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アニメキャラ・バトルロワイアル3rd Part21

223rd / 天使にふれたよ ◆ANI3oprwOY:2015/03/16(月) 00:45:22 ID:fxNQ5zpc

どこか自虐的な笑みすら浮かべ、澪は倒れた男から目を逸らす。
言峰と向き合うのが辛くなったわけでも、怖くなったわけでもない。
どこかの、誰か。
それを、思い出している。

「たしかに、私は逃げてたって言えるのかも知れない。
 私自身の感情から……。
 でも、それが正しいとか、間違ってるとか……きっとそんなことでさえ、本当に大切な事じゃなかったんだ」


正誤など、最初から関係なく。


「苦しくて、辛くて、痛くて。……溢れるほどの弱さだったのかも知れない。……ほんの少しの強さだったのかも知れない。
 でも、それでも……きっと、私が選んだって、それだけが大切な事だったんだ。私が決めて、私がやってきた。
 ……ねえ、それだけはさ、本当のことだって、私はそう思うんだ」


少女にとっての真実は最初から、その一つだけだった。


「だから……最後まで、やるよ。私は……諦めないことにする。人を殺すのはやっぱり怖いけど」


―――それでも私は、皆にまた会いたいんだ。


そう、秋山澪は言い切った。
迷いがない、などと言うことは、もう出来ないだろう。
彼女の心はいつだって迷いばかりだ。不安で、押しつぶされそうで。
自分の出した答えは間違いで、逃げているだけなのかもしれないと、自覚している。

それでも、決めたのだ。震える心で選んだのだ、と。
少女は神父に告白した。

「―――――――」

黒い神父はそれに答えない。
歪めた口元をわずかにも動かさず、見開いた目をそのままに、泥濘に埋まっている。

「……死んだんだ」

確認するように、口にする。
どれほど意味があるのかわからないその言葉を、吐き出す。

ため息が、もれる。
きらいな人だったのに。
どうしようもない悪人だったと、分かっているのに。

それでも、それは『人の死』なのだと、澪には感じられたから。
目に滲みそうになったものをこらえて、首を振る。

――――行こう。

そう思って歩き出そうとして、少しだけ振り向き、言葉を掛けた。





「さよなら」




進んでいく少女の背中に、返答の声は無く。
ただ、黒い水たまりに、最後の波紋が広がっていた。







【言峰綺礼@Fate/stay night   死亡】




◇ ◇ ◇


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