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永遠の約束〜MKT、ATK〜

1K:2012/02/20(月) 17:19:15 ID:???


「あなたの温もり」でお世話になりましたKです
以前のスレで書いていたお話を、そのまま引き続きこちらで
書かせていただきます

こちらでも以前と同じようにMKT、ATKのお話となります
またお付き合いくださると幸いです

基本R−18指定です

宜しくお願い致します

2K:2012/02/20(月) 17:28:53 ID:???



『タカヒロ』

思わずふっと脱力する

『なんで、こんなとこで…』

タカヒロは毛布に身を包み、身体を小さく丸め

4畳ほどのウォークインクローゼットの床で眠っていた

「んっ…」

苦しそうに眉根を寄せ、寝返りを打った拍子に

閉じられた瞳から流れた涙が頬を濡らす

「…ん、んぅ」

うなされているような苦しげなその様子に、肩を揺すって名前を呼ぶ

『タカヒロ、タカヒロ…』

「ん…ぅ」

『大丈夫か?』

「…マ、キさん…?」

3K:2012/02/20(月) 17:46:49 ID:???



涙でしっとりと濡れた睫毛を何度か瞬かせて

タカヒロがぼんやりとオレを見る

『どうした…?怖い夢でも見たか?』

出来るだけ優しい声音で訊ねると

タカヒロの顔がくしゃっと歪んで、みるみるうちに大粒の涙を溢れさせる

「オレ…どうし、よ」

『ん?』

「マツさん…傷つけた…っ…あんなこと、言うつもりじゃなか…っ」

『タカヒロ』

「オレ、怖く…て…っ」

『タカヒロ、もういいから…』

「ヒロさん、いなくなるの…怖かっ…た」

しゃくりあげながら、ぽろぽろと零れ落ちる涙が

見ていて痛々しいほどに切ない

4K:2012/02/20(月) 17:55:18 ID:???



『タカヒロ』

そっと手を伸ばし、涙で濡れる頬に触れる

「ごめ…っ、ごめんな、さい…っ」

小さな子供のように泣きじゃくるタカヒロの頬を両手で包んで告げる

『タカヒロ、オレの顔をちゃんと見て…オレは、絶対にいなくなったりしないから。
たとえ、おまえがオレを嫌いでも、オレはタカヒロをひとりにしていなくなったりしない。
約束する』

「ごめんなさ…っ、ごめんなさい…」

『わかった、わかったから…明日、一緒に謝りに行こう…な?』

タカヒロの身体を抱きしめ、ぽんぽんと背中を撫で擦り、落ち着かせる

5K:2012/02/20(月) 18:43:44 ID:???



『とにかくベッド行こう…ここじゃ、寒いだろ…?』

タカヒロにそう促すと、嫌々をするように首を振りぽつんと呟く

「…ベッド、やだ」

『えっ?あっ…もしかして、汗臭かった…?…ん?いや、でも…
シーツ新しいのに替えたけど…』

首を傾げるオレに、タカヒロが消え入りそうな声でまた呟く

「寝れない、から…」

『…なんで?』

「………」

オレの問い掛けに黙ったまま俯いてしまったタカヒロのつむじを

じっと見つめながらオレはしばし考え、ふと、ある事に思い当たる

6K:2012/02/20(月) 18:58:15 ID:???



『…もしかして、ヒロさんといつも寝てた…?』

「………」

オレの予測は見事的中したらしい

『無言は肯定とみなすよ』

「………」

あくまでも黙ったまま、黙秘権を行使するタカヒロに

オレは大きな溜息を吐くと、そのままタカヒロの身体を抱き上げる

『よいしょ』

「やぁ…っ」

驚くタカヒロの身体を抱き上げ、ベッドまで運ぶとそのまま隣に滑り込む

「やっ、やだ…っ、マキさんっ!?」

『暴れんなよ』

「やぁっ」

隣に潜り込んできたオレをベッドから追い出そうと暴れるタカヒロを

少々、強引にぎゅっと抱き寄せて腕の中に閉じ込めてしまう

「…っ!?」

『今日は一緒に寝てやる』

「寝れない、きっと…」

不安そうな声のタカヒロの髪をくしゃっと撫で、わざと明るく提案する

『じゃあ、子守唄うたってやる』

「…もっと、寝れない」

『おま…っ、失礼だぞ!』

泣いて赤くなった鼻先をキュッと抓むと

タカヒロはやっと小さく笑みを零した

7K:2012/02/20(月) 19:20:06 ID:???

今日はここまでの更新です
新たにスレを立てたので、これからも頑張っていきたいと思います!
これからも宜しくお願いします

8名無しさん:2012/02/20(月) 21:29:43 ID:???
K様、新スレ立ておめでとうございます。更新ありがとうございます。

クローゼットで泣きながら眠るT、可哀想で切ないです。
早くMK兄の愛で癒してあげて欲しい・・・。

本当はこのお話が終わったら一休みなさるつもりでいらっしゃったのに、
新スレを立てなければならない状況になってしまって大変ですね。
このお話が終わったら、少しお休みになってリフレッシュされてもいいのでは?
私の生活の中でK様のお話は間違いなく癒しの場となっていますが、
書き手様がお疲れになっていては、お気の毒です。
あまりご無理をなさらずに、K様のペースでゆっくりなさってくださいね。
次回の更新、お待ちしています♪

9M:2012/02/20(月) 22:09:07 ID:???
k様
お話しの途中で失礼します。
前回のスレが1000になっていたので
このままK様がいなくなったら、どうしよう・・・と
とても心配していました。

またお話し書いてくださるとの事。
本当に本当に嬉しく思います。
ありがとうございます。
K様のお話しが大好きです。

どうしても、お礼を伝えたくて
お話しの途中でしたが、お邪魔させて頂きました。
本当にありがとうございます。
これからもK様のお話し読ませてくださいね。

10名無しさん:2012/02/22(水) 11:21:16 ID:5ILybgQ2
K様

更新ありがとうございます!
新しいスレを見ることができて、とても嬉しいです!
MK兄カッコイイです(笑)TKのこと、いっぱい愛してくださいねw
お二人の展開に思わずワクワクしました〜

K様のお話、何度も読み返っちゃって、大好きですw
これからも応援していますO(≧∇≦)O

11名無しさん:2012/02/22(水) 11:55:59 ID:???
K様、初めて投稿させていただきます。前作からワクワクしながら読んでいました(^O^)。何だか今のマキさんがジェントルで素敵〜。これからも楽しみにしています!

12:2012/02/23(木) 22:46:46 ID:???
K様
お疲れでしたら、休んでくださいね。
私には、K様のお話しが癒やしですし
本当に大好きですが、K様にとって負担になっていたら
K様がお気の毒です。

また書いて頂けるなら
いつまででもお待ちしていますので
ゆっくり休んで、また戻って来て頂けたら
嬉しく思います。

心身共に、休まれてくださいね。

ずっとずっと、K様を応援しています。

13K:2012/02/24(金) 18:35:33 ID:???

8様
コメントありがとうございます!
クローゼットで泣きながら眠るTを可愛い!と思ってしまう書き手は
やっぱりドSかもしれません(笑)
MK兄に早く癒して欲しいですよね〜
でも今の時点でTはMKさんのことをお節介と思ってて
MK兄もTをほっとけないし、可愛いと思ってるけどまだ恋ではないんですよね〜
こっからお互いの気持ちが寄り添っていくのはまだ時間が掛かるかもしれないです(笑)
気長に頑張っていきますね!
お気遣いありがとうございます!
4月のAの誕生日まで特にイベントもないので、しばらくお休みしようかな…なんて
思ってたんです(バレンタインをすっかり忘れてまして…)
このお話が終わったら、バレンタインは書きたいな…と思ってます!
今更なんですが(苦笑)
時には仕事の都合で亀更新になるとは思いますが、自分のペースで
頑張っていく予定なのでまたお付き合いくださると幸いです

M様
コメントありがとうございます!
結局、前のスレでお話が完結せず、新スレを立てることとなりました(笑)
M様には土星の頃からお付き合いくださっているので
引き続きこうしてお話を読んでいただき、コメントをいただけること
大変嬉しく思ってます!
読み手様のコメントを読むことが私にとっての癒しですし
負担には感じてないですよ!
こういう場所を提供していただけて、皆さんと出会えてATK、MKTについて
語れることを書き手自身、凄く幸せに感じています!
ここがなければ皆様と出会えてないですからね〜
自分のペースで書いていくので、時には亀更新になると思いますが
またお付き合いくださると幸いです
M様にはぜひラブラブなATKを読んでいただきたいので(笑)
これからも末永く宜しくお願いします

10様
コメントありがとうございます!
MK兄カッコいいと言っていただき、凄く嬉しいです!
書き手自身、MK兄が大好きなのでTK相手だとかなり男前に書いてしまいます(笑)
これからちょっとずつ、二人の気持ちが寄り添っていく予定なので
楽しんでいただけると幸いです
MK兄にはガンガン攻めてもらおうかなと思ってます(笑)
何でも読み返していただいてとのこと感激です!!
ここは素敵な書き手様がたくさんいらっしゃるので
自分の文才に凹むこともありますが(苦笑)これからも頑張っていきますので
末永く宜しくお願いします!

11様
初コメントありがとうございます!
前作から読んでいただいてたんですね〜
嬉しいです!!
MKさんはリアルでもジェントルな男性のイメージなので
常にそれを意識して書いてるんですが素敵だとのコメント嬉しいです
これからも頑張って書いていきますのでお付き合いくださると幸いです

14K:2012/02/24(金) 20:05:12 ID:???



