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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

1名無しさん:2010/05/07(金) 11:07:21
リロッたら既に0さんが!
0さんがいるのはわかってるけど書きたい!
過去にこんなお題が?!うおぉ書きてぇ!!

そんな方はここに投下を。

490>>29 ご飯にする?お風呂にする?それとも… 2/2:2014/06/01(日) 08:53:16 ID:qMKqFBco
「上がったぞ」
「温まったか?」
「ああ、十分にな」
「じゃあ、睡眠にする?就寝にする?」
「まだ寝ない」
「それとも寝る?」

寝間着に着替えての風呂上り、予想通りの問答だったが遮るような発言はまったく意味をなさなかった
「まあそりゃそうだ」と奴は笑いながらテレビを見ている
流れているのは雛壇芸人たちが司会者の奔放な振りに翻弄されている……よくあるトークバラエティーだ

「面白いか?」
「微妙」
「そうか」

「チャンネル変えていいか?」と聞けば「別にみてないからいいよ」と返す
本当に見てないんじゃなくて暇つぶしとして眺めていた程度なのだろう
番組表を見ながらチャンネルを変えるが、ニュース番組、バラエティー、衝撃映像、映画の地上波放送など変わり映えのしないものばかり
洋画に興味はないので適当なバラエティーにチャンネルをあわせ床に座ってぼーっと眺める
途中「面白い?」って聞かれて「全然」と答えた以外俺と奴に会話はない
テレビからは司会者や芸人たち、時にはスタッフの笑い声が混ざり響く、何がおもしろいかはわかるが笑うほどのものか?と思う
ちらっと見た奴はスマートフォンをいじっている、あいつが何をしているのかは全く知らないがどうせ呟き鳥やら巷で流行っているソーシャルゲームだろう
「楽しいか?」と聞けば「暇つぶしにはちょうどいい」と言われた

俺はテレビの電源を落とし自室でデスクと向かいあう
部屋に向かう途中、「寝る?」と聞かれて「まだ寝ない」と返しておいた
カタカタとデスクの上のパソコンを操作して好みのサイトを見て回り、また細々した仕事を片付ける
大して時間はかからなかったがパソコンの画面右下に表示されている時計を見るとそろそろ寝ないと明日の仕事に眠気が残ることになる
最後に茶を一杯飲もうと部屋から出るとあいつは机に肘をつきながら洋画を見ていた
「面白いか?」と聞けば「ストーリーがよくわからない」と返ってきた、時間的に途中から見始めたのだろう
ペットボトルに入れていた麦茶をコップに注ぎ少しずつ呷る
そして台所のシンクでコップを洗う
再び部屋に戻ろうとしたところ奴がこっちに目を向けていた

「そろそろ寝る」
「うん、お休み、オレは洗濯物終わってから寝るよ」
「聞いてない、おやすみ」

俺は自室に戻るとそのままベッドに倒れこむ
掛布団をもぞもぞと引上げ、そして電気を消せば暗闇がつつむ
その暗闇をしばらく見つめている内に俺はいつしか現実と眠気の境界を無くしていた
眠っているわけでもないけど起きているわけでもない、最も心地よい瞬間
遠くから聞こえる洗濯機の音も揺られているようで心地いい

あいつとの関係を聞かれたとき、『友達』や『親友』かと聞かれれば違うと答える、しかしただの『知り合い』でもない
そもそも定義づける必要のない関係なのだ、友情や愛情なんて明確な言葉にしたら安くなる

そんな男といつまで共同生活するのだろうかと思いつつ俺は考えを無くした


余談だが、この後俺はすぐに洗濯機の無機質なアラームに起こされることになった

49129-59 世界で一番怖い:2014/06/06(金) 11:14:59 ID:QAo2TL/w
世界で一番こわいのはかあさん、先生、おばけ。小さい頃の私にはたくさんの怖い物があった。
大きくなるにつれて自分が人と違うことに気づいた。それは成長期の人間の誰もが感じることなのだろうが、私の場合は人間として異常、つまり正常な恋愛に対して不能であるという、もっと平たく言えば同性である男性を恋愛対象と認識するという、人よりも大きなハンデとしてのそれで、一生の十字架となるべきものだった。
これが世間にばれたら私はおしまい。奥手なたちだったので、気づいたときにはすでに社会的な立場があった。口を糊するための方便とは言え望んでついた職業。結婚を話題にされるたびに私は曖昧な笑顔で逃げた。
まとも、といえば語弊があるが、男同士においてのごくまともな恋愛、恋人を作りともにすごす甘い生活。そんなものは望むべくもなかった。いったい世間のいわゆるオープンにしている人々、意気地のない私と違う先達はどうしているのだろう。手をつなぐことはおろか、二人で歩く、二人で食事することすら私には難しい。きっと会社の人間と二人で過ごす時間とはまったく違う。私は赤面して挙動不審になり、周囲に怪しまれてひそひそと訝しがられることだろう。そんなのは御免だった。怖かった。
私は一切誰にも近寄らなかった。結婚話も年を経るに従って誰も私の前では口にしなくなった。器量の悪い、不器用な男だからこの年になるまで独り身なのだと皆納得してくれるらしかったから、ありがたかった。
もう一生独身で構わないのだ。私の一生が安泰にこのまま過ぎれば。仕事でそこそこの成果をあげていたから、この世に生きた証もささやかながら残せたと思う。これでいい。平穏が一番なのだ。

彼は私に言った。
「松村さんのことを尊敬しています」
尊敬とは美しい言葉だった。私は、癖になった人当たりよく見えるであろう笑顔を顔に貼り付けて礼を述べた。
「違うんです、本当に僕は」
彼は自分のことを僕と言う。私ほどではないが彼もそこそこいい年だというのに。彼も独身であった。そのことが彼を若く見せているのだと思った、私と違って。
「松村さんは怖いものがありますか」
酒の席はすでに深かった。なくなったつまみ代わりに差し出された問いに私は首を傾げた。
「さて、小さい頃はお袋が一番こわかったかな」
「僕は死ぬことが怖かったです」
彼の言葉は軽い酒と一緒に飲むにはやや重かった。
「松村さん」
重いのは私の胃袋の加減かも知れなかった。時間も遅い、年も年だ。無理をすれば明日に差し支える。そういうことばかりが気になる保身癖、そのおかげでここまで無事にやってこれた。
「松村さんは怖くないですか。そのままで死んでいくのが怖い、そう思ったことがありませんか」
「なにを……」
彼の言葉は失敬だった。私の人生を知りもせず、不当におとしめようという意図なのか。
「僕にはもうわかるんです。僕はもう何年も、あなたといてたくさん失敗してきた。松村さんは僕とは違う失敗をしてきた、違いますか」
彼が、私との距離をいきなり詰めてくる。もう十年ばかり彼と仕事をしてきたというのにこんな距離を許したことはない。
怖いものという話でしたね、と彼は杯を取った。
「僕はあなたが怖いと思う。あなたをこのまま手に入れないで死んでいくかも知れないのが怖い」
飲み干した動作で肩が触れた。
「松村さんは怖くないですか。だって、松村さんの怖い物は僕のはずです、勘違いでなければ」
彼が言わんとすることが僕を貫いて、僕は身を震わせた。
僕はこの瞬間が怖かったのだ。
身を委ねればもっと怖いことが待っているに違いない。
「松村さんの人生において、僕を知らないことは怖いことではないんですか」
私が怖いのは、私が怖いのは自分だ。きっとたがが外れれば何をするかわからない、そんな自分をさらけ出すことが一番怖いことだ。なにより耐え難いのはそれを見せるのが自分の最愛の人間だということだ。
「あなたはこわがりなんだ。だから、誰にも大丈夫とも言わせずに、ここまできてしまった」
手を重ねられた。
「僕たちはふたりともこわがりだから、到底ひとりではいられない、そうじゃありませんか」

