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【オリスタ】スタンドの町と奇妙な旅人【SS】
1
:
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/15(月) 09:46:50 ID:EY861l9.0
2020年春、M県S市杜王町。特産品は牛タンのみそ漬け、町の花はフクジュソウ。
そして、スタンド使いの町。
この町に訪れた旅人の少女をきっかけに、この町の平穏に再び危機が訪れる…
【ちゅうい】
・自分の初SSです。至らぬ点が無い方がおかしいと思います。(Web小説の経験は少しだけありますが)
・オリキャラ率が高くなるかもしれません。というかキャラを借りるのが苦手なので「こいつ出して!」って言われないとあまり出さないかも。遠慮なくリクエストください。
・リクエストはもちろん、お褒めの言葉があっても作者は喜びます。
・「受」で始まる皆も体験しただろう忙しい立場の者なので、定期更新などできるはずがなかろうなのだァーッ!
16
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/23(火) 18:03:33 ID:rFzS52ng0
そして、そのUFOがほぼ真上に見える位置にまで来ると、そこにはUFOの方を見て何やら呟いている少年が居た。何を呟いているのだろうか。
「※→↑↓&#!;?@$↓↑→←」
意味不明だ。本当に解読不可能。このセリフ表記が一番合うと言える変な独自言語を発していた。
「キミ、何してるの?3ヶ国語いけるあたしでもその言葉は一切分かれそうな部分が無いけど」
イーリアスの中では好奇心よりも圧倒的に警戒心と危機感が上回っている。とてつもない変人が目の前に居るのだから当然だ。
「見てて分かんない?宇宙人との交信だよ。俺って宇宙と通じちゃってるからなぁ〜」
先程まで顔をしかめていたイーリアスもこれにはポカンとしてしまう。呆れた。目の前にUFOが居るからってそれはないだろう。とりあえずノリには付き合いことにした。
「えーと、UFOが現れたから、会話…ってことかな?」
「はっはっはー、残念だけど違うなぁ。このUFOは釣りエサみたいなもんさ」
「ふーん」
「ただし宇宙人を呼ぶための…じゃあなくて、人間を呼ぶための、だ」
次の瞬間、イーリアスはうつ伏せになって倒れてしまった。
17
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/23(火) 21:05:53 ID:rFzS52ng0
「お…も…い…ッ!?」
イーリアスの体が異常に重い。立てない。それどころか、顔を動かすのすら困難だ。そのままでいるのすらキツいレベル。
「おねーさんの居る辺りの重力が10倍になったのさ。君が調べようとしたそのUFOの真下に作用するんだ。で、上から一方的に僕は叩ける、と」
そう言われると、イーリアスはすぐに計算する。これは何でも数字で理解しようとする一つの癖のようなものだ。
(10倍!?こいつ10倍って言ったの?あたしの体重は、えーと、47kgくらいだから…420kg近い重りが乗ってる感覚?)
だいたいそのくらいである。実際には重りが乗っているのではなく自分が重りになるので、満遍なくどの筋肉も辛い。
「これが俺の『スタンド』ってやつさ。名付けて、『The・thing』」
「キミ、とりあえずさ…それなりにスタイルの良い女の子を…うつ伏せで、こんな力で、押さえ付けたからには…覚悟くらい、してくれるよね…?」
18
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/24(水) 07:35:14 ID:n6aMW8Tw0
「まさかこの状況でそんなこと考える余裕があるとはね。だが覚悟するのはそっちの方さ。言っただろ、一方的に叩けるって」
確かにこのまま上から押し潰す攻撃などされようものなら無抵抗でいるしかない以上かなり危険だ。文字通りの一撃必殺級。
どうにか避ける手段を用意せねば。まずイーリアスはスタンドを出してそれから考えることにした。
「ヴァルキュリア…!」
呼び出す声もうまく力が入らない。しかも、予想通りではあるが非常に痛い事実が明らかになる。
『重っ…何コレ…』
重量感はスタンドにも…ヴァルキュリアにも伝わっていた。スタンドの行動まで封じられているのだ。
「ま、そういうこと。
19
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/24(水) 07:39:57 ID:n6aMW8Tw0
(途中送信しちゃいました、すみません…)
出会ってまだそんなに経ってないけど、おねーさんの負け。これはもう決まった」
こうなってはイーリアスも諦めてしまった。一切の行動をせずに勝つなど不可能だ。準備をしていたなら別だろうが。
20
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/24(水) 17:52:05 ID:EOC9izuc0
しかし、勝負とは不確定要素が多いもの。慢心したら価値が逃げるもの。
特に、スタンドバトルにおいては。
突然、イーリアスを潰しにかかっていたUFOの動きが止まった。狙撃を受けたらしく、本体の少年は腹を押さえる。
その目が向く先には、二人とも知っている人物。
「悪いけど、その人を再起不能にするとか、そういうのはやめてくれないかな?案内、頼まれてるんだよ」
そう言ってやって来た祐一の背後には、大きな蝙蝠を思わせる姿のスタンドが。
「ユーイチ先輩じゃあないですか。相変わらず縁の浅い人を助けようとするんですねぇ」
「君ほど浅くはないんだなあ、これが。えーと、スタンド名『The・thing』、真下に働く重力を10倍にする能力、本体名は脇田氷空(わきた そら)」
「もしかして会話とか聞かれちゃいました?まあいい、始めますかね」
21
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/25(木) 17:22:16 ID:LGyOImC20
直後、祐一は近くの川に走って飛び込んだ。突然の行動に少年─脇田は一瞬何をしているのか理解できなかった。
しばらくしてから飛び込んだ地点とは全く違う場所から水が5回発射された。脇田に全て命中。
「なるほど、水の能力…」
「ボクのスタンド『スプレッド・ユア・ウイング』はボクの体に触れた水を吸い上げるように移動させて操る能力。今やったように射撃も可能なんだ」
説明をする祐一から勝手に水がスタンドの方に移動している。そして、大量の水が蓄えられた。
「これぐらい貯水すればいいかな?スタンドはそこから移動できないはずだし…ボクが勝利するのも、そこまで難しくなさそうだ」
「ぐ…」
高圧の水弾を既に6発まともに脇田は喰らっている。しかし、対射撃系能力への対策も彼には一応は可能だ。