オレの腕の中で、ゴソゴソと落ち着かなげな様子をみせるタカヒロの背中を

ポンポンと一定のリズムで根気よく撫でていると

ようやく落ち着いたのか、タカヒロの身体から少し力が抜ける


オレ自身、こんな風に誰かを腕に抱いて眠りにつくなんて

すごく久し振りで

腕の中に感じるタカヒロの温もりに

妙な心地よさを感じて戸惑ってしまう


(あぁ〜、この感じ…なんかヤバいかも)

かれこれ3年ほど前に恋人と別れてから特定の恋人はつくらずに

溜まった欲望はその都度、適当な相手を見つけては衝動的に吐き出してきた


(不思議だよな…)

出逢って随分と経つのに

オレの腕の中にいるタカヒロは

いままでオレが見てきたタカヒロとは全く別人のように感じる

無性に愛おしい

オレの心の奥底で何かがモゾモゾと動き出しているのを

オレは確実に感じ取っていた

15K:2012/02/24(金) 20:32:35 ID:???



『なぁ、聞いていい…?』

オレの胸の辺りに顔を伏せている為

タカヒロがまだ起きているのか眠っているのか…その表情は伺えない

でもオレがそっと囁くと

タカヒロは無言のまま、オレの顔をじっと見上げてきた

『答えたくなかったら…答えなくてもいいけど』

そう前置きしてからオレは続ける

『…なんで、ヒロさんだったの…?』

オレがそう訊ねるとタカヒロの瞳が傷付いたように揺れる

「…なんで、そんなこと…訊くの…?」

16K:2012/02/24(金) 21:09:37 ID:???



タカヒロの傷付いた瞳に胸が痛むのを感じながら

ずっと気になっていたことを訊ねる


『いや…タカヒロだったら、相方のアツシとか…普段から仲が良いアキラとか
あの二人の方が恋人として合うんじゃないかと思ってさ…』

お互いを信頼し合って深い絆で結ばれてるアツシや

タカヒロを溺愛しているアキラの方がよっぽど恋人として

上手くいくんじゃないかと直感的に感じる

するとしばらくの沈黙の後、タカヒロがぽつりと呟いた

「…アツシさんは、オレ以外にも大事なものがたくさんあるから…
アキラさんは…オレにとってはお兄ちゃんです…大好きだけど…そういうのじゃない…」

そう答えたタカヒロにオレはふと気になって、もうひとつ質問する

『…じゃあ、オレは…?オレは…タカヒロにとってどんな人?』

17:2012/02/26(日) 21:58:59 ID:???
K様
コメントありがとうございます。
亀更新でも、しばらくお休みされても
全然構いません。
またK様がお話しを書いてくださるなら
静かにお待ちしますので、K様のペースで
お話し書いてくださいね。

いつもお話しありがとうございます。
私にはK様のお話しが、無くてはならないくらい
癒やしになってますし、もう好きで仕方ないです(笑)

ずっと応援していきます。

18K:2012/02/27(月) 10:17:34 ID:???

M様
コメントありがとうございます!
そしていつも応援ありがとうございます!!
癒しだなんて、ほんとうに嬉しいお言葉です
書き手自身にとっても、この場所でATKやMKTのお話を書いて
皆様にコメントをいただけることが何よりの癒しになっています
これからも末永くお付き合いいただけると幸いです

19K:2012/02/27(月) 10:26:18 ID:???



「…マキさんは、厄介なひと」

タカヒロのセリフに思わずぷっと吹き出す

『なんだよ、ソレ…? マキ兄、かなり優しい思うけど…?』

苦笑いのオレにタカヒロは更に続ける

「…ヒロさんは、オレのこと…いちばん理解してくれてたから…」

タカヒロのそのセリフには

ヒロさんへの想いが、まだじゅうぶんすぎるほどに溢れていて

その絶対的な信頼に、正直オレは嫉妬したんだと思う

オレの口から無意識にタカヒロを傷付けるような言葉が飛び出す

『ヒロさん、上手かった?』

「……え?」

オレの言葉に意味が判らないといったようにタカヒロが首をきょとんと傾げる

20K:2012/02/27(月) 10:42:19 ID:???



『SEX』

「………最低」

オレの赤裸々なセリフにタカヒロが眉を顰める

『抱かれてたんだろ…?ヒロさん、激しそうだよな…』

自分でも酷いことを言ってるのは自覚している

でも止められない

オレの知らないタカヒロを知っているヒロさんに対して

初めて、悔しいという感情が沸き起こる

平然とした顔で酷い言葉を吐き続けるオレを

タカヒロはその大きな瞳でキッと睨んでくる

「だったらなに…?軽蔑したければすればいい」

そういってクルッと背を向けてしまった

21K:2012/02/27(月) 11:14:16 ID:???




はぁ…失敗した

タカヒロの背中を見つめながら、小さく息を吐く

今更、後悔したって…もう遅い

オレの口から吐き出された言葉の数々は

鋭い刃となって確実にタカヒロの心を傷付けたに違いない

その背中はいつもよりひとまわり小さく、儚げで

さっきまでとは違い、オレのことを全身で拒絶している


大人げない自分を反省しながら、オレはタカヒロの背中にそっと声を掛けた

『タカヒロ』

返事のない、その背中にそっと手を伸ばすと肩が細かく震えていることに気付く

泣いてる…そう思った瞬間、オレは後ろからタカヒロの身体をぎゅっと抱きしめた

「っ!?…やめ…っ」

『ごめん』

「いや…っ、はなし…っ」

『ほんとにごめんな』

「マキさん、きら…いっ」

タカヒロの身体に回したオレの腕にポタポタと落ちてくる涙の雫

オレの腕を懸命に振りほどこうと抗うタカヒロを

強引に抱き込むと目を閉じて一晩中、眠ったフリを演じ続けた

22K:2012/02/27(月) 13:51:50 ID:???



翌日

鉛のように重い身体を引き摺って身支度を整える

シャワーを浴びて出てきたタカヒロも泣いたのと寝不足のせいか

目が腫れぼったく正直言って、顔色もよくない


『コレ、着て』

「…はい」

適当に服を見繕ってタカヒロに手渡す

昨夜はお互い、ほとんど一睡も出来ない状態で朝を迎えた

気まずい気持ちを抱えたまま

ウトウトとはするものの

どちらかが身じろぐ気配で目が覚め、緊張感で張りつめたまま

こんな状態で、これから冠番組の収録に向かうのは不安でしょうがない

でもオレ以上に、不安なのはタカヒロだろうな…

今日は歌収録もある

今の状態のタカヒロを見たら、アツシだって心配するだろう

それを想像して、大きな溜息を零したオレにじっと向けられる視線

『…タカヒロ、どうした?』

「…ううん、なんでもない」

俯いてしまったタカヒロに何て声を掛ければいいか迷っていると

オレの携帯が鳴り響く

『下に車、着いたって』

マネージャーの到着を告げると、一緒に玄関へと向かう

『大丈夫か…?』

靴を履くタカヒロにそう訊ねると、タカヒロは無言のまま小さく頷く


その後、迎えに来たマネージャーに顔色の悪さを心配されながら

オレ達はメンバーとの収録に向かった

23K:2012/02/27(月) 20:13:38 ID:???



『マキさん、ちょっと』

楽屋に着くなり、アツシから声を掛けられたオレは

アツシと一緒に休憩スペースに向かうとベンチに腰掛ける

『…タカヒロ、何があったの…?』

サングラス越しにも判るほど、アツシが心配そうな表情でオレに訊ねる

『うん…』

何て切りだせばいいのか言いあぐねていると

焦れたアツシがズバッと切り込んでくる

『タカヒロとヒロさん…何かあったの?』

『えっ!?アツシ…おまえ、知ってたの…!?』

驚愕して思わず声が大きくなるオレに、アツシが呆れたように呟く

『ずっと一緒にいれば判るよ…うっさんも何も言わないけど、なんとなく
気付いてると思うし…』

『そっかぁ…そうだよなぁ…』

しみじみと呟くオレにアツシが先を促すように訊いてくる

『…それで?…タカヒロとヒロさん、別れたとか…?』

『あ…あぁ、まぁ…ね』

『まっちゃんは…?まっちゃんはヒロさんのこと、まだ好きだよね…?』

『…あぁ、あの二人はそのうち元に戻るんじゃない…?』

いつもはどこかポヤっとしてるアツシが珍しくズバズバと訊いてくるのに

オレの方が戸惑いつつもなんとかそう答える

『…そう。タカヒロは…辛いね』

俯いたアツシがポツリと呟いた

24K:2012/02/27(月) 21:03:06 ID:???



『そうだな…でも、タカヒロならきっと…』

きっと…乗り越えてくれるよ

そう続けようとしたオレの言葉を遮るように

アツシが明るい口調でアッサリと告げる

『マキさんがいるから大丈夫だよね!』

『…えっ?』

『だって、マキさん…タカヒロのこと、好きなんでしょ?』

『はぁ!?』

まるで決めつけるようなアツシの発言にオレは吃驚してしまう

『ちょ…っ、ちょっと待てっ!…なんで、そうなるの!?』

『…え?違うの…?マキさん、タカヒロのこと好きでしょ…?
見てれば判るよ』

隣でうんうんと、ひとり納得するように頷くアツシに

オレの頭は混乱したようにグルグルと回り始めた

25名無しさん:2012/02/29(水) 21:21:38 ID:uU9A02gQ
K様
更新ありがとうございます!

Aさんの発言に思わず笑っちゃいましたwww
Aさんグッドジョブ!
MK兄、頑張ってください〜(笑)

この間昔の映像をもう一度見たら、またTKに惚れ直しましたw
もう、ホントに可愛すぎるぅぅーー!

これからの展開、楽しみにしています!

26K:2012/03/03(土) 20:24:52 ID:???

25様
コメントありがとうございます!
MK兄はTKのこと大好きですが、まだそれが愛だとは気付いてません(笑)
人のことに関しては鋭いMKさんも意外に自分に関しては鈍いという…
Aちゃんは気付いてるんですよね(笑)

昔のTKはほんとに可愛いですよね〜!!
書き手が最近よく見てるのが2008ライブ/パンフのHさん、MK兄、TK、MTさん、
そしてキャプテンの対談です
TKが「最近、MKさんの家に飲みにいかせていただいて〜」という話をしたとき
Hさんがポツリと「ほんと最近、仲いいよね〜」と呟くんですが…
ちょっと妬いてる感じがなんか妙にツボります(笑)
MKさんのTKに向ける笑顔はまさにここのMKさんのイメージぴったりで素敵なんです!
亀更新ですが続きも楽しんでいただけると幸いです

27K:2012/03/03(土) 21:12:17 ID:???



