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【イベントB】欲望渦巻く魔都・異能都市【その9】
359
:
焔リンネ
:2019/03/06(水) 03:25:08 ID:ciGK1LWQ0
>>358
「私は、ずっと、一人で。
頼り方なんて、わからない、ですけど……」
あの時は、必死だった。
一人で抱え込んでいたのを、初めて独りにしてくれなかったのがあのひとだ。
泣きじゃくって、縋りついて、必死だった。助けてほしいって願った。
「あなたたちなら、こうやって、今みたいに。
自分をだしていけるような気がします。だから、すこしだけ、頼れるかもしれません」
テレビのニュースや、クラスメイトが話している雑談が耳に入ってきたりして、取り入れる情報は、どれも不可思議なことばかりだ。
力に関していえば自分もそれらに負けないと思うが、逆に話には上がらないようにしないといけないとは念を押されている。
大事なのは、誰もかれもが得意を抱えているということなのかもしれない。だからこそ、お互いがお互いを知らなければいけないということかもしれない。
そんなことに今更気づいて、ふと、笑みがこぼれる。
「だから……おかえりなさい」
だったら、もう少し、他人を知ってみるのもいいのかな。なんて。
リンネがアーリルに対して苦手意識を持っていたのは、アイリスの面影を感じていたからだ。
事情を知っているならば、尚更。その後の愚行が、彼の想いをどれだけ裏切ったことか。罪悪感に苛まれていた。
だが、それを今一度許してくれるなら、こんどこそ。
「……今日、ですか?」
きょうだいから姉妹となった二人のやり取りが微笑ましい。
アーリルの慕う姿は、血の定めなんか関係ない、普通の姉妹のように映る。
そんな中で、夫コ聞こえた問いかけにぽつりと返し、ブレザーのポケットを探る。
生徒手帳だ。巻末にはカレンダーが付いていたはず。「ここです」と日付を指して見せた。
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