22
:
名無しのスタンド使い
:2019/07/26(金) 07:33:45 ID:FphWOmyM0
「いや…ユーイチ先輩、なんか忘れてませんかねえ?例えば、こういうこと」
脇田は自分、スタンド、そして祐一が1直線上に並ぶように立ち位置を変えた。
重力のエリアが壁(というよりは柱)となり、攻撃を防ぐことができる。
「なるほど、確かにボクのスタンド自体はボクからは離れないから当てづらいね。しかもサラッとスタンドをかなり上空に運んで当てられなくするとは…」
気付けば「The・thing」は遥か上空、水弾など当たるはずのない場所に移動していた。
「どーします?当てにかかっても軌道はバレバレですよォ?」
祐一にもそれは分かっていた。攻撃を防がれることよりもよけやすくなるのが問題。
だが、祐一も打つ手は失っていない。
「なるほど、確かに簡単には勝てないけど…やっぱり、難しくはない」
23
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/26(金) 20:55:32 ID:fAXgt9As0
「ほう?策があるんですね?」
脇田の挑発も無視して祐一がとった行動は、そのまま真っ正面に突っ走ることだった。脇田の方に、一直線に、猪突猛進。
そのまま、「The・thing」の真下へ突入してしまった。
「ぐっ…」
想像を絶する重量感に、思わず声が出る。祐一もスタンドごと押し付けられてしまった。
「何かと思えば…それトッコーっていうやつですよーッ!やっぱり策なんて無かった!なんか、期待外れでしたねぇ」
「脇田君、君は野球の…『スクイズ』って、知ってるよなあ?」
あまりに突拍子が無い発言に思えたのか、脇田は更に笑う。
状況に気付かないまま。
「分からないのか?ボクが今やったのは、それに結構近いことだと思うんだけれど…どうかな」
ここでようやく脇田は気が付いた。イーリアスが居ない。そこには大きな水溜まりがあるだけ。どういう意図でスクイズに例えたのか、気付いた頃にはもう遅い。
「行くよ、ヴァルキュリア!」
24
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/28(日) 18:17:00 ID:qwZ7fJ/60
既に脇田の背後にイーリアスは回り込んでいた。そして「ヴァルキュリア」は呼び掛けに応えるようにまず一発食らわす。
「思ったほど体が潰れてなくて良かったけどね…言ったでしょ?覚悟くらいしてくれるよねって」
「くっ…戻れッ!こっちに来るんだ『The・thing』!」
すぐに脇田はスタンドを戻そうとする。しかし、間に合うはずがなかった。
「キミの負けだよ、なぜなら『キミは自分のスタンドに潰される』から」
その宣言と同時にヴァルキュリアは一発、また一発とラッシュを叩き込む。
「Дэээээяаааааа(デエエエヤアアアッ)!!!」
殴られた脇田は大きく吹き飛ぶ。そして、ちょうど自らのスタンドの真下に入る。
(ぐわああ!お…重い!意識まで全て下に向いてしまう!下意識したら落ちてくるのは分かってるのに!)
「一応言っておくよ…『1回』だからまず死にはしない、安心して。あたしはそこまでキミの運命を握れないからね」
脇田氷空、気絶。スタンド「The・thing」は落下とほぼ同時に本体が気絶したため強制解除。
25
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/07/30(火) 12:54:17 ID:1TxXKBD60
「祐一君にはお礼をしないとね。本当に助かったよ」
「こっちこそ。これはイーリアスさんが居てこその勝ちなんだから。とりあえず後で説教はしとくよ。それにしても、その能力…見るのは2回目だけど、やっぱり分からないな」
最初は何か呟いて殴ってるだけに見えたし、今回は宣言通りに事を運ばせたように見えた。しかし、それだけ。
「運命を書き加える…ってことかな?言葉でヴァルキュリアに伝えたことは接触を通じて運命として追記される…みたいなことらしいけど」
祐一にはよく分からない。当然のことだ、イーリアスにもよく分かっていないのだ。それだけ細かい複雑さがあるのだ。
「自分の能力がよく分からない…っていうのさ、不便だと思わない?」
「別に…あたしとヴァルキュリアなら大丈夫だからね」
不思議な人だな。祐一はただそれだけを思った。
26
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/01(木) 07:59:17 ID:fgeC51oc0
一方その頃、例のモニタールーム。
「早速遭遇したか…まあ当然か。スタンド使いはスタンド使いに引かれあう…それ故にこの町のスタンド使いの数も増えているのだから」
モニターには、なんとも情けない姿の脇田が映っていた。天才的情けなさだ。手足の曲がり具合、顔の向き、とにかくこれ以上情けない気絶があるだろうかというくらいだった。
「だから待つんじゃあないか…待ってるだけで来るなら待つさ」
そう言い男は上品に紅茶を一口啜り、その横に置いてあるジャムをスプーンで掬って舐めた。
「だからもっと見せてもらうぞ、その力を…イーリアス・ドレッドノート、運命に定められた宿敵よ」
27
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/01(木) 20:59:34 ID:GzWtf.Zc0
オリジナルスタンド図鑑No.8575
【スタンド名】
The・thing
【能力】
このスタンドの真下には、地球の重力の、10倍の重力がかかる。
主に上空から一方的に潰す戦法を得意とする。
重力の射程に制限はなく、スタンドが出ているのなら、例えスタンドが大気圏にいたとしても、真下には常に10倍の重力がかかる。
破壊力-D スピード-B 射程距離-A
持続力-C 精密動作性-D 成長性-E
【本体名】脇田 氷空
28
:
第2話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/01(木) 21:05:20 ID:GzWtf.Zc0
オリジナルスタンド図鑑No.8569
【スタンド名】
スプレッド・ユア・ウイング
【能力】
本体の体表面に付いた水分を、スタンドの体表面に移動させて操る能力。
半ば自動発動に近い能力であり、どのような些細な水被りでもスタンドに移動させて本体を乾かしてしまう。
(意識すればある程度制御可能で、本体は風呂やプールに入る際には気を張り詰めている)。
移動完了の時点で、ただの水でもスタンドの影響下に置かれるので、スタンドに向けてかけることが可能となる。。
破壊力-B スピード-A 射程距離-E
持続力-D 精密動作性-E 成長性-A
【本体名】渡良瀬 祐一
29
:
名無しのスタンド使い
:2019/08/01(木) 23:11:51 ID:9kbOn2S.0
新連載乙っす!
