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作品投下専用スレッド2
348
:
なまえをよんで
◆R34CFZRESM
:2011/07/12(火) 00:18:26 ID:1AOE4CbI0
■
「すまん……俺はどうかしていた」
少し時間が経って、頭が冷えたオボロはそう口にした。
「もう……気にしてない。それより可憐は……?」
「……大丈夫よ。まだ引きずるかもしれないけど、目の前でみっともない姿晒した男見てたら冷静になれたわ」
「ほんまオボロかっこ悪かったで……」
「うぐ……」
オボロは言葉に詰まっていた。彼自身もさっきの取り乱し方は相当恥ずかしかったのだろう。
哀しみと恥ずかしさを押し殺して彼は言った。
「俺は護るべき人がいるかぎりこの力を振るい続けよう……きっとユズハもそれを望んでいる。後悔しないよう俺は俺の信じる道を貫く」
「そう、それはよかったわ」
名無しの少女は表情を変えること無く言った。
「ねえ、私……あなたの名前を考えたわ」
「わたしの、名前?」
「そう、あなたのオリジナルに負けないほど素敵な名前」
燃える炎に照らされた可憐は微笑んで彼女の新たな名を口にした。
「篝――」
「か、がり――?」
「そう、篝火の篝。そこの炎のように闇夜を明るく照らす光となってほしい。私たちを護る輝きに」
「みん、なを……護る?」
「そして私たちのように闇夜に惑い怯える人を導く篝火に――」
「……そんな大げさなものになれないかもしれない。きっと名前負けする」
「いいのよ、名前なんて多少大げさなほうがいいの。それに……名前負けしないように頑張ればいいじゃない?」
「うん……わたしは、あなたを護る」
「ちょっと違うわ。私とあなたは友達よ?」
そう言って可憐は少女に手を差し出した。
「とも……だち……」
「ええ、これからもよろしくね、篝」
「ありがとう……可憐」
篝と呼ばれた少女は可憐の手を握り返す。
彼女はもうからっぽの人形ではなかった。
名無しの少女でもなくなった。
名前という祝福を受け取った少女は小さな一歩を踏み出す。
ここから始まるのは篝と名付けられた少女の新たな生きる道だった。
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