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パラレルワールド・バトルロワイアル part2
247
:
私の光が全てを照らすわ
◆Vj6e1anjAc
:2011/12/24(土) 20:31:03 ID:ifjirkO6
「その通りよ」
ふわり、とドレスの裾が揺れる。
たんっ、と着地の音が鳴る。
緩慢な動作で地に足をつけ、柔らかな銀髪を虚空に揺らした。
回避運動を終えた末、白き魔術師が着陸したのは、車道のど真ん中だった。
「私は現在だけでなく、未来に起こる事実をも見ている」
ビルの間から、光が漏れる。
開けた大通りの真ん中には、遮られることなく陽光が差す。
純白一色のドレスが、黄金の煌めきに彩られた。
後光を浴びた装束が、荘厳な銀色に輝いた。
「全てを炙り出す光の前では、あらゆる企みが意味をなさない」
静かに、波風を立たせぬ声で。
厳然と、有無を言わさぬ声で。
日輪の光に照らされて、1人の少女が言葉を紡ぐ。
そこに宿された威圧感は、さながら戦場の武士のそれだ。
無双の英霊に対峙してなお、これほどの気配を保てるとは。
しかもこれほどの濃密な気迫が、年端もゆかぬ小娘のものだとは。
「貴女が何を為そうとも、私の光が全てを照らすわ」
それは聖女か、教皇か。
この世全ての善を従え、暗黒を祓うかのように。
白銀に煌めく未来視の魔女が、堕ちた騎士王へと告げた。
◆
(相変わらずの、ふざけた素質だ)
苦笑を浮かべ、サカキが心中で呟いた。
目の前に展開された攻防に、軽い衝撃を覚えつつも、冷静にニドキングを前へと出させる。
戦闘で目の当たりにしたのは2度目だが、織莉子の未来予知というものは、何度見ても凄まじいものだ。
もちろん、万能の力ではない。
そこには数秒先の未来しか見えないという限定条件と、本人の肉体的限界という問題がつきまとう。
現に先ほどの薙ぎ払いは、完全に回避しきることができず、僅かにドレスの表面を切り裂かれていた。
恐らくあの漆黒の女剣士と、単独で相対していたのであれば、こうまで凌ぎ切ることはできなかっただろう。
(だが、それを可能としたのがニドキングだ)
つくづくポケモントレーナー向けの女だ、と。
自らのパートナーに視点を落とし、次いで織莉子の姿を見据える。
自分を卑下するつもりはない。現に自己の判断で、あの剣士を退けたケースも存在する。
しかしこれまでのやり取りの中で、何度かは織莉子のお膳立てによって、よい結果をもぎ取れたケースがあるのも事実なのだ。
魔法少女とやらのスタンダードが、どれほどの能力であるのかは知らない。
しかし目の前の敵に比べれば、織莉子の単独での戦闘能力は劣る。
それを覆したのは知略であり、未来予知であり、そしてニドキングという護衛の存在。
恐らくこの美国織莉子という少女は、単独での一騎打ちではなく、他者を指揮しての組織戦に長けている。
そういう資質なのだ、この娘は。
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