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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

4919-439 ぴしゃりと叱りつけた:2010/08/16(月) 00:23:05 ID:H5QHjZek
 広く暗い和室の中、二人の人間の周りだけは不自然に明るい。
 その内の一人は、紅葉の川と金糸の鳥を施した赤い仕掛けを纏った、だが仕掛けの趣きとは相容れない精悍な顔つきの骨ばった美青年。
彼の名は――つまりは源氏名だ――仕掛けの通りに紅葉と言う。
紅葉は、もう一方の、青年と同じ位に逞しいはだけた洋服を纏った眼鏡の男を床に倒していた。
手つきは酷く危うく、そのまま胸に手をやる手つきも震えていた。
その手が胸の飾りに着いた時、紅葉の動作が停止する。
紅葉の艶のあるざんばら髪が揺れる。眼鏡の男、藤吉は紅葉の優柔不断な手を掴み上げて、もう片手で叩いた。
「うっ…」
「また最初からだね。まったく君は……何回やったらまともに出来るんだい。いい加減にしてくれないかな」
藤吉は起き上がり衣を正すと、ぴしゃりと叱りつけた。
「君だって、今まで散々客にされてきたことだろう。なぜ同じことをやるだけなのにこんな」
「――申し訳ございませぬ」
紅葉は深々と土下座で謝る。
藤吉はそれを見て怒るのも面倒になった。
……これだから武家の出は嫌なんだ。確か最初に紅葉と寝た時も同じ感想を持った。
紅葉は、男のみを扱う遊郭の色子である。歳は万十九。水揚げされたのは十四の歳。
当時はたいそうな紅顔の美少年だったと藤吉は振り返る。その時の『手解き』も藤吉がした。
だが今は見ての通り、たおやかなんて言葉は似合わない。こんな場所でそこまで鍛えあげる意味は無いのに、いかにも武士らしく屈強な美青年へと成長してしまった。
これはこれである客層から受けがいいのでまあいいのだが、先日、彼の姿形に惹かれた客がこう溢したのだ。
『彼に抱かれてみたい』
と。


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