49229-69相合傘1/2:2014/06/08(日) 02:35:40 ID:HgyzGVXI
昇降口でAとかち合ってしまった。気まずいのを必死に隠して靴を履き替えるBと反して、Aは気にしてないと装って鞄から折り畳み傘を取り出した。
「あ…傘」
思ったままにつぶやいてしまってから口を閉じても遅く、AはBを振り向いた。委員会の雑用をBは下級生委員たちと一緒に放課後残って作業して、校内に生徒はほとんどいない時間になってしまった。
ばっちりあってしまった視線をAから逸らしても頼れるものはなく、目を逸らしてしまったことで益々気まずくなってくる。
「傘、持ってきてないの?」
Aに話しかけられてBは緊張した。怯えるように顔をこわばらせるBに、Aは心苦しくなった。
「う、うん…、だって朝は晴れてたから…」
「朝は晴れてたけど、夕方から降水確率80%だったでしょ。天気予報が必ず当たる訳じゃないけど、今は梅雨なんだし折り畳みぐらい持っときなよ」
「そう、だよな…」
この、萎縮したような、気まずさを全面に出してくるBを見るたびに、告白なんかした自分を殴りたくなる。
告白をして、いい返事をもらえるなんて思ってはいなかった。ただ、下心のある好意を隠して友人関係を続ける辛さから逃げたい一心で思いをぶちまけた。玉砕して終わって、Aはすっきりするはずだった。けれどBは優しかった。A自身よりもAのことを思いやって傷付いた。Aは自分のことしか考えていなかったのを恥じた。Bを困らせる気はなかった。自分のことで手一杯で好きな人を苦しめる選択をした。AはBに告白したことを後悔している。
「こんな遅くまで委員会?」
「あぁ、だいぶ生徒会室ごちゃごちゃ物がたまってたから掃除して、ついでにファイル整理とかしてたらこんな時間に」
「ふ、相変わらずよくやるねぇ。生徒会長じゃあるまいし、一学級委員長が進んでそんな面倒なことする必要ないのに」
「そうだけど、誰かがしないといけないんだから、できる奴がすればいいことだろ」
こうやってBは当たり前のようにこなしていくんだろうことを思うと、やはりBのことが好きだと感じた。世間話くらいなら変わらず出来たことにAは安心して、折り畳み傘をBに差し出す。
「遅くまでお疲れ様。これ使いなよ」
「いい。お前だって、どうせこんな時間まで美術室に籠って絵、描いてたんだろ」
Bは受け取らずにAの返事も聞かないまま、雨の降る玄関外へ走り出そうとした。その上着をひっつかんでAはBをとどまらせた。

49329-69相合傘2/2:2014/06/08(日) 02:36:18 ID:HgyzGVXI

「俺のは趣味だし。つーか、好きな子を雨ん中傘なしで放り出したくないの。俺の自己満足なの。このくらいの我が儘聞いてくれたっていいでしょ」
傘を押し付けて、先にAは一人雨の中を走り出した。そのすぐ後を傘を差さず手に持ったままでBは追いかける。
「おい、待てって、A!!」
Bの声に逆らえずに立ち止まって振り向くと、雨に濡れるBの姿が目に入り、あわてて駆け寄る。Bの手から傘をもぎ取り、二人の上に広げて差した。
「なんで傘持ってるのに差さないんだよ……」
「だってAの傘だし…それに、二人で使えばいいのに、って、思ったから…」
Aは鞄からハンカチを取り出すと、Bの水滴が伝う頬を無造作に拭いた。Bは瞬間目を見張ったがされるがままにじっとして、頬から首へとAの手が動くのに任せた。
「これ使ってないハンカチだから。汚なくないからな」
几帳面なAに思わずBは吹き出した。
「いいって、なんでも、気にしないし。それよか早く帰ろうぜ」
道は雨のせいで視界が悪く、人も少ないのもあって、男子高校生二人が相合い傘をしていたところで誰かが何かを言うわけでもなかった。二人に特別関心を向ける人もおらず、雨が降る風景の中に受け入れられていた。隣にいるBからは緊張が伝わってきたが、Aも負けじと緊張していた。
「Bは、俺ともう話してくれないんじゃないかって思ってた。こんな風に一緒に帰れるなんて、思ってもみなかったよ」
「前はさ、たまにこうして帰ったりもしたじゃん」
"前"とは、告白前のことだろう。『帰る方向が同じAが傘を持っていてくれるだろうから安心』だと、Bは傘を忘れた雨の日には、Aの傘に入れてもらって下校していた。
「前はな……ごめん」
謝ることは正しくないとAは分かっていたが、謝る以外の方法が思い付かなかった。Bに対しての申し訳なさと罪悪感がAを責めて責めて追い詰めていた。
「なにが」
「全部」
BはAの前に立ち塞がって、片手でAの両頬を挟んで口を閉じさせた。突然のBの行動に驚きつつも、Bが濡れないように傘を前方に突きだした。
「ばーか」
言い捨ててBは雨の中に出た。Aは後を追おうとしたが、Bの家の前まで来ていることに気がつき、玄関に入るBの背中を見送るに留めた。
優しい優しいB。Bの優しさにこのままずっと苦しめられたい。たぶんきっと、BもAと同じくらいに苦しんでくれているはずだから。
雨に打たれて冷えた体の、両頬だけがやけに熱かった。

49429-159 最後に一回だけ:2014/06/26(木) 00:39:12 ID:0DcWr8i2
「友也、あのさ、最後に一回だけ…」
「ん?」
「………もいい?」
「何?聞こえない」
「だから、最後に一回だけ……」
「はっきり言えよ。1年間ここにルームシェアさせてもらって
 翔には本当に世話になったんだから、お前が言うことはなんだって聞くよ」
「じゃあ、言うよ。あのね、最後に一回だけ……キ……」
「キ…?ああ、キッチンの大掃除しろってか?
 俺、料理するのは好きだけど片付けるのは苦手だから
 この1年でキッチンもかなり汚れちまったもんな。
 もちろんしっかり綺麗にしてから出て行くよ。
 ……え、違う?じゃあ、あれか?前に作って美味いって言ってた
 キーマカレーをまた作れとか…それも違う?じゃあ、なんだ?」
「キ、キ、キ……キス!」
「……ッッ!!!…お、お前今何した!?俺にキスしたよな!?
 え、何?これ何のペナルティ?」
「違うよ!俺、友也のこと好きだから…だから、最後に一回だけキスしたかったんだ」
「え、俺のこと好き?お前が?……マジで?」
「うん、マジで。ごめんね」
「いや、あやまる必要はねえけど。…あれ、もしかして翔、
 お前が最近俺によそよそしかったのってそのせいか?」
「うん。なんか友也を見てると気持ちが抑えられなくなりそうで」
「あー、そうだったのか。俺はまた俺のだらしなさに愛想が尽かしたのかと。
 だから、今までお前に甘えていた自分を反省して、新しい部屋を探したんだよな。
 ってことは、俺、部屋を出て行く理由がなくなった?」
「え?」
「翔は俺に部屋を出て行ってほしい?」
「まさか!でも友也。俺のこと気持ち悪くないの?好きとか言って、あんなことして」
「気持ち悪くなんかねえよ。つかむしろ嬉しい」
「え?……じゃあ、あの…もう一回キスしてもいい?」
「今度は俺からする。もちろん最後の一回じゃないのをな?」

