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【ジョン】オリジナルスタンドSSスレ【万】
338
:
◆R0wKkjl1to
:2011/05/15(日) 18:43:00 ID:hk8OT0nsO
中島「そいつは・・・どうかな?
女「・・・・なに?
―ブシャアァアッ!!
女「これは・・・!切られていたッ!?
いつの間に・・・?
女の両腕には鋭い切り傷が無数に付けられていた。
傷は深くないが、気づかぬ間につけられたという事が女の頭に血を昇らせた。
中島「俺がその気なら、今のでお前の両腕はミンチになってたぜ?
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「ふん、こんな傷・・・ッ!
セクシャル・バイオレット!!
―ズギュウゥンッ!!
中島「・・・!?
女のスタンドが女自身の腕を掴むッ!
すると変化はすぐに現れた・・・
―モココッ・・・モリモリモリ・・・
―ブチブチ・・ッ
中島「うへぇ〜・・・これはこれは・・・
―ビッチイィイ・・・ッ!
筋肉の隆起により、両腕と足の傷がすっかり塞がり
か細い乙女だった女の体格は、中島より頭一つ高い筋骨隆々の男のものへと変貌していた・・・!
―ッバアアァアアァーンッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
男「この姿は可愛くないから好きじゃあないんだけど・・・
ま、あんたの記憶がぶっ飛ぶ位ボコボコにするから問題ないか。
―・・・ピッ
そう言って何かを指先で弾く男。
―ボゴオォオッ!!
中島「うおッ!・・・痛うぅ〜ッ!?
な、何だッ!?
それと同時に中島の肩に何かがめり込むッ!!
男「今のは小石を指先で弾いただけ・・・そうね、大体40%ってとこかしら。
中島「・・・なん・・だと?
男「力の差が理解出来た所で、70%いってみましょうか?
―ブンブンブン・・・ッ
そう言って、丸太より一回りは太い腕を男は回し始める・・・!
339
:
◆R0wKkjl1to
:2011/05/15(日) 18:44:05 ID:hk8OT0nsO
男「おぉおおおッ!
っらあぁあああ〜ッ!!
―グオオォッ!!
中島「ちッ・・リアル・ナイト!ガードしろッ!!
―ドゴオォオオオッ!!
中島「うおぉお〜ッ!?
男のパンチを両腕でガードした中島だが、その体は宙を舞っていた。
中島「(車にひかれたみてぇなパワーじゃねえか・・!
だが・・俺の能力を使って、こいつはバラバラの惨殺死体にするのに問題はねぇぜッ!)
―ズザザザザサッ!
地面にぶつかる寸前、体勢を整え靴底をすり減らしながら着地する中島・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
ゴムの溶けた臭いが立ちこめる中、中島はゆっくりと立ち上がる・・・
男「パワーは・・それなりにあるみたいね。
だけど、次はそうはいかないわ・・・!
中島「ふん・・・!
てめえが男になろうが、ぶっ殺すのに何の問題もねえぜ?
―ガッ!
中島「うおッ!?
―ドシャアァッ
飛びかかろうとして、ズボンの裾を踏んで転倒する中島!
中島「・・・・!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・!
足下を見ると、ズボンがダボついており・・・靴もガバガバの状態である。
中島「・・縮んだ?
・・・・ハッ!?
そして、自分の呟きを聞いて気が付いた・・・
中島「俺が・・・女になって縮んだのか?
340
:
◆R0wKkjl1to
:2011/05/15(日) 18:45:00 ID:hk8OT0nsO
中島「ッ!!
―バッ!!
中島「胸が・・あるッ!!
―バッ!!
中島「息子が、な・・・無いッ!!
ドドドドドドド・・・・!
男「次は・・・耐えられるのかしら?
噴ッ!!
―メキメキメキメキ・・・ッ!
男が力むと、大きな体が更にもう一回り大きくなる・・・!
中島「・・・・ッ!!
男「ふぅ〜・・・・これが100%。
ちなみに、この姿を見て無事な奴は1人もいないわ。
中島「超人ハルクも真っ青だな、こりゃあ・・・
男「次の攻撃を受けてもその減らず口が叩けるかしらね?
じゃ、行くわよ。一発で死ぬとかシラケるからやめてよね?
―ドンッ!!
男が地面を強く蹴ると、コンクリが砕け、舞う。
中島「んなッ!速・・・
―ドガッシィイイッ!!!
意識的ではなく、ほぼ防衛本能で防御の姿勢をとった中島だが、男の強烈なフックは
防御をした腕の骨とあばらをへし折って中島の体を壁に叩きつけた!
―ビシビシッ・・!
老朽化したとはいえ、コンクリの壁に無数の【ヒビ】が発生する・・・!
中島「ぐ・・・はッ!
―ガシッ
男「お〜っと・・・まだくたばるには早いわよ?
そう言って、男は中島の首を持ち壁に押しつける。
―グググ・・・ッ!
男「このまま首をへし折って欲しい?
それとも頭を引き抜いてあげようかしら?
中島「ぐあ・・・ぁッ!
(だが、くたばるのはてめぇだ・・・!俺のすぐ後ろの無数のひび割れ・・・串刺しにしてやるよッ!!)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
341
:
◆R0wKkjl1to
:2011/05/15(日) 18:46:08 ID:hk8OT0nsO
―パン!パンッ!
爆竹の様な乾いた音が二発響く。
男「・・・・?
中島「・・・?
―・・・フッ
腕から力が抜けたかと思うと、男はそのままゆっくりと横に倒れていく・・・・
―ドサッ・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島「な・・・何だ?何が起こった?
首を押さえながら男を見ると、こめかみの辺りに小さな穴が二つ・・・
頭からは綺麗な赤色の血が流れていた。
中島「拳・・・銃だと?
一体誰が・・・・
気が付けば、中島の体は既に男へと戻っていた。
?「無様ね?新人さん・・・
どこからか女の声が聞こえてくる。
辺りを見回すがその姿を確認する事は出来ない。
中島「・・・誰だ?
?「私は味方よ・・・ちょっと心配だから尾けてみただけ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島「心配だと・・?
?「えぇ、そうよ。
実力も伴わないのに単独行動する新人の子守って訳。
中島「てめ・・・
?「まぁ良いわ、今回は特別に手伝ってあげただけ。
私は死体を処理するから、とっとと帰りなさい。
――スゥウウウ・・・・!
中島「ッ!!
足下に転がっていた男の死体が、ゆっくりと消えていく・・・!
?「じゃ、またね。
―グジャアァアァッ!!
何かを叩き潰すような音が聞こえ、中島の足に何か固い欠片のようなものが当たる。
中島は何かと思い、それを拾い上げる。
中島「・・・これって、【歯】だよな。
?「潰さなきゃゴミ袋に入らないでしょ?
中島「・・・・!
?「フフ・・・
気が付けば気配はすっかり消え、中島は1人路地に立っていた。
中島「あんなのが味方だと?
かなりイカレてやがるぜ・・・
だが、面白いじゃねえかッ!ふはははははッ!!
ドドドドドドドドド・・・・・!
謎の男(女)
【スタンド】セクシャル・バイオレット
頭を打ち抜かれ死亡。その後死体が見つかる事は無かった―――再起不能(リタイア)
342
:
◆R0wKkjl1to
:2011/05/15(日) 18:47:04 ID:hk8OT0nsO
投下完了です(^O^)
今回新しく使用させていただいたスタンド
No.483
【スタンド名】セクシャル・バイオレット
考案者:ID:U1szzQkG0様
絵:ID:5EcZY7SN0様
ありがとうございましたm(_ _)m
いつか出そう出そうと思っていましたが、敵さんのかませとなってしまいました・・・orz
超筋肉とか変な設定にしてごめんなさい(>_<)
次は誰が犠牲になるのか・・・なんて言ってみたりww
343
:
名無しのスタンド使い
:2011/05/16(月) 15:35:27 ID:3wVTHW92O
やっぱジョン万は面白いな〜!
今また1話から読んでる途中です
早く全部読みたいです♪
344
:
名無しのスタンド使い
:2011/05/18(水) 05:59:14 ID:9rHG.YvcO
おつ!
さすがの不意打ち性能だなww
345
:
◆R0wKkjl1to
:2011/05/18(水) 08:54:11 ID:zJjkknq.O
お米ありがとうございます(^O^)
>>343
ありがとうございます。 話は内容がないようなものなので、あっさり読めちゃうと思いますwww
いきあたりばったり故の矛盾やキャラ(原案)崩壊はご容赦ください(>_<)
>>344
ホント、さすがの不意打ちですねwww
今回の戦い方で味方全滅させられるという・・・どうやって倒すか考えてないので実際困っていますwwww
ですが、そこはご都合主義と言うことで、水晶さんはわざわざ姿を現して戦うんでしょう
346
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:03:02 ID:lBWPwLokO
投下しますwww
347
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:03:39 ID:lBWPwLokO
――翌日。
窓から差す朝の日差しがベッドを照らしている・・・
大和久「・・・・・
心地よい日射しを浴びているが、病院のベッドの上で大和久は憮然とした表情を見せていた。
風呂戸「よぉ、どうしたんだよ?そんな暗い顔して・・・
もしかして、昨日負けた事気にしてんのか?
隣のベッドから大和久と同じく傷だらけの風呂戸が話しかけてくる。
大和久「違ぇよ・・・
風呂戸「ふ〜ん・・・・ま、良いんだけどよ。
お前も検査、異常なかったんだろ?さっさと退院の支度しねぇと学校遅刻するぜ?
着替えを済ませた風呂戸は荷物をまとめ「じゃ、学校でな」と言って部屋から出て行った。
大和久「・・・・(あいつの親父、誰かに似てると思ったんだが・・・思い出せねぇ)
―――――――――――
―ウィイイン・・・
病院の自動扉が開くと、そこには中条、風呂戸、川上、管尾・・・そして、いづみの姿があった。
大和久「・・よぉ。どうしたんだよ?さっさと行かねえと遅刻するぜ?
管尾「あ、大和久くん。おはよう。 危ないから一さんちの車が迎えに来てくれるんだって。
川上「礼司おはよう!
中条「おら、着替えないんだろ?取ってきてやったぞ。
そう言って鞄を大和久へ投げる中条。
―ボス・・ッ
大和久「あ・・あぁ、サンキュー・・・って!
てめぇ家に入ったのかッ!?
ドドドドドドド・・・・!
中条「入ったけど?
何を気にしてるのかなァ〜?
(ニヤニヤ)
大和久「てめえ!見やがったなぁ〜ッ!?ぶっ殺すッ!!
―ガシィッ!
中条「上等だゴルァ!!
―ガシィッ!
風呂戸「まぁまぁ、喧嘩すんなよ。
また怪我が増えるだろうが・・・
川上「(見られたくないものって何かしら・・・)
348
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:04:40 ID:lBWPwLokO
そうこうしているうちに、とてつもなく長い車・・・いわゆるリムジンというやつが病院の敷地内へとやって来る。
―ブロロロ・・・キッ
比留間「お嬢様、お待たせ致しました。
いづみ「ご苦労。
そう言って、いづみは車に乗り込み、中条達もそれぞれが感謝を述べながらそれに続く。
―ブロロロロ・・・・
中条は昨日出会った渡部という男との約束で、生徒指導の上城の娘に伝言をどう伝えたものかと思慮に耽っていた。
ただ伝えるだけなら訳ないが、果たして意味が通じるのかまず怪しいし
「おたくの娘さんが危ないことに首突っ込んでますよ」と言われて
「把握。任せるでござる」
などと、あの先生が言う筈もない。逆に問いつめられてしどろもどろになってしまうだろう。
だからと言って、直接会わせてもらうのも何だかおかしな話だ。
上手いことやんわりと、それとなく伝えなければ・・・
管尾「中条くん?
中条「あぁ、悪い。考え事してたわ。
管尾「昨日私さ・・・
一瞬だけ男に戻ったんだ。
中条「え?何?
どういう事だよ?治してもらったのか?
管尾「いや、お風呂に入ろうと思ったらさ・・・あの・・・生えてたんだ。
でも、またすぐ無くなって・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中条「???
いづみ「・・・何の話?
川上「何で?仁美ちゃん?何で?
大和久「(仁美・・・?)そういやお前、男だったな。
風呂戸「げッ!マジかよ!?
管尾の発言にそれまで思い思いの話をしていた一同が食いつく。
ドドドドドドドド・・・・
比留間「あー、もし。
それなら多分私が説明出来るかと思いますが・・・
349
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:06:17 ID:lBWPwLokO
運転席からあがる声に一斉に顔を前へ向ける一同。
大和久「・・・何でアンタが分かるんだよ?
比留間「大変失礼かとは思いますが、昨日のうちにあなた方の情報は調べさせていただきました・・・
大和久さん、あなたはこの町に来る前はスタンドは使えなかった。
それがこの町に来て突然使えるようになりお嬢様のスタンドが見えるようになった、と。
ま、それは良いんですが。
管尾 仁義さん・・・今は仁美さんとお呼びした方がよろしいでしょうかね?
あなたを女性にしたスタンド使いは、昨夜死亡したと思われます。
管尾「・・・・え?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
比留間「彼女・・いえ、彼の名前は【皆川 彰生(ミナガワ アキオ)】
この町で、昨夜目撃されたのを最後に姿を消しています。
貴方が一瞬元に戻ったのは能力が解除されたから・・・ しかしあなたは女性である期間が長すぎたようです。
魂まで女性となってしまった為、肉体がそれにつられてしまったのでしょう。
風呂戸「ちょっと比留間さん。さっきから話がよく分からないんだけどさぁ・・・
比留間「・・・まぁ風呂戸さんには関係ない話なので、分からなくても問題は無いのですが。
とりあえず、追っ手を何とかしてから話しましょうか?
一同「え
―ギャギャギャギャギャ・・・ッ!!
中条らが質問をする間もなく、リムジンが向きを180度変えるッ!
中条「うおぉ〜ッ!?
川上「きゃあッ!!
いづみ「ちょっと!比留間!?
大和久「ッ!!
比留間「当然と言えば当然ですが・・・・待ち伏せされていましたね。
では、このまま逃げますッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
350
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:07:12 ID:lBWPwLokO
?「おいおい〜!
逃げられちまったぜ?
??「まぁ、あからさまに待ち伏せしてたからなぁ〜〜
物陰から揃いの黒いコートを来た男達が姿を現す。
?「・・・ちッ。
だがまぁいいか。あの車の中のほとんどがスタンド使いだってんなら、三人じゃあちょいとキツかったろうしな・・・・
ジワジワと1人ずつ・・・焦る事なくしとめて行けば俺達の目的は果たされる。
??「は?何言ってんだよ、俺たち二人だぜ?
?「え?
あれ?
アイツ・・・来てないのかよ?っとに!しょうがねぇな・・・
??「ま、あと9日もあるんだ。ゆっくり楽しもうぜ。
ドドドドドドド・・・・!
田村「う・・・う〜ん・・・先輩〜・・・
田村は病院近くのベンチで通りすがる人間の好奇の目に晒されながら、うなされていた。
彼の服は汚らしく、まともに帰宅していないのが見てとれる。
何故、帰宅しないのか
それは、彼が慕ってやまない男「江藤 透」がこの病院に入院しているから。
家族でもない者が連日病院内に泊まれる筈もなく、仕方なしに朝一番で付き添いが出来るように病院の近くのベンチで寝泊まりしているのだ。
―ザッ・・・
そして、そんな田村の元に一つの影が忍び寄っていた・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
351
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:08:59 ID:lBWPwLokO
女「あんた…悪銭高校だよね?
田村「んあ?
声を掛けられ田村が目を覚ますと、そこには見たことの無い女が立っていた。
女「私は橘 弥栄。
あんた寝言で江藤先輩って言ってたけど、もしかしてその人ちょっとハゲてる?
その人がどうかしたの?
※【橘 弥栄】初期の頃、大和久の近くにいる川上を呪い殺そうとストーカーしていた所、それを越えたストーカー「江藤」との戦いに破れ、改心した女。
ちなみに足はグンバツにエロイ。
田村「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
橘「・・・?
田村「・・・・
―ズズ・・・
田村の体が不自然に滑る。
もともとベンチに寝そべった体勢であったが、そこから下へ落ちようとしているかのように・・・
橘「ちょ、何?どうしたの?
田村「・・・・
―ズズズ・・・
田村の体がベンチから半分程出た所で橘は気付く。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
橘「(こ・・こいつッ!