確かに…確かに、タカヒロのことは好きだよ

だけど、この気持ちがなんなのか…オレ自身、まだ判りかねている

『…なぁ、アツシ』

オレ自身でさえ気付いてない想いをアツシは気付いているのか

オレが訊ねようと口を開くと、バタバタっと足音が近づいてくる

『アツシさん、マキダイさん、お願いしまーす!』

スタッフがオレ達を探しにやってきて、そう声を掛ける

『はーい』

隣に座っていたアツシが立ち上がり、オレもそれに倣う

結局、アツシに訊けないままオレ達はリハへと向かった

28K:2012/03/03(土) 21:35:09 ID:???



スタジオへと入ると、すでに他のメンバーはスタンバイしていて

先程まで顔色の悪かったタカヒロも

さすがプロというべきか辛そうな姿は微塵も見せず

真剣な表情でスタッフと話している


ヒロさんとまっちゃんもいる

オレと目が合ったまっちゃんは申し訳なさそうな顔でオレを見ると

小さく「ごめん」と唇を動かし、オレはそれに笑って首を振る

まっちゃんが悪い訳じゃない

ひとの気持ちなんて、周りの人間がどうにか出来るものじゃないから

タカヒロの想いはヒロさんとは繋がらなかったけど

(オレはおまえの味方だよ)

タカヒロの背中に向かって胸のうちでそう呟いた

29K:2012/03/03(土) 21:50:46 ID:???



冠番組の歌収録

そのリハがスタート

アツシの甘い歌声に身体が自然にリズムを刻む

そしてタカヒロの…

(ん…?なんだ…?)

周りのスタッフが動揺したかのようにザワザワし始め

思わず身体の動きが停止する

『タカヒロ…』

アツシの気遣わしげな声色にハッとタカヒロを見遣ると

タカヒロは直立したまま声も出さずに涙を流していた

30K:2012/03/03(土) 22:05:45 ID:???



ざわつくスタジオ

困惑した様子のスタッフ

立ち尽くして静かに涙を流すタカヒロをメンバーが心配そうに見つめるなか

ヒロさんがゆっくりとタカヒロに近づいていく

するとその気配を感じ取ったのか俯いたままのタカヒロが

怯えたように後ずさった

その様子を見た瞬間、オレは咄嗟にタカヒロの腕を掴んで自分の方へと引き寄せる

「…っ!?」

『ヒロさん、すみません…15分だけ休憩ください』

『あ、あぁ…わかった』

身体を震わせるタカヒロの肩にそっと手を置くと

オレはそのままタカヒロをスタジオの外へと連れ出した

31K:2012/03/03(土) 22:24:22 ID:???



『ほら、座って』

タカヒロと楽屋まで戻ると椅子に座らせ

オレはタオルを水で濡らしてタカヒロの元へ

『これで冷やして』

タカヒロの隣に座るとタカヒロの身体を仰向けに倒し

オレの太腿に頭を乗せると濡れタオルで泣き腫らした目を冷やしてやる

「っ…ご、めんなさ…い」

タカヒロの唇が震えながら言葉を紡ぐ

『大丈夫だから』

「っ…ふぇっ…くっ」

タオルで覆われた瞳の際から涙がつぅーっと零れ落ち

オレはそれを指先でそっと拭ってやる

『おまえなら絶対、唄える…今は辛いかもしれないけど、逃げずに唄え』

タカヒロの手を握ってそう告げる

『不安になったらオレを見ればいいから…すぐ傍にいるよ』

力強くそう告げてタカヒロの髪をそっと撫でると

タカヒロは黙ったまま小さくコクンと頷いた



『』

32名無しさん:2012/03/05(月) 20:45:44 ID:???
K様、更新ありがとうございます。

T、少しずつMK兄に心を開いてきましたね。
この先どんな風に恋になっていくのか楽しみです。
次回の更新、お待ちしています♪

33K:2012/03/06(火) 15:17:34 ID:???


32様
コメントありがとうございます!
ちまちま展開で予想以上に長引いてますが(汗)
気長にお付き合いくださると幸いです
少しずつ甘々なMKTに向かっていくと思うので宜しくお願いします!

34K:2012/03/06(火) 15:50:33 ID:???



きっかり15分後

落ち着きを取り戻したタカヒロを促して、スタジオへと戻る


心配そうな面持ちのメンバー、そしてスタッフに

すみませんでしたと深く頭を下げたタカヒロは

その後、完璧に歌い上げリハを無事に終えた


唄い終わり、天井に向かって大きく息を吐き出したタカヒロは

クルッと後ろを振り返って真っ直ぐにオレを見ると

唇を小さく開き、ありがとう…と呟いた

その泣き笑いの表情を見た瞬間

オレの胸がぎゅうっと締め付けられるように甘く痺れる

35K:2012/03/06(火) 16:57:40 ID:???



あぁ、オレはこいつの笑顔を守ってやりたい

オレの前では涙じゃなく、いつも笑っていて欲しい…そう思った

どうしようもなく愛おしい気持ちが胸にこみあげる

今まで付き合ってきた、どの相手にも感じたことのない感情に

オレ自身、ちゃんと向き合ってタカヒロに伝えたい





収録後、次の仕事が控えていたタカヒロとは言葉を交わす間もなく

タカヒロはすでに次の現場へと向かってしまっていて

オレは慌ててタカヒロのマネージャーを掴まえるとタカヒロの予定を確認する



(事務所で打ち合わせかぁ…)

誰にも頼らずひとりで懸命に強がるタカヒロが心配で

オレは着替えを済ますとメンバーへの挨拶もそこそこに急いで事務所へと向かった

36K:2012/03/06(火) 17:31:04 ID:???



タカヒロが打ち合わせをしている間

ジムで少し汗を流した後、会議室で時間を潰していると

廊下でタカヒロとスタッフが話している声が聞こえてくる



『タカヒロ、お疲れ』

会議室の扉を開けて、そう声を掛けると

オレがいることに吃驚したように目を大きく見開く

「マキさん、なに…やってるの?」

『タカヒロのこと待ってた』

「…なんで?」

『一緒に帰ろうと思って』

そういって微笑んだオレに

タカヒロはきゅっと唇を噛んで切なげに瞳を伏せた

37K:2012/03/06(火) 18:13:51 ID:???



タカヒロのマネージャーの運転する車に

二人で乗り込んで最初にタカヒロの家へと向かう

タカヒロを先に降ろしたら、オレはそのまま自宅へ帰ろうと思っていた

そう思っていたんだけれど…



『あ〜、ごめん(笑)』

車に乗って10分ほどでオレの腹の虫が車内に盛大に鳴り響き

その音にそれまで車窓の景色を眺めていたタカヒロが

伺うようにオレを見てくる

『ごめん(笑)』

「…マキさん、夕食は?」

『…いや、まだ(笑)』

「えっ!?食べてないんですか?」

『うん。食べるタイミング逃しちゃって…』

苦笑いしながらそう言い訳をするオレにタカヒロがポツリと呟く

「…もしかして、オレのこと待ってたから…ですか?」

『いやっ、違うよ…ジムで汗を流したりしてたからさ』

慌ててオレが否定するも、タカヒロは納得してないような表情で口を噤んでしまった

38K:2012/03/06(火) 18:37:17 ID:???



「…マキさんの家でよければ」

『えっ?』

一瞬、なんて言われたのか判らなくて咄嗟に訊き返す

「だから…マキさんの家でよければ…オレが何か作ります」

タカヒロがオレに向かってそう告げるのに思わずテンションが上がってしまう

『マジでっ!?』

「…簡単なものでよければ」

『いやいや、タカヒロが作ってくれるなら何でもいいよ!』

遠慮がちに告げるタカヒロに

オレは強い口調で答えながらある事にハッと気づいた

『あっ!』

「…はい?」

『でも、ウチに食材が何にもないかも…』

39K:2012/03/06(火) 19:25:14 ID:???



結局、マネージャーに頼んで夜遅くまでやってる近所のスーパーに寄ってもらうと

そこで食材を少し買って帰宅する




『何、作ってくれるの?』

帰宅後、さっそくキッチンに立って準備に取り掛かるタカヒロに訊ねる

「ペペロンチーノを作ります…あと、簡単なサラダ」

『おぉ〜、いいね…美味そう』

キッチンのカウンター越しにタカヒロの様子をじっと見つめていると

野菜を切っていたタカヒロの手元がピタリと静止した

「…あの、マキさん」

『ん?』

「そんなに見られるとなんか…」

『なんかオレ達、新婚みたいだよね』

オレのセリフに困ったように俯くタカヒロがあまりに可愛くて

オレはその姿に微笑みながら

二人で過ごす時間がこんなふうに少しずつ増えていけばいいなと改めて思った

40K:2012/03/06(火) 20:21:13 ID:???

お話の展開があまりにノロノロで書き手自身びっくりしてますが(汗)
次は木曜日にちょこっと更新する予定です
読んでくださる方々、いつもありがとうございます!

41名無しさん:2012/03/06(火) 21:23:54 ID:???
K様、更新ありがとうございます。

MK兄、やっと自分の気持ちに気づきましたね。
Tは今どんな気持ちなんでしょう?
でも確実に甘々なMKTに向かっていってますよね。
K様はご自分でおっしゃってましたがドSかも・・・。
読み手にとっては焦らしプレイ?
こういう焦らしプレイ、まんざら好きですが。
続きが楽しみです〜。
木曜日の更新、お待ちしています♪

42M:2012/03/06(火) 22:40:30 ID:???
k様
お忙しい中
お話しありがとうございます。
私もTKにはいつも笑顔でいて欲しい。
これから、MKと幸せに笑っているTKが見られると嬉しいです。

またお話し読めるのを待ってます。
ゆっくりK様のペースで書いてくださいね。

43名無しさん:2012/03/07(水) 18:14:54 ID:???
これから、どんな風にTをMKさんが口説くのか?
まだTの気持ちはHにあると思うのですが、少しずつでも、MKTの関係ともども、前に進んでいって欲しいなと思いました

44K:2012/03/09(金) 19:43:39 ID:???