ゆっくり読ませてもらうだす
30
:
第2話ADD
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/02(金) 17:34:19 ID:W0/Cvp9s0
第2話ADD [n]
「勇気を得る方法が知りたいの?」
「外に行くには、勇気が要るから。外が怖いから、知りたい」
「怖いという感情があるなら、勇気はいつかきっと、持てるようになるよ」
「でもそれなら、この虚しさは?苦しみは?一体何のために?」
「それは確かに、単なる虚しさ、苦しみに過ぎないのかもしれない。でも、それが勇気への道になる。私はそう信じてる。あなたはどう?」
「あたしは…」
「無理に答えなくてもいいの。質問は質問で返しさえしなければいいの」
「…」
「私とあなたならきっと大丈夫。何しろ私とあなたなんだから」
あたしは。
信じてなかったのかもしれない。
31
:
第2話ADD
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/06(火) 18:49:38 ID:5B99OTzw0
生存報告を兼ねたキャラクター紹介
イーリアス・ドレッドノート
【出身】ロシア、モスクワ
【身長と体重】177cm、47kg
生まれつき持つスタンド能力による孤独を経験した旅人。その孤独を救ったのもスタンドだが、孤独にした時とは違いそこには「心」があった。
15歳の頃から旅をしているが、かなりの頭脳と知識がありおそらくすぐにでも大学に入れると思われる。一方、モデルのような体型に見えるが実際はかなりの痩せ型なため運動は苦手。
ドレッドノート家は元々イギリスの貴族の家だが、とある因縁によってロシアに移り、その因縁の中でイーリアスを残してほぼ壊滅している。
彼女の旅の目的は3つ、「友達を作ること」、「生きていい場所を探すこと」、「勝利で因縁を終結させること」。孤独が奪った彼女の笑顔は、この目的を果たす頃にはちゃんと戻っているだろう。
32
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/08(木) 12:55:38 ID:mh9OP18M0
第3話「黒く、苦く、甘く、強く」
「病院送りなんて、とんだ災難だね」
こんなことを言われて、脇田氷空は苛立ちを感じざるを得なかった。
「誰のせいでここに居るんでしょーねー本当にねー」
「え?自分で自分のスタンドに潰されるのはどう考えてもキミのせいでしょ?」
「ユーイチ先輩にはそれはイーリアスさんの能力のせいだって聞いたんだけどなあ…」
イーリアスもそれが予想できない人物ではなく、これはただの敗者を弄る行為だ。
しかも、結構悪質な部類の。
「それはそうと、すぐに来てあげられなくてごめんね」
「1週間は会いたくなかったし、できれば帰っていただきたかったよ!」
「残念ながら、あたしには帰る場所なんて無いんだよ」
本当に残念なことだが。
33
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/14(水) 19:10:21 ID:5WNRWE.c0
「まあ、ちょうどいいのかな?ちょうどこれからコーイチさんが来ることになってるし」
「コーイチ…さん?」
ユーイチなら知っているのだが、紛らわしくならないかとイーリアスは少しばかり心配になる。
「そう。広瀬康一さん。この町にスタンド使いが増え始めた頃、つまり20年ほど前からこの町をスタンド使いとして見ていた人なんだ…色々聞いてみなよ。この町ではスタンドについて一番知ってる」
「そんな人が、わざわざキミのお見舞いに?」
「ま、彼の仕事の一環でもあるからね」
どんな仕事なのか、イーリアスには想像がつかない。そもそもその仕事というのは職業としての仕事なのか?
しばらく考えていたら、病室のドアが開いた。
「コーイチさん!ちょうどあんたの話、してたんですよーッ!」
34
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/17(土) 18:49:29 ID:TRJcUzoc0
広瀬康一。彼が仲間と共に殺人鬼・吉良吉影を倒したのは21年前のこと。当然、その年から行方不明者が一気に減った理由は誰にも明かしていない。
そんな彼を見てイーリアスが抱いた正直な感想は「小さい」だった。これはある意味当然のものだ。康一は小さくて、イーリアスは大きいのだから。
「アナタは康一さん、ですよね?あたしはイーリアス・ドレッドノート、世界を旅しています。ここには先週着きました」
目上の者に対する口調に気を付けつつ、イーリアスは身分を明かした。
「イーリアスさん、だね。はじめまして。でも、君のような人がなんでこんなところに?」
これも最もな疑問だ。ここは病室、目的無くして来ることはまず無いのだから。
「それは…まあ、ソラ君とスタンド同士の…あれはバトルって言葉が合うかな…そういうことをして、ソラ君を病院送りにしちゃったからなんです」
横で聞いている脇田は、さっきはこっちのせいにしたくせに、と思っているが、話を遮るほど失礼な人物ではない。
「なるほど、君のスタンドか。あのUFOを落としたのは…それで、僕の話をしてたっていうのは?」
「ああ、ソラ君がスタンドの知識を分けてもらえって。実はこの町が『スタンドの町』って聞いてここに来てるんです。この町がどんな町か、知りたい」
35
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/17(土) 19:25:20 ID:TRJcUzoc0
康一は少し悩んだ。なぜスタンドの町と聞いてわざわざそこに来るのか?そもそも有益な話になるのか?
考えて結局、「話すくらいはしよう」という考えに至った。
「スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う…って知ってる?」
「ええ、まあ」
イーリアスもそれくらい知っていたし、2年も旅をしていればなんとなく経験でも分かっていた。しかし、到着から2日で2人と出会うというのはちょっとばかり異常だ。未経験だ。
「21年前。僕がスタンド使いになった頃。スタンドの矢というものによって杜王町のスタンド使いは急増していたんだ。そして杜王町の中でひかれ合った」
「そこで増えたから、スタンドの町なんですか?」
イーリアスの問いに対し、康一は首を横に振る。
「あまりにスタンド使いが増えすぎて、外ともひかれ合っていたんだ…いや、町がスタンド使いを一方的に引き寄せていたんだ。スタンド使いがこの町に移住してくるようになったのさ。更に、スタンドの遺伝する性質のせいもあって、まさにスタンドの町と呼ぶにふさわしい町になったんだ」
「俺、移住してきたタイプね」
何故か主張してきた脇田をイーリアスは完全に無視した。確かにいきなり押し潰そうとした奴と仲良くしろという方が無理なものだが。
36
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/21(水) 18:33:22 ID:GZ/iGPv60
「移住って…国外からも来てたりするんですか?」
「少しはね。日本に移住する外国人がそもそも少ないから多くはない」
元々住んでいるスタンド使いの外国人が居る…というのは、ここでは関係無い話。
康一はそこから少々間を置いて、こんな質問を返した。
「ひょっとして…人を探そうと思ってる?外国人のスタンド使いを…」
「…ッ!」
なぜこんな質問に至ったのか、イーリアスは考えずにはいられなかった。全くもってその通りだったからだ。肯定、疑念、警戒は全て表情に現れていた。
「当たりか…『警戒』、してるね。僕は探す手伝いをしたっていいくらいなんだけど。君が探そうとするのが味方なのか敵なのか、はたまたどちらでもないのか、は関係なく」
イーリアスの表情は緩んだが、それは安堵などの類の表情ではなかった。
「そう、倒すべき敵を探してるのです。そろそろ本気で探そう、って…でも康一さん達は役立てないかもしれません」
37
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/21(水) 18:33:41 ID:GZ/iGPv60
「移住って…国外からも来てたりするんですか?」
「少しはね。日本に移住する外国人がそもそも少ないから多くはない」
元々住んでいるスタンド使いの外国人が居る…というのは、ここでは関係無い話。
康一はそこから少々間を置いて、こんな質問を返した。
「ひょっとして…人を探そうと思ってる?外国人のスタンド使いを…」
「…ッ!」
なぜこんな質問に至ったのか、イーリアスは考えずにはいられなかった。全くもってその通りだったからだ。肯定、疑念、警戒は全て表情に現れていた。
「当たりか…『警戒』、してるね。僕は探す手伝いをしたっていいくらいなんだけど。君が探そうとするのが味方なのか敵なのか、はたまたどちらでもないのか、は関係なく」
イーリアスの表情は緩んだが、それは安堵などの類の表情ではなかった。
「そう、倒すべき敵を探してるのです。そろそろ本気で探そう、って…でも康一さん達は役立てないかもしれません」
38
:
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/21(水) 18:42:50 ID:GZ/iGPv60
連投すみません…
なんかSS板だけ異常に重いのは気のせいなんスかねェ〜?
