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渡来船2
27
:
カサブタ
:2012/03/09(金) 00:02:33
「およ? みゆき。 その子はなんだ?」
「ああ、母さん。 実はね・・・。」
みゆきは先程ここであったことを梨香に話した。
「なるほど・・・、確かに似てる・・・。 それに普通のヴァンパイアでもないわね。何か特別なのよ。」
「特別ってどういうこと?」
「よく考えてみなさいよ。 この子、宝珠の光を浴びても大丈夫だったんでしょ?」
「あっ!!」
みゆきはそこで初めて重要なことに気付いた。宝珠の光はヴァンパイアをはじめとした魔物をほぼ確実に滅ぼす力を持っている。
純粋なヴァンパイアならばこの光の威力に耐えることは出来ないはず。
「さっきから違和感を感じたんだけどね・・・、あいつがやろうとしていた黒ミサって私が知ってるのとちょっと違うのよ。
この子はたぶんあんたの思った通り、黒ミサで何かの役割を担っていた可能性はあるわね・・・。」
梨香はアイの顔を見つめながら言う。 じっと見つめられたアイはたじろぐようにしてみゆきの影に隠れてしまう。
「あらー、みゆきったらいつの間にか懐かれちゃったのね!」
「・・・・・・母さん・・・、この子どうするの・・・?」
みゆきの不安そうな表情を見て、梨香もすぐに彼女の心中を察したようだった。
「それは逆にあんたに聞きたいわね・・・。 何を思ってこの子を生かそうとしたの・・・?
あのヴァンパイアが私の仲間達を大勢殺したことは知ってるはずよね?
あいつと同じ顔をしたこの子を私が放っておくと思うか?
第一、私達ハンターの流儀に従うなら、この子を保護するべきではなかったはずよね?」
「それはわかってる・・・。でも・・・。」
じっと、アイのことを見つめるみゆき・・・、梨香はじれったそうに頭を掻いた。
「あんたさぁ・・・、まるで動物拾ってきた子供みたいな反応ね。
そろそろ、シャキッとしなさいよ!! あたしがどうとか、ハンターがどうとかじゃなく、あんた自身がその子をどうしたいのかを聞いてるの!! どうなのさ・・・?」
「私は・・・。」
みゆきはまっすぐ梨香に向き直って答えた。
「母さんは抵抗があると思う・・・、でも私はこの子を助けたいわ・・・!!
理屈じゃないんだけど、この子を絶対消してはならない気がするの。それに何より、あの女の人の死に際にこの子を生かすって約束してしまったもの・・・。それを裏切りたくないわ。」
「ふむ・・・、相変わらず身勝手な理由だね。」
梨香はしかし、そう言ったものの表情を緩ませた。
「でもまぁ、あんたらしい答えだ・・・。
いいよ。 うちは教会みたいな戒律も無いんだし。思うようにやってみることだね。
もし、その子があいつにとって重要なものなら弱みを握ったことにもなるしね。」
「ありがとう母さん・・・。」
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