41様
コメントありがとうございます!
ほんとにノロノロ展開の焦らしプレイですね(笑)
こんな予定ではなかったんですが…
MKさんはTへの気持ちをハッキリと自覚しましたが
TKは自分に優しくしてくれるMKさんに申し訳ない気持ちの方が強いかもしれません
このお話はまだもうちょっとかかりそうですが、久し振りに甘々なATKが
書きたい気持ちになってるので気長にお付き合いくださると幸いです

M様
コメントありがとうございます!
なかなか進展しないので書き手自身、ジリジリしてます(笑)
TKの笑顔はほんとに素敵ですよね〜!
あんな素敵な笑顔の男性なかなかいないと思います
周りの人を幸せにする笑顔ですよね!
AやMKさんはあの笑顔に堕ちたと言っても過言ではない気がします(笑)
もうちょっと続くのでお付き合いくださると嬉しいです

43様
コメントありがとうございます!
書き手の中のMKさんのイメージは大人でジェントルで包容力あって…
なので優しさも持ちつつ強気でタカヒロを口説いていくんではないかなと
思ってます
43様の仰るようにTはまだHさんのこと吹っ切れてないですね…
もう元には戻らないと判ってるけど気持ちのケリをつけられないでいるので
そこはちゃんとさせてあげたいなと思ってます
ちょっとずつ、お互いの気持ちが寄り添っていく様子を書いていければいいと
思ってます
続きも楽しんでいただけると幸いです


昨日は更新出来ずにすみません!
今日、ちょこっとですが更新したいと思います

45K:2012/03/09(金) 19:45:51 ID:???

41様
補足ですが…
このお話の後に甘々なATKを書く予定です
説明不足ですみませんっ!

46K:2012/03/09(金) 20:09:20 ID:???






『ご馳走様。すげぇ、美味かった』

「それならよかったです」

ご馳走様と手を合わせて、そう告げるオレに

タカヒロはホッとしたような表情を浮かべる

以前、収録でも暴露していたように

少し前からハマっているという料理の腕前はかなりのもので

改めてその器用さに感心してしまう

47K:2012/03/09(金) 20:23:49 ID:???



『ごめんな、片付けまでやってもらっちゃって』

「いえ、大丈夫です」

洗い物を手早く済ませたタカヒロは

コーヒーまで淹れてくれて、ソファに座るオレの目の前のテーブルに置くと

隣のソファの背に置いていた上着を手にした

『えっ、帰るの?』

「はい、そろそろ…」

慌てて訊くオレにタカヒロが頷く

『明日、早いんだっけ…?』

「…いえ、オフです」

『じゃあ、泊まっていけば?』

あくまでさり気なく、軽い口調で提案したオレに

タカヒロはちょっとビックリしたように目を見開いた後、俯いてしまう

「…マキさん、オレは…」

『実はさ…オレもオフなんだ、明日』

「えっ?」

『だからさ、泊まっていきなよ』

48K:2012/03/09(金) 20:56:53 ID:???



軽い口調のまま、それでも少々強引に誘うオレに

タカヒロは困ったように笑う

(困ってるんだろうけど、イヤとは言わないならいいよな)

オレはソファから立ち上がるとテレビ横のラックからDVDを取り出し

タカヒロに見せる

『ほらっ!じゃ〜ん!このDVD見て!』

「あっ、それ」

オレが見せたDVDにパッと目を輝かせて食い入るように見つめる

『タカヒロ、観たがってたでしょ?』

海外のテレビドラマシリーズの最新作

前に事務所でアキラとタカヒロがこのドラマの話題で盛り上がってたのを

たまたま傍で聞いていて、後日ついつい購入してしまったんだ

『一緒に観よ?』

笑顔でそう誘うオレに少しの間、逡巡したタカヒロは

「…じゃあ、少しだけ」

そういって頷いてくれた

49K:2012/03/09(金) 21:26:39 ID:???



ストーリーはサスペンスアクション

二人でコーヒー片手にソファに隣り合って座り、いざDVD鑑賞を始めると

その面白さに一気にストーリに引き込まれていってしまう

「あと一話だけ…」タカヒロは一話終わるごとに引き留めるオレに

遠慮がちにそう言いながら

でも気付けばあっという間に時間が経っていて

『ちょっと休憩しよう』オレからそう提案して、ソファに凭れ大きく伸びをし

ほんの少しのつもりで目を閉じれば…







『まぁ、朝になっちゃうよね(笑)』

目を覚まして自分達の状態を確認すると

大きなソファにタカヒロと二人、ぴったりと身を寄せ合い

オレ達はいつのまにか眠ってしまったらしく気付けば朝を迎えていた

どのようになってこんな状態で眠りについたのか記憶がないが

オレはタカヒロの身体をすっぽりと包みこみ

タカヒロの手はオレのシャツの胸元辺りをキュッと握りしめ

穏やかな寝息を立てている

『ちゃんと寝れたじゃん、おまえ』

オレはタカヒロの寝顔にそう囁くと、閉じられた目蓋にそっとキスを落とした

50K:2012/03/09(金) 21:35:19 ID:???

短くてすみませんっ!
出来るだけ近いうちに更新する予定です
いつもありがとうございます!

51名無しさん:2012/03/09(金) 21:58:28 ID:zU49bmxs
K様、更新ありがとうございます。

MK兄のシャツを握りしめて眠ってるT、可愛いです〜。
だんだんとMKTになってきてますね。
次は甘々なATですか?嬉しいです!
次回の更新、お待ちしています♪

52K:2012/03/14(水) 12:16:07 ID:???

51様
コメントありがとうございます!
シャツを握りしめるTを気に入っていただき嬉しいです!
書き手も大好きな描写だったりします
MK兄が相手だと身長差はほとんどないはずですが
MKさんの身体にすっぽり包まれて眠るTが勝手に浮かんでくるんですよね(笑)

次は甘々なATの予定なんですが…先日の週えぐのATにかなり萌えまして(笑)
急遽、AT小話を入れたいと思います!

楽しんでいただけると幸いです

53K:2012/03/14(水) 12:30:28 ID:???



先日の週えぐから妄想したAT小話です


 
  キミだけを想う 〜AT〜





『はぁ…』

携帯のディスプレイを見つめながら
隣で眠るタカヒロを起こさぬよう小さく溜息をつく

そこにはヒロさんからのメール

今度のステージにタカヒロを出演させるのか、しないのか…
どうするのか二人で決めて返事をくれ


もう間もなく、ヴォーカルバトル出身のメンバーによるライブリハが始まる
普通に考えたらタカヒロが出るのは当然だよね…
だって優勝者だし

だけど、ヒロさんからのメールに苦々しい気持ちになるほどに
オレは複雑な心境でいた

年が明けてから、中国へ行ったり来たりが続いているオレは
タカヒロとの逢瀬もままならず、この状態でタカヒロのリハが始まれば
増々、お互いのすれ違いが続くのは判り切っていて
オレがその状況に陥ることを不安に思っているのを
ヒロさんは知っているからこそ、こんなメールを送ってくれたんだろう

正直に言うと、タカヒロがオレの知らない場所で
オレのいない時にオレ以外の人間と唄う…
それに関して、複雑な気持ちを抱いているのは本音

自分は好き勝手してて、ほんとに酷いと思う
そんなこと自分でもよく判っている
でも…タカヒロに関して、オレは独占欲の強い、ただの我儘な男でしかない

タカヒロの隣にオレ以外の他の奴が…
なんて想像しただけで、嫉妬で平常心を保てそうにないんだ

54K:2012/03/14(水) 12:54:44 ID:???



「…んぅ、アツシさん?」

隣で眠るタカヒロが身じろぐ気配に携帯から顔を上げる

『ごめん、起こした?』
「ううん、大丈夫…どうしたの?眠れない?」

寝乱れたタカヒロのサラサラとした髪をそっと撫でると
タカヒロが心配そうにオレをじっと見る

その透き通った綺麗な瞳をじっと見返しながら
あぁ…やっぱりイヤだ
そう思った

だからオレはありのままの今の気持ちを正直に告げたんだ

『あのさ、タカヒロ…』








それから一週間

リハのスタジオ
ショーキチ達のリハを見つめるオレの隣で
タカヒロはさっきからご機嫌ななめ

そんなタカヒロに小声でそっと囁く

『あと15分だけだから』
「…あと5分」
『あと10分だけ(苦笑)』
「…もう知らないっ」

そういって、ぷいっとそっぽを向いてしまい
オレはそれに苦笑いしながらテーブルの下、タカヒロの手をきゅっと握る
その瞬間、びくっと震えて驚いたようにオレを振り返るタカヒロ
でも次の瞬間、小さく「もぅ…」と呟きながらオレの手をきゅっと握り返してくれた

今日は久し振りの丸一日オフ
だから今日はタカヒロと一日中、一緒に過ごせる
そう思っていたのに…
早朝に、ヒロさんからの電話で起こされたオレは
『リハを見てアドバイスをしてやってくれ』というヒロさんの頼みに
こうしてタカヒロと共にスタジオにいる

タカヒロは結局、今回のステージには出演しないことになった
先週、オレの我儘な気持ちを伝えたうえで
『でも最終的にはタカヒロがどうしたいのか決めていいからね』
そう判断を委ねた
そしたらタカヒロは「今は少しでもアツシさんと一緒にいたいから…
離れていたくない」
そういってくれたんだ

オレが忙しさ故、疲労もピークに精神的にも肉体的にも張りつめた状態なのを
タカヒロは誰よりもオレの傍にいて感じているんだろう

だからタカヒロの出した返事にオレは正直ほっとするとともに
オレの我儘に付き合ってくれるタカヒロに感謝の気持ちでいっぱいになった

55K:2012/03/14(水) 13:21:22 ID:???