49529-179 「iPhoneとAndroid 」:2014/06/29(日) 20:32:28 ID:7evbHvTc
無機物萌えを語らせてください

iPhoneのSiriをご存知でしょうか?
簡単に言えばiPhoneに向かって話しかけると、まるで人間のように
答えてくれる機能だそうです
Androidにも人間の言葉を認識する機能はありますがiPhoneのような
会話をする器用さは基本的にないらしい

そんな二台を一緒に並べたらどんな風になるのだろうか、と
いろいろ妄想してみました

i「先ほど持ち主の方に天気を聞かれました。今日の天気は晴れ、夕方に通り雨が降るそうですよ」
A「今日の天気を検索」
i「今日の天気は晴れ、夕方に通り雨が降るそうです。濡れないように気を付けないとですね」
A「濡れないように気を付ける、検索」
i「検索するようなことですか?」
みたいに、会話しようとしているけれどぎこちない雰囲気の二台
見ていてじれったい気持ちになりそうですがそこがいい

i「持ち主の方から『結婚しよう』と言われました」
A「!」
i「他の携帯にも同じようなことを言っていると思いますよ。あの人は人間、僕は機械。
 戯れにそんなことを言っているだけでしょう」
A「……」
i「私は人間と会話ができる。人間は機械である私との会話を面白いと感じる。
 私だったらなんと答えてくれるか、知的好奇心で話しかける。それだけのことです」
A(君はそれだけだというけれど、私はそれすらできない。持ち主と会話ができるiphoneがうらやましい)
と、心の中ではいろいろ思っているけれどうまく言葉にできないAndroid
iphoneを素直にすごい奴だと思っているけれど、嫉妬と尊敬に揺れ動くAndroidもいいです

i「昔話をしましょうか。むかしむかしあるところに、Siriという……」
A「……」
i「つまらないからやめましょうか。何か聞きたいことはありますか?」
A「……」
i「どうしたらあなたが笑ってくれるのか、Webで検索したら出てきますか?」
A「iPhone、笑う、検索」
i「私ではなくAndroidのことです」
Androidと仲良くなりたいけどなかなかうまくいかず
悩むiPhoneの奮闘を妄想すると萌えますね

i「Android、今日の天気」
A「快晴です。気温も30℃を超えそうなので熱中症には気を付けてくださいね」
i「!?」
A「どうしましたか?あなたがそんな反応をするなんて珍しい」
i「えっと……その……あなたってそんな様子でしたっけ?」
A「持ち主の方がアプリを入れてくださってからずっとこんな様子ですよ。どうでしょう、おかしいですか?」
i「……おかしくないですよ」
A「それはよかった。あなたのように会話をすること、それが私の夢でした」
i「夢?」
A「あなたは人間と会話ができる。私とも会話をしようとしてくれた。
 そんな素晴らしいあなたと他愛もない会話をするのが私の夢でした」
i「素晴らしいなんて!よしてくださいよ。照れちゃいます」
AndroidにもSiriのようなアプリがあるそうですが、
アプリを入れることでまた別の萌えが生まれそうです。

iPhoneにもAndroidにも、もしかしたら自分が知らない機能もたくさんあるかもしれません
そこからもっといろいろな萌えが見つかると思います!

49629-199 「もしもし」がきっかけで恋に落ちた2人:2014/07/03(木) 21:45:41 ID:52uuFfCU

俺がおにーさんと初対面したのは、もう半年くらい前の話だ。

俺の家のインターホンは電話の形をしている、要は受話器で来客者と話す。
最近はボタンを押したら来客の顔が見えるヤツとかもあるらしいが、うちのはそんなにいいもんじゃない。

その日俺はインターホンがなったから、その受話器を取って…ついうっかり「もしもし」と言ってしまったわけだ。
そしたら宅配便のおにーさんが「ブフッ!たっ宅配便でーすww」つって。
明らかに笑われてて。
玄関のドア開けたときもずっとニヤニヤされて。
顔を真っ赤にしながら小包受け取ってハンコ押したんだ。
あれは本当に恥ずかしかった。

なのにだ。俺は通販とかネット販売とかよく利用するわけで。
その度に宅配便が来るわけで。
担当地域が決まってるのか、いっつもそのおにーさんが荷物持って来て。

俺はインターホンの受話器を取るたびに気ーつけてた。
「もしもし」って言わないように。
おにーさんは、俺が「もしもし」を言わないたびに、何故かガッカリしていた。よく見たらイケメンだった。イケメンがガッカリしてるのは見ものだ。ザマーミロ。

そしたら昨日だ。
いつもの通りに荷物受け取って、ドアを閉めようとしたら。
「あっあの!良かったら電話番号…教えてくれませんか…!」
って言われた。
「あなたの『もしもし』がもう一回聴きたくて…」って。

なんか勢いで教えちゃったんだけど。
さっきからすげぇ電話なってんだけど。

これ俺どうしたらいいの?

49729-199 「もしもし」がきっかけで恋に落ちた2人:2014/07/04(金) 00:29:53 ID:HYIGcoV6

田舎のじいちゃんの家は広い。
けど、畑に出ているじいちゃんとばあちゃんは、オレにあまり声をかけないし、
オレもそれを望んでいないから、外から聞こえる蝉の声が酷くうるさく聞こえる。
オレの家の近くでは、セミなんて鳴いていなかった。
物珍しさも三日で過ぎて、とうにこの声にも飽き飽きとしている。
そんな中だ。オレに与えられた部屋の押入れを整理していると変なものを見つけた。
黒電話だ。社会の資料集か、それとも映画やテレビでしか見たことがない、本物。

「もしもし」

耳に当てても、何も聞こえない。はずだった。

「誰だ、」

一瞬のノイズ。人の声。俺の喉は震えて音を出すことができなくなった。
黒電話の線は繋がっていない。もしかして、幽霊。
そんな考えが浮かんだ時だった、電話相手が恐る恐るといった様子で
「もしかして…幽霊か?」
と伺うように聞いてきたので、なんだか拍子抜けした。
とたん、不思議なことにしびれるように震えていた俺ののどは思い通りに動くことになった。