寝ぼけたフリをしてスカートの中を覗こうとしてやがるぞッ!)
この・・・ド変態があぁあ〜ッ!!
―ボッ!!
田村の顔面をめがけ、信じられないような速度で蹴りが放たれる!
田村「うわッ!?
―バギャアァアアッ!!
―ヒュンヒュンヒュン・・・
―ガランッ
田村の頭があった場所のベンチの欠片が音を立てて地面に落ちる・・・
田村「あ・・・危ねぇ・・・!(だがしかし、縞パンは確認済みだぁ〜ッ!!)
橘「危ねぇじゃないわよ。
あんた今、パンツ見ようとしてたでしょ?
田村「いや、してない!
・・・つーか、お前江藤先輩を知ってるのかよ?
橘「・・・・やっぱり、あの江藤なのね。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
352
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:09:52 ID:lBWPwLokO
―ウィイイン・・・
橘「そんなに容態が悪いの?
エレベーターの中で、橘が田村に質問を投げかける。
田村「家族以外面会謝絶だとよ・・・
エレベーターの扉が開くと同時に田村がそれに答えた。
―ガコン・・・
江藤「おう田村!
田村「・・・え?
橘「家族以外面会謝絶じゃなかったの?
そこには、車いすに乗りエレベーターに乗り込もうとする江藤。
身体中に包帯を巻き、まるでミイラ男のようであったが
とても昨日まで意識不明だったとは思えない元気さだ。
江藤「ちょうど良かった。
ちょっと金貸してくれ、売店で本を買いてえんだ。
退院したら返すからよ。
田村「せ・・先輩ッ!?
体は大丈夫なんですか?
江藤「おぅ、この通りよ。
最先端の治療ってのはすげえよなぁ。
聞けばお嬢様ってのが手配してくれたらしいじゃねえか・・・
退院したらお礼しなきゃな。
橘「あの・・・
江藤「おぉ!?誰かと思えばストーカーの弥栄ちゃんじゃねえかッ!
最近どうよ?女子力磨いてんのか?
橘「え・・ま、まぁ、ぼちぼち!
そっちこそ元気そうじゃないの。
面会謝絶だって聞いたから・・・そ、その・・・ちょっと心配になってね!
橘の耳がみるみる赤くなっていくのを田村は見逃さなかった。
ドドドドドドド・・・・
田村「(ははぁ〜ん・・・この女・・・・)
353
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:10:56 ID:lBWPwLokO
?「暇だなぁ〜・・・
??「そんな事言ったって、逃げられちったんだから仕方ねぇだろ?
織須田高校の校門近くでウンコ座りをしながらくっちゃべる黒いコートの男達・・・・
?「そういや、この学校にもいるんだろ?
スタンド使い。
??「あぁ〜、いるぜ。
名前は何て言ったか・・・
確か「オチ」とか言う男子だ。
?「おち!じゃあソイツをぶっ殺そうぜッ!!
??「・・・・・
まさかとは思うが・・・・
「おし」と、「おち」を掛けたとかそんなツマラねぇ〜駄洒落を言ったんじゃねえだろうな?
?「ウハハハッ!分かった?
??「分かった?
じゃねえよ、このスカポンが。
見ろ、昨日この学校で馬鹿が暴れたせいでそこかしこに警察が立ってんじゃねえか。
?「・・・非スタンド使いの警察なんて、田んぼに立ってる案山子よりも役に立ちゃあしねえさッ!
え〜と・・・どこに保存してたかな・・・っと。
・・あったあった。
上着からモバイル端末をとり出し、何かを探し出す男・・・
警官「おいッ!そこの2人!怪しい奴ッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
?「・・・・
??「・・・・・
警官「お前らそこで何を・・・・?
あ、あれ?
もしかして、君たち・・・
?「フフフ・・・気付いたようだな。
??「そうッ!俺たちはッ!!
?「新進気鋭のお笑いコンビッ!!
2人「【彼女いない】だッ!!
―バアァアア〜ンッ!!
警官「ぉ・・おおぉ〜!
やっぱりぃ〜!
ねぇアレ見せてよ!
いつもテレビでやってるアレッ!
354
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:11:54 ID:lBWPwLokO
2人「ん〜・・・一回だけだぞ?
警官「マジでッ!やったぜぇ〜い!フヒヒヒ〜ッ!
お〜い!みんな!【彼女いない】の2人がいるぞー!!
警官B「うわ!マジだ!【あ〜んスト様が死んだ】やってくれんの!?
警官C「後でサインください!
―ざわざわ・・・ざわざわざわ・・・
いつの間にか2人の周りには警官の人だかりが出来ている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
??「(随分集まったな・・・半分くらいはいるか?)
?「(ハハッ!好都合だぜ・・・)
じゃあいつものやる前に新ネタいきま〜す!
警官たち「新ネタだってぇ〜〜ッ!?
2人「ショートコント!【中東の傭兵】!
―・・・ズズズ・・・
男の1人がモバイル端末の画面から何かを【引きずり出す】。
警官「て、手品ッ!?
?「まままま、見てて下さいよッと!!
―ズル・・ズルルゥ〜〜ッ!!
画面から飛び出してきたのは、そのままズバリ中東の傭兵であった。
肩には自動小銃を掛けており、おもむろにそれを構える。
警官「外人の芸人さん?
警官「でもどうやって出てきたんだ?すげー!
―パララララ・・・・ッ!
警官たち「ぶっぎゃあぁああああ〜ッ!?
傭兵の銃撃により、間近にいた警官達はあっと言う間に血ダルマとなる・・・!
異変に気付いた他の警官が駆け寄ろうとするが、次に男が取り出した何かを見ると
蜘蛛の子を散らすように逃げ出して行くッ!
男が取り出した何かとは・・・【戦車】である。
?「ブェアハハハハハッ!
撃て撃てぇ〜ッ!!
―バゴオォオオオンッ!!!
その一撃は校門の柵を吹き飛ばし、校舎に巨大な穴を開けるッ!
?「俺は無敵だ・・・・!なぁ吉原ぁ・・!
吉原「【俺たち】・・・だろ?薄野ぉ・・!
ドドドドドドド・・・・!
355
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:13:02 ID:lBWPwLokO
―ズゴゴゴゴ・・・!!
校長「ひぃ〜、な、な、何だって言うんだ・・・!
担任「校門が爆破されたようですッ!
校長「一が転入してきてからこんなんばっかじゃない・・・
もう嫌・・・
担任「修繕費でかなりお金かかりましたからね・・・
校長「いっそ引き渡しちゃう?
担任「いや、流石にそれは・・・これでも教育者ですから。
校長「じゃあどうするのさぁ〜〜ッ!毎日怯えなきゃならないなんて嫌だ嫌だ、嫌だぁああ〜!
担任「はぁ・・・(子供みたいだな)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
H・N「(ヨーヨーヨー!
何カ知ラネエケド、サッサト逃ゲタ方ガ良イゼマスター!
アイツラ、アンタヲ探シテルゥ〜ッ!!)
越智「・・・分かってるさ。
分かってる・・・だけど、僕が逃げたらアイツらはきっと他のみんなに手を出す。
そんな事はさせちゃいけないんだ。
校舎脇の自転車置き場に身を隠しつつ、越智は突然の襲撃者たちを視界に捕らえていた。
H・N「ンナ事言ッタッテ、アンタトオイラジャア、ヤツラニャア勝テネー事位分カルダロッ!!
越智「この学校は、今まで何度となく事件が起きている。
校庭が割れたり、襲撃された時には校舎が溶けたり、竜巻に見舞われたり・・・
だけど、一般生徒や教師に怪我人は全く出ていない。
それにみんな、それを大した問題とせずにすぐに事件を風化させてしまってる。
どうしてかな?
H・N「ドウシテカッテ?
ソリャア、コノ国ノ国民ト同ジデ【安全神話】ッテノヲ信ジテ・・・アッ!
越智「そう、ここの生徒は口に出したりはしないけど、無意識に安全なんだと思ってる・・・
今まで怪我人が出なかったのは只の偶然だったとしても【自分だけは大丈夫】【自分には関係ない】と思うその気持ちが事件を風化させてるんだ・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・
356
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:13:55 ID:lBWPwLokO
越智「だからその気持ちを
少しだけ煽ってあげれば・・・
H・N「コノ学校ハ安全ッテ事カッ!!
越智「そういう事・・・!
とりあえず放送室なら全校生徒にメッセージを伝えられる。
まずはそこに行くッ!
?「で、どうやって放送室とやらに行くつもりだぁ〜?
越智「――ハッ!?
―バギャアァアアッ!!
―ガシャアッ!
打ち据えられ、自転車を巻き込んで倒される越智。
吉原「俺の目を盗んで、目的地にたどり着けるとでも?
薄野「お!見つけたのか〜!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
越智「・・・・!(くッ・・!こんなに早く見つかるなんて・・・一体何故・・・!?)
吉原「どうしてかって顔してるなぁ・・・?
―・・・ピッ
吉原の頬に切れ目が入る。
―グパァ・・・
そしてその切れ目が独りでに開く・・・!
越智「・・・・ッ!
そこには目が付いていた・・
ぎょろぎょろと動く目を見て、それが作り物でない事を越智は悟った。
吉原「ま、こういう事さ・・・
俺は360°全方位を自由に見ることが出来る。
それが俺の【ハンドレット・アイズ】・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
越智「(マズい・・・!非常にマズいぞッ!
何か手を打たなきゃ、殺される!)
357
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:14:54 ID:lBWPwLokO
越智博文はこれと言った特徴のない家庭で育った。
織須田生まれ織須田育ち。
広告代理店で働く父と普通の主婦の母、4つ上の姉と犬のロン。
四人家族とペットが一匹、極端に暗いわけでも底抜けに明るいわけでもなく、幾人かの友人もおり全くもって普通に暮らしてきた。
越智本人も「このまま普通に大学に進み、普通に職を得て、普通の結婚をして普通に死んで行くのだろう」
そんな風に思っていた。
だが、ある日突然現れた男の手により、越智の考える【普通の人生】はすっかり姿を消してしまった。
人気のない道で、首の後ろから何かが越智を貫いた。
頭の奥が痺れるような痛みに耐えながらソレを引き抜くと、
ソレは矢であった事が分かった。
「おめでとう、君は矢に選ばれた。」
いつの間にか自分の側に立っていた男が越智から矢を奪うと続けてこう言った。
「君が得たのは【スタンド】という心の力。
心の奥底に潜む願望を実現させるための力だ。
君が何を望むのか、それを見せてくれないか」と。
何の事やらサッパリ・・・ただただ、自分が首を貫かれて生きている不思議に困惑する越智の首を締め上げ男は更に続ける。
「スタンドを発現させるには、強い心の力が必要だ。
例えば、やってやるぞという覚悟。そして怒り。
危機的状況による恐怖・・・!
ギリギリと首を締める腕を掴んで引き離そうとするが、その腕に触る事は出来ない。
男の両腕はポケットに入れられたまま・・・
なのにその腕は男の背中辺りから生えていたのだ。
越智はそれを見て理解した。
今の状況は、理解できない事だと。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「・・・・カ・・ハッ!
358
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:15:49 ID:lBWPwLokO
次に越智が目を覚ますと男の姿は既になく。
傍らにはバスケットボール程の大きさの肉の塊のようなものが落ちていた。
?「・・・アー・・アーアー・・・
ハローハロー・・・
オイラ、生キテル?
越智「ッ!!??
その肉塊からは手足が生え、沢山の口が表面に現れる・・・
越智「こ・・・これは・・・!?
―――――――
ある日突然得たスタンド能力は噂を実現するという能力。
しかも、半ば制御不能という使えるんだか使えないんだか分からないものであった。
そうして彼はスタンド使いの引力によって、中条達と引かれ合い出会った。
中条らとは、格別親しいわけではない。
ただ一度、共に戦った(と、言っても越智は囮として逃げ回っただけだが)というだけである。
しかし、そのたった一度の共闘は
彼の心に【立ち向かう勇気の種】を蒔いていた。
ドドドドドドドド・・・!
吉原「さて、どうする?
泣いて命乞いでもするか?
薄野「ま、泣こうがわめこうがてめぇが死ぬ事には変わりねぇ。
一の近くにいたのが不運だったな。恨むんなら一を恨みな。
越智「・・・・あんた達、見たことがある。
確かお笑いコンビの・・・
薄野「お?やっぱ俺たちかなり有名だなぁ〜吉原ぁ?
吉原「アホッ!見え見えのご機嫌取りだろ!
・・・まぁ、悪い気はしないが。
越智「確か・・・【彼氏いない】
二人「・・・・!
359
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:16:53 ID:lBWPwLokO
ゴゴゴゴゴゴ・・・!
薄野「てめぇ・・・今なんつった?あ?
こめかみに青筋を立てながら薄野が越智に詰め寄る。
越智「あ・・ごめんなさい。
男二人だからてっきり「おホモだち」ってやつかと・・・
じゃあ、【彼氏いる】でしたっけ?
―ガシィッ!
乱暴に胸ぐらを掴み、薄野は恫喝する。
薄野「てめぇワザとか!?
ワザとかッ!?
【彼女いない】だッ!間違えんな!!
吉原「落ち着け!安い挑発に乗るんじゃあないッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「げほッ!す、すいません。
【彼女以内】さん・・・
薄野「【以内】じゃねえッ!!
【いない】だッ!!
越智「え?【いない】さんでしたっけ・・・
ごめんなさい【稲井さん】。
で、コンビ名ってなんでしたっけ?
―・・・・ブチッ
薄野「あ゛あ゛ぁあ゛ああぁ〜〜ッ!!!!
うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ!!
殺す!絶対殺すッ!!
【ライト・インフェクション】!!!
―グバアァッ!!
越智「ハローナスティッ!
―ガッブウゥ〜ッ!
薄野「あぎゃぁ!?イデデデデデッ!!
薄野のスタンドが拳を振り下ろすより先に、ハローナスティが薄野の耳に噛みつくッ!
―・・・・パッ
あまりの痛みに胸ぐらを掴む手が緩んだ隙を突き、越智は男達と距離を取る!
薄野「コイツッ!!
―ガシッ!
H・N「ウヒャ!?捕マッタ!
―ブンッ!!
H・Nを捕まえた薄野は、ボールのようにH・Nを地面へと叩きつける。
H・N「ピャー!
―ボンッ・・ボヨン・・ガシャア・・・ッ!
越智のスタンド、ハローナスティはそのままバスケットボールのように跳ねながら、自転車のカゴにカップイン・・・!
H・N「もごもご・・・ぺッ!
―ビチャッ・・・
H・がN何かを口から吐き出し、それが地面へ落ちる。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薄野「てっめぇ〜・・・!
薄野の耳からはおびただしい血が流れ出ていた・・・
360
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:17:54 ID:lBWPwLokO
越智「・・!
(とりあえずダメージは与えたけど・・・怒らせただけみたいだ)
吉原「あのスタンド。良いな・・・
薄野「良いなじゃねえッ!
俺は耳を噛み千切られてんだぞッ!アイツは俺がぶっ殺すからな!!
吉原「好きにしろ。但し俺とあのスタンドを遊ばせてからにしてくれよ?
ゴゴゴゴ・・・
薄野「目玉だらけが口だらけに興味かぁ?・・・似た者同士って事か。
おし、まずは死なない程度に痛めつけてやる!!
ライト・インフェクションッ!!
―ズルウゥ・・・ッ!
薄野のモバイル端末から、銃を構えた兵士が引きずり出される!
越智「何もない場所から人間が・・・!?
―ガシャ・・・
その時、越智の背後から物音がした。
越智「・・・?
薄野「・・・チッ
吉原「・・・一般人か。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「・・・!
越智の後方には1人の女。
見たことの無い女であったが、年格好から察するに教育実習生のように見えた。
薄野「まぁ、見られたんじゃあ殺すしかねぇなッ!
越智「ッ!逃げ・・・
―パンパンッ!!
越智の声を、乾いた銃声がかき消すッ!
越智「(何て事だ・・・!僕のせいで無関係の人が・・)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
H・N「マスター・・・ドウヤラ俺達ガ逃ゲル必要ハ、ナサソウダゼ・・・!
越智「え?
薄野「おい・・誰だよありゃあ?
吉原「情報にはないが・・・スタンド使いだな、ありゃあ。
ドドドドドド・・・・!
