そこに残された。

451大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:53:56 ID:Bp792GWg0


【青鬼4(青鬼B)@青鬼】一時退場

【ホンダのオデッセイ@課金騎兵モバマス予告集】大破

【巡音ルカ@VOCALOID】死亡


【プラシド@遊戯王5D's】
[状態]:上半身のみ、希望の番人化
[装備]:アノニムの二丁拳銃 弾数(5/6)(一丁のみ下半身の腰に差している)@アカツキ電光戦記
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:絶望の未来を変える
0:今のは…?
1:気に食わないが戦力になりそうな不動遊星を探す。
2:愛用のDホイールと剣が欲しい。
3:不動遊星との決着は保留。
4:下半身♂を直したい。
5:宙……ルカ…。
6:青鬼を最優先で警戒
※シンクロの代わりとなるエクシーズに注目しています。
※歴史を改変しシンクロ時代の今をエクシーズの時代に変えようと思っています。
※ルカ達の話の食い違いについては一応思考中・・
※RUMと希望王セットのカードは一度使うと6時間使用できません。
※No.の精神汚染は本ロワでは無効です。
※プラシドのデイバック及び下半身、ルカのデイバックが大破したオデッセイの中に残されています。




¥  ¥  ¥  ¥

452大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:54:41 ID:Bp792GWg0




「後はあの少女アサシンか…」

軍服の男クックは、依頼内容のメモを再確認する。
2体の青鬼と少女アサシンの回収を行う。
回収後三人は参加者として正式登録し直し定時放送の際に再入場させる。
内2体の青鬼は増殖能力を削除。それまでに増殖する可能性のある死体は回収、処置を施し元の場所に戻す。
目的遂行の助けとして余りの支給品を渡すので好きに活用してよい。
但し、参加者との接触はできるかぎり控える事。
他の参加者の手中にあったり協力している場合は致し方ないが、断じて傷つける事の無いように。
メモに描かれたゲームバランスの調整の概要はだいたいそんな感じであった。

そのうち2体の青鬼と少女アサシンの回収を行うのが自分への依頼内容である。

この依頼に対しクックもまた多くの疑問を抱いた。
なぜ主催は最初からこんな事になる可能性もあると気づけなかったのか。
青鬼は増殖能力を削除とあるが、何をする気なのだろう。シモでもちょん切るのか。
何故自分だけベネット達と一緒に蘇生しなかったのか。


「まあ、今気にする事でもないな」

今は依頼の遂行が優先である。
そういう事はベネットに聞けばわかるかもしれない。

気を切り替え、妙に大きな双眼鏡で目標を確認する。
この双眼鏡も支給品となる筈が没になった物である。
覗きのレンズが少し汚れているが、一応使用に耐える物ではあった。

渡された余りの支給品はデイバックにまとめて入れられており、クックはそれを背負う形でここへ来た。
これではまるで参加者の様である。
だがそれも、クックにとっては満更でもなかった。
死んだ筈の自分が蘇ってメイトリックスと再び戦えるのは千載どころか万載一隅の好機である。

あの時、自分はメトリックスと戦い、よく解らないスイカバーのような物が胸を貫き、その命を失った。
元グリーンベレーを自負しておきながら。
それはクックにとって一番受け入れがたい事実であった。

もう一度、メイトリックスと戦いたい。
今度はスイカバーもルームガールもいない場所で。

453大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:55:59 ID:Bp792GWg0
「参加者が二人…やはり協力してると見て間違いないな」

レンズには映ったのは三人の少女。
そのうち質素な衣装をしているのが少女アサシン。
残る二人が暁美ほむら、鹿目まどかであろう。

位置情報の時点からだいたい見当はついていたがやはり協力者がいた。
こうなると面倒である。
戦闘になれば、誰かが傷ついてしまう。自分が犠牲を負う意味も無い。

そうなれば残された手段は話し合いである。
こちらには支給品という取引材料がある。
このデイバックの中にどれくらいの没支給品が入ってるかは知らないが役に立つ物も多いだろう。