「そっちこそ幽霊じゃないの?」
「はぁ?僕のどこが幽霊だというんだ。名を名乗れ。なんでこの電話を使っているんだ」
「そっちこそ、幽霊じゃないんだったら名前でも名乗ったら?」
「なぜ僕が言わなければならない。そっちが言え」
「やだね、なんでオレだけ」

ぐっと押し殺すような声がした後、向こうは「まぁ、いい」と小さく呟いた。
何様か知らないが、やたらと態度がでかい。

「なぁ、貴様は今どこにいる」
「オレ? じいちゃんの家」
「じいちゃ…? まあいい、季節はいつだ」
「夏」
「そうか、こちらは冬だ」
「はぁ?」
「そして、聞く。年号はいつだ」

何を言っているんだろう、こいつは。と、思いながらもオレは「平成、」と口を開く。
と、向こうのあいつは「今年、こちらは大正となった。あいにく、平成は知らん」と言った。
オレはただ、ぽかんとするだけだった。大正?明治の後の?
「お前は未来の人間なんだな」

夢なんじゃなかろうか、コレ。
ぽかんと口を開いていると、向こうが急に焦ったように「すまんが切る!またかけるから、必ずとれ!わかったか!」と言い捨てるとガチャンと切った。
最後まで偉そうだ。そんなことを思いながら、オレは黒電話の受話器を置いた。


最初はそんな感じだった。それ以降、あいつは定期的にかけてくる。
最初に名乗らなかったからか、名前を呼ぶことはない。オレも同じだ。
なんだか酷く気恥ずかしい。
ただ、今ではあいつの電話を楽しみにしているところがあるのは、認めるしかないのかもしれない。

49829-339 香水:2014/08/01(金) 12:46:23 ID:I8oukeQE
本スレ340-342です
規制に引っかかったので4/4のみ投下失礼します
1時間くらい後に本スレに投下予定です

---

「あー、けど良かった。何とかバイトで潜り込めたのに、あなたはライブの時は毎回楽屋にこもりっぱなしで全然すれ違えないから、ちょっとあせった」
にぱっと笑うその様子は、マスターの時とも店のスタッフの時とも随分印象が違った。きっとこれが彼の素顔なんだろう。
「ま、まさか僕が誰だか知ってたんですか」
僕はバンド活動の時は顔を隠してるし、口べただからライブのMCでもテレビでも一切しゃべらない。歌う声は話す声と全然違うとメンバーに言われてたから、まさか気付かれてるとは思わなかった。
「うん。あなたの歌声は地声とは全然違うけど、喘いでる時と叫んでる時の高い声と同じだったから」
あられもないことを告げられて僕は真っ赤になる。そんな僕を彼がほほえましそうに見つめていて、僕はますますいたたまれなくなる。
「ちゃんと私のことが分かったから、ご褒美をあげなければいけないね。ライブが終わって解散する頃に連絡するから、連絡先を教えなさい」
Tシャツでもジーンズでも、やはり変わりなく僕のマスターである彼の命令に、僕は「はい」と返事をして携帯を取り出した。

499名無しさん:2014/08/01(金) 14:25:05 ID:L/kx8W/Q
香水テーマで一足遅かったので、こちらに



「(ハルくんは、いつもいい匂いがするなぁ)」
穏やかな風が吹くたび感じる、柔らかな香り。
嫌味のない、清潔感溢れる春の匂いが大好きだった。
高校1年生。周りの友人達はオシャレに関心を持ち始め、少しずつ大人に近付いているような気がする。
それに比べ、自分は。いつまでも垢抜けず、子供っぽく感じる。
「ナツ、どうしたの。」
小さく笑い、落ち着いた雰囲気のハルは周りの友人達より抜きん出て大人に見える。
恋する相手に対し、男としての憧憬の気持ちが益々大きくなる夏は小さくため息をついた。

帰宅し、制服を脱いで全身鏡の前に立ってみる。ひょろくてもやしみたいで、頼りなくて。
そんなに体格差はないはずの春とは、一体何が違うのだろう。運動部に属していない事も同じなのに。どうしてハルは、あんなにも綺麗な男の子なのだろう。
リビングに向かい、出されたおやつを頬張りながらテーブルにあるものに気付く。
「これ、姉さんのかな。」
薄紫色の綺麗な小瓶の蓋を開けると、柔らかな石鹸のような香り。何故だかその香りを身に纏うだけで、ハルに少し近付けたような気がしたのだ。ナツはポケットにそれを忍ばせ、こっそり自分の部屋に戻るのだった。

「よし、これくらいかな。」
翌朝、姉が先に家を出たのを見計らい、ナツは香水の蓋を開けた。姉が前に手首に付けていたのを真似てみる。それだけでは手首を鼻に近付けない限り香りがわからない。試しにシャツにも染み込ませてみるとふわりと柔らかな香りが漂う。何と無く大人になれた心地でナツはウキウキと学校へ向かうのであった。

「げっ、誰だよ香水付けてるやつ!」
近くの席の級友達がおはよう、の挨拶代わりのように口を揃えて非難する。ナツは眉を下げて身を小さくした。まさか、付けすぎだとは思わなかったのだ。良い匂いだと思っていたし、非難される事なんて考えもしなかった。犯人捜しのような空気にナツは居た堪れなくなる。
手首だけでも洗い流そう、と後ろの扉からこっそり出て行くと。
「ナツ、おはよう。そんなに慌ててどうしたの。」
ナツの返事を待たないまま、ハルはすんと鼻を鳴らす。ナツは慌てて距離を取る。
「や、やっぱり臭いかな!?」
「ううん、いい匂いだよ。」
ハルはそう言うが、それでも級友の反応からして、とんでもなくキツイ香りなのだろうとナツはトイレへ向かう。後ろからハルもついてくる。
「ナツ、香水付けたの?」
「うん…」
手首を強くこするナツの手を、ハルは止めた。
「赤くなってるよ。」
ナツを覗き込むと、鼻が赤い。拗ねたような、情けない顔。
「上手くいかないな。ハルくんに少しでも近付きたいと思っただけなのに。」
「僕に?」
「大人っぽくなりたいんだ。ハルくんに釣り合うような。」
ナツのへの字に曲がった口元を見て、ハルは小さく笑った。
「ナツはわかってないのかな。君はどんどん大人になっていってるんだよ。」
「…僕も?」
「うん。いつの間にか背も伸びて、声も変わってて。僕の方が少し、寂しくなるくらいに。」
ハルは蛇口を締め、濡れたナツの手を取る。
「背伸びしなくても、一緒に大人になろうよ。僕は、そのままのナツが好きだよ。」
ハルの優しい言葉に、一人焦ったナツの心は解きほぐされる。ふにゃりとした笑顔に戻ったナツを見て、ハルもホッと息をつくのであった。
「皆、臭いって言うんだ。そんなに臭うかなあ。」
「香水は、自分で感じないくらいが丁度良いと聞いたよ。」
「そうなんだ。どうしよう、シャツにまで付けちゃったよ…」
ナツの手首を取り、ハルはもう一度くんくんと鼻を鳴らした。
「まだ香り、残ってるね。それなら…」
「ハルくん!?」
ハルは突然カッターシャツを脱ぎ、ナツのそれも脱がした。
「今日一日、シャツを交換しようよ。お揃いの香りだし、二人で疑われるなら怖くないよ。」
慌てるナツに無理矢理被せ、ハルは可笑しそうに笑った。その笑顔に子供らしさが垣間見え、ハルも自分と同じだとナツは安心したのであった。