39
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/08/26(月) 20:45:26 ID:N9mk8FWU0
「役立てない…って、どうしてそんなにハッキリ言えるんだ?そんなにハッキリ言われたらあんまりじゃあ…」
康一のこの言葉は、途中でイーリアスが遮る形になった。
「いや、多分無理でしょう。あたし以外に彼の顔と名前が一致する人物なんて居るわけがないのだから」
静かながらも気迫のあるその口調に康一は一瞬怯んだ。次の言葉に少し悩んでから、こう返した。
「なるほどね。それなら無理には探さないでおくよ…ところで、続きは外でもいい?」
「ですね…ちょっとコイツには聞かれたくないんで」
「ちょっ、お前な…」
脇田はさりげなくコイツ呼ばわりされたことが気に食わない様子だ。まさかそこまで言われるとは思っていなかったのだ…潰そうとしておきながら。
彼は少し、「根に持つタイプ」を理解した方がいいだろう。
病院の前には誰も居ない。完全に二人きりだ。
「さて。倒すべき敵を探してるんだよね?なら見付かる前に君には成長してほしいんだ。もちろん全面的に信頼してる訳じゃあないから、少々手荒にいかせてもらうけどね」
「成長…ですか」
成長といえば、精神的成長。確かにイーリアスは元が不安定であり、未だに十分な安定が得られていないほど未熟だ。その証拠に、表情がほとんど動かない。感情表現が苦手でもないのに。
40
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/02(月) 12:09:00 ID:PxtaCPkE0
「戦闘向きスタンドは多くの場合戦闘を経て成長する…というわけだから、君にはこの町のスタンド使い達と戦ってほしいんだ」
「それ、大丈夫なやつなんですか?」
イーリアスは戦うことには少し抵抗がある。というのも、例えば相手を負傷させた際に後々処置をしなければならないのが嫌なのだ。この前は(あくまで本人の観点からして)かなり酷いことをされたのであまり遠慮せずに病院送りにしたような部分がある。
「大丈夫って…何か心配?」
「えーと…あんまりやり過ぎちゃあいけないような気がして、ですね…」
「殺しさえしなければ大丈夫だよ。治すことに関しては僕の友人にはかなり頼れる人が居るんだ。相手にはそれ前提でやるようにって伝えておくから、君もそうしてほしい」
イーリアスの中ではまだ何かモヤモヤするところがあったが、一応納得する程度の理解はできた。
「分かりました。じゃあ、あたしはこれで」
この先に備えるため、イーリアスは帰ることにした。
41
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/03(火) 18:07:21 ID:YcVRLd6o0
翌日。
「そういえばイーリアスちゃん、なんでここでバイトなんかしようと思ったの?」
イーリアスと同じカフェで働く少女・川端純は突然客の少ない時間帯にこんなことをイーリアスに聞いてきた。
彼女はイーリアスより2歳年上、19歳の大学生。大学に入学するにあたって近場のベッドタウンである杜王町に越してきたらしい。ちなみに中堅私文である。
「うーん、そう言われてもねえ。カフェだから、としか」
「カフェだったら働きたくなるのかしら?」
「カフェが一番やりやすいんだよ。騒がしすぎないところとか、肌に合う…って言い方でいいのかな?ま、そんな感じ」
特にこの店はオープンカフェの方が人気だからなのか、屋内は比較的静かだ。かなりイーリアスには合っていると言える。
「いいなあ、働く場所を考えて選んでるって」
「考えても結局カフェのバイトだけど、ね」
純とイーリアスは仲がいい。一緒のシフトになることが多く、歳も近い、他にも共通点が多いからだ。しかし違う部分も多いからこそ打ち解けるのである。
42
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/10(火) 09:14:13 ID:wqN44TmU0
その日の仕事を終えた頃には、外は暗くなっていた。勤務時間が夕方だから当然だが。
そんな時間に、純はこんなことを言ってきた。
「ねえ、一緒に外行かない?」
普通なら少し遠慮したくなるだろう。夜間人口が多い町で(見た目の上では)無防備の状態で歩くというのか、と。
だが、イーリアスに関して言うとそれは当てはまらない。
「いいね、どこに行くの?」
などと何も不自然に思うことなく快諾するのである。
その大きな理由はやはり、日本の治安への圧倒的信頼だ。実際にもっと「ヤバい」ような土地はかなり経験しているが故に、日本は全くそういった危険性が無いと見なしているフシがある。
「景色を見に行くの。ちょっとした観光気分って感じ?私ね、ここの夜の海が好きでイーリアスちゃんにも見てほしいのね」
「海…かあ」
海は少し前に越えてきたというのもあり、果たして自分は感動できるのかという不安がイーリアスを襲う。
しかし、せっかく新しく出来た友達に対して断るとは言えないのである。
「え?何か嫌なことある?」
「ううん、全くないから気にしないで!行こう!」
純から見たらこう言いながら表情が薄いイーリアスは少し怖かったらしく、純は軽く震えたが、ちゃんと「気にしない」ことも彼女にはできた。
43
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/12(木) 18:09:58 ID:WvYzKscQ0
夜道を行くこと数十分ほど。二人は海のよく見える岬にたどり着いた。
この岬…「ボヨヨン岬」は今でこそ名所ではあるが、十数年ほど前までは人気も名もない場所だった。
今でも名所とはいえ穴場的なスポットで、夜に行くような人は少ない。純くらいしか居ないかもしれない。
しかし、岬から見る夜の海は見る人がそれくらいしかないのが勿体ないくらいのものだ。
「あれは…船だよね?」
「そう。漁船がどの季節でもここはそこそこ出るんだけど、その明かりが星空と海が繋がっているような感じに見せてくれるの。多すぎないからいいのよ」
イーリアスにはそこまでのものに見えたかはさておき、この景色を見せてくれたことに感謝したいという気持ちはあった。
「ついていって良かったよ、ありがとね」
「どうも。ところで、イーリアスちゃんは…『スタンド使い』、なのね?」
突然そのワードが飛び出してイーリアスは大いに動揺した。そしてすぐに意識して落ち着き、警戒する。だがやはり落ち着ききれず、無意識に言葉を発していた。
「Нет пути…」
「『まさか』…って感じ?うん、多分考えは合ってる。康一さんから頼まれたことよ」
44
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/18(水) 08:40:13 ID:8UULULFw0
純はイーリアスからすぐに離れてスタンドを出した。そして殴り始めた…地面を。
イーリアスが来てから、この町はほぼずっと晴れなのに、濡れている地面の音がする。海沿いとはいえ、波が押し寄せる場所ではないのでやはり不自然。
しかしそれが何故なのか、何のためのものか分からない以上、近距離型スタンドを持つイーリアスは接近するしかない。逃げだけでは勝てない。
「頼むよ、ヴァルキュリア」
「オッケー、ハデにやったげる!」
ヴァルキュリアのテンションが高いが、イーリアスはそういう感覚で「頼むよ」と言ったわけではない。
これから突発的にやって来るだろう攻撃に備えるための呼び掛けである。
「向かって来る…近距離ね。『マーブル・コーヒー』、クラッシュ」
純がこう宣言した直後、イーリアスの足元の地面が爆発した…ように壊れた。イーリアスの予想通り、トラップ配置だったわけである。
しかし、トラップの目印らしきものが見当たらない。暗くてよく見えない。それは少々痛かった。
45
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/19(木) 23:07:18 ID:XiLl6tNA0
先程まで地面だった細かい石や土の塊がイーリアスに襲いかかる。すぐに後ろに飛び退くが、それで避けられるものでもない。
プリザーブド・ヴァルキュリアというスタンドは動きが正確かつ自発的にも動けるため、防御のための行動を取れたが、それでもスピード不足。何個かは食らってしまった。
それでも相手の能力はある程度分かった。切り抜け方を見出だすために、イーリアスは当然のように近くの大きめの段差の下に逃げた。
『この段差は壊れない』
一応、能力を段差に対して使っておく。
「向かって来ないの?逃げても逃げ道を塞ぐくらい簡単だっていうのに」
純はイーリアスにゆっくりと近付いていく。地面をスタンドでまた殴り、また濡れている地面の音を鳴らす。
「分かってるでしょ?あたしは近付かなきゃ攻められない。近付き方が分からないと一方的にやられるんだからね…キミと同じく」
あっさりと近距離型であることがバレて純は少し動揺した。自分の行動がヒントになっていたのは明らか。どんな行動が?