クックは、メイトリックスとの戦いを経たからか以前と比べだいぶ慎重になっていた。
主催である以上、今の所命の心配をする必要は無い筈なのだが。


冷酷ながらもその目に闘志の宿る元グリーンベレーが足を踏み出した。


…要はチキンになったとも言えるけどね。


【クック@コマンドー】 主催追加確認

【クック@コマンドー】
[状態]:健康
[道具]:デーモン・ハンド@デュエルマスターズ、
    地獄門デス・ゲート@デュエルマスターズ、
    雪風の双眼鏡@艦隊これくしょん、その他余りの支給品
[思考・状況]
基本思考:殺し合いの進行。メイトリックスへの復讐。
0:メイトリックスとは後で再戦したい
※午後までの参加者状況と位置を依頼者から説明をうけています
※デーモン・ハンド、地獄門デス・ゲートは元は支給品となる物でしたが枠から溢れ没になった物です。
 このため他のカード等と同様制限がかけられており、一度使うと6時間使用できません。

【カルロ@コマンドー】
[思考・状況]
基本思考:クックの命令の遂行。
0:ジャック及びメアリーの死体の回収


【志村けん@コマンドー】
[思考・状況]
基本思考:クックの命令の遂行。
0:四条雛子の死体の回収


【江頭2:50@コマンドー】
[思考・状況]
基本思考:クックの命令の遂行。
0:我那覇響の死体の回収

454大きすぎる…修正が必要だ… ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:57:24 ID:Bp792GWg0


【アイテム及びキャラクター説明】
【カルロ@コマンドー】
「見てこい、カルロ!」 でお馴染みのアリアスの兵士たちの一人。
アリアスには「私の兵士は皆愛国者だ」と敬意を払っている一方、
ベネットからは「口だけは達者なトーシローばかり」「ただのカカシですな」と酷評されている。
動画内での彼らの呼び名も専らカカシである。

【志村けん@コマンドー】
カルロと同じくアリアスの兵士たちの一人。
メイトリックスに射殺される際やられ声が志村けんに似ていた事から命名。

【江頭2:50@コマンドー】
カルロと同じくアリアスのカカシたちの一人。
メイトリックスに射殺される際やられ声が江頭2:50に(ry

【デーモン・ハンド@デュエルマスターズ】
S・トリガー マナコスト6
相手のクリーチャーを1体破壊する。
発売当初から幅広く使われ、黎明期のデュエマを支えてきたS・トリガー付きの呪文。
ジャギを襲った青鬼を回収した。

【地獄門デス・ゲート@デュエルマスターズ】
S・トリガー マナコスト6
相手のタップされていないクリーチャーを1体破壊する。そのクリーチャーよりコストが小さい、進化ではないクリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出してもよい。
デーモン・ハンドの相互互換と称されるS・トリガー付きの呪文。
プラシドを襲った青鬼を回収した。

【雪風の双眼鏡@艦隊これくしょん】
「艦隊これくしょん」に登場する艦娘の一人、雪風の常備する双眼鏡。駆逐艦娘に分類される。
他の駆逐艦娘が魚雷やら単装砲やら連装砲ちゃんやらの武装を持っているのに対し、雪風のみ双眼鏡である。
この理由は担当デザイナーが「史実では多くの軍艦の最期を見てきたとされるので見ることしかできないアイテムとして」とされている。
覗きのレンズが汚れていたのは、雪風の涙のあとが原因。

455 ◆J/0wGHN.4E:2015/01/02(金) 16:59:40 ID:Bp792GWg0
以上
誰もいないとは言え予約無しの投稿…お許し下さい!
書いててジャギ知的に書き過ぎたかなーと思った(小波感)

456名無しさん:2015/01/03(土) 11:26:37 ID:.oDSWKkY0
一年ぶりの投下サスガダァ…
やっぱりクックもいたか
青鬼は仕方ないね♂ホラゲロワに帰れ状態だったし

457名無しさん:2015/01/03(土) 17:10:14 ID:YZEd72y.0
投下乙です
ジャギ様が目覚め始めた・・・
そしてプラシドはどうなるのか

458名無しさん:2015/01/03(土) 22:12:04 ID:zNGfSpJc0
投下キター

459名無しさん:2015/01/03(土) 23:08:00 ID:nCP4eTfA0
投下乙です。

やはりクックもいたか…。
それにしても志村に江頭ww。

460名無しさん:2015/01/04(日) 21:00:00 ID:ESRFgVRg0
投下乙っす!
ジャギ様奮闘しかし止まらない青鬼無双・・・誰か何とかしてくれえ

461名無しさん:2015/01/05(月) 20:35:10 ID:htiwufrI0
ttp://s.cyrill.lilect.net/uploader/files/201501052030510000.jpg
今大体こんな感じかな
キャラが密集しててマーダーもいる北西部が激戦区になるなあ