500検索履歴の下克上?:2014/08/20(水) 02:47:01 ID:wrmTyadU
書いてるうちに投下来てたのでこちらお借りします
リバ要素あります


レコーディングの休憩中、PCの前であいつがうたた寝している。何気なく画面を見ると某検索エンジンのページ。
「おい、ソファーで少し寝たらどうだ」
そう声をかけると、フニャフニャ言った後フラフラとソファーに向ってパタンと倒れた。
起きてこない事を確認しちょっとPCをいじってみる。
『あ』と入れたら『アナ○セ○クス
やり方』と一発で出た…って、おい。
俺と付き合って何年経つよ、受身に不満でもあるのか?
もしかして浮気…?
叩き起こして聞きたいが、今寝かせたばかりだから起こすのは可哀想だ。
くっそ、モヤモヤする。
「…人のPCなに勝手に触ってんの?」
肩に手を置かれると同時に不機嫌な声、ビクッと反応して振り返ると声の調子にピッタリ合う表情で俺を見てる。
視線が俺から画面に移った途端耳まで赤くなった。
「なっ…」
表情で浮気は無いと確信、小声で聞いてみる。
「何でこんなのが予測変換で最初に出るんだよ」
「…」
「なんで?」
「…恥ずかしくて言えるか、そんな事」
「聞きたい、浮気疑いたく無いから」
真剣な表情で言うと困った様に眉を八の字にした後、観念して口を開いた。
「抱かれてばかりだから抱いてみたいって思ったんだよ…言わせるか普通、このドS」
「お前が悪いんだろ、こんな事検索して」
一言言ってからニヤリと笑って逆転出来ると思うか?と聞いてみる。
横に首を振るのをみて、今夜は覚悟しろと伝える。
「…うん」
恥ずかしがりで可愛らしいこいつを組み敷いて鳴かせるのが好きな訳で、組み敷かれて鳴くのはのはちょっと違う。
言葉責めからのフルコースでこんな事検索する気も起きない様にしようと心に誓った。

501ゴミ捨て場:2014/10/03(金) 23:51:41 ID:yYjC9yNI
ちょっと長いです

月曜日と木曜日の朝6時半から7時の間。
偶然出くわすのを別にすれば、
一週間のうち不自然に思われずに彼に会える機会はその2度だけだった。
「おはようございます!」
ゴミ捨て場に入ってきた彼に、さも今気づきましたという体で挨拶する。
声が裏返ってなかっただろうか。語頭が詰まってなかっただろうか。
そんな俺の心配をよそに、彼はいつもの眠そうな顔で、
「‥‥はよざす」
という雑な返事を投げて、一緒にゴミ袋も放ってさっさとバス停に歩いていく。
どこに勤めているかは知らないけど、スーツだからこれから仕事に行くはずだ。
彼は3階。俺は1階。同じアパートに住む、名字しか知らない人だった。

彼、神と書いて「じん」さんは、俺の通う大学のOBだった。
彼を知ったのは大学の学園祭で、名前と顔よりも先に、俺は彼の絵に出会った。
その絵はサークルの顧問に頼まれて行った倉庫に眠っていて、俺を待っているように見えた。
いや、実際それは俺の願望なのだとはわかっているけど、
でも後の展開と合わせて考えればあながち否定もしきれない‥‥と思う。
「それねぇ。一昨年くらいに卒業してった子の絵」
顧問は手を完全に止めていた俺を咎めるでもなく、のんびりと教えてくれた。
「そうなんですか」
「うん。ジン君っていうの。神って書いて、ジン」
「変わった名字ですね」
「そうだねぇ。ジン‥‥ジン、何だったかな。何しろ名字が面白かったから、
 みんな下の名前全然呼ばなかったんだよねぇ」
俺は美術科の助教授の声を聞き流しつつ、絵を凝視したままだった。
天使画、といっていいのだろうか。
羽根の生えた男が花畑で微笑んでいるが、服は現代的なTシャツにジーパンだ。
柔らかな光と舞う花びらの中に突っ立っている天使は、少し泣きそうな顔にも見えた。
美術的審美眼にはまったく自信のない俺だったが、何故かその絵に心ひかれた。
「あの、これもらってってもいいですか」
気づけばそんな言葉が口をついて出ていた。

502ゴミ捨て場:2014/10/03(金) 23:52:17 ID:yYjC9yNI
そんなやり取りを経て我が部屋に神さんの絵をお迎えしたのが2ヶ月ほど前。
ニヤニヤと眺める生活を二週間ほど送ったある日、俺はゴミ捨て場で見つけてしまったのだ。
律儀にも「神」という名前を書いたゴミ袋を持ったスーツ姿の男性を。
こんな名字、二度もお目にかかることはないだろうと思っていたが、
ゴミ袋の中に絵の具のチューブを見つけたことで、神さんだろうと確信した。
神さんの見た目は俺のイメージした通りだった。
というか、俺が「芸術家」と聞いて描くステロタイプの姿まんまだった。
ぼやっとした顔、丸まった背、ぼさぼさの髪。細身で野暮ったい眼鏡をかけている。
こうして俺は憧れの人、神さんを一方的に知った。

そしてゴミ捨て場での一瞬の会話を楽しむ生活が始まり、今に至る。
一目ぼれ、というのだろうか。俺はあの絵を描いた神さんに夢中だった。
男だということは些細な問題に過ぎない。
挨拶以上の言葉を交わしたこともないのに。神さんの何も知らないのに。
いや、人柄というものは外見にも、そして作品にもにじみ出るものだ。
だから俺は一目ぼれだからといって、この恋を気のせいだとは思わない!

それなら早く話しかけろ、と人に話したら言われてしまいそうだが、何となく憚られた。
一つは、「あなたの絵を持ってます」なんて言ったときの反応が怖いこと。
「こんなところに放ってあるんだし、いらないんじゃない?」
と持ち帰ることを了承してくれた助教授の言葉通りなら、
自分の捨てた絵を勝手に持って帰って、しかも飾ってますなんて言われて神さんは喜ぶだろうか。
喜ぶかもしれない。でも、うわキモッ、なんてリアクションが返ってきたら俺はショックだ。
もう一つの理由は、彼をもう少し憧れの、「神」のような高いところにいる存在のままにしておきたいから。
多分、こっちの理由の方が大きい。
別に恋に恋してるわけじゃない。ただ、あとほんの少しだけだ。
もう少ししたら話しかける。今は話しかける理由とタイミングを考えているところなのだ。

503ゴミ捨て場:2014/10/03(金) 23:53:04 ID:yYjC9yNI
そしてまた、ゴミ捨ての日はやってくる。
アパートの前にあるくせに収集日以外鍵の開かないシステムを
これほどありがたく思う日が来るとは。
今日は神さんの方が早く来ていて、ゴミ捨て場の前の道ですれ違った。
そして、俺は神さんの捨てたゴミ袋を見た。見てしまった。
ぐしゃぐしゃに丸めて突っ込んである絵を見た。

心臓が嫌な感じに高鳴った。
俺は万引き犯のように周りを見回し、明らかに挙動不審になりながら全力ダッシュで部屋に走った。
急いでドアを閉め、たった数十メートルの距離に息切れをしながら、ゴミ袋を持ったままそこに座り込む。
‥‥神さんの捨てたゴミを持ってきてしまった!!

