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作品投下専用スレッド
309
:
◆Ok1sMSayUQ
:2010/09/19(日) 17:56:18 ID:zoU3NZc60
――出る代わりに、銃口が下げられた。
意図を理解できず、草壁は思わず反射的に振り向いてしまった。
決して見ることはないだろうと思っていた少女は、凛々しい姿だった。
自分と同じく、肩までかかるような長さの亜麻色の髪を後ろで縛っている。
髪を縛るための白いリボンは羽根のようで、鷲を思わせる切れ長の瞳と相まって、鳥のような印象を抱かせた。
誰にも、何にも囚われない、孤高のクールビューティ。そんな言葉がしっくりくる少女だ。
くるくると拳銃を弄ぶ彼女に、草壁は「どういうつもりなんですか?」と聞いていた。
率直な疑問だった。殺し合いをしろと言われているのに、逆らう意味が分からない。自分が絶好の獲物だとしたら尚更だった。
別に悪意はない。理由が見えなかったからだった。
「三流悪役扱いのままじゃ嫌だから」
しれっと答えられる。ならばともう少し質問を重ねる。
「一流悪役にでも憧れてるんですか」
「バッカねえ。一流だろうが三流だろうが最後はヒーローに倒されるのがオチなのにんなことしないわよ」
「……はい?」
自分が言えるようなことでもないと思いながらも、素っ頓狂な声を出してしまっていた。
真面目な顔で、ヒーローだのなんだの言っていたから尚のことだった。
「何よ。違うっての? 世の中はダークヒーローに満ち溢れてるっての? あー私そういうのダメってか嫌い」
何も言ってないのに。
唖然としたままの草壁を差し置いて、少女は世の中への不満をぶつくさと漏らし続ける。
「だいたい最近の世の中は王道から外れすぎてるのよ。
ちょーっと設定を変にいじくれば面白い中身がなくてもいいとか思ってるのバカじゃないのんなもん私はいらんっ!
そう、盛り上がりに盛りあがって、みーんな幸せに楽しく、最終的にそんなエンディングになる物語が必要なのよ、分かる!?」
「はあ」
分かったのは、この人は変人だということだった。
間違いなく自分の同類ではあるのだが……
いや、行動力がある分、自分とは違った。
この人は、行動しようとしている。目的こそ見えないが、今を変えようとしている。
引き換え、自分は、何もせずただ漫然と過ごしていただけなのに。
拳を振り上げ、雄弁に語りまくる少女に、草壁はそんな感慨を抱いていた。
とはいえ、変人の目で見ていたことには変わりなく、それに気付いた少女は慌てて取り繕った。
「コホン。まあそういうわけなのよ」
なにがそういうわけなのか全然分からなかったが、とにかくそういうことみたいだった。
「ま、ぶっちゃけ誰かの手の平で動かされてるってのが気に入らないだけよ」
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