462名無しさん:2015/01/07(水) 18:02:56 ID:WOFP8TIY0

投下来るなんてここ最近一番の感動だわ
少し涙ぐんでる

463 ◆FbzPVNOXDo:2015/02/10(火) 20:27:07 ID:pbtwBC6Q0
久しぶりに投下します

464幕間2:2015/02/10(火) 20:30:28 ID:pbtwBC6Q0
森の中を一台の無骨な車が走る。
その運転席に乗る、一昔前の洋風さを醸し出す男性がハンドルを握る姿が逆に不自然さを醸し出す。

「ふむ、中々に便利だな」

運転席の男性、ケイネスはこのような移動手段があったのだと関心する。
以前ならば見下していたが、科学技術も侮れない物だ。
もしかすれば、根源に至るには科学的なアプローチも必要なのだとすら思えてくる。
徐々に、魔術師としての欲求が沸きあがってくる。そこには地位や名声も関係無い純粋な心情があった。

「おい、そこの車の奴!」

頭の中で如何に科学と魔術を組み合わせるか、計算していたケイネスがふと我に帰る。
前方に二人の筋肉モリモリマッチョマンを見つけたのだ。

「君は、メイトリックスか?」
「そういうアンタは、ディアズに殺された女の……」

車を止めたケイネスの顔僅かに歪む。
失言だったとメイトリックスが後悔するのを察したのか、もう一人の筋肉モリモリマッチョマン、フランクが口を開く。

「あんたは殺し合いに乗ってないって事でいいんだな?
 なら、早速で悪いが聞いてくれ。ちょっとばかし厄介な奴を探しているんだ」

フランクは先ほど遭遇しトチ狂っていた肥満気味の少年の話をする。

「見ていないな。そんな特徴的な子供なら、会えば印象に残るはずだが」
「そうかい。あいつはかなりヤバい、早く見つけ出さなきゃ何をするか分からん」

ヤクでも決めていそうな、あの少年の事だ。
咄嗟の弾みで、人を殺すことも有り得る。考えれば考えるだけ、負の連鎖しか思い浮かばない。
さっさと見つけ拘束でもするのが一番だ。

「なるほど、私も協力したいところだが、少し寄りたいところがあってね」
「寄りたいところ?」
「うむ」

ケイネスは豪華客船に向かっていることを話す。
更に言えば脱出に使えるかもしれない事も付け加える。

「船か……動かせないこともないかもしれないが」
「本当か? メイトリックス」
「ああ、だが人数が足りないと思う。流石に一人や二人ではな」

すると、ケイネスは小さく笑みを浮かべ水銀を操作する。
水銀がうようよと、うねる様を二人に見せながら、ケイネスは口を開く。

「安心してくれ、人数なら私が補おう。君が知識を提供してくれれば問題ない」
「なるほど、そいつは良い。だが、ケンの奴は……」
「しょうがない。それは俺が引き受ける。
 メイトリックス、あんたは彼と一緒に船へ向かってくれ」

キチガイ係りにフランクが立候補した。
確かに、ケンを探すのも大事だが、何より脱出の足も必要だ。
しかも、禁止エリアになるのなら尚更、急がなければならない。
作業を分担するのは悪い案じゃない。

「分かった。頼んだぞフランク」
「ああ、お前も頼むぞ」

メイトリックスがケイネスの車に乗り込み、フランクが急いで駆け出す。

「名乗り遅れていたが、私はケイネス・エルメロイ・アーチボルト。
 四条雛子、我那響、アカツキ、カズマ、不動遊星、ランサー。彼らは殺し合いには乗っていない。
 特に遊星は技術者らしい。あと、ランサーという騎士を名乗る男に出会えば、私が探していると伝えてくれ。
 それから、ブルーベリー色の巨人に気をつけてくれ。神出鬼没で人を食う、何らかの方法で人を同種にする化け物だ!」

フランクが手を上げ了解の合図をする。
それを見たケイネスはアクセルを踏み車を出した。

465幕間2:2015/02/10(火) 20:31:01 ID:pbtwBC6Q0



【H-4/1日目・日中】


【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:疲労(中) 魔力消費(極小) 令呪残り二画
[装備]:メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)、 ヒラリマント@ドラえもん、君島の車@スクライド
[道具]:基本支給品×4(食料×1)、アカツキのディバック、ジャックのデイバック
   ブック・オブ・ジエンド@BLEACH、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ 
   ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
   乖離剣・エア@Fate/stay night
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の打倒。
1:松岡勝治と会う、その為にエスポワールに向かう。可能であれば船も動かす。
2:不動遊星、鬼柳京介を捜索。
3:ランサーの魔力は誰が・・・?
4:ギルガメッシュ、アサシン、ラミエル、グレーテルを警戒。
5:化け物(青鬼)を警戒。
6:このゲームは聖杯戦争と関連している・・・?