『…じゃあ、そろそろ』

ショーキチ達に一通り、アドバイスをし終えるとそういって腰をあげ
スタッフに挨拶をして、タカヒロと一緒にスタジオを出る


『ほんとにごめんね』
「もう、いいです」

タカヒロとの貴重なオフをオレの都合で仕事に費やしてしまい謝ると
タカヒロは先程のご機嫌ななめな表情とは打って変わって笑顔で首を振る


オレがひとりずつにアドバイスをしている最中
タカヒロはオレの隣で何も言わずただ真剣にオレの言葉に耳を傾けていた
ほんとうに可愛いオレの恋人

『これからは二人の時間だよ』

そういってタカヒロの手をぎゅっと握るとそのままオレのコートの中へ

「ちょ…っ!?アツシさん…っ?誰かに見られたら…」
『タカヒロ、手がすっごく冷たいから…暖めてあげるよ』

慌てて手を放そうとするタカヒロにオレは平然とそう告げる
するとタカヒロは耳まで真っ赤にして俯いてしまった

『ん?どうした…?』
「…アツシさんて」
『え?』
「時々、サラッともの凄いこと言いますよね」
『…え?そうかな…』
思い当たるフシがなくてオレは首を傾げる
「だって、普段シャイなくせに…時々、凄いタラシです」
『そう?』
「はい。天然タラシですっ!」
タカヒロのセリフに思わずぷっと吹き出してしまう

『…で、どこ行こうか?タカヒロの行きたいとこ、どこでもいいよ』
「…うちに帰りたい」

今日はタカヒロの行きたいところ、どこへでも…そう思ってタカヒロに訊ねると
タカヒロはあっさりとそう返事する

『うち?家でいいの…?ほんとに…?』

オレが思わず確認すると

「家に帰ってアツシさんとイチャイチャしたいです」

オレの耳元で甘くそう囁いた

タラシなのはいったいどっちなんだか…

オレは苦笑いしながら少し温もりを持ち始めたタカヒロの手を
もう一度きゅっと握りしめた

56K:2012/03/14(水) 13:55:57 ID:???



「アツシさ〜ん、早くっ!」
『はいはい(笑)…ちょっと待ってて』

家に帰ってきたオレ達はタカヒロのリクエストで
これからオレ達のライブDVDを見ることに

二人分のコーヒーを淹れてローテーブルに置いてからタカヒロの隣に腰を下ろすと
タカヒロが大きな瞳でオレをじっと見てくる

『…ん?』
「…アツシさん、抱っこ」

タカヒロの可愛いお願いにオレは思わず破顔してしまう

『おいで』
「ん」

膝の間に座るタカヒロを後ろから抱きしめるような格好でDVD鑑賞
くったりとオレに凭れかかるタカヒロが可愛くてその首筋にそっと顔を埋める

「んっ…くすぐったい」
『ふふっ』
擽ったそうに身を捩るタカヒロが可愛くてオレは鼻先を更にスリスリと擦りつける

「あっ…もぅ」
『ん〜?なぁに?』
「アツシさん」
『ん?…擽ったい?』
「…好き」
『え?』

タカヒロの首筋から慌てて顔を上げて、タカヒロの顔を覗き込む

「アツシさん…好き、好き、好き、大好き」
『ほんとに?』
「うん、大好き」
『…こんな我儘ばかり言っている男でも…?』

苦笑交じりにオレがそう訊ねるとタカヒロはふふっと笑ってみせる

「うん、そんなとこも好き…だってオレしか知らないでしょ?」

『そう、タカヒロぐらいだね』
他の誰も知らないオレをタカヒロはたくさん知ってる

「そうですよ。だから一生を共にするって、言ったでしょ?」

聞いたことのあるセリフに、ん?と首を傾げる

『それ…オレが言ったんだけど(苦笑)』

タカヒロがオレ達のメンバーになった時に伝えた言葉

「ふふっ、いいんです(笑)オレも同じ気持ちだから」

そういって眩しいくらいの笑顔を見せてくれる

「だから責任とって一生、一緒にいてくださいね」

タカヒロのセリフにオレの胸に込みあげる想い

『もちろん。タカヒロが嫌だって言っても離さないから』

そしてオレ達は誓いのキスを交わした

キミの笑顔に誓う
オレ達はずっと一緒だよ

『愛してるよ』





〜Fin〜

特にオチなし、えちなし…なんですが(笑)
週刊の二人に萌えて書きたくなっちゃいました!
Aの隣の素っぽいTが可愛くて…
TSKくんにアドバイスするAをじっと見つめて頷くTとか…
あれから二人でどこ行ったんだろう…とか妄想してニヤニヤしてしまいました(笑)

読んでくださった方々、ありがとうございます!
次はいつも通り、MKTを更新します

57名無しさん:2012/03/14(水) 14:12:09 ID:???
K様、甘々なATありがとうございます♪
最近AT萌え不足だったので、週刊で二人でリハ見学していたのは、嬉しかったです。
一緒に出ていってたから、そのあとは…と思っていましたが、家に帰ってイチャコラしてたんですねww

MKTの続きも楽しみにお待ちしています。

58名無しさん:2012/03/14(水) 16:48:47 ID:???
K様、更新ありがとうございます。

「Aさん、抱っこ」にまたまた撃沈しました。
私も週刊のふたりに萌えました。
先日B○朝○でやってた美○さんの番組の5時間バージョンでも
Aちゃんがひとりで歌う曲のリハの映像にふたり一緒で登場してたし・・・。
ふたりがセットなのがとっても嬉しいです。
今日T○Wのブルーレイが届いたので、
ゆっくりと堪能しようと思います。
MKTの続き、楽しみにお待しています♪

59名無しさん:2012/03/14(水) 18:58:44 ID:CxFk5hHs
K様、更新ありがとうございます!

AT小話に癒されました!
いつもAのことを見詰めてるTが本当に萌えすぎw
昨日ちょうど昔の番組で、Tのキラースマイルという話があって、
「もー、あのスマイルが、ホントに反則だよぉー」と思っています(笑)
Aの独占欲、わかるわかる(オイ)
Aの隣のTが超可愛くて、仕方がないぐらいですw

でも最近のCM、またM兄の番ですね(笑)
MKTの続きもすごく楽しんでいますw

60K:2012/03/17(土) 16:25:24 ID:???

57様
コメントありがとうございます!
甘々だと仰っていただいて、正直ほっとしている書き手です(笑)
ATに関しては、実際の二人の状況とリアルにシンクロして
複雑な気持ちになり、なかなか甘いお話が書けなかったりしていたので
今回もちょっぴり心配だったんです
週刊の二人の姿には書き手もかなりテンションTKになりました(笑)
久し振りだったのとTKの素っぽい表情が凄くよかったです
見えないところで二人は当たり前のように隣にいるんだなって
あの後、一緒に何処へ行ったんだろうってかなり妄想しちゃいました(笑)
あの後、仕事って雰囲気じゃなかったですよね〜

58様
コメントありがとうございます!
「抱っこ」に撃沈していただき、嬉しいです!
甘えた感じで「抱っこ」って言われたらAちゃんもメロメロになると思います
先日の美〇さんの番組は残念ながら観てないんですが…
でもそちらでも二人は一緒にいたんですね〜!
もうそれを聞いただけで書き手のテンションもかなり上がります(笑)
Aが中国へ行ったりしてなかなか会えない分、日本にいるときは今まで以上に
二人で過ごす時間をつくっているのかな…なんて勝手に妄想しちゃいました
ブルーレイで美し過ぎるTKを堪能してくださいね!

59様
コメントありがとうございます!
癒されただなんて、凄く嬉しいです!
週刊でAを見つめるTKは可愛かったですね〜
まるで自分が言われてるかのように頷くTKはほんとに可愛かったです
キラースマイル…まるでTKの為にあるかのような言葉ですよね(笑)
あのスマイルはほんとに可愛くて美しくて…反則ですね
Aは表に見せないだけで、実はかなり独占欲強いんじゃないかと思います
CMではMK兄とTKがカッコいいし可愛いくて素敵ですが…
まるで監視役のように社長がいるのが、ついつい笑ってしまいます!
MKTの続きも楽しんでいただけると幸いです

61K:2012/03/22(木) 08:57:15 ID:???



タカヒロを抱いたまま、あれから二度寝をしてしまったオレが

次に目を覚ましたのは昼前

肩をゆるく揺さぶられる振動に、瞼を開けば

そこにはどこか困ったような表情のタカヒロがいた


その顔があまりに可愛くて

無意識にその柔らかい髪にキスを落とすと

タカヒロの身体がびくんっと震えて、オレの意識がクリアになる

62K:2012/03/22(木) 09:08:02 ID:???



『あー、おはよ』
「おはようございます」

なんだか照れくさい朝の挨拶の後、タカヒロが戸惑いがちに呟く

「マキさん、あの…」

『ん?』

「あの、腕が…」

タカヒロの指摘に、自分の腕がタカヒロの背にしっかりと回ったままなのに気付く

『…あぁ、ごめん』
「ううん」

なんだか名残惜しく思いつつもオレはゆっくりと腕を放すと
その手でタカヒロの髪をくしゃっと掻き混ぜた



それから交代でシャワーを浴びたオレ達は

天気がいいこともあって、近所を散歩することに

カフェでコーヒーをテイクアウトして

ふたりで川沿いの遊歩道をゆっくりと歩く

63K:2012/03/22(木) 09:20:21 ID:???



帰りがけに買ってきたサンドウィッチを家で食べた後

午後は日溜りが降り注ぐなか、リビングのラグの上にゴロンと寝そべり

他愛のない話を飽きることなくする

そして気付けば一緒に昼寝まで

穏やかな一日はあっという間に過ぎていき


『じゃあ、また』

「はい」

夕方、帰るタカヒロを下まで見送る

『いつでもおいで』

「…ありがとうございます」

春の日溜りのような柔らかい笑顔をみせるタカヒロに

オレも笑って手を振った

64K:2012/03/22(木) 09:32:24 ID:???



