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【イベントB】欲望渦巻く魔都・異能都市【その9】

1名も無き異能都市住民:2014/09/08(月) 21:21:41 ID:9nrcReK60
<<ルールとか>>
・ここは、各スレでなんらかのイベント・クエスト・戦闘が発生した場合に使います。
・雑談も可能ですが、日常の範囲で済むかどうかは各自で判断してください。
・クエストスレはA・B・Cの3つがあります。開いている場所ならどこでも使って構いません。
・逆に、使用中の場合は混乱の元になりますので、同じクエストスレで2つのクエストを進行させることはやめてください。
・クエストで使われている場所を、クエスト以外のスレで使うことは『構いません』。
 時間軸が異なる・平行世界である、など解釈は自由です。
・またクエストスレと他のなりきりスレに、同時に現れることは『構いません』。
 ただしそれによって起こり得る弊害は自力でなんとかしてください。
・GM役をあらかじめ決めておくとスムースにことが運ぶかもしれません。
・識別をしやすくするために、トリップをつけると幸せになれるかも。

前スレ
【イベントB】折れた翼と恋の異能都市【第八話】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12841/1302460867/

359焔リンネ:2019/03/06(水) 03:25:08 ID:ciGK1LWQ0
>>358

「私は、ずっと、一人で。
 頼り方なんて、わからない、ですけど……」
あの時は、必死だった。
一人で抱え込んでいたのを、初めて独りにしてくれなかったのがあのひとだ。
泣きじゃくって、縋りついて、必死だった。助けてほしいって願った。

「あなたたちなら、こうやって、今みたいに。
 自分をだしていけるような気がします。だから、すこしだけ、頼れるかもしれません」
テレビのニュースや、クラスメイトが話している雑談が耳に入ってきたりして、取り入れる情報は、どれも不可思議なことばかりだ。
力に関していえば自分もそれらに負けないと思うが、逆に話には上がらないようにしないといけないとは念を押されている。
大事なのは、誰もかれもが得意を抱えているということなのかもしれない。だからこそ、お互いがお互いを知らなければいけないということかもしれない。
そんなことに今更気づいて、ふと、笑みがこぼれる。
「だから……おかえりなさい」
だったら、もう少し、他人を知ってみるのもいいのかな。なんて。

リンネがアーリルに対して苦手意識を持っていたのは、アイリスの面影を感じていたからだ。
事情を知っているならば、尚更。その後の愚行が、彼の想いをどれだけ裏切ったことか。罪悪感に苛まれていた。
だが、それを今一度許してくれるなら、こんどこそ。

「……今日、ですか?」
きょうだいから姉妹となった二人のやり取りが微笑ましい。
アーリルの慕う姿は、血の定めなんか関係ない、普通の姉妹のように映る。
そんな中で、夫コ聞こえた問いかけにぽつりと返し、ブレザーのポケットを探る。
生徒手帳だ。巻末にはカレンダーが付いていたはず。「ここです」と日付を指して見せた。

360名も無き異能都市住民:2019/03/06(水) 18:46:24 ID:ORmT3UkU0
>>359
『それほど時間が経っていたのか。』

アイリスは、自分が命を捧げてから経った時を聞いた。
時間の差異はあればあるだけ情報の取得が手間になる。今までの都市の出来事。大小の差はあれど、大凡変わりないものだろう。
毎日が事件、事故。それからアーリルが持つ情報の確認や城の確認。考えば時間が足りない。
まあいい。それは追々。
アイリスはリンネの愚行については行動も含めて、何も言うつもりはなかった。
リンネにとっては約束でも、アイリスにとっては警告だったからだ。意図して重く伝えたところはあったが…

『なら、今日は誕生日と記念日にしないかな。彼――で良いのかな。それとも彼女か。
 僕にはわからないけれど誕生日にしてさ。それから、今日は君が前を向き始めた記念日。』

「アヌビスさんです。姉様。」

『アヌビス、の誕生日だね。』

リンネに懐く様子を見る限り、雌雄どちらとも見えてきた。リンネに甘える様子を見れば尚更だ。

『僕たちにはもちろん頼ってくれて構わない。ある程度の力にもなれるつもりだしそれなりにネットワークもあるからね。
助けて。ただ、一言で良いんだよ、リンネ。どうだい?簡単だろう?』

恋の悩みは僕たちには難しいと思うけれど、と、箒の様な髪のまま、アイリスは笑った。

『君が少しでも他人に興味を持とうとするのは嬉しく思う。今までは君は自分の殻に閉じこもってきた。
 でも、他人を少し知ろうとしているんだからね。大丈夫、怖くなんてないよ。勇気を出して話しかけてご覧。
 君は一歩を踏み出す勇気をもう持っているはずだ。』

アル、髪を頼むよ。と言えば、アーリルはアイリスの髪を後ろにまとめ上げる。
僅かに髪を緩めているのは少しでもオシャレ感を出すためか。赤い目が露わになった。

『ああ、そうだ。リンネ。未来視を極力使用しない様にする気はあるかな?
未来なんて、知らないから楽しいし、楽しみでもある。未来を知ってしまうと、きっと楽しくない。
 このように考える方が前向きになると、僕は思うよ。それに、君もこんなところに来ないだろうし、ね。』