純はそういったことはあまり考えられないタイプである。そのためか、あまり下手な行動をするとヒントを与えすぎてしまうと考え、焦った。
46
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/23(月) 18:55:33 ID:EWRPgiaA0
「ふ、ふん!そんなことが分かったところで逃げ場は無くなってるのよッ!くらえ!」
ベシャッ!という音がイーリアスの周囲、全方向から聞こえる。「マーブル・コーヒー」が地面を殴った音にも近い─液体の音。
その時にイーリアスが見たのは周囲の地面などではなく、右腕であった。そしてそれを見るなり、段差に足を掛けまさに登ろうとする。純はまったくそれを見ていなかった。
「『マーブル・コーヒー』、サークルクラッシュ!」
純の言葉と共に段差の下の地面は爆発した…が、イーリアスはそれを喰らっていない。「勝てる」、そう思っている純の後ろで、驚くほど冷たい声で語りかけるように言う。
「そんなんじゃあ…あたしには勝てないね」
直後。イーリアスはスタンドの左腕で純を殴った。飛ばしはしない。前が大きな段差なのに思いっきり飛ばすのが躊躇われたからだ。
そして数秒置いてから右腕を押さえてうずくまる。
服の右袖は大きめの穴が空いており、その下は粉砕骨折。かなり局所的にやられているのもあるのか、かなり痛い。
本当は殴る動作に入る段階から痛かったし、それゆえ反射的に利き手ではない左で殴った。しかし痛いと実感したのはこのタイミングだった。
「─は?」
背後から殴られた上に殴ってきた少女はというと右腕を痛がっている。一瞬純には状況がよく分からなくなった。やはり純の背中も痛かった。
47
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/26(木) 17:27:44 ID:Oe8mjC560
『あぁーっ!服が汚れたり汚れたとこが破けたり腕痛めたり!なんて能力!ひっどいなあもォーッ!』
と、イーリアスは言っているが母国語になってしまっているため純には伝わらない。純の顔は疑問符が敷き詰められたような表情をしていた。
イーリアスは落ち着いてから、右腕に乗っていた左腕を下ろして話しだす。
「でも分かった…全て説明がつくよ…あのインクみたいな液体だ…」
「─!」
純の表情から読み取れる言葉は、「バレた」であった。その3文字が容易に読み取れる。あまりにも分かりやすい。
イーリアスは相手の本質を見出だした。
「キミの能力は『殴ったものに与えた破壊エネルギーをインクに変えて別のモノに移す』能力なんだよ。地面を殴るのがトリガーになることも、トラップ配置ができるのも、そして服の汚れがあたしの腕を砕いたのも!説明できるよね、これなら…」
「…うん、正解。正解なんだけどね…それと勝ち筋が見えてるかは別だと思うけど」
それを聞いたイーリアスの顔は、先程の純の顔とあまり変わらない。意識的に冷たい声で言い放つ。
「分からないのかな?あたしは分かってないフリをして勝ち筋を作るなんてことをしなくてもいいと思ったからこんなことを言った、って…」
48
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/09/30(月) 18:26:07 ID:xi2XS4FQ0
「勝ち筋?この地雷原のような環境で?」
「うん。自分の能力を信頼し過ぎだね、純ちゃんは…どんなに妨害されてもあたしは近付いてみせる…キミの敗北を『運命づけて』みせるよ」
「へぇ、じゃあ近付いてみなさい!」
その叫びの直後、純は地面をスタンドで殴りインクを大量に散らしながら動き回り始めた。暗いのでインクはとても見えづらい。しかしイーリアスは凝視しようと目を見開く、ということはしなかった。
逆に目を静かに閉じてから、全く躊躇いもなく走りだした。動き回る純の行き先に先回りするルート。
『本当に凄いね…よく見える』
わざと伝わらないようにイーリアスは呟いた。
イーリアスが走っている最中も爆発は何度も起こっていた。ただ、巧みに避けていたのだ。運動能力には自信があまりないイーリアスだが、避け方が分かっていて、しかもヴァルキュリアが補助していたので無傷で済んだのだ。
そして「マーブル・コーヒー」の脇腹に拳が入る。
「なんでぇぇェェーー!?」
今度は殴り飛ばされた純の叫びは、自分への苛立ちのようなものも含んでいた。何故近付ける程度のトラップになってしまうのか。
そんな純を、青い目で見ながらイーリアスは自分の頭をツンツンと指して言った。
「『ここ』、もうちょっと使ってみたらどう?」
49
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/04(金) 18:39:29 ID:YCm8nVgs0
「使ってるっての!なのになんで!なんで避けられちゃうの!?」
喋る度に純はどんどんと焦っている。純は戦闘向きの脳の構造を持っていないと言っていい。だからどんどん焦ってしまうのだ。
「いや、よく見えないからかもしれないけど、割と無計画だよ?ヴァルキュリアの視力で見れば、それがよく分かる…だから視力を使わせてもらったんだ」
スタンド独自の視力。存在しないこともあれば、極めて優れていることもある。「プリザーブド・ヴァルキュリア」は後者だ。それゆえの精密な動作でもある。
「邪魔になる『自分の視力』を遮断するために目を閉じて…」
「そういうこと。まあ、あれは気分だけど。それと分かったことが2つ。あのインクは『蒸発』して色も威力も時間経過で失われるということと、インクが集まりすぎて大きなシミになるとかえって威力が下がること。だから安全地帯になる場所が意外と多いみたいだね…さて、次は肉眼でも近寄れそうな気がするけど、どう?」
問われた純は一旦深呼吸をして、下を向く。そしてスタンドの拳も下を向く。
「私にはね、イーリアスちゃん…『どうもこうもない』ってことよッ!」
インクを散らし、地面を壊す。それを繰り返しながら純はイーリアスに急激に接近する。自分に攻撃が返ってこないのが不思議なほどの勢いで破壊されていく。
「あー、一番ダメなやつだ」
イーリアスは至って冷静だった。
50
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/08(火) 18:08:43 ID:Mq33yQ7s0
イーリアスはフワリと飛び退き、近くの段差の下に降りる。降りた地点の周りはイーリアスを囲むように地面が盛り上がっていた。
降りてくる場所は間違っていないことをイーリアスはここで改めて確認した。
「段差の陰に隠れたって、壊してしまえば無意味!逆効果!勝ったッ!」
「そんなわけないでしょ。だから『ここ』、使ってって言ってるんじゃん」