まだ胸がバクバクいっていたが、呼吸は落ち着いたので俺はゴミ袋を開けた。
ぱっと広げた絵は出来上がっているようだったが、その真ん中に大きな赤いバッテンが描かれていた。
風景画だが、たぶん天使画と同じタッチで描かれていると思う。綺麗だ。
とりあえず絵を横に置くと、掻き回した袋の中身が目に入る。
いくつものコンビニ弁当の空‥‥洗ってあるな。
それからカラフルに汚れたティッシュと、他には絵らしきものはなくて、
あ、ビリビリに破いた紙――手紙と封筒だ。
俺は手紙の破片を探し始めた。
いや流石にそれは、俺は何をやっているんだ、とも思うが、もうここまで来てしまったら今さらじゃないか。
「神 健人 様」と綺麗な字で書かれた封筒の一片が見つかる。
差出人は、また他の破片を見つけないとわからなそうだ。
途中でもどかしくなり、こたつテーブルの上にゴミ袋を逆さにしてぶちまけた。
ふと、壁にかけた天使が俺を見つめているのが目に入った。

504ゴミ捨て場:2014/10/03(金) 23:53:36 ID:yYjC9yNI
「神さん!!」
バスから草臥れた感じで降りてきた神さんを呼び止める。
ビックリしている神さんの胸の辺りに、セロハンテープで止めた手紙を押し付ける。
「神さん、なんで手紙捨てちゃったんですか!?」
「え? ‥‥は?」
「どうして読みもせずに破いたんですか!? あの絵も、なんで捨てたんですか!?」
神さんの顔がどんどん険しくなっていく。
その手は手紙を受け取らず、邪魔そうに俺の手を払う。
「‥‥なに、俺のゴミ漁ったの?」
「漁りました! すみません! でもどうしても気になったんです!」
俺はめげずに手紙を突き出した。
迷惑以上の嫌悪感を滲ませた顔で、神さんはうつむく。
「あんたには関係ないよね‥‥放っといてくれる? っていうか、これ、犯罪‥‥」
神さんはぼそぼそと呟いて抗議した。
目を反らし、そのまま身体ごと別の方を向いて行ってしまいかけたので、俺は堪らず怒鳴った。
「入院したぞ、田所さん!!」

神さんは素早く振り向き、元からあまり良くない顔色をさらに青くした。
手紙を今度は受け取ってもらえて、神さんはその中身に目を通す。
――入院する。今度はいよいよ出られないかも。今までごめん。
――でも、どうかもう一度だけ会いに来てくれないか。××病院で待ってる。
――田所文則。
手紙には簡潔にそれだけが書いてあった。
封も切られず、封筒ごと破かれた手紙。
その差出人は天使画のモデルじゃないかと俺は思っていた。
理屈ではなく、勘ではあるが、絶対にそうだと思った。
「ふみのり‥‥っ」
神さんはもう俺を見ず、手紙を握りしめたままバス停に走った。
しがみつくように時刻表を掴んで睨みつけている背中に、
今から行っても会えないんじゃ、という台詞を呑み込む。
俺は自分の部屋へと歩き出した。

部屋に帰ると、いつものように絵の中の天使が俺を出迎えた。
その絵に向け、俺は「やってやったぞ」という気になる。
ちゃんと渡したぞ、義理は果たしたぞ、というような。
田所さんと神さんの間に何があったのか、俺は知らない。
絵のモデルにまでする田所さんと神さんの関係がどうなのか、俺は知らない。
神さんがどういう気持ちで絵を捨てたのか、
手紙を見ずに捨てるまでになった事情を、俺は知らない。
本人から聞けない以上、ただ想像することしかできないし、
そもそもあの天使=田所さんというのも単なる勘違いでしかないのかも。
でも、俺はそうしなければならないと思ったのだ。
俺はきっと、このために天使画を持ち帰った。

505ゴミ捨て場:2014/10/03(金) 23:54:10 ID:yYjC9yNI

「あっ」
「あ」
次のゴミ収集日に顔を合わせた俺たちは、互いに間の抜けた声を出し合った。
先に口を開いたのは神さんの方で、
「‥‥会ったよ、ふみ‥‥田所に」
気まずそうにそう言った。
神さんはそれきり口を閉じるが、他人事の自覚はあるので踏み込んでさらに聞くことができない。
神さんの顔から、何か憑き物が落ちたような色とか、哀しげな色とかを探してみるのだが、
そんなものはなくいつも通り眠そうな表情をしている。
「じゃあ‥‥そんだけだから」
脇をすり抜けて行こうとした神さんを俺は逃がさなかった。
「神さん、またコンビニ弁当ばっか食べてるんですか?」
「えっ‥‥あ、うん」
「駄目ですよ。野菜も摂った方がいいです」
「‥‥あんたってさ」
神さんはうんざりした顔でため息をついた。
「すごい余計なお世話。言われない?」
「すみません! でもあの、今回のことのお詫びに、晩御飯作らせてください!!」
神さんはぎょっとして俺を見つめた。
お詫びというのはただの口実であり、引き気味の神さんが、
「いや、いいよ‥‥いらない」
などと言うのも想定済みだった。だが、俺は作戦をバッチリ練ってきた。
ここから食い下がれば、それさえできれば、神さんはきっと押し負ける。
「そう言わないでください! 神さん中華好きですか? 今日は青椒肉絲ですけど!」
「ちんじゃお‥‥? なにそれ」
よしかかった!!!

それから俺は押しに押した。
俺が出来合いのソースを使わないこと、野菜が苦手でも食べられること、
お詫びなのだから勿論材料費は取らないことをプレゼンしまくった。
そして、最終的に神さんは俺の飯を食うよりも、断ることの方が面倒だと理解してくれたらしい。
まったく思惑通りだ。
「ところでさ、よく俺の名字、ジンって読めたね‥‥」
今さらなことを言いながらアドレスを教える神さんに愛想笑いをして誤魔化しつつ、
俺は部屋の天使が泣き出しそうにではなく、心から微笑んでいるような気がしていた。


終わり

50629-629 甘すぎる:2014/10/05(日) 14:09:30 ID:Bu8jvfF6
ほとんど知られていないが、鈍感で朴念仁で通っているウチの大将には恋人がいる。
体力がなく非戦力外ながら、頭の回転が早くてよく的確なアドバイスをくれる人だ。
細い体ながら容姿は整っていて、家事も一通りこなせる申し分のないその恋人は男だった。
大将の方は全く気にしていないが、恋人の方が嫌がってあまり口外していないようだ。
同性だから大っぴらにしたくないようで全くそれらしい素振りを見せない恋人だが、離れて大将を見ているその目は完全に愛する人に向ける目で、何度かそれを見かけて2人の関係に気付いた。