アイリスは未来視を持っていないのでわからない。
勿論、未来を知るメリットは計り知れない。だが、未来がわからないからこそ、今日を過ごし、明日の楽しみができるのではないか。
アイリスもアーリルも未来視を持たない。だから、今日を過ごすし、何かが起きれば自分にできることをする。
人というのはそういうものではないだろうか。
アイリスは■を見て、そう思えた。それが人だから。

――ただいま、リンネ。ずいぶんと待たせてしまったけれど、僕は此処にいるさ。

361焔リンネ:2019/03/07(木) 22:14:18 ID:ciGK1LWQ0
>>360

「誕生日……。よかったですね、アヌビスさん」
所詮、炎の塊であるそれは感情を表現するそれを持たない。
しかし、リンネとは通い合うことが出来るようで、撫でる手に穏やかさが、頬には明るさが出ていた。
「それから、私にも。
 簡単……。まだ、誰かに助けを求めるのは、難しいかもしれませんけど。
 アイリスさんとアーリルさんにだったら、お願いできるかもしれません」
リンネは物心ついてから孤独。そのせいか内向的で、外に対しても自ら壁を作ってばかり。
人と離すことなんて、学内のちょっとしたやりとりや買い物の途中の事務的なことが殆ど。
そんな少女が、はにかみながら出した結論。少なくとも、恋の相談はまだできそうにない。
「……はい。頑張ってみます。もっと、色々な人と……」
知らない人と話すのは、まだちょっと想像が付かないでいる。
自分から話しかけたことなんかも、ほとんどないから、どうやって話すのが良いんだろうか、とか考える。
そして気づく。今既に、昨日までの自分では考えもしなかったことを心配している。そして、それが少し楽しみにも感じているということに。

「未来を……視ないようにする?」
未来視を持たない者達が、未来視をよく理解できないように。
未来視を持ち活かしてきたリンネには、それに頼らないようにするというのは想像が付かない。
どうすればいいのか、判断に迷ったときは未来に従うことすらあった。今日の様に。
当たり前のように用いてきた力に頼らないとするのは難しい。
「それも、頑張ってみようと思います」
ただ、アイリスが言うなら、やってみようかな。と思っていた。

362名も無き異能都市住民:2019/03/07(木) 22:44:18 ID:ORmT3UkU0
>>361
『すぐになんて出来ることじゃないけれど、一回できたんだ。
 次からは簡単なんだ。何も、難しいことは無い。』

アイリスは笑みを浮かべて、目の前のリンネの心の成長に感心していた。
リンネは内向的な子、と想像するのは難しくない。
だから、自分の心は良く分かっているはずだ。だが、それは分厚く、固い殻であるとも言える。
『自分の芯』がブレないという意味では素晴らしいことだが、多少内向きに向かいすぎているとも思える。
何か、自分の殻を打ち破るきっかけがあれば良い。
殻にヒビを入れてしまえば、後はリンネは自分で殻を破るなんて簡単だろう。
そのきっかけが、今回の件で。アーリルは偶々出くわしただけで。本当の意味で頑張ったのはリンネ自身だ。

「はい!私にお任せあれっ、です!」

アーリルは笑顔で私も少し戦えるんですよと言い、頼りない力こぶを作る仕草。
アイリスはその仕草に笑みを浮かべて。

『きっかけなんて、何でも良いんだよ。席替えの時に隣になった子に話しかけたりしてね。
 本当に、本当に些細なきっかけなんだ。大丈夫、君になら出来る。リンネ。』

「姉様、そろそろ戻りましょう。お体にさわります。」
『そう、しようか。リンネ。決めるのは君だ。だから君が決めるんだよ。何かあれば、僕たちでも相談に乗れるからね。
 あまり、気負わずに、ね。』

僕たちはそろそろ行くよ。帰りには気をつけて、と笑みを浮かべ、アイリスはアーリルに転移を促す。
するとどうだろうか。二人の体は火の粉へと変わっていき。
火の粉に変わる前にアイリスとアーリルの手が振られていた。

363焔リンネ:2019/03/31(日) 20:21:02 ID:ciGK1LWQ0
>>362

「……はい」
背中を押してくれる言葉が、温かい。
思い出す限り、孤独だったリンネに差し伸べられた初めての手。
何処かで、誰かに。自分からも手を差し伸べられるだろうか、まだ、自信は無い。
けれども。応援してくれる二人の為に、自分自身の為にも、頑張ってみようかな。そう思える。

去って行く二人を見つめる。
火に移り変わり風に消えていく最中で、別れを示すサインに気付いて。
ふふ。と思いもせずに吐息を漏らしながら見送った。

後に残るのは日差しと砂。周りにはだれも居ない。
今この瞬間だけを見れば、いつもと同じ独りに見えるかもしれない。
ただ、少女の顔はどことなく明るく、踵を返す足取りは軽かった。
何処かへ向かい、何をしようか。想像を働かせることへ、僅かながらの楽しみを見出しながら、進んでいく。


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