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774ヤン・ヴァーツラフ・ヴォジーシェクの地平 ◆Sick/MS5Jw:2011/02/19(土) 02:06:52 ID:HgiVeuOw0

「なるほど。君たちにはそれぞれ、保護したい人物がいると」

幾つかの言葉を交わした後、得心したように頷いたのは来ヶ谷唯湖である。

「そういうこと。だから、お互いの目的の邪魔にならない限りは手を組んでおきましょう、ってわけ。
 紳士協定ならぬ、淑女協定ってところかしら?」
「淑女かね」
「淑女よ?」

胸を張る春夏に、唯湖が小さく溜息をつく。

「……まあ、いい」
「何かひっかかるわねえ。いいけど。……で、物は相談なのだけれど、えーと、」
「来ヶ谷だ。来ヶ谷唯湖」
「なら、唯湖ちゃん」
「……その呼び方はやめてくれ」
「じゃあ、来ヶ谷ちゃん?」
「……」

緊張感の緩みきったやり取りに、しかし割り込むように声を上げた人物がいる。

「春夏さん」

久寿川ささらであった。
思い詰めたように黙り込んでいたささらが、意を決して口を開いていた。

「この人は危険すぎます。私は反対です」
「あらあら」
「……」

ささらの言葉に、春夏と唯湖が目を見合わせる。

「春夏さん……といったかな。あなたの連れはどうも状況判断が苦手なようだ」
「そうねえ。いい子なんだけど、そういうところ、あるわねえ」
「春夏さん!」


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