女の目の前で、弾丸は止まっていた・・・
正確には、女の傍に立つスタンドが掴んで止めていた。
そのスタンドは、女性にしては非常に大柄であり2mを越えようかという程。
紫色のコートに銀色の兜をかぶった屈強な人型であった。
?「・・・久々に日本に帰って来たついでにお父さんのとこに寄ったら早速か・・・
もうちょっと親子団欒ってのをしたかったんだけどねぇ。
運が良いんだか、悪いんだか・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!
361
:
◆R0wKkjl1to
:2011/06/01(水) 23:18:32 ID:lBWPwLokO
投下完了です(^O^)
新しく使用させていただいたスタンド
No.70
【スタンド名】ハンドレットアイズ
考案者:ID:4LVPVTPR0様
絵:ID:E3czc1sdO様
No.3123
【スタンド名】ライト・インフェクション
考案者:ID:JJgzRw4uQ様
絵:ID:b31eMRbN0様
ありがとうございましたm(_ _)m
う〜ん・・・また色々書こうとして中途半端にwww
いや!長くなりそうだから分けて投稿したんですッ!
そう言う事にしておいて下さいwww
次回!
○○ー○イ○ーVSハンドレットアイズ&ライト・インフェクション
バレバレじゃないか・・・www
362
:
◆U4eKfayJzA
:2011/06/01(水) 23:25:25 ID:pzvVsIss0
吉原と薄野って、歓楽街由来じゃないですかwww そして、遥ktkr。
乙でした!
363
:
名無しのスタンド使い
:2011/06/02(木) 19:01:48 ID:8jBD8yroO
遥登場キタwwwww
越智と共闘するのか、ハローナスティが成長しちゃったりするのか!?
次が凄い楽しみすぎるwww
乙です!
364
:
名無しのスタンド使い
:2011/06/02(木) 19:05:53 ID:.eaFlN3Y0
カワーイイ遥ーが登場するのか期待
365
:
名無しのスタンド使い
:2011/06/02(木) 19:49:43 ID:iq.WyIsMO
ついに遥登場!
こりゃあ熱いぜ!続きが気になりすぎてやべえ!
366
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:10:31 ID:TlO0dkYwO
うだうだしててもしゃあないし、投下しますww
>>362
私は歓楽街行かないんですけどねww酒飲まないので
名前に特に理由はないのですwww
>>363
書きました!ご期待に沿えるものではないと思いますがww
>>364
個人的には…あんまりかわいくないww
と言うか久し振りすぎてキャラが思いゲホゲホッ
>>365
何にも考えてないけど、一応ラストに向かってますww
367
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:11:51 ID:TlO0dkYwO
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「あんた達、矢を持ってる奴を知らないかしら?
越智「矢・・・?
もしかしてあの男の事か?
女「君、何か知ってるのね?
こいつらをやっつけたら、それを教えてくれない?
H・N「イイゼイイゼ!モウ何デモ教エチャウッ!
ダカラ早クコイツラヲブッ飛バシテ〜〜ッ!!
カゴをガタガタと揺らしながらH・Nが喋る。
女「フフッ・・面白いスタンド。
じゃ、約束よ?
ドドドドドドド・・・
薄野「おいおいおいぃ〜?
あの女、俺たち二人に勝つ気でいるぜぇ?
こいつはメチャムカつくじゃねえかよ、おいぃッ!!
L・Iッ!!
―ドズルルゥ〜ッ!!
薄野が端末から引きずり出したものは先ほどの戦車・・・
薄野「フゥアハハハハハ!!
バラバラになっておっ死ねぇーッ!!
女「あら・・・戦車ごときで勝った気になってもらっちゃ困るわね。
薄野「うるせェー!バラバラに吹き飛んでもその減らず口が利けるかよ!?
発射ぁああああッ!!
―ドゴォオオンッ!
耳をつんざく轟音と共に、砲身から弾丸が発射される!
女「オォオッ・・ラアァッ!!
女が掴んだ弾丸を空中に放ると、女のスタンドが拳でそれを撃ち出す!
―ドギューーンッ!!
―カッ!!
―ドッゴオォオオンッ!!!
女の撃ち出した弾丸は、戦車の弾丸と衝突し、激しい爆発を引き起こした!
越智「す・・・すごい。
H・N「感心シテル場合ジャネー!スグニ炎ト爆風ガ来ルゼエェエエッ!!
越智「あ、そうか。
女「私の後ろにいなさい。
そう言って越智の前に立った女の目前には、炎をはらんだ爆風が迫っていた・・・!
越智「危ない・・・ッ!!
368
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:13:09 ID:TlO0dkYwO
女「オラオラオラオラオラオラララァアーッ!!
―ドババババババババアァッ!!
越智「ッ!?
スタンドのラッシュにより巻き起こる風圧は、爆炎を真っ二つに切り裂く。
―ズバアァーッ!
薄野「でえぇーッ!?んな馬鹿なぁ〜!!
吉原「なんと・・・!
ドドドドドドド・・・・
女「終わりかしら?
薄野「・・・へっ!
だったら今度はミサイルをぶち込んでやるよッ!
―ガッ!
薄野のL・Iが端末に手を伸ばす
しかし
その腕は目的の物を掴めなかった。
薄野「あ・・あれ?
俺のip○dが壊れてる・・・!?
薄野の持つ端末の画面中央には、銃弾で打ち抜かれた様な穴が開いていた。
女「アンタがそこから何か出してるのを見させてもらったからね・・・ぶっ壊させてもらったわ。
薄野「・・・は?ふざけんな、こんだけ距離が離れてて出来るわけがねぇだろが!
女「・・ま、どう思おうが勝手だけど。
これで戦車やら鉄砲は出せなくなったわよッ!
―ダッ!!
そう言うや女は薄野へ向けて駆け出す!
女「このままボコボコにブン殴るッ!!
薄野「げ!?おま・・!普通どうやって壊したとか、私の能力は〜だ。とか、説明すんだろッ!?
女「なんで私がそんな事しなきゃなんないのよ・・・?
このまま、アンタの非力そうなスタンドごとブン殴ってそれで終わりよ!
薄野「でえぇ〜〜ッ!?
女「オラァ!
女の屈強なスタンドが拳を振り上げる!!
369
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:14:50 ID:TlO0dkYwO
―ドゴドゴドゴドゴッ!!
女「きゃぁあッ!?
―ガシャアァッ!!
何者かに横から殴られ、吹き飛ばされる女。
吉原「俺を忘れてもらっちゃっちゃあ困るぜ?
薄野「よ、吉原!助かったぜッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「う・・・ぐッ!
今のは・・危なかった。アラキニウム繊維を使ったコートを着てなかったら、完全に戦闘不能だったわ・・・
それにしても今のは一体・・・?
※「本日ご紹介するのは
アラキニウムを繊維に練り込んだ特殊なコート!
その着心地は絹より滑らかで、羽毛よりも軽いんです。
それなのに、衝撃を受けることでアラキニウムは鋼鉄を越える強度と抜群の衝撃吸収性能を得るのです!
優れた防刃、防弾性能を誇り非常に実用的なこのミリタリーコート、デザインは世界的デザイナー「ア・ニキ」の渾身のデザインです。
商品は一点一点、熟達した職人が仕上げる完全ハンドメイド。
見て下さいこの仕上がり、服でありながら何故か凄みを感じるでしょう?
「スゴいですねー・・・でも、お高いんでしょう?
「いえいえ!なんと今回は定価の半分近いお値段でのご提供です。お値段ズバリ
$198,000ッ!!
「えぇ〜!?このコートが$198,000〜!?
「お申し込みは今すぐ!
吉原「薄野、お前は越智を殺せ。
この女は俺が引き受ける。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「あぁ・・・分かったぜ!
越智「・・・!(そうだった・・・2対1が、2対2になっただけだったんだ。
つまり、コイツは僕が倒さなきゃいけないッ!!)
H・N「無理無理無理無理!!
薄野「ライト・インフェクション!
―ゴオッ!
L・Iが越智に襲いかかるッ!
女「ち・・ッ!
女は止めようと飛び出すが、その前には既に吉原が立ちはだかっていた
370
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:16:00 ID:TlO0dkYwO
ドドドドドドド・・・!
吉原「お前の相手はこの俺だ・・・!【ハンドレット・アイズ】ッ!
―ズズズズズ・・・
体中に目のついた人型のスタンドが吉原に重なるように見えたかと思うと、女の目の前に見慣れたスタンドが現れるッ!
女「な・・・!コイツは・・・!このスタンドはッ!!
目の前に現れたのは、彼女自身のスタンド・・・
しかも、炎を切り裂きながら突きの連打を繰り出していた。
女「――ッ!オラオラオラオラ!!
―ゴガガガガッ!
―バガアァッ!!
女のスタンドが自身のスタンドと拳をぶつけ合い
そして、打ち勝つ。
吉原「・・・!
これは驚いたな、さっきのは本気じゃあなかったのか。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
女「はぁ・・・はぁ・・・!
コピーを作り出すのがあんたの能力・・・
吉原「半分正解ってとこだが・・・
それだけじゃあないぞ?
―ズズズズズズズ・・・・!!
またしても彼女と同じスタンドのヴィジョンが現れる・・・
しかも今度は2体。
女「――なッ!?
吉原「それを更に複製可能だ・・・!
今度はさっきほど優しくないぞ、単純に二倍の攻撃を捌ききれるか・・?
やれッ!H・Eッ!!
―ゴアァアッ!!
2体のスタンドが再び炎を裂きながら拳打を繰り出すッ!
女「・・・オォオオオッ!!
―ドゴドゴドゴドゴッ!
371
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:18:13 ID:TlO0dkYwO
女「ぐ・・・・はッ・・・!?
再び攻撃を受け吹き飛ばされる女・・・
吉原「フハハハッ!俺のスタンドは更に強くなるぞッ!!
次は4体だ!
―・・・キラッ。
吉原「ッ!?H・E!ガードしろッ!!
炎の赤の中に、何か光るものを見た吉原は反射的にガードをする!
―ギュウゥーンッ!!
H・E「ショアァアアアーーッ!!
―バババババッ!!
―・・・チュインッ!
H・Eの突き出した腕に当たった何かは軌道が逸れ、吉原の肩をかすめる!
―バズウッ!
吉原「・・・うぐッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
女「私の能力は、触れたものを光らせる能力・・・
炎の中に赤く光らせたボタンを撃ち込んだの。
バレないように狙ったつもりだけど・・・感が良いのか洞察力が鋭いのね。
芸人じゃなくて記者の方が向いてるんじゃない?
吉原「・・俺の前職は、記者さ。
一を糾弾するような記事を書いたら一発でクビになった・・・
だから俺はアイツとコンビを組んで、暗に一の本性を世に知らしめるために芸人になったんだ。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「その一ってのがどんだけ悪人か私は知らないけど・・・
あんたらのしている事だって、かなり悪い事よ?
いたいけな男の子を殺そうとするなんて。
吉原「・・・・一を倒すための障害となる可能性が1%でもあれば、排除しなくてはならない・・・!
我々の計画が成功すれば分かる。きっとあの世で感謝するさ。
女「・・・駄目だこりゃ。
言って聞かなきゃ体に教え込むしかないわね・・・
・・・・・・【スター・ゲイザー】
372
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:19:52 ID:TlO0dkYwO
吉原「ハンドレット・アイズ・・・
―ズズズズズズ・・・
吉原の前に百目のスタンドと、女のスタンドが4体現れる。
女と同じスタンド達は一時停止をしたかのように微動だにしない・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女と吉原は互いにスタンドを挟み、射程距離ギリギリに相対した。
女「随分な自信ね・・・
吉原「互いのスピードが同じなら、数が多い方が勝つ・・・
俺が負ける道理が無いだろう?
女「さぁ・・やってみれば分かると思うけど。
女のスタンドの拳が、にわかに輝きだす・・・!
吉原「H・Eッ!!
先に動いたのは吉原。
女のスタンドと同性能の4体のコピースタンドの一時停止を解く命令を下す!
吉原「(勝った!4体の猛攻を防ぎきれる筈はないッ!
恨むなら自分のそのパワフルなスタンドを恨・・・・・
ッ!?)
吉原の顔から笑みが消える。
女を殴り倒すはずのスタンド達は、ガラガラと音を立てながら崩れていくのを見たからだ。
ドドドドドドド・・・・!
吉原「き・・貴様ッ!何をしたんだ!?
女「あら・・・分からなかったの?
じゃあ今度は、そのたくさんの目ェ使って良く見なさい。
―バチイィイッ!!
吉原「うぼあぁッ!
目の前が真っ白になり、鼻先に殴られたような強い衝撃を受けて仰け反る吉原・・・
だが、女のスタンドが動いた気配は微塵も感じ取れない。
吉原「(な・・何だッ!?
何のトリックだ!?
まるで【時間が止まったみたい】に、奴の動きが全く見えない・・・!!)
ドドドドドド・・・・
女「まるで時が止まっているかのようだ・・・
そう思えるんでしょうね。
だけど、時が止まっただとか、トリックがあるとか、そんな大層なものじゃないわ。
あんたの目に光が入って、それを脳が認識するよりも私の攻撃が早いだけ・・・それだけよ。
―ザッ・・・
吉原「・・・や、やめろッ!
来るなッ!
373
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:20:47 ID:TlO0dkYwO
女「嫌よ。
よくも散々殴ってくれたわね・・・
吉原「〜〜ッ!
(い、今、思い出したッ!
この女・・薬売りの探してる・・・
女「オラオラオラオラオラオラオラオラオララァ〜〜ッ!!
―ドゴボゴボゴボゴ・・・ッ!
吉原「ふぎぃやぁあああーーッ!!
―ドッガシャアアンッ!!
今度は吉原が無数の拳打をその身に受け、吹き飛ぶ。
勝った。
そう思って、女が後ろを振り向くと越智の姿が見えなかった・・・
女「・・・いない?
あの薄野って奴も・・・
―ガシャッ
女「ッ!
倒したはずの吉原が突然起き上がり、女に向かって声をあげる。
吉原「ばばばばばばばはぁーッ!!
恐ろしい女・・・!!
だが、お前が追っている男は
お前の想像を遥かに越える能力を持っている!
断言しようッ!お前ではあいつに勝てない!!
小便漏らしながら命乞いするのが関の・・・山・・・さ・・・
―・・・ドサッ
そこまで言って、吉原は倒れ
動かなくなる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「・・・・・
あ〜・・・・うん、死んでないわね。
さて、いなくなった彼を追わないと・・・
吉原「・・・・(無視かよ)
ドドドドドドドド・・・・
吉原(下の名前は不明)
【スタンド】ハンドレット・アイズ
――――再起不能(リタイア)
374
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:22:14 ID:TlO0dkYwO
越智「マズい・・・非常にマズいぞ・・・!
薄野「おらぁ!出てこいよ僕ちゃんッ!!
出てこないとコイツが痛い目見ることになるんだぜぇ〜!?
女子「嫌・・!離して・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智が校舎内に身を隠した事により、越智を見失った薄野が
たまたま近くにいた女子生徒を捕まえて人質にしてしまったのだ。
越智「人気のない場所を選んだってのに・・・
うまくいかないもんだね。
H・N「ソンナ事ヨリ、コノ状況ヲドウスルカ考エヨウゼェ〜ッ!?
薄野「3秒だけ待つ!
それで出てこなかったらこの女の顔に、一生消えない傷がつくぞッ!
越智「・・・待ってもらえないよな。
行くしかない・・・か。
おいやめろッ!その子は関係ないだろッ!!
―バッ!
H・Nの制止も聞かず、越智は薄野の前に飛び出してしまう。
H・N「ナンテコッタ・・・アトチョット待テバ、アノ女ガ来タカモシレナイノニ〜!
嫌ダ〜!死ニタクネェヨ〜ッ!!
ドドドドドドドドド・・・!
越智「・・・男なら男らしく、素手で勝負だ。スタンドも無しで!
薄野「・・・・・・
相対し、構える越智に対して
反応を見せない薄野。
越智「・・・・・!
(奴の耳、HNが噛み千切ったのは左だった筈・・・
なのに右耳が千切れてる。
これは・・・鏡を・・・
しまっ
―ドンッ
その時、越智は背中に何か強い衝撃を受ける。
薄野「一丁上がりだ・・・
375
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:23:19 ID:TlO0dkYwO
ドドドドドドド・・・・
越智「・・・・・!