【ジョン・メイトリックス@コマンドー】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:GUN鬼の銃@MUSASHI-GUN道-
[道具]: 基本支給品、ラットの爆弾×3@探偵オペラミルキィホームズ、氷剣ユキアネサ@BLAZBLUE
    宝塔(罅が入っている)@東方Project 、セイバーのカード@遊戯王なのはMAD(使用不可)
    世界樹の巫女 エレイン@カードファイト!! ヴァンガード、確認済み支給品1
[思考・状況]
基本思考:娘を助け出し、殺し合いをぶっ潰す。
0:エスポワールに向かい、可能であれば船を動かす。
1:士、イーノックと合流する
2:鹿目まどかとはいずれ決着をつける
3:なんだこいつ?
[備考]
※参戦時期は原作終了後。
※エイレンは4時間、セイバーは半日です。
※アザディスタン王宮に向かう予定です。
※GUN鬼の銃に触れましたが元々能力制限されておらず潜在能力が底上げされている状態です。


【フランク・ウェスト@デッドライジング】
[状態]:疲労(小) 弐度の火傷(小)
[装備]:ナイトの防具一式@FF11、富竹のカメラ@ひぐらしのなく頃に、鋸@School Days
[道具]:イワークの分含めた基本支給品、林檎@Bad_Apple!!、
太鼓@1歳から100歳までの100人が順番に太鼓を叩いて行くムービー、チートコード@GTA SA、血塗れの私服、医療道具一式@ニコロワγ、イワークの首輪
ミックスジュース(青、白、緑)×6@デットライジング
[思考・状況]基本思考:殺し合いには乗らない。生還する
1:ケンを追いかける。
2:情報と協力者を集める。
3:ロックオンと男声の女を警戒する。
4:一応、イワークの首輪を持ってきたが……
5:ミキサーが欲しい…
※参戦時期は、少なくともショッピングモールからの脱出前からです
※ミルキィホームズ、スクライド世界の話を聞きましたが半信半疑です。
※ケイネスと情報交換しました。

466 ◆FbzPVNOXDo:2015/02/10(火) 20:31:57 ID:pbtwBC6Q0
短いですが投下終了です
タイトルは思いつかなかったので適当です

467名無しさん:2015/02/10(火) 20:33:51 ID:BHF2EpMM0
yumeyume

468名無しさん:2015/02/11(水) 06:38:33 ID:dGKVPfSU0
久しぶり乙!
何だか自分も書きたくなってきた

469 ◆FbzPVNOXDo:2015/02/11(水) 15:19:19 ID:aYgn4m.A0
投下します

470自分から騙されていくのか(困惑) ◆FbzPVNOXDo:2015/02/11(水) 15:20:38 ID:aYgn4m.A0
「な、なんて力だ……!」

星君と龍昇ケンの戦いは星君の劣勢だった。
それほどまでにカブトボーグの力は凄まじい。
……この力に対抗するには、本来のジュラル星人の姿に戻れればあるいは。
そう考える星君だが、現状の手札にないものを思っていても仕方ない。

「止めだぁ! 行け! エレクトリカル・スピードワゴン!!」
「くっ……!?」

エレクトリカル・スピードワゴンの発する青いオーラを起爆剤とした爆発が星君を襲う。
それに巻き込まれた星君は、溜まらず吹き飛ばされる。

「しょうがない」

地の石を強く握り締める。
キルリアに力を与えた、この石を使う時が来た。
新たに力が加われば、この少年など相手にもならないはずだ。
現に握るだけで力が沸いてくる。これならば―――