あれから一週間

あの日がまるで夢の中の出来事だったみたいに

それからは見事にスレチガイの日々


『完全にタカヒロ不足だな…』

打ち合わせの為、事務所の廊下を歩きながら思わずそう呟くと

前方からタカヒロのマネージャーが小走りにやってくるのが見えた

(おっ、運命かも)

『あっ、マキさん。お疲れ様です』

『お疲れ。あのさ…今日、タカヒロは』

偶然の出会いに感謝して、タカヒロのスケジュールを訊ねるオレに

マネージャーは困ったような笑みを浮かべる

『それが…さっき、ヒロさんと出てったきり連絡つかないんです』

『ヒロさんと…?』

ヒロさんの名前に反応して勢い込んで訊ねるオレに

マネージャーは素直に教えてくれる

『ええ、ヒロさんと少し話があるからって』

『…そっか』

65K:2012/03/22(木) 09:55:52 ID:???



二人だけで会っているという事実に、オレの胸が激しく揺さぶられる

『タカヒロさんに頼まれてたの早く渡したかったんですけど…』

動揺するオレに気付かず、ブツブツと呟くマネージャーの手には白い封筒

その中身がなんだか気になって、不意に訊ねる

『それ、なに?』

『あぁ…コレ、マンションの物件です。タカヒロさんに頼まれてて』

『えっ、タカヒロ、引っ越すの?』

驚いて思わず訊き返すオレにマネージャーはあっさりと告げる

『はい、なんか急に引っ越したいって言いだして…新しい場所をいくつか
ピックアップして欲しいって』

『なんでまた、急に…』

『なんでですかねぇ…今のとこはセキュリティも万全なんですけどね。
何よりヒロさんもいるし…』

『はっ!?ヒロさん?』

マネージャーの口から再び出てきたヒロさんの名前に驚きを隠せない

『はい、今はヒロさんと同じマンションなんですよ』

マキさん、知りませんでしたっけ?…なんて呑気に訊いてくるマネージャーに
冷静を装って確認する

『…いつから?』

『えーと…確か、14人になってからです』

全く知らなかった

タカヒロがメンバーに加入した頃、タカヒロはよくオレの家に遊びに来ていた

今のオレの家は、あの頃住んでいた家とは違う…

だからタカヒロだって、何度か引っ越しているのも至極自然なことなんだけど

まさかヒロさんと同じマンションだったとは予想もしていなかった

そして、今そこを出ようとしていることも…

66K:2012/03/22(木) 10:35:45 ID:???



『タカヒロの家、どこ?』

『え?』

『オレがソレ、渡しとくよ…今夜、呑む約束してるから』

マネージャーの手に握られている白い封筒を指で示しながら

平然と嘘をつくとニッコリと微笑む

(でも、これぐらいの嘘なら許されるよな…)

今夜、どうしてもタカヒロに逢いたい…いや、逢わなきゃいけない

『あっ、じゃあお願いします』

オレからの提案に、寧ろ助かった…という表情を浮かべるマネージャーから

封筒を受け取るとタカヒロの家の場所をメモる為、携帯を取り出した

67K:2012/03/22(木) 10:50:02 ID:???






(なんだか久し振り…)

店内をゆっくりと見回して、オレは胸の内でそう呟いた

今、振り返ってみると、ヒロさんとの関係が始まってから

二人だけで過ごした時間は限りなく少ない

でもこのお店は他のメンバーも来ない、二人だけで過ごした数少ない場所だった


いま、再びここに…オレはヒロさんと二人で向き合って座っている


「ヒロさん、コレ」

ジャケットのポケットから取り出したモノをテーブルの上にそっと滑らす

ヒロさんの家の合鍵

オレが持っていてはいけないモノ

もう、オレが使うことのないモノ

68K:2012/03/22(木) 11:22:00 ID:???



「色々とごめんなさい」

ヒロさんの顔をじっと見据えてそう告げると

ヒロさんは困ったように少し笑ってオレを見る

『なんでタカヒロが謝るんだ…?おまえは何も悪くないだろ…オレが…』

「ううん、オレはヒロさんの優しさにいっぱい助けられてきたから…
でも、もう…甘えてばかりじゃダメだから」

『…タカヒロ』

「ずっと…ひとりになるのが怖かったけど…でも、もう大丈夫」

ヒロさんに向かって精一杯の笑顔

唇は少し震えてるかもしれないし、少し歪んだ笑顔かもしれない

ヒロさんの大好きなキラースマイルはまだ出来ないけど…

でもヒロさんにはオレよりも大事にしなきゃいけない人がいるから

だからその人にヒロさんを返してあげなきゃ

『…ごめんな』

苦しそうにぽつりと零したヒロさんに、ふるふると首を振る

「謝らないで…謝ったら全部が嘘になっちゃうでしょ…?
たとえ少しの間でも、ヒロさんと過ごした時間はオレにとって掛け替えのない
時間だったから…ヒロさん、ありがとう」

最後はさよならじゃなくて、笑顔でありがとうって言いたい

そう決めていた

「ヒロさん、ありがとう」

『オレのほうこそ、ありがとうな』

そういって最後に交わした握手

ヒロさんの手はやっぱり大きくて温かくて…ヒロさんそのものだった



店の前でヒロさんと別れてタクシーを拾って家まで向かう

いつのまにか降り出した雨はしだいに本降りとなり、窓の外を濡らしていた

ふいに窓ガラスにぽっかりと浮かぶマキさんの笑顔

オレがちゃんとヒロさんと向き合えたのもマキさんのお蔭なんだ

今度、会ったときにちゃんとお礼を言わないと…

「逢いたいな…」

窓ガラスに浮かぶマキさんの顔をそっと撫でて思わず呟いた

69名無しさん:2012/03/22(木) 21:04:02 ID:???
K様、更新ありがとうございます。

TやっとHさんとの事、気持ちに整理がついたみたいですね。
早くMK兄とラブラブになって欲しいです。

ブルーレイで美し過ぎるTを堪能致しました。
願○のATバージョンやTバースデーでのふたりのハグ、感動しました!
私ブルーレイディスク初めて見たんですが、
画質はもちろんのことですが、音質の良さに驚きました。
次回の更新、お待ちしています♪

70K:2012/03/23(金) 17:37:02 ID:???

69様
コメントありがとうございます!
やっとTはHさんへの気持ちにケリをつけました
予想以上に長々と続いているこのお話ですが(笑)
う〜ん…やっとこさ、終わりが見えてきたのかなと思っております
Tバースデーでの二人のハグはやっぱり素敵ですよね…
気付けば3月も終わりに近づき…Aちゃんのバースデーもやってくるという…
甘いATも書きたい気持ちも凄くあるので、今のお話を頑張って更新していきますね!

71K:2012/03/23(金) 17:42:29 ID:???



自宅マンション前でタクシーから降り

激しく降る雨に駆け足でエントランスに向かうと

不意にエントランス横の植え込みに立つ人影が、目の端を横切った

(……?)

目の端に映り込む、なんだか見覚えのあるシルエットに

思わず足を止めて振り返る

(え…まさか)

「マキ…さん?」

ゆっくりと歩み寄り、暗闇のなか顔を確認すると

それは雨の中、傘も差さずにびしょ濡れの恰好で佇むマキさんだった

72K:2012/03/23(金) 17:50:05 ID:???



「マキさん…っ!?」

なんでこんなところにいるの!?

驚愕のあまり思わず大声で名前を叫び

オレは慌ててマキさんへと駆け寄る

「マキさん、なにやってるの…!?びしょ濡れだよ…っ!」

たっぷりと水分を吸ったマキさんのジャケットに触れた途端

指先から伝わるあまりの冷たさに、オレの心臓のほうがヒヤっとしてしまい

マキさんに対して思わず強い口調が言い放つ

でもマキさんはいつもと変わらぬ、その優しい眼差しで

オレに笑いかけながら告げる

『おかえり』

「…え」

『待ってたんだ…タカヒロが帰ってくるの』

「なん…で」

73K:2012/03/23(金) 17:56:47 ID:???



『どうしてもタカヒロに会いたくて…逢わなきゃいけないって思った』

「どうして…」

『独りで泣いてる気がして…』

「な、に…言って」

『いや、違うな…きっと、独りで泣くのを我慢してると思ったから…
だから抱きしめにきた』

そういってマキさんがオレに微笑んだ次の瞬間

グッと腕を引かれマキさんの腕のなかに閉じ込められた

その途端、オレの瞳からぶわっと溢れ出る涙

ヒロさんと別れたときには出なかった涙が

今は止めどなく流れる

74K:2012/03/23(金) 18:10:17 ID:???



だってマキさん…こんなに身体が冷え切ってるから

こんなにもびしょ濡れになりながら、オレのことを待っててくれたから

ほんとに、なにやってんの…?オレなんかの為に

そう思ったら涙が溢れて止まらない

オレは嗚咽で震える唇を懸命に開く

「ばか…、ばか…っ、オレなんかの為に…っ、マキさんはバカだよ…っ!」

涙と雨で滲む視界に映るマキさんをじっと見つめると

後頭部に手が添えられる感触と共に、唇に触れる冷たい感触

「…んっ」

マキさんの冷え切った唇

キスをされた驚きよりも、その冷たい感触が切なくて、少しでも温めたくて

オレは自分から口づけに応える

「んんっ」

何度も角度を変えて、冷えた唇を温めようとちゅっ、ちゅっと啄む

「んぅ…っ」

少し開いた唇の隙間からスルッと入り込んできたマキさんの舌が

すかさずオレの舌をキュッと絡め取る

「んっ…ふぁ…っ」

一度、きゅっと舌を甘噛みされた後、そのまま離れていくお互いの唇

75K:2012/03/23(金) 18:27:19 ID:???



『好きだ』

「……」

『オレはタカヒロが好き…好きなんだ』

突然の告白

でもマキさんの表情はすごく真剣で、その真摯な瞳はマキさんの気持ちを

真っ直ぐオレに伝えてくれる

オレがすぐに返事が出来ないでいると

マキさんはふにゃりと笑ってガクッと頭を垂れた

『あぁ〜言っちゃったよ…もうちょっと我慢するつもりだったのに』

「え?」

『突然ごめんな…ビックリしたろ?とりあえず顔が見れてよかった』

じゃあ…そう言って、あっさりその場から立ち去ろうとするから

「もう…っ、ばかっ!」

マキさんの腕をがしっと掴むと、オレの行動に目を丸くして驚くマキさんを無視して

ぐいぐい引っ張りながら自宅へとマキさんを連れ帰った

76K:2012/03/23(金) 19:25:48 ID:???