―ゴプッ
数拍ののち、越智の口から鮮血が溢れ出す。
と、同時に目の前が真っ暗になっていくのを越智は感じていた。
越智「そん・・・な・・・
こんな・・・あっけなく・・・!
―ドサッ・・・
そのまま前のめりに倒れ、動く事が出来ない。
薄野「フゥアハハハハ〜!
間ぁ〜抜けぇ〜!
てめぇがやられるのが分かってて飛び出してくるなんてなぁ〜ッ!?
H・N「オ、俺ガ・・・!消エテイク・・・ッ!!
背中の衝撃を受けた辺りから、熱い何かが流れ出ているのを感じながら
越智の意識は暗いまどろみの中に落ちていく。
暗く温かな闇が越智の周りをぐるぐるとうねる様にして、深く深くその体を呑み込んで行く。
――――――――――
越智「・・・ここは?
どこだろう?背中を刺されたような気がしたんだけど・・・
まぁ・・・いいか
何だかすごく温かいし、眠くなってきた・・・
ゆっくりと瞼を閉じようとする越智の前にH・Nが現れ、
何事か騒ぎ立てていた。
H・N「死ヌナッ!オイ死ヌナヨ!!
越智「ハローナスティ・・・
どうして君がここにいるんだ?
H・N「オイラハアンタノスタンドダカラダ!
良イイトコ無シデ死ヌノカヨッ!?
越智「・・・そんな事言われても、無理だよ。
背中刺されてるし・・・
僕は眠いんだ・・・放っておいてくれ・・・よ・・・
376
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:25:37 ID:TlO0dkYwO
越智は夢を見ていた。
夢・・・と言うよりは走馬燈のようなもの。
暖かく暗い場所でモーツァルトを聞いた事。
そこから引きずり出された時に、息が出来なくて背中を叩かれた事。
それから色々。
お気に入りのオモチャで遊んだり
自分だけの言葉を作ったり
ヒーローごっこをしたり。
だが、自分だけの世界は、成長して世を知るにつれ少しずつ崩れ
越智はいつしか現実世界の一員として、常識ある人間を演じるようになっていった。
生まれた時は完全な「個」であった筈なのに。
―ガブッ!
越智「あ痛ッたぁあッ!?
H・N「死ヌナァ〜!死ヌンジャネエ!!
鼻の頭を思い切り噛まれ、越智は再び暖かい闇の中へと引き戻される!
越智「・・・ちょうど良いところで目が覚めたよ。
H・N、君は僕が小さい頃に考えたランプの精だ。
あのころの僕には、僕だけの世界があったんだ。
H・N「・・・・・!
越智「君の能力は噂を現実に変える能力・・・言い換えれば願いを叶える能力だ。
そして今、ここには僕と君しかいない。
つまり僕だけの世界。
・・・君は僕の願いを叶えてくれるのかい?
ドドドドドドドド・・・・
H・N「・・・・・・!!
YES!YES!YES!
YES!マイマスタァーッ!!
―ビキビキ・・・ッ!
H・Nの体にヒビが入り、そこから強い光が漏れ出る!
―バキャアァッ!
そしてその体が二つに裂けると眩い光に満ちたトンネルが現れる・・・!
H・N「楽園へようこそ・・・!
377
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:27:28 ID:TlO0dkYwO
薄野「アヒャッヒャア〜ッ!!あっさり死にやがってこのガキがぁー!!
越智「・・・・・
薄野「おっと、そうだ。
ナイフを回収するついでに携帯も頂いておくか・・・
―ゴソゴソ・・・・
薄野「あったあった。さてと、ここにSDカードを入れて・・・おし、OK。
―ズボッ・・・
薄野「ナイフも回収完了っと・・・
これで一人潰したし、あとは決行までどっかに身を隠せば・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「・・・・?
後ろで何かが動いたような気配を感じ、薄野はゆっくりと振り向く。
薄野「・・・お、お前は・・・確かに死んでたはずじゃ・・・ッ!!
越智「・・・その携帯、返してくれよ。
限定のピンクダークモデルなんだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薄野「・・・ふんッ!
―グオッ!
今し方抜いたばかりのナイフを再び越智の腹へ突き立てようと腕を振るう薄野!
だが
―パキィイイッ!!
薄野「なにぃッ!?
真っ二つに折れた刃が石膏ボードで出来た天井へ突き刺さる。
越智「無駄だよ・・・無駄無駄・・・
今の僕は核ミサイルだって殺すことは出来ないんだ。
そんなちゃちなナイフじゃあどうこう出来ないよ。
今、僕は【無敵のスーパーヒーロー】なんだから。
ドドドドドドド・・・!
薄野「・・・・・
・・・・・・
・・・は?
何お前?頭イカレたのか?
越智「・・・いいや
信用出来ないなら試してもらっても構わないよ。
薄野「あ・・・そ。
じゃあ遠慮なくやらせてもらうぜェ〜ッ!!
ライト・インフェクション!!
378
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:30:17 ID:TlO0dkYwO
―ズルルルゥ〜ッ!!
薄野「蜂の巣になりやがれ〜ッ!!
引きずり出されたのは自動小銃を構えた兵士。
そして兵士は表情一つ変えずに引き金を引いた。
―パラパララララララッ!!
小銃は乾いた音を響かせ、鉛の弾を吐き出す。
―ビシビシビシッ!!
その弾のいくつかが越智の体に当たり・・・ひしゃげて廊下へと落ちる。
越智「うん・・・全ッ然、痛くないや。
薄野「えぇ〜ッ!?
これなら・・・どうだぁッ!!
―ズルウゥッ!
次に引きずり出されたのは、戦車の砲身・・・
そしてその砲身も自動小銃と同じく、火を噴く!
―ドゴオォンッ!!
超至近距離からの砲撃・・
だが、越智にはその弾が「蝿が止まっちまいそうな程スッとろく見えていた」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「(ん〜・・・どうしようかなぁ・・・
避けても良いけど校舎が壊れちゃうよなぁ・・・
と言うか、この人さっきも戦車の弾防がれてなかったっけ?
何とかの一つ覚えって言うの?
僕なら別の手を試すけどな・・・例えば毒ガスとか
あぁでもガスは自分も危ないか。
でも戦車の弾だってこの距離で爆発したら危ないよ?
その辺ちゃんと考えなきゃ。
あ〜そういえば、この騒ぎどうやって収めれば良いんだろ?
H・Nを使ってもみんなが噂してくれなきゃいけないし・・・警官も殺されてるから一筋縄じゃあいかないぞ。
そういえば今日お弁当とりに一回帰らなきゃいけなかったんだ・・・帰れるのかなぁ〜
いや、無理か。やっぱ帰れないよね・・・購買部に行くしかないか。今月ピンチなのになぁ〜
と言うか、まだ弾があんなとこまでしか動いてないし、やっと砲身から頭が出てきたのか。長いなぁ・・・
なんか・・・面倒くさくなってきた。
あんなにのろいんじゃあ当たっても大した事なさそうだから避けないでみようかな
痛くないよね、どうせ。
379
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:31:28 ID:TlO0dkYwO
―メギメギメギイィイイ・・・ッ!
薄野「――ッ!?
越智が片手を前に出す。
すると手のひらに当たった弾丸はひしゃげ、指の形に五等分され音を立てて落ちた。
ドドドドドドドド・・・・
薄野「い・・一体、何がどうなってるんだ?
お前・・・何をしたんだ?
越智「・・・・
僕のスタンドは「噂を現実にする能力」
死にかけたおかげで「僕だけの世界」に気が付いたんだ。
僕だけって事は他に人はいない。
他に人がいないって事は、僕という「個」が世界中の人間なんだ。
世界中の人間が同じ事を考え、それを現実に変えた・・・
そして僕は「絶対無敵のヒーロー」になった。
ゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「・・・・!(何だか分からねえがコイツはやばい・・・
パワーもそうだが、何を言ってるのか分からねぇーッ!
こういう頭がイカレた野郎とマトモにやりあっちゃいけねえぜ・・・逃げるか!)
―ズッ!
越智「・・・?
薄野「今だッ!くらえ
火炎ビ・・・違った、閃光弾!
―ビシャアアァアッ!!!!
昼間だというのに、視界が真っ白になるほどの光が放たれ
薄野は隙をついて逃げだそうとするッ!
薄野「(ヘヘヘッ!どんなに強かろうが強い光を浴びれば目が眩むさッ!今のうちに逃げ
―ドンッ
薄野「・・・?
薄野は何かにぶつかり、眩しげな顔をしてそれを確認する・・・
越智「武装ポーカーは嫌いじゃあない・・・
だけど、閃光弾なんかじゃあ逃げられないよ?
薄野「あ・・・あの・・・
どうして・・・前に?
それにそのサングラス・・・
380
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:32:51 ID:TlO0dkYwO
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「・・・・5分だけ「時間を止めた」って言ったら信じる?
まず光が目に入る前に時間を止めて、それから職員室に行ってサングラスを手に入れる。
ついでにトイレで用を足してから、ここに来た・・・って言ったら信じる?
薄野「・・まさか、そんな・・・!?
越智「まぁ信じてもらわなくても良いよ。
―・・・ピトッ。
越智の手が薄野に触れる。
薄野「な、何を・・・?
―ボゴオッ!!
薄野「ッ!?
次の瞬間、薄野の体に陥没したかのような穴が開き、その部分が消失する!
―ボゴボゴボゴォ・・・ッ!
薄野「こ・・れはッ!!?
ドドドドドドド・・・・
越智「僕は人は殺さない・・・
でもあんたを、酷い目に遭わせないと気が済まない。
いきなり殺されかけたしね。
だからあんたの肉体を消滅させて、魂だけをここに未来永劫縛り付けておく事にした・・・
宇宙が一巡したってあんたはあんたのまま。たった一人で永遠を生きるんだね。
薄野「い・・嫌だッ!そんなの・・!あんまりだぁ〜ッ!
―ボゴッシュウゥウウ〜ッ!!
薄野「あああああああああ〜ッ!!
――――――――――
―――――――――
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
越智は、廊下に落ちている携帯を拾い、中のSDカードを握り潰す。
粉末と化したカードが手のひらからこぼれ落ちて行くのを確認すると、窓を開け足を掛けた。
H・N「・・・ご主人、どちらへ?
381
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:33:50 ID:TlO0dkYwO
越智「僕は絶対無敵のヒーローになったからね。
このまま、彼らの親玉の所に行ってくるよ・・・
そう言って、窓枠に掛けた足に力を込め、天高く飛び出そうとした瞬間。
誰かが越智を呼び止めた。
「君ッ!馬鹿な真似はやめろ!
何があったか知らないが、悩みなら私が聞いてやるから!
「あぁそうか。そりゃあ、傍目には投身自殺に見えるよね」
そんな事を思いながらゆっくりと窓枠から足を降ろし、越智は振り向く。
越智「あ・・・上城先生。
上城「君は確か図書委員会の・・・
越智「越智です。
上城「あぁ、越智くんだったね。
悩みがあるなら先生が聞こう、だから馬鹿な真似はやめなさい。
越智「あ、いや、違うんです。これは・・・
―・・・ツツー・・
越智「・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
越智の背中に暖かいものが流れる。
背中に手をやり、それが何か確かめた越智の顔からは血の気が引いていく・・・
上城「・・・どうしたんだ?
おもむろに突き出された手を見て、教師は言葉を失った。
上城「・・・・・・!!
越智「どう・・・し・・・て?
―ガク・・・ッ
上城「おいッ!しっかりしろ!
・・・・・あぁ、こんなに血が・・・!
今、救急車を呼ぶからなッ!
諦めるな!絶対助かる!!
H・N「先生と接触する事で、ご主人の世界は外の世界と融和されたのですよ。
この世界はご主人だけの世界ではありませんから・・・
ですが、貴方はこれも望んでらっしゃったでしょう?
たった一人で無敵のスーパーマンをやっているより、今いるこの世界の方が価値があると。
もうすぐ救急車が来ます。
命が助かって良かったですよ、本当・・・
上城に抱えられ、薄れゆく意識の中で越智はサイレンの音を聞いていた。
382
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:35:06 ID:TlO0dkYwO
吉原
【スタンド】ハンドレット・アイズ
―――再起不能(リタイア)
薄野
【スタンド】ライト・インフェクション
―――肉体の消滅により再起不能(リタイア)
越智博文
【スタンド】ハローナスティ
―――重傷により入院・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
風呂戸「・・・なぁ比留間さん、どこに行くんだよ?
追いかけてくる奴なんてとっくにいないぜ?
大和久「だな。
この辺で降ろしてもらってもいいか?
探してる奴がいるんだよ。
比留間「あぁ・・・江藤君を襲った男ですか。
ですがその件は、後回しにしていただきましょう。
いづみ様を取り巻く事態はそれよりももっと深刻なのです。
それに私の予想では、この町でそんな派手な動きを起こせば
いづみ様を狙う一団に目を付けられ、殺されるか引き込まれるか・・・
殺されているなら良し。
引き込まれたなら、否応なく相まみえることでしょう
ですから、ここは一つ後回しでお願いいたします。
中条「えーっと、比留間さん・・・
あなたは色々と知っていそうなので、も
比留間「申し訳ありません、その質問も後でお願いします・・・!
またも敵のようです。
・・・そして、車をやられました。
一同「・・・え?
中条が、道路の真ん中に突っ立っている黒いコートの男の姿を確認したと同時に
何かが破裂するような大きめの衝撃が、床下から伝わってくる。
大和久「・・・!タイヤをッ!?
比留間「皆様、しっかり掴まっていてくださいッ!!
――ズギャギャギャギャギャ・・・!!
タイヤを失った事で、一同を乗せた車はコントロール不能に陥り
車体を左右に振りながら道路を滑る!
―ドガッシャアァアアッ!!
電信柱に突き刺さった車を見て満足そうな笑みを浮かべるコートの男・・・
男「クククッ・・・わけねえなぁ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
383
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:38:00 ID:TlO0dkYwO
―・・・ザッ
ご機嫌な足取りで車に近づき、中の様子を確認しようと
男は車をのぞき込む・・・・
男「さ〜てっと・・・死〜んだかなぁ〜?
大和久・・・中条・・・風呂戸・・・それから女二人と・・・・一 いづみ・・・・って、アレ?
運転手はどこに行ったぁ?
ドドドドドドド・・・・
――――――――――――
―――――――――――
上城「私もついて行きます。
私はこの高校の教師です!
救急隊員「分かりました。
さ、出発します!早く乗って!
―バタン!・・ブロロロ・・・
越智と上城を乗せた救急車がサイレンを鳴らしながら去って行くのを見送る女。
女「・・・あの子大丈夫かしら?
背中刺されたって言ってたけど、あの怪我で敵を倒したってんだから根性あるのね、きっと。
だから、大丈夫だろうけど・・・今度お見舞いに行かなきゃ。
【矢】について聞きたい事もあるし・・・・
そう呟いて、女は校門へ向かって歩き出す・・・
なるべく目立たないよう、うつむき気味に校門の周りの人だかりを縫うように進む女だが、ふと顔を上げると
生徒達の携帯電話が目に付いた。
生徒「すげー!マジ死んでるよ・・・
警官「君達!下がりなさい!
生徒「うわッ!きもー!
警官の制止も聞かず、無数のフラッシュがたかれる。
生徒達の注目は先ほどの侵入者に殺された警官達に集まっていた為、女は誰にも気に留められずその場を後に出来た。
384
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:38:49 ID:TlO0dkYwO
しかし・・・女の心の内は穏やかではなかった。
一体、彼らは何の為に命を失ったのか?
・・・生徒達の安全を守る為に任に着いたはずなのに、守られた生徒達はそれに気付こうともせず、暴言を吐き、カメラによる冒涜している。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
名も知らぬ英雄に小さく敬礼を送ったあと、女のスタンドは拳を振り上げる。
校門が砕ける音とともに、無数の破片が飛び散る。
そして不幸にも門の近くにいた生徒達が、その破片にぶつかり悲鳴をあげた。
女「・・・(この国は病んでる。矢を持つものが正しい導き方をしないから・・・やっぱり【矢】なんて要らないのよ)
そう心の中で呟いた女の眼には、先ほどまでとは違う
冷徹な何かが潜んでいた・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
385
:
◆R0wKkjl1to
:2011/07/10(日) 22:46:33 ID:TlO0dkYwO
投下完了です(^O^)
今回新しく使用させていただいた(新しくではないけれどwwジョン万では新しい)スタンド
No.278
【スタンド名】スター・ゲイザー
考案者:ID:a/m060uQO様
絵:ID:yhvPlaj50様
ありがとうございましたm(_ _)m
無理矢理すぎて笑うしかありませんねwww
決戦は一週間後って設定なのにバシバシ戦わせてしまっております・・・
次回からは宣言通り「・・・」は「…」に。
セリフは」で閉じてみます(^O^)
386
:
名無しのスタンド使い
:2011/07/11(月) 11:12:53 ID:MiAuw1NwO
ぬおおおおお!!続きが楽しみすぎるぅ!!乙!
