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渡来船2

99カサブタ:2012/03/17(土) 12:03:49
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真夜中の第3学生寮に鐘が響き渡ったのは日付も変わった頃だった。
この学園では緊急の集会等があるとき、男子寮と女子寮に居る全生徒は、寮長の生徒に従って体育館に集合することになっている。
「こんな遅くに一体なんだ・・・?」

「火事や地震がおこったわけじゃなさそうだな。」

臨時の集会はこれまでにもあったが、こんな夜中に行われたことは今までにない。
男子寮の生徒達は眠い目を擦りながらも整然と体育館へ向かっていった。

しかし、体育館に付いた彼らは、そこに広がる異様な光景にはただただ圧倒されてしまった。

「なんなんだよ、これは…。」

体育館には既に、女子寮の生徒達が集結していた。だが、その誰もがおかしな姿をしていたのだ。

黒のブーツにガーターベルト、肘まであるグローブ、濃い化粧。
まるで夜の色街からそのまま抜け出てきたように、各々艶やかに装った少女達がそこにいた。
彼女達はいずれも妖艶な衣裳を纏い、中には恥部や胸などをほぼ露出している者もいた。ただ一つ共通しているのは彼女達が皆、ドラキュラのような大きな黒赤マントを羽織っていることだ。
このマントのおかげでその下の淫らな装いが辛うじて隠れているものの、隙間からチラチラと見える若い身体に、男子たちは目を逸らすフリをしながら横目で見やっていた。

そして、彼女達の中に指揮を執るように一際目立つ。黒髪の美女の姿があった。他の少女達と違い、学校の関係者ではないようだ。

 地面に届くほどに大きな裾を拡げ、大きなフードがついたマントを纏う年にして、20代半ばくらいの女性。眼光は鋭く、その妖艶な姿、整った目鼻立ちと全身から立ち昇る艶かしい雰囲気はそれだけで人目を引く。
 更に驚いたことに、彼女は膝まであるキングサイズのブーツと一際大きなマントを除いて何も身に着けていない、ほぼ裸の状態だったのだ。

「何なんだこれっ!? なんかのイベントか…?」

「い……いやっ、確かにハロウィンは近いし、パーティーの予定はあるけど、いくら何でもこれは無いだろ……。」

「あいつら頭がおかしいんじゃないのか…?(でも……、すごい美人だ…。)」

注がれる戸惑いの目線の中、少女達は互いにクスクスと笑いあい、なにやら話し合っていた。まるで彼らの狼狽ぶりを面白がっているかのようだ。

「クスッ、あの顔見た…? よっぽど驚いているみたいね…?」

「うふ…、いつも、私たちを見て妄想してるくせに、目を逸らしちゃって何を恥ずかしがっているのかしら…?」

「ふふふ…、理性に縛られたくだらない男共ね。内側はとっても汚い癖に仮面を被って…。私達の手で素直にしてあげましょう…。」

「誰から襲おうかな〜、待ちきれないわ。」

 すると、黒ずくめの若い女達は、ごく自然に笑い合いながら男子たちの方へ歩いてきた。

「お・・・おい、なんか近づいてくるぞ・・・。 やばくないか・・・?」

少女達の雰囲気に圧倒されて、少年達は後退ろうとするが、彼らの後ろで体育館のドアはひとりでに閉じてしまった。

「あ・・・あれ? どうなってるんだ? 開かないぞ?」

「な・・・なんで、 俺たち閉じ込められたのか・・・?」 

先頭を歩くリーダー格と思しき女の視線は、まるで値踏みをするように彼らをねめ回していた。そんな彼女の視線が一人の青年の視線を捉える。 まっすぐ美女に見つめられた青年は恥ずかしそうに目を逸らした。

「ふふっ……」

(可愛らしいボウヤだこと……。あとでたっぷり可愛がってあげるわ……。)

真っ赤な紅を塗った口元を綻ばせる美女、ローズは自分の眷属となった少女達を引き連れながら、誰を襲おうか選び始めていた。

「若いボウヤ達が沢山いるわ…。お姉様…、私もう我慢できないわ…。」

ローズのすぐ隣を歩くマリアが呟く。綺麗な亜麻色の髪を振り乱した彼女は、学園指定の黒い制服に黒ストッキングと革靴を身に付け、ほとんど肌を見せていなかった。
その上に他の女と同じようにマントを着ている姿はむしろ暑そうにさえ見える。しかし、そのお嬢様のような姿から女王であるローズと同じく別格の存在であることは容易に見て取れた。


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