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渡来船2
115
:
カサブタ
:2012/03/17(土) 20:43:20
一方のローズは近づいてくる二人を見据えたまま、立っているだけだった。
(アイの後ろからそのもう一つの銃を撃つつもりなのでしょう? そんなことはとっくにお見通しだわ・・・。 でも・・・。)
「ローズッ!!」
バサァァッ!!
そのとき、先陣を切る藍は防御に使っていたマントをいきなり片手で広げた。
すると、強力な衝撃波がローズに向かって飛んできた。今度はローズがマントで身体を隠して防御するが・・・。
「これで終わりよっ!!」
マントで隠されていた藍のもう片方の手は既にみゆきに渡された銃を構えていた。
衝撃波はただの目くらましだったのだ。最初からそれで隙を作り、撃つつもりだった。
しかし・・・。
(やはりね・・・、流石はあの女の娘。 そんな見え透いた手を使う女じゃない・・・。)
「マリア。」
その一言で、床にうずくまっていたマリアが突然、藍のいる方へ飛び出し、藍に襲いかかってきた。
「っ!!」
マリアは広げたマントで受け止めるように、正面から藍に抱きついてきた。
そのまま二人は揉み合いながら転がり、藍は勢いで銃を落としてしまった。
(そしてこれすらも計算のうち・・・、そうでしょうっ!!)
ローズはそれでもみゆきから目を逸らさなかった。
マリアに倒された藍の後ろには既に銃を構えたみゆきが。 その指はもう引き金を半分以上引いていた・・・。
「ふふふ、貴女のやり方などお見通しよ!!」
ローズはみゆきを見つめたまま唇を窄めると、見えない相手にキスをするようにチュッと唇を弾ませた
「んあぁっ!!?」
突然、みゆきの体を強烈な疼きが襲った。手足は痺れ、バランスを失った彼女は勢い余って転倒してしまう。
そして、切り札となる宝珠の弾が入った銃を落としてしまったのだ。
「ふふ・・・、同じ女なら私の魅了にかからないとでも思ったの?」
「う・・・くっ!! そんな・・・!!」
みゆきは痺れた身体を起こせないでいた。 ローズの魔力が一気に身体に回ってしまったのだ。
「やっと掴まえたわよっ!! アイさん!! ふふふ・・・もう逃さないわ!!!」
「うぅ・・・っ!!」
藍の方も、マリアに組み伏せられてしまったようだ。渡した銃は離れたところに転がっていて手が届きそうもない。
失敗した・・・、完全なる敗北だ・・・。
「あなたの作戦は中々鮮やかだったわ・・・。 藍との連携もお見事。賞賛に値するわ。」
ローズは勝ち誇ったように笑いながら倒れたみゆきに近づいてくる。みゆきは忌々しげに彼女を見上げる。
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