387
:
名無しのスタンド使い
:2011/07/11(月) 17:00:57 ID:.r9cTYCA0
ア・ニキとかディ・ス・コさん並みに前衛的な名前っすねww
乙!
388
:
◆U4eKfayJzA
:2011/07/13(水) 22:58:14 ID:V7MRGlco0
流石は超解釈の名手のスタゲさん……、ハローナスティが益々手におえないスタンドに。
そして、遥はまだ「矢」への敵意を秘めているようで。また承太郎とかち合いそうで怖い。
乙でした!
389
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:49:13 ID:gQD1pVfwO
>>386
約二ヶ月ぶりに更新します(^O^)
>>387
ア・ニキってもし本当にあったらお洒落達の中でも一定の需要がありそうな名前だなぁと思いましたwww
>>388
もう何でもありだなwwと思いつき今回このような暴挙にwww
遥ちゃんは今回主役ではないので【主人公補正無し思い入れ補正有り】でどこまでやれるのか頑張ってみますwww
390
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:50:38 ID:gQD1pVfwO
ゴゴゴゴゴゴゴ……
男「それにしてもコイツら…
車がオシャカになる程の事故なのに、怪我一つしちゃいねえのはどういう事だ?
まぁ、生きて連れてこいっつー話だから気絶してる
好都合っちゃあ好都合だがよぉ〜」
――ガシャッ!!
男は窓ガラスをぶち破り、ドアロックを解除しようと車内へ手を伸ばす…
中条「かかったな、間抜けが!」
男「ッ!」
驚いた男は反射的に手を引っ込めようとするが、車内に突っ込んだ手はガッチリと捕らえられ引っ込める事が出来ない。
ドドドドドド……
男「なッ!?腕が抜けねぇ!!」
中条「俺がガキの頃よ…
ダチにスゲー天パの奴がいたんだわ……
ある日ソイツの髪の毛に一匹の虫が飛び込んだ。
そして一ヶ月後、ソイツの頭に白いゴミがくっついてるから、よくよく見てみると…
虫さ……一ヶ月前飛び込んだ虫が絡まってたんだよ。
パーマは命を絡め取る。
マーラ・ザ・ビックボス…【タナトス】!」
バアァアアアァアアンッ!!
男「うおぉおおお〜ッ!?」
大和久「……ぶふっ!
だっせえ〜!コイツは厨臭いニオイがプンプンするぜぇーッ!」
中条「……後で殺す」
大和久「あ゛ぁ?何か言ったか、この厨二病」
風呂戸「おい喧嘩すんなよ!
死んだフリしておびき寄せて叩く作戦だったろ!?」
川上「まぁでも【タナトス】は無いわぁ……」
管尾「その前の口上もちょっと…」
いづみ「パーマが命を絡め取るとか…
全世界の天然パーマを敵に回すわよ」
中条「お、お前ら…」
男「(こいつら…この状態でじゃれ合ってやがるのか……
クソが!ナメやがってッ!)」
――……ザッ
男「ッ!?」
391
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:52:50 ID:gQD1pVfwO
――ドガッシャアァアアァッ!!
身の危険を感じ、捻るようにして体をずらした男の鼻先を
何かが掠める。
それは金属で出来た車のドアをプラスチックかの容易にひしゃげさせた!
男「……!」
比留間「…今の攻撃をかわすとは、なかなかに鋭い」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
男「お…お前は、運転手のッ!
やはりスタンド使いッ!」
比留間「【リヴィン・オン・ア・プレイヤー】……!」
――ズズズズズズ……
比留間の背後から現れた人型のスタンド…
顔面には三角形の装飾が施されており、太い腕は近距離パワー型だという事を容易く連想させる。
男「ちッ…挟み撃ちかい。
いいぜ、やれるもんならやってみな。
【バーン・バーン】ッ!」
――ズズズ…ッ
比留間「何かするつもりでしょうが…そうはさせませんッ!」
――ズオォッ!
比留間のスタンドが丸太のような腕を振り下ろす!
男「遅いッ!」
――ガシィッ!
比留間「ッ!?」
男「捕まえたぜ……
てめぇは終わりだ」
――ボウッッ!!
比留間「ッ!」
中条「ッ!?」
男が掴んでいた比留間の腕と中条の触手から、突然炎があがる。
中条「うぐあぁあ!?」
比留間「この炎は…ッ!」
毛の焼ける臭いが車内に充満し眉をひそめる一同。
大和久「くっせ!何だこの臭いッ!」
いづみ「何か燃えてるわッ!」
ドドドドドドド……
中条「…俺のスタンドが焼かれてるのに気づいてない?
炎が見えてないのか?」
392
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:54:17 ID:gQD1pVfwO
管尾「中条君!?その腕……ッ!」
中条「来るなッ!!」
――バッ!
異変に気付き、腕を触ろうとした管尾を遠のける際に、中条の腕がシートに触れた。
――…ボワッ!
中条「(シートに…燃え移りやがったッ!
しかもこの炎…叩いても消えない上に、燃やされてる奴にしか見えねぇのか……!)」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
中条「大和久〜ッ!!
さっさとドア開けて車から出ろ!」
大和久「言われなくてもやってるッ!!
……だけど、ドアが開かねぇんだよッ!!」
男「ふはははははッ!
高温でアスファルトを溶かしてあるんだ!
タイヤがパンクして車高が下がったところに溶けたアスファルト!!
ドアまで道路に埋まってんだ、開く訳ねぇわなぁ〜ッ!」
大和久「くそッ!
オーバーチュアー!!」
―ドガドガドガンッ!!
大和久はドアを破壊しようと試みる!
しかし
ドアは取っ手が外れただけで、へこみすらしていない……
大和久「固っ……てぇッ!
な、なんだこのドア!」
いづみ「防弾仕様の特別な車よ!
戦車砲でもこの扉は破壊できない……」
ドドドドドドド……
中条「……(マズいぞ、このままじゃあ見えない炎で全員焼け死んじまう!)
窓だッ!!窓から逃げろ!」
川上「わ、わかったわ!」
―…ドジュウゥウーー!
川上「ぎゃッ!
あ…熱いッ!何何何!?
燃えてるッ!?」
風呂戸「落ち着け!燃えちゃあいねぇ」
半狂乱の川上を風呂戸が押さえようと腕を掴む
―…ボワッ!
風呂戸「ッ!?こ……これはッ!!」
男「フハハハハハッ!車が爆発するのが先か?
中で焼け死ぬのが先かッ!?」
比留間「………この能力、非常に厄介ではありますが
私とは相性が悪いようですな」
男「……はッ!?」
――ドグシャアァアッ!!
393
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:55:37 ID:gQD1pVfwO
男「ほげえぇーーッ!?
おま…そ、その腕はッ!?
焼かれて使い物にならないはず!」
比留間「…これが私の能力。
触れた物を鉄化させるんです。
たかだか数百度の炎で鉄を溶かす事など不可能……
今すぐ能力を解除すればこれ以上痛い思いをしなくても済みますよ?」
ゴゴゴゴゴゴゴ………
男「ちッ……確かに、分が悪りいな
だが、てめえは平気でも車中の奴らはそうはいかねえッ!変わらず、立場は俺が上だ……!
おとなしく娘を渡せば、他の奴らも助けてやる
だが、断れば娘も他の奴らも全員焼け死ぬ事になるぞ」
比留間「……なれば力づくにて」
男「……べっ!」
――ビチャビチャ…ッ!
口の中に溜まった血を吐き出し袖で口を拭う男
男「なめやがって……クソジジイがッ!」
比留間「……では」
――ザッ……!
自身の両腕を鉄化させた比留間が構える。
男「いくぜッ!バーン・バーンッ!!」
比留間「リヴィン・オン・ア・プレイヤーッ!!」
――グオォッ!
互いのスタンドの拳が交錯する……筈であった。
だが、明らかにスピードの劣る比留間に対し、男はスピード負けをした。
男「……!(え?腕が上がらねぇッ!
……違う、上がらねぇんじゃあねえッ!!
『重くて上げられない』のかッ!!)」
比留間「先程あなたが殴られた時に……既に勝負は着いていたのですよ」
男「おぉおおおおッ!!
くっそおぉおおおお!」
――バッカアァアアンッ!
比留間の拳が男の顎先を正確に打ち抜いた。
394
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:57:01 ID:gQD1pVfwO
男「おぉ……?
おおぉおお?」
――ガクガクガク……!
比留間の放った一撃は、さほど強力な一撃ではなかった
ただ軽く、打ち抜いただけ。
だが、男の身体は言うことを聞かなくなっていた。 腰が抜け、足腰が立たない……
比留間「最終警告です……今すぐ能力を解除すればこのまま逃がしてさしあげます。
だが、断ると言うなら……死んでいただくしかありません」
ドドドドドドド……
男「………本当に、逃がしてくれるんだろうな」
比留間「勿論です。約束は守ります」
男「悪い条件じゃあねぇな………
だが……断る!」
比留間「ッ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ………!
男「敵に情けをかけられて、それに乗っかる程……
俺は腰抜けじゃあねぇ
殺るなら殺せよ……!車の中の奴らも道連れにしてやるぜッ!
バーン・バーン!!」
比留間「く…ッ!!」
男のスタンドが車に向かって突進をし始めるが、比留間の身体は既に半分近くが鉄化しておりスタンドには追いつけない。
男「てめえがいなきゃ、俺の勝ちだったんだ……
てめえのせいだ、てめえが俺を追いつめるから!
こいつらは死ぬんだッ!
一生後悔しやがれぇー!!」
――ッバキイィイイッ!!
男「ぶべッ!」
比留間「なッ!?」
突然、男が何かに殴られたかのように吹き飛ぶ!
―ドガッシャアァ……!
吹き飛んだ男に伴い、男のスタンドも引っ張られるようにして車から引き離され
そのまま炎と共に消えて行く。
どうやら男が気絶した事でスタンドが解除されたようであるが、比留間には何が起こったのか分からなかった
そしてその刹那
強烈な突風が吹き抜ける。
比留間「……!」
?「ったく!何やってんだよ……」
比留間「―ッ!」
――バッ!
声の方向へ比留間が振り向くと見たことのない別の男が、気絶した男を抱えていた……
ゴゴゴゴゴゴゴ……
395
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 09:58:18 ID:gQD1pVfwO
中条「……?
炎が消えた……助かったのか?」
いづみ「比留間が敵を倒したのよ」
川上「うぅ……」
大和久「おい、大丈夫か?」
管尾「火傷が……
川上さんを病院に連れて行かないと」
風呂戸「窓が割れてるから、そこから出ようぜ」
?「その必要は無い」
一同「え?」
――ドロオォオッ!
声とほぼ同時に車の扉が溶け、出口が作られる……
風呂戸「な……!」
大和久「……なんだか分からねえが、助けが来たみたいだな。
ありがたく脱出させてもらおうぜ」
溶けた扉から車外へと脱出した大和久たちの目の前には、先程の声の主と思われる男が立っていた……
先程、車を襲撃した男と同じコートを着て。
ドドドドドドドド……!
中条「新手の敵か……!?」
中条と大和久、風呂戸の三人は瞬時にスタンドを発現させ臨戦態勢に入るが
男は微動だにしない。
ただ、下半身のないスタンドと液体金属のようなもの、そして不適な表情を浮かべていた。
中条「……あのコート、どう見ても敵だよな」
大和久「……だな」
風呂戸「外に出られりゃ熱線も使えるぜ」
?「……大人しく一の娘を渡せ。
無駄に命を捨てる事はない」
中条「てめえらが何の目的でコイツを狙ってるか知らねえが……
ろくでもねぇ目的って事は分かる。
だから渡す訳にはいかねえんだぜッ!
マーラ・ザ・ビッグボス!!」
――ドバアァアアッ!!
中条が先陣をきって男に飛びかかるッ!
?「仕方ない、死んでもらうか……
メタル・ジャスティス」
――グニグニィイ〜ッ!
男の周りに浮かぶ液体金属がその形を変える……
中条「なッ!?」
396
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:00:00 ID:gQD1pVfwO
――ズバパアァー!
無数の剣に形を変えた液体金属が中条の触手を切り裂く
中条「う…おぉッ!?」
男「阿呆が…頭に血が昇っているか知らんが、敵の能力も考えずに突っ込んで来るとは話にもならん。
お前はもう良い……失せろ」
――ドヒュンッ!!
剣は槍に形を変え、猛烈な速度で中条に襲いかかる!
大和久「中条ッ!!」
中条「(やべえッ!これを喰らったらまず間違いなく死ぬ…!
だが、防御が………!!)」
管尾「中条く〜〜〜んッ!!?」
――ジャギョオオオォッ!!
結論から言えば、男の槍は中条の身体を貫く事はなく、虚しく空を突いた……
だが、何が起こったかは大和久達には全く分からなかった。
目の前に居た中条が一瞬にして姿を消してしまったのだ。
大和久「………!?」
風呂戸「…は?消え……た?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
男「………中条………!
一体何の真似だ……?」
中条と呼ばれた男「………
御園さん……
勘弁してやって下さい、コイツ俺の弟なんすよ」
管尾「え……!?」
大和久「お、弟ッ!?」
声のする先を見ると、大柄なコートを着た男が中条を抱えて立っている……!
風呂戸「だが……いつの間にッ!?」
いづみ「あのコート……敵と同じものだけど
……敵なの?」
ドドドドドドドド……
御園「……弟か。
だったら、一の娘を引き渡すように話をしろ」
中条(兄)「……はい」
――ザッ………
中条を抱え、大和久たちへ向かって歩き出す兄。
御園という男も手を出さず、それを見つめている
397
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:01:25 ID:gQD1pVfwO
大和久「……」
中条(兄)「標的が万次郎と同じ学校の生徒だって聞いたから、まさかとは思ったが……」
ぐったりとした中条を抱えた兄が大和久に歩み寄る。
大和久「(でけぇ……190はある
マジで兄弟なのか……?)
管尾「中条くんッ!?……生きてるんですか?」
兄「あぁ、心配ない。ちょいとブラックアウトを起こしただけさ」
管尾「ブラック…アウト?」
兄「ん〜…あれだ、超スピードで移動させたから脳に血が回らなくなっちまったんだ。
しばらくすりゃ目を覚ます」
管尾「そうですか……良かった」
大和久「………で、その兄貴が何で敵なんだよ?」
兄「…………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
大和久の一言で場の空気が変わる…
兄「君たちには関係ない事だ。
それより、そこの彼女をこちらに引き渡してくれ。
万次郎の友達を殴りたくないん……分かってくれ」
風呂戸「そう言う訳にゃあ、いかねえんだな」
いづみ「この私が、大人しく捕まるとでも思ってる訳?」
大和久「どうしてもってえなら……!」
兄「……力づくか」
御園「交渉決裂だな、さっさと終わらせて戻るぞ」
大和久「やってみろ……!
クソ野郎共ッ!!」
風呂戸「トレンダ・ホーン!」
いづみ「キャッツ・グローブ!」
兄「仕方ないか……【タッチ・ダウン】」
――ズズズズズズズ……
中条の兄から現れたスタンドのヴィジョン、
それはアメフト選手のような厳ついプロテクターをつけた、いかにもなパワーがありそうな人型だった。
中条(兄)「断言する。
君らじゃあ俺には勝てない」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
398
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:03:07 ID:gQD1pVfwO
風呂戸「ヒート・ウェイ」
兄「遅い!」
風呂戸「ッ!!」
兄は一瞬で風呂戸の前へと移動し、距離を詰める。
――バアァアアアアンッ!!!
風呂戸「オォアァッ!?」
それとほぼ同時に、何かが破裂するような衝撃で風呂戸の身体が吹き飛ばされるッ!