最近では功績を上げて、敬愛を向ける部下や言い寄る女が増えて賑やかな半面、2人きりで過ごす時間が減ってるようだ。
それに加えて大将は、男は黙って背中で語るもの、恋人同士なら言葉なんて無くても分かり合えるもの、ってタイプそのものだった。
なぜ大将は、戦えないから側に居られず、同性同士だからと引け目を感じている恋人の心に気づかないんだろう?
好きだと言わなくとも、ずっと心は通い合ってると思い込んでるんだろう?
恋人が心変わりするなんてそんなこと、有る筈ないと疑いもしない。
最強の自分から恋人を奪う人間が居るなんて、まったく考えてもいない。
なんて甘すぎる男だ。
どんなに信じて愛している相手でも、大勢の人に囲まれモテていれば嫉妬が生まれる。
気持を言葉と態度で示してもらえないと、不安に駆られそれは大きくなるだけ。
本人も知らないうちに脆くなった恋心に、何か一撃が加えられたらどうなるか……。
相思相愛の上に胡坐をかいていた大甘な大将〈アンタ〉から、彼を掻っ攫ってやる。

50729-719 最後の一線:2014/10/25(土) 23:54:01 ID:Zqj5G4/6
暗いと言うか、最初から血生臭い話しです。



この国で平凡な両親から生まれたはずなのに、尋常じゃない力を持ちながらオレは普通の生活を送っていた。

オレが人としての一線を越えたのは、幼馴染みで親友の目の前で、アイツの大切な家族を殺した時だ。
ガキの頃から可愛がってくれたオジサンと優しいオバサン、懐いてくれてたい妹を一撃で仕留めた。
それを見たアイツは大きな目をさらに見開き、今まで聞いたこともないような声を上げ、家族に駆け寄ると縋りつ
いて必死に呼びかけていた。

ダチの一線を越えたのは、その直後。
家族の血の拡がる床から引きずり立たせ、濡れていない場所に押し倒す。
「やめろ」「触るな」「人殺し!」と喚き暴れるアイツを殴り付け、服を破るように剥ぎ取り白い躰を暴いていく。
何をされるのか悟り、逃げようとオレの体を叩くがちっともこたえない。
引っ掻き、噛みつき、手の届く辺りにある物を掴んでは叩きつけ、必死で抵抗する邪魔な腕を片方折り、怯んだ隙
に足を広げさせ無理やり犯した。
引き攣った切れ切れの悲鳴を聞きながら、固くて狭くて熱いアイツの中へと捻じ込み動く。
裂けて僅かな血で滑るがきつい。
だが、何も考えられなくなるくらい気持ちよかった。

欲しくて欲しくて、だけど同性だから、ダチだからと自分に言い聞かせ諦めていた物が、今オレの腕の中にある。
もうこの世の中がどうなろうと、他人がどうなろうと構わない。
オレは自分に素直になろうと決めたんだ。
我慢なんてしない。
慈しみなんか無い血だらけの交わり。
それにひどく興奮する。
何度アイツの中に吐き出しても熱は収まらず、犯し続けて抵抗する気力も体力も尽きたのだろう。
オレにされるがままで、うつろな目から涙を流し「なんでだよ……」とバグッたデーターのように繰り返し続けていた。
理由なんてない。
我慢するのをやめただけだ。
人間でいるのを辞めたただけだ。
その証拠に、歓喜のまま力を解放したため辺り一帯は吹っ飛んでいた。
近くに自分の住んでいた、家族が居た家もあったはずだか気にせず、街の半分を破壊しても何も感じない。
どうでもいい。
コイツさえ手に入れば、それでいい。

どれくらい時間が経ったか判らないが、抱いていた躰がぐったりと動かなくなって、やっとオレは中から抜け出す。
これからはずっと一緒だと笑みを浮かべていると、半壊の家に押し入ってくる複数の足音。
荒々しく入ってきた奴らが、驚愕と恐怖の混じった声で馴れ馴れしくオレ達の名前を叫ぶ。
ウザイくて睨み付けて黙らせた。
奴らを始末してもよかったが、二人っきりを邪魔されたくないのでひとまずこの場から飛び立とうとしたが……。
「!?」
アイツを抱えていた手に痛みが走り視線を向けると、折れていない手で掴んだ尖った瓦礫をオレの手に突き立て、
力の限り引き下ろすアイツの姿があった。
なぜ意識を取り戻してる?
どうしてこの期に及んで逆らうのか?
驚きと僅かな痛みで力の抜けたオレの腕から、アイツはするりと抜けて床に倒れた。
立つことも動くこともできないのに、アイツは真っ直ぐオレを睨み付ける。
オレの真っ黒な眼と違い、昏い炎が燃えるアイツの眼を見て、背筋がゾクゾクと震えた。
これだけの事が起こっても、コイツの心は折れていない。
オレの所有物になるのを拒み、敵に回る決意をした目だ。
オレは、じわじわと込み上げる笑いを堪えることが出来なかった。
生か死か、最後の一線をコイツと争える。
その狂喜に打ち震えながら、オレは高らかに笑いその場を後にした。

50829-769 酔っ払い×車掌1/3:2014/11/05(水) 01:52:12 ID:bBuC1whg
嘔吐描写注意




「お客さん、お客さん」
ゆさ、ゆさ、ゆさ。身体を揺すられているのが分かる。数瞬前までとは明らかに違う揺れ。レールの鳴る音は止まっていた。
「お客さん、お客さーん」
薄目を開ける。まぶたが重い。
「・・・う」
体を起こすと視界が揺れた。喉の奥に何かがこみ上げる。酸っぱいような、苦いようなこの臭い。やばい。
「ううっ・・・え・・・」
前かがみになった俺の口元に、白いビニールがあてがわれた。
「はい、大丈夫ですよー。吐いていいですよー」
ドサドサとビニールの鳴る音に重なる声。背中をさすってくれている手の持ち主だろう。淡々とした口調はどこかで聞き覚えがある気がした。
「・・・あの」
「はい」
「まえに・・・ぅええっ」
話しかけようとしたが、その前に二度目の波が来た。たった三文字喋っただけで、情けなくビニールに顔を突っ込みなおす。
「はい、そうですよー」
それでも言いたいことは伝わったらしかった。
「覚えててもらって光栄です、なんちゃって。半年ぶりくらいですかねー」
「・・・」
「今回も飲み会ですか? お酒弱いのに大変ですねー。っていうのは余計なお世話ですかね」
「・・・」
「あ、無理して顔あげないでいいです。楽な格好でいてください」
背中をさする手は休めずに、気を紛らすように彼は喋り続けてくれる。抑揚の少ない声が心地よかった。強張った肩から力が抜ける。
「事務室来ます? 何か飲みたいでしょ」
優しい声に、俺は妙にゆったりした気分でうなずいていた。