純が崖から飛び出してきたと同時に、ヴァルキュリアの蹴りが入る。
やはりイーリアスの指は自分の頭を差していた。
「壊れ…ない…?」
「うん。壊れない。そういう運命になったから。これなあたしのスタンド…相棒の『プリザーブド・ヴァルキュリア』の能力。モノに触れる直前にあたしが喋ったことは運命として書き込まれる。この段差に運命を書き込んだ。さて、純ちゃんに問題」
「…はい?」
暴走したように地面を壊していたこと、更に重い一撃を喰らったこともあり純の頭は回らない。まともな解答が期待できるかは怪しいところだ。
「あたしが段差を登って一撃かました、その直前に…あたしは何て言ったでしょうか?」
「…あーっ!」
イーリアスは確かにこう言った。
「あたしには勝てないね」と。
「Все окончено(おしまい、だよ)…」
川端純、勝利が不可能になったことを悟り戦意喪失。
51
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/11(金) 18:17:54 ID:oTuckOaw0
「あー、負けちゃった!それにしても驚いたわ、イーリアスちゃんの頭、どうなってるのやら」
「いや、純ちゃんが単純なだけでしょ?…と、そうだ。純ちゃんがスタンド使いなら、紹介してあげないとね」
「紹介って…誰を?」
「今あたしの後ろに居るスタンド…ヴァルキュリアのことをさっきあたしは相棒って言ったでしょ?それはそのままの意味なんだよ。もっと言えば、親友かな」
「スタンドと…親友?」
純にはよく分かっていない。純にとってスタンドとは「像を持った超能力」である。そう解釈するのが楽なのだ。
「こんにちは…で良いのかしら?『プリザーブド・ヴァルキュリア』、イーリアスに紹介された通りの存在です。まあ、こうして喋ればどういうことか、分かるでしょう?」
ヴァルキュリアの喋りはイーリアスほど流暢ではないようだった。
純は喋るスタンドなら見たことがある。康一の「エコーズACT3」だ。だが、それと比べればなんとも人間臭い喋り方をヴァルキュリアはしている。温かみまで感じられる。純にはそれがなんとも不思議だった。
「これからは、『3人』で。よろしくね」
イーリアスは、どことなく楽しそうな表情をしていた。
イーリアスの右腕と純の背中が、また痛みだした。
52
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/11(金) 18:37:02 ID:oTuckOaw0
翌朝、モニタールーム。
「奴はどうやら昨夜、戦ったようだな…ボヨヨン岬、か」
あまり明かりが無い場所に夜間用のカメラを設置しているらしく、イーリアスと純らしい二人が岬で交戦している映像が白黒で映されている。
ここまで徹底して監視カメラを町の人々にも気付かれないように設置していることからして、もはや監視が趣味というレベルである。何を監視するためでもない…今はイーリアスを視ているが。
「相手は確か…『マーブル・コーヒー』。まあこいつくらい突破してくれないと困るな。私の敵がそんなでは困る」
彼はこのように軽視しているが、それは使い手に弱点が多いことを知っているからだ。そうでなければこのような単純にインパクトも威力も大きい能力は軽視できない。
「まあ、もう少し視てやるとするかな…そのうちどうせ殺しに行くのだ」
彼の顔には残酷な笑みが浮かんだ。
53
:
第3話
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/15(火) 17:11:19 ID:pgVYE3O.0
オリジナルスタンド図鑑No.8582
【スタンド名】
マーブル・コーヒー
【能力】
スタンドが与えた破壊エネルギーをインクのような黒い液体(以下、インク)に変化させる。
インクはスタンドが殴ったりした場所から噴き出るように出現する。その際スタンドの攻撃による損傷は発生しない。
インクは射程距離内であれば自由に操作できるが、時間経過に応じてインクは蒸発し減少していく。
任意のタイミングで、インクを破壊エネルギーに戻せる。その際破壊エネルギーはインクが接触している物体に向かって放出される。
インクと物体の接触面積が大きい程発生する破壊の規模は小さくなり、狭いと大きくなる。また、物体に染み込ませれば内部から破裂させるかのように破壊できる。
破壊力-A スピード-C 射程距離-D
持続力-C 精密動作性-D 成長性-C
【本体名】川端 純
54
:
第3話ADD
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/15(火) 17:40:03 ID:pgVYE3O.0
第3話ADD[p]
「ねえ、ここってどこなのかな?」
「ネガティブが過ぎておかしくなったの?」
「まさか。いや、おかしくなったのかもね…ここが自分の部屋かどうかも分からなくなるなんて」
「ここには…本来、あなたは居るべきではないからかもしれない」
「なら、どこに居ればいいの?」
「探すの。あなたに勇気があれば、それができるはず。あなたが欲しがってるものがあれば」
「自分で探せる所に…本当にあるのかな」
「誰かがあなたを肯定してくれる限り、世界は『居てはいけない』に埋め尽くされないの。そして、私はあなたの強い味方になってあげる」
「もしそうなら、本当に頼もしい限りってものだね」
そして、あたしは今居場所を探している。
仮の居場所は完全に失ってしまったから。
故郷に留まれなくなったから。
執念と共に、勇気が湧いたから。
55
:
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/24(木) 17:19:20 ID:KAsqT4NE0
生存報告を兼ねたキャラクター紹介 その2
渡良瀬 祐一
【出身地】群馬県
【身長と体重】160cm、50kg
高校3年生。理屈っぽさのあるやや面倒臭い人物だが、友達はそれなりに居る。後輩にもよく名前を知られている。出会った人物の情報がよく覚えられるタイプなのもあってか、町の人々は「信頼できる少年だ」と評価することが多い。
スタンドは体に触れた水をほぼ自動的に吸い上げて操る「スプレッド・ユア・ウイング」。超高圧水鉄砲のような使い方をメインとする。自動的なのでプールや風呂で苦労する。
母子家庭の一人っ子。母親が教師で、転勤が多い。県を跨いで転勤することもあったが、M県に来てからはずっと杜王町に住んでいる。第二の故郷と言ってもいい。
56
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2019/10/28(月) 17:37:50 ID:VgtYRmrs0
第4話「タブー&ペナルティ」
