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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13
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ヴィヴィオとノーヴェは、夜の街を闊歩する。
他愛もない雑談を繰り広げながら、ヴィヴィオの家に帰る為に。
ヴィヴィオは思う。ノーヴェは本当はとても優しいお姉さんなのだ、と。
男勝りな口調で、時には厳しい時もあるけれど、正しく自分を導いてくれる。
そんな彼女が、今日一日ヴィヴィオの為に付き合ってくれた事。
それから、こんなに疲れるまで練習に付き合ってくれた事。
それら全てに感謝の気持ちを込めて、ヴィヴィオは一礼した。
「今日は色々ありがとうね、ノーヴェ」
「ああ、まあ気にすんな。練習試合ならまたいつでも相手になってやるぜ」
外灯に照らされた遊歩道を歩きながら、二人は笑みを交わす。
「うんっ、わたしはもっともっと強くなるから――これからもよろしくね」
「そんな事は改まって言われるまでもねーよ」
両手を後頭部で組んで、へっ、と笑いながら言う。
聞けばノーヴェもまた、遥か高みを目指す為の、修行の途中なのだとか。
ヴィヴィオの師匠代わりを勤めてはいるが、彼女自身もまだまだ強くなりたいとの事。
そんな相手だからこそ、共に上を目指す気持ちが解り合えるからこそ。
この人となら、一緒に高みを目指していきたい、と思えたのかもしれない。
ともあれ、ヴィヴィオは決めたのだ。
強くなる。もっともっと、何処までも強くなる、と。
それがなのはママの言った、ヴィヴィオが自分で決めた“やりたい事”。
それを貫かんとする限り、なのはママはきっと天国でも笑ってくれる筈だ。
それは非常に嬉しい事である。
なのはママが喜んでくれると思えば、頑張ろうと思えて来る。
だけど、それは他人から見れば些か不自然にも見えるかもしれない。
何故なら――
「なあヴィヴィオ、一つ訊いていいか」
「うん、なあに?」
「あのさ、無理は、してないよな?」
「え?」
小首を傾げるヴィヴィオに、ノーヴェは一瞬躊躇う素振りを見せた。
その瞬間に、何となくではあるが、ノーヴェの言わんとする事が解った気がした。
「その……こんな事言うのは何だが、大好きなママが死んだってのに、全く泣かないしさ」
「…………」
「あっ、いやっ……その、悪いとかって言ってんじゃないんだ! ただ、寂しくないのかなって思ってさ……」
慌てて両手を振って否定を表明する。
解って居る。ノーヴェが言いたい事は、解って居るのだ。
彼女はヴィヴィオを責めようとしている訳ではない。
ただ単に、本当に心配してくれているのだ。
出来るだけ平静を保って答える。
「んー、寂しくないって言ったら嘘になるけど」
だけど、
「もう、決めたんだ。わたしは泣かないって」
「何でだよ……泣きたい時は、泣いたっていいじゃんか」
「わたしはもう、ゆりかごの中で、沢山泣いて来たから」
実際、この四年間、寂しさに涙する事もあった。
それは事実だし、今だってなのはママに会いたいと思う時はある。
ヴィヴィオはこんな子に育ったんだよって、笑顔で報告したいと思う時もある。
だけど、それは出来ないし、それをすれば、なのはママは果たして笑顔で迎えてくれるだろうか。
きっと誰よりも強かったあの人は、ヴィヴィオが後ろを振り返る事など望まないのではないだろうか。
だからこそ、こうしてたまに心の中で大好きなママの事を思い浮かべ、ヴィヴィオはひたすらに前へ進んで行く。
それだけで十分だ。それだけで、なのはママは喜んでくれる。
何よりも、そうする事が一番の親孝行の様に思えたから。
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