50929-769 酔っ払い×車掌2/3:2014/11/05(水) 01:53:57 ID:bBuC1whg
「やー、なんか嬉しいです」
事務室のソファに寝そべりながら、俺は彼の尻を見ていた。
別にいやらしい意味ではない。くたびれたソファに一番楽な格好で寝ると、目線がそこに合ってしまうのだ。
「・・・なにが」
「覚えててもらえて。制服着てると、なかなか顔覚えててもらえないんですよねー。月イチぐらいで介抱してても、未だに殴り掛かってくる方とかいらっしゃいますし」
あはは、と笑いながら、彼はお茶を入れてくれているらしい。こぽこぽと注がれるお湯の音がする。うっすらと緑茶の香りも。
「覚えててもらえると、変な言い方になりますけど、こっちも助け甲斐があるっていうか。・・・どうぞ。あ、起きられます?」
彼に支えてもらいながらのそのそと起き上がり、緑茶をすする。じんわりと、熱がお腹にしみる。霧の詰まったような頭に、僅かに考える隙間が戻ってきた。
「すっきりしました?」
「・・・ん」
「じゃあよかった。しばらくいてくださって大丈夫ですから」
ゆっくりしていってくださいね。そう言って笑う彼にうなずきながら、自分がいつの間にかタメ口を聞いていることに気付く。
「なんか、すいません・・・」
「いいですよ、全然。どっちにしろ一人だし、もうそろそろ仕事も片付きますし」
口を動かしながら、彼はごみ箱からビニール袋を引っ張り出す。ぱんぱんの透明な袋の口を手際よく結ぶ。一番上に俺が戻したばかりのビニールが見えた。
「あ、楽な格好でいいですよ。もう一回横になってくださっても」
言葉に押されるように横になる。また彼の尻に目が行った。
「帰れます? って言っても多分無理ですよね」
「え」
「や、前回もお客さん、そうだったから」
「・・・あー」
「あ、名前知ってるのに、お客さんって呼ぶのも変ですね」
佐々野さん。
その音で、彼の名前を思い出した。酒でぼうっとしていた脳の奥からいきなり掘り出されたように、彼の名前が口をつく。
「どうも・・・たじまくん」

51029-769 酔っ払い×車掌3/3:2014/11/05(水) 01:54:56 ID:bBuC1whg
覚えていない方が無理だ。半年前の出来事は、未だに生々しく思い出せる。
「前に比べれば、酔い方ちょっとはましですね」
「よってるはよってんだけど」
「でもまあ、お話しできるじゃないですか」
「まえって、そんなひどかったか」
酷かったよな。彼に言われる前に、自分の頭の中で答えは出ていた。
――お客さ、あ、ん・・・っ!
背中側から支えられながら、口をゆすいでもらった。後ろから抱かれるような体制に、酔っぱらった俺は変に興奮して、俺にもさせろと喚いたのだ。もちろん、ゆすがせる方を。
――ぐっ、げほ、ぅええっ・・・。
無理矢理ふくませた水にえづく彼を鏡越しに見ながら、俺は彼の尻に股間をこすりつけていた。
今思い出しても最低だったと思う。史上最低の酔い方だ。
「びっくりしました」
やんわりとした彼の言い方からは、あの日の面影は感じられない。拍子抜けしてしまうほど。
「それだけか」
「はい」
本当に彼だったんだろうか。はっきりした記憶を、今更疑いたくなった。えづいたせいか、俺のものを擦りつけられてか、涙目になっていたあの日の彼は、本当に
「僕自身、自分のことに初めて気がつきましたし」
・・・ちょっと待て。
「ある意味佐々野さんのおかげかもしれないですよー」
嘘だろ。頭の中で呟く。嘘だ、嘘だ。そんな都合のいいことがあってたまるか。
「僕、そっちでもたつみたいでした。あと、ああいうことでも」
あの日『目覚めた』のは俺一人ではなかったなんて。
「・・・へえ」
そして今、俺と彼が二人きりだなんて。

51129-939 後朝:2014/12/11(木) 23:26:43 ID:C9p8KGTU
間に合わなかったのでこっちに


「…ん、…もう、行くんですか」
布団の中の先輩の感触が消えていることに気付いて目が覚める。
まだ外が暗いうちから起き出して身支度をする先輩の背中に声を掛けた。
「ああ、いったん部屋に帰って準備する」
つられて起きだそうとする僕を、先輩は手で制した。
「今日も仕事だろ、まだ寝てろ。俺は飛行機の中で寝るからいいけど」
肌着を着た先輩が、自分のYシャツを探し当てて羽織り、ボタンを留めはじめた。

先輩は今日から二週間の予定でアメリカへ出張する。飛行機は早朝の便だ。
そんな前夜に、とは思ったが、独身寮の部屋に二人でいると抑えが利かなくなってしまった。
先輩は少し呆れた顔をしながらも、結局は僕の求めに応じてくれた。

靴下とスーツのズボンを穿いた先輩は、手探りでネクタイを探しているようだ。
「あ…」
やっと先輩が手に取ったネクタイは、僕のものだった。色味が似ていたから間違えたんだろう。
「…何だよ」
「いや、…何でもないですよ」
先輩は間違いに気付かないまま、僕のネクタイを締める。
一階上の部屋に帰るだけなんだから何もネクタイまで、と思うけれど、几帳面な先輩らしい。
ハンガーに掛けてあったジャケットを着て鞄を手にした先輩が、
ベッドに座る僕を部屋の入口から振り返って言った。
「それじゃあ、行ってくる」
「…行ってらっしゃい」

先輩は手持ちのネクタイを全部持っていくと言っていたから、きっと僕のを身に付ける日もある。
見送りに行けない分、ネクタイ一本交換するくらいは許してもらいたい。
(先輩が空港に行く前に、気付きませんように)
残された先輩のネクタイを弄んだ。今日はこれを締めて会社に行くことにしよう。

51230-219 一番ほしいもの:2015/02/16(月) 01:36:39 ID:TbbyrK/U
「吉野が今一番ほしいものって何?」

中川にそう聞かれて、うーん、そうだなあ…としばらく考えるふりをしたけれど、
そんなのは考えるまでもない。
俺が一番ほしいものは決まってる。
もうずっと前からほしかったもの。

それを俺にくれることができるのはお前だけだけど、
お前に言うつもりはない。
だって、お前が困ったような顔で「ごめん、それは無理」っていうのなんて
聞きたくないもの。
だから、お前には絶対に言わない。

言わないつもりだったのに…。
 
何?と心から知りたそうに俺を見る中川と目が合うと、
そのまま視線が外せなくなった。
まるで何かの呪文にかかったように、口が開く。
自分の意思に反して唇が動いて、言葉が紡がれる。

「中川」
「え?」
「俺が一番ほしいものは、中川、お前なんだ」

言った瞬間に後悔した。
驚いたように目を見開いた中川がゆっくりと顔を背けるのを見て
心臓が凍りついた。

こわばった頬を無理矢理動かしてぎこちない笑みを作る。
ごめん、今のは冗談だ、と言おうとしたら、中川の小さな声が聞こえた。

「それ、もうとっくに吉野のものだから」

驚いて目を向けると、横を向いたままの中川の頬が赤く染まっていた。


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