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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

49229-69相合傘1/2:2014/06/08(日) 02:35:40 ID:HgyzGVXI
昇降口でAとかち合ってしまった。気まずいのを必死に隠して靴を履き替えるBと反して、Aは気にしてないと装って鞄から折り畳み傘を取り出した。
「あ…傘」
思ったままにつぶやいてしまってから口を閉じても遅く、AはBを振り向いた。委員会の雑用をBは下級生委員たちと一緒に放課後残って作業して、校内に生徒はほとんどいない時間になってしまった。
ばっちりあってしまった視線をAから逸らしても頼れるものはなく、目を逸らしてしまったことで益々気まずくなってくる。
「傘、持ってきてないの?」
Aに話しかけられてBは緊張した。怯えるように顔をこわばらせるBに、Aは心苦しくなった。
「う、うん…、だって朝は晴れてたから…」
「朝は晴れてたけど、夕方から降水確率80%だったでしょ。天気予報が必ず当たる訳じゃないけど、今は梅雨なんだし折り畳みぐらい持っときなよ」
「そう、だよな…」
この、萎縮したような、気まずさを全面に出してくるBを見るたびに、告白なんかした自分を殴りたくなる。
告白をして、いい返事をもらえるなんて思ってはいなかった。ただ、下心のある好意を隠して友人関係を続ける辛さから逃げたい一心で思いをぶちまけた。玉砕して終わって、Aはすっきりするはずだった。けれどBは優しかった。A自身よりもAのことを思いやって傷付いた。Aは自分のことしか考えていなかったのを恥じた。Bを困らせる気はなかった。自分のことで手一杯で好きな人を苦しめる選択をした。AはBに告白したことを後悔している。
「こんな遅くまで委員会?」
「あぁ、だいぶ生徒会室ごちゃごちゃ物がたまってたから掃除して、ついでにファイル整理とかしてたらこんな時間に」
「ふ、相変わらずよくやるねぇ。生徒会長じゃあるまいし、一学級委員長が進んでそんな面倒なことする必要ないのに」
「そうだけど、誰かがしないといけないんだから、できる奴がすればいいことだろ」
こうやってBは当たり前のようにこなしていくんだろうことを思うと、やはりBのことが好きだと感じた。世間話くらいなら変わらず出来たことにAは安心して、折り畳み傘をBに差し出す。
「遅くまでお疲れ様。これ使いなよ」
「いい。お前だって、どうせこんな時間まで美術室に籠って絵、描いてたんだろ」
Bは受け取らずにAの返事も聞かないまま、雨の降る玄関外へ走り出そうとした。その上着をひっつかんでAはBをとどまらせた。


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