「とにかく中に入って」

『だけど、オレ…濡れてるからさ』

「このままじゃ、マキさん風邪ひいちゃう!早く…っ!」

びしょ濡れのままオレの家へと上がり込むのを躊躇うマキさんの背を

ぐいぐい押してバスルームへと案内する

「ゆっくり入って身体を温めてください」

バスルームの扉を閉めるとタオルを掴んで自分の髪をガシガシ拭きながら

オレは着替えを取りに寝室へと向かった

77K:2012/03/23(金) 19:33:53 ID:???



マキさんが風呂から出てくるとオレも交代でシャワーを浴びる



「ごめんなさい…散らかってて」

『いや』

オレがリビングに戻るとマキさんはソファに座って

オレが淹れておいたコーヒーを飲んでいた

そのソファの周りには段ボールの山、山、山

人を招き入れることの出来る状態ではない部屋の有り様に

オレが謝るとマキさんは優しく笑って首を振る

『引っ越すんだって…?』

「え?…どうして」

どうしてそのことを知っているのか…不思議に思って訊ねると

マキさんはあっさりと告白する

『マネージャーに聞いた』

「…ああ、そうですか」

『どこに?』

探るようなマキさんの視線にオレは正直に答える

「いえ、まだ決めてません」

78K:2012/03/23(金) 19:43:03 ID:???



『そっか』

ポツリと呟いてマキさんがコーヒーを口に含む

オレはそのマグカップに触れるマキさんの唇に思わず見入ってしまった

さっき、あの唇がオレの唇に…

シャワーを浴びて、なんだかすっかり落ち着いてしまったけど

オレはさっきマキさんに好きだって言われて…キスしたんだ

マキさんとキス…

オレはキッチンで自分の分のコーヒーを淹れながら

無意識に自分の唇にそっと触れる



『……ヒロ、タカヒロ…っ』

「あっ、はい!」

マキさんがオレの名を呼ぶ声に我に返る

79K:2012/03/23(金) 20:01:51 ID:???



『ちょっとこっち来て』

マキさんの手招きにオレはコーヒー片手にソファへと向かう

マキさんの隣へと腰掛けると、身体ごとオレの方へと向いたマキさんが

真剣な表情でオレをじっと見つめてくる

『タカヒロ』

「…っ、はい」

『さっき伝えたオレの気持ち…あれ、本気だから…オレはタカヒロのことが好き。
ほんとはさ…タカヒロの気持ちがもうちょっと落ち着いた頃に伝えようと思ってた…
でもなんか顔見たら我慢出来なくて(笑)…ごめんな』

「いいえ…オレは…」

オレは正直言って、嬉しかったよ…マキさんの気持ち

でも…だからといって、はいじゃあマキさんと付き合いますって訳にはいかない

『…それでさ』

オレのそんな気持ちも、マキさんにはきっとお見通しなんだろう

マキさんは少し逡巡したようにオレを見た後に、穏やかな表情でオレに告げる

『オレの家に来ない…?』

「えっ?」

『オレの家に住めば…?次の家が見つかるまで』

「っ…でも」

思いがけない提案にオレは酷く動揺してしまう

80K:2012/03/23(金) 20:30:01 ID:???



『オレの気持ちはさっき伝えたから…今すぐ返事はいらないからさ…

ゆっくり考えて答えを出して欲しいんだ…オレはいつまででも待ってるから』

「…マキさん」

『それとは別にさ…家においでよ。新しい家が見つかるまで』

ニッコリ微笑むマキさんにオレの心は激しく揺れる

こんなにも甘えてしまっていいものか…迷って返事が出来ないでいると

マキさんがゴソゴソと動いてお尻の下から何やらヨレヨレの封筒を取り出した

『コレ…タカヒロのマネージャーから預かってきたマンションの物件』

「…あっ」

『雨に濡れてビッチョビチョになっちゃった』

濡れて張り付いた紙の束を封筒の中から取り出そうとした瞬間

水分をたっぷり含んだ紙は音も立てずにフニャリと破れてしまう

『あっ』
「あ」

思わずマキさんと視線が絡み合う

『あはっ…ごめん(笑)』
「ぷっ…ふふっ」

ふたりして吹き出してしまう


『家においで、タカヒロ』

オレの僅かな不安も全てを包み込んでくれそうなマキさんの笑顔での誘いに

気付けばオレも笑顔で頷いていた

81K:2012/03/23(金) 20:33:08 ID:???

急いで更新したため、誤字脱字酷いかもしれません(汗)
やっとここまで漕ぎつけました(笑)
あと2回ほどの更新で無事に書き終えるかな…と予想してます
いつも読んでくださる皆様ありがとうございます!

82名無しさん:2012/03/23(金) 20:59:07 ID:???
K様、リアルタイムで読ませて頂いてました!
すべてはMKさんの思惑(…と書くと黒いですが(笑))さすがです!Tを片時も一人にしたくない優しさと独占欲、大好物です(笑)
MKさんの大きな愛に包まれて、Tは幸せ者ですね。
最後まで、目が離せません。楽しみにしてます^^

83名無しさん:2012/03/23(金) 21:03:17 ID:???
K様、更新ありがとうございます。

誤字脱字なぞ全然ありませんでしたよ。流石K様ですね。
MKT急接近ですね〜。
「独りで泣くのを我慢してると思ったから、だから抱きしめにきた」
なんて感動的なセリフなんでしょう!刺さりました。
これから、もっと接近してえちなどもあれば嬉しいと思う
変態な私をお許しください。
次回の更新、お待ちしています♪

84名無しさん:2012/03/23(金) 22:05:04 ID:0aIcEMyc
K様、更新ありがとうございます!
急いで更新してくださって、お疲れ様でした!

まさかリアルタイムで読めるなんて、幸せですwww
びしょ濡れになりながら、Tのことを待ってたMKさん、優しくてカッコイイです!
泣き出しながらバカバカって言ったTも切なくて、好きです(笑)
あの辺ついつい読み返しちゃいました(〃▽〃)ポッ

MK兄さん頑張って!♪
これからの展開も
とても楽しみにしています゚.+:。(〃ω〃)゚.+:。 キャァ♪

85優羽:2012/03/23(金) 22:47:34 ID:???
MKさんかっこいい!
こんなに真っすぐ『好きだ』なんて言われたらもぉTも惚れるしかない(^^)
雨に濡れながらのキス素敵でした。
そのまま一緒に暮らしちゃって〜!

86名無しさん:2012/03/24(土) 20:03:44 ID:???
Kさま。あなたの温もりからずっと読んでます。いつも素敵な文章でキュンキュンしながら展開を待ち遠しくしています♪とっても素敵なカップルですね。MKさんカッコよすぎです!でもそんな感じするから頭の中ですんなり映像化して読めてます。やっと悲しいTから笑顔出て嬉しいです。もう少しでお話区切りありそうですが楽しみに続き待ってますね。

87名無しさん:2012/03/26(月) 12:44:18 ID:???
私も、あなたのぬくもりから読んでます。
MKさんかっこいいです。続きも楽しみにしています。

88K:2012/03/29(木) 17:28:25 ID:???

82様
コメントありがとうございます!
リアルタイムで読んでいただいてたんですね〜
嬉しいです!
MKさんの思惑…確かにMKさんは策士ですよね
ちょいちょい黒いのに(笑)あの爽やかな笑顔でそんな黒さも吹き飛ばす(笑)
ところがMKさんの魅力かもしれません
MKさんバースデーのTKからのメッセ…いつも優しく、器が大きくて…
そんなイメージをそのまま表現できるように頑張ってるつもりです!
お話はあと少しの予定ですので最後までお付き合いくださると幸いです

83様
コメントありがとうございます!
誤字脱字大丈夫でしたか?それならよかったです!
書き終えた後、サーッと見返して、ちょこちょこ直したんですが不安だったので(笑)
やっとここまで漕ぎつけました〜
TKは辛いことがあっても絶対泣くのを我慢しそうですよね
Aちゃんが泣いて、もらい泣きしちゃっても自分が辛い時には泣かない気がします
たとえ一人になっても我慢しそうなので、そこは大人のMK兄に包み込んでもらえたらと
思ってあのセリフが浮かんできました
えち…もちろんありますよ(笑)!
気付けば、えちを書くのはかなり久し振りなんですよね(笑)
それ故、ちゃんと書けるのかちょっぴり心配ですが…頑張ります(笑)
あと少しですので最後までお付き合いくださると幸いです

84様
コメントありがとうございます!
こちらこそ、リアルタイムで読んでいただいてたなんて幸せです!
読み手様あっての書き手ですから、読んでいただいてコメントいただけることに
感謝の気持ちでいっぱいです
水も滴るいい男…のMKさんですね(笑)
いつも明るくふざけてる感じのMKさんがあんな雨の中、待ってたら…
真剣に告白してくれたら…絶対におちると思います!
あと少しの予定ですので最後まで楽しんでいただけると嬉しいです

優羽様
コメントありがとうございます!
「MKさんかっこいい!」コメントありがとうございます!
最高の褒め言葉です!
告白のセリフは色々考えたんですが…敢えてシンプルに言ってみました
MKさんなら、きっともっとロマンチックなセリフも言いそうですが
シンプルな方がグッとくるかな…と狙ってみました(笑)
MKさんとTKの雨の中のキス…絵になりそうですよね〜
同居も始まり、いよいよラストに向かってます
あと少しお付き合いくださると幸いです

86様
コメントありがとうございます!
あなたの温もりから読んでいただいてるんですね!
ほんとうに有難いです!
素敵な文章だなんて、恐縮です…こちらには素敵な書き手様がたくさん
いらっしゃるので自分の文才の無さに落ち込むこともしばしばなんですが
そんな風に仰っていただけるとほんとうに嬉しいです!
MKTは私の中ではまさに王道CPです(笑)もちろんATもなんですが…
MKTはリアル萌えも一時期、多々あったので尚更かもしれません(笑)
MKさんがTKを優しく見守る顔が何より好きですし、リアルに萌えます(笑)
あと少しで終わる予定ですが最後まで楽しんでいただけると嬉しいです

87様
コメントありがとうございます!
あなたの温もりから読んでいただいてるんですね〜
凄く嬉しいです!
こうして読み手様からコメントをいただけると本当に嬉しいですし
励みになります
MKさんかっこいいとのコメントも書き手にとって何よりの褒め言葉だったりします
MKさんは優しくて紳士でほんとに素敵な方だと思うので(TKもオーデの頃から
優しいって言ってましたよね)そのイメージを壊さないように
頑張っているつもりです
あと少し…最後まで楽しんでいただけるように頑張って書いていきます!

