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【オリスタ】 夜ノ杜 【SS】

114 ◆LglPwiPLEw:2022/05/15(日) 23:58:11 ID:i7CcI5ik0
「・・・・・・」

光はじっと康美を眺めた。

改めて、凄い女子だと思った。
男も女も虜にしそうなルックスとスタイル、歩き方もまるでキャットウォークを歩くモデルのようだ。
見た目だけで“凄み”が伝わってくる人。

それに加え、成績も超優秀で、杜王町の裏を取り仕切る女王でもあるのだから敬服するしかない。
同じ歳でありながら、ヒバリが尊敬している人物というのも頷ける。

「2人とも、こんばんは」

「・・・うおッ!?」

急に康美に挨拶され、光は妙な声を出してしまった。


「?」

「あ・・・ゴメン! こんばんは康美ちゃん!」

恥ずかしい感情を隅に追いやって、光は取り柄の笑顔で立て直した。

「こ、こんばんは・・・」

三秒ほど遅れて、居香が康美に挨拶を返した。

光はヒバリたちの方を指さした。

「ねえねえ康美ちゃん、アレ見てよ! なんかえらく物騒なコトになってるんだけど!」


そこでは、不良少女の集団の中で男が一人ふん縛られているという、光の言う通り物騒な光景があった。

「それなら分かってるわ・・・私が話をつけなきゃね」

康美は切れ長の目を伏せながら言った。

「えっ・・・康美ちゃん、あの人知ってるの?」

光は康美の言葉にびっくりして尋ねた。

「 私は知らないけど・・・でもたぶん、彼の『上司』のことは知ってるわ。嫌というほどね・・・」

「・・・」

ヒバリ達のもとへさっさと歩いて行く康美を、光は呼び止めることはできなかった。
上司・・・例の少女のことなのだろう。



「アネキ!お疲れ様っす!」

ヒバリが康美に挨拶すると、他のメンバーも一斉に挨拶をした。
まるでOBがやってきた野球部のようなノリだ。

「コイツが・・・千広を襲撃したっていうヤツなのね」

仁王立ちした状態で、康美は秀徳を見下ろした。

長町秀徳は縛られたまま、怯えた表情で康美を見上げた。

彼からしたら、康美から感じるプレッシャーがどれだけ巨大だったことだろう。
獰猛な野獣から逃げ場をなくした、ひ弱な小動物のように震え上がっていた。


「いい? アンタに聞きたい事は1つ・・・」

康美はあくまでもサラっとした喋り方で秀徳に尋ねる。
秀徳はゴクリと唾を飲んだ。

「『美由稀』がどこに、どうやって隠れているかについて・・・記憶してる限りでいいから教えてもらえる?」


「・・・・・・!」

秀徳は絶望に顔を歪めた。

死刑宣告を下された罪人のような表情だった。
康美の質問は、彼にとってはえげつないほどに直球な、無常なひとことだった。

彼の上司―――美由稀の情報を話すということは、自分にとっての死を意味することなのかもしれない。


康美は彼の心裡を見透かすように言った。

「怖いんでしょう? もし『アイツ』の秘密を喋ったら、まるでギャングの裏切り者みたいに消されちゃうんじゃあないかって。
 ・・・大丈夫、安心して。私たちはアンタを奴から守る。私達に協力してもらったからには、アンタを仲間の一員として精一杯庇護してやるつもりよ。だから安心して話して」


「・・・・・・」


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