大和久「なッ!」
兄「ソニックブームだ……俺のスピードは今、マッハ2とちょっと。
移動するだけで君たちには甚大な被害を与える事が出来る…!」
いづみ「キャッツ!10万ボルトオォオッ!!」
キャッツ「無理でし!」
いづみ「」
――バアァアアアンッ!!
いづみ「きゃあ〜〜ッ!?」
大和久「くッ……!」
兄「終わりだ」
中条の兄はいづみを吹き飛ばしたかと思えば、今度は大和久の後ろに回っている
大和久「…………!!」
――ドパアァアアアアンッ!!
空気の壁が破られ、衝撃波が大和久を襲う!
兄「ん……?
衝撃波でダメージを受けない?」
大和久「こっちだ」
兄「ッ!?」
――バッキイィイイィッ!!
O・Cの拳が中条兄のスタンドを捉える!
だが……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
兄「なるほど……
上野と同じ様な能力か。
だけどパワー不足だ、伊達や酔狂で俺のスタンドは鎧を付けてるんじゃあないんだぜ?」
――ガシッ!
大和久「…!」
兄「音速にも耐える俺のスタンド……そんなパンチが効くとでも思ったのか」
大和久「くッ……!離せッ!!」
――ググ……ッ
殴ったその腕を掴まれ、大和久は逃げる事が出来ない。
兄「離す訳にはいかないな……せっかく捕まえたんだから」
399
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:05:33 ID:gQD1pVfwO
兄「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
――ドゴドゴゴドゴガガァッ!
大和久「うがあぁあああッ!?」
片腕を掴まれたまま、強烈なラッシュを叩き込まれる大和久!
兄「オラッラアア!」
――ッドゴオォオンッ!!
川上「礼司ッ!!」
勢いよく車のボンネットに叩きつけられたその身体は
一度大きく跳ね、そのまま地面へと落下する…
兄「安心しろ、今のパンチはマッハじゃない…
本気なら今頃全身の骨が粉々になってるぜ?」
大和久「…………」
大和久は全身から血を流し、ピクリとも動かない
川上「そんな……!礼司……!」
兄「殺しちゃいないから安心しなよ。
もっとも、これから先の人生を五体満足で過ごせるかは保証出来ないけどね……さて、と。
さっき吹っ飛ばした一ちゃんを回収して……」
御園「油断するな中条!
まだ終わってないぞッ!」
中条(兄)「……?」
――ガシャッ……
金属が触れ合うような音が背後から聞こえ、中条(兄)が振り向く……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
中条(兄)「これは………
どういう事だ?」
振り向いた先には血を流して気絶している大和久の姿がある…
だが、その傍らには銀色の鎧のあちこちにヒビの入った姿ではあるが、大和久のスタンド……
【オーバーチュアー】がこちらへ向かって歩き出す姿があった……
兄「……本体に意識が?いや、そんな筈は……」
――ズイッ!
一瞬の間にO・Cの顔が中条兄の鼻先まで接近する!
兄「なッ!?(速い…!?いや、今の俺の感覚は音速も捉えられる!ならば何故…?)」
O・C「私を解放してくれた事を感謝するぞ……青年」
兄「…………!」
鎧の欠けた隙間からO・Cの『眼』を見た瞬間、中条兄の全身からは冷や汗が吹き出した…
兄「(これは……ヤバイ……
マジで人間の精神なのか?)」
O・C「怯える事はない……
私は今、非ッ常〜に清々しい気分なんだ
このまま見逃したって良いと思ってすらいる」
400
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:06:57 ID:gQD1pVfwO
兄「……(だが、この距離ならやれるか……!)」
O・C「やめておいた方が賢明だと私は考えるがね……
君がどのような能力を持っていても私には『届かない』…
例え君が光速に達しようが、何だろうが……」
兄「く………!」
ドドドドドドドドド……
O・C「クックッ……
まぁ、そもそも動けないだろうけど」
兄「え……(そ、そういや身体が動かねえ……金縛りにあったみてえな……)」
O・C「さて、と。
そろそろ失礼させていただこうか
せっかくの自由を満喫したいんでね」
――スウゥ……
それだけ言って、O・Cの姿が霞のように消えていく…
――…ドロ……ッ!!
それとほぼ同時に、中条兄の目や耳からは黒ずんだ血液が流れ出す。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
兄「ぐッ……!」
御園「大丈夫か?」
兄「えぇ…ちょっと無理しすぎちゃいました。
やっぱ音速越えはキツいみたいですね…」
御園「……そうか。
だが、これで目的は果たせる
しばらくはゆっくり休めるだろう」
御園の脇に、鎖で両手足をしばられ空中に固定されているいづみの姿があった……
兄「そうですね……」
管尾「一さんを離せッ!」
――ダッ!
管尾がいづみを取り返そうと御園につかみかかろうとするが、
金属の弾丸に腹部をしこたま打ち据えられ、吐瀉物をまき散らしながら悶絶する
川上「………!!」
川上にいたってはその場を動くことすら出来ず、カタカタと小刻みに歯を鳴らしていた……
兄「……彼女たち、万次郎が起きたらこの事は忘れるように伝えてくれ。
それから、そこでノビてるデカいのが起きたら
てめーのスタンドを止めろ、と」
川上「………は、はい」
御園「中条、行くぞ」
兄「はい。
……んじゃ、そういう事で。
君たちもこの事は忘れた方が幸せになれるぜ」
そう言って、中条の兄が先程車を襲った男を担ぎ、去っていった………
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
401
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:07:54 ID:gQD1pVfwO
「………ここは?」
私の名前は中条 万次郎……
さっきまで銀髪コートの男と戦っていたはずであるが
何故か今は病院のベッドに寝かされている……
一体何が起こったのか?
攻撃された後の記憶を思いだそうとするが全く思い出せないのでは、考えても仕方がない。
今のこの状況を正確に把握する事が、記憶を取り戻す最善策であろう。
酷い頭痛がするが何とか起きあがり、身体の様子を確認する。
中条「………うん」
大した怪我は無く、両腕に火傷の処置をしたと思われる包帯が巻かれている程度である。
隣のベッドに目をやると、頭に包帯を巻き寝かされている風呂戸の姿が目に入ってきた
中条「風呂戸……」
さて、これはどうした事か
『病院送りにされた』と、言うことは、一は連れ去られたというのが妥当であろう。
一が連れ去られたと言う事は、あの場にいた全員が敗北したと言うことだ。
さて、ここで選べる選択肢は3つ……
1、一を取り返しに行き、銀髪コートをぶっ潰す
2、一は取り返さないが、銀髪コートはぶっ潰す
3、何もなかった事にして、ケツまくって逃げ出す
3は論外……ありえない
答えは2……!
私自身、一に義理があるでもなくただ単に巻き込まれた形なのだから、あとは風呂戸なり大和久が頑張れば良いのだ。
……だが、一は大和久の知り合いの江藤の治療をしてくれた訳で……いや、江藤と私は面識なぞない訳で……でも大和久の知り合いな訳で……
と、言う訳で全く気乗りしないが乗りかかった船、答えは【4】……!
『江藤をやった殺人鬼を潰して、一を助けだし、銀髪コート野郎もその仲間も全員ぶっ潰す!』
中条「……よし」
私が隣で寝ている風呂戸に気を遣い、小さく気合いを入れたその時
病室のドアをノックする音が響いた……
402
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:09:04 ID:gQD1pVfwO
――コンコン……
――ガチャ……
管尾「あ、中条くん目を覚ましたんだね、良かった……」
中条「管尾……怪我はないかよ?」
管尾「うん、私は平気だよ
だけど大和久くんは……」
中条「……何があったんだ?」
管尾「あの時、中条くんのお兄さんがやってきて……」
中条「兄貴が?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
管尾「……と言う訳なんだ」
中条「兄貴が…そんな……
それで、大和久は……」
管尾「実は……いや、直接会ってもらった方が分かり易いかな。
歩ける?案内するよ」
中条「大丈夫だ、行くぜ」
管尾に案内され、中条は大和久の病室の前までやってき来た。
――ガチャ……
扉を開けると、強烈な西日が飛び込んで来て中条の目眩をさそう
堪えるように目を細め、ベッドの脇に腰掛け窓の外を眺める大和久の姿を確認する
逆光でよく見えないが、座れると言うことは重傷という訳ではないのだろう…胸をなで下ろした中条の気配に気付いたのか大和久がこちらを振り向いた。
大和久「あ……中条【くん】
目が覚めたんだね?」
管尾「……」
中条「中条………くん?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
403
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/10(土) 10:09:51 ID:gQD1pVfwO
投下完了です(^O^)
今回新しく使わせていただいたスタンドNo.314
【スタンド名】 バーン・バーン
考案者:ID:LoNr5bHLO様
絵:ID:OCYV4z900様
No.3998
【スタンド名】リヴィン・オン・ア・プレイヤー
考案者:ID:N9QbwjjL0様
絵:ID:Ianj8Nw00様
No.381
【スタンド名】メタル・ジャスティス
考案者:ID:U4aAuVDnO(自)
絵:ID:NucSYI960様
No.755
【スタンド名】タッチ・ダウン
考案者:ID:wghOvAgLO様
絵:ID:Minmb5iFO様
ありがとうございましたm(_ _)m
いやはやwww(自分なりにですが)詰め込みすぎて駆け足感がものスゴい……
一度に4つの案を新しく出したのはもしかしたら初めてかもしれないです(上手く扱えたかは別としてもwww)
とりあえずラストまでの構想は脳内に出来上がりました
あとは脱線しないように話を書くのとやる気を持続させるように頑張りますwwww
404
:
名無しのスタンド使い
:2011/09/10(土) 16:33:23 ID:0V39Fuac0
更新乙です
misonoちゃんが登場するとは・・・
405
:
名無しのスタンド使い
:2011/09/10(土) 20:08:36 ID:Y.9T8e2U0
乙でし!
比留間さんカッケェなぁ
406
:
◆U4eKfayJzA
:2011/09/10(土) 22:08:29 ID:a9FmAlDE0
あ、あれ? misonoさんって、遥の義父じゃなかったんだ……ちょっと意外。
乙でした!
407
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/12(月) 08:21:54 ID:R1GwhvbwO
お米ありがとうございます(^O^)
>>404
misonoさん
紳助引退の影響で再登場ですwww
>>404
比留間さんはmisonoさんの当て馬になってリタイア予定でしたが……味方が少なくなりすぎてヤバイのでサバイヴしました。け…決して書き忘れた訳じゃあないんだからね!
>>405
はい、違うんですww
JK遥が折り合い悪くて飛び出したのはmisonoさんの家ではないんです
408
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:35:36 ID:q4sl0KV.O
投下します〜
409
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:36:00 ID:q4sl0KV.O
中条「なんだよ……くん付けなんて気持ち悪い」
大和久「君には色々ひどい事を言ってしまったね、どうか許して欲しい」
管尾「……」
中条は困惑していた
姿形こそ自分の知っている大和久なのだが、今目の前にいるこの男は全くの別人である。
良く言えば毒気が抜けた…悪く言えば覇気が無くなっているのだ
中条「てめ……からかってんのか?」
――ズズズズ……
少しばかり脅かして激高させてやろうと、中条はスタンドを発現させ触手で拳を作る
大和久「やっぱり怒ってるよね……本当にすまない」
中条「ざけてんじゃねえぞコラ!!」
――ゴオッ!
M・T・Bが拳を大和久へ向けて振り上げる
だが、大和久はそれに気付いた様子もなく無防備なまま突っ立っている…
――ビッタアァアッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大和久「……?もしかしてスタンドかい?」
中条「てめぇ……ふざけてんのか?
それともマジに見えてねぇのかよ……!」
大和久「……すまない」
中条「……くそッ!」
――ドガッ!
苛立たしげに椅子を蹴飛ばし、中条は病室を飛び出した
病室の前には中条と同じく両腕に包帯を巻いた川上の姿があったが、言葉を交わすこともなく足早に病室を離れる……
病室に戻り、ボロボロの制服に着替え、ナースステーションに退院したい旨を伝える中条の視界の端にコートを着た女が入り込んできた。
一瞬、敵かとドキリとした中条だが、よくよく見ればコートの色もデザインも違う
ビックリした自分を情けなく思いながらも看護師と交渉を続けた中条だが、ふと視線を感じ横を振り向くとコートの女がこちらを凝視している……!
ドドドドドドドド……
中条「……!(やはり、敵なのかよ……!女は色違いのコートか?)」
その時、女が中条へ向かって歩き出した!
410
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:37:35 ID:q4sl0KV.O
――コツコツコツ……
足早にこちらに近づいてくる女を視界の端に捉えつつ、女からは死角となる場所でスタンドの拳を作る……
中条「(女かぁ……能力が効かねえから出来ればやりたかねえな……
病棟の一般人を巻き込まずに撃退出来るか……?)」
――コツコツ…
女は完全に中条の視界に入り込んで来ている
腰近くまでありそうな長い黒髪、が印象的で不覚にも一瞬見入ってしまったのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
中条「(やべ…こんなに近くまで)」
拳に力を込め直し、いつでも殴りかかれるように準備をする……
女「その制服……織須田高校よね?」
中条「……え?」
急な問いかけに言葉が出てこない。
女「私の父がそこで教員してるのよ。
今日学校に行ったらちょいと事件に巻き込まれちゃって……
生徒に怪我させちゃったから様子を見に来たんだけど」
そこまで聞いて、ピンと来た
この女性は上城の娘…
先日会った渡部さんから言伝を預かったのだ
中条「あなたは、上城さんですね……
渡部さんから伝言があります」
女「あら、私の事知ってるのね?
だったら話は早いわ。
同じ日にスタンド使いの学生が二人も病院にいるなんて
関係ないはずが無いわよね?
……矢を持った男に関して何か知らないかしら?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
中条「……渡部さんはその男から手を引くようにと」
女「……はぁ〜、氷室の……いや、違うか。
明菜の入れ知恵ね……
ま、忠告として聞いておくわ。で、君……何か知ってそうな顔してるよね?
その情報くれないかしら?」
中条「いや、だから手を引けって言われてるじゃないですか?」
女「忠告として聞いておくって言ったでしょ?」
女の顔つきが一瞬にして変わる……
411
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:39:04 ID:q4sl0KV.O
中条の背筋に冷たい何かが走る……
中条「……(この女……!
何か執念めいたもんを感じるぜ……狂ってんのか)」
どうやって断ろうかと考えたが、よくよく思い出せば女を止めろとは言われていない。
ただ『手を引くように伝えてくれ』と言われただけである…
それを聞いて尚、相手を追うと本人が言っているのだから伝えてしまっても良いのではないか
また、女もこちらに利益をもたらすような情報を知っているかも知れない。
そう思い至った中条は女に提案を持ちかけた
中条「分かりました……ただし交換条件があります。
実はこっちも厄介な案件を抱えてて…それに協力してくれるんなら知ってる事を話します」
女「分かったわ……
私は遥。上城じゃあ呼びにくいでしょうから、そう呼んでちょうだい」
中条「遥さんですね。
あ…そういえば俺と同じ学校の生徒が怪我したって……」
遥「えぇ…学生証見たら越智って名字だったわね。
今ご両親がこっちに向かってるらしいわ」
中条「越智先輩が…?」
知った名前に中条の表情が固まる。
遥「知り合い?学校で黒いコートの男達に襲われたのよ
で、撃退はしたけど彼は怪我をしてここに来た…って訳」
中条「黒いコート…?
それなら俺たちを襲った奴らと同じ……あの校門にいた二人組か…」
ゴゴゴゴゴゴゴ………
遥「心当たりが?
そいつらは矢と関係してるのかしら?」
中条「……どうなんでしょうかね、僕らも突然襲われたもんで」
?「彼らの正体については私がお話しましょう…」
声のする方へ振り返ると、談話室の椅子に腰掛けた比留間の姿がそこにあった……
比留間「立ち話もなんですから…どうぞこちらへ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
412
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:40:34 ID:q4sl0KV.O
時は少しだけさかのぼり
売店へ買い物にやってきた江藤、田村、橘の三人……
――――――――
田村「兄貴、何にします?」
江藤「おう、適当に何冊か買っておけ
入院生活ってのは暇だからよぉ〜」
橘「……あれ?ここに載ってるのって織須田動物公園じゃない?」
江藤「なに?ちょっと見せてみろ」
橘から雑誌を受け取り目を通す江藤…
江藤「なになに……『特集!天才兄弟お猿、悶々と悶着』?」
橘「へ〜、お猿なのに帽子なんか被って生意気〜」
そこには帽子を被った猿と飼育員の写真が掲載されていた。
田村「あれ…でもこれ、猿の名前は二匹しか載ってないですね?