89K:2012/03/29(木) 17:38:23 ID:???



仕事を終え、家に帰り着き玄関の扉を開けると

出迎えてくれる愛らしい笑顔

「おかえりなさい」
『ただいま』

そのままお互いの顔を数秒、見合った後

なんだか妙に照れくさくてハニカンでしまう

『なんか…照れるね』
「…照れますね」


一緒に暮らし始めて、ちょうど一週間

とりあえず、タカヒロの新しい家が見つかるまでとの条件で

同居を始めたオレ達

まだ、たった一週間なのにまるでずっと前から一緒に生活してるみたいに

お互いの存在に居心地の良さを感じて、同居生活はとても順調だ

90K:2012/03/29(木) 18:18:03 ID:???



今だってほら…

オレを出迎えるタカヒロは、家から持ってきたんだろう

黒のシンプルなエプロンを身に着けていて

それがとてもよく似合っている

『可愛い』

「えっ?」

『エプロン姿』

思わず口をついて出た呟きに、頬を赤く染めるタカヒロ

「っ…もう!…ご飯出来てるから、早く手を洗ってきてくださいね」

早口でそう告げてパタパタっとリビングへと戻っていく

その後ろ姿を見つめながら、オレの頬は緩みっぱなし

『完璧な奥さんだよね』

91K:2012/03/29(木) 20:54:11 ID:???



『おっ、美味そうじゃん』

「口に合うといいんだけど」

テーブルに並べた料理を前に弾んだ声を出すマキさんに

オレはちょっぴり緊張しながら告げる


去年からハマっている料理

一緒に暮らし始めて一週間だけど、時間が合わなかったせいもあって

マキさんとこうして自宅で一緒に食事をするのは今日が初めて

こうして食べてくれる人がいるって、作り甲斐もあるし

笑顔で美味しい、美味しいって言いながら食べてくれるのは

何より嬉しかったりする

92K:2012/03/29(木) 21:34:15 ID:???



『これ、凄く美味しいよ』

「ほんと…?よかったぁ」

料理を褒められて、ほっとしたオレをマキさんがじーっと見てくる

「…な、に?」

『あー、ヤバい』

「マキさん?」

困ったように笑うマキさんに怪訝に思って訊ねる

『好きだよ』

「えっ…あ、あぁ…ゴハン?」

不意を突かれたセリフに思わず焦って声が裏返ってしまう

(オレが作ったゴハンが好きってこと…だよね?)

自分でそう納得していると、マキさんの熱っぽい視線がオレを射抜く

『ご飯もだけど…タカヒロも、食べちゃいたいぐらい好き』

「…っ!?」

笑顔で告げられるマキさんのセリフにオレは耳までかぁっと熱くなる

こうして一緒に生活をし始めて、改めてマキさんの真摯で真っ直ぐな

言葉に触れるたびに、オレはドキドキさせられっぱなし

誰かと一緒に暮らすことが、こんなに温かいなんて知らなかった

ヒロさんと付き合ってた頃は、ヒロさんのベッドでひとり淋しく

ヒロさんの帰りを待っていたことがほとんどだったから…

(どうしよう…新しい家を早く見つけないと)

マキさんは焦らずゆっくり探せばいいよって言ってくれてるけど

でも…このままだとマキさんの優しさにズルズルと甘えていってしまいそうで

そんな自分が急に怖くなった

93名無しさん:2012/03/30(金) 17:40:06 ID:???
K様。更新ありがとうございます。

TKがエプロン姿で「おかえりなさい」って、可愛いですよね♪MKさん我慢できるんでしょうか(笑)
TKまた不安になってきちゃいましたね…。今まで辛かったんだから、MKさんに甘えていいんだよ!

続き楽しみにお待ちしております。

94K:2012/04/03(火) 08:18:13 ID:???

93様
コメントありがとうございます!
TKのエプロン姿は似合いそうですよね!
タカヒロは黒のシンプルなエプロンをつけてるのに、そのうちMKさんが
白のフリフリのエプロンなんか買ってきて色々企みそうですが(笑)
亀更新になってますが続きも楽しんでいただけると幸いです

95K:2012/04/03(火) 10:58:55 ID:???



マキさんからの告白に対して、自分の気持ちに答えを出せないまま

マキさんとの穏やかな生活も、気付けばひと月が経っていて

一緒に住んでいるとはいえ、今はお互い別々の仕事の時も多いから

一緒に過ごせる時間は正直いってそんなに多くない

だからなのか、マキさんは呑みなどの誘いがあっても

出来るだけ早く帰ってきてくれて

ふたりだけのささやかな時間をつくってくれる

夜遅く、ふたりでソファに座りお互いのその日の様子を話すのが

オレにとって何より大切な時間だったりする

96K:2012/04/03(火) 11:04:17 ID:???



あの雨の日のキス以来、マキさんとそういう意味での触れ合いはなく

でも、オレに向けられる温かい眼差しや

時折、オレの髪にくしゃっと触れる優しい指先に

マキさんの愛情を感じて、オレはそんなマキさんに対して

明らかに以前とは違う胸の高鳴りを感じるようになっていった




そんなある日

アツシさんとスタジオでレコーディングしているオレの元に

マキさんからメールが届いた

メールの内容は夕食のお誘い

97K:2012/04/03(火) 11:24:47 ID:???



今日、マキさんは新メンバーとCM撮影の仕事が入っていて

終わり次第、皆で食事に行く事になったらしい

「タカヒロもおいで」とのお誘いに、オレはアツシさんにも声を掛けて

マキさん達と合流することにした



仕事終わり、お店に到着するとすでにそこには

ヒロさん、マツさん、そしてナオトくん、ナオキくん以外のメンバーが勢揃い

こんな風に集まって食事をするのも久し振りだからか

みんなのテンションもかなり上がっていて、盛り上がりを見せている

まあ、お酒が随分、進んでいるせいもあるんだろうけど(笑)

皆の様子にアツシさんと顔を見合わせて苦笑いを零すと

入口付近のテーブルに腰を落ち着ける

するとショーキチとねっさんが寄ってきて、春からのツアーに話しが及ぶと

オレ達4人もあっという間に話に夢中になっていった

だから気付かなかったんだ

ツアーの話しに夢中のオレ達から少し離れたところで

マキさん達が王様ゲームを始めていたなんて

98名無しさん:2012/04/03(火) 12:15:21 ID:???



『ちょ…っ、アキラやめ…っ』

『マキさぁ〜ん!』

『マジで…っ、ムリっ!』

『なんでですかぁ〜?王様ゲームでしょ』

マキさんの切迫した声に慌ててそちらへと視線を向けると

畳に押し倒されたマキさんに伸し掛かってアキラさんがキスをしようと

強引に顔を近づけている

『マキさぁーん、王様テツヤの命令ですからっ!』

そういって迫るアキラさんに必死で抵抗するマキさん

『いや、頬にキスだろ…っ!なんで口にしようとしてるんだよ…っ!』

お酒が入ると恒例の王様ゲーム

いつもの光景にまわりのメンバーも笑いながら

マキさんとアキラさんの光景を眺めている

99K:2012/04/03(火) 12:50:21 ID:???



『オレ…キスもご無沙汰なんです!』

『そんなの、オレに関係ないだろっ!』

『いいじゃないすかぁ〜キスぐらい…マキさん、いま彼女いるんですか?』

必死で抵抗するマキさんに、アキラさんがニヤニヤしながらそう訊ねる

『いや、彼女はいないけど…だけど…っ』

マキさんがそう告げて、こちらをパッと振り仰いだ瞬間

絡み合うオレとマキさんの視線

重なり合った視線にドキッとしたオレに、マキさんは困ったような笑みを浮かべ

その表情を目にしたオレの胸がぎゅうっと締め付けられるように痛む


『ほや、早くやっちゃいなよアキラ』

それまで笑いながら二人の様子を見ていたウサさんが

徐に立ち上がり、マキさんの両手を掴んで畳に縫い付ける

『ちょ…っ、ウサ…っ!?』

焦ったようなマキさんにゆっくりと近づいていくアキラさんの顔

(やだ…っ、やだ、やだ…っ!)

目の前で繰り広げられる光景に胸が痛くて、苦しくて…

オレは咄嗟に立ち上がった

100K:2012/04/03(火) 12:59:29 ID:???



ガシャン…っ!!と音を立ててテーブルの上のグラスが倒れる

『タカヒロ…?』
『タカヒロくんっ!?』

突然、立ちあがったオレに左右に座るアツシさんとショーキチから

訝しげな声が掛かる

「ごめん…トイレ」

俯いたまま、なんとかそれだけ告げるとオレは部屋を飛び出した





イヤだった…すごく嫌だった

お酒の席で盛り上がってキス…なんてオレ達にとってはよくあること

オレだって昔、酔っ払ったマキさんにキスされたことあったし

アキラさんの誕生日に頬にキスしたことだったある

今まではこんな気持ちにはならなかったのに…

でもマキさんの唇にキスしようとするアキラさんを見た時

胸がモヤモヤして、ザワザワして…痛くて痛くて、見ていられなかったんだ


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