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臨時なのはクロススレ15

36妄想一場面:2010/10/24(日) 14:47:41 ID:u7djtL260
 倒れこんだ拳銃の男はこれで数秒間無力化できる。視線を左から背後へ。鉄パイプのほうは武器を取り戻そうと、両手で力を込める様子を見せた――予想通り。まったく抵抗せず足をどかしてやると、虚をつかれた男は力の安定を失って尻餅をついた。
 腰の後ろにいつも収めているナイフに左手を伸ばしながら、シンは体勢を下げて更に左へ回転する。
 元の右手方向、腹の前にアサルトライフルを下げていた男へ、引き抜きざまにナイフの柄を叩きつけた。ろくに構えることもなく突っ立っていた男の顎を、狙い通りに揺らす事に成功する。
 腕に遅れてスライドする視界の端で、傾いた男の顔が映る。眼球が左右にぶれ、無精ひげの生えた顎からかくりと力が抜けた。更に駄目押しとして、振り向く勢いを乗せた拳をこめかみに打ち下ろす。垂直落下するように崩れるアサルトライフルの男を通り過ぎ、視線は一回転して拳銃の男の背中に戻る。
 打撃を加えたわけでもない為、拳銃の男は手を突いた程度だ。既に気を取り直し、拳銃をこちらに向けようとしていた。しかし。
 小さく眼球を動かして、拳銃の状態を確認。排莢口には特に異常はない。少なくとも深刻な排莢不良は起こせなかったようだ。仕方ない。
 男はそのまま銃口をこちらに向けて引き金を引こうとしたが、やはり遅い。男の動作のを後押しするように左手で銃口を跳ね上げ、同時に逆手に握ったナイフの刃を男の首に押し付けた。

――このまま行くか? ……いや。

「ひっ」

 息を詰めた男の手から拳銃をもぎ取り、鼻っ面に頭突きを叩き込む。げぶ、とつぶれた息を漏らし、男は顔面を押さえて仰け反った。無防備な腹に前蹴りを入れて突き飛ばすと、吹き飛んだ男は手すりに背中を打ち付けて転がった。
 一発目を無理な姿勢で撃たせた事を考えれば、二発目の弾をそのままにするのは危険だろう。ナイフを手に握りこんだまま、奪い取った拳銃のスライドを引く。弾頭がついたままの二発目の弾がイジェクタに弾かれ、くるくると回りながら放物線を描いた。初弾が押し出された後に弾倉から次弾が押し上げられてくるところまでを目で確認し、ぬめつく空気を引きずりながら銃口を振る。
 本当に撃てるか? 暴発はしないのか? 弾は何発入っている? 脳の片隅で信用できない武器への不安感を反芻しながら、シンはようやく起き上がって鉄パイプを振りかぶった男にぴたりと狙い向けた。

「っ――ぐ」




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