「凄い。本当に一瞬で終わるんですね」
こう落ち着いた口調で言いつつ全く落ち着かない調子で腕をグワングワンと回すイーリアスの前には、かつてこの町を救った英雄、東方仗助が居た。治すことに関しては彼の右に出る者は居ないだろう。だから康一が話をつけていた。
「クレイジー・ダイヤモンド」。損傷を治す、または直すスタンド。エントロピーの法則を逆行するこのスタンドは、この世のどんなことよりも優しい。
「お前なぁ…さっきまであんだけ嫌がっといて、態度急に変えすぎなんじゃあねーか?」
そう、イーリアスは実は涙目になるくらい仗助を怖がっていた。幼児が知らないおじさんに話し掛けられたような調子で。
一応断っておくと、イーリアスはもう17歳。決して幼児などではない。
「いやぁ、だってリーゼントのおじさんって怖いでしょう?あ、別にリーゼントが嫌いなわけではないです。アナタにはとても似合ってるし。でもちょっと…ごめんなさい。あたし、そういうの弱くって」
全くイーリアスは意識していなかったが、仗助の逆鱗をスレスレで彼女は回避している。
いや、怒りのサインのようなものが見えたのかもしれない。それはいくら所謂「神の視点」を使おうと分からないこと。
「うーん、分からん…そんなに俺ってイカツいかなァ〜?」
「体が大きいってのもあるんでしょうね…というか髪型はあんまり関係無いかも。前に日本に来たときもそうだったんですけど、日本人は基本小柄でしょう?あたしくらいでも結構ビックリされるんです」
しかし、身長が割と高めなイーリアスは小心者であった。それは仗助にビビっていたことから明らか。そこはあえて言わないだけの分別が仗助にはある。
57
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2019/11/01(金) 18:18:33 ID:bqC0ZW4.0
「体格か…」
大きいものとは一般に威圧感を生むもの。190cmを超えてしまえばもう相当なものだ。しかも筋肉質。リーゼントとはあまりに関係無いが、イーリアスのビビりの理由は説明できる。
複合要因だとすればもうそれでいいと思われるし、気にする必要は本来無い。
「ところで、仗助さんって康一さんの友人なんですよね?康一さんって昔どんなだったんですかね?」
イーリアスは別に康一のことが気になる訳ではない。ただ治してもらうだけでは申し訳ないという感情があるだけだ。
「康一なぁ…アイツは確かに昔から無茶する奴ではあったんだよなァ〜…でも突然無茶なことする奴じゃあないはずなんだ、本来は!オメーに戦闘経験を無理にでも積ませる…要はそういうことを康一はやろうとしてんだろ?負傷者の治療頼まれてなんか人が変わっちまったなって実感したよ」
「確かにこの人ちょっとアブナイなって感じはしましたけど…昔からちょっとは片鱗くらいはあったんですね」
「確かに今思えば片鱗かもな。でもちっこいことと、細いことと、それでありながら結構強いってことだけはずっと変わんねーのさ」
ここで言う強いとは、精神の強さである。康一は昔よりビビらなくなったし、スタンドは強くなった。スタンドの進化の大きさからそれは一目瞭然だ。
「それじゃ、お暇しますね。多分またお世話になると思いますんで、それじゃ!」
「おう、本当はお世話にならないくらい余裕ぶっこけるのが一番いいってのも忘れんなよ!」
イーリアスが出ていった後、仗助は一言呟いた。
「マジで笑わねーんだな…」
58
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2019/11/11(月) 18:57:56 ID:PZzbjllA0
「恥ずかしいって気持ちは無いの?」
ヴァルキュリアはこれを言うためにわざわざ自分から出てきた。
ヴァルキュリアはスタンドとしてあまりに自我が独立しすぎている。そのため、このように勝手に出てきてイーリアスに話しかけることがある。暴走というわけではないらしく、実際コントロールしようとすれば可能だし、本人(人ではないかもしれないが)はタイミングを見計らっている。
この現象をコントロールしないのはイーリアスがヴァルキュリアを「親友」として尊重しているからだ。親友の意思は尊重しなければならない。
「逆に、だよ。あんな状況で恥ずかしいなんて感情がブレーキになると思う?キミはあたしの目線とかそういう間に入るものを通して他人事として見てるからいいんだろうけどさ、当事者となったら…」
「あら?あんなの恐れるほどのものでもないんじゃあないの?私が人の体を持てば多分死なずに耐え続けるくらいはできるけど」
どんな自信だよ。イーリアスはそう思うと同時にどんな肉体を前提としてるんだろうと思った。
仗助と真っ向勝負することを前提として、死なずに耐えるというのは実際にぶつかり合っていないイーリアスでもどれほどの肉体が必要かは予想できる。精神では足りない。精神だけで人間は生きられない。本体の肉体が死亡すればスタンドが強制的に消滅するのがその証拠。
「とにかく、あたしは根本的な部分で危機感を覚えたってわけ。ほんとにあたしと繋がってるキミに影響が及んでないのが信じられないよ。自我がはっきり分かれてるとはいえ…あの人、味方側で本当に良かった」
「だからそんなに怖がることでもなかったんだってば。魂まで染み渡る恐怖体験してないの。結構軽いってことね。いつも通り、感情が不安定なだけ」
はぁ、とイーリアスはため息をつくのみであった。
59
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2019/11/29(金) 16:32:21 ID:oA0Dp2nk0
翌朝。
イーリアスは開店準備というものをやっていた。これは別に任された仕事というわけではなく、自主的にやっていること。職務超過のようにも思われるかもしれないが、別に許されないことではない。
「わわっ!」
イーリアスがこんな声を上げたのは、積み上げて運んでいた皿を落としたからだ。面倒がって一気に運んで一気に整頓しようとするからこうなる。
幸いにも、イーリアスが落としたものはたいてい勝手にキャッチしてもらえる。
「私が居なかったら、ここで働き続けられたかも怪しいわ…」
「毎度ヴァルキュリアは言い方キツいよ…ん?なにこれ?」
イーリアスの目線の先には、明らかにさっきまで無かったものが。書き置きのようなもの。明らかにさっきまで無かった。イーリアスお気に入りの黒猫の置物の下には、紙が入るスペースなど無いはずだった。
「気を付けて、イーリアス。確実に『居る』」
「だね…そしてどうやらこれを読まなくちゃあ何も始まらないってわけだね」
イーリアスは書き置きを手に取って読んでみた。かなり上手な手書きで、日本語ネイティブでないイーリアスにも読みやすい。