「まだまだ! エレクトリカル・スピードワゴン!」

ケンが何も知らずカブトボーグを走らせる。
対する星君は地の石の力を借り―――



「待ちなさい。そこまでです」


二人の戦いはそこで中断された。




――――

471自分から騙されていくのか(困惑) ◆FbzPVNOXDo:2015/02/11(水) 15:21:11 ID:aYgn4m.A0
厄介なことになったと、海東は心の中で舌打ちをした。
早苗たちを上手く誘導し、光写真館へ向かうまではよかった。
しかし、その道中で殺しあっている参加者に遭遇したのは、不運以外のなにものでもない。

(勿論、想定していなかったわけではないが……)

早苗に表向きは正義の仮面ライダーとして行動している以上、殺し合う参加者、それが小学生ほどの子供たちともなれば、尚更止めなければ不自然だ。
うまく言葉で巻いて、無視することも出来たが、不信感を抱かせる可能性もあった。
こうして不本意ながら、仮面ライダーグレイヴこと海東純一は、ケンと星君の戦いに介入する羽目になった。

「なんだこいつ!?」

その張り付いた笑顔に、ケンは色んな意味で戦慄を覚えた。
怪しいを擬人化したかのような存在だ。ケンの中での警戒度はマックスになった。

「駄目ですよ! 君たちみたいな、子供が殺しあったりなんかしたら!」
「うるせーぞ、おま……あっ(一目惚れ)」

そんな張り付いた笑顔のニーサンの横に居たのは天使だった。

「ふつくしい……」

緑色の長髪、透き通るような白い肌、神秘的でありながら、明るく何処か天然さを感じる雰囲気。
ああ、女だ。今まで出会った連中が、走馬灯のように駆け巡る。
今まで会ってきた連中は禄でもなかった。それもあり、やっとまともで美しい女性に出会えた歓喜にケンは打ち震えた。

「いや、いかんいかん。どうせお前も、変な生き物が化けているんだ!!」
「え? 何言ってるんですか、あなた!?」

早苗はいきなり、変な生き物呼ばわりされて困惑する。
当然だ。初対面で、変な生き物呼ばわりなど、失礼極まる。

「君も、金属バットなんて物騒な物はおろしましょう」
「……」

そして、星君は乱入者達を一通り観察していた。
顔が変に歪んでいる男、明るくやかましい女、目つきの悪い少年。
さて、彼らは一体どのようなグループなのか。
まず分かるのは、やかましい女は殺し合いには反対ということだ。これはほぼ間違いない、もし演技であるなら大したものだ。
歪んだ顔の男も、何を考えているか分からないが、少なくとも今すぐに事を起こすことは無いだろう。
残った目つきの悪い少年も、顔の歪んだ男とあまり変わらないと、見ていい。

「聞いてください、僕は彼に襲われたんです」
「襲われた、ですか。マーダーらしい」
「まあ、聞いてください。僕の話を」

流石にケンに加え、新たに現れた三人を相手取るのは無理がある。
ここは上手く相手をあしらい、戦闘を回避した方が良い。
そこで星君は、まず自分が殺し合いに乗っておらず、むしろ襲われた被害者なのだと強調した。

472自分から騙されていくのか(困惑) ◆FbzPVNOXDo:2015/02/11(水) 15:21:46 ID:aYgn4m.A0
「お前みたいな、可愛い女の子が人間な訳ないだろうが!!」
「か、可愛い? ありがとうございます……じゃなかった、一体どうしたんですか?」
「ああ、聞いてくれ!」

ケンも、自分が如何に被害者であるかを語り始める。


そうして、二人の言い分を纏めると、星君と名乗る少年はケンと名乗る少年に襲われた。
ケンは、目の前で女の子が変な生き物に変身したのを見て、この場に居る女の子はみんな変な生き物で、みんなボコボコにしようと決意し星君を襲った。
どう見ても、ケンが悪いのは誰から見ても明らかである。

「こらケン君、駄目です!」
「何でオレばかり。……でも、もっと叱られたいかも」

話を聞いた早苗は一先ず、二人共怪我が無かった事に安堵し、若干どころかほぼ百%悪いケンを叱るだけに留めた。

「まあいいや。早苗、だったけ?
 俺と一緒に来いよ。天才の俺と居ることを許してやるよ。どうやら、化け物や男の変身じゃなさそうだしな」
「年上を呼び捨てしちゃいけません!」

それにしても随分上から目線の子供だと、早苗は思った。
もしかしたら、凄く酷い家庭環境で育ったのかかもしれない。

(だとしたら、私が正しい方向に、導いてあげなければあげませんね)

