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【オリスタ】メゾン・ド・スタンドは埋まらない【SS】

121『黒く悪しき女王』と『多芸者』 ◆PprwU3zDn2:2017/04/16(日) 00:26:49 ID:vnENCcXc0
『スタンドの名前はまだ決めていなかったはずなのに、いつの間にか名前が決まってた』

今起こった事をありのまま話すとこんな感じなのだろう。
誰がこんな名前を付けたのだろうか。それもノープランという「無計画」を意味するネガティブな
ネーミングに天は正直あまり良い気分にはなれなかった。


「……『こんな名前を付けたのは誰だ!?』と言いたそうな顔をしてますね。
ここに来た時に子猫ちゃんから聞いたんですよ、藤鳥さんのスタンドはノープランって名前だと
『藤鳥さんが自分で言ってた』って」

「そうか、その藤鳥って奴がそんな名前を……って俺じゃあないスか!!」


天は命名した犯人が自分だと知ると過去の出来事を必死に思い出していた。
恐らく先週の日曜、屋上での一件の時に喋った『何か』を子猫はスタンドの名前だと
勘違いしたのだろう。ではその『何か』とは?

屋上での出来事を最初から思い出す。面接が終わる直前に子猫が入ってきて、
直後にコウとかいう男が屋上で暴れて、管理人を庇って大怪我を負って、
色々あってスタンドを全部体から出せるようになって……そして……



『俺が考えるより先にまた攻撃したな…初めまして、俺と同じ無計画(ノープラン)くん』



「……あの時か!」

天はハッキリと思い出した。大怪我の激痛の影響か、妙に恥ずかしい台詞を言ったことは
何となく覚えていたが、詳細な台詞は忘れていた。だが思い出した今なら分かる。
子猫はしっかりと聞いていたのだ。自分がスタンドのことを『ノープランくん』と
呼んでいた事を。あの一連の格好付けた台詞の数々を子猫は聞き逃していなかったのだ。

「……いやいや違うから!あれはスタンドが俺の思考より先に行動したからそう呼んだだけで
正式な名前がノープランって訳じゃあないから!」

天は顔を真っ赤に染めて子猫に抗議する。子猫は「え!?違うの!?」と驚いたが
「でも名前決めて無かったんでしょ?いいじゃんノープランで!愛嬌あって可愛いよそれ!」
と笑顔で言われてしまった。その後国綱が「え、先週何かあったんスか?聞かせて聞かせて!一字一句漏らさずに!」
なんて話題に食い付いてきたので天は大慌てでこの話を終わらせた。
……何で二十歳を越えてから新たに黒い歴史を紡がなにゃならんのか。

とりあえずノープランの名は仮称にしてもらい、正式名は後日考えることにした。
薫はというと、いい機会だからと作りかけだったノープラン(仮)のデータを
完成させるため、ノートパソコンに情報を入力していた。

「先週起きたことは子猫ちゃんから聞きました。そこで藤鳥くんは男を弱体化させたり
バスを遅くしたそうですね。故に『触れたモノのポンコツ化』と……
もう少し具体的な情報が欲しい所ですね」

薫は「まあ其処はゆっくりと調べる事にしましょう」と言うと、今度は
別の項目を入力し始めた。キーボードを叩く指を一旦止めると
天の顔に向かって掌を突き出してきた。

「次は本体に関するデータ……藤鳥くん自身の身体能力の情報を入力します。
という訳で藤鳥くん、僕の掌に思いっきりパンチをしてくれますか?」

「いいッスけど、本気のパンチだと痛くないですか?」と天は答えた。
心配は無用です、思いっきりお願いしますと薫に言われると天は突き出された掌目掛けて
お言葉に甘えて思いっきり拳を叩きこんだ。……本人は叩きこんだつもりである。


「ポスッ」という空気の入ったゴム風船をぶつけた様な情けない音と軽い衝撃が
薫の掌に伝わる。一瞬軽い冗談なのだろうと微笑もうとした薫だったが、天の表情から
「これが俺の全身全霊の一撃だ!」と言わんばかりの達成感に満ちた表情を読み取ると
どういう表情をすればいいのか分からなってしまったので、とりあえず顔を横に向けて
頭を掻いて誤魔化すことにした。


……薫の頭の中に、ノープランの能力についての一つの仮説が浮かび上がっていた。


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