『これを読んでいるということは、既に始まっているということだ
私を探し出すか、お前が音を上げるか、どちらが先か
答えは「禁忌」の中
失敗は許されない』
60
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2019/12/06(金) 18:11:01 ID:mfXbvXnk0
「…なにこれ」
読めても理解は不能だったようだ。
こんな格好つけた文章、日本人でも普通に読んでいて苦しくなるので当然ではある。
「誰に聞いてるの?私?」
「なわけ。強いて言うなら自分自身にかな…まあ内容からして人を探してこいって感じだよね。かくれんぼかな?誰が隠れてるのかは分からないけど…しかも失敗は許されないって。困ったもんだね」
「禁忌…ねえ」
二人してポカンとするばかりだった。何となく内容は分かっても意味不明。
「ともかく、スタンド使いからの挑戦状と見ても良さそうだよね。突然現れたことからしてスタンドが関わらないはずがない。自動操縦型辺りと見える…とんでもない町だなあ」
自動操縦型スタンドは何だかんだ言って希少だ。イーリアスもまともに対峙したことはほとんどない。ましてこんな目立つベッドタウンで。
「なあ…どうしたんだイーリアスちゃん」
店長が本気で心配していた。思いっきり聞かれている。もちろん、ヴァルキュリアの言葉は聞こえていないし、そもそも言葉が通じていない。
「あっ!いえ、ちょっと『これから』のことを考えてまして…」
なんとか誤魔化そうとした。嘘ではないので、逆にバレづらい。こんなにあからさまでも。
「これから、ね…君みたいな境遇でも考えるのか」
「それが年頃ってものですよ。それにあたしみたいに故郷を捨ててさ迷う人間は余計に気になっちゃうんです。帰るのも嫌だし」
帰る場所が無いのもそうだが、ロシアの国柄がイーリアスには合わないというのもある。古くから続いていた帝政の名残があるロシアは純ロシア人でないイーリアスには馴染まない。
61
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2019/12/18(水) 17:56:45 ID:zzZkSkMc0
「帰りたくない、という感覚を僕らは知らないからね…苦労してるなとは思うけど、理解できる気持ちではないよね」
身長に言葉を選ぶように店長はできるだけそのままに感じたことを表現した。
その配慮もイーリアスには通じていた。その一方で、イーリアスはもう少し近い「これから」を考えていた。
「そうだ。ちょっと出掛けてきますね。いつ帰れるかは分からないのでシフトの時間に来なかったら休みってことで」
「また唐突な…まあ、給料減るだけだしいいよ。用事があるなら止めない」
サラッと「給料減る」などという言葉を発しているが、時給制で働いている以上当然なので別にイーリアスは不満ではない。正当だ。
「分かってますよー。じゃあ、今から行ってきますね」
イーリアスは外に出てみてまず考えた。
(探すべき人物は…果たして自ずと近付いてくるか、それとも遠ざかるか、はたまたこちらの場所が分からないのか…)
これが全く分からない。普通なら木を探すなら森の中、手掛かりを探しつつ人の多い通りにでも出て行動をすべきなのだろうが、もしあちらから接近してくるのなら人が少ない場所の方がいい。
「いずれにしても、ひとまずは人が多い場所へ…と」
このような判断になったのは、とりあえず相手に確認されることで誘い込めるとイーリアスが考えたからである。待っていても仕方ないところはある。
62
:
おしらせ
◆m6.RAaHJe6
:2020/03/08(日) 21:16:51 ID:QAaan0fY0
やあ。
凄く久しぶりだね?何しろこのスレに書き込みをするのは今年では初だってわけだし。
報告をさせてもらうと、この春から旧帝大に通えることが決定したわけだから、このSSを久しぶりに安心して更新できるようになったってことだ。
だが!端末変えて色々アプリを再インストールしてたら設定メモ用アプリの再インストールができなくなってるのはどういうことだァーッ!?納得いかねーぜッ!まだ出してないキャラの設定が消滅したじゃあねーか!しっかり覚えてるのラスボスくらいだぞ!
と、グダグダは相変わらずだけど更新再開しますんでよろすうに…
63
:
第4話
◆m6.RAaHJe6
:2020/03/17(火) 21:26:19 ID:KC9YOFp20
「あの、イーリアス?」
駅前にやって来たイーリアスに、ヴァルキュリアは困惑した様子である。
「どうしたの?あたし、もしかして何かした?」
「いや…流石に人探しでこれは無茶じゃあ…ないかなって…」
イーリアスとヴァルキュリアの想像以上に、駅前は混んでいた。観光地であると同時にベッドタウンということなのか、観光客らしい人もそうでない人も多い。
「うん、それは思ったよ。無茶だよねー。でも自動操縦型相手だって仮定があるんだからさ、揃いそうな条件が多い環境の方がいいでしょ?」
「全く、私からしたら行き当たりばったり的にも見えるところだけど。じゃあ仮に自動操縦型スタンドが作動条件を満たして、私達に攻撃を仕掛けたとしましょう。さて…条件、やられるだけで特定できる?」
「ボコボコにされるの覚悟で実験すればいける、けど…うん、分かったよ。流石にここじゃあ無理だった」
イーリアスは理解力がないわけではない。馬鹿というわけでも本当はない。ただちょっとばかり、主に発想の面で…的外れなのであった。
イーリアスは立ち上がって、呆れるヴァルキュリアを出したままにして移動しようとした。その瞬間。
「『禁止事項』ヲ…」
「何ッ!?」
声が聞こえたのはイーリアスの背後…ヴァルキュリアとイーリアスにちょうど挟まるような位置、すぐ近くだった。
64
:
名無しのスタンド使い
:2020/07/08(水) 16:34:46 ID:3P2FtzTQ0
あぁ…多分このスタンド自分が考えたスタンドだ…
久しぶりにSS板来て良かった…
続き待ってます!
65
:
◆m6.RAaHJe6
:2021/05/10(月) 11:47:33 ID:mtw.TCS60
作者からのお知らせ
めちゃくちゃお久しぶりです。最近書き込みをしたらばになぜかブロックされておりました。
ブラウザを変えてみました。これで書き込みできてるならお知らせします。
作者は現在、他サイトで書いてる作品もある関係でかなりいっぱいいっぱいです。書き込みできていても、おそらくは亀どころでない激遅更新になります。
これからの展開の案も、消失してますからまた考える必要があるし。
ようやくここまでになって物書きの大変さを思い知った作者ですが、気長に待ってくださいね。
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