猿は三匹いますよ」
橘「本当ね、しかもこの猿ギターなんか持って……
こっちの名無しの猿の方が賢そうじゃない」
江藤「よっしゃ、田村
今からこの猿を見に行くぞ!」
田村「え!?今からですか…!?」
橘「無茶よ!そんな怪我で出掛けるなんて」
江藤「この程度の怪我…俺様を縛るにゃあ役不足だぜッ!」
――ガバッ!
江藤は勢いよく車椅子から立ち上がると、そのまま歩いて売店から出ていく。
橘「……そんな馬鹿な……昨日まで面会謝絶だったんでしょ?」
田村「……先輩、単純だから『最先端の治療』ってのでマジで治ったんだよ
プラシーボっつーの?
でも流石だよな〜……」
ボソボソと小声で橘に話しかける田村
江藤「田村ぁ〜!置いていくぞ!」
田村「はい!今行きますッ!!」
――タタタタ……
そうして、一人取り残される橘……
橘「いやいやいや、怪我とか一日じゃ治らないから……
あっ……!待ってよ!私も行くわッ!」
413
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:41:24 ID:q4sl0KV.O
―――――――織須田動物公園
田村「えーと…猿ブースは……あ、あっちです」
江藤たちは動物公園に猿を見に来ていた
前方には人だかりが出来ており、雑誌の宣伝効果は抜群である事を伺わせる。
「悶々と悶着と記念撮影したい方はこちらへどうぞー!」
その声に釣られてますます人だかりは膨れ上がっていく……
江藤「すげぇ人だな…
この町にこんなに人間がいたのかよ」
橘「この町だけじゃないわよ、他の町からも人が来てる」
田村「たかが猿の為にこんなに集まるもんなのかねぇ…」
橘「……分からないの?理由は猿だけじゃあないわ。 見てみなさい、女の人ばかり……」
江藤「……?そういや、そうだな。
どういう事だ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
橘「簡単よ…
あの写真の飼育員が……
イケメンだったから……!」
JOY「皆さ〜ん!どうぞこちらでーす!」
江藤「なるほどな……ま、そんな事はどうでもいい。
俺たちは猿を見に来たんだからな」
田村「ですよね!
え〜…っと白い猿は……」
橘「いた!あそこッ!」
橘の指さす先にはギターケースを背負った白い猿の姿……
だが、一同はすぐに違和感に気が付く。
江藤「……誰も気が付いてないように見えるが」
白い猿は飼育員の足下にしがみつき、色目を使うオールドミスに牙を剥き威嚇している……なのに誰一人として怖がったりもしていないのだ。
橘「よ〜く見るとさ……あの猿ちょっと透けてない?」
田村「て、事はつまり……」
江藤「スタンド……?」
414
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:43:14 ID:q4sl0KV.O
―――――――――
――――――
――――
JOY「そうか、君たちもスタンド使いかぁ」
江藤「も…って事は他にも会ったことが?」
JOY「あぁ、あるぜ。
最初は織須田高の生徒、その次は今日、午前中に襲いかかって来たコートを着た二人組……ま、お引き取りいただいたけど」
江藤「(黒いコート……いや、あいつらは着ていなかったか
殺人鬼の他に別の奴らがいるのか?)」
JOY「今、この町には何かが起きているのは間違いない……
積極的に原因を探ろうなんて気はさらさらねえが、降りかかる火の粉は払いのける……それだけさ。
あ、キャンディー食べる?
イチゴ味しかないけど」
ゴソゴソと鞄からキャンディーの袋を取り出し江藤たちに向けて差し出すJOY。
JOY「禁煙してると口が寂しくってね〜…」
橘「あ、いただきます。
それで、そのコートの奴らって何か言ってました?」
JOY「ん〜…?」
袋から取り出した黄色い飴玉を口の中に放り込み、JOYは橘に向き直る。
JOY「確か…一の味方になりそうな奴は潰すとか……
あと、君らと同じ織須田の生徒で大和久って奴の名前が出たな。
ハハッ、何したんだろうな?」
江藤「大和久……?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ………
知った名前に三人が一瞬だけ固まる。
田村「兄…先輩、あいつが関係してるって……」
江藤「あぁ……っとに、アイツは揉め事に好きらしいな……」
橘「…………」
JOY「あ、知り合いだったかい?
まぁそれはそうか…スタンド使いは引かれ合うらしいから。
」
――シュンッ……!
江藤「…!?」
JOY「お、どうしたアクモン?」
突然、JOYの肩に白い猿が現れ何事か耳打ちしている…
田村「(いや、内緒話っつーか猿語分からないし)」
橘「(あ、でべそ可愛い)」
猿の耳打ちを聞いたJOYの表情が一瞬で険しくなる……
江藤「…?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
JOY「もう少し話したいけど、残念ながら来客だ。
黒いコートの女が入園してきたらしい……」
415
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:45:28 ID:q4sl0KV.O
ゴゴゴゴゴゴゴ………
田村「ま、まさか…殺人鬼の仲間?」
橘「どちらにしろ敵って事でしょう?」
?「あら?敵とは限らないわよ」
一同「えッ!?」
全員の視線の先には、黒いコートを着た女が腰掛けている
年の頃で言えば17〜8
江藤達とさほど変わらないように見える。
だが、その身に纏う気配は驚くほど禍々しい……
JOY「血の臭いがする……
お前、人を殺した事があるな」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
JOYの問いに眉一つ動かさず女は答える。
女「あるわよ。数え切れないくらいね」
江藤「……!」
女「そんなにこわばらなくても良いわよ。
今日はそこの天パに用があるだけだから
私の名前は上野讓華……
国家転覆をもくろむ組織『アガペー』の構成員よ」
江藤「あ…あがぺい?」
JOY「【神の愛】とはまた大層な名前だな……
神は人殺しを認めてんのか?」
上野「ふふ……さぁね、知らないわ。
私達は邪魔者を消す係だから殺すだけ。
それで、あんたを殺しに来たって訳よ」
江藤「(コイツ……あの中島って野郎と同じだ
負ける筈がないと思ってやがる……!)」
JOY「なるほどなぁ… だけど、俺にはあんたらと闘わなきゃいけない理由もない」
上野「そちらにはなくてもこちらにはあるの。
一いづみに関わったスタンド使い…それとそいつらに関わったスタンド使い……
勧誘が無理なら殺せと命令が出てる。
あなたは前に、こちらの仲間を二人やってるわよね?
そっちの三人はどうするのかしら?
私と一緒に来る?」
江藤「行く訳ねぇだろ…!」
田村「お、俺もだ!」
橘「同感ね」
上野「………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ………
上野「ま、仕方ないわよね。
四人とも死んでもらうとしても、今回は楽しみたいのよねぇ
二人を一人で退けたあんた(JOY)……どの位強いのかしら?」
416
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:47:00 ID:q4sl0KV.O
――ゴオッ!
女のスタンドが一瞬で現れ、その拳を繰り出す!
JOY「アークティック・モンキーズ!」
アクモン「ムヒーッ!!」
――ドガシイィッ!!
JOYもスタンドを繰り出し、それを受ける
ドドドドドドド……
受け止めたその腕は水晶の様な輝きを放ち、JOYの顔を映し出している……
JOY「(近距離パワー型…それでわざわざ近くまで接近してきたのか
だがこの腕……この女の能力は何だ?)」
――ドゴオッ!
JOY「うげッ!?」
上野本体の拳がJOYのみぞおちに突き刺さる…
上野「今、私の能力を思案してたわね。
その冷静さは買うけど、注意力散漫よ?」
JOY「う…ぐ……(なんだ?このパワー……折れっちまいそうな程細い腕なのに…)」
上野「ちなみに、今私がナイフを持っていたら、あなたは死んでいました……あんまりがっかりさせないで」
江藤「田村ぁ!橘!
下がってろッ!
セクシャル・バイオレット!!」
S・B「バルバルバルバルバルバルーーッ!!」
――ドバババババババッ!!
上野に対し、猛烈な勢いで殴りかかる江藤だが
上野に触れることすらかなわない……
――ブオンッ!
上野「よっ」
――ブオンッ!
上野「ほっ」
――ブオンッ!
上野「はっ」
江藤「……!(当たら……ない?)」
上野「てんで話にもならないわ。軌道が単純で避けて下さいって言ってるようなもんね
………クリスタル・エンパイアッ!」
417
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:48:12 ID:q4sl0KV.O
――ドバギイィイッ!
江藤「ぐッ!」
――ズザザ……ッ
拳を肩で受けるが、そのまま力で押し込まれ
江藤の身体が後ずさりする
ドドドドドドドドド……
江藤「痛っってえぇッ…!何てパワーだ!」
田村「先輩ッ!」
駆け寄ろうとする田村を江藤は手を突きだして制する。
江藤「…怪我だらけの体じゃあキツい相手だが……
男江藤…女なんかに背中を見せる訳にゃあいかねぇんだ!」
そう言った江藤の服からは赤色が滲みでている…
田村「古傷が開いたのか……!先輩、ここはいったん逃げましょう!」
江藤「へっ、馬鹿言うな……!俺様の辞書に『敗北』の字はあっても『逃走』の二文字はね………え?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
上野「なんかに……?」
青筋を立てたその顔に先程までの余裕は無い…
『悪鬼』
そう形容するのが何故だか田村にはしっくり来た。
江藤「へ……女と言われて怒ったのよ」
上野「てめ〜、今この髪型を『蟹』っつったなぁッ!?あぁん?」
江藤「いっ!?…言ってねえしッ!!」
上野「いいや!確かに聞こえたぞッ!
食べてると無口になるとか!
高足蟹可愛いだとか!
北海道はでっかいどうだとか!
確かに聞こえたぞッ!!」
――ヅカッ!
上野「今また二回言いやがったな!!」
江藤「てめぇが言ったんじゃねえか!」
大股で江藤に近づく上野…
先程とは打って変わって、隙だらけである……
上野「てめえは100万回ブッ殺すッ!C・E!!」
――ドヒュウゥウッ!!
418
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:49:30 ID:q4sl0KV.O
両腕を使い挟み込むかのように同時に放たれる左右のフック
地獄のハサミの様な攻撃を江藤はスタンドの腕を上げて受ける!
――ガシイィイッ!!
江藤「(とんでもなく素早いって訳じゃねえ……
さっきも今もガードが間に合ったんだからな……
だが……このパワーは……!
ちょっとでも力を抜いたらもっていかれちまう!)」
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
上野「おらおら、どうしたどうした?
プルプルしやがって…小便でも漏らしそうなのか?あ?」
――ブシッ!
江藤の腕や腹から血が吹き出る!
上野「その傷、中島にやられたんだってなぁ?
……ん〜悩むなぁ〜〜
両手の使えないてめーの腹に手ェ突っ込んではらわた引きずり出すか…このまま金玉を蹴り潰すか……」
江藤「おいバカやめろ」
上野「決めた…!はらわた引きずり出して金玉も潰すッ!」
――グオォ!
身動きのとれない江藤に上野が迫る!
上野「もらったあぁああああッ!!」
江藤「ひいぃいいいぃッ!?」
「ムヒー!」
上野「ッ!!」
――ゴオッ!
突進する上野めがけて、江藤の腹から拳が突き出される!
JOY「(もらった!完璧なタイミング!)」
上野の体は充分に加速しており、急には止まれない。
仮に止まれたとしてもパンチを避けるなどは不可能かと思われたが……
――ブオオォンッ!!
A・Mの拳が空しく宙を切る。
JOY「馬鹿なッ!」
江藤「なん……だ!?」
419
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:50:41 ID:q4sl0KV.O
目の前にある異様な光景に一瞬絶句する
ボクシングには、腰から上…つまり上半身を後ろに反らせてパンチをかわすスウェーと言う技術があるが
それに似ているようで全く違った……
上野の体は腰から上ではなく、膝から上全体を反らせていた
普通であればその状態を保てるはずはなく、後ろへ仰向けに倒れてしまう。
だが、上野はその状態で静止しているのだ
田村「マトリーックス!!」
橘「気持ち悪ッ!」
ドドドドドドド……
上野「城嶋丈威……赤に潜り込む能力だったわね。
一瞬びっくりしちゃったわ
だけど無駄だったわね」
JOY「……!」
上野「待っててね…
このハゲをぶっ殺したら次はてめえだからなぁッ!!」
江藤「(やべええぇええ……!
このままだと潰されるッ!
何か……何か手は……!!)」
頭をフル回転させて状況を打破しようとする江藤の脳内にある妙案が浮かび上がる…
江藤「(これならあるいは……いや、でも流石にこれは……)」
そうこう思案するうちに、上野が起きあがろうと顔を上げる……
ギラついた目につり上がって歪んだ口元……
その顔を見た瞬間、江藤は「こいつを起きあがらせてはいけない」と感じた……!
江藤「セ……セクシャルバイオレットオォオオッ!!」
S・Bの腕が江藤自身を隆起させると右腕が消える。
それと同時に、右腕という盾に阻まれていたC・Eの拳が江藤に向かって突き進み始める!!
JOY「え!?」
田村「……先輩ッ!」
橘「 」
――ドゴッシャアァアアアアッ!!
420
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:52:51 ID:q4sl0KV.O
江藤「うがッ!」
上野「ぐあっ!?」
――ゴロゴロゴロ……!
一瞬早く、江藤の攻撃が上野を捉えた
幸い江藤に大したダメージはなく、逆に上野は突き飛ばされゴロゴロと地面を転がり地面を舐める。
上野「な……何が起きたッ!?」
何が起きたか理解出来ないままにゆっくりと立ち上がる上野……
そんな彼女が目にした光景は………
――ドンッ!
田村「さすが先輩……!」
――ドドンッ!
JOY「でかっ!」
――ドドドンッ!
橘「最低…………ッ!」
江藤の股間が1m以上隆起し、そそり立っている…!
上野「んな……!?」
――ズキ……
下腹部に違和感と痛みを覚え、ゆっくりと確認すると……
股の間にアザが出来ている……
上野「……!!」
――ザワ…!
場の空気が一瞬にして重々しいものに変わる。
江藤「(やべ…)」
その場にいる誰もが惨劇を予見したが
それは上野の携帯電話の着信によって遮られた
上野「ちっ……
………はい上野。
……はぁ〜、分かったわよ
……はいはい、それじゃあ今から向かうわ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
JOY「……?」
江藤「……?」
――……ピッ
携帯を閉じ、江藤らへ向き直る上野に先程までの凄みは消えている
上野「と、言う訳だから。
これで失礼させてもらうわね」
田村「ど…どういう訳なんだ?」
上野「一いづみの確保……それに伴う護衛スタンド使いの撃退。
あんたらは危険リストには入ってないから放っておけって命令よ……
それでもあんたらがやる気なら私は一向に構わないけど?」
江藤「……いや、遠慮しておこう
このままやっても勝てる気がしねぇ」
上野「それが賢明ね。
……これから歴史に残る大きな事件が起こるわ
邪魔をするつもりなら次は確実に殺すからね」
421
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:54:18 ID:q4sl0KV.O
それだけ言うと、上野の姿が一瞬にして消える……
ゴゴゴゴゴゴゴ……
橘「消えた……?」
JOY「何だったんだ一体……」
田村「……とりあえず僕らは先輩を連れて病院に戻ります。
城嶋さんはどうしますか?」
JOY「あ〜……何か折れてるっぽいんだよね、アバラが。
俺も病院行くわ、ちょっと上司に報告してくるから先行っててくれるかな」
江藤「田村……肩貸せ」
田村「あ、はい!」
橘「じゃあ、先に病院に行ってます」
ペコリと頭を下げ、江藤たちの後を付いていく橘を見送るJOY……
JOY「………アクモン」
アクモン「ムヒ?」
呼び声に反応した白猿がJOYの顔を見上げる
JOY「彼らに憑いて行ってやってくれ。
俺は由加里の会社に行ってくる」
アクモン「ムヒッ!ムヒー!」
JOY「大丈夫。あの女の言うことが本当だとすると
由加里がそこに行かなきゃいけない可能性が高いから、注意しに行くだけだよ」
アクモン「ムヒヒッ!ムヒーー!ヒ!!」
JOY「ん?あぁ〜、俺の心配か……
心配すんな、いざとなれば『コレ』がある」
そう言って、カラフルな袋を取り出しイタズラっぽく笑うJOY
アクモン「ムヒ……」
白猿は心配そうな眼差しを主人に送るが、その主人に促され赤い自販機に飛び込んで消える。
JOY「何か……とんでもない事が起こるかもな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
422
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/23(金) 22:55:58 ID:q4sl0KV.O
投下完了です(^O^)
新しく使用させていただいたスタンド
No.217
【スタンド名】クリスタル・エンパイア
考案者:ID:r1cdID/p0様
絵:クッキーさん……ですよね
ありがとうございましたm(_ _)m
なんかジョン万達はいつも病院にいるような気がする……www
ホントは2回かけて更新しようと思いましたが諸般の事情により駆け足更新となってしまいましたwwwごめんなさい
とはいえ、これで終わりに向けて進めます
423
:
名無しのスタンド使い
:2011/09/24(土) 01:21:31 ID:C4jfyh9MO
更新O2/DC!
