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パラレルワールド・バトルロワイアル part2

50 ◆4EDMfWv86Q:2011/10/01(土) 19:15:33 ID:ba3PYlbk



「―――で、この女を拘束しておきたいのですが、あの姿にさせないためにはどうすればよろしいので?」

戦いが終わっても、その後の事後処理もまた残っている。
渡されたデイパックから取り出した水を飲みつつ、身柄を確保した女の処遇について決めなければならない。

「ベルト渡さなきゃ問題ないだろ。それだけ預かってりゃ……ってそいつソイツ連れてくのかよ?」
「あら、聞きたいことと言いたいことが色々あるのではなくて?ワタクシだって色々問い詰めたいことが山ほどありますし」

長田結花を襲い殺人を強要したこと、遠坂凛の姉妹ということ、尋問の話題は事欠かない。
今になって気付いたが、名前すら判明していないのだ。
荷物だけ奪って放置という手を取るにせよ矯正不可と断じ排除するにせよ、事情を聞き出さねば始まらない。
魔術師である以上暗示の類も効きにくいため、荒療治に出ることも有り得る。
後者においてルヴィアは選択肢のひとつとして捉えてるが、海堂は恐らく前者を選ぶだろう。
面倒を嫌うという性もあるし、人間を殺すことを忌避するのもある。
人殺しの罪罰などは人外の化物たるオルフェノクに測れることでもない。
その相違は、現時点では表面化することなく話は運んでいく。



「これは―――やはりクラスカードも支給されてましたか。ワタクシには使えませんが、あの筋肉女には交渉材料にはなるか…」

回収した荷物を検分しながらも、心は遠い彼方へと回想している。

好敵手と定め、いつの日か必ず雌雄を決すると信じていた魔術師の早すぎる脱落を耳にしても、思った以上に心に波は立たなかった。
名も知らぬ遠坂凛の妹の妄言に耳を貸さぬというわけでも、
平行世界におけるルヴィアとは異なる軸の別人云々と理論武装するまでもなく、
始めから決まっていたことのようにするりと遠坂凛の死を受け入れられた。

何故か。その理由についても分かりきっている。
魔導を学ぶにあたって最初の関門は死をていかんすること。殺し殺され、死んで死なせて、神秘という泥沼にはまっていく。
魔術の世界とは、魔術師とはそういうものだ。生まれる前より魔術師であったルヴィアにとって、それは骨の髄まで染み付いている。
宿敵だろうが肉親だろうが愛する人でも、その死に揺らぐ事など起こり得ない。

感情は死んでいない。悼みも哀しみもするだろう。
しかしそれでも、我を失い取り乱すことはないだろう。
だからこそ、平静を保ち、魔術師としての在り方を損なわないでいられるのはなに一つとして間違ってはいない。
それが、ルヴィアには何故だか気にくわない。
執着してたはずの相手が消えて感慨の沸かない自分。そんな余計なことを考えてしまう自分に腹が立つ。
これではまるで―――寂しがってるようではないか。

心あらずのままルヴィアが銀色のベルトを拾う。小さな好奇心から簡潔に機能を調べる。
魔力の残滓も感じられず素材も全て機械でできた人口製。魔術師にとっては未知の産物だ。
オルフェノクにしか扱えないという武装。海堂に渡せば少しは役に立つようになるかと、ぼんやりと思案する。


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