早苗は謎の使命感によりケンの更正を決意した。


そして早苗を除く残った三人は、ケンの言動が意味不明すぎてついていけなかった。
女は人間じゃないだの、みんなボコボコにするだの。
正常な人間とは思えない発言の数々だ。

(こいつは早急に切り捨てたいな)

海東は対主催として振る舞い、集団の中に潜むなかで自分の真意に感付く者なども想定し動いてきたが、流石にキチガイまでは考えていない。
早苗が居る以上、表立って殺すのはむずかしいが、何とか理由をつけて別行動を取りたいところだ。

473自分から騙されていくのか(困惑) ◆FbzPVNOXDo:2015/02/11(水) 15:22:41 ID:aYgn4m.A0
(こいつと組むのはごめんだ)

ムラクモも、同じ思考であった。
もうキチガイはもこみちで十分である。

(こいつらも、何とか殺したいが……何よりも、このキチガイを始末しなければ)

星君からすれば、ここに居る全員は殺しの標的であるが、流石に人数的に不利だ。
ならば、一時的に誤魔化し体制を立て直すべきだが。何をしでかすか分からない、ケンを放置するのはごめんだ。

彼らの考えは、ただケンを排除したいという一点だけ共通した。

「そんなマセちゃって、碌な大人になりませんよ」
「おいおい早苗、良いのか? 俺は首輪を外せるんだぜ」

普通ならばキチガイの狂言だと思われる発言。

「なんだと!?」

だが、その時ムラクモが誰よりも早く反応した。

「首輪を外せるというのは本当なのか!?」
「あ〜ん? まあね、俺天才だし」
「じゃあ、今すぐ……!!」

そう言い掛けたところで、ケンは右手の人差し指を口の前に持って行き、左手の人差し指で首輪を指差した。

(盗聴されている? 首輪にか!?)

「外してやっても良いけど、まっ俺の部下になるならな」

ムラクモは一度、速水もこみちというキチガイに遭遇している。
その際、彼の言動は滅茶苦茶だったが、見事首輪を外してみせていた。
あの時の経験が、ムラクモに妙な信憑性を与えてしまう。

(キチガイには、何か特殊な力があるのか……)

この少年も、もこみちのような存在である可能性は否定できない。
キチガイにはキチガイであるが故の、特殊技能があるのかもしれない。
ならば、今は黙って行動を共にするのも、今は致し方ないか。

対して、海東と星君はただのケンの妄言だと流していたが、ムラクモの反応で些か見方が変わってくる。
あの無感情な少年が、あそこまで必死になるとは余程のことか、いや所詮は子供大した考えもなく騒いだだけなのか。

(ん? あの玩具、カブトボーグか)

ケンの手にしたクワガタの玩具、あれはリュウセイの持っていたカブトボーグに似ている。
何より思い返せば、リュウセイの話していた友人の名前と特徴とも一致している。

「そうか、早苗さん! 彼は龍昇ケン、リュウセイ君の死んだはずの友達では!?」
「あっ、本当に?」

言われてから気付いた早苗が尋ねると、ケンは何処か誇らしげに頷く。

「ああ、リュウセイの友達だよ俺は。凄いだろ?」

主催の放送に紛れ、尚且つ生きていた少年。

(彼のあの首輪、まさかフェイクか?)

首輪を外したが目立つのを避け、機能の死んだ首輪を付けておく。
そうして、主催には死んだと思わせておく。そう考えれば辻褄は合う。
海東の中で、本当に首輪の解除も、可能ではないかとすら思えてきていた。

「ねえ、たなびたいことがあるんだ。ちょっと。僕も一緒に居て良いかな。一人じゃ心細くてネネ、いいだろう?」
「良いですよ星君! 仲間は多いほうが良いですから」

ムラクモと海東の顔色が変わったのを見て、星君もまさかという疑念に駆られる。
ここは一旦彼らに混じるのも、一つの手かもしれない。幸い早苗は来る物拒まずといった様子だ、集団に紛れるのは然程難しくなかった。
それどころか、もう仲間といった始末だ。
早苗の返事を聞きながら、星君は内心ほくそ笑んだ。

首輪の解除が出来るなら、それに越した事はない。
海東もムラクモも星君も、自らの思惑を隠し集団に紛れ込む。
何も知らないのは、東風谷早苗ただ一人。



まあ全部深読みで、ケンの妄言なのだが、彼らは知る由もなかった。


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