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作品投下専用スレッド2

137真っ直ぐに駆け抜けて/温かい思いで導いて ◆auiI.USnCE:2011/03/27(日) 01:01:57 ID:TVBNxaIo0

「『人間を創造した神を打ち倒し、人間を解放した大神』……なんだこれ?」
「ん〜なんかメールが一つだけあってな、開こうとおもうんやけど、なんやパスワードがあるみたいで」
「それを解く為のヒントか暗号……?」
「せや、だから、今でも信仰されてる神とか、ヘラクレス、ゼウス、天照みたいな神話まで一通り入れてみたんやけどね、全然ダメで」
「……うーん」

和樹は頭をひねりながら、もう一度その暗号文を読んでみる。
しかし、どんなに考えても暗号文に該当する神など思いつく訳が無かった。
やがて、和樹は手を大げさに掲げて、降参のポーズをとる。

「御免……さっぱり思いつかない」
「そか……まあウチもできなかったし」
「役に立てなくて、御免な」
「いや、いいんよ」

恐らくパスワードをつけてまで隠したがる情報がそこにあるのだろう。
何故、そんなものが支給品に紛れ込んでいたかは解からないが何かしらのヒントにはなるはず。
この状況を打開するための、何かが。
和樹は、思わず拳を強く握り締めてしまう。
ただ、何となくだが、無性に悔しかった。
ヒントがあるのに、それを解けない自分が。

「和樹、心配せんでええ。最終的にプログラムで、パスワードを破る方法だってあるんや」

その気になれば、プログラムでパスワードを破る事が出来る。
そう優しく言った珊瑚の言葉が和樹にとって頼もしくもあり、申し訳なくもあり。

今、こうしてる間だって人が死んでるかもしれないのに。
自分の知り合いだって、どうなってるか解からない。
こみパの皆、大志、そして瑞希だって。
自分が、何も出来ないうちに、もう居なくなってるかもしれない。
どんなに頑張っても無駄かもしれない。
不意に浮かんだ、弱気の考え。


「……いや、そんなんじゃ、ダメだ」


ぱちんと自分の頬を叩く。
どうしようもないうしろ向きな考えを否定して。
千堂和樹は、真っ直ぐ前を向く。

「なあ、珊瑚ちゃん。珊瑚ちゃん此処に家族って……」
「おるよ、瑠璃ちゃん、イルファ、ミルファ、シルファ……皆、大切な家族や」

目を閉じながら、珊瑚は指を追って数えていく。
どれも、大切な家族だった。
欠けてはいけない、唯一無二の大切な存在達。

「そうだよな……誰だって大切な人は居るんだ」
「和樹?」


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