アクモン対クリエン……他SSの主人公スタンドの戦いマジ胸熱でした!
424
:
◆U4eKfayJzA
:2011/09/24(土) 08:14:59 ID:U30aQtKQ0
更新乙でし!
カニを隆起させたち○こで思いっきり突くだなんて、江藤はオリスタの伝説になりそうな予感www
425
:
名無しのスタンド使い
:2011/09/24(土) 10:58:19 ID:1xtiv8X.0
更新乙でs!
ジョン万遥は黒髪ロングなのか…胸熱
426
:
◆R0wKkjl1to
:2011/09/24(土) 19:54:09 ID:tUleNSsUO
みなさまお米ありがとうございます(^O^)
>>423
正直、消化不良でしたが再戦予定ですのでそちらで決着をつけさせていただきます
>>424
やり放題やってしまいました……
思いつきで書いた事なので実は入ってたとかそういう天海はありませんww
>>425
個人的な好みと言うかなんと言うか……
前髪パッツン黒髪ロングは正義
髪型だけで軽く3杯はおかわりいけますwww
427
:
名無しのスタンド使い
:2011/09/25(日) 06:30:48 ID:OMGstaQgO
バッ(゚Д゚=゚Д゚)バッ
(´・ω・`)ホッ…ジョン万だた…
黒髪パッツンロングはるかたんハァハァ
イラスト化されないかな〜…(チラッ
428
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:30:01 ID:VGGonkzkO
>>427
どこだと思ったのですか?www
黒髪ぱっつんロングは個人的な好みです
では、投下していきます(^O^)
429
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:31:01 ID:VGGonkzkO
比留間「あの黒いコートの連中については、あらかた調べがついています。
彼らの名は『アガペー』
神の愛と自らを称する組織です。
構成員の数も不明……目的も、拠点もよく分かっていませんが
ハッキリしている事が二点。
いづみ様を利用しようとしている事と……
彼らの指導者は『御子神 仁』と呼ばれる男」
中条「御子神……?」
遥「知ってるの?」
中条「知ってると言うか……大和久を矢で刺した奴が同じ名前でした」
ゴゴゴゴゴゴゴ………
遥「なるほどね……じゃあこれで、私とあなた達は共通の敵を持つ味方ってのが確定した訳ね
……やっぱ矢はロクな事に使われないわ」
中条「……?」
遥「ま、いいわ。
続けていただけるかしら?」
談話室のテーブルの上には人数分の紙カップコーヒーが湯気を立てて置かれている。
比留間はそれを一口すすると意を決したように話始める……
比留間「それで、実は……
いづみ様のお父上『一 九十九』様と仁さ……いや御子神は
双子の兄弟なのです」
中条「え……?
あのオッサンが大臣の兄弟……?
はっ!んな馬鹿な……」
大和久「いや、嘘じゃあない」
視線を横へ送ると入り口には大和久の姿……
中条「大和久、動いて大丈夫なのかよ?」
大和久「大丈夫だよ……それより僕も話を聞かせてもらっても?」
比留間「構いません」
遥「根拠はあるのかしら?」
大和久「一度だけ、一大臣に会った事があって……
その時、御子神さんと近いものを感じたんです」
遥「そう……
あぁ、そういえば今日、国会の会議の様子が中継されるのよね
一大臣も出るかもしれないし、TVを見てみましょうか」
――ピッ……
TVの電源が入ると、にわかに談話室が騒がしくなる。
遥はコーヒーを口に含みリモコンのボタンを操作すると、画面には討論をする政治家の姿が映し出された………
430
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:34:26 ID:VGGonkzkO
「先生、そろそろ行かれませんと……」
机にだらしなく足を放り投げ、プカプカと煙草を吸う男にカッチリしたスーツを着て書類を持った女が声を掛ける。
「分かってるよ……別に俺が参加なんかする必要もないんだがなぁ」
「そう言うわけにはいきません。
大臣が欠席などしたら、他に示しがつきませんし今後の支持率にも関わる恐れも……」
「はいはい…分かりました。
行きますよ……っと
君は本当に優秀な秘書だな」
「いえ、天下の一大臣の秘書なのだから、これ位は当然です
……それから」
――ピッ…!
秘書は一の口からくわえっぱなしの煙草を掴み取る。
「控え室内……いえ、議事堂内は禁煙です」
一「はいはい」
「では、参りましょう」
――ガチャ……
秘書が前に立ち、控え室の扉を開ける。
控え室から階段を降りて本会議場へ向かうのだが、
扉を出て階段へ向かおうとした時……見慣れない男が階段の降り口に佇んでいるのが見える。
薄汚れたコートを身につけ痩せこけた頬を見ると浮浪者にも見えるが、そもそも浮浪者がこんな場所に入ってこられる筈はない。
「ちょっとあなた!ここで何を……」
そこまで動いた秘書の口は、一の手により遮られる。
一「構わない。俺の客人だ……
少し外してくれ」
「は……はい。ですが……」
一「会議には間に合うように済ませるさ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
一「……久しぶりだな、仁。
兄弟ってのは不思議なもんで、顔が変わっていても一発で分かったぞ
整形したんだな」
御子神「ハハ…ッ、とっくに調べはついてるだろうに……
元気そうで何よりだよ、兄さん」
431
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:35:16 ID:VGGonkzkO
ゴゴゴゴゴゴゴ………
御子神「煙草……もらっても?」
お互いの腕が届くほど近くまで接近する二人
一「あぁ……だが、煙草なんか吸って大丈夫か?」
御子神「どうせあと数ヶ月の命だ……気にすることはないよ」
――カチッ
受け取った煙草に火を着け、大きく息を吸い込み紫煙を吐き出す御子神……
一「お前……いづみを誘拐して何をするつもりだ?」
御子神「いづみは『私の』娘だ……」
一「は……お前、何を言って……いづみは俺の………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
432
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:36:12 ID:VGGonkzkO
―――――――40年前
「おぎゃあ!…おぎゃぁ!」
とある病院で二つの産声が、上がった。
「おぉ!産まれたかッ!」
「一様、おめでとうございます!
双子の男の子ですよ!」
「一家の家督は代々長男が継ぐ事が決まっている。
弟の方に用は無い……
それより早く先に産まれた子供に会わせろ!」
「まだ産後の処置中です、もう少しだけ……って!」
執事らしき人間の制止も聞かず分娩室に飛び込む身なりの良い男
その視線の先には羊水にまみれ、毛布にくるまれたばかりの赤ん坊が二人……
「どっちだ?どっちが先に産まれた?」
看護師が一人の赤ん坊を指さすと、男は愛おしそうにその赤ん坊を抱き上げる
「お前の名前は……そうだな
『九十九』にしよう。
一家が九十九代…いや未来永劫繁栄するように!」
「あなた……もう一人にも名前をつけてあげて下さい……」
出産直後の母親が髪の毛を頬に張り付けたまま、力なく懇願するが男は全く興味が無い様子で
残されたもう一人を一瞥する。
「知った事か……お前が適当につけてやれ」
母親「……そう……ですか」
―――――この日産まれた双子の兄弟……
兄は父により『九十九』
弟は母により『仁』と名付けられた。
兄、九十九は幼少期よりありとあらゆる英才教育を父の手により施され
逆に弟、仁は父からは無視されるようにして育った。
そのせいか、小学校に上がる頃には二人にはっきりとした性格の違いが現れていた。
兄が陽ならば弟は陰……
433
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:37:22 ID:VGGonkzkO
引っ込み思案で、何かにつけて自信なさげな仁はいじめっ子の格好の標的となっていた。
だが、快活な兄がそれを黙って見過ごす事はなく
いつもいつも、仁は兄九十九によって守られていた
そして、二人が10歳を迎える少し前に母親が急逝……
七七日を終えた次の日、仁は
一家と親交の深い『御子神家』に養子に出される事となる。
仁が後から聞いた話によれば、男子のいない御子神の家は仁が産まれた時から養子に欲しがっていたらしい……しかし、母親が最後まで首を縦に振らなかったと。
かくして、父に愛されず、最愛の母を失い、頼りにしている兄とは引き離されて、仁は御子神家の人間となった。
比留間「それでは……仁様を宜しくお願い致します」
家主に深々と頭を下げ去っていく執事を見送る仁。
あぁ、僕は完全に捨てられたんだ
暗く落ち込む少年の心には、家主の言葉など全く届かなかった。
上の空で案内される部屋を見て回る
だが、ある一つの部屋に案内された瞬間、少年は現実に引き戻される。
暗く、尽きる事の無い空想から文字通り『強制的に』引き戻されたのだ。
「ここが私の娘『鏡花』の部屋だよ……鏡花!入るぞ!」
――ガチャ……
「雷光石火アァアッ!!」
仁「えッ!?」
――バキャキャバキイィイッ!!
扉を開けた途端、目にもとまらぬ攻撃が仁を襲う。
仁「はぶべっ…!」
「こらッ!鏡花ッ!
いきなり殴りかかるなんて何を考えてるッ!!」
仁「へ……平気です」
鏡花「ただの挨拶よ、本気じゃないわ
雷光石火はポタモンのピカチュミの必殺技よ?
一瞬で眉間人中喉仏鳩尾金的を攻撃するの」
「そういうのは挨拶とは言わんッ!鏡花、こっちへ来い!」
――グッ!
鏡花「離してよ!くそジジイッ!」
父親に腕を掴まれ部屋から引きずり出される鏡花…
すれ違いざま、仁に向けてアッカンベーをしてみせる。
「お前は何でいつもそうなんだ!」
喚きながら連れられていく鏡花を見送る仁。
彼の体には傷一つ付いていない……
434
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:38:13 ID:VGGonkzkO
仁と九十九は母親を無くしたその日から、ある能力に目覚めていた。
兄、九十九には未来を変える能力
弟、仁には過去を変える能力……
どういう経緯でこの能力を得たのか仁は知らなかったし、興味もなかったが
前を向いて生きている兄には未来の力
後ろを向いて生きている自分に過去の力
能力の割り振りに関しては自分にお似合いだと思っていた。
それから仁は、能力を使って母を蘇らせようと能力の開発に必死に取り組んだが
どう頑張っても『10秒』
それ以上前の過去は変える事が出来なかった。
そうこうするうちに御子神家に養子に出され、鏡花と出会った………
―――――――――――
それから……紆余曲折の末、いつしか二人は血の繋がりが無いとはいえ
姉弟でありながら恋仲となっていた。
しかし、二人の仲はある男により引き裂かれる事となる
その男とは『一 九十九』
仁の兄でる。
かねてより一家と親交のあった義父にとってみれば願ってもない話で、
娘が一家に嫁げば自分達も、一族の仲間入りを果たし
男子が産まれれば、次期当主の祖父となり更に力をつける事が出来る。
鏡花がその話を拒否する事は許されなかった
435
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:39:07 ID:VGGonkzkO
鏡花「………ねぇ、二人で逃げようか?」
その問いかけに、仁は読みかけの本を閉じ鏡花へ向き直る。
仁「……逃げるって、どこに?」
鏡花「さぁね…どこか遠い場所」
仁「……やめた方が良い。
君は兄さんと一緒になるべきなんだ」
鏡花「本心で言ってるの?」
仁「本心も何も……
俺と君は姉弟なんだ、一緒になれる訳がないんだよ」
鏡花「でも血は繋がってないわ。
二人とも成人してるのよ」
仁「そうじゃあない、義父さんの立場も考えないと……」
鏡花「私はあなたの考えを聞いてるのッ!
お父さんとか、一家とか御子神家とか……そんな事聞いてるんじゃない!!」
――バンッ!!
激高し、テーブルを強く叩いた拍子にカップが床に落ちる。
無音となった部屋にはコップの割れた音の余韻だけが残っていた……
やがて、仁が重い口を開く
仁「俺だって……君と一緒に逃げたいさ。
だけど、一と御子神の名を捨てて、君を幸せに出来るのか?
兄と結婚すれば君は一生何不自由ない生活が送れるんだぞ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
鏡花の顔が仁のすぐ側に近づく……それこそ、先程まで彼女が飲んでいた紅茶の匂いまで確認出来るほどに。
鏡花「……あなたとじゃなきゃダメなの。
同じ顔、同じ声の別人と暮らすなんて私には耐えられない」
ハッとして顔を上げる仁に、鏡花はイタズラっぽく微笑む……
鏡花「何てね……冗談よ。
私だって分かってる。
どうするのが一番かって事くらいはね。
……それじゃ、おやすみなさい」
――……バタン
部屋に一人残された仁はテーブルの上でまだ温かな湯気を発しているカップを両手で包むようにして持つ。
彼女の残していったそれを一口で飲み干し、頭にこびりついたある考えを洗い流そうとしたが全くの無駄であった
436
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:40:06 ID:VGGonkzkO
御子神 鏡花は可愛らしく、美しい女性だった。
成人しても幼さを残す顔立ちに好き嫌いは別れるだろうが
パーツのバランスが驚くほど絶妙で
各々が各々を引き立てている。
いつだったか、朝食に出されたモツァレラチーズとトマトの様だなぁ、などと仁は思っていた。
その事について少し思考を飛躍させると、調和された美と言う言葉にたどり着く。
……ギリシャ神話ではその美しさを神に見初められ、神の子を宿す女性が登場するが
神に見初められる女性というのはああいう顔をしているのかもしれない。
そんな空想をしていて、気が付けば1時間以上時間が過ぎていたりした事もあった。
とは言え、何の欠点もない人間などこの世にいない事もまた事実で
鏡花に関して言えば性格に問題があった。
育て方に問題があったのか
生来持ち合わせたものなのか
彼女は『どこか感情が欠けているかのように他人の痛みが分からない』ような言動をとるのだ。
そんな時の、彼女の表情は恐ろしく冷たく……また、際だって美しく見える。
そして先程、仁に見せた表情がまさにソレだった。
仁「同じ顔……同じ声……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
437
:
◆R0wKkjl1to
:2011/10/03(月) 18:40:56 ID:VGGonkzkO
次の日の早朝、一家の門を叩く仁の姿があった。
出てきたのは、遠い昔に自分を御子神家へ連れていった執事、所々白髪の混じった髪を見ると自分が鏡花と過ごした年月の長さを知らされた。
積み重ねてきた幸せとこれから手放さなければならない苦しみに、仁は声を出せずにその場に立ち尽くしていた。
比留間「こちらへ……九十九様がお待ちです」
促されるままに、広間へ通されると、そこには九十九の姿があった
九十九「久しぶりだな、仁」
仁「兄さん……」
無意識に服の中に仕込んだ包丁の場所を確認する仁。
九十九「一体どんな用だ?
お前からわざわざ訪ねてくるなんて、余程の用なんだろ?」
仁「実は……」
九十九「いや待て!
双子の兄弟なんだ、当ててみせよう!
……そうだな、金か?」
仁「違う……」
九十九「違うか……ま、そりゃそうだな。
じゃあ、やっぱり『コレ』の事か」
その声を合図に奥から捕らえられた鏡花が姿を表す……!
仁「鏡……花?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
九十九「夜中に突然やってきたかと思えば、俺を殺そうとしたぞ」
九十九「まったく、大した女だ……何が何でも俺と結婚したくないらしい」
だが、九十九の言葉は仁に届いてはいなかった。
鏡花の姿を見た瞬間、頭を鈍器で殴られたような衝撃が彼を襲い、目の前が真っ暗になっていたのだ。
そうして彼は、鏡花のあの顔がどうして美しいのかを理解した。
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